説明

テーブル付椅子

【課題】 着座者の安全に配慮してコンセントを取り付け、かつ、配線コードをテーブルと干渉することなく、十分なスペースをもって通すことができるようにしたテーブル付椅子を提供する。
【解決手段】 上部に開口部17を設けて箱状に形成され、椅子1の背もたれ5の後面に取り付けられたテーブル収納箱10と、テーブル収納箱10内に収納されるとともに、開口部17を通して引き出し、後側へ水平使用位置まで回転させて使用されるテーブル11と、背もたれの上端よりも下方に位置して、テーブル収納箱10の上端面またはそれより上方の背もたれの背面に設けたコンセント33とを有し、かつ、コンセントより引き出された配線コード9をテーブル収納箱10内を通して配線したテーブル装置10を備えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば講堂、劇場等の椅子における背もたれを支持する背枠の後面に、後席の人が筆記作業や資料の載置等を行うことができるテーブルを折り畳み収納可能に装着してなるテーブル付椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
背もたれを支持する背枠の後面にテーブルを折り畳み収納可能に設けているテーブル付椅子は、例えば特許文献1等に記載され、公知となっている。特許文献1に記載されているテーブル付椅子は、椅子の背枠の後面に取り付けられたテーブル収納部と、該テーブル収納部内に引き出し可能に収納されたテーブルとを備えている。
【0003】
テーブルを使用する場合には、テーブル収納部内に収納されているテーブルを一度上方まで引き出し、その後、水平使用位置まで後方へ回転させて使用することができ、使用後は、上記と反対の動作をたどって、再びテーブル収納部内に収納して折り畳む構造となっている。
【0004】
この椅子には、電子機器のプラグを差し込んで電源として使用できるようなコンセント等は取り付けられていない。
【特許文献1】特開2001−245750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、特許文献1に記載されているような、講堂、劇場等で使用されるテーブル付椅子では、電子機器のプラグを差し込んで電源として使用できるコンセントは設けられていない。
【0006】
しかし、今日では携帯型のワープロやパソコン、通信端末等の電子機器が普及し、テーブルの上には資料だけでなく、電子機器を置いて、電子メモをとりながら講義や講演を聴いたりする機会が多くなって来ている。
【0007】
従って、テーブル付椅子において、電子機器用のコンセントを設置する必要性が高い。このようなテーブル付椅子にコンセント及び配線コードを設けるには、コンセントをテーブルよりも前方に設け、配線コードもテーブルより前方に落とし込む必要がある。
【0008】
しかし、一般に、テーブル付椅子は、背もたれを支持している背枠の頂部が、椅子の背もたれよりも上方に突出していることが多く、ここにコンセントを取り付けると、前席の着座者の頭髪がコンセント内に進入するおそれがある。また、テーブルは、箱状をしたテーブル収納部の前面板に沿って昇降するようになっているので、配線コードをテーブル収納部内に落とし込もうとすると、テーブルの昇降機構があることによって十分なスペースが得られなかったり、テーブルの昇降に干渉する等の問題が伴う。
【0009】
本発明は、上述のような従来の課題を解決するためになされたものであって、着座者の安全に配慮してコンセントを取り付け、かつ、配線コードをテーブルと干渉することなく、十分なスペースをもって通すことができるようにしたテーブル付椅子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)上部に開口部を設けて箱状に形成され、椅子の背もたれの後面に取り付けられたテーブル収納部と、前記テーブル収納部内に収納されるとともに、前記開口部を通して引き出し、後側へ水平使用位置まで回転させて使用状態とされるテーブルと、前記背もたれの上端よりも下方に位置して、前記テーブル収納部の上端面またはそれより上方の背もたれの背面に設けたコンセントとを有し、かつ、前記コンセントより引き出された配線コードを、前記テーブル収納部内を通して配線したテーブル装置を備えるものとする。
