説明

テープ搬送装置

【課題】薄くて幅が広いテープであっても所定のテンションを付与することができ、安定かつ確実に搬送することができるテープ搬送装置を提供する。
【解決手段】搬送通路48の途中にテープ40に所定の張力を付与する張力付与機構65を設ける。張力付与機構65は、吸引ボックス68と、この吸引ボックス68内の空気を吸引排気する排気装置72と、案内ローラ73,74間のテープ部分40AをU字状に屈曲させて吸引ボックス68内に垂下させ、前記U字状のテープ部分40Aに所定の張力を付与するダンサーローラ75とを備えている。ダンサーローラ75の軸部は、吸引ボックス68の内壁に設けたガイド溝80によって上下動自在に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の製造工程等で使用されるテープ搬送装置に関し、特にフィルムキャリアテープに形成されている回路パターンを撮像カメラによって順次撮像し、回路パターンの欠陥を自動的に検査するパターン自動外観検査装置等に用いて好適なテープ搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装用のフィルムキャリアテープ(以下、TABテープと称する:Tape Automated Bonding)に形成されている回路パターンの欠陥(例えば、太り、断線、ショート、細り等)を自動的に検査するこの種のパターン自動外観検査装置に用いられているテープ搬送装置としては、図4および図5に示すようなテープ搬送装置1が知られている。このテープ搬送装置1は、テープ2の搬送通路3中であって作業エリア4の下流側に位置してテープ2を搬送通路3に沿って走行させるドライブローラ5を設け、上流側に位置してテープ2に所定のテンションを付与するバックテンションローラ6を設け、これらのローラ5,6をスプロケットローラで構成したものである。なお、7はテープ2を巻出す巻出しリール、8はテープ2を巻取る巻取りリールである。
【0003】
また、テープ搬送装置の他の従来技術としては、例えば 特許文献1,2に開示されているテープ搬送装置が知られている。
【0004】
前記特許文献1に開示されているテープ搬送装置は、テープ基材に磁性材が塗布された磁気テープの製造工程に用いられるもので、テープの緩みを吸収し一定の張力を付与するために、図6および図7に示すようなダンサーローラ11を用いている。このダンサーローラ11は、テープ2の表面に塗布されている磁性材がダンサーローラ11の周面に接触しないようにするために、中央部11Aが両端部11Bよりも小径に形成されている。
【0005】
前記特許文献2に記載されているテープ搬送装置は、図8に示すように、エアダンサー20を用いてテープ2の緩みを吸収するようにしたものである。エアダンサー20は、上方に開放しテープ2がU字状に垂下、挿入される筒状の吸引ボックス22と、この吸引ボックス22の内部下方に配管23を介して接続され前記テープ2を吸引するバキューム手段24とを備えている。
【0006】
【特許文献1】特開2000−302304号公報
【特許文献2】特開2003−335443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した従来のテープ搬送装置は、スプロケットローラ5,6や、ダンサーローラ11やエアダンサー20によってテープ2に所定の張力を付与し、緩みを吸収するようにしているので、きわめて有効な技術といえる。しかしながら、厚さが例えば50μm以下のきわめて薄いテープや、幅が広いテープの場合は、以下に述べる理由により採用することができないという問題があった。
【0008】
すなわち、図4および図5に示したスプロケットローラ5,6を用いたテープ搬送装置1の場合は、スプロケットローラ5,6の外周面両側縁部に突設されている突起9をテープ2のパーフォレーション10に係入してテープ2に走行力を付与しているため、テープ2にテンションを加えたとき、テープ自体が薄いと、パーフォレーション10が変形したり、当該部分よりテープ2が破断したりする。
【0009】
