説明

ディジタル伝送システムにおけるアドレス割り当て

【課題】アドレス指定されたデータを、トランスポートストリーム(TS)のトランスポートパケット内にカプセル化されたセクションの中に組み込む。
【解決手段】中央送信ステーション60と復号器12とを備えたディジタル放送システムにおいてディジタル情報を送信する装置は、データセクションをパケットのペイロード内にカプセル化するパケットのストリームを有するTSを送信する手段であって、カプセル化されたセクションは、復号器がセクションを受信するのを制御するのに使用されるMACアドレスを含む該手段と、MACアドレスを動的に割当てる手段と、アドレス割り当てメッセージにおける固定IPアドレスを使用して復号器と通信する手段とを備えている。MACアドレスは、マルチキャストサービス、接続ユニキャストサービス、非接続ユニキャストサービスからなる群から選択される1つである、復号器によって要求されるサービスのタイプに基づく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタル伝送システム、特にディジタルテレビジョンシステムのようなディジタル放送システムにおいて、アドレス情報を割り当てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のディジタルテレビジョンシステムは、データをばらばらのトランスポートストリームパケットとして送信し、それぞれのパケットは、予め定められた長さを有し、ヘッダーとペイロードを含む。伝送システムにおいては、中央伝送ステーションは、1つかまたはそれ以上のパケットストリームを、「放送」によって、復号器のある領域に送信し、復号器は、そのパケットストリームを受信して組み立て直す。それぞれのステーションは、いくつかの異なる周波数によって、いくつかのパケットストリームを送信してもよい。
【0003】
ストリーム内のパケットのパケットヘッダーは、そのパケットに関する一般的な記述データからなり、ペイロードは、受信器側で処理されるべきデータからなる。パケットヘッダーは、少なくとも、そのパケットを識別するパケットIDすなわちPIDを含む。パケットのペイロードは、オーディオデータ、ビデオデータ、または、中央伝送ステーションによってインターネット接続から得られたデータのようなその他のデータを含んでもよい。PIDパケットのペイロード内にあるこの種のデータは、それ自身が、いくつかのテーブルまたはセクションにさらに分割されてもよく、それらは、テーブルIDすなわちTID値によって識別され、また、さらに細かくには、TID拡張値によって識別される。MPEG−2規格は、現在、この分野において推奨されている規格であり、そのようなパケットのための予め定められたフォーマットを提案している。
【0004】
ディジタル放送システムにおいては、これまでに条件付きアクセスにだけ使用されてきた、あるいは、MPEG−2符号化信号を復号するためにだけ使用されてきた復号器は、現在、いくつかのますます高度化した機能を含む。より詳細には、インターネットとのリンクを提供して、ユーザがインターネットを閲覧するのを可能にするために、PCから独立して、あるいは、PCと協働して動作する復号器を使用することが、多くのシステムにおいて提案されてきた。しばしば、ハイブリッド放送/通信コンフィギュレーションが、使用され、それによれば、ウェブページは、復号器によって、テレコムリンクを介して中央ステーションに要求され、中央ステーションによって、得られ、放送リンクを介して復号器へ送信される。
【0005】
インターネットデータは、それ自身が、特に、そのようなデータ(いわゆる、「データグラム」)のための予め定められたフォーマットを提案しているTCP/IPプロトコルに基づいて編成される。ネットワーク間でデータグラム情報が自由に循環するのを可能にするために、データグラムパケットは、いくつかのレベルにおいて、アドレスを含む。より詳細には、それぞれのデータグラムは、一般に、ネットワーク層においては、IPアドレスによってアドレス指定され、データリンク層においては、媒体アクセス制御アドレスすなわちMACアドレスによってアドレス指定される。
【0006】
所定のネットワークユーザにメッセージを送信することは、IPアドレスだけを使用してMACアドレスを決定する方法がサブネット内にはあるにしても、一般には、それのMACアドレスおよびIPアドレスの両方によって、ユーザをアドレス指定することを必要とする。ネットワークマネジャによって割り当てられるIPアドレスと違って、MACアドレスは、一般には、それが製造されたときに装置に設定される。
インターネットフォーマットデータグラムを放送トランスポートパケット内に組み込むには、カプセル化処理を規定するためのいくつかの規格を開発しなければならない。MPEGに関連するISO規格13818−6において、ストリーム内でDSM−CCカルーセルを用いたそのようなデータのためのフォーマットが、規定されている。
【0007】
その他のグループ、特に、ディジタルビデオ放送(Digital Video Broadcasting)グループすなわちDVBグループによってなされた研究は、この規格を補完および完成させたものである。より詳細には、DVBが提案するETSI規格EN301 192は、IPデータグラムを伝送するようになされたMPEG−2トランスポートパケット内にあるテーブルまたはセクションのための標準フォーマットを提案している。この規格は、MACアドレスおよびIPアドレスによってユーザへアドレス指定されたそのようなデータグラムが、トランスポートストリームのトランスポートパケット内にカプセル化されたテーブルまたはセクションの中にどのようにして組み込まれるかを指示し、また、どのようなその他の情報が、一般に、そのようなセクションに存在すべきかを指示するものである。
【発明の概要】
【0008】
第1の実施形態においては、本発明は、放送トランスポートストリーム内のカプセル化されたアドレス指定されたメッセージ、特に、限定はしないが、MPEG−2トランスポートストリームのセクション内に組み込まれたIPデータグラムを送信するための最適な方法に関する。
本発明は、中央送信ステーションおよび少なくとも1つの復号器を備えたディジタル放送システムにおいてディジタル情報を送信する方法を提供し、中央送信ステーションは、データセクションをパケットのペイロード内にカプセル化するパケットストリームからなる少なくとも1つのトランスポートストリームを送信し、少なくとも1つのカプセル化されたセクションは、少なくとも1つの復号器がそれを受信するのを制御するのに使用されるアクセス制御アドレスを含み、アクセス制御アドレスは、中央送信ステーションによって定義され、そして、アドレス割り当てメッセージによって、前記少なくとも1つの復号器に通知される。
【0009】