【0011】
(2)上記(1)項において、配線コードをテーブル収納部の前面板に沿って配線し、かつ、開口部をテーブル収納部における上面板の後部から後面板の上部にかけて切り欠いて形成するとともに、前記テーブルを、前記テーブル収納部内に前記後面板と平行にして収納し、前記テーブルが、前記テーブル収納部内から斜め後上方に向かって引き出されるように構成する。
【0012】
(3)上記(2)項において、テーブルを昇降させるレールを、テーブル収納部における前面板の左右方向のほぼ中央に取り付けるとともに、配線コードを、前記レールの外側で、かつ、前記前面板に沿わせて配線する。
【0013】
(4)上記(2)〜(3)項のいずれかにおいて、背もたれを支持する背枠の下部前面側に配線ダクトを設けるとともに、前記背枠に、コンセントのほぼ直下に位置して、前記配線コードを前記配線ダクト内に導く切欠部を設ける。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
(a)請求項1記載の発明によれば、コンセントが椅子の背もたれの上端よりも下方に位置し、しかも背凭れにより前席の着座者の頭部と隔絶されるので、前席の着座者の頭髪がコンセント内に進入したりするおそれはなくなり、安全、かつ、効率的にコンセントを配設して使用することが可能になる。また、配線がテーブル収納部内で行われるので、配線が外部に露呈せず、体裁がよい。
【0015】
(b)請求項2記載の発明によれば、テーブルはテーブル収納部の後方の開口部から取り出されるので、テーブル収納部内には大きな空間が形成されることになり、配線コードを十分な余裕をもって落とし込むことができる。
【0016】
(c)請求項3記載の発明によれば、テーブルが、テーブル収納部の前面板より後方で昇降し、配線コードはテーブル収納部内の前面板側で、レールの外側に沿って配線されるので、十分な広さの配線空間が確保される。また、レールがテーブル収納部の前面板の中央に位置するので、テーブルが昇降する際にバランスを崩して左右にぶれることが防止される。これにより、テーブルの昇降時における配線コードへ干渉度がより低くなるとともに、レールの側部が配線用の空間として確保される。
【0017】
(d)請求項4記載の発明によれば、切欠部を、コンセントのほぼ真下に位置して、配線コードを配線ダクト内に導くように設けているので、配線コードを最短距で配線ダクト内へ確実に導くことができる。また、配線コードをコンセントから垂らすだけで切欠部の部分とほぼ対応するので、配線作業がし易くなる。そして、配線コードは、配線ダクト内に導かれた後は、該配線ダクトを通して所定の位置へ確実に送ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施の形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明を適用したテーブル付椅子を示すもので、図1はその側面図、図2は要部分解斜視図である。
【0019】
図1及び図2において、椅子(1)は、脚本体(2)と、該脚本体(2)に取り付けられたシート(3)及び背枠(4)と、該背枠(4)の前面に設けられた背もたれ(5)と、脚本体(2)に取り付けられた肘カバー(6)と、背枠(4)の後面に取り付けられたテーブル装置(7)等により構成されている。
【0020】
また、背枠(4)の下部前面には、背枠(4)とシート(3)の後部との間に位置して、配線ダクト(8)が配設されている。その配線ダクト(8)は、内部が空洞であり、テーブル装置(7)の内部を通って下方に導かれて来る配線コード(9)が通され、この通された配線コード(9)を所定の位置へ向かってガイドするようになっている。
【0021】
図3〜図5は、テーブル装置(7)を示すもので、図3はその上面図、図4はその背面図、図5は、図4のA−A線に沿う縦断側面図である。テーブル装置(7)を図3〜図5を加えてさらに説明すると、テーブル装置(7)は、箱状に形成されているテーブル収納部としてのテーブル収納箱(10)と、該テーブル収納箱(10)内に引き出し可能に配置されたテーブル(11)とを備えている。
