説明

テープ印字装置、印字方法、その印字方法のプログラムが記憶された記憶媒体

【課題】 簡単にレンチキュラーレンズによって構成されるテープ部材に位置ずれを起こさずに印字させてラベルを作成し、限られたスペースに多くの情報量を印字させることのできるテープ印字装置を提供する。
【解決手段】 テープ印字装置は、テープ長方向に沿って所定ピッチでレンズ体を連続的に配列し位置合わせマークが設けられたレンチキュラーレンズによって構成したテープ部材に印字を行うものであって、印字すべき複数の文字列の鏡像パターンデータを生成し(S20)、その各鏡像パターンデータを文字列の数に応じた圧縮率で圧縮し(S30)、圧縮した各鏡像パターンデータをレンズ体のピッチ及び文字列の数に応じた幅で分割してなる帯状パターンデータを順に組み合せて配置して1つのパターンデータに合成し(S40)、位置合わせマークの検出によりレンズ体に印字位置を合わせて(S50)、合成したパターンデータをテープ部材に印字する(S60)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ部材に印字を行うことによりラベルを作成するテープ印字装置、その印字方法及びその印字方法をテープ印字装置に実行させるためのプログラムが記憶された記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からテープ部材に印字を行うことによりラベルを作成するテープ印字装置に関する発明提案が種々なされている。例えば、特開平11−277821号公報(特許文献1)に記載するように、樹脂シートを材質とするテープ部材及びインクリボンを収納したテープカセットをテープ印字装置の装置本体に装填し、テープカセットからテープ部材及びインクリボンを重ねた状態でカセット外に繰り出してサーマルヘッドが位置する印字位置に送給し、キーボードにより入力された文字列の印字データに基づいてサーマルヘッドを駆動してテープ部材に文字列の印字を行い、装置外にテープ部材の印字済部分を排出すると共に、装置に備えるテープカッターを動作させテープ部材を切断することによりラベルの作成を行っていた。また、従来のテープ印字装置では、ラベルを貼り付けるための貼付スペースの関係から作成するラベルのサイズが限られているような場合には、テープ印字装置が有する指定テープ長内に印字を行う機能を用い、指定したテープ長内に印字を行うことにより、所望サイズのラベルを作成することも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−277821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のテープ印字装置では、当然のことながら、作成する1枚のラベルの領域内に印字可能な文字情報量は、ラベルのサイズによって決まるため、多くの情報量を印字するには、より大きなサイズのラベルが必要になるが、ラベルの貼付スペースに制約があってラベルのサイズが制限を受けるような場合には、ラベル内に表示できる情報が限られるという問題があった。
【0005】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、テープ部材に印字を行うことにより作成するラベル内に、そのラベルのサイズに見合う以上の情報を表示できるテープ印字装置と、そのテープ部材への印字方法と、その印字方法をテープ印字装置に実行させるためのプログラムが記憶された記憶媒体と、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係るテープ印字装置は、テープ長方向に沿って所定ピッチでレンズ体を連続的に配列したレンチキュラーレンズによって構成し前記レンズ体の裏面に位置合わせマークを設けてなるテープ部材に対して印字を行うことによりラベルを作成するテープ印字装置であって、前記テープ部材のテープ長方向に沿って印字する所定複数の文字列のデータを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記各文字列のデータについて、テープ長方向の印字長を所定同一長さとして鏡像パターンデータを生成する鏡像パターン生成手段と、前記鏡像パターン生成手段により生成された前記各文字列の鏡像パターンデータを、そのテープ長に対応する方向の印字長が前記文字列の数分の1となるように圧縮するデータ圧縮手段と、前記データ圧縮手段により圧縮された各鏡像パターンデータをテープ長に対応する方向に前記レンズ体の1ピッチの幅を前記文字列の数で分割した幅によって分割してなる各帯状パターンデータを、テープ長に対応する方向に1つずつ順に組み合せて配置して1つのパターンデータに合成するデータ合成手段と、前記テープ部材に設けられる前記位置合わせマークを検出するマーク検出手段と、前記テープ部材の前記レンズ体の裏面側にテープ長方向に沿ってインクリボンにより熱転写印字を行う印字手段と、前記レンズ体の1つに前記所定複数の文字列の前記各帯状パターンデータの組合せの1組が対応して位置するように、前記マーク検出手段のマーク検出情報に基づいて印字位置の位置合わせをし、前記印字手段を制御して、前記データ合成手段により合成された前記パターンデータを前記テープ部材の裏面に印字することによりラベルの印字を行う印字制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
そして、第1の発明に係るテープ印字装置において、異なる言語の任意の文字列を入力可能な入力手段を備え、前記記憶手段は、前記入力手段により入力された、対応関係のある所定複数の異なる言語の文字列を記憶することを特徴とする。
【0008】
第2の発明に係るテープ印字装置は、テープ長方向に沿って所定ピッチでレンズ体を連続的に配列したレンチキュラーレンズによって構成し前記レンズ体の裏面に位置合わせマークを設けてなるテープ部材に対して印字を行うことによりラベルを作成するテープ印字装置であって、第1の言語による見出し語と、その見出し語に対応した第2の言語による訳語を含む辞書データを予め記憶する辞書データ記憶手段と、前記第1の言語の文字列に基づいて、その第1の言語の文字列に対応する前記第2の言語の文字列を前記辞書データ記憶手段に記憶される辞書データの中から検索する辞書検索手段と、前記第1の言語の文字列及び前記辞書検索手段により検索された前記第2の言語の文字列のデータについて、テープ長方向の印字長を所定同一長さとして鏡像パターンデータを生成する鏡像パターン生成手段と、前記鏡像パターン生成手段により生成された前記各文字列の鏡像パターンデータを、そのテープ長に対応する方向の印字長が前記文字列の数分の1となるように圧縮するデータ圧縮手段と、前記データ圧縮手段により圧縮された各鏡像パターンデータを、前記レンズ体の1ピッチの幅を前記文字列の数で分割した幅によりテープ長に対応する方向に分割してなる各帯状パターンデータを、テープ長に対応する方向に1つずつ順に組み合せて配置して1つのパターンデータに合成するデータ合成手段と、前記テープ部材に設けられる前記位置合わせマークを検出するマーク検出手段と、前記テープ部材の前記レンズ体の裏面側にテープ長方向に沿ってインクリボンにより熱転写印字を行う印字手段と、前記レンズ体の1つに前記所定複数の文字列の前記各帯状パターンデータの組合せの1組が対応して位置するように、前記マーク検出手段のマーク検出情報に基づいて印字位置の位置合わせをし、前記印字手段を制御して、前記データ合成手段により合成された前記パターンデータを前記テープ部材の裏面に印字することによりラベルの印字を行う印字制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
