説明

テープ印刷装置

【課題】テープ幅の種類に係らずテープ状部材に対して幅方向の所定の位置に摺接でき、安定した排出が行えるテープ印刷装置を提供する。
【解決手段】テープ印刷装置1は、テープ状部材Aが収容されたテープカートリッジ4を装着するカートリッジ装着部7と、テープカートリッジ4から繰り出されるテープ状部材Aに印刷を行う印刷ヘッドDと、印刷ヘッドDにより印刷されたテープ状部材Aをテープ片Aaとして切断する切断部(フルカッター15、ハーフカッター16)と、テープ片Aaを排出する排出ローラー17を有するテープ排出口14と、排出ローラー17は、テープ片Aaに回転して摺接し、テープ片Aaをテープ排出口14に送り出す摺接片82と、を備え、摺接片82は、2段に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ状部材に対して印刷、切断、及び排出を行うテープ印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テープ印刷装置は、印刷後のテープ状部材を排出する機構として排出ローラーを設けている。そして、排出ローラーを回転させ、テープ状部材に摺接させることにより、テープ状部材を押圧して排出口から排出している。特許文献1では、摺接片を有する排出ローラーを回転させ、テープ状部材に摺接させることで排出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−167092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された排出ローラー(摺接片)は、テープ状部材の特定の1箇所に摺接する構造となっている。そのため、複数のテープ幅を有するテープ状部材が装着可能なテープ印刷装置に適用した場合、テープ幅によっては、適切に排出することができないという課題があった。そのため、一定な方向に安定した排出が行えるテープ幅の場合と、安定した排出が行えないテープ幅の場合とが発生してしまうという課題があった。
従って、テープ幅の種類に係らずテープ状部材に対して幅方向の所定の位置に摺接でき、安定した排出が行えるテープ印刷装置が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
(適用例1)本適用例に係るテープ印刷装置は、(a)テープ状部材が収容されたテープカートリッジを装着するカートリッジ装着部と、(b)テープカートリッジから繰り出されるテープ状部材に印刷を行う印刷部と、(c)印刷部により印刷されたテープ状部材をテープ片として切断する切断部と、(d)テープ片を排出する排出ローラーを有するテープ排出部と、(e)排出ローラーは、テープ片に回転して摺接し、テープ片をテープ排出部に送り出す摺接部と、を備え、摺接部は、多段に形成されていることを特徴とする。
【0007】
このようなテープ印刷装置によれば、多段に形成される摺接部により、テープ状部材に摺接する箇所は、従来のように1箇所ではなく、複数箇所となるため、テープ状部材に対して安定した排出が行える。
【0008】
(適用例2)上記適用例に係るテープ印刷装置において、テープ状部材は、複数のテープ幅を有し、摺接部は、複数のテープ幅の幅方向における、いずれかの中心に摺接するように配設されていることが好ましい。
【0009】
このようなテープ印刷装置によれば、多段に形成される摺接部は、所定の位置として、複数のテープ幅の幅方向における、いずれかの中心に摺接するように配設されることにより、複数のテープ幅を有するテープ状部材に対して更に安定した排出が行える。
【0010】
(適用例3)上記適用例に係るテープ印刷装置において、摺接部に対峙すると共に、摺接部がテープ片に摺接する際にテープ片を受ける排出補助ローラーが回転自在に設置されていることが好ましい。
【0011】
このようなテープ印刷装置によれば、摺接部の回転によるテープ片への押圧力を、排出補助ローラーにより安定させることができる。従って、テープ片を円滑に安定させて排出することができる。
【0012】
(適用例4)上記適用例に係るテープ印刷装置において、排出補助ローラーは、摺接部の幅方向に合わせて設置されていることが好ましい。
【0013】
このようなテープ印刷装置によれば、多段に形成される摺接部の幅方向に合わせて排出補助ローラーが設置されることにより、テープ片を更に円滑に安定させて排出することができる。
【0014】