【0022】
テーブル収納箱(10)は、前側半体(10A)と、該前側半体(10A)の後部を塞いで取り付けられる後側半体(10B)とからなっている。
【0023】
前側半体(10A)は、前面板(13a)と、該前面板(13a)の左右両端から後方に向かってほぼ直角に折り曲げられた左右1対の側面板(13b)(13b)とを一体に設けて、平面ほぼ後向きコ字状に形成されている。そして、前側半体(10A)は、左右1対の側面板(13b)(13b)が、それぞれ椅子(1)の上下方向を向くようにして背枠(4)の後面に前面板(13a)を当接させて配置し、図4に示ように、前面板(13a)を取付ねじ(12)をもって背枠(4)に固定して、取り付けられている。
【0024】
また、前側半体(10A)の後上部には、図2に示しているように、両端が左右の側面板(13b)(13b)にそれぞれ固定され、断面ほぼ倒立L字状をなし、テーブル引き出し時にテーブル(11)の下面を受ける下側位置決め部材(14)が取り付けられている。
【0025】
後側半体(10B)は、前側半体(10A)の前側開放部分を閉じる後面板(15a)と、該後面板(15a)の左右両端から前方に向かってほぼ直角に折り曲げられ、かつ、椅子(1)の上下方向へ平行に延びる左右1対の側面板(15b)(15b)を一体に有し、平面視ほぼ前向きコ字状に形成されている。
【0026】
また、後側半体(10B)の前上部には、図2に示しているように、両端を左右の側面板(15b)(15b)にそれぞれ固定してなる上面板(16)が取り付けられ、上面板(16)の後部から後面板(15a)の上部にかけて、テーブル(11)を出し入れするための開口部(17)が形成されている。さらに、上面板(16)の一端側には、コンセント取付孔(18)が設けられている。
【0027】
後側半体(10B)は、前側半体(10A)に、この前側半体(10A)の上面を上面板(16)が覆うとともに、前側半体(10A)の後面を後面板(15a)が覆い、かつ、前側半体(10A)の左右の側面板(13b)(13b)の外側に左右の側面板(15b)(15b)がそれぞれ重なるようにして取り付けられ、前側半体(10B)と共に箱状のテーブル収納箱(10)が形成されている。
【0028】
このテーブル収納箱(10)は、図1及び図5に示すように、後面板(15a)が前面板(13a)に対して、上部が後方へ傾斜した状態に作られていて、前後方向の厚み寸法が、下方に向かうに従って漸次縮小する形をなし、テーブル収納箱(10)が背枠(4)から後方に突出する量を、下方へ進むに従って漸次縮小するようにして形成されている。
【0029】
テーブル収納箱(10)を、このような形状としたので、後席の着座者の足元とテーブル収納箱との間のスペースを大とすることができ、後席の着座者の足元にゆとりができる。なお、図1中に1点鎖線で描くテーブル収納箱は、従来の構造の外形であり、実線で描くテーブル収納箱(10)は本発明を適用した場合のテーブル収納箱の外形である。図1から明らかなように、本実施の形態の椅子(1)の方が、従来構造に比べて足元において寸法Sだけ突出量が少なく、着座者の足元にゆとりができているのがわかる。
【0030】
テーブル収納箱(10)内において、前面板(13a)の内面には、この前面板(13a)の左右方向のほぼ中央に位置して、左右1対のレール(19)(19)が、椅子(1)の上下方向に延ばされた状態にして、平行に配置されている。各レール(19)(19)は、図2に示すように、レール溝の開口を互いに内側へ向けた状態にして、断面逆L字状にして設けられている。
【0031】
左右のレール(19)(19)間の上部には、テーブル引き出し時用の上側位置決め部材(20)が、椅子(1)の左右方向に延ばされた状態にして設けられ、左右のレール(19)(19)間の下部には、テーブル収納時にテーブル(11)を下側より受けるテーブル収納時用位置決め部材(21)が椅子(1)の左右方向に延ばされた状態にして設けられている。
【0032】
