説明

テープ貼付装置及びテープ貼付方法

【課題】カップ原紙等の紙の端部からテープ部材が余り難く、しかも紙とテープ部材との間に気泡が溜まり難いテープ貼付装置及びテープ貼付方法を提供する。
【解決手段】テープ貼付装置1は紙容器の素材になる原紙2を走行させながらその端部を覆うように帯状のテープ部材3を端部に沿って貼り付けるものであって、テープ部材3の幅方向の一方の側が端部からはみ出るように配置されたテープ部材3を原紙2の表面に貼り付ける上流側貼付装置7と、端部からはみ出したテープ部材3のはみ出し部が原紙2の裏面側に位置するようにテープ部材3を折り曲げる折り曲げ装置8と、折り曲げ装置8にて折り曲げられて原紙2の裏面側に位置するはみ出し部を原紙2の裏面に貼り付ける下流側貼付装置9とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙の端面にテープを貼り付けるためのテープ貼付装置及びテープ貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙カップ等の紙製容器の素材となるカップ原紙は、その原紙で作製した容器に耐水性を与えるために表面に樹脂等が被覆されている。周知のように、カップ原紙を用いて紙カップを作製する場合、カップ原紙を扇形に切断して胴部ブランクを形成し、そのブランクの両端を相互に接着して紙カップの胴部を形成する。胴部ブランクの繋ぎ目においてカップ原紙の切断面が露出すると紙カップの内容物に接触する。そこで、切断面の露出を避けるための種々の切断面の処理方法がある。例えば、その切断面が露出しないように、カップ原紙又は胴部ブランクの端部に帯状のテープ部材をU字型に貼り付ける方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−35591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の方法に使用される貼付装置では、生産性を少しでも高めるためにテープ部材をU字型に折り曲げた状態でカップ原紙の端部に沿わせてから、カップ原紙の両面にテープ部材を同時に貼り付けることが一般的である。しかしながら、U字型に折り曲げたテープ部材をカップ原紙の両面に同時に貼り付ける場合、U字型に折り曲げられたテープ部材をカップ原紙の端部に密着させることが難しいため、貼り付け後のテープ部材が端部において余り易い、テープ部材と端部との間に気泡が溜まり易い等の問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、カップ原紙等の紙の端部からテープ部材が余り難く、しかも紙とテープ部材との間に気泡が溜まり難いテープ貼付装置及びテープ貼付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、本発明のテープ貼付装置及びテープ貼付方法について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0007】
本発明のテープ貼付装置は、薄板状の紙(2)を走行させながら、走行方向と平行に延びる前記紙の端部(2a)を覆うように帯状のテープ部材(3)を前記端部に沿って貼り付けるテープ貼付装置(1)であって、前記テープ部材の幅方向の一方の側が前記端部からはみ出るように配置された前記テープ部材を前記紙の表面に貼り付ける第1の貼付装置(7)と、前記端部からはみ出した前記テープ部材のはみ出し部(3a)が前記紙の裏面側に位置するように前記第1の貼付装置にて前記紙に貼り付けられた状態の前記テープ部材を折り曲げる折り曲げ装置(8)と、前記折り曲げ装置にて折り曲げられて前記紙の裏面側に位置する前記はみ出し部を前記紙の裏面に貼り付ける第2の貼付装置(9)と、を備えることにより、上述した課題を解決する。
【0008】
このテープ貼付装置によれば、テープ部材が紙の表面に貼り付けられてから端部からはみ出たはみ出し部が折り曲げ装置にて裏面側に折り曲げられる。このため、紙の端部に沿わせてテープ部材を貼り付けることが容易になるので、予めテープ部材を折り曲げておいてから紙の両面にテープ部材を貼り付ける態様と比べて、紙の端部からテープ部材が余り難くなるとともに、紙とテープ部材との間に気泡が溜まり難くなる。また、紙の表面に対するテープ部材の貼り付けと、紙の裏面に対するテープ部材の貼り付けとが別々の貼付装置によって行われるため、予めテープ部材を折り曲げておいてから紙の両面にテープ部材を貼り付ける態様と比べて、テープ部材の折り返し量(はみ出し部の幅)を変更することが容易になる。