(適用例5)上記適用例に係るテープ印刷装置において、排出補助ローラーは、摺接部に対峙する凹状部を備え、凹状部は、多段に形成される摺接部に対応して、多段に形成されていることが好ましい。
【0015】
このようなテープ印刷装置によれば、多段に形成される摺接部に対峙して凹状部が多段に形成されることにより、摺接部の回転によるテープ片への押圧力を、凹状部で更に安定させることができ、テープ片を更に円滑に安定させて排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係るテープ印刷装置を示す平面図。
【図2】ハーフカット機構、フルカット機構、及びテープ片排出機構の主要部の斜視図。
【図3】テープカートリッジを含む、ハーフカット機構、フルカット機構、及びテープ片排出機構の主要部の斜視図。
【図4】テープ片排出機構を示す側面図。
【図5】テープ片排出機構を示す平面図。
【図6】テープ片排出機構を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
(実施形態)
【0018】
図1は、実施形態に係るテープ印刷装置1を示す平面図であり、図1(a)は、テープ印刷装置1の外観平面図であり、図1(b)は、テープカートリッジ4を含む、ハーフカット機構32、フルカット機構31、及びテープ片排出機構33の主要部の平面図である。図1を参照して、テープ印刷装置1の概構成と概動作を説明する。
【0019】
テープ印刷装置1は、剥離紙付きのテープ状部材Aに、所望の文字や図形等を印刷すると共に、テープ状部材Aの印刷済み部分を所定の長さに切断して、ラベルを作成する装置である。
【0020】
テープ印刷装置1は、装置ケース3で外装を構成した装置本体2に、テープカートリッジ4が着脱自在に装着される。印刷対象物となるテープ状部材Aは、テープカートリッジ4に収容されている。装置本体2の左後部上面には窓付きの開閉蓋6が配設され、開閉蓋6の下方に形成したカートリッジ装着部7に、テープカートリッジ4が着脱自在に装置される。また、開閉蓋6の右隣りには、開閉蓋6を開放操作する操作ボタン8が設置されている。
【0021】
装置本体2の左側面後部には、印刷済みのテープ状部材Aを装置外部に排出するためのテープ排出部を構成するテープ排出口14が形成される。そして、テープ排出口14とカートリッジ装着部7との間には、テープ状部材Aをフルカットするフルカッター15、ハーフカットするハーフカッター16、及び排出ローラー17が収容されている(詳細は後述する)。そして、カートリッジ装着部7、フルカッター15、ハーフカッター16、排出ローラー17、及びテープ排出口14に至る直線部分には、テープ状部材Aの送り経路を兼ねるテープ排出経路18が構成されている。なお、フルカッター15及びハーフカッター16は切断部を構成している。
【0022】
このように構成されたテープ印刷装置1では、操作ボタン8を操作して開閉蓋6を開放し、カートリッジ装着部7にテープカートリッジ4を装着する。テープカートリッジ4には、テープ状部材Aの他、インクリボンB、プラテンローラーC等が搭載されている。テープカートリッジ4をカートリッジ装着部7に装着した場合、テープ状部材Aの印刷面側と、インクリボンBのインク面側とが向き合うように、プラテンローラーCと装置本体2側の印刷部を構成する印刷ヘッドDとの間に挿入される。そして、駆動係の回転軸(図示省略)が、プラテンローラーC、及びインクリボンBの巻取り側のリールEに係合する。なお、開閉蓋6を閉塞した場合、印刷ヘッドDがテープ状部材A及びインクリボンBをプラテンローラーCに押し付ける。
【0023】
図2は、ハーフカット機構32、フルカット機構31、及びテープ片排出機構33の主要部の斜視図である。図3は、テープカートリッジ4を含む、ハーフカット機構32、フルカット機構31、及びテープ片排出機構33の主要部の斜視図である。図1から図3を参照して、ハーフカット機構32及びフルカット機構31の構成と動作を説明する。
【0024】
テープ排出経路18には、テープカートリッジ4(カートリッジ装着部7)側からテープ排出口14側に、フルカッター15を有するフルカット機構31、ハーフカッター16を有するハーフカット機構32、及び排出ローラー17を有するテープ片排出機構33が、順に配設されている。フルカット機構31、ハーフカット機構32、及びテープ片排出機構33は、カッターフレーム34に取り付けられている。印刷と同時にテープカートリッジ4から繰り出されたテープ状部材Aは、カートリッジ装着部7からフルカッター15、ハーフカッター16、及び排出ローラー17を経て、テープ排出口14から排出される。
