説明

テープ状部品の巻き取り装置、巻き取り方法及び電子部品の実装装置

【課題】この発明はキヤリアテープ巻き取りリールに巻き取られるキヤリアテープが位置ずれするのを防止した実装装置を提供することにある。
【解決手段】キヤリアテープ供給リール7からキャリアテープ1とともに繰り出されるスペーサテープを巻き取るスペーサテープ巻き取りリール21と、実装部5で電子部品が実装されたキヤリアテープをキヤリアテープ巻き取りリール23によってキヤリアテープを巻き取るときにキヤリアテープと重ねて巻かれるスペーサテープを供給するスペーサテープ供給リール22と、キヤリアテープのたるみ量が所定以上となってキヤリアテープ巻き取りリールにキヤリアテープとともにスペーサテープを巻き取るときにスペーサテープ供給リールを回転自由な状態とし、キヤリアテープのたるみ量が所定以下となってキヤリアテープ巻き取りリールによる巻き取りが停止したときにスペーサテープを巻き取る方向にスペーサテープ供給リールを所定のトルクで回転駆動する制御装置31とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はキヤリアテープ供給リールから繰り出されたキヤリアテープをスペーサテープとともにキヤリアテープ巻き取りリールに巻き取るテープ状部品の巻き取り装置、巻き取り方法及びその巻き取り装置が用いられた電子部品の実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、TAB(Tape Automated Bonding)やCOF(Chip On Film)などではテープ状部品である、フィルム状のキヤリアテープに形成された端子部に半導体チップなどの電子部品を実装するようにしている。
【0003】
一般に、上記キヤリアテープに電子部品を実装するための実装装置は、キヤリアテープが巻回されたキヤリアテープ供給リールを有する。キヤリアテープには、デバイスホール及びこのデバイスホールに一端部を突出させて設けられたリードが形成されている。そのため、このキヤリアテープはリードを保護するスペーサテープと重ねて上記キヤリアテープ供給リールに巻回されている。
【0004】
上記キヤリアテープ供給リールから繰り出されたキヤリアテープは搬送レールに導かれ、この搬送レールに沿って所定寸法ずつピッチ送りされる。搬送レールの中途部には実装部が設けられ、この実装部で上記キヤリアテープに電子部品が実装される。なお、キヤリアテープ供給リールからキヤリアテープとともに繰り出されたスペーサテープはスペーサテープ巻き取りリールに巻き取られる。
【0005】
そして、上記実装部で電子部品が実装されたキヤリアテープは、スペーサテープ供給リールから繰り出されるスペーサテープと重ねられてキヤリアテープ巻き取りリールに巻き取られるようになっている。
【0006】
特許文献1には上述した構成のテープの巻き取り装置が示されている。
【特許文献1】特開2004−193259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した構成の装置においては、キヤリアテープ巻き取りリールがキヤリアテープを巻き取る方向に回転駆動されるときに、スペーサテープ供給リールがスペーサテープを繰り出す方向に回転駆動されるようになっている。
【0008】
上記キヤリアテープ巻き取りリールはキヤリアテープの撓み量が所定量以上となったときに回転駆動され、その撓み量が所定以下になったときに回転が停止されるようになっている。そのため、キヤリアテープは撓んだ状態でキヤリアテープ巻き取りリールに巻き取られるから、ほとんど張力が加わっていない状態で巻き取られることになる。
【0009】
しかしながら、スペーサテープはキヤリアテープ巻き取りリールがスペーサテープ供給リールと連動して回転することでキヤリアテープ巻き取りリールに巻き取られるため、キヤリアテープ巻き取りリールとスペーサテープ供給リールとの間で張力が加わった状態にある。
【0010】