【0009】
本発明のテープ貼付装置の一態様において、前記第2の貼付装置は、前記紙の横幅方向に延びる回転軸線(Ax2)の回りに回転可能な状態で前記折り曲げ装置よりも前記紙の走行経路の下流側に設けられて前記紙の前記表面と接するように前記紙が巻き掛けられる円筒状の下流側回転ドラム(13)を備えるとともに、前記紙が前記下流側回転ドラムに巻き掛けられた状態で、前記はみ出し部を前記紙の前記裏面に貼り付けてもよい。この態様によれば、下流側回転ドラムに紙が巻き掛けられることにより紙が湾曲する。この場合、紙の表面と下流側回転ドラムとが接するためはみ出し部が貼り付けられる紙の裏面が湾曲の外側に位置する。そのため、テープ部材のはみ出し部を弛ませることなく紙の端部に沿わせることができるのでテープ部材と紙との密着度が増す。これにより、紙の裏面に貼り付けられたはみ出し部に皺が発生する等の不具合を防止することができる。
【0010】
本発明のテープ貼付装置においては、第1の貼付装置及び第2の貼付装置のそれぞれの構成やこれらの貼付装置によるテープ部材の貼り付け方法に特段の制限はない。例えば、本発明のテープ貼付装置の一態様において、前記紙は、加熱されることにより接着力が生じる熱接着性を持つ樹脂にて前記表面及び前記裏面がそれぞれ被覆されており、前記第1の貼付装置は、前記紙の横幅方向に延びる回転軸線(Ax1)の回りに回転可能な状態で前記折り曲げ装置よりも前記紙の走行経路の上流側に設けられて前記紙の前記裏面と接するように前記紙が巻き掛けられる円筒状の上流側回転ドラム(11)と、前記紙の横幅方向に延びる回転軸線(Ax3)の回りに回転可能な状態で前記上流側回転ドラムの周方向に距離を開けて設けられ、かつ所定温度に設定された一対の加熱プーリ(16)と、前記一対の加熱プーリに巻き掛けられ、かつ前記紙を介して前記上流側回転ドラムに押し付けられることにより前記一対の加熱プーリの熱を前記紙の前記端部に伝達できる伝熱ベルト(17)と、を備えてもよい。
【0011】
また、本発明のテープ貼付装置の一態様においては、前記紙は、加熱されることにより接着力が生じる熱接着性を持つ樹脂にて前記表面及び前記裏面がそれぞれ被覆されており、前記第2の貼付装置は、前記紙の横幅方向に延びる回転軸線(Ax2)の回りに回転可能な状態で前記折り曲げ装置よりも前記紙の走行経路の下流側に設けられ、前記紙の前記表面と接するように前記紙が巻き掛けられる円筒状の下流側回転ドラム(13)と、前記紙の横幅方向に延びる回転軸線(Ax3)の回りに回転可能な状態で前記下流側回転ドラムの周方向に距離を開けて設けられ、かつ所定温度に設定された一対の加熱プーリ(16)と、前記一対の加熱プーリに巻き掛けられ、かつ前記紙を介して前記下流側回転ドラムに押し付けられることにより前記一対の加熱プーリの熱を前記紙の前記端部に伝達できる伝熱ベルト(17)と、を備えてもよい。
【0012】
これらの態様とは異なり、平面状に保持された紙に平面状の伝熱ベルトを押し付ける態様では、一対の加熱プーリ間の距離が離れるほど一対の加熱プーリ間の伝熱ベルトの中央部における押し付け力が甘くなる。そのため、このような押し付け力の低下を補うために、一対の加熱プーリ間に伝熱ベルトを回転ドラムへ押し付けるための押え部材等を設ける対策が必要になる。しかし、これらの態様によれば、伝熱ベルトが一対の加熱プーリに巻き掛けられ、かつ上流側回転ドラム又は下流側回転ドラムに押し付けられるので伝熱ベルトは回転ドラムに沿って湾曲し、伝熱ベルトの押し付け力が均一化する。そのため、仮に伝熱ベルトの押し付け面積を稼ぐために一対の加熱プーリ間の距離を拡大した場合でも、上述した押え部材等の助けを借りることなく伝熱ベルトの押し付け力の低下を抑えることができる。
【0013】