本発明の第1の実施形態によれば、中央送信ステーションおよび1つかまたはそれ以上の復号器を備えたディジタル放送システムにおいてディジタル情報を送信する方法が提供され、中央ステーションは、データテーブルまたはセクションをパケットのペイロード内にカプセル化するパケットのストリームからなる少なくとも1つのトランスポートストリームを送信し、1つかまたはそれ以上のカプセル化されたセクションは、1つかまたはそれ以上の復号器がそのセクションを受信するのを制御するのに使用されるアクセス制御アドレスを含み、そして、アクセス制御アドレスは、中央送信ステーションによって定義され、アドレス割り当てメッセージによって、それぞれの復号器に通知される。
【0010】
従来の放送システムおよびネットワークシステムにおいては、一般に、決められた媒体アクセス制御アドレスが、使用される。これは、例えば、復号器が製造されたときにそれのモデムカード内に設定されたMACアドレスに対応してもよい。そのようなシステムにおいては、中央送信ステーションは、復号器から中央ステーションまたはデータグラムのルーティングを管理する最も近いルータに通知されるこの値を制御することができない。
対照的に、本発明においては、中央送信ステーションは、システム内に存在する復号器にアクセス制御値を割り当てること、そのような値を動的に割り当てるのを可能にすること、そして、中央送信ステーションのレベルで、システムによって処理されるべきアドレスの数およびフォーマットをより完璧に制御することに責任を有する。
【0011】
本発明は、中央送信ステーションについて述べるが、アドレスメッセージの割り当ては、実際には、情報を放送する責任のある送信ステーションに報告する物理的に分離したルーティング装置によって処理されてもよいことを理解されたい。
好ましくは、セクションは、インターネットプロトコルデータを含むのに使用されるデータグラムセクションに対応し、そのセクション内に含まれるデータは、また、インターネットプロトコルアドレスを含む。しかしながら、明らかなように、本発明は、トランスポートパケットストリーム内にカプセル化されたテーブルまたはセクション内に含まれ、かつ、アクセス制御アドレスによって、1つかまたはそれ以上の復号器へアドレス指定されたその他の種類のデータに同じように適用されてもよい。
【0012】
上述したように、ハイブリッドテレコム/放送システムにおいては、復号器は、一般には、インターネットプロトコルデータを得るための要求を、テレコムリンクを介して送信し、アクセス制御アドレスによって識別され、かつ、トランスポートパケットストリーム内にカプセル化されたデータセクション内のダウンロード情報を放送リンクを介して受信する。
しかしながら、1つの実施形態においては、1つかまたはそれ以上の復号器へ宛てられ、かつ、アクセス制御アドレスによって識別されるいくつかのまたはすべてのセクションデータは、中央送信ステーションから通信ネットワークを介してそれぞれの復号器に伝達されてもよい。特に、インターネットデータは、アクセス制御アドレスを用いて、テレコムネットワークを介して送信されてもよい。
【0013】
好ましくは、復号器は、そのような通信ネットワークを介して、アクセス制御アドレスを得るための要求を中央ステーションに送信してもよい。また、同じようにして、アドレス割り当てメッセージが、通信ネットワークリンクを用いて、中央送信ステーションからその復号器に返信されてもよい。
割り当てられたアクセス制御アドレスを要求してそれを得るために、テレコムリンクを使用することによって、復号器は、その後に、インターネットを閲覧するセッションにおいて得られる情報を伝達するときに使用されるアクセス制御アドレスを迅速に得ることができる。
【0014】
好ましくは、復号器によって送信されるアドレス要求メッセージは、中央送信ステーションのために、その復号器を識別するインターネットプロトコル番号を含む。このIP番号は、一般には、ネットワークマネジャまたは放送オペレータによって割り当てられ、オペレータによってそれの加入者に割り当てられたID値に加えて、あるいは、そのようなID値の代わりに、復号器を識別することに使用されてもよい。
好都合には、復号器によって送信されるアドレス要求メッセージは、また、復号器が、ユニキャストモードまたはマルチキャストモードでメッセージを受信することを望んでいるかどうかの指示を含む。この要求に応答して、中央送信ステーションは、アドレス割り当てメッセージによって、固有または共用の制御アドレスを送信する。
【0015】
例えば、ユーザが、中央ステーションによって、ユーザからのある特定の要求に応答して、ある特定のウェブページを提供されるインターネット閲覧セッションの場合には、固有のアドレスが、要求されてもよく、そして、ユーザのグループに宛てられた情報をアドレス指定するには、マルチキャストアドレスが、使用されてもよい。
ユニキャストアドレスの場合、これは、復号器から受信されたアドレス要求に応じて、セッションの開始時点で割り当てられた動的なアドレスであってもよい。あるいは、アドレスは、ユーザが最初に中央送信ステーションに接続された時点で割り当てられ、その後、それに続くすべての通信に使用されてもよい。
ユニキャスト要求情報およびマルチキャスト要求情報に加えて、アドレス要求メッセージは、さらに、復号器が、通信ネットワークを介してデータを受信するために、アドレス要求メッセージを通知した後に、接続された状態を維持するのかどうかの指示を含んでもよい。
【0016】
上述したように、中央送信ステーションは、いくつかのトランスポートパケットストリームで、また、それぞれのトランスポートパケットストリーム内のいくつかのサービスでデータを放送してもよい。好ましくは、アドレス割り当てメッセージは、さらに、それぞれの復号器が、複数のトランスポートパケットストリームの中から、アクセス制御アドレスに関連するデータを含むトランスポートパケットストリームを選択するのを可能にする情報を含む。
さらに、アドレス割り当てメッセージは、さらに、それぞれの復号器が、トランスポートパケットストリーム内の複数のサービスの中から、アクセス制御アドレスに関連するデータを含むサービスを選択するのを可能にする情報を含んでもよい。
【0017】
サービスは、また、様々な種類のデータまたはデータストリーム(オーディオ、ビジュアル、IPデータ、など)に関連するかもしれないので、アドレス割り当てメッセージは、さらに、そのサービスによって伝送されるデータストリームに関連し、かつ、割り当てられたアクセス制御アドレスに対応するパケット化されたデータを含むデータストリームを識別する情報を含んでもよい。
また、中央送信ステーションは、アドレスデータが伝送されるべきトランスポートパケットストリームおよび/またはサービスを動的に制御し、それによって、1つかまたはそれ以上のトランスポートストリームの中に含まれる情報を放送するのを最適化してもよい。
例えば、条件付きアクセスシステムを含むディジタル放送システムの場合、中央制御ステーションによって送信されるいくつかのまたはすべてのセクションデータは、暗号化されてもよい。
【0018】