同じく、テーブル収納箱(10)内において、前側半体(10A)の上部には、板状の目隠し部材(22)が取り付けられている。目隠し部材(22)は、図6に示しているようにすように、細長い1枚のプレートとして作られており、両端には取付孔(23)(23)が設けられている。目隠し部材(22)には、該目隠し部材(22)から下側に向かって突設した状態にして、1対の弾性プレート(24)(24)が左右に分かれて取り付けられている。
【0033】
弾性プレート(24)(24)は、例えばゴム、プラスチック等、弾性変形可能な板材(弾性部材)により形成されており、後述するように、緩衝部材として作用する。
【0034】
このように構成された目隠し部材(22)は、弾性プレート(24)(24)を前面板(13a)側に位置させた状態で、かつ、前側半体(10A)の左右両側に取り付けられている取付ブラケット(25)(25)に取付ねじ(27)をもって固定され、前側半体(10A)の上部に上面板(16)の下面より垂下するようにして取り付けられている。
【0035】
テーブル(11)は、その上端縁側に、開口部(17)の蓋を兼ねる板状の把手プレート(28)が設けられている。また、テーブル(11)の下端側は、テーブル収納箱(10)内に開口部(17)から差し込まれていて、該開口部(17)を通してテーブル収納箱(10)内に出し入れ可能に配置される。
【0036】
テーブル収納箱(10)内に収納されているときのテーブル(11)の前面(上面)の下部中央には、突片(29)が前方に突出した状態にして、取付ねじ(30)をもって固定されて設けられている。突片(29)には、スライド軸(31)が左ねじに挿通して設けられている。スライド軸(31)の両端は、レール(19)(19)に摺動並びに回動可能に係合されている。ここでのスライド軸(31)及びレール(19)(19)は、案内手段(32)を構成しているもので、この案内手段(32)は、テーブル(11)の下端側の摺動並びに回動を、レール(19)(19)とスライド軸(31)との係合によって案内する。
【0037】
なお、後側半体(10B)は、テーブル(11)を開口部(17)から挿入させ、かつ、スライド軸(31)をレール(19)(19)に摺動並びに回動可能に係合させた状態で、前側半体(10A)に組み付け固定される。また、その組み付け時、後側半体(10B)のコンセント取付孔(18)に、コンセント(33)が取り付けられる。
【0038】
コンセント(33)には、配線コード(9)が取り付けられている。配線コード(9)は、前側半体(10A)の前面板(13a)の後面に沿って、かつ片側のレール(19)の外側に沿って上下方向に延ばされた状態にして配線されている。配線コード(9)は、前側半体(10A)の下側で、かつ、前側半体(10A)に組み付けられた後側半体(10B)のコンセント取付孔(18)のほぼ真下に位置して、背枠(4)に設けられている切欠部(34)を通して、配線ダクト(8)内に導かれ、電源と電気結線される。
【0039】
図7は、テーブル(11)の動作状態を示す図、図8〜図11は、弾性プレート(24)を設けた目隠し部材(22)の動作を示す図である。図7〜図11を用いて、テーブル(11)の作用を次に説明する。
【0040】
テーブル(11)が使用されないとき、テーブル(11)は、テーブル収納箱(10)内に収納され、突片(29)の下端がテーブル収納時用位置決め部材(21)に当接して受けられている。テーブル(11)の把手プレート(28)は、上面板(16)と同一面となり、開口部(17)の上面を把手プレート(28)で閉じた状態になっている。図5及び図8は、この状態を示している。また、図1及び図7の二点鎖線も、この格納状態を示している。このテーブル収納箱(10)内に収納されているテーブル(11)は、後側半体(10B)の後面板(15a)とほぼ平行に配置されている。
【0041】
次に、テーブル(11)を使用する場合、把手プレート(28)に指を掛けてテーブル(11)を持ち上げると、レール(19)(19)とスライド軸(31)との係合、すなわち案内手段(32)の案内により、このテーブル(11)を斜め後上方に持ち上げることができる。持ち上げに伴って、テーブル(11)の先端側(把手プレート(28)側)を後側へ漸次回転させると、図1図7及び図11に実線で示している水平使用位置まで倒すことができる。