そして、第1及び第2の発明に係るテープ印字装置において、前記テープ部材には、前記レンズ体の裏面側にテープ長方向に沿って所定ピッチで前記位置合わせマークが設けられており、前記印字制御手段は、前記マーク検出手段のマーク検出情報に基づいて、前記データ合成手段によって合成された前記パターンデータを前記印字手段により印字する際に印字開始位置の制御を行うことを特徴とする。
【0010】
また、第3の発明に係る印字方法は、テープ長方向に沿って所定ピッチでレンズ体を連続的に配列したレンチキュラーレンズによって構成し前記レンズ体の裏面に位置合わせマークを設けてなるテープ部材に対して印字を行うことによりラベルを作成するテープ印字装置の印字方法であって、前記テープ部材のテープ長方向に沿って印字する所定複数の文字列のデータを記憶する記憶処理と、前記記憶処理によって記憶された前記各文字列のデータについて、テープ長方向の印字長を所定同一長さとして鏡像パターンデータを生成する鏡像パターン生成処理と、前記鏡像パターン生成処理によって生成された前記各文字列の鏡像パターンデータを、そのテープ長に対応する方向の印字長が前記文字列の数分の1となるように圧縮するデータ圧縮処理と、前記データ圧縮処理により圧縮された各鏡像パターンデータを、前記レンズ体の1ピッチの幅を前記文字列の数で分割した幅によりテープ長に対応する方向に分割してなる各帯状パターンデータを、テープ長に対応する方向に1つずつ順に組み合せて配置して1つのパターンデータに合成するデータ合成処理と、前記レンズ体の1つに前記所定複数の文字列の前記各帯状パターンデータの組合せの1組が対応して位置するように、前記テープ部材の前記位置合わせマークの検出に基づいて印字位置の位置合わせをし、前記データ合成処理により合成された前記パターンデータを前記テープ部材の裏面にテープ長方向に沿ってインクリボンにより熱転写印字する印字処理と、を実行することを特徴とする。
【0011】
また、第4の発明に係る印字方法は、テープ長方向に沿って所定ピッチでレンズ体を連続的に配列したレンチキュラーレンズによって構成し前記レンズ体の裏面に位置合わせマークを設けてなるテープ部材に対して印字を行うことによりラベルを作成するテープ印字装置の印字方法であって、第1の言語の文字列に基づいて、その第1の言語の文字列に対応する第2の言語の文字列を、前記テープ印字装置に備える辞書データ記憶手段に予め記憶される辞書データの中から検索する辞書検索処理と、前記第1の言語の文字列及び前記辞書検索処理により検索された前記第2の言語の文字列のデータについて、テープ長方向の印字長を所定同一長さとして鏡像パターンデータを生成する鏡像パターン生成処理と、前記鏡像パターン生成処理によって生成された前記各文字列の鏡像パターンデータを、そのテープ長に対応する方向の印字長が前記文字列の数分の1となるように圧縮するデータ圧縮処理と、前記データ圧縮処理により圧縮された各鏡像パターンデータを、前記レンズ体の1ピッチの幅を前記文字列の数で分割した幅によりテープ長に対応する方向に分割してなる各帯状パターンデータを、テープ長に対応する方向に1つずつ順に組み合せて配置して1つのパターンデータに合成するデータ合成処理と、前記レンズ体の1つに前記所定複数の文字列の前記各帯状パターンデータの組合せの1組が対応して位置するように、前記テープ部材の前記位置合わせマークの検出に基づいて印字位置の位置合わせをし、前記データ合成処理により合成された前記パターンデータを前記テープ部材の裏面にテープ長方向に沿ってインクリボンにより熱転写印字する印字処理と、を実行することを特徴とする。
【0012】
また、第5の発明に係るコンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶した記憶媒体は、テープ長方向に沿って所定ピッチでレンズ体を連続的に配列したレンチキュラーレンズによって構成し前記レンズ体の裏面に位置合わせマークを設けてなるテープ部材に対して印字を行うことによりラベルを作成するテープ印字装置の印字方法プログラムが記憶された記憶媒体であって、前記テープ部材のテープ長方向に沿って印字する所定複数の文字列のデータを記憶する記憶処理と、前記記憶処理によって記憶された前記各文字列のデータについて、テープ長方向の印字長を所定同一長さとして鏡像パターンデータを生成する鏡像パターン生成処理と、前記鏡像パターン生成処理によって生成された前記各文字列の鏡像パターンデータを、そのテープ長に対応する方向の印字長が前記文字列の数分の1となるように圧縮するデータ圧縮処理と、前記データ圧縮処理により圧縮された各鏡像パターンデータを、前記レンズ体の1ピッチの幅を前記文字列の数で分割した幅によりテープ長に対応する方向に分割してなる各帯状パターンデータを、テープ長に対応する方向に1つずつ順に組み合せて配置して1つのパターンデータに合成するデータ合成処理と、前記レンズ体の1つに前記所定複数の文字列の前記各帯状パターンデータの組合せの1組が対応して位置するように、前記テープ部材の前記位置合わせマークの検出に基づいて印字位置の位置合わせをし、前記データ合成処理により合成された前記パターンデータを前記テープ部材の裏面にテープ長方向に沿ってインクリボンにより熱転写印字する印字処理と、を実行するためのプログラムが記憶されていることを特徴とする。
【0013】
また、第6の発明に係るコンピュータ読み取り可能なプログラムを記憶した記憶媒体は、テープ長方向に沿って所定ピッチでレンズ体を連続的に配列したレンチキュラーレンズによって構成し前記レンズ体の裏面に位置合わせマークを設けてなるテープ部材に対して印字を行うことによりラベルを作成するテープ印字装置の印字方法プログラムが記憶された記憶媒体であって、第1の言語の文字列に基づいて、その第1の言語の文字列に対応する第2の言語の文字列を、前記テープ印字装置に備える辞書データ記憶手段に予め記憶される辞書データの中から検索する辞書検索処理と、前記第1の言語の文字列及び前記辞書検索処理により検索された前記第2の言語の文字列のデータについて、テープ長方向の印字長を所定同一長さとして鏡像パターンデータを生成する鏡像パターン生成処理と、前記鏡像パターン生成処理によって生成された前記各文字列の鏡像パターンデータを、そのテープ長に対応する方向の印字長が前記文字列の数分の1となるように圧縮するデータ圧縮処理と、前記データ圧縮処理により圧縮された各鏡像パターンデータを、前記レンズ体の1ピッチの幅を前記文字列の数で分割した幅によりテープ長に対応する方向に分割してなる各帯状パターンデータを、テープ長に対応する方向に1つずつ順に組み合せて配置して1つのパターンデータに合成するデータ合成処理と、前記レンズ体の1つに前記所定複数の文字列の前記各帯状パターンデータの組合せの1組が対応して位置するように、前記テープ部材の前記位置合わせマークの検出に基づいて印字位置の位置合わせをし、前記データ合成処理により合成された前記パターンデータを前記テープ部材の裏面にテープ長方向に沿ってインクリボンにより熱転写印字する印字処理と、を実行するためのプログラムが記憶されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所定複数の文字列のデータに所定のデータ処理を行い、そのデータをレンチキュラーレンズからなるテープ部材に位置合わせして印字してラベルを作成したため、作成した1枚のラベル内に沿って視線を移動させると、レンチキュラーレンズを介して順に複数の各文字列が印字された複数枚のラベルを順に視認することができ、1枚のラベル領域中に実質的に複数枚のラベルを作り込むことができて、そのラベルのサイズに見合う以上の情報を表示可能なラベルを作成することができる。また、複数の文字列の夫々をラベルの領域サイズに収まる範囲で印字することができ、また、例えば、異なる言語の対応する文字列を1枚のラベルに印字することにより、ラベルのスペースを有効に利用して多言語で種々の案内表示ができる案内ラベルとして使用でき便利である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例に係るテープ印字装置の平面図である。
【図2】本発明の実施例に係るテープ印字装置の内部拡大図及びテープ部材を収納するテープカセットの斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係るレンチキュラーレンズによって構成されるテープ部材及びインクリボンを収納するテープカセットの説明図である。
【図4】本発明の実施例に係るテープ部材の説明図である。
【図5】本発明の実施例に係るテープ印字装置の電子回路のブロック図である。
【図6】本発明の実施例に係るテープ印字装置の印字処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施例に係るテープ印字装置によってレンチキュラーレンズからなるテープ部材に印字するデータの説明図である。
【図8】本発明の実施例に係るテープ印字装置により作成したラベルの説明図である。
【図9】本発明の実施例に係るテープ印字装置により作成したラベルの説明図である。
【図10】本発明の他の実施例に係るテープ印字装置の印字処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の他の実施例に係るテープ印字装置により作成したラベルに関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。本発明のテープ印字装置1は、テープ長方向に沿って所定ピッチで略半円柱状のレンズ体31aを連続的に配列したレンチキュラーレンズによって構成しレンズ体31a の裏面に位置合わせマーク31cを設けてなるテープ部材31に印字を行うものである。テープ印字装置1は、テープ部材31に印字すべき所定複数個(N個)の文字列のデータを記憶する記憶手段とされるRAM42と、その記憶された各文字列のデータについて、テープ長方向に印字長が所定同一長さ(L)の鏡像パターンデータを生成する鏡像パターン生成手段としての制御部40とを備える。そして、制御部40は、各文字列の鏡像パターンデータをテープ長方向に、前記文字列の数(N)に応じた圧縮率で、すなわち、所定複数分の1(1/N)に圧縮するデータ圧縮手段としても機能する。また、制御部40は、データ圧縮手段によって圧縮した各鏡像パターンデータをテープ長方向にレンズ体31aの1ピッチの幅(P)の所定複数分の1(1/N)の幅(P/N)に分割した帯状パターンデータを、レンズ体31aの1個に対応してその1個の幅(1ピッチの幅P)内に所定複数の文字列の各1個で合計N個の帯状パターンデータを所定の順に配列した帯状パターンの組合せの1組を配置するべく、テープ長方向に沿って前記複数の文字列の帯状パターンデータを組み合せて配置して1つのパターンデータに合成するデータ合成手段としても機能する。また、テープ印字装置1は、テープ部材31のレンズ体31aの裏面に設けた位置合わせマーク31cを検出するマーク検出手段とされるマーク検出センサ45を備える。そして、制御部40は、マーク検出センサ45により得られる位置合わせマーク31cの検出情報に基づいて、1個のレンズ体31aに対して前記1組の帯状パターンデータの組合せ部分が印字されるように位置合わせして、データ合成手段により作成したパターンデータをレンチキュラーレンズによって構成されるテープ部材31のレンズ体31aの裏面にインクリボン35を介して熱転写印字するように、印字手段を制御する印字制御手段としても機能する。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。図1は、本発明の実施例に係るテープ印字装置1の外観を示す図であり、図2は、このテープ印字装置1に使用するテープ部材31を収納したテープカセット21の外観及びテープ印字装置1の内部構造の一部を示す斜視図であり、図3は、レンチキュラーレンズで構成するテープ部材31を収納しているテープカセット21の説明図であり、図4は、レンチキュラーレンズで構成するテープ部材31の説明図である。なお、本実施例において、左右とは図1の正面視左右方向をさす。また、正面は、図1における筐体2の下方に位置する面を云い、背面は、図1における筐体2の上方に位置する面を云う。
【0018】
このテープ印字装置1は、レンチキュラーレンズからなるテープ部材31に対して印字可能に構成されている。そして、テープ印字装置1は、手に把持した状態で使用できるように小型で軽量に形成されている。また、テープ印字装置1は、テープ部材31をテープ幅方向、つまり、テープ部材31のテープ長方向と直交する方向に切断する切断機構63を備えている。この切断機構63の切断動作は、カッター操作部5をユーザーが押下することによって手動で行われる。
【0019】
また、テープ印字装置1は、略直方体形状の筐体2を有し、筐体2の上面における中央から正面近傍にかけて入力部3としての各種のキーやボタンを備え、筐体2の上面における中央から背面近傍にかけて表示部4としての液晶表示装置を備え、筐体2の上面における右側面と背面とが交差する位置に上下に可動なカッター操作部5を備えている。
【0020】