そのため、キヤリアテープとスペーサテープとが重ねられてキヤリアテープ巻き取りリールに巻き取られる際、キヤリアテープがキヤリアテープ巻き取りリールの幅方向に振れたりすると、キヤリアテープはその振れが元に戻る前に張力が加わったスペーサテープによってキヤリアテープ巻取りリールの巻芯に押圧されて巻き取られることになる。
【0011】
そのような巻き取り状態が継続されると、キヤリアテープの位置ずれが次第に大きくなり、ついにはそのずれ量が許容範囲を超えてしまうということがある。とくに最近では、数十μmの非常に薄いキヤリアテープが用いられている。そのため、キヤリアテープは巻き取り時に幅方向に振れ易いということがあるため、上述したようにキヤリアテープの巻き取りにずれが生じ易い。
【0012】
この発明は、キヤリアテープが幅方向に振れても、キヤリアテープをキヤリアテープ巻き取りリールに位置ずれが生じることなく巻き取ることができるようにしたテープ状部品の巻き取り装置、巻き取り方法及び電子部品の実装装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、キヤリアテープとスペーサテープとが重ねて巻かれたキヤリアテープ供給リールと、
このキヤリアテープ供給リールから上記キャリアーテープとともに繰り出される上記スペーサテープを巻き取るスペーサテープ巻き取りリールと、
上記キヤリアテープ供給リールから繰り出される上記キャリアーテープを巻き取るキヤリアテープ巻き取りリールと、
このキヤリアテープ巻き取りリールによってキヤリアテープを巻き取るときにこのキヤリアテープと重ねて巻かれるスペーサテープを供給するスペーサテープ供給リールと、
上記キヤリアテープのたるみ量が所定以上となって上記キヤリアテープ巻き取りリールを回転駆動して上記キヤリアテープとともに上記スペーサテープを巻き取るときに上記スペーサテープ供給リールを回転自由な状態とし、上記キヤリアテープのたるみ量が所定以下となって上記キヤリアテープ巻き取りリールによる巻き取りが停止したときに上記スペーサテープを巻き取る方向に上記スペーサテープ供給リールを所定のトルクで回転駆動する制御手段と
を具備したことを特徴とするテープ状部品の巻き取り装置にある。
【0014】
上記スペーサテープ供給リールは、このスペーサテープ供給リールの回転トルクを設定することができるトルクモータによって回転駆動されることが好ましい。
【0015】
この発明は、キヤリアテープに電子部品を実装する実装装置であって、
上記キヤリアテープとスペーサテープとが重ねて巻かれたキヤリアテープ供給リールと、
このキヤリアテープ供給リールから上記キャリアーテープとともに繰り出される上記スペーサテープを巻き取るスペーサテープ巻き取りリールと、
上記キヤリアテープ供給リールから繰り出される上記キヤリアテープに上記電子部品を実装する実装部と、
この実装部で電子部品が実装されたキヤリアテープを巻き取るキヤリアテープ巻き取りリールと、
このキヤリアテープ巻き取りリールによって上記電子部品が実装されたキヤリアテープを巻き取るときにこのキヤリアテープと重ねて巻かれるスペーサテープを供給するスペーサテープ供給リールと、
上記キヤリアテープのたるみ量が所定以上となって上記キヤリアテープ巻き取りリールを回転駆動して上記キヤリアテープとともに上記スペーサテープを巻き取るときに上記スペーサテープ供給リールを回転自由な状態とし、上記キヤリアテープのたるみ量が所定以下となって上記キヤリアテープ巻き取りリールによる巻き取りが停止したときに上記スペーサテープを巻き取る方向に上記スペーサテープ供給リールを所定のトルクで回転駆動する制御手段と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置にある。
【0016】
この発明は、キヤリアテープ供給リールに巻回されたキヤリアテープを繰り出す工程と、
上記キヤリアテープ供給リールから繰り出されたキヤリアテープにスペーサテープ供給リールから繰り出されたスペーサテープを重ねてキヤリアテープ巻き取りリールに巻き取る工程と、