【0042】
この水平使用位置では、突片(29)の上部が上側位置決め部材(20)に当接し、テーブル(11)の下面が下側位置決め部材(14)に当接し、テーブル(11)の上下面が両部材(14)(20)で受けられ、これによってテーブル(11)の水平状態が保たれ、テーブルとして使用可能になる。
【0043】
テーブル(11)が格納位置から水平使用位置(使用可能位置)に回転移動されるとき、その移動途中において、テーブル(11)の前端部上面は、図9及び図10に示すように、目隠し部材(22)から垂れ下がるようにして取り付けられている緩衝部材としての弾性プレート(24)の下端と当接する。
【0044】
さらに回転させられると、この弾性プレート(24)を徐々に弾性変形(屈曲)させながら回転する。従って、弾性プレート(24)を弾性変形させるときの反力が、テーブル(11)の回動抵抗として作用し、テーブル(11)の回転速度を低下させるように作用するので、テーブル(11)は水平使用位置まで緩やかに回転し、水平使用位置に達して、突片(29)が上側位置を決め部材(29)に当接したときは、そのときの当接時の衝撃を和らげる。
【0045】
テーブル(11)が水平使用位置に達したときには、図11に示すように、上面板(16)の下面より垂設された状態にして取り付けられている目隠し部材(22)によって、テーブル(11)と上面板(16)との間の隙間が閉じられ、内部の機構が外部に露呈しないように隠される。
【0046】
このようにして、水平使用位置まで引き出されたテーブル(11)は、その上に物を置くテーブルとして使用することができる。必要に応じ、コンセント(33)に電子機器等のプラグを接続すると、電源として使用することができる。
【0047】
テーブル(11)の使用が済み、格納する場合は、テーブル(11)の把手プレート(28)を手で持ち上げ、引き出し時とは逆の操作を行うと、テーブル(11)は、後面板(15a)と平行にスライドされながら、テーブル収納箱(10)内に格納されて行き、再び格納することができる。
【0048】
従って、このように構成されたテーブル付椅子(1)では、次の(i)〜(iv)のような効果が期待できる。
【0049】
(i)コンセント(33)が椅子(1)の背もたれ(5)の上端よりも下方に位置し、しかも背枠(4)及び背凭れ(5)により前席の着座者の頭部と隔絶されるので、前席の着座者の頭髪がコンセント(33)内に進入するおそれはなくなり、安全、かつ、効率的にコンセント(33)を配設して使用することが可能になる。また、配線コード(9)の配線がテーブル収納箱(10)内で行われるので、配線コード(9)が外部に露呈することがなく、体裁がよい。
【0050】
(ii)テーブル(11)はテーブル収納箱(10)の後方の開口部(17)から取り出されるので、テーブル収納箱(10)内には大きな空間が形成されることになり、配線コード(9)を十分な余裕をもって落とし込むことができる。
【0051】
(iii)テーブル(11)が、テーブル収納箱(10)の前面板(13a)より後方で昇降し、配線コード(9)はテーブル収納箱(10)内の前方側に挿通されるので、十分な広さの配線空間が確保される。また、レール(19)がテーブル収納箱(10)の前面板(13a)の中央に位置するので、テーブル(11)が昇降する際にバランスを崩して左右にぶれることが防止される。これにより、テーブル(11)の昇降時における配線コード(9)へ干渉度がより低くなるとともに、レール(19)の側部が配線用の空間として確保される。
【0052】