上述した本発明の実施形態は、ディジタルテレビジョンシステムのようなディジタル放送システムに関連して説明したが、MACアドレスの動的な割り当ては、例えば、固定通信ネットワークを排他的に使用するシステムなど、その他のシステムにも適用することができる。
さらなる特徴によれば、本発明は、少なくとも1つの中央制御ステーションおよび複数の遠隔端末を備えたディジタル通信ネットワークにおいてデータグラムパケットの通信を行う方法からなり、この方法においては、データグラムパケットは、少なくとも、ネットワークの1つの通信層に対応する媒体アクセス制御アドレスと、ネットワークの第2の通信層に対応するインターネットプロトコルアドレスとを含み、媒体アクセス制御アドレスは、遠隔端末からの要求に応答して、中央制御ステーションによって動的に割り当てられる。
【0019】
さらに、本発明は、データセクションをパケットのペイロード内にカプセル化するパケットのストリームからなるトランスポートストリームを復号器に送信するための装置を提供し、少なくとも1つのカプセル化されたセクションは、復号器がそれを受信するのを制御するのに使用されるアクセス制御アドレスを含み、前記装置は、例えば、サーバのような、アクセス制御アドレスを定義するための手段と、例えば、送信器のような、アドレス割り当てメッセージによって、そのアクセス制御アドレスを前記復号器に通知するための手段とを備える。
本発明の方法の特徴に関する上述した機能は、装置の特徴にも適用することができ、さらに、その逆もまた可能である。
【0020】
ここで使用される「受信器/復号器」または「復号器」という用語は、例えば、なんらかのその他の手段によって放送または送信されてもよいテレビジョン信号および/またはラジオ信号のような、符号化された信号かまたは符号化されていない信号のいずれかを受信するための受信器を意味してもよい。また、この用語は、受信した信号を復号するための復号器を意味してもよい。そのような受信器/復号器の実施形態には、例えば、「セットトップボックス」において、受信した信号を復号するための受信器と一体化された復号器、物理的に分離された受信器と協働して動作する復号器、または、ウェブブラウザのようなさらなる機能を含む復号器、または、ビデオレコーダまたはテレビのようなその他の装置と一体化された復号器、が含まれてもよい。
【0021】
また、ここでの「復号器」または「受信器/復号器」という用語には、復号器/PCコンフィギュレーションが含まれ、そこでは、PCのモデムなどを介してアドレス要求メッセージを送信するような、本発明に関するいくつかの機能またはすべての機能は、PCによって処理されてもよい。
ここで使用されるように、「ディジタル放送システム」という用語には、良く知られている放送フォーマットによって、中央ステーションから複数のユーザへ情報を放送するあらゆるディジタルシステムが含まれ、また、例えば、あらゆる衛星、地上、ケーブル、または、その他のディジタルテレビジョンシステムが含まれる。
【0022】
MPEGという用語は、国際標準化機構(International Standards Organisation)作業グループである「動画像符号化専門家グループ(Motion Pictures Expert Group)」によって開発されたデータ伝送規格、特に、限定はしないが、ディジタルテレビジョン用に開発されたMPEG−2規格を意味し、MPEGに関連するDSM−CC規格ISO13818−6とともに、ドキュメントISO13818−1、ISO13818−2、ISO13818−3、および、ISO13818−4に記載されている。本出願において、この用語には、ディジタルデータ伝送の分野に応用できるMPEGフォーマットのあらゆる変形、変更、または、発展形態が含まれる。
DVBまたはETSI規格に関しては、これらには、DVBによって提案され、および/または、ディジタルテレビジョンの分野に関連するETSIによって承認されたあらゆる規格、そして、それらのあらゆる変形、変更、または、発展形態が含まれる。特に、本出願においては、ETSI規格EN301 192が参照される。
【0023】
ここで、ただ単に例として、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】既知のディジタルTVシステムの全体アーキテクチャを示す図であり、これは、本発明に基づいて改造されてもよい。
【図2】図1の条件付きアクセスシステムのアーキテクチャを示す図である。
【図3】トランスポートパケットストリーム内のMPEG−2パケットの階層を示す図である。
【図4】IPデータをカプセル化するのに使用されるDSM−CCデータグラムセクションのシンタックスを示す図である。
【図5】図4に示されるデータグラムセクション内のMACアドレスのマップを示す図である。
【図6】本発明のこの実施形態によるハイブリッド放送およびテレコムネットワークシステムのアーキテクチャを示す図である。
【図7】本発明のこの実施形態による、放送センターからユーザに送信されるサービスアドレスメッセージの要素を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
ディジタルテレビジョンシステム
本発明の実施形態を詳細に説明する前に、ここで、背景として、既知のシステムの概要を説明する。
ディジタルテレビジョン放送受信システム1が、図1に示され、ほとんどが従来技術によるディジタルテレビジョンシステム2を備え、これは、圧縮されたディジタル信号を送信するために、MPEG−2圧縮システムを使用する。より詳細には、放送センター内のMPEG−2圧縮器3は、ディジタル信号ストリーム(例えば、オーディオ信号、ビデオ信号、または、一般的なデータ信号などのストリーム)を受信する。圧縮器3は、リンケージ5によって、多重化装置およびスクランブラ4に接続される。多重化装置4は、複数のさらなる入力信号を受信し、1つかまたはそれ以上のトランスポートストリームを組み立て、圧縮されたディジタル信号をリンケージ7を介して放送センターの送信器6へ送信する。
【0026】
送信器6は、電磁信号をアップリンク8を介して衛星トランスポンダ9へ送信し、そこで、それらの信号は、電子的に処理され、概念的なダウンリンク10を介して、地上受信器11へ放送される。地上受信器11は、通常は、エンドユーザが所有するかまたは賃借するアンテナの形態を有する。受信器11によって受信された信号は、エンドユーザが所有するかまたは賃借し、エンドユーザのテレビ13に接続され、かつ、一体化された受信器/復号器12へ送信される。受信器/復号器12は、テレビ13のために、圧縮されたMPEG−2信号をテレビジョン信号に復号する。
【0027】
また、以下で説明するように、特に、ユーザが、インターネットアクセスを提供するための復号器を使用している場合、復号器12は、PCに接続されてもよい。さらに、以下の説明からわかるように、本発明は、主として、衛星放送システムに関して説明されるが、同じように、ケーブルTVまたは地上テレビジョンに基づいたシステムに関連して使用されてもよい。
【0028】