図6および図7に示した中央部11Aが側縁部より小径のダンサーローラ11を用いた場合は、テープ2の中央部が凹んで皺が生じたり波を打ったりするため、テープ2を安定した状態で走行させることができなくなる。
【0010】
図8に示したエアダンサー20を用いた場合は、バキューム手段24により吸引ボックス22内の空気を吸引してテープ2のU字状に屈曲した部分(以下、U字状部分という)2Aを吸引すると、図9に示すようにU字状部分2Aの内側において吸引ボックス22の内部下方が上方より低圧になるため、この圧力差によりテープ2のU字状部分2Aの下端湾曲部21aが外側に広がって吸引ボックス22の内壁に接触して擦れる。また、吸引力をテープ2のU字状部分2Aに対して均一に作用させることが難しいため、テープ2のU字状部分2Aが左右前後に振動すると、この振動がエアダンサー20部分以外のテープ部分にも影響を及ぼし、テープ2を安定かつ確実に走行させることができなくなる。
【0011】
本発明は上記した従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、薄くて幅が広いテープであっても所定のテンションを付与することができ、安定かつ確実に搬送することができるテープ搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、テープに所定の張力を付与する張力付与機構を備えたテープ搬送装置において、前記張力付与機構を、上方に開放する開口部と下方に設けられた排気口とを有し、前記開口部から内部に前記テープがU字状に垂下される吸引ボックスと、この吸引ボックスの前記開口部の上流側と下流側にそれぞれ配設され前記テープが添接される一対のローラと、前記吸引ボックス内に上下動自在に配設され、前記テープのU字状部分によって支持されることにより前記U字状部分に所定の張力を付与するダンサーローラと、前記排気口に接続され前記吸引ボックス内の空気を吸引する排気装置とで構成したものである。
【0013】
また、本発明は、前記吸引ボックスが内壁面に互いに対向して形成された一対のガイド溝を有し、前記ダンサーローラが、小径部と、この小径部の両端にそれぞれ設けられた一対の大径部と、これらの大径部の外側面中央にそれぞれ設けられた一対の軸部とで構成され、前記大径部の下面側に前記テープの表面側両側縁部が下方から略半周にわたって添接され、前記一対の軸部が前記一対のガイド溝に摺動自在に嵌挿されているものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、ダンサーローラの質量によってテープに張力を付与しているので、テープに緩みが生じることがない。また、テープのU字状部分は、下部の湾曲部でダンサーローラを支持しているので、吸引ボックス内の空気が吸引されても圧力差により前記湾曲部が広がって吸引ボックスの内壁面に接触するおそれがない。したがって、テープを安定した状態で搬送することができる。また、テープの厚さ、幅に対応させてダンサーローラの質量を設定すれば、薄肉、幅広のテープであっても搬送することができる。
【0015】
また、排気装置によって吸引ボックス内の空気を吸引排気すると、吸引ボックスの内部が負圧になるため、吸引ボックスの外部の空気が開口部から吸引ボックス内に流入し、テープのU字状部分の表面に当たることで、表面に付着している塵埃を除去する。
【0016】
中央部が小径部を形成し、両端部が大径部をそれぞれ形成するダンサーローラのみによってテープに張力を付与した場合は、U字状部分の幅方向中央部が凹んで皺が発生したり、テープの表面がダンサーローラの小径部の周面に接触するおそれがある。
一方、本発明においては、ダンサーローラとエアダンサーとで張力付与機構を構成しているので、吸引ボックス内の空気を排気装置によって吸引排気すると、外部の空気が吸引ボックス内に流入してダンサーローラの小径部とU字状部分の湾曲部との間に入り込み、湾曲部を内側から外側に膨らませる。したがって、湾曲部が内側に凹んで小径部の表面に接触したりすることがなく、テープを安定した状態で走行させることができる。
【0017】
