説明

テープ類の梱包装置、テープ類の梱包方法、および、テープ類の梱包箱

【課題】テープ類の損傷のない梱包ができるとともに、テープ類のもつれのない円滑な引き出しが簡単な構成でできるテープ類の梱包方法を提供する。
【解決手段】テープ類200を挿通する「L」字状に屈曲した筒状ガイド部110の垂直部111の同軸上に、位置決め手段120の棒状部材121を連結具122で連結する。梱包箱300に同軸上に設けた円筒状の中心部320の内径面に、棒状部材121の外径面を回転自在に嵌挿させる。これにより、垂直部111と中心部320とが同軸上に位置することとなり、バラ梱包の際に梱包箱300内でのテープ類200の嵩密度の分布の差が小さくなり、テープ類の折損や引き出し時の絡まりなどの不都合を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープ類を梱包箱内に落下させながら梱包箱の中央を中心として円周状に箱詰めして梱包するテープ類の梱包装置、テープ類の梱包方法、および、テープ類の梱包箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テープ類の梱包方法として、梱包箱内からテープ類を繰り出す際に、梱包箱内のテープ類の絡まりを防止するため、テープ類を落下させながら箱詰めする、いわゆるバラ梱包が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載のものは、梱包箱の中央部を回転の中心として回転力を付与させるとともに、付与する回転力の方向を3〜6回の特定回転数毎に順方向と逆方向とを交互に変換させて梱包させる構成が採られている。
【0003】
【特許文献1】特許第3872899号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載のような従来のバラ梱包において、テープ類は、梱包箱の底面から上方に向かって順次積み上がっていく状態に箱詰めされることが望ましい。
一方、梱包箱は、製造性や搬送性などの点で四角形が一般的である。このため、梱包箱における側面部分では梱包するテープ類の嵩密度が高く、四隅部分では嵩密度が低くなる傾向にある。このため、嵩密度が高い箇所ではテープ類が折れたり、嵩密度が低い箇所ではテープ類が動きやすく搬送時などの振動で上に位置すべき部分が下に潜り込み、テープ類の使用時の引き出しの際に絡まる原因となるおそれがある。
そこで、梱包箱の側面部分と四隅部分との嵩密度の差が大きくならないように、四角い梱包箱内にテープ類を落下して円周状に箱詰めする際のテープ類の回転の中心と梱包箱の中心とを精度高く合わせる必要がある。しかしながら、特許文献1に記載のような構成で、テープ類の回転中心と梱包箱の中心とを精度高く合わせることは、極めて煩雑であり、梱包効率が極めて低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて、テープ類の損傷の無い梱包およびテープ類のもつれのない円滑な引き出しが簡単な構成で容易にできるテープ類の梱包装置、テープ類の梱包方法、および、テープ類の梱包箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に記載のテープ類の梱包装置は、テープ類を梱包箱内に落下させながら前記梱包箱の中央を中心として円周状に箱詰めして梱包するテープ類の梱包装置であって、筒状の垂直部およびこの垂直部の下端部に連続し外周方向に向けて屈曲され下端から前記テープ類を落下させる案内部を備えた筒状ガイド部と、この筒状ガイド部に設けられ、前記垂直部の中心軸を、前記梱包箱の中央を通過する鉛直方向に同軸上に、かつ前記案内部と前記梱包箱との少なくともいずれか一方が前記垂直部の中心軸を中心として相対的に回転する状態に、位置させる位置決め手段と、を具備したことを特徴とする。
この発明では、テープ類を梱包箱内に落下させながら梱包箱の中央を中心として円周状に箱詰めする際、テープ類を下端から落下させる案内部を備えた筒状ガイド部に設けた位置決め手段により、筒状ガイド部の筒状の垂直部の中心軸を梱包箱の中心を通過する鉛直方向に同軸上に位置させるとともに、垂直部の中心軸を中心として、垂直部の下端部に連続し外周方向に向けて屈曲された案内部と梱包箱との少なくともいずれか一方が相対的に回転する状態に位置させる。