本発明のテープ貼付装置の一態様においては、前記折り曲げ装置は、前記紙の前記端部を囲み、かつ前記紙の走行方向に延びるガイド部材(25)を有し、前記ガイド部材は、前記紙の前記表面側に位置する第1のガイド壁(25a)と、前記紙の前記裏面側に位置する第2のガイド壁(25b)と、前記第1のガイド壁及び前記第2のガイド壁のそれぞれと交差する方向に延びる第3のガイド壁(25c)とを有するとともに、前記第1のガイド壁と前記第2のガイド壁との間隔が前記紙の走行方向の下流に向かって徐々に狭くなり、かつ前記第3のガイド壁が前記紙の走行方向の下流に向かって前記端部に徐々に接近するように構成されていてもよい。この態様によれば、走行する紙がガイド部材を通過するだけで、テープ部材のはみ出し部が紙の裏面側に位置するように折り曲げられる。即ち、ガイド部材の第3のガイド壁が端部に徐々に接近しているので、紙がガイド部材を通過することによりテープ部材と第3のガイド壁とが干渉してテープ部材のはみ出し部が紙の裏面側に向けて曲げられる。そして、第1のガイド壁と第2のガイド壁との間隔が徐々に狭くなっているので、紙がガイド部材を通過することにより、テープ部材が貼り付けられた紙の表面と第1のガイド壁とが干渉するとともに、テープ部材のはみ出し部と第2のガイド壁とが干渉して、はみ出し部が紙の裏面側に位置するように折り曲げられる。
【0014】
本発明のテープ貼付装置の一態様においては、前記第1の貼付装置にて前記紙に貼り付けられる前の前記テープ部材が所定範囲内の張力で牽引されつつ供給されるように、前記テープ部材の牽引方向の反対方向に抵抗を与えるテープ部材供給装置(6)を更に備えてもよい。この態様によれば、テープ部材が紙によって牽引されるので、紙の走行速度に合うようにテープ部材を繰り出す速度を調整する必要がない。また、テープ部材の牽引方向の反対方向に抵抗を与えるので、テープ部材の張力が所定範囲内に保たれて、テープ部材の弛みを防止することができる。
【0015】
本発明の第1のテープ貼付方法は、薄板状の紙(2)を走行させながら、走行方向と平行に延びる前記紙の端部(2a)を覆うように帯状のテープ部材(3)を前記端部に沿って貼り付けるテープ貼付方法であって、前記テープ部材の幅方向の一方の側が前記端部からはみ出るように配置された前記テープ部材を前記紙の表面に貼り付ける第1の貼付工程と、前記第1の貼付工程の後に、前記端部からはみ出した前記テープ部材のはみ出し部(3a)が前記紙の裏面側に位置するように前記紙に貼り付けられた状態の前記テープ部材を折り曲げる折り曲げ工程と、前記折り曲げ工程の後に、前記紙の裏面側に位置する前記はみ出し部を前記紙の裏面に貼り付ける第2の貼付工程と、を備え、前記第2の貼付工程では、前記紙の前記裏面が湾曲の外側になるように前記紙を湾曲させた状態で前記テープ部材を前記紙に貼り付けるものである。
【0016】
第1のテープ貼付方法によれば、テープ部材のはみ出し部が貼り付けられる紙の裏面が湾曲の外側になるように紙を湾曲させるので、テープ部材のはみ出し部を弛ませることなく紙の端部に沿わせることができる。これにより、テープ部材と紙との密着度が増し、はみ出し部を紙の裏面に貼り付けた際に皺が発生する等の不具合を防止することができる。
【0017】
本発明の第2のテープ貼付方法は、加熱されることにより接着力が生じる熱接着性を持つ樹脂にて表面及び裏面がそれぞれ被覆された薄板状の紙(2)を走行させながら、走行方向と平行に延びる前記紙の端部(2a)を覆うように帯状のテープ部材(3)を、加熱されて接着力を生じた前記端部に沿って貼り付けるテープ貼付方法であって、前記テープ部材の幅方向の一方の側が前記端部からはみ出るように前記テープ部材を配置して前記端部を加熱することにより前記紙の表面に貼り付ける第1の貼付工程と、前記第1の貼付工程の後に、前記端部からはみ出した前記テープ部材のはみ出し部が前記紙の裏面側に位置するように前記紙に貼り付けられた状態の前記テープ部材を折り曲げる折り曲げ工程と、前記折り曲げ工程の後に、前記紙の裏面側に位置する前記はみ出し部を、前記端部を加熱することにより前記紙の裏面に貼り付ける第2の貼付工程と、を備え、前記第1の貼付工程及び前記第2の貼付工程の少なくとも一つの工程では、前記紙の前記横幅方向に延びる回転軸線(Ax1、Ax2)の回りに回転可能な回転ドラム(11、13)に前記紙を巻き掛けるとともに、前記回転ドラムの周方向に距離を開けて設けられ、かつ所定温度に設定された一対の加熱プーリ(16)と前記一対の加熱プーリに巻き掛けられて前記加熱プーリの熱を伝達できる伝熱ベルト(17)とを有した熱圧着装置(12)を、前記伝熱ベルトが前記紙の前記端部を介して前記回転ドラムに押し付けられるように配置することにより、前記テープ部材を前記紙に貼り付けるものである。
【0018】