また、ダンサーローラは、軸部が吸引ボックスの内壁面に形成されたガイド溝によって摺動自在に支持されているので、吸引ボックス内部の空気を吸引排気してもその吸引力の不均一性によって揺れたりすることもなく、テープを安定した状態で走行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係るテープ搬送装置を備えたパターン自動検査装置の一実施の形態を示す概略構成図、図2は張力付与機構の分解斜視図、図3(a)〜(f)はセンサによるテープの検出を説明するための図である。
【0019】
図1および図2において、本実施の形態は、TABテープ(以下、単にテープと云う)40に形成されている回路パターン41を電子部品が実装される前に自動的に検査し、不良品(NG)の回路パターンに対してはNGマーキングを施するようにしたパターン自動検査装置42に適用した例を示す。
【0020】
前記テープ40は、ポリイミド製の半透明なフィルムからなり、表面の幅方向中央部がパターン形成部43を形成しており、このパターン形成部43には同一形状からなる多数の微細な回路パターン41が所定のピッチでテープ40の長さ方向に形成されている。回路パターン41は、テープ40のパターン形成部43に銅箔を接着剤で接着し、これをエッチング処理することにより形成されている。回路パターン41の厚さは8〜30μm、幅はボンディングするインナーリード線部で8〜50μm程度である。そして、テープ40の両側縁部はパーフォレーション部45を形成しており、このパーフォレーション部45には多数のパーフォレーション44がテープ40の全長にわたり所定のピッチで形成されている。テープ40の幅は35〜300mm程度、厚さは20〜75μm程度である。回路パターン41の検査項目は、太り、断線、ショート、細り、ピッチずれ、突起、欠け、リード曲がり、ピンホール、導線間比率、最小パターン幅、最小ギャップ幅等である。
【0021】
前記パターン自動検査装置42は、内部がテープ40の搬送通路48に沿って5つのセクション、すなわち第1図において左から右に向かって巻出しランナー部A、検査部B、バッファー部C、マーキング部Dおよび巻取りランナー部Eに分かれている。なお、第1図においては、図示を省略したが、筐体47の各セクションA〜Dは独立した筐体になっている。これは、各セクションA〜Dでの動作による振動を検査部Bに伝えないためである。
【0022】
前記巻出しランナー部A、バッファー部Cおよび巻取りランナー部Eは、筐体47の内部下方に設けられ、検査部Bおよびマーキング部Dは、筐体47の内部上方に設けられている。また、筐体47の内部には装置全体をコンピュータ制御する図示を省略した制御部が組み込まれている。
【0023】
前記巻出しランナー部Aには、テープ40を検査部Bに供給する巻出し装置50が設けられている。巻出し装置50は、前記テープ40がその表面を外側にして巻回された巻出しリール51と、この巻出しリール51を間欠的に駆動しテープ40を巻出す駆動用モータ52と、回転自在な送りローラ53等で構成されている。
【0024】
前記検査部Bは、テープ40に形成されている回路パターン41を光学的に検査するセクションであって、回路パターン41を照射する光源55と、この光源55から出射し回路パターン41に当たって反射した反射光を撮像するパターン撮像装置56と、回路パターン41の良否を判定する判定部(図示せず)等を備えている。パターン撮像装置56による回路パターン41の撮像は、巻出しランナー部Aからバッファー部Cまでのテープ40を停止させた状態で行われる。判定部は、パターン撮像装置56によって撮像された回路パターン41の画像を予め記憶している良品パターンと比較することにより、欠陥候補箇所を割り出しその良否を判定する。そして、その結果は、制御部に送られ記憶部に一時記憶される。
【0025】
前記検査部Bの前後には、検査部Bにおけるテープ40の幅方向の移動を防止するため、回転自在な一対のスプロケットローラ61,62が配設されている。
【0026】