【0025】
ハーフカット機構32は、ハーフカッター16を収容したカッターユニット41、テープ状部材Aを挟んでハーフカッター16に対峙するテープ受け板42、ハーフカッター16を切断動作させると共にカッターユニット41を進退させるハーフカッター作動機構43、駆動源のハーフカッターモーター44等で構成されている。カッターユニット41は、切断刃であるハーフカッター16、ハーフカッター16を上下動自在に支持するカッターホルダー45、カッターホルダー45の前端に設けたテープ押え46等で構成されている。ハーフカッター作動機構43は、カム/クランク円板47、揺動アーム48、揺動プレート49等で構成されている。ハーフカット機構32は、ハーフカッターモーター44が駆動すると、テープ押え46により、テープ受け板42にテープ状部材Aを押え付けるようにカッターユニット41が前進し、ハーフカッター16が下から上に移動することで、テープ状部材Aをハーフカットする。
【0026】
フルカット機構31は、ハサミ形式のフルカッター15、フルカッター15を切断動作させるフルカッター作動機構51(図4、図5参照)、駆動源のカッターモーター52等で構成されている。フルカッター15は、固定刃53、可動刃54、固定刃53及び可動刃54を回動自在に支持する支軸(図示省略)等で構成されている。フルカッター作動機構51は、ウォームギヤ57、ウォームホイール58、中間ギヤ59等(いずれも図4、図5参照)で構成されている。フルカット機構31は、カッターモーター52が駆動すると、フルカッター作動機構51が動作し、可動刃54が支軸を中心に固定刃53に対して往復回動することで、テープ状部材Aをフルカットする。
【0027】
なお、図1から図3に示すように、テープ排出経路18(図1参照)には、上述したように、カートリッジ装着部7側から、フルカット機構31の固定刃53及び可動刃54と、ハーフカット機構32のテープ受け板42及びハーフカッター16(カッターユニット41)と、後述するテープ片排出機構33の排出ローラー17及び排出補助ローラー73とが臨んでいる。また、図2、図3に示すように、テープ受け板42は、排出ローラー17を越えてテープ排出口14の位置まで延在している。テープ受け板42の受け板延長部42aには、排出ローラー17の摺接片82が臨む切欠き開口94が形成されている。ローラーホルダー93には、受け板延長部42aに平行に対峙するガイド板部95が形成されている。そして、ガイド板部95の上下中間位置に形成した窪み部96に、排出補助ローラー73が配設されている。すなわち、受け板延長部42aとガイド板部95とにより、テープ排出口14に連なる一対の排出ガイドが構成されている。これにより、テープ片Aaは巻き癖等があっても、テープ排出経路18から外れることがなく、テープ片Aaをテープ排出口14まで確実にガイドすることができる。
【0028】
図4は、テープ片排出機構33を示す側面図である。図5は、テープ片排出機構33を示す平面図である。なお、図4、図5は、テープ幅が24mmのテープ状部材A(テープ片Aa)を使用した場合のテープ片排出機構33を示している。図4、図5を参照して、テープ片排出機構33の構成と動作を説明する。
【0029】
テープ片排出機構33は、テープ排出経路18上に送り出されたテープ片Aaに摺接してテープ片Aaを装置外部に弾き出す排出ローラー17と、排出ローラー17を回転自在に支持するローラー軸71と、排出ローラー17を回転させる動力伝達機構72とを備えている。動力源は上記のカッターモーター52が兼用している。すなわち、カッターモーター52の回転動力は、ギヤ/クランク円板60から分岐して、ギヤ列で構成される動力伝達機構72に伝達される。
【0030】
テープ片排出機構33は、テープ片Aaを挟んで排出ローラー17と平行に対峙する排出補助ローラー73を備えている。排出補助ローラー73は回転自在のローラーであり、カッターモーター52により排出ローラー17が回転すると、テープ片Aaは、排出ローラー17と排出補助ローラー73との間に挟み込まれた状態で、排出ローラー17の回転力を受けて先方に弾かれるようにして排出される。
【0031】