上記キヤリアテープ巻き取りリールにキヤリアテープとスペーサテープを重ねて巻き取るときに上記スペーサテープ供給リールを回転自由の状態にして上記スペーサテープを繰り出す工程と、
上記キヤリアテープ巻き取りリールに上記キヤリアテープとともに上記スペーサテープを所定量巻き取ったならば、上記スペーサテープを巻き取る方向に上記スペーサテープ供給リールを所定のトルクで回転させる工程と
を具備したことを特徴とするテープ状部品の巻き取り方法にある。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、キヤリアテープをキヤリアテープ巻き取りリールにスペーサテープとともに巻き取るとき、スペーサテープ供給リールを回転自由な状態とするため、キヤリアテープ巻き取りリールに巻き取られるキヤリアテープがスペーサテープによって押圧保持されることがない。そのため、巻き取り時にキヤリアテープが幅方向に振れても、その振れを元に戻すことが可能となる。
【0018】
また、巻き取られたキヤリアテープの振れが元に戻った時点で、スペーサテープ供給リールを所定のトルクでスペーサテープを巻き取る方向に回転させるため、キヤリアテープ巻き取りリールに生じたキヤリアテープとスペーサテープとのたるみを除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1はキヤリアテープ1に電子部品を実装するための実装装置を示す。この実装装置は装置本体2を有し、この装置本体2の一端部にはローダ部3、他端部にはアンローダ部4、中央部には実装部5が設けられている。
【0020】
上記ローダ部3は、上記キヤリアテープ1が巻回されたキヤリアテープ供給リール7を有する。キヤリアテープ1には、図2に示すようにデバイスホール8a及びこのデバイスホール8aに一端部を突出させて設けられたリード8bを有する端子部8が形成されている。そのため、このキヤリアテープ1は端子部8のリード8bを保護するスペーサテープ9aと重ねて上記キヤリアテープ供給リール7に巻回されている。
【0021】
上記キヤリアテープ供給リール7から繰り出されたキヤリアテープ1は搬送レール13に導かれ、この搬送レール13から後述するキヤリアテープ巻き取りリール23に巻き取られる。搬送レール13は上記ローダ部3から上記アンローダ部4にわたって設けられている。
【0022】
上記キヤリアテープ1は上記キヤリアテープ供給リール7と搬送レール13の一端との間でたるみが生じるよう上記キヤリアテープ供給リール7から繰り出される。このキヤリアテープ1のたるみ量は第1の下部センサ15aと第1の上部センサ15bとで検知されて制御される。
【0023】
つまり、キヤリアテープ1のたるみ量が大きくなり、そのたるみを第1の下部センサ15aが検知すると、上記キヤリアテープ供給リール7によるキヤリアテープ1の繰り出しが停止される。キヤリアテープ1のたるみが小さくなり、そのたるみが第1の上部センサ15bによって検知されなくなると、上記キヤリアテープ供給リール7によってキヤリアテープ1が繰り出される。それによって、キヤリアテープ1のたるみ量が所定の範囲になるよう制御される。
【0024】
なお、上記キヤリアテープ供給リール7からキヤリアテープ1とともに繰り出されたスペーサテープ9aはスペーサテープ巻き取りリール21に巻き取られる。
上記実装部5ではキヤリアテープ1に図3に示すように半導体チップなどの電子部品16が実装される。実装部5はX、Y方向に駆動される実装ステージ17と、X、Y及びZ方向に駆動される実装ツール18を有する。
【0025】
上記実装ステージ17上に上記電子部品16が供給されると、この実装ステージ17がキヤリアテープ1の端子部8の下方に位置決めされる。ついで、上記実装ツール18が下降方向に駆動される。それによって、図3に示すように上記端子部8のリード8bが折曲されて上記電子部品16のバンプ16aに接続される。
【0026】
