説明

ディスクとその製造方法

【課題】RFIDタグがディスクから剥がれないようにしたディスクとその製造方法を提供する。
【解決手段】中心孔と情報記録面とを有するディスク(1)であって、該中心孔と該情報記録面との間に設けた環状の溝(6)と、溝(6)に埋め込んで固定したRFIDタグ(4)とを備える。RFIDタグ(4)は、溝(6)に載置された状態で注入されたUV接着剤をUV照射して硬化させることにより溝(6)に固定されたものであり、該中心孔及び該情報記録面から接着剤(7a)が実質的に飛び出さないようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクとその製造方法に関し、特にRFIDタグを有するコンパクトディスク(CD)又はDVD等のディスクとその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CDやDVD等のディスクは市場に大量に出回っており、その管理等を行うためディスクにRFIDタグを搭載したものが既に用いられている。
【0003】
図6は、このようなRFIDタグを搭載したディスクの従来例を示したものである。同図(1)はディスク1の平面図を示し、このディスク1には、ディスク回転用に設けられた中心孔2と、情報を記録した情報記録面3とを有している。この中心孔2と情報記録面3との間のディスク表面には、非接触で外部(リーダライタ)との情報の送受信を可能にするRFIDタグ4が貼り付けられている。
【0004】
同図(2)は、同図(1)に示したRFIDタグ4を拡大して示したものであり、このRFIDタグ4は、アンテナ4_1と、このアンテナ4_1に接続されたICチップ4_2とで構成されている。
【0005】
同図(3)は、同図(2)においてRFIDタグ4を、線I-Iで切断したときの断面図を示し、同図(2)に示した部分Aは、同図(3)に示した部分Aに相当している。
【0006】
同図(3)に示した部分Aは、同図(4)に拡大して示されており、RFIDタグ4は、アンテナ4_1の上側にICチップ4_2が設けられており、アンテナ4_1の下側にはプラスチックフィルム4_3が設けられている。なお、同図(5)に示すように、アンテナ4_1の下にはプラスチックフィルムが設けられていないものもある。
【0007】
図6に示したRFIDタグ4を、ディスク1の表面に搭載したときの部分断面図が図7に示されている。すなわち、ディスク1の表面上にRFIDタグ4を搭載し、この上にさらに接着シート5を接着してRFIDタグ4をディスク1に固定している。
【0008】
なお、光ディスクの所定領域に周設された導電性の反射膜の内、信号記録領域を除く領域にスリット孔を設け、このスリット孔の中央部において当該スリット孔を挟んで反射膜とRFIDタグのICチップの接続端子と結成させた光ディスク及びその製造方法がある(例えば特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2006-92630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように従来のディスクの場合には、その表面上にRFIDタグ4が貼り付けられているので、図7に示した如くRFIDタグ4はディスク1より出っ張った形になっており、ディスク1自体の回転により、又は使用頻度等の原因でRFIDタグ4がディスク1から剥がれてしまう場合があった。
【0010】
従って、本発明は、RFIDタグがディスクから剥がれないようにしたディスクとその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明に係るディスクは、中心孔と情報記録面とを有し、該中心孔と該情報記録面との間に設けた環状の溝と、該溝に埋め込んで固定したRFIDタグと、を備えたことを特徴としている。
【0012】
上記のタグは、該溝に載置された状態で注入されたUV接着剤をUV照射して硬化させることにより該溝に固定されたものであり、該中心孔及び該情報記録面から該接着剤が実質的に飛び出さないようにしている。
【0013】
このようにして、RFIDタグは、ディスクの中心孔と情報記録面との間に設けた環状の溝に埋め込まれ、中心孔と情報記録面から飛び出さないようになっていると共に、このRFIDタグを溝中に固定するための接着剤も実質的に中心孔と情報記録面から飛び出さないようにしている。
【0014】
従って、ディスク自体の回転や使用頻度が原因でRFIDタグが剥がれるというような課題が解消されることになる。
【0015】
上記のディスクは、該中心孔と該情報記録面との間に環状の溝を設ける第1工程と、該溝にRFIDタグを埋め込んで固定する第2工程とで製造することができる。
【0016】
この場合の上記第2工程は、該溝に該RFIDタグを載置してUV接着剤を注入し、該UV接着剤をUV照射して硬化させることにより該RFIDタグを該溝に固定する工程を含み、該接着剤が表面から実質的に飛び出ないようにしている。
【0017】
一方、本発明では、中心孔と情報記録面との間に環状に設けられたRFIDタグを有するディスクを収納するためのケースが提供され、このケースはディスクを収納したとき、該RFIDタグと電磁結合する位置に設けられた第1部分と、該第1部分から延長して外部のリーダライタとの送受信を行うための第2部分とで構成されるブーストアンテナを、一面又は隣接する複数の面に渡って貼り付けている。
【0018】
この場合のディスクは、RFIDタグを搭載した従来のディスク、又は上記本発明によるディスクのいずれでもよい。