条件付きアクセスシステム20は、多重化装置4および受信器/復号器12に接続され、一部が放送センター内に配置され、一部が復号器内に配置される。システム20は、エンドユーザが、1つかまたはそれ以上の放送提供業者からのディジタルテレビジョン放送にアクセスするのを可能にする。商品(すなわち、放送提供業者によって販売される1つかまたは複数のテレビ番組)に関連するメッセージを暗号解読することのできるスマートカードを受信器/復号器12に挿入することができる。復号器12およびスマートカードを用いることによって、エンドユーザは、講読モードかまたはペイパービューモードのいずれかでイベントを購入することができる。
【0029】
さらに、多重化装置4および受信器/復号器12に接続され、かつ、この場合もやはり、一部が放送センター内に配置され、一部が復号器内に配置された会話型システム17が、提供され、エンドユーザが、モデムを用いたバックチャンネル16を介して様々なアプリケーションと会話するのを可能にしてもよい。特に、復号器が、インターネットアクセスを提供するために使用される場合、復号器と放送センターとの間の情報は、衛星リンクを介して放送されるよりも、むしろ、モデムチャンネルを介して送信されるほうがよいかもしれない。この種のハイブリッド放送テレコムシステムは、この技術分野で良く知られているものである。
【0030】
ここで、条件付きアクセスシステム20についてより詳細に説明する。図2を参照すると、大まかには、条件付きアクセスシステム20は、加入者認証システム(Subscriber Authorization System:SAS)21を含む。SAS21は、それぞれのTCP−IPリンケージ23(別の種類のリンケージが代わりに使用されてもよいが)によって、1つかまたはそれ以上の加入者管理システム(Subscriber Management System:SMS)22に接続され、放送提供業者ごとに1つのSMSが存在する。あるいは、1つのSMSが、2つの放送提供業者間で共有されてもよく、あるいは、1つの放送提供業者が、2つのSMSを使用するなどしてもよい。
【0031】
「マザー」スマートカード25を利用した暗号化ユニット24の形態を有する第1の暗号化ユニットが、リンケージ26によってSAS21に接続される。同じように、マザースマートカード28を利用した暗号化ユニット27の形態を有する第2の暗号化ユニットが、リンケージ29によって多重化装置4に接続される。受信器/復号器12は、「マザー」スマートカードによって暗号化されたメッセージを暗号解読するために、復号器によって「ドーター」スマートカード30を収容する。それは、通信サーバ(Communication Server)31によって、モデムを用いたバックチャンネル16を介して、SAS21に直接に接続される。SAS21は、数あるなかでも特に、要求があり次第、講読権をドータースマートカード30に送信する。
【0032】
第1および第2の暗号化ユニット24および27は、ラック、EEPROMに記憶されたソフトウェアを備えた電子的なVMEカード、最大20までの電子的カード、および、それぞれの電子的カードごとに、1つのスマートカード25および28のそれぞれを備え、1つのカード28は、ECMを暗号化するためのものであり、また、1つのカード25は、EMMを暗号化するためのものである。
【0033】
多重化装置およびスクランブラ
図1および図2を参照すると、放送センターにおいて、ディジタルオーディオ信号またはディジタルビデオ信号が、まず最初に、MPEG−2圧縮器3を用いて圧縮される(すなわち、ビットレートを低減される)。そして、この圧縮された信号は、その他の圧縮されたデータのようなその他のデータとともに多重化されるために、リンケージ5を介して、多重化装置およびスクランブラ4に送信される。
スクランブラは、スクランブル処理で使用され、かつ、多重化装置において、MPEG−2ストリーム内に含められる制御ワードを生成する。制御ワードは、内部的に生成され、エンドユーザの一体化された受信器/復号器12が、番組をデスクランブルするのを可能にする。
【0034】
さらに、番組がどのように販売されるかを指示するアクセス基準が、MPEG−2ストリームに付加される。番組は、いくつかの「視聴予約」モードの中の1つおよび/またはいくつかの「ペイパービュー(Pay Per View:PPV)」モードの中の1つかまたはイベントのいずれか1つによって販売されてもよい。加入モードにおいては、エンドユーザは、1つかまたはそれ以上の商品または「ブーケ(bouquet)」を視聴予約し、それによって、それらのブーケの中のあらゆるチャンネルを視聴する権利を得る。好ましい実施形態においては、最大960までの商品をチャンネルのブーケから選択することができる。
【0035】
権利制御メッセージ
制御ワードおよびアクセス基準の両方が、権利制御メッセージ(Entitlement Control Message:ECM)を組み立てるのに使用される。これは、スクランブルされた番組に関連して送信されるメッセージであり、このメッセージは、制御ワード(これは番組のデスクランブルを可能にする)および放送番組のアクセス基準を含む。アクセス基準および制御ワードは、リンケージ29を介して、第2の暗号化ユニット27に送信される。このユニットにおいて、ECMが、生成され、暗号化され、多重化装置およびスクランブラ4に送信される。放送中、典型的には、制御ワードは、数秒ごとに変化し、そのために、ECMもまた定期的に送信され、変化する制御ワードが、デスクランブルされるのを可能にする。冗長性を持たせるために、典型的には、それぞれのECMは、2つの制御ワード、すなわち、現在の制御ワードおよび次の制御ワードを含む。
【0036】
権利管理メッセージ(Entitlement Management Message:EMM)
EMMは、個々のエンドユーザ(加入者)、または、エンドユーザのグループに排他的に提供されるメッセージである。それぞれのグループは、任意の数のエンドユーザを含んでもよい。グループとしてのこの団体は、帯域幅を最適化するためのものである。すなわち、1つのグループへのアクセスは、多数のエンドユーザにアクセスするのを可能にすることができる。様々な独特な種類のEMMが、使用されてもよい。個別EMMは、個々の加入者に排他的に提供され、典型的には、ペイパービューサービスを提供するのに使用され、これらは、グループ識別子およびそのグループに存在する加入者の状態を含む。その他のEMMの種類には、グループまたは視聴者のEMMが含まれる。
【0037】
加入者管理システム(Subscriber Management System:SMS)
加入者管理システム(SMS)22は、数あるなかでも特に、すべてのエンドユーザファイル、商品、視聴予約、PPVの詳細、および、エンドユーザの利用料金および認証に関するデータを管理するデータベース32を含む。SMSは、SASから物理的に離れていてもよい。それぞれのSMSは、それぞれのリンケージ23を介してメッセージをSAS21に送信し、それは、エンドユーザに送信されるべき権利管理メッセージ(EMM)の変更または生成に関するものである。
また、SMS22は、メッセージをSAS21に送信し、それは、EMMの変更または生成に関するものではなく、(製品を注文するときにエンドユーザに与えられる認証またはエンドユーザに課される料金に与えられる認証に関する)エンドユーザの状態の変更だけに関するものである。
SAS21は、(典型的には、コールバック情報または課金情報のような情報を要求する)メッセージをSMS22に送信する。そのために、二者間の通信が双方向であることは明らである。
【0038】
加入者認証システム(Subscriber Authorization System:SAS)
SMS22によって生成されたメッセージは、リンケージ23を介して、加入者認証システム(SAS)21に送信され、そして、SAS21は、SMS22によって生成されたメッセージを受信したことを確認するメッセージを生成し、これらの確認応答をSMS22に送信する。
大まかには、SASは、視聴予約モードに権利を与えるために、そして、権利を毎月自動的に更新するための視聴予約連鎖領域、PPVイベントに権利を与えるためのペイパービュー連鎖領域、および、視聴予約連鎖領域およびペイパービュー連鎖領域によって生成されたEMMを多重化装置およびスクランブラ4に送信するための、すなわち、MPEGストリームにEMMを供給するためのEMMインジェクター(EMM Injector)を備える。ユーザのパーソナルコンピュータにコンピュータソフトウェアをダウンロードするとき、ペイパーファイル(PPF)権のようなその他の権利が与えられなければならない場合には、さらに、別の類似する領域が提供される。
SAS21の1つの機能は、視聴予約モードによって商品として入手することのできる、あるいは、販売の様々なモード(プレブックモード、インパルスモード)によってPPVイベントとして売られているテレビ番組へのアクセス権を管理することである。SAS21は、これらの権利およびSMS22から受信した情報に基づいて、暗号化ユニット24と協働して、加入者のためのEMMを生成する。
【0039】
番組の送信
多重化装置4は、暗号化されたEMMを備えた電気的な信号をSAS21から受信し、暗号化されたECMを第2の暗号化ユニット27から受信し、圧縮された番組を圧縮器3から受信する。多重化装置4は、番組をスクランブルし、そのスクランブルされた番組、暗号化されたEMM、および、暗号化されたECMを、リンケージ7を介して、放送センターの送信器6に送信する。送信器6は、アップリンク8を介して、電磁信号を衛星トランスポンダ9に送信する。
【0040】
番組の受信
衛星トランスポンダ9は、送信器6によって送信された電磁信号を受信および処理し、その信号を、ダウンリンク10を介して、地上受信器11へ送信する。地上受信器11は、良く知られているように、エンドユーザが所有するかまたは賃借するアンテナの形態を有する。受信器11によって受信された信号は、エンドユーザが所有するかまたは賃借し、エンドユーザのテレビ13に接続され、そして、一体化された受信器/復号器12へ送信される。受信器/復号器12は、暗号化されたEMMおよび暗号化されたECMとともに、スクランブルされた番組を得るために、信号を多重分離する。
【0041】
プログラムがスクランブルされていれば、受信器/復号器12は、対応するECMをMPEG−2ストリームから抽出し、そのECMをエンドユーザの「ドーター」スマートカード30に送信する。これは、受信器/復号器12のハウジングにうまく収容される。ドータースマートカード30は、エンドユーザが、ECMを暗号解読し、番組にアクセスする権利を有するかどうかを制御する。もしその権利を有していなければ、番組をデスクランブルしてはならないことを指示するために、否定ステータスが、受信器/復号器12に送信される。エンドユーザが、権利を有していれば、ECMが、暗号解読され、制御ワードが、抽出される。そして、復号器12は、この制御ワードを用いて、番組をデスクランブルすることができる。MPEG−2ストリームは、解凍され、ビデオ信号に変換され、テレビ13へ送信される。
明らかなように、オーディオビジュアルデータの暗号化および暗号解読で使用されるものと同じ条件付きアクセス原理が、復号器に接続されたPCのためのファイルデータ、インターネット接続を介して収集されたデータ、衛星リンクなどを介しての放送のようなその他のデータを暗号化するのに使用されてもよい。
【0042】
トランスポートストリーム内のデータテーブルの編成
図3に示されるように、放送MPEG−2データトランスポートストリームは、番組関連テーブル40(「PAT」)を含めて、標準フォーマットを有するいくつかのパケットを含む。パケットのヘッダーに存在するPIDは、MPEG−2規格によって決められており、このパケットの場合には、0×00の値である。番組アクセステーブル40は、番組データにアクセスするためのエントリーポイントを提供し、ストリーム内の所定のサービスまたはチャンネルに関連する番組マップテーブル(「PMT」)41、42のPID値を参照するテーブルを含む。それぞれの番組マップテーブル41、42は、さらに、そのサービスに関連するオーディオテーブル43およびビデオテーブル44のパケットストリームのPID値への参照を含む。
【0043】
図示されるように、番組マップテーブル42は、さらに、ECMデータ45、46のようなそのサービスに関連する付加的なデータを含むその他のパケット45、46、47のPID値への参照を含む。特に、インターネットプロトコルまたはIPデータ47は、PATテーブル40を介してアクセスされたパケット内のサービスによって伝送されてもよい。MPEG−2標準トランスポートストリームにおいては、そのようなデータは、トランスポートストリームの特定のセクションに存在するDSM−CCデータおよびオブジェクトカルーセル内に編成される。DSM−CCフォーマットに関するより詳細なことは、MPEGに関連する規格ISO13818−6を参照されたい。
【0044】
番組アクセステーブルPAT40に加えて、MPEGトランスポートストリームは、さらに、条件付きアクセステーブル51(「CAT」)を備え、それのPID値は、0×01に決められている。したがって、このPID値を含むパケットヘッダーは、すべて、アクセス制御情報を含むものとして、自動的に識別される。CATテーブル51は、1つかまたはそれ以上の条件付きアクセスシステムに関連するEMMデータに対応するMPEGパケット48、49、50のPID値を参照する。PMTパケットの場合と同様に、CATテーブル51内で参照されるEMMパケットのPID値は、決められておらず、システムオペレータの好みで決定されてもよい。
MPEG−2規格は、上述したPATテーブル値およびCATテーブル値を除けば、きわめて少ない固定PID値しか規定していない。したがって、ある一定の範囲内にあれば、大部分のPID値は、オペレータによって決定されてもよい。