(iv)切欠部(34)を、コンセント(33)のほぼ真下に位置して、配線コード(9)を配線ダクト(8)内に導くように設けているので、配線コードを最短距離で配線ダクト内へ確実に導くことができる。また、配線コード(9)をコンセント(33)から垂らすだけで切欠部(34)の部分とほぼ対応するので、配線作業がし易くなる。そして、配線コード(9)は、配線ダクト(8)内に導かれた後は、該配線ダクト(8)を通して所定の位置へ確実に送ることができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、上記各実施形態に種々の変形や変更を施すことも可能である。例えば、コンセント(33)を、テーブル収納箱(10)の上面板(16)に変えて、上面板(16)より上方の背枠(4)の後面側に、背もたれ(5)の上端よりも下方に位置するようにして設けた構造としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施の形態であるテーブル付椅子の側面図である。
【図2】同上テーブル付椅子の要部分解斜視図である。
【図3】同上テーブル付椅子におけるテーブル装置の上面図である。
【図4】同上テーブル付椅子におけるテーブル装置の背面図である。
【図5】図4のV−V線に沿う縦断側面図である。
【図6】同上テーブル装置における弾性プレートを取り付けた目隠し部材の斜視図である。
【図7】同上テーブル付椅子におけるテーブルの動作図である。
【図8】テーブル格納時の状態を説明する図である。
【図9】弾性プレートを設けた目隠し部材の動作説明図である。
【図10】弾性プレートを設けた目隠し部材の動作説明図である。
【図11】弾性プレートを設けた目隠し部材の動作説明図である。
【符号の説明】
【0055】
(1)椅子
(2)脚本体
(3)シート
(4)背枠
(5)背もたれ
(6)肘カバー
(7)テーブル装置
(8)配線ダクト
(9)配線コード
(10)テーブル収納箱(テーブル収納部)
(10A)前側半体
(10B)後側半体
(11)テーブル
(12)取付ねじ
(13a)前面板
(13b)側面板
(14)下側位置決め部材
(15a)後面板
(15b)側面板
(16)上面板
(17)開口部
(18)コンセント取付孔
(19)レール
(20)上側位置決め部材
(21)テーブル収納時用位置決め部材
(22)目隠し部材
(23)取付孔
(24)弾性プレート(緩衝部材、弾性材)
(25)取付ブラケット
(26)取付孔
(27)取付ねじ
(28)把手プレート
(29)突片
(30)取付ねじ
(31)スライド軸
(32)案内手段
(33)コンセント
(34)切欠部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部を設けて箱状に形成され、椅子の背もたれの後面に取り付けられたテーブル収納部と、
前記テーブル収納部内に収納されるとともに、前記開口部を通して引き出し、後側へ水平使用位置まで回転させて使用状態とされるテーブルと、
前記背もたれの上端よりも下方に位置して、前記テーブル収納部の上端面またはそれより上方の背もたれの背面に設けたコンセントとを有し、かつ、前記コンセントより引き出された配線コードを、前記テーブル収納部内を通して配線したテーブル装置を備えることを特徴とするテーブル付椅子。
【請求項2】
配線コードをテーブル収納部の前面板に沿って配線し、かつ、開口部をテーブル収納部における上面板の後部から後面板の上部にかけて切り欠いて形成するとともに、前記テーブルを、前記テーブル収納部内に前記後面板と平行にして収納し、前記テーブルが、前記テーブル収納部内から斜め後上方に向かって引き出されるように構成してなる請求項1記載のテーブル付椅子。
【請求項3】
テーブルを昇降させるレールを、テーブル収納部における前面板の左右方向のほぼ中央に取り付けるとともに、配線コードを、前記レールの外側で、かつ、前記前面板に沿わせて配線してなる請求項2記載のテーブル付椅子。
【請求項4】
背もたれを支持する背枠の下部前面側に配線ダクトを設けるとともに、前記背枠に、コンセントのほぼ直下に位置して、前記配線コードを前記配線ダクト内に導く切欠部を設けた請求項1〜3のいずれかに記載のテーブル付椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−181092(P2006−181092A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−377621(P2004−377621)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】