また、テープ印字装置1は、筐体2の右側面であってカッター操作部5の近傍にテープ部材31が排出されるテープ排出部7を備えている。なお、図示しないが、テープ印字装置1は、パーソナルコンピュータなどの外部機器と接続するための入力端子、電源コードが接続される電源端子、メモリーカードなどの記憶媒体が挿入される挿入口なども備えている。また、テープ印字装置1は、筐体2の底部にテープカセット21を着脱するための図2に示すカセット装填部8を備えるとともに、このカセット装填部8の開口部を覆う蓋を備えている。
【0021】
入力部3は、テープ印字装置1の入力手段であり、かな文字や英文字や数字などの文字データを入力する文字入力キー、入力したかな文字を漢字に変換するかな漢字変換キー、印字開始を指示する印字キー、表示部4の表示画面上のカーソルを移動操作するカーソルキー、印字モードの設定や各種設定処理を行う種々の制御キーによって構成されている。また、表示部4は、液晶表示装置などとされるものであって、入力された文字データに基づく文字、各種の設定のための選択メニュー、各種の処理に関するメッセージなどが表示される。
【0022】
次に、本実施例のテープ印字装置1の内部構成について述べる。テープ印字装置1の筐体2の内部には、図2に示すように、テープ部材31及びインクリボン35を収容したテープカセット21を装填するためのカセット装填部8が形成されている。また、カセット装填部8内には、テープ部材31に印字を行う印字機構61と、テープ部材31をそのテープ長方向に搬送する搬送用モータによって駆動されるプラテンローラ12と、テープ部材31を幅方向に切断する切断機構63と、を備えている。また、カセット装填部8内には、テープカセット21を所定の位置に支持するためのカセット受部15が形成され、カセット装填部8の一端部には、筐体2の外に通じるテープ排出部7が形成され、このテープ排出部7に切断機構63が組み込まれている。
【0023】
印字機構61は、印字手段であり縦方向に発熱素子が配列された印字ヘッドとされるサーマルヘッド11と、テープ部材31及びインクリボン35をサーマルヘッド11との間で挟んで圧接するプラテンローラ12と、から構成される。そして、印字に使用したインクリボン35をテープカセット21内に巻き取るリボン巻取軸13を備える。
【0024】
切断機構63は、筐体2に固定された固定刃71と、固定刃71に軸着された可動刃72と、可動刃72に連結されたカッター操作部5とから構成される。
【0025】
また、カセット装填部8のカセット受部15には、カセット装填部8に装填されるテープカセット21の種別を判別するための複数個のカセット判別スイッチ44が設けられており、さらに、カセット装填部8内には、印字機構61の近傍位置に、テープ部材31への印字位置の位置合わせを行うために、テープ部材31に付される位置合わせマークを検出するマーク検出センサ45が設けられている。
【0026】
一方、テープ印字装置1のカセット装填部8に装填されるテープカセット21について説明すると、テープカセット21は、カセットケース22を備え、このカセットケース22の内部には、テープ部材31が巻装されたテープコア23、未使用のインクリボン35が巻装されたリボン供給コア24、使用済みのインクリボン35を巻き取るリボン巻取コア25が夫々収納されている。また、テープカセット21のカセットケース22には、カセット装填部8内にテープカセット21を装填した場合にサーマルヘッド11が位置するヘッド配置部27が形成されている。本実施例のテープ印字装置1は、特に、レンチキュラーレンズによって構成されるテープ部材31に対して印字を行う機能を有しているため、テープカセット21としては、合成樹脂のシート材からなるテープ部材31及びインクリボン35を収納した通常テープカセット21の他に、レンチキュラーレンズによって構成されるテープ部材31及びインクリボン35を収納した本発明に係るテープカセット21が特に用意されている。
【0027】
図3及び図4に示すように、本発明に係るテープカセット21には、テープ部材31として、透明フィルム上に略半円柱状のレンズ体31aをテープ長方向に所定ピッチPで連続的に形成したものが用いられる。このテープ部材31は、1mm程の厚みを有し通常のテープ部材31と同様に数mm乃至数cm幅を有し、可撓性を有している。また、テープ部材31のレンズ体31aの裏面側(凹凸面と反対側の平面側)のテープ幅方向の端部には、テープ長方向に沿って所定間隔で位置合わせマーク31cが印刷等により設けられている。この位置合わせマーク31cはテープ部材31への印字時にマーク検出センサ45によって検出されるようになっている。なお、位置合わせマーク31cは、その存在により出来上がったラベルの印字の品位を損なわないように、出来上がったラベルの外周縁部に対応するテープ幅方向の端部位置に設けることが好ましい。テープ部材31はそのレンズ体31aの凹凸面を外向きにし、レンズ体31aの裏面側の平坦面を内向きにしてテープコア23に巻装されてカセットケース22内に収納されており、サーマルヘッド11が配置されるヘッド配置部27には印字面となるテープ部材31の裏面側にインクリボン35が重ねられた状態で繰り出される。
【0028】
また、カセットケース22の隅部には、カセット装填部8のカセット受部15と係合し、このカセット受部15によって支持される被係合部29が形成され、この被係合部29には、図示しないが、テープカセット21の種類に応じて所定の形状に形成されたカセット識別部が設けられており、そのカセット識別部の形状に基づいた複数個のカセット判別スイッチ44のオン・オフ動作によってカセットの種類の判別が可能になっている。
【0029】
このテープ印字装置1では、印字の指示がなされると、プラテンローラ12が駆動され、テープ部材31及びインクリボン35がテープカセット21から重ねた状態でカセットケース外に繰り出されて、サーマルヘッド11が配置される印字位置に搬送される。そして、印字位置では印字データに基づいてサーマルヘッド11が発熱駆動され、インクリボン35のインクがテープ部材31の印字面に熱転写されてテープ部材31に印字が行われる。テープ部材31への印字が完了すると、プラテンローラ12の駆動によってテープ部材31がさらに搬送されて印字済部分がテープ排出部7から外部に排出される。そして、ユーザーがカッター操作部5を操作することによりテープ部材31の印字済部分がラベルとして切り離される。
【0030】
次に、テープ印字装置1の回路構成について述べる。このテープ印字装置1は、図5に示すように、システム全体を司る制御部40を有する。この制御部40には、記憶手段としてのROM41及びRAM42が接続されている。また、制御部40には、他の実施例で説明するように、例えば、日本語などの第1の言語の見出し語と、その見出し語に対応する英語などの第2の言語の訳語の辞書データを予め格納した辞書データメモリ43が接続される。また、制御部40には、入力手段とされる入力部3と、表示部4を駆動する表示部駆動回路66と、が接続されている。さらに、制御部40には、サーマルヘッド11を駆動するヘッド駆動回路51、搬送用モータ46を駆動する搬送用モータ駆動回路52、カセット判別スイッチ44、マーク検出手段とされるマーク検出センサ45などが接続されている。
【0031】
