説明

テープ印刷装置、ネームラベルを作成するための印刷データ作成方法、ネームラベルを作成するための印刷データ作成プログラムが記憶された記憶媒体

【課題】 個人の特定が可能なネームラベルを作成するネームラベル作成機能を備えたテープ印刷装置を提供する。
【解決手段】 テープ印刷装置は、制御手段と、少なくとも姓データと名データを有する複数人の人名データが記憶された記憶手段と、を有し、印刷リストを作成する印刷リスト作成手段と、作成するネームラベルの表記内容を設定する表記内容設定手段と、同一表記データを抽出する同一表記データ抽出手段と、該同一表記データに付記する特定情報を設定する特定情報設定手段と、印刷リストの中で同一表記データとして抽出されなかった人名データを表記内容設定手段が設定した表記内容に従って印刷するための印刷データを作成すると共に、特定情報設定手段が設定した特定情報を付記した印刷データを作成する印刷データ作成手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネームラベル作成機能を備えたテープ印刷装置と、ネームラベルを作成するための印刷データ作成方法と、この印刷データ作成方法を実現するためのプログラムが記憶された記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
テープカセット内に印字テープと剥離テープとを積層してなるテープ部材を収納し、このテープカセットを印刷装置にセットして、キーボード等の入力手段から入力された、或いは、他の機器から出力された文字、記号、ロゴ、キャラクタ、マーク等を印刷することにより、固有のラベルを作成できる装置としてテープ印刷装置がある。
【0003】
このようなテープ印刷装置の用途として、例えば、特開平6−79927号公報(特許文献1)におけるテープ印刷装置では、指定されたスケール(cmやinch等)の目盛線を印刷するスケール印刷装置として使用する提案がなされている。又、特開平5−57985号公報(特許文献2)では、インデックスラベルを印刷する印刷装置(印字制御装置)として使用する提案がなされている。
【0004】
更に、テープ印刷装置の用途として、テープ印刷装置で作成した、或いは、表計算ソフト等で作成した複数人の人名データを利用して、自動でネームラベルを作成する場合もある。このように自動でネームラベルを作成する場合、各ネームラベルの幅を統一させて作成し、姓名の文字数が多い場合には自動で所定の幅に納るように文字サイズを編集するといった書式設定を自動で行なう装置もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−79927号公報
【特許文献2】特開平5−57985号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のテープ印刷装置でネームラベルを作成する場合において、同姓の人物が名簿内にに複数人存在するとき、姓名両方を印刷する場合には問題ないが、姓のみを印刷する場合には人物の特定ができないため、ネームラベルの作成者が、姓が同一の人物に関しては姓の後に括弧書で名称を付記するように印刷内容を編集し、テープ印刷装置で印刷を実行するといった作業を行なうことがあった。又、人名データ側を編集する場合もあった。このように、同一表記となるネームラベルを個人の特定ができるネームラベルとして印刷するためには使用者による作業が必要となり、作業効率の低下が問題となっていた。
【0007】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、自動で同一表記となる人名データを抽出し、同一表記となる人名データに関しては個人を特定するための情報を付記した印刷データを作成することにより個人の特定が可能なネームラベルを作成するテープ印刷装置と、このようなネームラベルを作成するための印刷データを作成する印刷データ作成方法と、この印刷データ作成方法を実現させるためのプログラムが記憶された記憶媒体と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、印字テープと剥離テープとを積層してなるテープ部材に文字や模様等の印刷を行ない、該テープ部材を所定長で切断することにより、貼付対象に貼付して使用するラベルを作成するテープ印刷装置において、該テープ印刷装置は、制御手段と、表示手段と、入力手段と、前記印字テープに印刷を行なう印刷手段と、少なくとも姓と名のデータを備える複数人の人名データが記憶された記憶手段と、を有し、該複数人の人名データからネームラベルを作成する人名データのリストである印刷リストを作成する印刷リスト作成手段と、作成するネームラベルの表記内容を設定する表記内容設定手段と、前記印刷リスト作成手段が作成した印刷リストの中で前記表記内容設定手段が設定した表記内容では同一表記となる人名データを同一表記データとして抽出する同一表記データ抽出手段と、該同一表記データに付記する個人を特定するための情報である特定情報を設定する特定情報設定手段と、前記印刷リストの中で同一表記データとして抽出されなかった人名データを前記表記内容設定手段が設定した表記内容に従って印刷するための印刷データを作成すると共に、前記同一表記データの前記表記内容設定手段が設定した表記内容に前記特定情報を付記した印刷データを作成する印刷データ作成手段と、を備え、前記制御手段は、前記印刷手段を制御して、前記印刷データ作成手段が作成した印刷データに基づいて印刷を実行させることを特徴とする。
【0009】
又、前記特定情報は、前記記憶手段に記憶された人名データ中の情報に基づいて設定されることを特徴とする。
【0010】
そして、本発明のテープ印刷装置は、前記同一表記データ抽出手段が抽出した同一表記データに関し、前記記憶手段に記憶された人名データが同一であって人名データの内容では個人を区別できない判別不能データを抽出する判別不能データ抽出手段と、該判別不能データ抽出手段が判別不能データを抽出した場合に、個人を特定するための新規な特定情報を入力させる画面を前記表示手段に表示させる新規情報入力画面表示手段と、を備え、前記印刷データ作成手段は、該新規情報入力画面表示手段が表示させた画面に対して入力された新規な特定情報を前記判別不能データに付記した印刷データを作成することを特徴とする。
【0011】
又、前記印刷データ作成手段は、前記特定情報が他の文字とは異なる態様で付記されるように前記同一表記データの印刷データを作成することを特徴とする。
【0012】
更に、前記印刷データ作成手段は、前記特定情報が括弧書で付記されるように前記同一表記データの印刷データを作成することもある。
【0013】
又、前記印刷データ作成手段は、前記特定情報が他の文字サイズよりも小さく印刷されるように前記同一表記データの印刷データを作成することもある。
【0014】
そして、本発明のテープ印刷装置は、前記印字テープのみを切断するハーフカット手段を備え、前記制御手段は、各ネームラベルの境界位置において、前記ハーフカット手段を制御してハーフカットを行なわせることを特徴とする。