このことにより、テープ類を落下して円周状に箱詰めする際のテープ類の回転の中心と梱包箱の中心とが、鉛直方向の同一軸上に位置することとなる。このため、仮に角形の梱包箱を利用しても、梱包箱内における落下したテープ類の嵩密度の分布差が小さくなり、嵩密度が高い位置でのテープ類の折損や、嵩密度が低い位置でのテープ類の重積状態の変動による引き出し時の絡まりなどの不都合が防止される。
【0007】
そして、本発明では、前記位置決め手段は、前記梱包箱の中央に同軸上に設けられた中心部に係脱可能で相対的に回転自在に形成された構成とすることが好ましい。
この発明では、梱包箱の中央に同軸上に中心部を設けた梱包箱を用い、梱包箱の中心部に相対的に回転自在に係脱可能に位置決め手段を設ける。
このことにより、例えば筒状の中心部に棒状の位置決め手段を回転自在に嵌挿させたり、中心部と位置決め手段とが互いに係脱することで自在継ぎ手を構成させたり、磁性材料の中心部と着磁された磁性材料の位置決め手段とを強い磁力にて引き合う状態とさせたりするなど、従前の簡単な構成を利用するのみで、テープ類の回転の中心と梱包箱の中心とが鉛直方向の同一軸上に位置される。
【0008】
また、本発明では、前記位置決め手段は、前記梱包箱の中央に同軸上に設けられた円筒状の中心部に回転自在に嵌挿される下端部の外周面が円筒状に形成された構成とすることが好ましい。
この発明では、梱包箱の中央に同軸上に設ける中心部を円筒状とし、外周面が円筒状の位置決め手段の下端部を中心部に回転自在に嵌挿させる。
このことにより、簡単な構成で、テープ類の回転の中心と梱包箱の中心とが鉛直方向の同一軸上に位置される。
【0009】
さらに、本発明では、前記位置決め手段は、前記梱包箱の中央に同軸上に設けられた中心部に係脱可能に、前記筒状ガイド部に相対的に回転自在に設けられた構成とすることが好ましい。
この発明では、梱包箱の中央に同軸上に設けた中心部に係脱される位置決め手段を、筒状ガイド部に相対的に回転可能に設ける。
このことにより、筒状ガイド部が梱包箱の中心部に対して位置決め手段により相対的に回転する状態が、例えば位置決め手段として自在継ぎ手を用いるなど容易に得られ、テープ類の回転の中心と梱包箱の中心とを鉛直方向の同一軸上に位置させることが容易に得られる。
【0010】
また、本発明では、前記位置決め手段は、回転継ぎ手により前記筒状ガイド部に回転自在に設けられた構成とすることが好ましい。
この発明では、回転継ぎ手を介して筒状ガイド部に回転自在に設けることで、位置決め手段を梱包箱の中心部に係脱可能な構成とするのみでよく、テープ類の回転の中心と梱包箱の中心とを鉛直方向の同一軸上に位置させることが容易に得られる。
【0011】
そして、本発明では、前記筒状ガイド部が回転可能に設けられた構成とすることが好ましい。
この発明では、テープ類を落下させる筒状ガイド部を回転可能に設ける。
このことにより、梱包箱は回転させる必要がなく単に載置させるのみでよく、作業空間の縮小化、装置の小型化などが容易に得られる。
【0012】
本発明の記載のテープ類の梱包方法は、テープ類を梱包箱内に落下させながら前記梱包箱の中央を中心として円周状に箱詰めして梱包するテープ類の梱包方法であって、筒状の垂直部およびこの垂直部の下端部に連続し外周方向に向けて屈曲され下端から前記テープ類を落下させる案内部を備えた筒状ガイド部における前記垂直部の中心軸を、前記梱包箱の中央を通過する鉛直方向に同軸上に維持させつつ、前記垂直部の中心軸を中心として前記案内部と前記梱包箱との少なくともいずれか一方を相対的に回転させることを特徴とする。
この発明は、請求項1に記載のテープ類の梱包装置をテープ類の梱包方法に展開したもので、請求項1と同様の作用効果を奏する。
【0013】
本発明に記載のテープ類の梱包箱は、落下されるテープ類を内部の中央を中心として円周状に箱詰めして梱包するテープ類の梱包箱であって、上面を開口する箱状の箱本体と、この箱本体の内部の中央に同軸上に設けられ、筒状の垂直部およびこの垂直部の下端部に連続し外周方向に向けて屈曲され下端から前記テープ類を落下させる案内部を備えた筒状ガイド部が、前記垂直部の中心軸を前記箱本体の中央を通過する鉛直方向に同軸上に維持させつつ前記垂直部の中心軸を中心として前記案内部と前記箱本体との少なくともいずれか一方を相対的に回転自在に、連結される中心部と、を備えたことを特徴とする。