第2のテープ貼付方法によれば、伝熱ベルトが一対の加熱プーリに巻き掛けられ、かつ回転ドラムに押し付けられるので伝熱ベルトは回転ドラムに沿って湾曲し、伝熱ベルトの押し付け力が均一化する。そのため、一対の加熱プーリ間の距離を拡大した場合でも、上述した押え部材等の助けを借りることなく伝熱ベルトの押し付け力の低下を抑えることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明のテープ貼付装置によれば、テープ部材が紙の表面に貼り付けられてから端部からはみ出たはみ出し部が折り曲げ装置にて裏面側に折り曲げられるため、紙の端部に沿わせてテープ部材を貼り付けることが容易になるので、紙の端部からテープ部材が余り難くなるとともに、紙とテープ部材との間に気泡が溜まり難くなる。
【0020】
また、本発明の第1のテープ貼付方法によれば、テープ部材のはみ出し部が貼り付けられる紙の裏面が湾曲の外側になるように紙を湾曲させるので、テープ部材のはみ出し部を弛ませることなく紙の端部に沿わせることができる。これにより、テープ部材と紙との密着度が増し、はみ出し部を紙の裏面に貼り付けた際に皺が発生する等の不具合を防止することができる。
【0021】
また、本発明の第2のテープ貼付方法によれば、伝熱ベルトが一対の加熱プーリに巻き掛けられ、かつ回転ドラムに押し付けられるので伝熱ベルトは回転ドラムに沿って湾曲し、伝熱ベルトの押し付け力が均一化するので、一対の加熱プーリ間の距離を拡大した場合でも伝熱ベルトの押し付け力の低下を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1及び図2は本発明のテープ貼付方法を実現できるテープ貼付装置の一形態を示している。図1はテープ貼付装置の側面概略図を、図2は図1の矢印IIの方向から見た状態をそれぞれ示している。テープ貼付装置1は、紙容器の素材になる薄板状の紙としての原紙2を走行させながら、その走行方向と平行に延びる端部2aを覆うように帯状のテープ部材3を端部2aに沿って貼り付けるために用いられる。原紙2は所定の横幅を持つ周知のカップ原紙であり、その表面及び裏面のそれぞれがポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂にて被覆されている。原紙2を被覆する熱可塑性樹脂は加熱されることにより接着力が生じる熱接着性を持っている。図示を省略するが、テープ部材3は所定の剛性を持つ樹脂製の中心層とその中心層を被覆する樹脂製の被覆層とを含んでいる。原紙2と接触する側の被覆層の材質としては、原紙2と同様な熱接着性樹脂を選択することもできる。原紙2とテープ部材3とがこのような材料で構成されているため、原紙2にテープ部材3を載せた状態で所定温度まで加熱して荷重をかけることにより原紙2にテープ部材3を貼り付けることができる。
【0023】
テープ貼付装置1は工場等の床面に図示の向きに配置されるベースフレーム4を有しており、そのベースフレーム4には、カップ原紙2をロール状に巻かれた状態で保持しつつ繰り出すことができる原紙供給装置5と、原紙供給装置5から繰り出された原紙2に貼り付けるテープ部材3を供給するテープ部材供給装置6とがそれぞれ設けられる。原紙供給装置5から繰り出された原紙2は図1の矢印で示した走行経路を経て図1の左側から排出される。また、原紙2を安定的に走行させるため、原紙2の走行経路の各所には9つの原紙案内ローラ10A〜10Iが配置されており、これらの原紙案内ローラ10A〜10Iは回転可能な状態でベースフレーム4に取り付けられている。
【0024】
テープ部材供給装置6はテープ部材3を糸巻き状に巻かれた状態で保持しつつ繰り出すことができるテープ保持部6aと、そのテープ保持部6aから繰り出されたテープ部材3を所定位置に案内するテープ案内ローラ6bとを備える。テープ案内ローラ6bは、原紙2の端部2aに対応する位置に位置決めされている。このため、保持部6aから繰り出されたテープ部材3がテープ案内ローラ6aにて案内されることにより、テープ部材3はその幅方向の一方の側が原紙2の端部2aからはみ出るように配置される。テープ部材供給装置6の保持部6aはテープ部材3が所定範囲内の張力で牽引されつつ供給されるように不図示のウエイトを内蔵しており、そのウエイトによってテープ部材3の牽引方向の反対方向に抵抗が与えられている。テープ部材3は原紙2によって牽引されるので、テープ部材供給装置6がテープ部材3を繰り出す速度を調整する必要がない。また、牽引されるテープ部材の張力が保持部6aによって所定範囲内に保たれるので、テープ部材3の弛みを防止することができる。