【0015】
本発明のネームラベルを作成するための印刷データ作成方法は、複数人の人名データからなる人名データリストを読み込む人名データ読み込み処理と、該人名データ読み込み処理により読み込まれた前記人名データリストの中からネームラベルを作成する人名データのリストである印刷リストを作成する印刷リスト作成処理と、ネームラベルの表記内容を設定する表記内容設定処理と、前記印刷リストの中で前記表記内容設定処理で設定された表記内容に従ってネームラベルを作成した場合、同一表記となる人名データである同一表記データを抽出する同一表記データ抽出処理と、該同一表記データ抽出処理において同一表記データが抽出された場合に、該同一表記データに付記する個人を特定するための特定情報を設定する特定情報設定処理と、前記印刷リストの中で同一表記データとして抽出されなかった人名データを前記表記内容設定処理において設定された表記内容に従って印刷するための印刷データを作成すると共に、前記同一表記データの前記表記内容設定処理において設定された表記内容に前記特定情報を付記した印刷データを作成する印刷データ作成処理と、を実行することを特徴とする。
【0016】
又、前記特定情報は、前記人名データ読み込み処理において読み込まれた人名データ中の情報に基づいて設定されることを特徴とする。
【0017】
更に、印刷データ作成方法は、前記同一表記データ抽出処理で抽出された同一表記データに関し、記憶手段に記憶された人名データが同一であって人名データの内容では個人を区別できない判別不能データを抽出する判別不能データ抽出処理と、該判別不能データ抽出処理において判別不能データが抽出された場合に、個人を特定するための新規な特定情報を追加入力させる画面を表示手段に表示させる特定情報入力画面表示処理と、該特定情報入力画面表示処理において入力された新規な特定情報を利用して前記印刷データを作成する前記印刷データ作成処理と、を実行することを特徴とする。
【0018】
本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、複数人の人名データからなる人名データリストを読み込む人名データ読み込み処理と、該人名データ読み込み処理により読み込まれた前記人名データリストの中からネームラベルを作成する人名データのリストである印刷リストを作成する印刷リスト作成処理と、ネームラベルの表記内容を設定する表記内容設定処理と、前記印刷リストの中で前記表記内容設定処理で設定された表記内容に従ってネームラベルを作成した場合、同一表記となる人名データである同一表記データを抽出する同一表記データ抽出処理と、該同一表記データ抽出処理において同一表記データが抽出された場合に、該同一表記データに付記する個人を特定するための特定情報を設定する特定情報設定処理と、前記印刷リストの中で同一表記データとして抽出されなかった人名データを前記表記内容設定処理において設定された表記内容に従って印刷するための印刷データを作成すると共に、前記同一表記データの前記表記内容設定処理において設定された表記内容に前記特定情報を付記した印刷データを作成する印刷データ作成処理と、を実現するためのプログラムが記憶されたことを特徴とする。
【0019】
又、前記特定情報は、前記人名データ読み込み処理において読み込まれた人名データ中の情報に基づいて設定されることを特徴とする。
【0020】
そして、本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、前記同一表記データ抽出処理で抽出された同一表記データに関し、記憶手段に記憶された人名データが同一であって人名データの内容では個人を区別できない判別不能データを抽出する判別不能データ抽出処理と、該判別不能データ抽出処理において判別不能データが抽出された場合に、個人を特定するための新規な特定情報を追加入力させる画面を表示手段に表示させる特定情報入力画面表示処理と、該特定情報入力画面表示処理において入力された新規な特定情報を利用して前記印刷データを作成する前記印刷データ作成処理と、を実現するためのプログラムが記憶されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、自動で同一表記となる人名データを抽出し、同一表記となる人名データに関しては個人を特定するための情報を付記した印刷データを作成することにより個人の特定が可能なネームラベルを作成するテープ印刷装置と、このようなネームラベルを作成するための印刷データを作成する印刷データ作成方法と、この印刷データ作成方法を実現させるためのプログラムが記憶された記憶媒体と、を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施例に係るテープ印刷装置の平面図である。
【図2】本発明の実施例に係るテープ印刷装置の内部拡大図及びテープカセットの斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係るテープ印刷装置の機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施例に係るテープ印刷装置におけるネームラベル作成モード時の制御フローを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例に係るテープ印刷装置のネームラベル作成モードにおいてネームラベルを作成する場合の具体例を示す図である。
【図6】本発明の実施例に係るテープ印刷装置のネームラベル作成モードにおいてネームラベルを作成する場合の具体例を示す図である。
【図7】本発明の実施例に係るテープ印刷装置のネームラベル作成モードにおいてネームラベルを作成する場合の具体例を示す図である。
【図8】本発明の実施例に係るテープ印刷装置のネームラベル作成モードで作成した三通りのネームラベルの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。本発明のテープ印刷装置1は、印字テープと剥離テープとを積層してなるテープ部材31に文字や模様等の印刷を行ない、該テープ部材31を所定長で切断することにより、貼付対象に貼付して使用するラベルを作成するテープ印刷装置1である。
【0024】
このテープ印刷装置1は、自動で同一表記となる人名データを抽出し、同一表記となる人名データに関しては個人を特定するための情報を付記した印刷データを作成することにより個人の特定が可能なネームラベル60を作成するネームラベル作成機能を備えている。
【0025】
そして、このネームラベル作成機能を実現させるため、テープ印刷装置1は、CPU等の制御手段とされる制御部40と、表示手段とされる表示部4と、入力手段とされる入力部3と、印字テープに印刷を行なう印刷手段としてのサーマルヘッド11と、少なくとも姓データと名データを有する複数人の人名データが記憶された記憶手段としてのROM41或いは補助記憶装置44と、を有している。
【0026】