この発明では、テープ類を下端から落下させる案内部を備えた筒状ガイド部が連結可能に、上面を開口する箱状の箱本体の内部の中央に同軸上に中心部を設けている。この中心部は、筒状ガイド部の筒状の垂直部の中心軸が箱本体の中央を通過する鉛直方向に同軸上に維持させつつ垂直部の中心軸を中心として案内度と箱本体との少なくともいずれか一方を相対的に回転可能に筒状ガイド部と連結可能に構成している。
このことにより、筒状ガイド部にてテープ類を落下させて円周状に箱本体内に箱詰めする際のテープ類の回転の中心と箱本体の中心とが、鉛直方向の同一軸上に位置することとなる。このため、仮に角形の箱本体を利用しても、箱本体内における落下したテープ類の嵩密度の分布差が小さくなり、嵩密度が高い位置でのテープ類の折損や、嵩密度が低い位置でのテープ類の重積状態の変動による引き出し時の絡まりなどの不都合が防止される。
【0014】
そして、本発明では、前記中心部は、着脱可能に設けられた構成とすることが好ましい。
この発明では、中心部を着脱可能に梱包箱に設ける。
このことにより、テープ類を落下させてテープ類が折損することなく良好に引き出しできる状態に箱詰めする際に必要となる中心部を、例えば箱詰め作業の後に取り外して他の箱本体に取り付けて他の箱詰め作業に利用することで、中心部の共有化が図れ、梱包コストの低減や位置決めのための装置方向の簡略化、梱包箱の重量低減による搬送性の向上などが図れる。
また、梱包箱の中心軸を着脱可能に設けた構成とすることにより、中心軸を配置した状態で搬送し、中心軸を外した状態でテープ類を引き出すことが可能となる。このことにより、搬送時における梱包箱の破損を防止できるとともに、テープ類の引出し時におけるテープ類の絡まりを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、筒状ガイド部の筒状の垂直部の中心軸を梱包箱の中心を通過する鉛直方向に同軸上に位置させるとともに、垂直部の中心軸を中心として、垂直部の下端部に連続し外周方向に向けて屈曲された案内部と梱包箱との少なくともいずれか一方が相対的に回転する状態に、筒状ガイド部に位置決め手段を設けるので、テープ類を落下して円周状に箱詰めする際のテープ類の回転の中心と梱包箱の中心とが、鉛直方向の同一軸上に位置することとなり、仮に角形の梱包箱を利用しても、梱包箱内における落下したテープ類の嵩密度の分布差が小さくなり、嵩密度が高い位置でのテープ類の折損や、嵩密度が低い位置でのテープ類の重積状態の変動による引き出し時の絡まりなどの不都合を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明のテープ類の梱包に係る梱包装置、梱包方法、および梱包箱の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態におけるテープ類の梱包装置の概略構成を示す一部を切り欠いた側面図である。図2は、本実施形態における梱包箱を示す斜視図である。図3は、本実施形態における梱包箱を示す平面図である。
【0017】
[梱包装置の構成]
図1において、100は梱包装置で、梱包装置100は、テープ類200を落下させながら箱詰めして梱包、いわゆるバラ梱包する梱包する装置である。具体的には、梱包装置100は、梱包箱300内に落下する途上のテープ類200に梱包装置300の中央を通る鉛直方向を回転中心軸とする回転力を付与し、かつその回転力の方向を一定回転数毎に順方向と逆方向とに交互に変化させながら梱包する装置である。
ここで、本発明における梱包対象であるテープ類200としては、例えば、合成樹脂製のジッパーテープ、装飾用のレーステープ、リボン、帯状ケーブル線などが例示できる。なお、テープ類200は、これらに限られるものではない。
【0018】
そして、梱包装置100は、テープ類200を挟持した状態で引き出す一対のピンチローラ(図示せず)と、テープ類200を引き出す際に支持する一対のガイドローラ(図示せず)を備えている。
また、梱包装置100は、ピンチローラにより引き出されたテープ類200が挿通されてテープ類200に回転力を付与して円周状に落下させる筒状ガイド部110を備えている。
【0019】
筒状ガイド部110は、例えば合成樹脂製や金属製などの筒状部材の中間部が「L」字状に屈曲されて形成されている。
具体的には、円筒状の垂直部111の下端部に連続して、垂直部111の外周方向に向けて屈曲された案内部112を設け、側面視で「L」字状に形成されている。筒状ガイド部110は、内径がテープ類200の幅寸法である外径の1.5〜4倍程度であることが、テープ類200に回転力を付与させつつ円滑に落下させることができるので好ましい。