【0045】
トランスポートパケットおよびプライベートセクションデータのフォーマット
良く知られているように、MPEGトランスポートパケットは、ヘッダーを含めて188バイトの固定長を有する。標準パケットにおいては、同期データに続く3バイトのヘッダーは、以下のものからなる。
表1
トランスポートエラー表示 1ビット
ペイロードユニット表示 1ビット
トランスポート優先順位 1ビット
PID 13ビット
トランスポートスクランブル制御 2ビット
適合領域制御 2ビット
連続性カウンタ 4ビット

これらの領域に含まれる特徴は、大部分は、MPEG規格によって決定される。
【0046】
以上、トランスポートパケットのヘッダーのフォーマットを説明した。MPEG−2規格に準拠して、パケットペイロードに含まれる情報は、伝送されるデータの種類に基づいて、さらなるレベル構造に支配される。オーディオ、ビジュアル、テレテキスト、サブタイトル、または、そのような急速に進化した同時代的なその他のデータの場合、情報は、パケット化基本ストリームすなわちPESとして知られている形態で組み立てられる。送信されるパケットのペイロードを組み立てることによって形成されるこのデータストリームは、それ自身が、一連のパケットからなり、それぞれのパケットは、パケットヘッダーおよびペイロードを備える。トランスポートストリーム内の送信パケットと違って、PESパケットの長さは、可変である。
【0047】
IPデータまたはECMおよびEMMデータのようなその他の種類のデータの場合、PESパケット化と異なるフォーマットは、禁止される。特に、トランスポートパケットペイロードに含まれるデータは、一連のセクションまたはテーブルに分割され、そのテーブルまたはセクションのヘッダーは、そのテーブルを識別するテーブルIDすなわちTIDを含む。
データの大きさに応じて、テーブルは、パケットペイロード内に完全に含まれてもよく、あるいは、いくつかのトランスポートパケットにわたって、一連のセクション内にまたがってもよい。そのような場合には、それぞれのセクションは、TID拡張値を含む。MPEG−2においては、「テーブル」という用語は、しばしば、データのただ1つのテーブルを意味し、あるいは、1つのテーブルを構成するための同じTID値を有するいくつかのセクションの結合を意味するのに使用され、それに対して、「セクション」は、一般には、同じTID値を有する複数のテーブルの中の1つを意味するのに使用される。
【0048】
これらのテーブルまたはセクション内に保持される情報を指示するのに使用される実際のTID値は、MPEG−2規格によって決められておらず、一般には、サービスまたはサービスのブーケのオペレータの裁量によって定義されてもよい。しかしながら、以下で説明するように、DSM−CCセクションの場合には、TID値は、DVBが提案するETSI規格EN301 192によって予め定められた値に決められる。
トランスポートパケットデータおよびPESパケットデータの場合と同様に、テーブルまたはセクションのデータ構造またはシンタックスは、MPEG−2規格によって定義される。プライベートテーブルデータまたはプライベートセクションデータのための2つの可能なシンタックス形態が、提案されている。すなわち、長い形態と短い形態である。テーブルシンタックスに関するさらに詳細な知識は、MPEG−2規格を参照されたい。
【0049】
インターネットプロトコルデータのトランスポートストリーム内へのカプセル化
インターネットプロトコルデータの通信において様々なアドレスを使用することをより良く理解するには、例えば、標準的なPC/サーバネットワーク環境で見られるような従来の固定テレコムネットワークの状態を考えればわかりやすい。そのようなネットワークにおいては、一般的に、いくつかの層が、OSIネットワークモデルに基づいて定義され、下部の3つの層は、通常、物理層、データリンク層、および、ネットワーク層からなる。
物理層は、最も低い層を表現し、情報を伝送するのに使用される物理的なモデム/ケーブル接続に対応する。
【0050】
データリンク層は、ネットワーク内のハードウェア要素によって強いられるデータフォーマットに対応し、例えば、良く知られているイーサネット(登録商標)フォーマットおよびトークンリングフォーマットなどがある。メッセージは、媒体アクセス制御アドレスすなわちMACアドレスを用いて、この層で送受信される。従来、MACアドレスは、固定値の6バイトアドレスである。これらのアドレスは、装置の製造時に組み込まれ、例えば、ネットワークに存在するハードウェア装置のイーサネット(登録商標)カードまたはトークンリングカード内に永久的な形で記憶される。
【0051】
ネットワーク層は、データリンク層の上位にある層に対応する。この層で動作するメッセージは、上述したような種類のデータリンク層メッセージ内にカプセル化される。インターネット情報の場合、この層は、インターネットプロトコルフォーマットすなわちIPフォーマットに対応し、このレベルでのメッセージの宛先は、IPアドレスによって識別される。これらのIPアドレスは、4バイト長であり、MACアドレス値とは対照的に、ネットワークマネジャによって所定のユーザに割り当てられる。
【0052】
例えば、イーサネット(登録商標)ワイヤを介して送信されるIPメッセージの場合、以下のようなメッセージ構造である。
イーサネット(登録商標)ヘッダー (6バイトのMACアドレスを備える)
IPヘッダー (4バイトのIPアドレスを備える)
実際のデータ
IPトレーラー
イーサネット(登録商標)トレーラー

【0053】
この種の構造は、また、MPEG放送トランスポートストリームのテーブルまたはセクション内にカプセル化されたIPメッセージまたはデータグラムの場合にも維持される。これは、復号器がテレコムコネクションを介してかまたは放送によってメッセージを送受信するようなほとんどの放送システムのハイブリッド特性を部分的に反映している。そのような環境においては、明らかに、システムのそれぞれの分岐を介して送信されるIPデータグラムのために、アドレス指定するための統一されたポリシーを有することは望ましいことである。
DVBが提案するETSI規格EN301 192は、IPデータグラム情報を伝送するMPEGセクションのための標準フォーマットを提案している。図4は、そのようなセクションのシンタックスを示す。
【0054】
そのようなセクションのPID値は、PMTテーブルによって割り当てられたPID値によって決まるが、IPデータグラムのためのTID値は、実際には、規格によって0×3Eに決められ、プライベートデータを備えたDSM−CCセクションに対応する。
図4からわかるように、セクションによってアドレス指定されるべきある特定の装置の6バイトのMACアドレス値が、セクション47内に展開されている。図5は、セクション47内のMACアドレス52の構成を示す。
【0055】