又、テープ印刷装置1は、複数人の人名データからネームラベル60を作成する人名データのリストである印刷リストを作成する印刷リスト作成手段と、作成するネームラベル60の表記内容を設定する表記内容設定手段と、印刷リスト作成手段が作成した印刷リストの中で表記内容設定手段が設定した表記内容では同一表記となる人名データを同一表記データとして抽出する同一表記データ抽出手段と、該同一表記データに付記する個人を特定するための情報である特定情報を設定する特定情報設定手段と、を備える。尚、この特定情報は、記憶手段に記憶された人名データ中の情報に基づいて設定される。
【0027】
更に、テープ印刷装置1は、印刷リストの中で同一表記データとして抽出されなかった人名データを表記内容設定手段が設定した表記内容に従って印刷するための印刷データを作成すると共に、同一表記データの表記内容設定手段が設定した表記内容に特定情報を付記した印刷データを作成する印刷データ作成手段、を備え、制御手段は、印刷手段を制御して、印刷データ作成手段が作成した印刷データに基づいて印刷を実行させることによりネームラベル60を作成する。
【0028】
又、テープ印刷装置1は、同一表記データ抽出手段が抽出した同一表記データに関し、記憶手段に記憶された人名データが同一であって人名データの内容では個人を区別できない判別不能データを抽出する判別不能データ抽出手段と、該判別不能データ抽出手段が判別不能データを抽出した場合に、個人を特定するための新規な特定情報を入力させる画面を表示手段に表示させる新規情報入力画面表示手段と、を備え、印刷データ作成手段は、該新規情報入力画面表示手段が表示させた画面に対して入力された新規な特定情報を判別不能データに付記した印刷データを作成する。
【0029】
そして、テープ印刷装置1は、印字テープのみを切断するハーフカット手段としてのハーフカット装置18を備えており、制御手段は、各ネームラベル60の境界位置において、ハーフカット手段を制御してハーフカットを行なわせることにより、各ネームラベル60を分割された状態で作成する。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。図1は、本発明の実施例に係るテープ印刷装置1の平面図であり、図2は、このテープ印刷装置1に使用するテープカセット21の外観及びテープ印刷装置1の内部構造の一部を示す斜視図である。テープ印刷装置1は、表面に印刷面を備え裏面が粘着面とされた印字テープと、粘着面に貼付される剥離テープと、が積層されて形成されたテープ部材31に文字や模様等を印刷する装置である。
【0031】
このテープ印刷装置1は、図1に示すように、筐体2の上面に入力部3、表示部4及びカセット装填部8を塞ぐ開閉蓋5が形成されている。又、図示しないが、筐体2には、パーソナルコンピュータ等の外部機器と接続するための入力端子、電源コードが接続される電源端子、メモリーカード等の記憶媒体が挿入される挿入口等も形成されている。
【0032】
入力部3は、文字データを入力する文字入力キー、印刷開始を指示する印刷キー、表示部4の表示画面上のカーソルを移動操作するカーソルキー、印刷モードの設定や各種設定処理を行なう種々の制御キーによって構成されている。又、表示部4は、液晶表示装置等とされるものであって、入力されたデータに関する画像、各種の設定のための選択メニュー、各種の処理に関するメッセージ等が表示される。尚、テープ印刷装置1に、入力部3及び表示部4の両機能を備えたタッチパネルを配置することもできる。
【0033】
そして、開閉蓋5の内側には、図2に示すように、テープ部材31及びインクリボン35を収容したテープカセット21を装填するためのカセット装填部8が形成されている。又、カセット装填部8内には、テープ印刷機構45と、テープカセット21を所定の位置に支持するためのカセット受部15と、が形成されている。このテープ印刷機構45は、縦方向に配列された印刷素子と、印刷ヘッドとされるサーマルヘッド11と、サーマルヘッド11との間でテープ部材31及びインクリボン35を挟み込んでこれを搬送するプラテンローラ12と、印刷に使用したインクリボン35をテープカセット21内に巻取るリボン巻取軸13と、を備える。
【0034】
又、カセット装填部8の一端部に筐体2の外に通じるテープ繰出部7が形成されており、このテープ繰出部7には、テープ部材31の印字テープ及び剥離テープを幅方向にカットするフルカット手段としてのフルカット装置17と、テープ部材31の印字テープのみをカットするハーフカット手段としてのハーフカット装置18が組み込まれている。
【0035】
更に、テープカセット21は、カセットケース22を備え、このカセットケース22の内部には、テープ部材31が巻装されたテープコア23、未使用のインクリボン35が巻装されたリボン供給コア24、使用済みのインクリボン35を巻取るリボン巻取コア25が夫々収納されている。又、テープカセット21のカセットケース22には、カセット装填部8内にテープカセット21を装填した場合にサーマルヘッド11が位置するヘッド配置部27が形成されている。
【0036】
又、カセットケース22の隅部には、カセット装填部8のカセット受部15と係合し、このカセット受部15によって支持される被係合部29が形成されている。又、このカセットケース22の被係合部29には、図示しないがテープカセット21の種類に応じた所定の凹凸が形成されており、カセット装填部8のカセット受部15には、テープカセット21が装填された場合にカセットケース22の被係合部29に形成された凹凸を判別する所定のカセット判別スイッチ16が形成されている。そして、カセットケース22がカセット装填部8に装填されると、カセットケース22の被係合部29に形成された凹凸とカセット装填部8のカセット受部15に形成されたカセット判別スイッチ16が係合し、テープカセット21の種類が判別される仕様とされている。
【0037】
このテープ印刷装置1は、印刷の指示がされると、テープ部材31及びインクリボン35がテープカセット21から繰り出され、プラテンローラ12とサーマルヘッド11の間にこれらのテープ部材31及びインクリボン35が重ね合わされた状態で挟み込まれて搬送される。そして、サーマルヘッド11が印刷データに基づいて発熱駆動され、インクリボン35のインクがテープ部材31に熱転写されてテープ部材31に印刷が行なわれ、印刷が終了するとフルカット装置17が作動してテープ部材31が幅方向に切断され、1枚のテープ状の印刷物が作成される。
【0038】
図3は、このテープ印刷装置1の回路構成を示すブロック図である。このテープ印刷装置1は、図3に示すように、制御手段とされる制御部40を備え、この制御部40に記憶手段としてのROM41及びRAM42、補助記憶装置44と、入力手段としての入力部3、表示手段としての表示部4が接続されている。更に、制御部40には、印刷手段駆動回路51、搬送手段駆動回路52、切断手段駆動回路53が接続されている。
【0039】
この制御部40は、CPUであって、入力部3からのキー操作信号に応じて、又は、自動でROM41に予め記憶されているシステムプログラム、メモリーカードに記憶された制御プログラム、外部機器から読み込まれた制御プログラム等を起動させ、RAM42をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。