前記バッファー部Cには、テープ40に所定の張力を付与する張力付与機構65が配設されている。前記張力付与機構65は、上方に開放する開口部69と下方に設けられた排気口70とを有する吸引ボックス68と、この吸引ボックス68の排気口70に配管71を介して接続された排気装置72と、前記吸引ボックス68の上方で開口部69の上流側と下流側にそれぞれ回転自在に配設された一対の案内ローラ73,74と、前記吸引ボックス68内に配設されたダンサーローラ75等で構成されている。案内ローラ73,74は、段付きローラで構成されることにより両端部にフランジを一体に備え、これらのフランジによってテープ40の幅方向の移動を規制する。
【0027】
前記吸引ボックス68の内部下方には、多孔板からなる整流板76と後述するセンサ77(77a〜77d)が配設されている。また、吸引ボックス68の4つの内壁面のうちテープ40の幅方向において対向する2つの内壁面には、前記ダンサーローラ75の軸部75aが上下動自在に嵌挿されるガイド溝80がそれぞれ形成されている。
【0028】
前記ダンサーローラ75は、図2に示すように小径部75Aと、この小径部75Aの両端にそれぞれ一体に設けられたフランジ部75Bを有する大径部81と、各大径部81の外側面中央にそれぞれ一体に突設された一対の軸部75aとで構成されている。小径部75Aは、テープ40の表面に形成されている回路パターン41が接触しないようにするために設けられるものであり、パターン形成部43の幅と略等しい長さを有している。左右の大径部81は、テープ40の側縁部、すなわちパーフォレーション部45を支持し案内する部分である。左右のフランジ部75Bは、間隔がテープ40の幅と略一致する間隔に設定されることにより、テープ40の幅方向の位置を規制する。そして、このダンサーローラ75は、それ自身の質量によって前記一対の案内ローラ73,74間のテープ部分40AをU字状に屈曲させ、吸引ボックス68内に垂下させることにより、前記テープ部分40A(以下、このテープ部分をU字状部分ともいう)に一定の張力を付与している。すなわち、ダンサーローラ75は、案内ローラ73,74間のテープ部分40Aの両側縁部が下方から大径部81の略半周にわたって添接されることにより、このテープ部分40Aによって支持され、ローラ自身の質量によってテープ40自体に弛みがなくなるまで下降してテープ部分40AをU字状に屈曲させ、一定の張力を付与するものである。そして、ダンサーローラ75は、質量がテープ部分40Aの張力とバランスする高さに保持される。U字状部分40Aの張力は、ダンサーローラ75の質量を変えることで調整することができるが、排気装置72により吸引する空気の量を調整することにより、ある程度の範囲で張力を微調整することができる。
【0029】
前記マーキング部Dは、制御部から送られてくるNG信号によってNGと判定された回路パターン41に対してパンチングによってマーキングを施すセクションであり、マーキング装置90が設置されている。マーキング装置90によるNG回路パターンへのマーキングは、前記バッファー部Cから巻取りランナー部Eまでのテープ40を停止させた状態で行われる。また、検査部Bにおける回路パターン41の撮像とマーキング部Dにおけるマーキングは、後述するように同期しておらず、個々独立に行われる。
【0030】
前記マーキング部Dの前後には、マーキング部Dにおけるテープ40の幅方向の移動を防止するため、回転自在な一対のプロケットローラ92,93が配設されている。
【0031】
前記巻取りランナー部Eには、回路パターン41の検査が終了したテープ40を巻取る巻取り装置95が配設されている。巻取り装置95は、テープ40を巻取る巻取りリール96と、巻取りリール96を間欠的に駆動しテープ40を巻取りリール96に巻取らせる駆動用モータ97と、回転自在な送りローラ98等で構成されている。
【0032】
前記センサ77は、テープ40のU字状部分40Aの有無を検知するために用いられるもので、図3に示すように吸引ボックス68の内部でU字状部分40Aの裏面と対向するように高さ方向に所定の間隔をおいて4個縦列配置されている。各センサ77a〜77dは、例えば反射型の光電センサからなり、U字状部分40Aの有無を検出し、その信号を制御部に送信するように構成されている。制御部は、センサ77a〜77dからの信号に基づいてU字状部分40Aの垂下長さを判定し、装置全体を制御する。すなわち、図3(a)は上から1番目〜3番目のセンサ77a〜77cがU字状部分40Aを検出してONの状態を示し、最下位置のセンサ77dがU字状部分40Aを検出せず、OFFの状態を示す。