動力伝達機構72は、ギヤ/クランク円板60の端面ギヤ61に噛み合うねじギヤ75と、同軸上でねじギヤ75に固定した大ギヤ76と、大ギヤ76に噛み合う第1中間ギヤ77と、第1中間ギヤ77に噛み合う第2中間ギヤ78とで構成されている。ねじギヤ75、大ギヤ76、第1中間ギヤ77、及び第2中間ギヤ78は、いずれもカッターフレーム34に支持されている。カッターモーター52の回転動力は、これらのギヤを介して減速され、排出ローラー17のローラーギヤ部84に伝達される。なお、テープ片排出機構33は、カッターモーター52を動力源としているため、排出ローラー17はフルカッター15の切断動作に同期して回転する。
【0032】
ローラー軸71は、カッターフレーム34に立設した片持ちの軸である。ローラー軸71には排出ローラー17が回転可能に軸支されている。排出ローラー17は、ローラー本体81と、ローラー本体81の下部から垂下した摺接部として例えば、2段に形成される摺接片82と、ローラー本体81を支持する支持ロッド部83と、支持ロッド部83の下端部に設けたローラーギヤ部84とで構成されている。ローラー本体81及び摺接片82は、摩擦係数の高いゴム等で一体に形成され、支持ロッド部83及びローラーギヤ部84は、樹脂等で一体に形成されている。
【0033】
支持ロッド部83には、その軸芯にローラー軸71が挿通され、上端部にローラー本体81が固定されている。また、支持ロッド部83の上部には、摺接片82をスカート状に外側にわずかに開いておくための、複数の環状突部85が形成されている。複数の摺接片82は、周方向に相互に間隙を有して、ローラー本体81から斜め下方に向って放射状(末広がり)に延びている。この複数の摺接片82が2段に構成されている。そして、ローラー本体81が回転すると、摺接片82が回転に伴う遠心力で外方に広がって回転する。
【0034】
本実施形態の摺接片82は、上述したように、2段に構成されている。ここで、1段目の摺接片82を第1摺接片82aとし、2段目の摺接片82を第2摺接片82bとする。第1摺接片82aは、ローラー本体81から延びる薄手の第1可撓片部86aと、第1可撓片部86aの先端部に連なる膨出形状の第1摺接錘部87aとで構成されている。また、第2摺接片82bは、第1可撓片部86aから分岐して延びる第2可撓片部86bと、第2可撓片部86bの先端部に連なる膨出形状の第2摺接錘部87bとで構成されている。
【0035】
なお、以降、第1摺接片82a及び第2摺接片82bを総称して摺接片82、第1可撓片部86a及び第2可撓片部86bを総称して可撓片部86、第1摺接錘部87a及び第2摺接錘部87bを総称して摺接錘部87として適宜使用する。
【0036】
摺接錘部87は、可撓片部86に対してテープ片Aa側に突出しており、その先端部は楔状に傾斜している。更に、摺接錘部87の外周端における回転方向の後方隅部88は、面取りされており、印刷送り時のテープ状部材Aの送りを阻害しない。ローラー本体81が回転すると、各摺接錘部87が錘となって遠心力により外側に振られ、これに従動して各可撓片部86が適宜撓んで、摺接片82が「纏」のように末広がりとなる。そして、各摺接錘部87の先端が、テープ片Aaの剥離紙側の面を間欠的に叩くように摺接する。
【0037】
一方、排出補助ローラー73は、ハーフカッター16側に位置するローラーホルダー93に、自由回転可能に軸支されている。また、排出補助ローラー73は、摺接片82の幅方向に合わせて設置されている。
【0038】
排出補助ローラー73は、上下2段に形成した凹状部89と、凹状部89を挟んで上段、中断、下段に形成した太径部90とを有すると共に、上段の太径部90の上部と下段の太径部90の下部に位置する軸部91を含めて、一体に形成されている。ここで、凹状部89において、上部の凹状部89を第1凹状部89a、下部の凹状部89を第2凹状部89bとする。
【0039】
そして、この排出補助ローラー73に、テープ片Aaを挟んで摺接片82が対峙する。また、排出補助ローラー73は、2段に形成される摺接片82(摺接錘部87)に対峙して、凹状部89が2段に形成されている。詳細には、第1凹状部89aが、第1摺接片82aの第1摺接錘部87aに対峙し、第2凹状部89bが、第2摺接片82bの第2摺接錘部87bに対峙する。
【0040】
なお、テープ幅が24mmのテープ状部材Aを使用した場合、その幅方向の中心に対応させて第2摺接錘部87bを配設している。すなわち、第2摺接錘部87bは、テープ幅が24mmのテープ片Aa(テープ状部材A)の幅方向の中心を所定位置として摺接するように配設されている。なお、前述した図2においても、テープ幅が24mmのテープ片Aaを示しており、このテープ幅24mmの中心(中心F)に第2摺接錘部87bが摺接する。また、第1摺接錘部87aは、中心より上部に摺接する。