【0019】
また、上記のブーストアンテナは、ベースシートに貼り付けられた状態で貼り付けられるものでもよい。
【0020】
このようにして、図6及び図7に示した従来のディスク、又は上記の構造を有する本発明のディスクのいずれにおいても上記のケースに収納したとき、RFIDとブーストアンテナとが電磁結合し、以て外部のリーダライタとの間で情報の送受信を行うことが可能となり、ディスクの文書管理等に供することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明に係るディスクによれば、CDやDVDの使用中、又は運搬作業中等においてRFIDタグがディスクから剥がれるような事態を避けることができ、RFIDタグの長寿命化に伴い、これに伴ってディスクの長期に渡る文書管理等が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
[1]ディスクの実施例:図1
図1には、本発明に係るディスクの一実施例を示しており、同図(1)はCDの場合の部分断面図を示し、同図(2)はDVDの場合の部分断面図を示している。
【0023】
まず、同図(1)に示すディスク(CD)1には溝6が設けられており、この溝6の中には、RFIDタグ4を構成するアンテナ4_1及びICチップ4_2並びにプラスチックフィルム4_3(これは無い場合も有る。)が、図6(4)に示した3段構成と同様にして載置されている。この状態でUV接着剤を注入して硬化させたことにより、硬化後のUV接着剤7aはディスク1の表面から実質的に飛び出さないようになる。
【0024】
同図(2)に示すDVDの例では、ディスク部分1_1及び1_2でディスク1を構成し、ディスク部分1_1と1_2との貼り合わせ面3aであって溝6の下方部分の右側又は左側に情報記録面が設けられ、その反対側に中心孔(いずれも図示せず。)が設けられている。
【0025】
[2]ディスクの製造方法:図2
図1に示した本発明に係るディスクの製造工程が図2に示されており、同図(1)〜(4)にそれぞれ示す工程(1)〜(4)について以下に説明する。ただし、この実施例の場合にはCDディスクを用いているが、その製造方法においてはDVDも全く同様である。
【0026】
(1)まず、図6に示したディスク1の中心孔2と情報記録面3との間において溝6を設ける。この溝6は、好ましくは図示のようにテーパ6_1を有する。
【0027】
(2)次に、アンテナ4_1とICチップ4_2とプラスチックフィルム4_3とで構成されるRFIDタグ4を溝6内に埋め込む。単に溝6内にRFIDタグ4を置くだけか、或いはプラスチックフィルム4_3を介して溝6の底部に接着してもよい。
【0028】
(3)次に、RFIDタグ4の上から溝6に向かってUV接着剤7を流し込む。この流し込む量は、図示のようにディスク1の表面から突出しないような量とする。
【0029】
(4)この後、UV照射機8から上記工程(3)で流し込んだUV接着剤7に対してUV照射を行う。これにより、UV接着剤7は硬化したUV接着剤7aとなる。この結果、UV接着剤7は、工程(3)に示す状態より、工程(4)に示す状態の方がより容量が小さくなり、以てディスク1の表面からこのUV接着剤7が飛び出すことはより抑えられる。
【0030】
このようにして、RFIDタグ4はディスク1内に設けた溝6内に埋め込まれ固定されるので、ディスク1から剥れ難くなる。
【0031】
[3]ケースの実施例:図3及び図4
図3は、上述した本発明に係るディスクを収納するケースの実施例を示したものである。ただし、この実施例によるケースは、本発明による上記のディスクだけではなく、図6及び図7に示した従来例によるディスクに対しても同様に適用可能なものである。
【0032】
図3(a)は、プラスチック等のケース10の正面(前面)10_1においてブーストアンテナ11を貼り付けた場合を示しており、同図(b)は、ケース10の正面10_1及び側面10_2に渡るようにブーストアンテナ11を貼り付けた場合を示している。これらの場合、ブーストアンテナ11は後述するようにブーストアンテナシート(以下、ベースシートと称することがある。)を介して貼り付けることができる。
【0033】
まず、同図(a)に示すブーストアンテナ正面貼り付けの場合においては、ディスク1の中心孔を、図4に示す如く、ケース10に収納したとき、このディスク1に設けたRFIDタグ4と電磁結合する位置にブーストアンテナ11の第1部分(部分円)11_1が設けられており、この第1部分11_1から延長して図示のように三角形状に広がったブーストアンテナ11の第2部分11_2が設けられている(同図(a)(1)の斜視図及び同図(a)(2)の正面図参照。)。
【0034】
これにより、外部のリーダライタは、ブーストアンテナ11を経由してケース10に装着されたディスク1のRFIDタグ4と通信することが可能となる。
【0035】
また、同図(b)におけるブーストアンテナ正面・側面貼り付けの場合においては、同図(b)(1)の斜視図に示す如く、ブーストアンテナ11の第1部分11_1は同図(a)の場合と同様であるが、第2部分11_2に関しては、正面10_1だけではなく、側面10_2に渡っても貼り付けられている。
【0036】
この結果、同図(b)(2)の正面図に示すように第2部分11_2は正面10_1において大きく広がり、且つ側面10_2まで貼り付けられるので、外部のリーダライタとの通信はより確実なものとなる。
【0037】