たとえばこの状態においては、後述するように装置は正常な状態であり、回路パターン41の検査とマーキングとの非同期的なテープ搬送動作が行われる。図3(b)は、U字状部分40Aが短縮しすぎて全てのセンサ77a〜77dがU字状部分40Aを検出することができずOFFの状態を示す。この状態では、制御部がアラームを表示し、装置全体を一時停止させる。 図3(c)は、U字状部分40Aが長く垂れ下がり過ぎて全てのセンサ77a〜77dがU字状部分40Aを検出している状態を示す。この状態も制御部がアラームを表示し、装置全体を一時停止させる。図3(d)は、上から1番目と2番目のセンサ77a,77bがU字状部分40Aを検出し、3番目と4番目のセンサ77c,77dがU字状部分40Aを検出していない状態を示す。この状態では、検査部B側とマーキング部D側のテープ40の搬送が行われる。図3(e)は、図3(d)の状態からU字状部分40Aが長く垂れ下がり、1番目〜3番目のセンサ77a〜77cがU字状部分40Aを検出し、4番目のセンサ77dがU字状部分40Aを検出していない状態を示す。この状態になると、駆動モータ52が停止して検査部Bによる撮像は行われるが、テープ搬送は許可されない。一方、マーキング部D側はマーキング動作もテープ搬送も行われる。図3(f)は、図3(d)の状態からU字状部分40Aが上昇して短くなり、1番目のセンサ77aのみがU字状部分40Aを検出し、残り3つのセンサ77b〜77dがU字状部分40Aを検出していない状態を示す。この状態になると、検査部B側は撮像もテープ搬送も行われるが、駆動モータ97が停止してマーキング部D側のテープ搬送は許可されない。
【0033】
次に、上記構造からなるパターン自動検査装置42の動作を説明する。
先ず、制御部に検査対象であるテープ40の品種データを登録する。登録する品種データは、テープ40の幅、回路パターン41のピッチP、テープ幅方向のパターン数等である。また、検査部Bの撮像動作をテープ40の回路パターン41に応じて設定する。
【0034】
次に、被検査対象であるテープ40が巻回された巻出しリール51を巻出しランナー部Aにセットし、テープ40の先端部を引き出して検査部B、バッファー部C、マーキング部Dおよび巻取りランナー部Eに導き、巻取りリール96に固定する。テープ40の巻出しリール51から巻出される始端部分は、回路パターン41が形成されていない余長部分である。
【0035】
このようにしてパターン自動検査装置42による検査のための準備が全て完了すると、スタートボタンをONにする。また、排気装置72を駆動して吸引ボックス68内の空気を吸引排気する。スタートボタンをONにすると、駆動モータ52が駆動してテープ40を巻出しリール51から間欠的に巻出し、パターン撮像装置56による回路パターン41の撮像を開始させる。パターン撮像装置56が回路パターン41を撮像すると、その画像信号は判定部に送られる。判定部では、回路パターン41が良品であるか否かを判断し、その結果が制御部に送られて記憶部に一次記憶される。
【0036】
検査部Bを通過したテープ40は、バッファー部Cを通ってマーキング部Dに送られる。マーキング部Dは、制御部からの信号に基づいて、検査部Bで検査された回路パターン41のうち不良品と判定された回路パターンに対してマーキング装置90によってマーキングする。そして、マーキング部Dを通過したテープ40は、巻取りランナー部Eに搬送され、巻取りリール96に巻取られる。
【0037】
ここで、排気装置72を駆動して吸引ボックス68内の空気を排気管71によって外部に排気すると、吸引ボックス68の内圧が下がるため、外気が吸引ボックス68の上面開口部69から吸引ボックス68内に流入する。このとき吸引ボックス68に流入する空気は、そのほとんどがテープ40の下方に垂れ下がっているU字状部分40Aの内側に流入する。また、この空気の一部は、ダンサーローラ75の小径部75AとU字状部分40Aの湾曲部40aとの隙間103(図2)に流入する。これによりU字状部分40Aの湾曲部40aは、内側からの空気圧により略均一な圧力が加えられ外側に膨らもうとするため、内側に撓んで皺が生じたり回路パターン41が小径部75Aの周面に接触したりすることがない。