この制御部40は、CPUであって、入力部3からのキー操作信号に応じて、又は、自動でROM41に予め記憶されているシステムプログラム、メモリーカードに記憶された制御プログラム、外部機器から読み込まれた制御プログラムなどを起動させ、RAM42をワークメモリとして回路各部の動作を制御する。
【0032】
制御部40は、後に述べるように、レンチキュラーレンズで構成されるテープ部材31に印字を行いラベルを作成する場合、そのラベルに印字する所定複数の文字列のデータの鏡像パターンデータを生成する鏡像パターン生成手段として機能する。また、制御部40は、生成した所定複数の文字列の鏡像パターンデータを、その文字列の数に応じた圧縮率でテープ長方向にデータを圧縮するデータ圧縮手段としても機能する。また、制御部40は、圧縮した複数の文字列の鏡像パターンデータをレンチキュラーレンズの略半円柱状レンズの1ピッチの長さ(レンズ体31aの幅)及び印字すべき対象となる文字列の数に応じてテープ長方向に沿って所定幅に分割してなる印刷対象の所定複数の文字列の帯状パターンデータを、テープ長方向に対応させて定められた順に配列して1つのパターンデータに合成するデータ合成手段としても機能する。また、制御部40は、マーク検出手段であるマーク検出センサ45による位置合わせマーク31cの検出情報に基づいて、データ合成手段として生成したパターンデータをテープ部材31の裏面に印字させる印字制御手段としても機能する。
【0033】
ROM41は、入力部3から入力された文字を印字するためのプログラムや印字フォントなどが記憶され、制御部40で読み取り可能なプログラムが記憶された記憶媒体としても機能する。このROM41としては、EPROMなどの書込みが可能なROMが使用される場合もあり、EPROMが使用された場合には補助記憶装置としても機能する。
【0034】
RAM42は、キー入力された文字や文字間隔などの印字情報を記憶する入力データメモリ、入力された印字情報が展開された印字パターンデータが記憶される印字データメモリ、表示部4に表示されるパターンデータが記憶される表示データメモリなどの各領域が確保され、印字処理などに必要なデータを一時的に記憶するレジスタやカウンタなどが設けられている。また、RAM42には、他の実施例で説明するように、例えば、ユーザーによって登録される、見出し語としての日本語の単語と、その見出し語の訳語となる英単語などの辞書データが記憶される登録辞書メモリ領域42aが設けられる。
【0035】
マーク検出センサ45は、テープ印字時に、装置内のテープ搬送路を搬送されるテープ部材31のレンズ体31aの裏面に所定ピッチで設けられた位置合わせマーク31cを検出するものであり、検出信号を制御部40に出力する。
【0036】
次に、テープ印字装置1によりレンチキュラーレンズで構成されるテープ部材31にラベルの印字を行う印字処理について説明する。図6は、そのフローチャートであり、図7はテープ印字装置1により行うデータ処理の説明図、図8及び図9は印字されたラベルの使用説明図である。
【0037】
まず、レンチキュラーレンズのテープ部材31を用いたラベルの作成モードを設定し、ユーザーはラベルに印字すべき定められた数(N個)の任意の文字列のデータを入力部3から入力する。この入力された文字列のデータはRAM42に記憶される(ステップS10)。ラベルに印字すべき定められた数の文字列のデータの入力が完了すると、制御部40は、RAM42に記憶された複数の文字列のデータについて、RAM42内の所定の領域で鏡像パターンデータを生成する(ステップS20)。例えば、図7(a)、(b)に図示するように、入力部3から第1の文字列である「喫煙場所」と第2の文字列である「Smoking Area」の2個の文字列のデータが入力されると、第1の文字列のデータの「喫煙場所」及び第2の文字列のデータの「Smoking Area」の各文字列のパターンデータがRAM42に展開されるとともに、その展開された正像のパターンデータを鏡像に変換する処理がなされて、第1及び第2の鏡像パターンデータ100a、200aが生成される。この各鏡像パターンデータ100a、200aをテープ部材31に印字するとした場合のテープ長に対応する方向(横方向)の印字長は、ともに同一長(L)としている。2個の文字列は文字数が異なったり、文字種が異なったりするなどにより、印字長が異なることが多いが、その場合には、文字列の前後や文字間に設定するスペースの長さを適宜調整することにより、生成する正像あるいは鏡像のパターンデータのテープ長に対応する方向の印字長が同じになるようにする。
【0038】
次に、制御部40は、RAM42内の所定の領域で、生成した複数の文字列の各鏡像パターンデータを文字列の数に応じた圧縮率で圧縮する。すなわち、テープ長方向に文字列の数(N)分の1(1/N)の圧縮率で圧縮処理する(ステップS30)。例えば、図7(a)、(b)に図示するように、第1の文字列に対応する第1の鏡像パターンデータ100a及び第2の文字列に対応する第2の鏡像パターンデータ200aのテープ幅方向(縦方向)の倍率はそのままとし、テープ長方向(横方向)のみを印字長がL/2となるように圧縮した第1の圧縮パターンデータ100b及び第2の圧縮パターンデータ200bを生成する。この例では、2個の文字列を同一ラベル内に印字するため、2個の文字列のパターンデータのテープ長方向の圧縮率を1/2としている。仮に、3個の文字列を同一ラベル内に印字する場合にはテープ長方向の圧縮率は1/3となる。
【0039】
そして、制御部40は、圧縮処理された複数の文字列の鏡像の圧縮パターンデータをテープ長に対応する方向にレンズ体31aの1ピッチの幅(P)の文字列の数(N)分の1の幅(P/N)に分割した鏡像の各帯状パターンデータを、テープ長に対応する方向に1つずつ順に組み合せて配置して1つのパターンデータに合成する(ステップS40)。例えば、図7(c)に示すように、圧縮処理された第1の圧縮パターンデータ100b及び第2の圧縮パターンデータ200bを夫々レンズ体31aの1ピッチの1/2の幅で分割した複数の第1の帯状パターンデータ100c1、100c2、・・・100cn、及び複数の第2の帯状パターンデータ200c1、200c2、・・・200cnを、テープ長方向に順次交互に配置して1つのパターンデータ300に合成する。
【0040】
そして、制御部40は、テープ印字時にテープ部材31を搬送し、テープ部材の搬送経路の所定位置に設けられるマーク検出センサ45の位置を通過するテープ部材31の位置合わせマーク31cを検出し(ステップS50)、レンズ体31aの1つの裏面側に所定複数の文字列の各帯状パターンデータの組合せの1組が対応して配置されるように、マーク検出センサ45のマーク検出情報に基づいて印字位置の位置合わせをし、ヘッド駆動回路51によりサーマルヘッド11を駆動して、合成されたパターンデータ300をインクリボン35を介してテープ部材31のレンズ体31aの裏面側の印字面に印字する(ステップS60)。合成されたパターンデータ300の印字が終了すると(ステップS70のYES)、印字済部分を装置外に排出するべくテープ部材31を所定距離だけ搬送し処理を完了する(ステップS80、終了)。また、ステップS70において、合成されたパターンデータ300の印字の終了が判断されなければ(ステップS70のNO)、ステップS60に戻って、さらに合成されたパターンデータ300の残りのデータの印字を行う。この結果、テープ部材31のレンズ体31aの裏面には、第1の文字列及び第2の文字列の鏡像パターンであって、その鏡像パターンが所定幅の帯状パターンに分割され、且つその帯状パターンが第1の文字列のものと第2の文字列のものとが交互に配置されてなる1つのパターンが、所定ピッチで設けられるレンズ体31aに位置合せさせて印字されることになる。