【0025】
テープ貼付装置1のベースフレーム4には、原紙2の走行経路の上流側から下流側に向かって、上流側貼付装置7、折り曲げ装置8、及び下流側貼付装置9がそれぞれ設けられている。上流側貼付装置7は原紙2の端部2aからはみ出るように配置されたテープ部材3を原紙2の表面に貼り付ける第1の貼付工程を実行する。また、折り曲げ装置8は上流側貼付装置7によって原紙2の表面に貼り付けられたテープ部材3のはみ出し部3a(図5参照)が原紙2の裏面側に位置するようにテープ部材3を折り曲げる折り曲げ工程を実行する。また、下流側貼付装置9は折り曲げ装置8にて折り曲げられて原紙2の裏面側に位置するはみ出し部3aを原紙2の裏面に貼り付ける第2の貼付工程を実行する。
【0026】
図1及び図2から明らかなように、テープ部材供給装置6、上流側貼付装置7、折り曲げ装置8及び下流側貼付装置9は原紙2の二つの端部2aのそれぞれに対応するように二つずつ設けられている。これにより、テープ貼付装置1は原紙2の二つの端部2aを同時に処理することができる。
【0027】
上流側貼付装置7は、原紙2の裏面と接するように原紙2が巻き掛けられ、かつ原紙2の横幅方向に延びる軸線Ax1の回りに回転可能な状態でベースフレーム4に設けられた円筒状の上流側回転ドラム11と、その上流側回転ドラム11の周囲に並ぶようにしてベースフレーム4に設けられた互いに同一構成の3つの熱圧着装置12とを備えている。また、下流側貼付装置9は、原紙2の表面と接するように原紙2が巻き掛けられ、かつ原紙2の横幅方向に延びる軸線Ax2の回りに回転可能な状態でベースフレーム4に設けられた円筒状の下流側回転ドラム13と、上流側貼付装置12と同一構成の3つの熱圧着装置12とを備えている。
【0028】
図3は上流側貼付装置7及び下流側貼付装置9のそれぞれが備えている熱圧着装置12の詳細を示した拡大図である。この図に示すように、熱圧着装置12はベースフレーム4の所定位置に取り付けられるベース15と、上流側回転ドラム11又は下流側回転ドラム13の周方向に距離を開けて設けられた一対の加熱プーリ16と、一対の加熱プーリ16に巻き掛けられる無端状の伝熱ベルト17とを備えている。各加熱プーリ16は、原紙2の横幅方向に延びる回転軸線Ax3の回りに回転可能な状態でベース15に取り付けられている。また、熱圧着装置12は、各加熱プーリ16が回転軸線Ax3の方向にスライドできるように構成されている(図2参照)。これにより、加熱プーリ16による圧着位置を回転軸線Ax3の方向に関して変更することが可能になり、原紙2の紙幅変更に容易に対応できる。各加熱プーリ16はヒータ16aを内蔵しており、そのヒータ16aの動作を制御する制御装置(不図示)によって各加熱プーリ16はテープ部材3の貼り付けに必要な所定温度に設定されている。伝熱ベルト17は熱伝導率が良好な鋼板や銅板等の金属材料で構成されている。伝熱ベルト17は、一方の加熱プーリ16の回転が他方の加熱プーリ16へ伝達でき、かつ原紙2を介して上流側回転ドラム11又は下流側回転ドラム13に所定の力で押し付けられるように、ベース15に回転自在に取り付けられたテンショナプーリ18によって所定の張力が確保されている。
【0029】
熱圧着装置12は、図3の左側に位置する一方の加熱プーリ16を回転駆動するための駆動装置20を更に備えている。駆動措置20は、ブラケット19を介してベース15に取り付けられた電動モータ21と、電動モータ21の回転を一方の加熱プーリ16に伝達するベルト伝達機構22とを備えている。ベルト伝達機構22は電動モータ21の回転軸21aと一体回転する駆動プーリ22aと、加熱プーリ16と一体回転する被駆動プーリ22bと、これらのプーリに巻き掛けられるベルト22cとを備えている。もっとも、電動モータ21への通電は原紙2が走行している時には行われない。原紙2が走行している時には伝熱ベルト17が原紙2を介して上流側回転ドラム11又は下流側回転ドラム13に押し付けられた状態で各加熱プーリ16が回転することにより、伝達機構22を介して電動モータ21が回転される。このような状態では、原紙2の走行中に伝熱ベルト17が原紙2を介して上流側回転ドラム11又は下流側回転ドラム13に押し付けられるため、原紙2の端部2aが加熱されて原紙2の端部2aにテープ部材3を貼り付けることができる。一方、電動モータ21へ通電されるのは、加熱プーリ16と原紙2とが離された状態で原紙2の走行が停止している時である。この時には、電動モータ21への通電によって各加熱プーリ16と伝熱ベルト17とが空転する。これにより伝熱ベルト17の熱ムラを減じることができる。なお、熱圧着装置12の設置数は適宜に定めてよい。