【0040】
ROM41は、入力部3から入力された文字を印刷するためのプログラム、印刷フォント、塗り潰しに使用される斜線や網目、ドット模様等が記憶され、制御部40で読取り可能なプログラムが記憶された記憶媒体としても機能する。又、このROM41としては、EPROM等の書込みが可能なROMを使用される場合もあり、書込み可能なROMが使用される場合には、ROM41が補助記憶装置44としても機能する。
【0041】
RAM42は、キー入力された文字や選択された模様、サイズや文字間隔等の印刷情報を記憶する入力データメモリ、入力された印刷情報が展開された印刷パターンデータが記憶される印刷データメモリ、表示部4に表示されるパターンデータが記憶される表示データメモリ等の各領域が確保され、印刷処理等に必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタ等が設けられている。
【0042】
補助記憶装置44は、テープ印刷装置1に内蔵されたハードディスクやテープ印刷装置1に接続されるメモリーカード等によって構成されている。この補助記憶装置44には、テープ印刷装置1で編集した、或いは、外部機器で編集した複数人の人名データが記憶されている。又、この人名データは、日本語表記及びローマ字表記の姓データ及び名データを備えており、表計算ソフト等によって編集されたデータである。尚、ROM41において述べたように、書込み可能なROM41がこの補助記憶装置44として機能する構成とすることもできる。
【0043】
印刷手段駆動回路51は、印字情報や書式設定の情報に従って印刷手段であるサーマルヘッド11を制御し、テープ部材31に印刷を実行させる。搬送手段駆動回路52は、搬送手段を駆動させる回路であって、プラテンローラ12やリボン巻取軸13を回転させるステッピングモータ等の搬送モータ46を制御し、所定の速度で長手方向にテープ部材31を搬送する。切断手段駆動回路53は、フルカット手段及びハーフカット手段等の切断手段を制御する駆動回路であり、フルカット装置17で使用されるカッターモータ48aとしてのステッピングモータやハーフカット装置18で使用されるカッターモータ48bとしてのDCモータ等を制御する。
【0044】
そして、本実施例のテープ印刷装置1は、人名データのリストからネームラベルを作成する場合において、人名データのリスト内から同一表記となる人物を自動で抽出し、同一表記となる人物に関しては人物を特定できる情報を付記した表示となるように表記データを編集し、例えば姓のみを印刷する場合に同姓の人名データがあったとしても、人物の特定ができる情報が付記されたネームラベルを作成するネームラベル印刷機能を備えている。
【0045】
以下、本実施例のテープ印刷装置1に係るネームラベル印刷機能に関して述べる。図4は、ネームラベル印刷機能の制御フローを示すフローチャートである。ネームラベル作成モードが開始されると、制御手段は、記憶手段とされる補助記憶装置44或いはEPROM等のROM41に記憶された複数人の人名データリストを読み込む人名データ読み込み処理(ステップS101)を実行する。
【0046】
次に、制御手段は、テープ印刷装置1の使用者に人名データリストの中からネームラベルを作成する人名データを選択させる画面を表示手段に表示させ、印刷リスト作成手段として、使用者が選択した人名データから印刷リストを作成する印刷リスト作成処理(ステップS105)を実行する。尚、この印刷リスト作成処理(ステップS105)では、例えば、ア行〜サ行までといった条件を設定することにより自動で印刷リストを作成する構成とすることもある。
【0047】
そして、制御手段は、表記内容設定手段として、ネームラベルの表記内容を選択させる画面を表示手段に表示させ、使用者に表記内容を選択させることにより表記内容を設定する表記内容設定処理(ステップS110)を実行する。この表記内容とは、日本語で姓のみ表記したネームラベルを作成する、或いは、ローマ字で姓のみ表記したネームラベルを作成するといったように、人名データの中でネームラベルに表記される内容のことをさす。よって、表記内容を選択させる画面として、「日本語」「平仮名」「ローマ字」「姓のみ」「姓名」といったアイコンを表示させ、アイコンを選択させることにより表記内容を選択させる構成とすれば使用者の作業を軽減できる。
【0048】
表記内容設定処理(ステップS110)の後、制御手段は、同一表記データ抽出手段として、印刷リスト作成手段が作成した印刷リストの中で表記内容設定手段が設定した表記内容に従ってネームラベルを作成した場合、同一表記となる人名データである同一表記データを抽出する同一表記データ抽出処理(ステップS115)を実行する。そして、同一表記データ抽出処理(ステップS115)が完了すると、制御手段は、印刷リストの中の人名リストが同一表記データであるかを判定する同一表記データ判定処理(ステップS120)を実行し、同一表記データでない人名データに関しては、印刷データ作成手段として、表記内容設定処理(ステップS110)で設定された表記内容で印刷するように印刷データを作成する印刷データ作成処理(ステップS140)を実行する。
【0049】
次に、同一表記データ判定処理(ステップS120)において同一表記データと判定された人名データに関して、制御手段は、判別不能データ抽出手段として、記憶手段に記憶された日本語の姓データ及び名データやローマ字の姓データ及び名データから個人の特定ができない人名データである判別不能データを抽出する判別不能データ抽出処理(ステップS125)を実行する。この判別不能データとは、同姓同名の場合のように記憶手段に記憶されている人名データが完全に一致してしまい人名データでは個人の区別ができない人名データのことをさす。この判別不能データ抽出処理(ステップS125)が完了すると、制御手段は、同一表記データの中の人名データが判別不能データであるか判定する判別不能データ判定処理(ステップS130)を実行する。
【0050】
そして、判別不能データ判定処理(ステップS130)において判別不能データと判定された人名データに関して、制御手段は、新規情報入力画面表示手段として、使用者に個人を特定するための新規な特定情報を追加入力させる画面を表示手段に表示させる特定情報入力画面表示処理(ステップS135)を実行する。又、判別不能データ判定処理(ステップS130)において判別不能データではないと判定された通常の同一表記データに関して、制御手段は、特定情報設定手段として、同一表記データに付記する個人を特定するための情報を人名データの中から選択して特定情報として設定する特定情報設定処理(ステップS137)を実行する。次に、制御手段は、印刷データ作成手段として、印刷手段に印刷を実行させるための印刷データを作成する印刷データ作成処理(ステップS140)を実行する。
【0051】