【0041】
このようにして作成されたラベル400は、図8(a)に示すように、ユーザーがそのラベル400を右側から見た場合、第1の文字列に係る帯状パターン100d1、100d2、・・・100dnのみがその各帯状パターンの印字位置に対応するレンチキュラーレンズの各レンズ体31aによってテープ長方向に2倍に拡大されて見えるため、図8(b)に示すように、第1の文字列である「喫煙場所」の文字列が印字長Lで印字されたラベルとして視認することができる。一方、ラベルを見る位置を移動させ、図9(a)に示すように、ユーザーがラベル400を左側から見た場合、第2の文字列に係る帯状パターン200d1、200d2、・・・200dnのみがその各帯状パターンの印字位置に対応するレンチキュラーレンズの各レンズ体31aによってテープ長方向に2倍に拡大されて見えるため、図9(b)に示すように、第2の文字列である「Smoking Area」の文字列が印字長Lで印字されたラベルとして視認することができる。したがって、作成された1枚のラベル400には、そのラベルの領域内に印字するべく用意された2個の文字列に対応して、第1の文字列を表示する第1のラベル400aと第2の文字列を表示する第2のラベル400bの2枚のラベル機能を有することになる。
【0042】
以上のように、本実施例によれば、1枚のラベル領域中に実質的に複数枚のラベルを作り込むことができて、そのラベルのサイズに見合う以上の情報を表示可能なラベルを作成することができる。また、複数の文字列の夫々をラベルの領域サイズに収まる範囲で印字することができ、また、例えば、異なる言語の対応する文字列を1枚のラベルに印字することにより、ラベルのスペースを有効に利用して多言語で種々の案内表示ができる案内ラベルとして使用でき便利である。
【0043】
次に、他の実施例について説明する。上記実施例では、ラベルに印字する複数の文字列の夫々について、入力部3の文字入力キーを使用して任意の文字を入力していた。すなわち、上記第1の文字列として「喫煙場所」の日本語の文字列を入力する場合には、ローマ字あるいは、仮名文字を入力するとともに、その仮名文字を漢字に変換し、また、上記第2の文字列として「Smoking Area」の英語の文字列を入力する場合には、英数文字の入力モードに切り換え、英文字キーを操作することにより行なう。このように、上記実施例では、1枚のラベルに印字により表示する複数の文字列として、言語の異なる対応した文字列を使用したい場合に、夫々の文字列を個別に入力することになるが、予め日本語文字列に対応する外国語文字列を辞書で調べてスペル通りに正確に文字入力する必要があり、面倒である。そこで、以下に説明する実施例では、ラベルに使用する複数の文字列として言語の異なる対応した文字列を使用する場合に、その入力操作を簡単にできるように構成している。
【0044】
先に、図5で説明したように、テープ印字装置1は、その電子回路に辞書データメモリ43を備えている。この辞書データメモリ43は、例えば、英和辞書及び和英辞書など、2つの言語間で見出し語と訳語を対照した辞書データが予め保持されており、第1の言語の文字列に基づいて第2の言語の文字列を検索することができる。例えば、上記実施例の場合、「喫煙場所」の文字列を見出し語として辞書データを検索すると、訳語として「Smoking Area」の文字列を取り出すことができる。辞書データメモリ43に記憶する辞書データは2つの言語に限らずさらに多言語の間で対応する文字列を参照可能なものとしたり、日本語に対応する複数の外国語辞書を個別に複数設けるようにしてもよい。また、上記辞書データメモリ43には予め辞書データが記憶されているが、RAM42にユーザーが複数の対応する文字列のデータを登録し必要に応じて呼び出して使用できる登録辞書メモリ領域42aを設けておいてもよい。
【0045】
以下、他の実施例に係るテープ印字装置のラベル印字処理について、図10のフローチャートに基づいて説明する。なお、説明を簡単にするため、上記実施例と共通な処理についてはその説明を省略する。まず、制御部40は、表示部4に印字する文字列の数及びその文字列の言語を設定するための設定画面を表示し、ユーザーはその画面上で必要な設定操作を行う(ステップS10a)。例えば、ユーザーは「年中無休」の日本語とそれに対応する英文字を表示可能なラベルの作成を所望する場合、設定画面において、印字したい文字列の数を2個、その言語を、第1の文字列に係る第1の言語は日本語、第2の文字列に係る第2の言語は英語というようにして設定する。
【0046】
次に、制御部40は、表示部3に第1の言語の文字列(第1の文字列)の入力を促す文字列入力用画面を表示し、ユーザーはその案内に従って入力部3から第1の言語の文字列の入力を行う(ステップS10b)。例えば、ユーザーは、入力部3から「年中無休」の文字を入力する。
【0047】
第1の言語の文字列の入力が完了すると、制御部40は、その第1の言語の文字列を見出し語として辞書データメモリ43に記憶される辞書データの検索を行い、対応する訳語を第2の言語の文字列(第2の文字列)として読み出す(ステップS10c)。例えば、第1の文字列の「年中無休」に対応する第2の文字列の「Open Year−Round」の文字列がこの辞書データ検索処理により辞書データメモリ43に記憶される辞書データから取り出される。
【0048】
上記ステップS10bで入力された第1の文字列と、上記ステップS10cにより辞書データから取り出された第2の文字列により、ラベルに印字すべき文字列のデータが揃ったため、以下これらの文字列について、所定のデータ処理を行い、レンチキュラーレンズで構成されるテープ部材31に印字を行うことになる。すなわち、この他の実施例に係るラベルの印字処理では、ステップS10cの後、図6のステップS20−S80と同様に処理を行うことになる。その部分の処理は上記実施例における図6についての説明と同様であるため、その説明は省略する。図11(a)、(b)は図10のラベル印字処理により作成したラベル500を見る位置を変えてみた場合にレンチキュラーレンズの作用により内容が変化して確認できる、第1のラベル500aと第2のラベル500bを表わしている。
【0049】
なお、図11(c)は日本語の「年中無休」に対応する中国語表記の文字列である。日本語及び英語の文字列に中国語の文字列を加え、図11(a)、(b)、(c)に示すような3ヶ国語の3個の文字列を印字してそれらを表示可能にしてもよい。