電子部品16が実装されたキヤリアテープ1は、上記搬送レール13に対向して設けられた図示しないスプロケットなどの送り機構によって所定ピッチで間欠的に送られる。電子部品16が実装されて送り機構によって送られるキヤリアテープ1は、スペーサテープ供給リール22から供給される上記スペーサテープ9bと重ねられて上記キヤリアテープ巻き取りリール23に巻き取られる。それによって、キヤリアテープ1に実装された電子部品16は上記スペーサテープ9bによって保護されるようになっている。
【0027】
キヤリアテープ1は、電子部品16が実装されると、図示せぬ送り機構により所定長さずつ間欠的に送られる。アンローダ部4側において、間欠送りされるキヤリアテープ1のたるみ量は第2の下部センサ24aと第2の上部センサ24bとによって検知される。
【0028】
図4に実線で示すように、キヤリアテープ1のたるみ量が所定以上になってそのことが第2の下部センサ24aによって検知されると、その検知信号でキヤリアテープ巻き取りリール23が駆動されてキヤリアテープ1とスペーサテープ9bとの巻き取りが開始される。図5に実線で示すように、巻き取りが開始されてキヤリアテープ1のたるみ量が減少し、第2の上部センサ24bがキヤリアテープ1を検知しなくなると、その巻き取りが停止される。
【0029】
図1に鎖線で示すように、上記キヤリアテープ供給リール7は第1の駆動モータ26によって回転駆動され、上記スペーサテープ巻き取りリール21は第2の駆動モータ27によって回転駆動される。
【0030】
上記キヤリアテープ巻き取りリール23は第3の駆動モータ28によって回転駆動され、上記スペーサテープ供給リール22は第4の駆動モータ29によって回転駆動されるようになっている。
【0031】
上記第2の駆動モータ27と第4の駆動モータ29はトルクモータであって、図6に示すようにモータ29aと、このモータ29aの出力側に設けられたトルク設定部29bを有し、このトルク設定部29bによって設定されたトルクで上記スペーサテープ巻き取りリール21とスペーサテープ供給リール22を回転駆動するようになっている。
【0032】
つまり、スペーサテープ巻き取りリール21とスペーサテープ供給リール22にトルク設定部29bで設定された値とほぼ同じ大きさのトルクが加わると、それらのトルクが平衡して上記スペーサテープ巻き取りリール21とスペーサテープ供給リール22の回転が停止するようになっている。
【0033】
また、第2、第4の駆動モータ27,29は非駆動時(非通電時)にはその回転軸が回転自由な状態となる。つまり、上記スペーサテープ巻き取りリール21とスペーサテープ供給リール22を抵抗なく回転させることができる、回転自由な状態とすることができるようになっている。
【0034】
図7に示すように、上記第1の下部センサ15a、第1の上部センサ15b、第2の下部センサ24a及び第2の上部センサ24bの検出信号は制御装置31に入力される。制御装置31は、各センサからの検出信号に基いて第1乃至第4の駆動モータ26〜29の駆動を後述するように制御する。
【0035】
なお、実装装置のアンローダ部4には、図1に鎖線で示すように手動式の打ち抜き用の金型33が設けられる。この金型33は実装部5でキヤリアテープ1に実装された電子部品16の実装状態を検査する場合、上記キヤリアテープ1の電子部品16が実装された部分を打ち抜くために用いられる。
【0036】
その際、キヤリアテープ1の電子部品16が実装された部分をアンローダ部4に送り、上記金型33によって打ち抜く。打ち抜き後、キヤリアテープ1をローダ部3側に送ってキヤリアテープ1を元の状態に戻し、実装が継続されることになる。キヤリアテープ1を逆方向に送る場合、ローダ部3がアンローダ部となり、アンローダ部4がローダ部となる。なお、キヤリアテープ1の逆方向への搬送は、作業を開始する際の点検時などにも行なわれる。
【0037】
つぎに、上記構成の実装装置の作用について説明する。