この印刷データ作成処理(ステップS140)において作成される印刷データに関して述べる。印刷リストに含まれる人名データで同一表記データではない人名データの印刷データは、上述したように、表記内容設定処理(ステップS110)で設定された表記内容となるように人名データから情報を選択して作成された印刷データである。又、通常の同一表記データの印刷データは、特定情報設定処理(ステップS137)で設定された特定情報を表記内容設定処理(ステップS110)で設定された表記内容に付記した印刷データである。更に、判別不能データの印刷データは、特定情報入力画面表示処理(ステップS135)において入力された新規の特定情報を表記内容設定処理(ステップS110)で設定された表記内容に付記した印刷データである。
【0052】
尚、印刷データ作成処理(ステップS140)で作成される印刷データは、ネームラベルの長さや印刷される文字のサイズ、フォント等の情報も含まれており、印刷データ作成手段は、全てのネームラベルが同じ長さとなるように書式等を自動で設定して印刷データを作成する。
【0053】
そして、制御手段は、印刷手段を制御して、印刷データ作成処理(ステップS140)において作成された印刷データに従って印字テープに印刷を実行させる印刷実行処理(ステップS145)を実行し、ネームラベルの作成を終了する。
【0054】
次に、このような制御フローに従ってネームラベルを作成する場合について、具体例を挙げながら説明する。図5乃至図8は、印刷リストの一例を示す表及び該印刷リストの人名データに従って作成したネームラベル60の正面図の例を示す図である。まず、印刷リスト作成手段は、複数人の人名データの中から、使用者に選択させることにより、又は、所定の条件を基に複数人の人名データの中から自動で選択することにより、印刷リストを作成する。
【0055】
印刷リスト作成手段が、図5(a)に示すような、「阿部光子」「阿部新造」「安倍亮介」「河野次郎」「河野淳子」の5人の印刷リストを作成し、表記内容設定手段が「日本語で姓のみ」を表記内容として設定したとする。同一表記データ抽出手段は、同姓であって漢字表記も一緒である「阿部光子」「阿部新造」を同一表記データとすると共に、姓の読み方は異なるが漢字表記が一緒である「河野次郎」「河野淳子」も同一表記データとして抽出する。尚、本実施例においては、同姓とは、漢字及び読み、ローマ字表記のいずれも同一の場合をさし、同名も同様に漢字及び読み、ローマ字表記のいずれも同一の場合をさす。
【0056】
判別不能データ抽出手段は、同一表記データ抽出手段が抽出した同一表記データの中から、記憶手段に記憶された人名データでは区別することのできない判別不能データを抽出する判別不能データ抽出処理を実行するが、図5(a)に示す印刷リストの中には判別不能データがないため、判別不能データ判定処理において判別不能データ無しと判定する。特定情報設定手段は、判別不能データでない通常の同一表記データにおける人名データの中から個人を特定するための情報を選択し、特定情報として設定する。図5(a)に示す印刷リストの場合、「阿部光子」と「阿部新造」に関しては、日本語の名データの最初の文字が異なるため、「光」と「新」を特定設定として設定し、「河野次郎」と「河野淳子」に関しても、日本語の名データの最初の文字である「次」と「淳」を特定情報として設定する。
【0057】
印刷データ作成手段は、印刷リストの中で同一表記データでない「安倍亮介」に関しては、表記内容設定手段が設定した表記内容で印刷されるように「安倍」のみの印刷データを作成し、通常の同一表記データに関しては、特定情報設定手段が設定した特定情報を表記内容設定手段が設定した表記内容に付記した印刷データを作成する。つまり、「阿部光子」と「阿部新造」に関しては、「阿部(光)」「阿部(新)」と、「河野次郎」と「河野淳子」に関しては、「河野(次)」「河野(淳)」と特定情報を名字の後に括弧書で付記した印刷データを作成する。そして、制御手段が、印刷手段を制御して、印刷データ作成手段が作成した印刷データに従って印刷を実行する。
【0058】
このように作成されたネームラベル60は、図5(b)に示すように、同姓である「阿部光子」「阿部新造」に関しては、「阿部(光)」「阿部(新)」と名の最初の文字が括弧書で付記されることにより個人を特定できるように印刷されたネームラベル60となり、異姓(姓の読みは異なる)であるが姓の漢字は同一である「河野次郎」「河野淳子」に関しても同様に、「河野(次)」「河野(淳)」と名の最初の文字が括弧書で付記されることにより個人を特定できるように印刷されたネームラベル60となり、「安倍亮介」に関しては「安倍」という姓のみが印刷されたネームラベル60となる。
【0059】
このように、本実施例におけるネームラベル作成モードでは、表記内容設定手段が設定した表記内容で同一表記となる人名データを自動で抽出し、同一表記となる人名データには個人を特定できる情報を付記して印刷する構成となっているため、同姓であっても個人の特定が可能なネームラベル60を作成できる。よって、印刷リストに含まれる人名データが多い場合に、同一表記となる人名データが存在するか、ネームラベル60の作成者である使用者が自身で検索する必要がなくなり、ネームラベル60の作成効率を高めることができる。
【0060】
尚、各ネームラベル60の間に上述したハーフカット手段であるハーフカット装置18でハーフカット処理を行なう構成とすることもある。このように各ネームラベル60間にハーフカット処理を行なうことにより、各ネームラベル60を容易に分割貼付することができるようになる。よって、ネームラベル作成モードにおいて、ハーフカット処理を自動で行なうか否かを選択できるように構成することが好適である。
【0061】
印刷リスト作成手段が、図6(a)に示すような、「安倍亮介」「森田誠太郎」「森田誠子」の3人の印刷リストを作成し、表記内容設定手段が「日本語で姓のみ」を表記内容として設定したとする。この場合、同一表記データ抽出手段は、同姓であって漢字表記も一緒である「森田誠太郎」「森田誠子」を同一表記データとして抽出し、判別不能データ抽出手段は、判別不能データ無しと判定する。
【0062】
特定情報設定手段は、「森田誠太郎」と「森田誠子」のネームラベル60が個人の特定ができるように特定情報を作成する。この場合、2人の名の最初の文字が「誠」で同一であるため、名の最初の文字は特定情報とならない。よって、特定情報設定手段は、2人の名の中で異なる文字となる2文字目に注目し、2文字目の「太」と「子」を特定情報として設定する。そして、印刷データ作成手段は、「森田誠太郎」と「森田誠子」の2人に関してはこの特定情報を付記した印刷データを作成し、「安倍亮介」に関しては姓をそのまま印刷する印刷データを作成し、印刷手段がこの印刷データに従って印刷を実行する。
【0063】
このように作成されたネームラベル60は、図6(b)に示すように、同一表記となる人名データがない「安倍亮介」はそのまま「安倍」という表記で印刷されたネームラベル60となり、「森田誠太郎」と「森田誠子」に関しては、「森田(太)」「森田(子)」というように2人の名の中で異なる文字が特定情報として付記されることにより個人を特定できるネームラベル60となる。よって、従来のように、姓のみで印刷した場合には個人を特定できないといった問題点を解消できる。尚、「森田(誠太)」「森田(誠子)」のように2人の名で異なる文字となる位置までの文字を全て付記する構成とすることもでき、ネームラベル60の長さや、使用目的によって付記する特定情報の内容や付記の方法は自由にかえることができる。