【0030】
図4〜図6は折り曲げ装置8の詳細を示している。図4は図1の折り曲げ装置8の拡大図を、図5は図4の矢印Vの方向から見た状態を示した図を、図6は図5のVI−VI線に沿った断面図をそれぞれ示している。これらの図に示すように、折り曲げ装置8はステー26を介してベースフレーム4に取り付けられるガイド部材25を備えている。ガイド部材25は原紙2の端部2aを囲み、原紙2の走行方向Fに沿って延びている。ガイド部材25は原紙2の表面側に位置する上方ガイド壁25aと、原紙2の裏面側に位置する下方ガイド壁25bと、これらのガイド壁25a、25bのそれぞれと交差する方向に延びて、これらを接続する側方ガイド壁25cとを有している。側方ガイド壁25cは上方ガイド壁25a及び下方ガイド壁25bのそれぞれと垂直に交差するようにしてもよいが、図示の側方ガイド壁25cは、原紙2の表面側から裏面側に向かう過程で、原紙2から徐々に離れるように傾いている。
【0031】
図4に示すように、上方ガイド壁25aと下方ガイド壁25bとの間隔は原紙2の走行方向Fの下流に向かって徐々に狭くなっている。また、図5に示すように、側方ガイド25cは原紙2の走行方向Fの下流に向かって徐々に端部2aに接近する。ガイド部材25がこのように構成されているため、図5及び図6に示すように、原紙2がガイド部材25を通過することによりテープ部材3と側方ガイド壁25cとが干渉してテープ部材3のはみ出し部3aが原紙2の裏面側に向けて曲げられる。そして、図4に示すように、上方ガイド壁25aと下方ガイド壁25bとの間隔が徐々に狭くなっているので、原紙2がガイド部材25を通過することにより、テープ部材3が貼り付けられた原紙2の表面と上方ガイド壁25aとが干渉するとともに、テープ部材3のはみ出し部3aと下方ガイド壁25bとが干渉して、はみ出し部3aは原紙2の裏面側に位置するように折り曲げられる。
【0032】
以上のテープ貼付装置1によれば、原紙2が走行経路を走行する過程で、上流側貼付装置7、折り曲げ装置8及び下流側貼付装置9によって、第1の貼付工程、折り曲げ工程及び第2の貼付工程がそれぞれ実行される。上流側貼付装置7によってテープ部材3が原紙2の表面に貼り付けられてから、折り曲げ装置8によってはみ出し部3aが裏面側に折り曲げられる。そのため、原紙2の端部2aに沿わせてテープ部材3を貼り付けることが容易になるので、予めテープ部材を折り曲げておいてから原紙2の両面にテープ部材3を貼り付ける形態と比べて、原紙2の端部2aからテープ部材3が余り難くなるとともに、原紙2とテープ部材3との間に気泡が溜まり難くなる。
【0033】
また、上流側貼付装置7及び下流側貼付装置9は、上流側回転ドラム11又は下流側回転ドラム13に原紙2を巻き掛けるとともに、熱圧着装置12を、その伝熱ベルト17が原紙2の端部2aを介して上流側回転ドラム11又は下流側回転ドラム13に押し付けられるように配置してテープ部材3を原紙2の端部2aに貼り付ける。即ち、伝熱ベルト17が一対の加熱プーリ16に巻き掛けられた状態で上流側回転ドラム11又は下流側回転ドラム13に押し付けられるので伝熱ベルト17は上流側回転ドラム11又は下流側回転ドラム13に沿って湾曲して伝熱ベルト17の押し付け力が均一化する。そのため、仮に一対の加熱プーリ16間の距離を拡大した場合でも、伝熱ベルト17の押し付け力の低下を抑えることができる。
【0034】
また、下流側貼付装置9では、原紙2の裏面側が湾曲の外側になるように下流側回転ドラム13にて原紙2を湾曲させた状態でテープ部材3を原紙2に貼り付けるものであるので、テープ部材3のはみ出し部3aを弛ませることなく原紙2の端部2aに沿わせることができる。これにより、テープ部材3と原紙2との密着度が増し、はみ出し部3aを原紙2の裏面に貼り付けた際に皺が発生する等の不具合を防止することができる。
【0035】