【0038】
また、このとき、テープ40の下方に垂れ下がったU字状部分40Aにも内側から圧力が加わるため、若干外側に膨らむが、ダンサーローラ75の質量で下方に引っ張られているために、吸引ボックス68の内壁面に接触するようなことはない。
【0039】
また、ダンサーローラ75の質量が、テープ40の垂れ下がったU字状部分40A全体に一定の張力を与えるとともに、ダンサーローラ75の振動を吸引ボックス68の内壁面に形成したガイド溝80によって阻止しているので、吸引による空気流によってU字状部分40Aとダンサーローラ75が前後左右に揺れ動くことがなく、テープ40を安定した状態で確実に走行させることができる。
【0040】
なお、上記した実施の形態においては、TABテープ40の回路パターン41を検査するパターン自動検査装置42に適用した例を示したが、本発明はこれに何ら特定されるものではなく、LCD、ASIC、μBGA、CSP等の被検査物のパターン検査にも用いることができ、特に薄くて幅の広いテープの搬送に適用して好適である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係るテープ搬送装置を備えたパターン自動検査装置の一実施の形態を示す概略構成図である。
【図2】張力付与機構の分解斜視図である。
【図3】(a)〜(f)はセンサによるテープの検知を説明するための図である。
【図4】従来のテープ搬送装置の一例を示す概略構成図である。
【図5】スプロケットローラとテープの斜視図である。
【図6】従来のダンサーローラによりテープにテンションを付与している状態を示す斜視図である。
【図7】ダンサーローラとテープの平面図である。
【図8】従来のエアダンサーを示す概略構成図である。
【図9】圧力差によってテープのU字状部分の下部が膨らんだ状態を示す図である。
【符号の説明】
【0042】
40…TABテープ、41…回路パターン、42…パターン自動検査装置、48…搬送通路、51…巻出しリール、52…駆動モータ、65…張力付与機構、68…吸引ボックス、69…開口部、70…排気口、71…配管、72…排気装置、73,74…送りローラ、75…ダンサーローラ、75A…小径部、75B…フランジ部、80…ガイド溝、81…大径部、96…巻取りリール、97…駆動モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープに所定の張力を付与する張力付与機構を備えたテープ搬送装置において、
前記張力付与機構を、上方に開放する開口部と下方に設けられた排気口とを有し、前記開口部から内部に前記テープがU字状に垂下される吸引ボックスと、この吸引ボックスの前記開口部の上流側と下流側にそれぞれ配設され前記テープが添接される一対のローラと、前記吸引ボックス内に上下動自在に配設され、前記テープのU字状部分によって支持されることにより前記U字状部分に所定の張力を付与するダンサーローラと、前記排気口に接続され前記吸引ボックス内の空気を吸引する排気装置とで構成したことを特徴とするテープ搬送装置。
【請求項2】
前記吸引ボックスは、内壁面に互いに対向して形成された一対のガイド溝を有し、
前記ダンサーローラは、小径部と、この小径部の両端にそれぞれ設けられた一対の大径部と、これらの大径部の外側面中央にそれぞれ設けられた一対の軸部とで構成され、前記大径部の下面側に前記テープの表面側両側縁部が下方から略半周にわたって添接され、前記一対の軸部が前記一対のガイド溝に摺動自在に嵌挿されていることを特徴とする請求項1記載のテープ搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−174363(P2008−174363A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−10323(P2007−10323)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【出願人】(000227836)日本アビオニクス株式会社 (197)
【Fターム(参考)】