【0064】
印刷リスト作成手段が、図7(a)に示すような、「上野花子」「下山薫」「下山薫」の3人の印刷リストを作成し、表記内容設定手段が「日本語で姓のみ」を表記内容として設定したとする。この場合、同一表記データ抽出手段は、同姓であって漢字表記も一緒である「下山薫」「下山薫」を同一表記データとして抽出し、判別不能データ抽出手段は、記憶手段に記憶された全てのデータが同一である「下山薫」「下山薫」を判別不能データとして抽出する。
【0065】
そして、新規情報入力画面表示手段は、2人の「下山薫」を区別するための新規な特定情報を使用者に追加入力させる画面を表示手段に表示させる。使用者は、2人の「下山薫」を区別するための情報として、1人は男性、もう1人は女性という新規な特定情報を入力する。特定情報の入力が完了した後、印刷データ作成手段は、判別不能データに関しては新規な特定情報である「男性」と「女性」の情報を姓の後に括弧書で付記した印刷データを作成し、「上野花子」に関しては姓をそのまま印刷する印刷データを作成し、印刷手段がこの印刷データに従って印刷を実行する。
【0066】
そして、作成されたネームラベル60は、図7(b)に示すように、同一表記となる人名データが存在しない「上野花子」はそのまま「上野」という表記で印刷され、2人の「下山薫」に関しては、「下山(男)」「下山(女)」というように個人を特定する情報が付記されたネームラベル60となる。このように、同姓同名の場合には、特定情報を使用者に入力させ、入力された特定情報を付記してネームラベル60を作成することにより、個人を特定できるネームラベル60を容易に作成できる。尚、「下山薫(男)」「下山薫(女)」や「下山(薫男)」「下山(薫女)」のような特定情報の付記方法も考えられる。
【0067】
印刷リスト作成手段が、図5(a)に示した、「阿部光子」「阿部新造」「安倍亮介」「河野次郎」「河野淳子」の5人の印刷リストを作成した場合であって、表記内容設定手段が「ローマ字でファミリーネーム(姓)のみ」を表記内容として設定したとする。この場合、同一表記データ抽出手段は、ファミリーネームのローマ字表記が同一となる「阿部光子」「阿部新造」「安倍亮介」を同一表記データとして抽出する。判別不能データ抽出手段は、判別不能データ無しと判定する。
【0068】
特定情報設定手段は、「阿部光子」「阿部新造」「安倍亮介」のローマ字のファーストネームデータから最初の文字である「M」「S」「R」を特定情報として設定する。印刷データ作成手段は、「阿部光子」「阿部新造」「安倍亮介」に関しては、ファミリーネームである「Abe」の前に夫々「M」「S」「R」を付記した印刷データを作成し、「河野次郎」「河野淳子」に関しては、「Kouno」と「Kawano」を印刷するための印刷データを作成する。その後、印刷手段が印刷データに従って印刷を行い、ネームラベル60が作成される。
【0069】
このように作成されたネームラベル60は、図8(a)に示すように、ファミリーネームのローマ字表記が同一となる「阿部光子」「阿部新造」「安倍亮介」の3人に関しては、「M.Abe」「S.Abe」「R.Abe」とファーストネームの最初の文字がファミリーネームの前に付記されたネームラベル60となり、姓の漢字は同一であるが読みが異なる「河野次郎」「河野淳子」に関しては、そのまま「Kouno」「Kawano」と印刷されたネームラベル60となる。
【0070】
印刷リスト作成手段が、図6(a)に示したように、「安倍亮介」「森田誠太郎」「森田誠子」の3人の印刷リストを作成した場合に、表記内容設定手段が「ローマ字でファミリーネームのみ」を表記内容として設定したとする。この場合、同一表記データ抽出手段は、ファミリーネームのローマ字表記が同一となる「森田誠太郎」「森田誠子」を同一表記データとして抽出する。判別不能データ抽出手段は、判別不能データ無しと判定する。
【0071】
特定情報設定手段は、「森田誠太郎」「森田誠子」のローマ字のファーストネームデータから個人を特定できる文字を検索して4文字めの「t」と「k」が異なることを発見し、この4文字目までのファーストネームである「Seit」と「Seik」を特定情報として設定する。印刷データ作成手段は、「森田誠太郎」「森田誠子」の2人に関しては、特定情報設定手段が設定した特定情報をファミリーネームである「Morita」の前に付記した印刷データを作成し、「安倍亮介」に関しては、「Abe」を印刷するための印刷データを作成する。その後、印刷手段が印刷データに従って印刷を行い、ネームラベル60が作成される。
【0072】
このように作成されたネームラベル60は、図8(b)に示すように、「安倍亮介」に関しては、ファミリーネームがそのまま印刷された「Abe」というネームラベル60となり、ファミリーネームのローマ字表記が同一となる「森田誠太郎」「森田誠子」に関しては、「Seit.Morita」「Seik.Morita」とファーストネームの中で異なる文字が来る位置までファミリーネームの前にファーストネームが付記されたネームラベル60となる。
【0073】
又、印刷リスト作成手段が、図7(a)に示したような、「上野花子」「下山薫」「下山薫」の3人の印刷リストを作成した場合に、表記内容設定手段が「ローマ字ファミリーネームのみ」を表記内容として設定したとする。この場合、同一表記データ抽出手段は、ファミリーネームのローマ字表記が同一となる「下山薫」「下山薫」を同一表記データとして抽出し、判別不能データ抽出手段は、ファーストネームも同一となる2人の「下山薫」を判別不能データとして抽出する。
【0074】
そして、新規情報入力画面表示手段は、2人の「下山薫」を区別するための新規な特定情報を使用者に追加入力させる画面を表示手段に表示させる。使用者は、2人の「下山薫」を区別するための情報として、1人は男性、もう1人は女性という新規な特定情報を入力する。特定情報の入力が完了した後、印刷データ作成手段は、2人の「下山薫」に関してはファミリーネームである「Shimoyama」の後に男性を表すmaleの頭文字「m」と女性を表すfemaleの頭文字「f」とを括弧書で付記した印刷データを作成し、「上野花子」に関しては、「Ueno」をそのまま印刷するための印刷データを作成する。その後、印刷手段が印刷データに従って印刷を行い、ネームラベル60が作成される。
【0075】
このように作成されたネームラベル60は、図8(c)に示すように、「上野花子」に関しては、ファミリーネームがそのまま印刷された「Ueno」というネームラベル60となり、ファミリーネーム及びファーストネームのローマ字表記が同一となる2人の「下山薫」に関しては、「Shimoyama(m)」「Shimoyama(f)」のように、男性と女性の区別を括弧書で付記することにより個人が特定できるネームラベル60となる。尚、使用者が入力した情報を反映させることができれば他の態様で特定情報を付記することもでき、manとwomanで区別させることや、gentlmanとladyで区別させることも考えられる。