また、筒状ガイド部110は、案内部112の下端からテープ類200を落下させる方向が、筒状ガイド部110の直下に置かれた梱包箱300の中心と側壁311との間にテープ類200を円弧状に落下させる方向となるように形成されている。この場合、案内部112の形状は、テープ類200の梱包速度や、案内部112の先端から梱包箱300の内面までの距離、梱包箱300の内径を考慮し、軸方向の長さ寸法と垂直部111に対する屈曲する角度が設定される。
【0020】
さらに、筒状ガイド部110には、位置決め手段120が設けられている。
位置決め手段120は、外周面が円筒状に形成された例えば合成樹脂製や金属製の棒状部材121を有している。棒状部材121は、中心軸が筒状ガイド部110の垂直部111の中心軸上に位置するように、連結具122にて連結されて、位置決め手段120が構成されている。なお、この位置決め手段120は、柱状あるいは筒状のいずれかの構成とすることが可能であるが、製造性や重量、連結具122の構成などの点で、円筒状とすることが好ましい。棒状部材121の外径寸法は、テープ類200を梱包する梱包箱の中心部外径と略同一またはそれ以下であることが好ましい。
【0021】
また、梱包装置100には、筒状ガイド部110を、その垂直部111を中心軸として回転させる図示しない回転機構部が設けられている。
回転機構部は、筒状ガイド部110の垂直部111の中心軸が鉛直方向に沿う状態で回転させるいずれの構成が適用できる。例えば、特許第3872899号公報に記載のように、ベアリングにて支持された筒状ガイド部110に設けたプーリーとモータの出力軸に設けたプーリーとに無端ベルトを掛け渡す構成を適用してもよい。
そして、筒状ガイド部110は、回転機構部により、案内部112の下端部が、垂直部111の中心軸を中心とした円周上を回転する状態となる。
この回転動作は、順方向と逆方向とに回転方向が適宜切り替えられてテープ類200が梱包箱300内に重積される。より具体的には、順方向に少なくとも1回転以上、好ましくは3〜6回転させた後、逆方向に少なくとも1回転以上、好ましくは順方向と同程度の3〜6回転させるようにして、テープ類200を積み重ねながら梱包箱300内に収納する。なお、回転方向の切替は、一方向で回転させる回転を固定する場合より、回転数を変化させることによってテープ類200の反転位置が一箇所に集中することを回避して、梱包箱300内でのテープ類200の嵩密度の分布を均一化することが好ましい。
【0022】
一方、梱包箱300は、図1から図3までに示すように、上面を開口する四角箱状の箱本体310と、この箱本体310の内部中央に同軸上に設けられた中心部320と、を備えている。
箱本体310は、例えば段ボール紙にて形成され、側面311と底面312にて正方形筒状で軸方向の両端面を開口してなる。この箱本体310内部の底面312には、長方形状の底板部313を備えている。底板部313は、箱本体310の内部における底面312に、長方形状の各角部と側面311とのなす角度がそれぞれ略45°となるように配置されている。なお、この角度に限られるものではない。
また、底板部313の中央には、図2および図3に示すように、中心部320の軸方向の一端を嵌合して中心部320の中心軸が箱本体310の中心軸と同軸上に位置する状態に支持する略円形の支持穴314が開口形成されている。
【0023】
中心部320は、図1に示すように、例えば厚紙にて円筒状に形成されている。この中心部320は、長さ寸法が側面311の高さ寸法と略同等に形成されている。また、中心部320は、内径が位置決め手段120の棒状部材121を回転自在に嵌挿可能に形成されている。すなわち、棒状部材121の外径は、中心部320の内径に対して80%以上98%以下、好ましくは85%以上97%以下とする。
ここで、棒状部材121の外径が中心部320の内径に対して98%より大きくなると、回転自在に嵌挿することが困難となるとともに、例えば双方が紙製などの比較的に摩耗しやすい材質の場合、互いに摩擦にて摩耗し擦れかすが発生して梱包するテープ類200に付着する不都合を生じるおそれがある。一方、棒状部材121の外径が中心部320の内径に対して80%より小さくなると、棒状部材121と中心部320との嵌合状態にがたつきが生じる状態となり、双方の中心軸を同軸上にすることが互いに嵌挿させたのみでは得られなくなり、テープ類200の箱詰め時に、テープ類200の回転中心と梱包箱300の中心とを精度高く合わせることが煩雑となり、梱包作業の向上が図りにくくなるおそれがある。