図4にさらに示されるように、この規格は、payload_scrambling_control領域によって指示されるように、スクランブルされるセクション内に保持されるIPデータの可能性を見越している。さらに、MACアドレスは、それ自身、address_scrambling_control領域によって指示されるようなものであってもよい。これらの領域に含まれる値に基づいて、受信器/復号器は、オーディオビジュアル番組の暗号解読を条件付きアクセスシステムを用いて実行するときのやり方に類似する方法で、アドレスデータまたはペイロードデータの暗号解読を実行する(必要であれば)。図1および図2の説明を参照されたい。
良く知られているように、セクションは、また、section_number領域によって与えられるそれの拡張番号、そして、last_section_number領域によって与えられるような、完全なテーブルを組み立てるセクション総数を指示する。
【0056】
システムアーキテクチャおよびアドレス管理
ここで、図6を参照して、様々なMACアドレスに対処するように適合されたハイブリッド放送およびテレコム通信システムのシステムアーキテクチャを説明する。
上述したように、放送センターは、ディジタルテレビジョン信号を衛星9を介して受信器11および復号器12に送信する送信器6を含む。この例においては、ホームシステムは、さらに、復号器12に接続されたPC装置55を備える。PC装置は、モデムチャンネル56を介して、放送センターに存在するサービスアドレスアロケーションサーバ57およびIP放送サーバ58を含む中央送信ステーション60と通信する。
【0057】
様々なアドレスデータを処理するときの、そして、IPデータをトランスポートストリームに挿入するときのサーバ57、58のそれぞれの機能を、以下で詳細に説明する。これらの機能が2つのサーバに分割されているのは、そのようなデータを処理するのを容易にするためであり、もちろん、例えば、すべての機能を実現するただ1つのサーバを使用する別の構成も可能である。
PC55および復号器12の構成は、ウェブを閲覧したいユーザに特に適合させたものである。なぜなら、より大きな処理能力を有するPCは、衛星リンクを介してまたは直接モデム接続を介してダウンロードされるかもしれない大量のIPデータをより良好に処理することができるからである。しかしながら、PCの使用は、必須なものではなく、特に、復号器が、それ自身のモデムおよび十分な処理能力を備えて独立して動作する場合にはそうである。
【0058】
上述したように、図6に示されるシステムは、ハイブリッド放送/テレコムアーキテクチャを使用する。実際には、データは、このシステムにおいて、おおむね時計回りに流れ、PC/復号器の組み合わせ12、55からのインターネットデータの要求は、テレコムリンク56を介して、放送サーバ57、58に送信され、放送サーバ57、58は、要求を処理して、衛星放送リンク9を介して、インターネットデータをダウンロードする。また、システムは、例えば、衛星リンク9を介してのデータの送信に障害または故障がある場合、テレコムネットワーク56を介して、データをPC/復号器の組み合わせへダウンロードするように構成されてもよい。矢印59によって示されるように、インターネットデータすなわちIPデータは、IP放送サーバ59によって、例えば、いくつかの外部サーバから収集され、放送トランスポートストリームの中に挿入する準備がなされる。
【0059】
従来のシステムにおいては、一般に、製造業者がPCまたは復号器のモデム通信カード内に定義したMACアドレスが、放送センターからPC/復号器へのデータリンク層通信をアドレス指定するのに使用される。これらの固定アドレスは、PC/復号器から放送センターへ通知され、その後に、特定のPCまたは復号器に宛てたトランスポートストリームのデータグラムセクションに挿入される。
この実施形態においては、それとはかなり異なるシステムが、提案される。セッションの開始時点において、PC/復号器の接続と同時に、PC55は、テレコムネットワーク56を介して、MACアドレス要求メッセージを放送センターに送信する。このメッセージは、少なくとも、放送センターがそのユーザを識別するのを可能にするユーザのIPアドレスを含む。思い出されるように、IPアドレスは、インターネット講読を始めたときにネットワークマネジャ(または、放送オペレータ)によって割り当てられた、一般的には固有のネットワークレベルアドレスである。
【0060】
IPアドレスに加えて、要求メッセージは、放送オペレータのサービスにアクセスするために、ユーザの一般講読IDに対応するオペレータIDを含んでもよい。
さらに、要求メッセージは、要求するサービスの種類を指示する表示を含んでもよい。
以下で説明するように、一般に、3つの種類のサービスが、予想される。すなわち、(i)接続ユニキャストサービス、ここでは、セッションの全期間を通して、ユーザは、完全にモデム接続された状態にある。(ii)非接続ユニキャストサービス、ここでは、初期コンフィギュレーションメッセージに関係なく、PC/復号器は、それのモデムを介して接続されていない。(iii)マルチキャストサービス。こられの様々なサービスは、異なるMACアドレスを割り当てることによって反映される。
【0061】
接続ユニキャストモードにおいては、ユーザは、最大限のインターネットサービスを提供され、テレコムリンク56を介して、インターネットデータを要求することができ、このデータは、そのユーザだけに送信される。非接続ユニキャストモードにおいては、ユーザは、放送センターによって自主的に送信されたデータを受信することができるが、それにもかかわらず、そのデータは、そのユーザだけに宛てられる。マルチキャストモードにおいては、ユーザは、同一メッセージを受信するユーザからなるグループ(これは、ネットワークに存在するユーザのすべてかまたは一部であってもよい)の一員を構成する。
【0062】
要求メッセージを受信すると、サービスアドレスアロケーションサーバは、図7に示されるような種類のサービスアドレスメッセージを準備し、そして、このメッセージは、ユーザに送り返される。図示されるように、メッセージは、放送データにアクセスするためにPC/復号器によって必要とされるいくつかのデータ要素を含み、オリジナルネットワークID60、トランスポートストリームID61、および、サービスID62からなるいわゆるDVBトリプレットを含む。さらに、メッセージは、そのサービスによって伝送されるデータの種類のリストを含むデータリスト記述子63、そして、それらのPID値(PIDビデオ、PIDオーディオ、PID IPデータ、PID、ECM、など)も含む。ネットワークID値、トランスポートストリームID値、および、サービスID値、そして、データリスト記述子内の情報を用いて、復号器は、上述したPATテーブルおよびPMTテーブルを介して、そのデータを含むサービスに到達することにとりかかる。
【0063】
さらに、サービスアドレスメッセージは、復号器/PCへアドレス指定されたデータセクションのTID値64を含む。しかしながら、上述したように、DSM−CCフォーマットで伝送されるIPデータの場合、一般に、この値は、ETSI規格によって0×3Eに決められている。