【0076】
尚、日本語とローマ字での表記について述べたが、人名データに平仮名のデータを入力することにより、平仮名表記のネームラベル60を作成することもできる。このように平仮名のデータを人名データとして入力しておくことにより、幼稚園や小学校等、漢字の読みが得意でない子供がいる場所で使用するためのネームラベル60を作成可能なテープ印刷装置1とすることができる。又、平仮名表記で姓のみを表記するネームラベル60を作成するときに同一表記となった場合には、特定情報として姓の漢字を利用する、或いは、名の平仮名を利用することが考えられる。
【0077】
そして、本実施例のテープ印刷装置1では、人名データの情報量を増やすことにより、使用者が新規な特定情報を入力する頻度を減らすことができ、ネームラベル60の作業効率を高めることができる。
【0078】
そして、特定情報の設定や特定情報を付記する方法は、個人を特定することができればどのような態様とすることもできる。つまり、特定情報の設定としては、上述したように、姓のみを印刷する場合に同一表記があった場合には名データの中で異なる文字のみを特定情報として設定する方法や、名データを全て特定情報として設定する等、ネームラベル60の長さやネームラベル60の使用状況に応じて変化させることが好適である。又、特定情報を付記する方法に関しても、上述したように括弧書で付記する、特定情報のみフォントをかえて印刷する、或いは、特定情報の文字サイズは小さくする、特定情報は下付き文字にする等、あらゆる方法が考えられるが、表記内容設定手段が設定した表記内容の表示がメインの印刷内容であり、特定情報はあくまでも補助表記となるように印刷データを作成することが好適である。
【0079】
このように特定情報を他の印刷内容とは異なる態様となるように特定情報を設定し、印刷データを作成することにより、使用者が選択した表記内容と、作成されたネームラベル60に印刷された内容との間にギャップが生じることを防止でき、使用者の所望にあったネームラベル60を作成できるようになる。
【0080】
尚、本実施例におけるフローチャートに示した処理は、コンピュータに実現させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に書き込んだ状態で各種装置に適用する、或いは、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。このように所望の記憶媒体に本実施例で述べた各処理を記憶させ、他のコンピュータ等でプログラムを実行させることにより、本実施例の装置を用いた場合と同様の作用効果が得られる。尚、コンピュータは、本実施例で述べた装置に内蔵されたコンピュータに限定されるわけではなく、記憶媒体に記憶されたプログラムを読取り可能であって、読み取ったプログラムに従って制御動作を行なうCPU等の演算装置を備えているあらゆるコンピュータを含む。
【0081】
本実施例のテープ印刷装置1によれば、表記内容設定手段が設定した表記内容で印刷リストに含まれる人名データに対応したネームラベル60を作成した場合に、同一表記となる人名データを抽出し、このような同一表記となる人名データに関しては特定情報を付記して印刷することにより、同一の姓の人名データが複数含まれる印刷リストでネームラベル60を自動で作成する場合等に、個人の特定ができるネームラベル60を容易に作成できる。
【0082】
又、特定情報を記憶手段に記憶された人名データ中の情報に基づいて設定することにより、使用者の作業量を減らすことができるため、ネームラベル60の作成の効率を高めることができるようになる。
【0083】
同一表記データの中で、記憶手段に記憶された人名データの内容では個人を区別できない判別不能データを抽出し、新規情報入力画面表示手段によって、このような判別不能データに個人を区別するための新規な特定情報を入力させる画面を表示手段に表示させ、使用者に新規な特定情報を入力させ、入力された特定情報を付記したネームラベル60を作成する構成とすることにより、同姓同名のように人名データ上では同一情報しか取得できず個人を特定できるネームラベル60を作成できない状況においても、個人の特定が可能なネームラベル60を作成することができる。
【0084】
又、各ネームラベル60の境界位置にハーフカットを形成することにより、作成したネームラベル60の印字テープが分割された状態で作成されるため、使用者が各ネームラベル60の間を切断するという手間を省くことができる。尚、各ラベルの間をフルカットすることも可能であるが、ハーフカットを形成した場合には剥離テープは繋がった状態となるため、作成した各ネームラベル60がバラバラになることを防止できる。
【0085】
又、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 テープ印刷装置 2 筐体
3 入力部 4 表示部
5 開閉蓋 7 テープ繰出部
8 カセット装填部 11 サーマルヘッド
12 プラテンローラ 13 リボン巻取軸
15 カセット受部 16 カセット判別スイッチ
17 フルカット装置 18 ハーフカット装置
21 テープカセット 22 カセットケース
23 テープコア 24 リボン供給コア
25 リボン巻取コア 27 ヘッド配置部
29 被係合部 31 テープ部材
35 インクリボン 40 制御部
41 ROM 42 RAM
44 補助記憶装置 45 テープ印刷機構
46 搬送モータ 48a,48b カッターモータ
51 印刷手段駆動回路 52 搬送手段駆動回路
53 切断手段駆動回路 60 ネームラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字テープと剥離テープとを積層してなるテープ部材に文字や模様等の印刷を行ない、該テープ部材を所定長で切断することにより、貼付対象に貼付して使用するラベルを作成するテープ印刷装置において、
制御手段と、表示手段と、入力手段と、前記印字テープに印刷を行なう印刷手段と、少なくとも姓と名のデータを備える複数人の人名データが記憶された記憶手段と、を有し、
該複数人の人名データからネームラベルを作成する人名データのリストである印刷リストを作成する印刷リスト作成手段と、
作成するネームラベルの表記内容を設定する表記内容設定手段と、
前記印刷リスト作成手段が作成した印刷リストの中で前記表記内容設定手段が設定した表記内容では同一表記となる人名データを同一表記データとして抽出する同一表記データ抽出手段と、
該同一表記データに付記する個人を特定するための情報である特定情報を設定する特定情報設定手段と、
前記印刷リストの中で同一表記データとして抽出されなかった人名データを前記表記内容設定手段が設定した表記内容に従って印刷するための印刷データを作成すると共に、前記同一表記データの前記表記内容設定手段が設定した表記内容に前記特定情報を付記した印刷データを作成する印刷データ作成手段と、を備え、