キヤリアテープ供給リール7からはキヤリアテープ1とスペーサテープ9aとが繰り出される。キヤリアテープ1は搬送レール13に沿って搬送され、スペーサテープ9aはスペーサテープ巻き取りリール21に巻き取られる。
【0038】
搬送レール13に沿って搬送されたキヤリアテープ1は、スペーサテープ供給リール22から繰り出されるスペーサテープ9bとともにキヤリアテープ巻き取りリール23に巻き取られる。そして、搬送の途中の実装部5において、上記キヤリアテープ1には電子部品16が実装される。
【0039】
キヤリアテープ1は、アンローダ部4側において第2の下部センサ24aと第2の上部センサ24bとが検出するたるみ量に応じてキヤリアテープ巻き取りリール23に巻き取られる。すなわち、第2の下部センサ24aによってキヤリアテープ1のたるみが検出されると、その検出信号によって制御装置31が第3の駆動モータ28を作動し、キヤリアテープ1をキヤリアテープ巻き取りリール23に巻き取る。
【0040】
このとき、制御装置31はトルクモータからなる第4の駆動モータ29に通電せずに、スペーサテープ供給リール22を回転自由な状態とする。スペーサテープ供給リール22が回転自由な状態となれば、キヤリアテープ巻き取りリール23にキヤリアテープ1とともに巻き取られるスペーサテープ9bはスペーサテープ供給リール22から抵抗なく自由に繰り出されることになる。
【0041】
つまり、スペーサテープ9bは張力が加わることのない状態にあるから、キヤリアテープ1とともにキヤリアテープ巻き取りリール23に巻き取られても、キヤリアテープ1をキヤリアテープ巻き取りリール23の巻芯23aに押圧保持するということがない。
【0042】
そのため、キヤリアテープ巻き取りリール23に巻き取られるキヤリアテープ1が幅方向に振れても、このキヤリアテープ1の振れは元の状態に戻ることになるから、キヤリアテープ1のずれ量が次第に増大してゆくのを防止することができる。
【0043】
キヤリアテープ1が巻き取られてそのたるみ量が減少し、そのことが第2の上部センサ24bによって検出されると、制御装置31は第3の駆動モータ28の作動を停止し、キヤリアテープ1の巻取りを停止する。
【0044】
キヤリアテープ1は、図4に示すようにガイドレール13とキヤリアテープ巻き取りリール23との間でたるんだ部分が矢印方向に回転駆動される上記キヤリアテープ巻き取りリール23によって巻き取られ、スペーサテープ9bは大きな張力が生じることなく上記キヤリアテープ巻き取りリール23に巻き取られる。そのため、キヤリアテープ1とスペーサテープ9bは図8に示すようにキヤリアテープ巻き取りリール23の巻芯23aにたるんだ状態で巻き取られる。
【0045】
キヤリアテープ1が図5に示す状態まで巻き取られると、制御装置31は第3の駆動モータ28の作動を停止する。ついで、トルクモータからなる第4の駆動モータ29を作動してスペーサテープ供給リール22を、図5に矢印で示すスペーサテープ9bを巻き取る方向のトルクを生じさせて回転駆動する。
【0046】
それによって、キヤリアテープ巻き取りリール23に生じたキヤリアテープ1とスペーサテープ9bとのたるみが除去されることになる。この時点ではキヤリアテープ1の幅方向の振れが除去されているから、キヤリアテープ1とスペーサテープ9bをキヤリアテープ巻き取りリール23に位置ずれが生じることなく、たるみのない状態で確実に巻き取ることができる。
【0047】
トルクモータからなる上記第4の駆動モータ29はトルク設定部29bによって所定の巻き取りトルクに設定されている。そのため、キヤリアテープ巻き取りリール23に生じたキヤリアテープ1とスペーサテープ9bとのたるみが除去されて巻き取りトルクが増大し始めると、スペーサテープ供給リール22の回転トルクとスペーサテープ9bの張力とが平衡となり、スペーサテープ供給リール22の回転が停止した状態となる。
【0048】
その結果、キヤリアテープ1とスペーサテープ9bとをキヤリアテープ巻き取りリール23に強固に巻き取る際、これらテープ1,9bに必要以上の張力を加えて損傷させるようなことがない。