最後に、サービスアドレスメッセージは、符号65で示される割り当てられたMACアドレス値を含む。一般に、PCまたは復号器が、それらの製造業者が決めたMAC値を放送センターに送信するような従来のシステムとは違って、MACアドレス65は、サービスアドレスアロケーションサーバ57によって生成され、そのサーバ57は、割り当てられたMAC値、そして、クロスリンクIPアドレス値およびオペレータID値を含むデータベースを維持する。
【0064】
割り当てられるMACアドレスは、部分的に、要求されたサービスの種類、すなわち、接続ユニキャスト、非接続ユニキャスト、または、マルチキャストによって決まる。ユニキャスト接続アドレスは、所定のセッションに割り当てられ、それぞれのセッションごとに可変である。ユニキャスト非接続アドレスは、可変であってもよいが、講読するときに、または、ユーザが最初に接続されたときに割り当てられた固定値であってもよく、その後、そのユーザがユーザの講読を続行している間はいつまでも維持される。最後に、マルチキャストアドレスは、サーバによって特定のIPサービスに割り当てられたアドレスに対応し、それは、すでにMACアドレスにアクセスしているグループ内に存在するすべての復号器によって受信することができる。これには、放送センターへのモデムバックチャンネルまたはテレコム接続を備えていない復号器またはPC/復号器の組み合わさえも含まれてよい。
さらに、割り当てられるMACアドレスは、帯域幅予約、条件付きアクセスの有無、など、その他のサービス要因によって決定されてもよい。
【0065】
このような方法によるMACアドレスの割り当ては、中央放送サーバ57、58が、いつでも、特定の復号器または復号器のグループに送信されるIPデータを動的に再分配し、処理およびアドレス指定されるべきMACアドレスの数を最小限に抑えるのを可能にする。これは、トランスポートストリーム内に確保された多数の休眠状態のMACアドレスを有するという問題を防止するだけでなく、中央サーバが、より少ない数の変化するユーザを管理するのを可能にする。
グループMACアドレスをマルチキャストモードで使用することによって、ある組の中のすべての復号器が興味のある特定のIPデータ(例えば、放送オペレータのホームページ)に、ただ1つのエントリーポイントを介してアクセスすることができ、そして、複数のユーザ固有テーブルを使用する場合に、情報が重複するのを防止する。
【0066】
さらに、このシステムは、トランスポートストリーム内のいくつかのMPEGサービス間にデータを動的に割り当てるのを可能にする。図7に示されるように、サービスアドレスメッセージは、また、可変DVBトリプレットアドレスを含み、中央放送サーバが、トランスポートストリーム内の使用されていないサービスが利用可能になったときに、それらのサービスにIPデータを割り当てるのを可能にする。MPEGサービスの選択は、例えば、適切な条件付きアクセスシステムによって決定されたトランスポートストリーム内のいくつかのあるいはすべてのサービスにアクセスするユーザの権利を考慮に入れることができる。したがって、また、データの安全な送信を保証することができる。
【0067】
放送サーバ58およびサービスアドレスアロケーションサーバ57によって決定されるこの動的なサービスおよびデータの再分配は、利用可能な帯域幅の最適な使用を可能にする。衛星放送システムに関連してシステムを説明したが、同じ原理が、ケーブルテレビまたはディジタルテレビジョンシステム、あるいは、さらに、MPEGトランスポートストリームのような放送フォーマットのパケットストリームによってデータを伝送するあらゆるシステムに適用される。
さらにより広い範囲においては、本発明は、データリンク層、および、従来、ただ1つのテレコム接続を備えたネットワークを含むデータリンク層において決められた媒体アクセス制御アドレスを使用しているネットワーク層においてアドレス情報を含むあらゆるシステムにも適用することができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央送信ステーションおよび少なくとも1つの復号器を備えたディジタル放送システムにおいてディジタル情報を送信する装置であって、
データセクションをパケットのペイロード内にカプセル化するパケットのストリームを有する少なくとも1つのトランスポートストリームを送信する手段であって、少なくとも1つのカプセル化されたセクションは、少なくとも1つの復号器が前記セクションを受信するのを制御するのに使用される少なくとも1つの媒体アクセス制御(MAC)アドレスを含む、前記送信する手段と、
前記少なくとも1つのMACアドレスを動的に割当てる手段と、
アドレス割り当てメッセージにおける固定インターネットプロトコルアドレスを使用して前記少なくとも1つの復号器と通信する手段とを備え、
前記少なくとも1つのMACアドレスは、前記復号器によって要求されるサービスのタイプに基づいており、前記要求されるサービスのタイプは、マルチキャストサービス、接続ユニキャストサービス、および非接続ユニキャストサービスからなる群から選択される1つである、前記装置。
【請求項2】
復号器および中央送信ステーションを備え、前記復号器が、前記中央送信ステーションから、データセクションをパケットのペイロード内にカプセル化するパケットのストリームを有する少なくとも1つのトランスポートストリームを受信するディジタル放送システムにおいてディジタル情報を受信する方法であって、
前記復号器は、少なくとも1つのカプセル化されたセクション内に含まれる媒体アクセス制御(MAC)アドレスを使用して、前記セクションの受信を制御し、
前記MACアドレスは、アドレス割り当てメッセージにおける固定インターネットプロトコルアドレスで受信され、
前記MACアドレスは、前記復号器によって要求されるサービスのタイプに基づいており、前記要求されるサービスのタイプは、マルチキャストサービス、接続ユニキャストサービス、および非接続ユニキャストサービスからなる群から選択される1つである、前記方法。
【請求項3】
前記アドレス割り当てメッセージは、前記復号器によって前記中央送信ステーションに送信されるMACアドレス要求に応答して受信される、請求項2に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−15422(P2011−15422A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185778(P2010−185778)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【分割の表示】特願2000−595472(P2000−595472)の分割
【原出願日】平成12年1月21日(2000.1.21)
【出願人】(500222364)カナル プラス ソシエテ アノニム (5)
【Fターム(参考)】