【0050】
以上のように、この他の実施例によれば、上記実施例と同様に、1枚のラベル領域中に実質的に複数枚のラベルを作り込むことができて、そのラベルのサイズに見合う以上の情報を表示可能なラベルを作成することができる。また、複数の文字列の夫々をラベルの領域サイズに収まる範囲で印字することができ、また、例えば、異なる言語の対応する文字列を1枚のラベルに印字することにより、ラベルのスペースを有効に利用して多言語で種々の案内表示ができる案内ラベルとして使用でき便利であり、辞書データにより異なる言語の対応する文字列を検索することができ、印字する文字列の指定が容易である。
【0051】
さらに、本実施例におけるフローチャートに示した処理は、コンピュータに実現させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体に書き込んだ状態で各種装置に適用する、あるいは、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。このように所望の記憶媒体に本実施例で述べた各処理を記憶させ、他のコンピュータ等でプログラムを実行させることにより、本実施例の装置を用いた場合と同様の作用効果が得られる。なお、コンピュータは、本実施例で述べた装置に内蔵されたコンピュータに限定されるわけではなく、記憶媒体に記憶されたプログラムを読み取り可能であって、読み取ったプログラムに従って制御動作を行うCPU等の演算装置を備えているあらゆるコンピュータを含む。
【符号の説明】
【0052】
1 テープ印字装置 2 筐体
3 入力部 4 表示部
7 テープ排出部 8 カセット装填部
11 サーマルヘッド 12 プラテンローラ
13 リボン巻取軸 15 カセット受部
21 テープカセット 22 カセットケース
23 テープコア 24 リボン供給コア
25 リボン巻取コア 27 ヘッド配置部
31 テープ部材 31a レンズ体
31c 位置合わせマーク 35 インクリボン
40 制御部 41 ROM
42 RAM 45 マーク検出センサ
43 辞書データメモリ
61 印字機構 63 切断機構
61 印字機構 63 切断機構
71 固定刃 72 可動刃
100a,200a 鏡像パターンデータ 100b,200b 圧縮パターンデータ
100c,200c 帯状パターンデータ 100d,200d 帯状パターン
300 パターンデータ 400,500 ラベル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ長方向に沿って所定ピッチでレンズ体を連続的に配列したレンチキュラーレンズによって構成し前記レンズ体の裏面に位置合わせマークを設けてなるテープ部材に対して印字を行うことによりラベルを作成するテープ印字装置であって、
前記テープ部材のテープ長方向に沿って印字する所定複数の文字列のデータを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記各文字列のデータについて、テープ長方向の印字長を所定同一長さとして鏡像パターンデータを生成する鏡像パターン生成手段と、
前記鏡像パターン生成手段により生成された前記各文字列の鏡像パターンデータを、そのテープ長に対応する方向の印字長が前記文字列の数分の1となるように圧縮するデータ圧縮手段と、
前記データ圧縮手段により圧縮された各鏡像パターンデータを、前記レンズ体の1ピッチの幅を前記文字列の数で分割した幅によりテープ長に対応する方向に分割してなる各帯状パターンデータを、テープ長に対応する方向に1つずつ順に組み合せて配置して1つのパターンデータに合成するデータ合成手段と、
前記テープ部材に設けられる前記位置合わせマークを検出するマーク検出手段と、
前記テープ部材の前記レンズ体の裏面側にテープ長方向に沿ってインクリボンにより熱転写印字を行う印字手段と、
前記レンズ体の1つに前記所定複数の文字列の前記各帯状パターンデータの組合せの1組が対応して位置するように、前記マーク検出手段のマーク検出情報に基づいて印字位置の位置合わせをし、前記印字手段を制御して、前記データ合成手段により合成された前記パターンデータを前記テープ部材の裏面に印字することによりラベルの印字を行う印字制御手段と、
を備えることを特徴とするテープ印字装置。
【請求項2】
異なる言語の任意の文字列を入力可能な入力手段を備え、
前記記憶手段は、前記入力手段により入力された、対応関係のある所定複数の異なる言語の文字列を記憶することを特徴とする請求項1に記載のテープ印字装置。
【請求項3】
テープ長方向に沿って所定ピッチでレンズ体を連続的に配列したレンチキュラーレンズによって構成し前記レンズ体の裏面に位置合わせマークを設けてなるテープ部材に対して印字を行うことによりラベルを作成するテープ印字装置であって、
第1の言語による見出し語と、その見出し語に対応した第2の言語による訳語を含む辞書データを予め記憶する辞書データ記憶手段と、
前記第1の言語の文字列に基づいて、その第1の言語の文字列に対応する前記第2の言語の文字列を前記辞書データ記憶手段に記憶される辞書データの中から検索する辞書検索手段と、
前記第1の言語の文字列及び前記辞書検索手段により検索された前記第2の言語の文字列のデータについて、テープ長方向の印字長を所定同一長さとして鏡像パターンデータを生成する鏡像パターン生成手段と、
前記鏡像パターン生成手段により生成された前記各文字列の鏡像パターンデータを、そのテープ長に対応する方向の印字長が前記文字列の数分の1となるように圧縮するデータ圧縮手段と、
前記データ圧縮手段により圧縮された各鏡像パターンデータを、前記レンズ体の1ピッチの幅を前記文字列の数で分割した幅によりテープ長に対応する方向に分割してなる各帯状パターンデータを、テープ長に対応する方向に1つずつ順に組み合せて配置して1つのパターンデータに合成するデータ合成手段と、
前記テープ部材に設けられる前記位置合わせマークを検出するマーク検出手段と、
前記テープ部材の前記レンズ体の裏面側にテープ長方向に沿ってインクリボンにより熱転写印字を行う印字手段と、
前記レンズ体の1つに前記所定複数の文字列の前記各帯状パターンデータの組合せの1組が対応して位置するように、前記マーク検出手段のマーク検出情報に基づいて印字位置の位置合わせをし、前記印字手段を制御して、前記データ合成手段により合成された前記パターンデータを前記テープ部材の裏面に印字することによりラベルの印字を行う印字制御手段と、
を備えることを特徴とするテープ印字装置。
【請求項4】
前記テープ部材には、前記レンズ体の裏面側にテープ長方向に沿って所定ピッチで前記位置合わせマークが設けられており、
前記印字制御手段は、前記マーク検出手段のマーク検出情報に基づいて、前記データ合成手段によって合成された前記パターンデータを前記印字手段により印字する際に印字開始位置の制御を行うことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のテープ印字装置。