前記制御手段は、前記印刷手段を制御して、前記印刷データ作成手段が作成した印刷データに基づいて印刷を実行させることを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項2】
前記特定情報は、前記記憶手段に記憶された人名データ中の情報に基づいて設定されることを特徴とする請求項1に記載のテープ印刷装置。
【請求項3】
前記同一表記データ抽出手段が抽出した同一表記データに関し、前記記憶手段に記憶された人名データが同一であって人名データの内容では個人を区別できない判別不能データを抽出する判別不能データ抽出手段と、
該判別不能データ抽出手段が判別不能データを抽出した場合に、個人を特定するための新規な特定情報を入力させる画面を前記表示手段に表示させる新規情報入力画面表示手段と、を備え、
前記印刷データ作成手段は、該新規情報入力画面表示手段が表示させた画面に対して入力された新規な特定情報を前記判別不能データに付記した印刷データを作成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のテープ印刷装置。
【請求項4】
前記印刷データ作成手段は、前記特定情報が他の文字とは異なる態様で付記されるように前記同一表記データの印刷データを作成することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のテープ印刷装置。
【請求項5】
前記印刷データ作成手段は、前記特定情報が括弧書で付記されるように前記同一表記データの印刷データを作成することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のテープ印刷装置。
【請求項6】
前記印刷データ作成手段は、前記特定情報が他の文字サイズよりも小さく印刷されるように前記同一表記データの印刷データを作成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のテープ印刷装置。
【請求項7】
前記印字テープのみを切断するハーフカット手段を備え、
前記制御手段は、各ネームラベルの境界位置において、前記ハーフカット手段を制御してハーフカットを行なわせることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のテープ印刷装置。
【請求項8】
複数人の人名データからなる人名データリストを読み込む人名データ読み込み処理と、
該人名データ読み込み処理により読み込まれた前記人名データリストの中からネームラベルを作成する人名データのリストである印刷リストを作成する印刷リスト作成処理と、
ネームラベルの表記内容を設定する表記内容設定処理と、
前記印刷リストの中で前記表記内容設定処理で設定された表記内容に従ってネームラベルを作成した場合、同一表記となる人名データである同一表記データを抽出する同一表記データ抽出処理と、
該同一表記データ抽出処理において同一表記データが抽出された場合に、該同一表記データに付記する個人を特定するための特定情報を設定する特定情報設定処理と、
前記印刷リストの中で同一表記データとして抽出されなかった人名データを前記表記内容設定処理において設定された表記内容に従って印刷するための印刷データを作成すると共に、前記同一表記データの前記表記内容設定処理において設定された表記内容に前記特定情報を付記した印刷データを作成する印刷データ作成処理と、を実行することを特徴とするネームラベルを作成するための印刷データ作成方法。
【請求項9】
前記特定情報は、前記人名データ読み込み処理において読み込まれた人名データ中の情報に基づいて設定されることを特徴とする請求項8に記載の印刷データ作成方法。
【請求項10】
前記同一表記データ抽出処理で抽出された同一表記データに関し、記憶手段に記憶された人名データが同一であって人名データの内容では個人を区別できない判別不能データを抽出する判別不能データ抽出処理と、
該判別不能データ抽出処理において判別不能データが抽出された場合に、個人を特定するための新規な特定情報を追加入力させる画面を表示手段に表示させる特定情報入力画面表示処理と、
該特定情報入力画面表示処理において入力された新規な特定情報を利用して前記印刷データを作成する前記印刷データ作成処理と、を実行することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の印刷データ作成方法。
【請求項11】
複数人の人名データからなる人名データリストを読み込む人名データ読み込み処理と、
該人名データ読み込み処理により読み込まれた前記人名データリストの中からネームラベルを作成する人名データのリストである印刷リストを作成する印刷リスト作成処理と、
ネームラベルの表記内容を設定する表記内容設定処理と、
前記印刷リストの中で前記表記内容設定処理で設定された表記内容に従ってネームラベルを作成した場合、同一表記となる人名データである同一表記データを抽出する同一表記データ抽出処理と、
該同一表記データ抽出処理において同一表記データが抽出された場合に、該同一表記データに付記する個人を特定するための特定情報を設定する特定情報設定処理と、
前記印刷リストの中で同一表記データとして抽出されなかった人名データを前記表記内容設定処理において設定された表記内容に従って印刷するための印刷データを作成すると共に、前記同一表記データの前記表記内容設定処理において設定された表記内容に前記特定情報を付記した印刷データを作成する印刷データ作成処理と、を実現するためのプログラムが記憶されたことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項12】
前記特定情報は、前記人名データ読み込み処理において読み込まれた人名データ中の情報に基づいて設定されることを特徴とする請求項11に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項13】
前記同一表記データ抽出処理で抽出された同一表記データに関し、記憶手段に記憶された人名データが同一であって人名データの内容では個人を区別できない判別不能データを抽出する判別不能データ抽出処理と、
該判別不能データ抽出処理において判別不能データが抽出された場合に、個人を特定するための新規な特定情報を追加入力させる画面を表示手段に表示させる特定情報入力画面表示処理と、
該特定情報入力画面表示処理において入力された新規な特定情報を利用して前記印刷データを作成する前記印刷データ作成処理と、を実現するためのプログラムが記憶されたことを特徴とする請求項11又は請求項12に記載のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−201616(P2010−201616A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46166(P2009−46166)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】