図4には、ケース10にディスク1を収納したときの状態が示されており、同図(1)は特に図3(a)(2)及び(b)(2)に示す線II-IIで切断したときの断面図を示し、この断面図における一部分Bを拡大して示したものが図4(2)である。
【0038】
すなわち、ケース10にはディスク保持部10_3が設けられており、ここにRFIDタグ4を搭載したディスク1の中心孔2が嵌め込まれることとなる。そして、ブーストアンテナ11は、ベースシート12に貼り付けられた状態でケース10の底面(図3の場合の正面10_1に相当。)に貼り付けられる。
【0039】
[4]ブーストアンテナの実施例:図5
図5は、図3に示したブーストアンテナ11の種々の形状例を示したものである。
【0040】
図5(1)の場合には、図3(a)(2)に示したものと同様に、ブーストアンテナ11を三角形状にベースシート12に貼り付けたものである。
【0041】
また、図5(2)は、ブーストアンテナ11の第1部分11_1の開口部分11_1aを左下のコーナーに向け、この第1部分11_1に対して第2部分11_2を丁度ベースシート12の四分の一の面積の周囲に渡って延長させた構造となっている。
【0042】
また、同図(3)の場合には、ブーストアンテナの第1部分11_1をベースシート12の中心からずらしており、その分だけ第2部分11_2を長く且つベースシート12の横幅に渡って貼り付けるような構造としている。
【0043】
この他にも、用途に応じた種々の形状が可能なことは言うまでもない。
【0044】
なお、本発明は、上記実施例によって限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づき、当業者によって種々の変更が可能なことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係るディスクの実施例を示した部分断面図である。
【図2】本発明に係るディスクの製造方法を説明するための部分断面図である。
【図3】本発明に係るケースの実施例を示した斜視図及び正面図である。
【図4】図3に示した本発明に係るケースを線II-IIで切断したときの断面図とその部分拡大断面図である。
【図5】本発明で用いるブーストアンテナの種々の実施例を示した正面図である。
【図6】従来から知られているRFIDタグを搭載したディスクを示した図である。
【図7】図6に示した従来例においてディスクとRFIDタグとの関係を示した部分断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 ディスク
2 中心孔
3, 3a 情報記録面
4 RFIDタグ
4_1 アンテナ
4_2 ICチップ
4_3, 13 プラスチックフィルム
5 接着シート
6 溝
6_1 テーパ
7 UV接着剤
7a 硬化後のUV接着剤
8 UV照射機
10 ケース
10_1 ケースの正面
10_2 ケースの側面
10_3 ディスク保持部
11 ブーストアンテナ
11_1 ブーストアンテナの第1部分
11_2 ブーストアンテナの第2部分
12 ベースシート
図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心孔と情報記録面とを有するディスクであって、
該中心孔と該情報記録面との間に設けた環状の溝と、
該溝に埋め込んで固定したRFIDタグと、
を備えたことを特徴とするディスク。
【請求項2】
請求項1において、
該RFIDタグが、該溝に載置された状態で注入されたUV接着剤をUV照射して硬化させることにより該溝に固定されたものであり、該中心孔及び該情報記録面から該接着剤が実質的に飛び出さないようにしたことを特徴とするディスク。
【請求項3】
中心孔と情報記録面とを有するディスクの製造方法であって、
該中心孔と該情報記録面との間に環状の溝を設ける第1工程と、
該溝にRFIDタグを埋め込んで固定する第2工程と、
を備えたことを特徴とするディスクの製造方法。
【請求項4】
請求項3において、
該第2工程が、該溝に該RFIDタグを載置してUV接着剤を注入し、該UV接着剤をUV照射して硬化させることにより該RFIDタグを該溝に固定する工程を含み、該接着剤が表面から実質的に飛び出ないようにしたことを特徴とするディスクの製造方法。
【請求項5】
中心孔と情報記録面との間に環状に設けられたRFIDタグを有するディスクを収納するためのケースであって、
該ディスクを収納したとき、該RFIDタグと電磁結合する位置に設けられた第1部分と、該第1部分から延長して外部のリーダタイタとの送受信を行うための第2部分とで構成されるブーストアンテナを、一面又は隣接する複数の面に渡って貼り付けたことを特徴とするケース。
【請求項6】
請求項5において、
該ディスクが、請求項1又は2に記載のディスクであることを特徴としたケース。
【請求項7】
請求項5において、
該ブーストアンテナが、ベースシートに貼り付けられた状態で貼り付けられることを特徴としたケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−198294(P2008−198294A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−33434(P2007−33434)
【出願日】平成19年2月14日(2007.2.14)
【出願人】(597060427)中谷産業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】