【0024】
また、底板部313は、厚さ寸法が2mm以上8mm以下であることが好ましい。
ここで、底板部313の厚さ寸法が2mm未満では、中心部320の十分な嵌合力が得られにくく、例えばテープ類200の箱詰め作業の際にテープ類200が当接するなどの衝撃により中心部320が外れてしまうおそれがある。一方、厚さ寸法が8mmを越えると、梱包箱300のテープ類200の収納空間が減少する他、重量増大やコストの増大を招く不都合を生じるおそれがある。これらのことから、底板部313の厚さ寸法は、2mm以上8mm以下とすることが好ましい。
【0025】
さらに、底板部313の支持穴314の開口径は、中心部320の外径の95%以上105%以下であることが好ましい。
ここで、支持穴314の開口径が中心部320の外径の95%未満では、中心部320の嵌合力が強くなり過ぎ、中心部320を嵌合固定あるいは嵌合固定された中心部320の底板部313からの取り外し作業が困難となるおそれがある。一方、支持穴314の開口径が中心部320の外径に対して105%を越えると、中心部320が支持穴314に嵌合固定されずに単に挿入された状態となって中心部320に十分な支持力が作用せず、例えばテープ類200の箱詰め作業の際にテープ類200が当接するなどの衝撃により中心部320が外れてしまうおそれがある。これらのことから、支持穴314の開口径を中心部320の外径に対して95%以上105%以下に設定することが好ましい。
【0026】
[梱包装置の動作]
次に、上記梱包装置100を用いてテープ類200を梱包する動作について説明する。
【0027】
まず、中心部320の下端部を底板部313の支持穴314に嵌合させた状態で、箱本体310の内部に開口面側から挿入し、箱本体310内部の底面312に底板部313を配置して、梱包箱300を完成させる。
次に、梱包装置100の下方に梱包箱300を載置する。ここで、梱包装置100の位置決め手段120の棒状部材121を内径側に嵌挿させるように中心部320を棒状部材121に同軸上に位置させる。
この後、棒状部材121から中心部320が外れないように、箱本体310および梱包装置100の高さや位置を調整する。
【0028】
この状態で、テープ類200を筒状ガイド部110内に嵌挿させて案内部112から梱包箱300内に落下させるととともに、筒状ガイド部110を垂直部111の中心軸を回転中心として、順方向と逆方向とに適宜の回転数で適宜切り替えて回転させる。
この筒状ガイド部110の回転により、落下するテープ類200に回転力が付与され、梱包箱300内でテープ類200の嵩密度の分布に差を生じずに順次積み重なる状態で箱詰めされる。
そして、梱包されたテープ類200を使用する際に箱本体310から引き出す場合には、中心部320を底板部313から取り外す。このことにより、テープ類200が中心部320に引っ掛かることなく円滑に引き出される。そして、取り外した中心部320は、再び梱包の際に箱本体310に支持されて再利用される。
【0029】
[梱包装置の作用効果]
上述したように、上記実施の形態の梱包装置100では、テープ類200を梱包箱300内に落下させながら梱包箱300の中央を中心として円周状に箱詰めする際、テープ類200を下端から落下させる案内部112を備えた筒状ガイド部110に設けた位置決め手段120により、筒状ガイド部110の筒状の垂直部111の中心軸を梱包箱300の中心を通る鉛直方向に同軸上に位置させるとともに、垂直部111の中心軸を中心として、垂直部111の下端部に連続し外周方向に向けて屈曲された案内部112と梱包箱300とが相対的に回転する状態に位置させる。
このため、テープ類200を落下して円周状に箱詰めする際にテープ類200の回転の中心と梱包箱300の中心とが、鉛直方向の同一軸上に位置することとなる。したがって、仮に角形の梱包箱300を利用しても、梱包箱300内における落下したテープ類200の嵩密度の分布の差が小さくなり、嵩密度が高い位置でのテープ類200の折損や、嵩密度が低い位置でのテープ類200の重積状態の変動による引き出し時の絡まりなどの不都合を防止できる。
【0030】
そして、箱本体310の中央に同軸上に中心部320を設けた梱包箱300を用い、梱包箱300の中心部320に相対的に回転自在に着脱可能に位置決め手段120を設けている。
このため、例えば上述のように、筒状の中心部320に棒状の位置決め手段120の棒状部材121を回転自在に嵌挿させる構成としたり、磁性材料の中心部320と着磁された磁性材料の位置決め手段120の磁石とを強い磁力にて引き合う状態としたりするなど、従前の簡単な構成を利用するのみで、テープ類200の回転の中心と梱包箱300の中心とを鉛直方向の同一軸上に位置させることが容易にできる。
【0031】
また、梱包箱300の中央に同軸上に設けた中心部320を円筒状とし、外周面が円筒状の位置決め手段120の棒状部材121の下端部を、中心部320に回転自在に嵌挿させる。
このため、簡単な構成で、テープ類200の回転の中心と梱包箱300の中心とが鉛直方向の同一軸上に位置させることが容易にできる。
【0032】
さらに、連結具122にて一体的に筒状ガイド部110に棒状部材121を連結固定し、棒状部材121と中心部320とを回転自在に嵌合させる構成としている。
このため、あらかじめ垂直部111の中心軸と棒状部材121の中心軸とを同軸上に形成しておくことで、自在継ぎ手などを用いることなく、簡単な構成で垂直部111の中心軸と中心部320の中心軸とを同軸上に位置させることが容易にできる。
【0033】
そして、筒状ガイド部110を回転させてテープ類200に回転力を付与している。
このため、例えば梱包箱300側を回転させて箱詰めする場合に比して、梱包装置100の小型化や箱詰め作業空間の縮小化などが得られる。
【0034】
[実施形態の変形例]
なお、以上に説明した態様は、本発明の一態様を示すものであって、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的および効果を達成できる範囲内での変形や改良は、本発明の内容に含まれるものである。また、本発明を実施する際における具体的な構成および形状などは、本発明の目的および効果を達成できる範囲内において、他の構成や形状などとしても問題はない。
【0035】
すなわち、本発明のテープ類の梱包装置として、棒状部材121の外径を梱包箱300の中心部320の内径に回転可能に嵌挿(内嵌)させる構成に限らず、例えば逆の構成としてもよい。この場合、棒状部材121の内径を、梱包箱300の中心部320の外径に回転可能に嵌挿(外嵌)させる構成となる。
また、棒状部材121と中心部320とが互いに回転自在の状態で嵌挿させて説明したが、例えば棒状部材121を筒状ガイド部110に連結させる連結具122として回転継ぎ手や玉継ぎ手などの継ぎ手を用いて棒状部材121と筒状ガイド部110とが相対的に回転自在とし、棒状部材121と中心部320とを中心軸が変動しないように嵌合固定したり接合させたりして連結する構成としてもよい。
特に、筒状ガイド部110と棒状部材121とを回転自在に連結することで、棒状部材121と中心部320との相対的な回転による摩擦にて摩耗し、擦れかすが発生して梱包するテープ類200に付着するなどの不都合がなく、良好に箱詰めできる。
【0036】
さらに、本発明の位置決め手段としては、棒状部材121を連結具122にて筒状ガイド部110に連結する構成の他、例えば図4に示すように、第1の円筒部材410の中間部に開口411を設け、第2の円筒部材420における一部が切り落とされた一端側を開口411から第1の円筒部材410へ差し込んで筒状ガイド部400を構成してもよい。
この図4に記載の構成では、第2の円筒部材420が案内部112に相当し、第1の円筒部材410における第2の円筒部材420より鈍角側に位置する部分が垂直部111に相当し、反対側が位置決め手段120に相当する。このような構成により、位置決め手段120の中心軸と垂直部111の中心軸とを同軸上に位置する状態に形成することが容易にできる。
【0037】
そして、中心部320を底板部313に着脱可能に設けて説明したが、箱本体310に一体に設けた構成としてもよい。
また、底板部313は、底面312と略同一寸法の四角形状とするなど、中心部320を傾くことなく支持できる構成であれば、いずれの形状とすることができる。
【0038】
また、中心部320を設けず、垂直部111の中心軸上に設けた位置決め手段120が箱本体310の中心軸上に位置できる構成であれば、中心部320を設けない構成としてもよい。