【0041】
この構成により、回転する摺接錘部87がテープ片Aaに摺接すると、テープ片Aaは、2段の摺接錘部87(87a,87b)と、上段、中断、下段の太径部90により3箇所で案内されて弾き出される。
【0042】
また、第2摺接錘部87bは、24mm以下のテープ幅のテープ状部材Aに対しても、その幅方向の中心を所定位置として摺接することができる。24mm以下のテープ状部材Aとして、本実施形態では、18mm,12mm,9mm,6mm,4mm等のテープ状部材Aに対応させている。これらのテープ状部材Aは、対応するテープカートリッジ4にそれぞれ収容されている。なお、24mm以下のテープ状部材Aは、その幅方向の中心が、第2摺接錘部87bに摺接する位置関係となるようにテープカートリッジ4に収容されている。
【0043】
図6は、テープ片排出機構33を示す側面図である。なお、図6は、図4、図5に示すテープ幅が24mmのテープ状部材A(テープ片Aa)に換えて、テープ幅が36mmのテープ状部材A(テープ片Aa)を使用した場合のテープ片排出機構33を示している。
【0044】
本実施形態では、テープ片排出機構33において、テープ幅が36mmのテープ状部材A(テープ片Aa)の幅方向の中心に対応させて第1摺接錘部87aを配設している。すなわち、第1摺接錘部87aは、テープ幅が36mmのテープ片Aa(テープ状部材A)の幅方向の中心を所定位置として摺接するように配設されている。なお、第2摺接錘部87bは、中心より下部に摺接する。これにより、摺接錘部87が回転してテープ片Aaに摺接すると、テープ片Aaを、テープ排出口14から安定して確実に弾き出すことができる。
【0045】
上述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
本実施形態のテープ印刷装置1は、2段に形成される摺接片82(第1摺接片82a、第2摺接片82b)を有し、24mm以下のテープ幅を有するテープ状部材Aに対して、その幅方向の中心を所定位置として、第2摺接錘部87bが摺接する。また、36mmのテープ幅を有するテープ状部材Aに対して、その幅方向の中心を所定位置として、第1摺接錘部87aが摺接する。このように、2段に形成される摺接片82(摺接部)は、所定の位置として、複数のテープ幅の幅方向における、いずれかの中心に摺接するよう配設されることにより、複数のテープ幅を有するテープ状部材Aに対して安定した確実な排出が行える。
【0046】
本実施形態のテープ印刷装置1は、回転自在に設置される排出補助ローラー73が、摺接片82に対峙すると共に、摺接片82がテープ片Aaに摺接する際にテープ片Aaを受けている。この構成により、摺接片82の回転によるテープ片Aaへの押圧力を、排出補助ローラー73により安定させることができる。従って、テープ片Aaを円滑に安定させて排出することができる。また、排出補助ローラー73が、2段に形成される摺接片82の幅方向に合わせて設置されることにより、テープ片Aaを更に円滑に排出することができる。
【0047】
本実施形態のテープ印刷装置1において、排出補助ローラー73は、2段に形成される摺接片82(摺接錘部87)に対峙して、凹状部89が2段に形成されている。そして、第1凹状部89aが、第1摺接片82aの第1摺接錘部87aに対峙し、第2凹状部89bが、第2摺接片82bの第2摺接錘部87bに対峙する。この構成により、テープ片Aaの排出開始時におけるテープ片Aaの詰まりを防止すると共に、摺接片82の回転によるテープ片Aaへの押圧力を、凹状部89で安定させることができ、テープ片Aaを更に円滑に安定させて排出することができる。
【0048】
なお、上述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更や改良等を加えて実施することが可能である。変形例を以下に述べる。
【0049】
前記実施形態のテープ印刷装置1は、摺接片82が2段に形成されており、そのいずれか一方は、テープ片Aaの幅方向の中心に摺接している。しかし、中心に摺接していなくてもよく、テープ片Aaに1箇所で摺接することに比較して、2箇所で摺接することで、安定した排出が行える。
【0050】