以上の形態において、上流側貼付装置7が本発明に係る第1の貼付装置に、下流側貼付装置9が本発明に係る第2の貼付装置に、ガイド部材25の上方ガイド壁25aが本発明に係る第1のガイド壁に、下方ガイド壁25bが本発明に係る第2のガイド壁に、側方ガイド壁25bが本発明に係る第3のガイド壁に、それぞれ相当する。
【0036】
但し、本発明は以上の形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内において種々の形態にて実施できる。テープ部材を紙に貼り付ける方法は上述した熱圧着に限らない。例えば、片面に接着層が形成されたテープ部材を紙の端部に貼り付ける形態で本発明の装置又は方法を実施することができる。また、上流側回転ドラムや下流側回転ドラムに紙を巻き掛けた状態でテープ部材を貼り付けることは一例にすぎない。例えば、紙を平面状に保持した状態でその端部にテープ部材を貼り付ける形態で本発明の装置を実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のテープ貼付装置の一形態を示した側面概略図。
【図2】図1の矢印IIの方向から見た状態を示した図。
【図3】上流側貼付装置及び下流側貼付装置のそれぞれが備えている熱圧着装置の詳細を示した拡大図。
【図4】図1の折り曲げ装置の拡大図。
【図5】図4の矢印Vの方向から見た状態を示した図。
【図6】図5のVI−VI線に沿った断面図。
【符号の説明】
【0038】
1 テープ貼付装置
2 原紙(紙)
2a 端部
3 テープ部材
3a はみ出し部
6 テープ部材供給装置
7 上流側貼付装置(第1の貼付装置)
8 折り曲げ装置
9 下流側貼付装置(第2の貼付装置)
11 上流側回転ドラム
12 熱圧着装置
13 下流側回転ドラム
16 加熱プーリ
17 伝熱ベルト
25 ガイド部材
25a 上方ガイド壁(第1のガイド壁)
25b 下方ガイド壁(第2のガイド壁)
25c 側方ガイド壁(第3のガイド壁)
Ax1、Ax2、Ax3 回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄板状の紙を走行させながら、走行方向と平行に延びる前記紙の端部を覆うように帯状のテープ部材を前記端部に沿って貼り付けるテープ貼付装置であって、
前記テープ部材の幅方向の一方の側が前記端部からはみ出るように配置された前記テープ部材を前記紙の表面に貼り付ける第1の貼付装置と、
前記端部からはみ出した前記テープ部材のはみ出し部が前記紙の裏面側に位置するように前記第1の貼付装置にて前記紙に貼り付けられた状態の前記テープ部材を折り曲げる折り曲げ装置と、
前記折り曲げ装置にて折り曲げられて前記紙の裏面側に位置する前記はみ出し部を前記紙の裏面に貼り付ける第2の貼付装置と、
を備えることを特徴とするテープ貼付装置。
【請求項2】
前記第2の貼付装置は、前記紙の横幅方向に延びる回転軸線の回りに回転可能な状態で前記折り曲げ装置よりも前記紙の走行経路の下流側に設けられて前記紙の前記表面と接するように前記紙が巻き掛けられる円筒状の下流側回転ドラムを備えるとともに、前記紙が前記下流側回転ドラムに巻き掛けられた状態で、前記はみ出し部を前記紙の前記裏面に貼り付けることを特徴とする請求項1に記載のテープ貼付装置。
【請求項3】
前記紙は、加熱されることにより接着力が生じる熱接着性を持つ樹脂にて前記表面及び前記裏面がそれぞれ被覆されており、
前記第1の貼付装置は、前記紙の横幅方向に延びる回転軸線の回りに回転可能な状態で前記折り曲げ装置よりも前記紙の走行経路の上流側に設けられて前記紙の前記裏面と接するように前記紙が巻き掛けられる円筒状の上流側回転ドラムと、前記紙の横幅方向に延びる回転軸線の回りに回転可能な状態で前記上流側回転ドラムの周方向に距離を開けて設けられ、かつ所定温度に設定された一対の加熱プーリと、前記一対の加熱プーリに巻き掛けられ、かつ前記紙を介して前記上流側回転ドラムに押し付けられることにより前記一対の加熱プーリの熱を前記紙の前記端部に伝達できる伝熱ベルトと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載のテープ貼付装置。
【請求項4】
前記紙は、加熱されることにより接着力が生じる熱接着性を持つ樹脂にて前記表面及び前記裏面がそれぞれ被覆されており、
前記第2の貼付装置は、前記紙の横幅方向に延びる回転軸線の回りに回転可能な状態で前記折り曲げ装置よりも前記紙の走行経路の下流側に設けられ、前記紙の前記表面と接するように前記紙が巻き掛けられる円筒状の下流側回転ドラムと、前記紙の横幅方向に延びる回転軸線の回りに回転可能な状態で前記下流側回転ドラムの周方向に距離を開けて設けられ、かつ所定温度に設定された一対の加熱プーリと、前記一対の加熱プーリに巻き掛けられ、かつ前記紙を介して前記下流側回転ドラムに押し付けられることにより前記一対の加熱プーリの熱を前記紙の前記端部に伝達できる伝熱ベルトと、を備えていることを特徴とする請求項1又は3に記載のテープ貼付装置。
【請求項5】
前記折り曲げ装置は、前記紙の前記端部を囲み、かつ前記紙の走行方向に延びるガイド部材を有し、
前記ガイド部材は、前記紙の前記表面側に位置する第1のガイド壁と、前記紙の前記裏面側に位置する第2のガイド壁と、前記第1のガイド壁及び前記第2のガイド壁のそれぞれと交差する方向に延びる第3のガイド壁とを有するとともに、前記第1のガイド壁と前記第2のガイド壁との間隔が前記紙の走行方向の下流に向かって徐々に狭くなり、かつ前記第3のガイド壁が前記紙の走行方向の下流に向かって前記端部に徐々に接近するように構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のテープ貼付装置。
【請求項6】
前記第1の貼付装置にて前記紙に貼り付けられる前の前記テープ部材が所定範囲内の張力で牽引されつつ供給されるように、前記テープ部材の牽引方向の反対方向に抵抗を与えるテープ部材供給装置を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のテープ貼付装置。
【請求項7】
薄板状の紙を走行させながら、走行方向と平行に延びる前記紙の端部を覆うように帯状のテープ部材を前記端部に沿って貼り付けるテープ貼付方法であって、
前記テープ部材の幅方向の一方の側が前記端部からはみ出るように配置された前記テープ部材を前記紙の表面に貼り付ける第1の貼付工程と、
前記第1の貼付工程の後に、前記端部からはみ出した前記テープ部材のはみ出し部が前記紙の裏面側に位置するように前記紙に貼り付けられた状態の前記テープ部材を折り曲げる折り曲げ工程と、
前記折り曲げ工程の後に、前記紙の裏面側に位置する前記はみ出し部を前記紙の裏面に貼り付ける第2の貼付工程と、を備え、
前記第2の貼付工程では、前記紙の前記裏面が湾曲の外側になるように前記紙を湾曲させた状態で前記テープ部材を前記紙に貼り付けることを特徴とするテープ貼付方法。
【請求項8】
加熱されることにより接着力が生じる熱接着性を持つ樹脂にて表面及び裏面がそれぞれ被覆された薄板状の紙を走行させながら、走行方向と平行に延びる前記紙の端部を覆うように帯状のテープ部材を、加熱されて接着力を生じた前記端部に沿って貼り付けるテープ貼付方法であって、
前記テープ部材の幅方向の一方の側が前記端部からはみ出るように前記テープ部材を配置して前記端部を加熱することにより前記紙の表面に貼り付ける第1の貼付工程と、
前記第1の貼付工程の後に、前記端部からはみ出した前記テープ部材のはみ出し部が前記紙の裏面側に位置するように前記紙に貼り付けられた状態の前記テープ部材を折り曲げる折り曲げ工程と、
前記折り曲げ工程の後に、前記紙の裏面側に位置する前記はみ出し部を、前記端部を加熱することにより前記紙の裏面に貼り付ける第2の貼付工程と、を備え、
前記第1の貼付工程及び前記第2の貼付工程の少なくとも一つの工程では、前記紙の前記横幅方向に延びる回転軸線の回りに回転可能な回転ドラムに前記紙を巻き掛けるとともに、前記回転ドラムの周方向に距離を開けて設けられ、かつ所定温度に設定された一対の加熱プーリと前記一対の加熱プーリに巻き掛けられて前記加熱プーリの熱を伝達できる伝熱ベルトとを有した熱圧着装置を、前記伝熱ベルトが前記紙の前記端部を介して前記回転ドラムに押し付けられるように配置することにより、前記テープ部材を前記紙に貼り付けることを特徴とするテープ貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−279812(P2009−279812A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133287(P2008−133287)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】