【0039】
その他、本発明の実施における具体的な構成および形状などは、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などとしてもよい。
【実施例】
【0040】
次に、実施例および参考例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
なお、本発明は実施例および参考例の内容に何ら限定されるものではない。
【0041】
[実施例1]
テープ類として、雄雌一対で幅寸法が12mmのジッパーテープを用いた。
梱包箱としては、内寸で縦寸法500mm、横寸法500mm、高さ寸法440mmの有底の箱本体を用いた。この箱本体の底部に、縦寸法457mm、横寸法250mm、厚さ寸法5mmで中心に直径60mmの支持穴を有した長方形の底板部を、辺が箱本体の側面に対して45°で交差する状態に組み付けた。さらに、底板部の支持穴に、外径が61mm、内径が58mmの円筒状の中心部の一端を嵌合させ、図2および図3に示す梱包箱と同様に構成した。
筒状ガイド部としては、内径が20mmの金属製の円筒部材を、中央の位置で屈曲させて形成したものを用いた。この筒状ガイド部に、図1に示すように、連結具である回転継ぎ手にて、外径が50mmの円筒状の棒状部材を回転自在に吊り下げ支持する状態に連結した。
そして、吊り下げ支持した棒状部材を梱包箱の中心部に嵌挿しつつ梱包箱を移動させて位置決めし、筒状ガイド部内を挿通させたジッパーテープを落下させて梱包箱内に箱詰めした。この箱詰めの際、筒状ガイド部を順方向に5回転させた後に逆方向に5回転させる動作を繰り返して、ジッパーテープに回転力を作用させて箱詰めした。
【0042】
[評価方法]
上記の箱詰め方法で10個の梱包箱について、中心部を底板部に取り付けた状態で、ジッパーテープの端部を取り出し、ジッパーテープのもつれる状況を確認した。
このジッパーテープの引き出しに際しては、中心部の上端から鉛直方向で2mの高さで、かつ、中心部から水平方向に50cm離れた位置にガイドロールを配設し、ピンチロールの回転駆動によりジッパーテープを引き出した。
評価基準としては、絡まったものがないものを◎、絡まったものは5個未満で、かつ絡まったものがガイドロールに達しないものを○、絡まったものは5個以上で、かつ絡まったものがガイドロールに達しないものを△、絡まった部分がガイドロールに到達したものが1個以上あったものを×とした。その結果を、以下の表1に示す。
【0043】
[実施例2]
実施例1における評価方法において、ジッパーテープを引き出す装置におけるガイドローラの位置が、水平方向で50cmの距離で、装置と梱包箱との相対的な位置をずらし、同様にテープ類を引き出し、もつれ状態を確認した。
その結果を、表1に合わせて示す。
【0044】
[実施例3]
実施例1における評価方法において、中心部を取り外して引き出した以外は同様である。
その結果を、表1に合わせて示す。
【0045】
[実施例4]
実施例1における評価方法において、ジッパーテープを引き出す装置におけるガイドローラの位置が水平方向で50cmの距離で、装置と梱包箱との相対的な位置をずらし(実施例2)、さらに中心部を取り外して(実施例3)同様にテープ類を引き出した以外は同様である。
その結果を、表1に合わせて示す。
【0046】
[参考例1]
実施例1における底板部として、縦寸法が300mm、横寸法が300mm、厚さ寸法が5mm、中心に直径60mmの支持穴を設けた長方形の底板部を用いた。中心部は実施例1と同様のものを同様に支持穴に嵌合固定させた。さらに、棒状部材を回転継ぎ手にて吊り下げず、梱包箱の中心部の中心軸と筒状ガイド部の垂直部の中心軸である筒状ガイド部の回転中心となる中心軸とが、目視により同軸上となるように位置決めした。
そして、実施例1と同様に梱包したジッパーテープを引き出し、もつれ状況を確認した。
その結果を、表1に合わせて示す。
【0047】
[参考例2]
参考例1で使用する実施例1と同様のジッパーテープを引き出す装置として、実施例2の場合と同様に、ガイドロールの位置で水平方向に50cmの距離で位置をずらして引き出した以外は、参考例1と同様である。
その結果を、表1に合わせて示す。
【0048】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、ジッパーテープや装飾用のレーステープ、リボン、帯状ケーブル線などのテープ類をバラ梱包する際に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係る梱包装置にて梱包する状況を概略的に示す一部を切り欠いた側面図である。
【図2】本発明の梱包箱を示す斜視図である。
【図3】本発明の梱包箱を示す平面図である。
【図4】本発明における他の実施形態に係る位置決め手段を備えた筒状ガイド部を示す側面図である。
【符号の説明】
【0051】
100…梱包装置
110,400…筒状ガイド部
111…垂直部
112…案内部
120…位置決め手段
122…連結具
200…テープ類
300…梱包箱
310…箱本体
320…中心部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ類を梱包箱内に落下させながら前記梱包箱の中央を中心として円周状に箱詰めして梱包するテープ類の梱包装置であって、
筒状の垂直部およびこの垂直部の下端部に連続し外周方向に向けて屈曲され下端から前記テープ類を落下させる案内部を備えた筒状ガイド部と、
この筒状ガイド部に設けられ、前記垂直部の中心軸を、前記梱包箱の中央を通過する鉛直方向に同軸上に、かつ前記案内部と前記梱包箱との少なくともいずれか一方が前記垂直部の中心軸を中心として相対的に回転する状態に、位置させる位置決め手段と、
を具備したことを特徴としたテープ類の梱包装置。
【請求項2】
請求項1に記載のテープ類の梱包装置であって、
前記位置決め手段は、前記梱包箱の中央に同軸上に設けられた中心部に係脱可能で相対的に回転自在に形成された
ことを特徴としたテープ類の梱包装置。
【請求項3】
請求項2に記載のテープ類の梱包装置であって、
前記位置決め手段は、前記梱包箱の中央に同軸上に設けられた円筒状の中心部に回転自在に嵌挿される下端部の外周面が円筒状に形成された
ことを特徴としたテープ類の梱包装置。
【請求項4】
請求項1に記載のテープ類の梱包装置であって、
前記位置決め手段は、前記梱包箱の中央に同軸上に設けられた中心部に係脱可能に、前記筒状ガイド部に相対的に回転自在に設けられた
ことを特徴としたテープ類の梱包装置。
【請求項5】
請求項4に記載のテープ類の梱包装置であって、
前記位置決め手段は、回転継ぎ手により前記筒状ガイド部に回転自在に設けられた
ことを特徴としたテープ類の梱包装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のテープ類の梱包装置であって、
前記筒状ガイド部が回転可能に設けられた
ことを特徴としたテープ類の梱包装置。
【請求項7】
テープ類を梱包箱内に落下させながら前記梱包箱の中央を中心として円周状に箱詰めして梱包するテープ類の梱包方法であって、
筒状の垂直部およびこの垂直部の下端部に連続し外周方向に向けて屈曲され下端から前記テープ類を落下させる案内部を備えた筒状ガイド部における前記垂直部の中心軸を、前記梱包箱の中央を通過する鉛直方向に同軸上に維持させつつ、前記垂直部の中心軸を中心として前記案内部と前記梱包箱との少なくともいずれか一方を相対的に回転させる
ことを特徴とするテープ類の梱包方法。
【請求項8】
落下されるテープ類を内部の中央を中心として円周状に箱詰めして梱包するテープ類の梱包箱であって、
上面を開口する箱本体と、
この箱本体の内部の中央に同軸上に設けられ、筒状の垂直部およびこの垂直部の下端部に連続し外周方向に向けて屈曲され下端から前記テープ類を落下させる案内部を備えた筒状ガイド部が、前記垂直部の中心軸を前記箱本体の中央を通過する鉛直方向に同軸上に維持させつつ前記垂直部の中心軸を中心として前記案内部と前記箱本体との少なくともいずれか一方を相対的に回転自在に連結される中心部と、を備えた
ことを特徴としたテープ類の梱包箱。
【請求項9】
請求項8に記載のテープ類の梱包箱であって、
前記中心部は、着脱可能に設けられた
ことを特徴としたテープ類の梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−70218(P2010−70218A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240002(P2008−240002)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】