前記実施形態のテープ印刷装置1は、摺接片82が2段に形成されているが、3段以上に形成することでもよい。その場合、各段の摺接片のいずれかを対応するテープ状部材Aのテープ幅の幅方向の最適な位置(例えば中心)に摺接させることで、更に安定した排出が行える。
【0051】
前記実施形態のテープ印刷装置1は、摺接片82が2段に形成されることに対応させて、排出補助ローラー73の凹状部89も2段に形成されている。しかし、摺接片82が3段以上に形成された場合、凹状部89も摺接片82に合わせて3段以上に形成することでもよい。なお、摺接片82の段数と、凹状部89の段数が必ずしも一致する必要はない。
【0052】
前記実施形態のテープ印刷装置1において、排出ローラー部を構成する摺接部は、可撓片部86及び摺接錘部87を有する摺接片82で構成されている。しかし、摺接部は、可撓片部86及び摺接錘部87を有して構成されることには限定されず、多段に形成され、テープ片Aaに回転して摺接する部材で構成されることでよい。例えば、円柱状又は円盤状等の部材が多段に形成されることでもよい。また、このような多段に形成される摺接部のいずれかが、複数のテープ幅の幅方向におけるいずれかの中心に摺接するように配設されることでよい。なお、排出ローラー部を回転させるテープ片排出機構も、前記実施形態のテープ片排出機構33には限定されず、摺接部の構成及び摺接の仕方に対応させて、適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…テープ印刷装置、4…テープカートリッジ、7…カートリッジ装着部、14…テープ送出口、15…フルカッター、16…ハーフカッター、17…排出ローラー、33…テープ片排出機構、73…排出補助ローラー、81…ローラー本体、82…摺接片、82a…第1摺接片、82b…第2摺接片、83…支持ロッド部、84…ローラーギヤ部、85…複数の環状突部、86…可撓片部、86a…第1可撓片部、86b…第2可撓片部、87…摺接錘部、87a…第1摺接錘部、87b…第2摺接錘部、A…テープ状部材、Aa…テープ片、B…インクリボン、D…印刷ヘッド、F…中心。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ状部材が収容されたテープカートリッジを装着するカートリッジ装着部と、
前記テープカートリッジから繰り出される前記テープ状部材に印刷を行う印刷部と、
前記印刷部により印刷された前記テープ状部材をテープ片として切断する切断部と、
前記テープ片を排出する排出ローラーを有するテープ排出部と、
前記排出ローラーは、前記テープ片に回転して摺接し、前記テープ片を前記テープ排出部に送り出す摺接部と、を備え、
前記摺接部は、多段に形成されていることを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載のテープ印刷装置であって、
前記テープ状部材は、複数のテープ幅を有し、
前記摺接部は、前記複数のテープ幅の幅方向における、いずれかの中心に摺接するように配設されていることを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項3】
請求項2に記載のテープ印刷装置であって、
前記摺接部に対峙すると共に、前記摺接部が前記テープ片に摺接する際に前記テープ片を受ける排出補助ローラーが回転自在に設置されていることを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項4】
請求項3に記載のテープ印刷装置であって、
前記排出補助ローラーは、前記摺接部の前記幅方向に合わせて設置されていることを特徴とするテープ印刷装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載のテープ印刷装置であって、
前記排出補助ローラーは、前記摺接部に対峙する凹状部を備え、
前記凹状部は、多段に形成される前記摺接部に対応して、多段に形成されていることを特徴とするテープ印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−71917(P2012−71917A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216562(P2010−216562)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】