【0049】
このように、キヤリアテープ巻き取りリール23にキヤリアテープ1をスペーサテープ9bとともに巻き取る際、スペーサテープ9bに張力が加わるのを低減させるようにした。そのため、キヤリアテープ1が幅方向に振れても、そのキヤリアテープ1の振れが除去されてキヤリアテープ巻き取りリール23に巻き取られるため、キヤリアテープ1に位置ずれが生じるのを防止できる。
【0050】
しかも、張力がほとんど加わらない状態でキヤリアテープ巻き取りリール23に巻き取られたキヤリアテープ1とスペーサテープ9bにはたるみが生じるが、巻き取り後にスペーサテープ9bを巻き取る方向にスペーサテープ供給リール22を所定のトルクで回転させるようにした。
【0051】
そのため、キヤリアテープ巻き取りリール23に巻き取られたキヤリアテープ1とスペーサテープ9bとのたるみを除去することができる。つまり、キヤリアテープ1とスペーサテープ9bとをキヤリアテープ巻き取りリール23にずれやたるみが生じるようなことなく確実に巻き取ることができる。
【0052】
一方、キヤリアテープ1に対する電子部品16の実装状態を検査する場合、キヤリアテープ1に電子部品16を実装したならば、その部分をアンローダ部4側に送り、金型33によって打ち抜くことで行なわれる。
【0053】
キヤリアテープ1の電子部品16が実装された部分を打ち抜いたならば、キヤリアテープ1のアンローダ部4側に送った部分をローダ部3側に戻さなければならない。その場合、キヤリアテープ供給リール7とスペーサテープ巻き取りリール21をキヤリアテープ1の繰り出し時とは逆方向に回転させることになる。つまり、その場合には、ローダ部3がアンローダ部となり、アンローダ部4がローダ部となる。
【0054】
それによって、キヤリアテープ1がキヤリアテープ供給リール7に巻き取られることになるから、巻き取り時の位置ずれを防止するために、スペーサテープ巻き取りリール21を回転自由な状態としておく。
【0055】
そして、巻き取り後に、トルクモータからなる第2の駆動モータ27を作動させ、スペーサテープ9aを巻き取る方向にスペーサテープ巻き取りリール21を所定のトルクを付加して回転させることで、スペーサテープ巻き取りリール7に巻き取られたキヤリアテープ1とスペーサテープ9aとのたるみを除去することができる。この際、キヤリアテープ1とスペーサテープ9aは第2の駆動モータ27のトルク設定部29bに設定されたトルクで巻き取ることができる。
【0056】
なお、運転開始時などにキヤリアテープ1を逆方向に送る場合にも、スペーサテープ巻き取りリール7にキヤリアテープ1とスペーサテープ9aを同じように巻き取ればよい。
【0057】
上記一実施の形態では、実装装置において、キヤリアテープとスペーサテープとを巻き取る場合について説明したが、実装装置以外であっても、キヤリアテープ供給リールに重ねて巻かれたキヤリアテープとスペーサテープを繰り出し、そのキヤリアテープに所定の加工を行なってから、別のスペーサテープとともにキヤリアテープ巻き取りリールに巻き取る場合にも、この発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の一実施の形態を示す実装装置の概略的構成を示す正面図。
【図2】キヤリアテープの一部を拡大して示す平面図。
【図3】実装部における実装を説明するための図。
【図4】アンローダ部においてキヤリアテープのたるみ量が大きくなって巻き取られる状態を示す説明図。
【図5】アンローダ部においてキヤリアテープのたるみ量が小さくなって巻き取りが終了するときの状態を示す説明図。
【図6】トルクモータの説明図。
【図7】キヤリアテープのたるみを検出するセンサと各リールを回転駆動する駆動モータを制御する制御回路のブロック図。
【図8】キヤリアテープ巻き取りリールにキヤリアテープとスペーサテープとがたるんで巻き取られた状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0059】