【請求項5】
テープ長方向に沿って所定ピッチでレンズ体を連続的に配列したレンチキュラーレンズによって構成し前記レンズ体の裏面に位置合わせマークを設けてなるテープ部材に対して印字を行うことによりラベルを作成するテープ印字装置の印字方法であって、
前記テープ部材のテープ長方向に沿って印字する所定複数の文字列のデータを記憶する記憶処理と、
前記記憶処理によって記憶された前記各文字列のデータについて、テープ長方向の印字長を所定同一長さとして鏡像パターンデータを生成する鏡像パターン生成処理と、
前記鏡像パターン生成処理によって生成された前記各文字列の鏡像パターンデータを、そのテープ長に対応する方向の印字長が前記文字列の数分の1となるように圧縮するデータ圧縮処理と、
前記データ圧縮処理により圧縮された各鏡像パターンデータを、前記レンズ体の1ピッチの幅を前記文字列の数で分割した幅によりテープ長に対応する方向に分割してなる各帯状パターンデータを、テープ長に対応する方向に1つずつ順に組み合せて配置して1つのパターンデータに合成するデータ合成処理と、
前記レンズ体の1つに前記所定複数の文字列の前記各帯状パターンデータの組合せの1組が対応して位置するように、前記テープ部材の前記位置合わせマークの検出に基づいて印字位置の位置合わせをし、前記データ合成処理により合成された前記パターンデータを前記テープ部材の裏面にテープ長方向に沿ってインクリボンにより熱転写印字する印字処理と、
を実行することを特徴とする印字方法。
【請求項6】
テープ長方向に沿って所定ピッチでレンズ体を連続的に配列したレンチキュラーレンズによって構成し前記レンズ体の裏面に位置合わせマークを設けてなるテープ部材に対して印字を行うことによりラベルを作成するテープ印字装置の印字方法であって、
第1の言語の文字列に基づいて、その第1の言語の文字列に対応する第2の言語の文字列を、前記テープ印字装置に備える辞書データ記憶手段に予め記憶される辞書データの中から検索する辞書検索処理と、
前記第1の言語の文字列及び前記辞書検索処理により検索された前記第2の言語の文字列のデータについて、テープ長方向の印字長を所定同一長さとして鏡像パターンデータを生成する鏡像パターン生成処理と、
前記鏡像パターン生成処理によって生成された前記各文字列の鏡像パターンデータを、そのテープ長に対応する方向の印字長が前記文字列の数分の1となるように圧縮するデータ圧縮処理と、
前記データ圧縮処理により圧縮された各鏡像パターンデータを、前記レンズ体の1ピッチの幅を前記文字列の数で分割した幅によりテープ長に対応する方向に分割してなる各帯状パターンデータを、テープ長に対応する方向に1つずつ順に組み合せて配置して1つのパターンデータに合成するデータ合成処理と、
前記レンズ体の1つに前記所定複数の文字列の前記各帯状パターンデータの組合せの1組が対応して位置するように、前記テープ部材の前記位置合わせマークの検出に基づいて印字位置の位置合わせをし、前記データ合成処理により合成された前記パターンデータを前記テープ部材の裏面にテープ長方向に沿ってインクリボンにより熱転写印字する印字処理と、
を実行することを特徴とする印字方法。
【請求項7】
テープ長方向に沿って所定ピッチでレンズ体を連続的に配列したレンチキュラーレンズによって構成し前記レンズ体の裏面に位置合わせマークを設けてなるテープ部材に対して印字を行うことによりラベルを作成するテープ印字装置の印字方法プログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記テープ部材のテープ長方向に沿って印字する所定複数の文字列のデータを記憶する記憶処理と、
前記記憶処理によって記憶された前記各文字列のデータについて、テープ長方向の印字長を所定同一長さとして鏡像パターンデータを生成する鏡像パターン生成処理と、
前記鏡像パターン生成処理によって生成された前記各文字列の鏡像パターンデータを、そのテープ長に対応する方向の印字長が前記文字列の数分の1となるように圧縮するデータ圧縮処理と、
前記データ圧縮処理により圧縮された各鏡像パターンデータを、前記レンズ体の1ピッチの幅を前記文字列の数で分割した幅によりテープ長に対応する方向に分割してなる各帯状パターンデータを、テープ長に対応する方向に1つずつ順に組み合せて配置して1つのパターンデータに合成するデータ合成処理と、
前記レンズ体の1つに前記所定複数の文字列の前記各帯状パターンデータの組合せの1組が対応して位置するように、前記テープ部材の前記位置合わせマークの検出に基づいて印字位置の位置合わせをし、前記データ合成処理により合成された前記パターンデータを前記テープ部材の裏面にテープ長方向に沿ってインクリボンにより熱転写印字する印字処理と、
を実行するためのプログラムが記憶されていることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項8】
テープ長方向に沿って所定ピッチでレンズ体を連続的に配列したレンチキュラーレンズによって構成し前記レンズ体の裏面に位置合わせマークを設けてなるテープ部材に対して印字を行うことによりラベルを作成するテープ印字装置の印字方法プログラムが記憶された記憶媒体であって、
第1の言語の文字列に基づいて、その第1の言語の文字列に対応する第2の言語の文字列を、前記テープ印字装置に備える辞書データ記憶手段に予め記憶される辞書データの中から検索する辞書検索処理と、
前記第1の言語の文字列及び前記辞書検索処理により検索された前記第2の言語の文字列のデータについて、テープ長方向の印字長を所定同一長さとして鏡像パターンデータを生成する鏡像パターン生成処理と、
前記鏡像パターン生成処理によって生成された前記各文字列の鏡像パターンデータを、そのテープ長に対応する方向の印字長が前記文字列の数分の1となるように圧縮するデータ圧縮処理と、
前記データ圧縮処理により圧縮された各鏡像パターンデータを、前記レンズ体の1ピッチの幅を前記文字列の数で分割した幅によりテープ長に対応する方向に分割してなる各帯状パターンデータを、テープ長に対応する方向に1つずつ順に組み合せて配置して1つのパターンデータに合成するデータ合成処理と、
前記レンズ体の1つに前記所定複数の文字列の前記各帯状パターンデータの組合せの1組が対応して位置するように、前記テープ部材の前記位置合わせマークの検出に基づいて印字位置の位置合わせをし、前記データ合成処理により合成された前記パターンデータを前記テープ部材の裏面にテープ長方向に沿ってインクリボンにより熱転写印字する印字処理と、
を実行するためのプログラムが記憶されていることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−152696(P2011−152696A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15261(P2010−15261)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】