1…キヤリアテープ、3…ローダ部、4…アンローダ部、5…実装部、7…キヤリアテープ供給リール、9a,9b…スペーサテープ、16…電子部品、21…スペーサテープ巻き取りリール、22…スペーサテープ供給リール、23…キヤリアテープ巻き取りリール、26〜29…第1乃至第4の駆動モータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キヤリアテープとスペーサテープとが重ねて巻かれたキヤリアテープ供給リールと、
このキヤリアテープ供給リールから上記キャリアーテープとともに繰り出される上記スペーサテープを巻き取るスペーサテープ巻き取りリールと、
上記キヤリアテープ供給リールから繰り出される上記キャリアーテープを巻き取るキヤリアテープ巻き取りリールと、
このキヤリアテープ巻き取りリールによってキヤリアテープを巻き取るときにこのキヤリアテープと重ねて巻かれるスペーサテープを供給するスペーサテープ供給リールと、
上記キヤリアテープのたるみ量が所定以上となって上記キヤリアテープ巻き取りリールを回転駆動して上記キヤリアテープとともに上記スペーサテープを巻き取るときに上記スペーサテープ供給リールを回転自由な状態とし、上記キヤリアテープのたるみ量が所定以下となって上記キヤリアテープ巻き取りリールによる巻き取りが停止したときに上記スペーサテープを巻き取る方向に上記スペーサテープ供給リールを所定のトルクで回転駆動する制御手段と
を具備したことを特徴とするテープ状部品の巻き取り装置。
【請求項2】
上記スペーサテープ供給リールは、このスペーサテープ供給リールの回転トルクを設定することができるトルクモータによって回転駆動されることを特徴とする請求項1記載のテープ状部品の巻き取り装置。
【請求項3】
キヤリアテープに電子部品を実装する実装装置であって、
上記キヤリアテープとスペーサテープとが重ねて巻かれたキヤリアテープ供給リールと、
このキヤリアテープ供給リールから上記キャリアーテープとともに繰り出される上記スペーサテープを巻き取るスペーサテープ巻き取りリールと、
上記キヤリアテープ供給リールから繰り出される上記キヤリアテープに上記電子部品を実装する実装部と、
この実装部で電子部品が実装されたキヤリアテープを巻き取るキヤリアテープ巻き取りリールと、
このキヤリアテープ巻き取りリールによって上記電子部品が実装されたキヤリアテープを巻き取るときにこのキヤリアテープと重ねて巻かれるスペーサテープを供給するスペーサテープ供給リールと、
上記キヤリアテープのたるみ量が所定以上となって上記キヤリアテープ巻き取りリールを回転駆動して上記キヤリアテープとともに上記スペーサテープを巻き取るときに上記スペーサテープ供給リールを回転自由な状態とし、上記キヤリアテープのたるみ量が所定以下となって上記キヤリアテープ巻き取りリールによる巻き取りが停止したときに上記スペーサテープを巻き取る方向に上記スペーサテープ供給リールを所定のトルクで回転駆動する制御手段と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装装置。
【請求項4】
キヤリアテープ供給リールに巻回されたキヤリアテープを繰り出す工程と、
上記キヤリアテープ供給リールから繰り出されたキヤリアテープにスペーサテープ供給リールから繰り出されたスペーサテープを重ねてキヤリアテープ巻き取りリールに巻き取る工程と、
上記キヤリアテープ巻き取りリールにキヤリアテープとスペーサテープを重ねて巻き取るときに上記スペーサテープ供給リールを回転自由の状態にして上記スペーサテープを繰り出す工程と、
上記キヤリアテープ巻き取りリールに上記キヤリアテープとともに上記スペーサテープを所定量巻き取ったならば、上記スペーサテープを巻き取る方向に上記スペーサテープ供給リールを所定のトルクで回転させる工程と
を具備したことを特徴とするテープ状部品の巻き取り方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate