説明

ディスクアレイ装置

【課題】正確なバックアップデータ8cを得る。
【解決手段】バックアップデータ8cの作成指示に応じて一方の論理ボリューム(バックアップ系)5bに対する新停止以降の他方の論理ボリューム(稼働系)5aにおける更新路歴を記憶する更新履歴テーブル15を設け、バックアップデータが読出される論理ボリューム5bに読出しエラーが発生した場合、更新履歴テーブル15に更新履歴が無いとき、他方の論理ボリューム5aのデータを読出し、読出しエラーに代わる正しいデータとして、バックアップデータ8cに組込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの信頼性と安全性とを向上させるために同一データを複数の磁気ディスク装置に書込み保全するディスクアレイ装置に係わり、特に、このディスクアレイ装置に記憶されたデータに対するバックアップデータを別途記憶保持するディスクアレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子情報化社会においては、通信回線を利用して各種の情報が送受信される。そして、近年は、前記送受信されるデータは上述した純粋の「知識」としての価値しか有さない情報を示すデータの他に、データそのものが現金に対する兌換性を有する電子マネーのデータが送受信される。
【0003】
この電子マネー、各種個人情報等の電子データの重要度は高く、消失、改変されてしまったときの影響は非常に大きい。そのため、これらの電子データを確実に保存、活用するために、特許文献1等に、ディスクアレイ装置、バックアップテープ装置等が開発され、広く世間一般に利用されている。
【0004】
周知のように、ディスクアレイ装置においては、複数の磁気ディスク装置を並列動作させ、例えば、外部のホスト装置(ホストコンピュータ)から入力したデータに対して、RAID(redundant array of inexpensive disks )0〜RAID5の方式が提唱されている。この中で、RAID0、1、3、5が現在実用化されている。そして、RAID0は、ストライピングと称し、データを分散して、複数の磁気ディスク装置に書込む。この場合、各データには、パリティ等の誤り訂正情報は付加されていない。
【0005】
RAID1はミラーリングと称し、2台の磁気ディスク装置に対して同一のデータを記憶することで、データの安全性を高める方式である。
【0006】
また、RAID3は、3台以上の磁気ディスク装置を用いて、1台の磁気ディスク装置に対してパリティ等の誤り訂正情報を付加して、残り2台に対してストライピング(パリティ等の誤り訂正情報は付加されていない)を実施している。
【0007】
さらに、RAID5は、2台の磁気ディスク装置に対して、それぞれ、パリティ等の誤り訂正情報を付加してデータを書込む。したがって、たとえ、1台の磁気ディスク装置が故障してもデータの保存が図れる。
【0008】
そして、この複数台の磁気ディスク装置が組込まれたディスクアレイ装置を情報処理システムにデータベースとして組込んだ場合においては、このディスクアレイ装置の各磁気ディスク装置に記憶された各データは、例えばホストコンピュータ(ホスト装置)にて必要に応じて更新される。
【0009】
このRAID0、1、3、5を採用してデータの安全性を確保するとともに、このディスクアレイ装置に記憶された各データを例えば1週間に1回、又は1月に1回、特定の時刻(例えば日曜日の0時)のデータを読取って、バックアップデータとして、例えば外部の磁気テープ等を利用した外部記憶装置に記憶保持するようにしている。
【特許文献1】特開2006―146680号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このようなホスト装置で不定期に更新されるデータを記憶したディスクアレイ装置の各データを定期的に磁気テープ装置などへバックアップする際には、まだ解決すべき次のような課題があった。
【0011】
すなわち、データのバックアップを行う際には、ホスト装置からのデータ更新を実施可能状態に維持している。稼働中のデータを記憶している稼働系メモリ(稼働ディスク装置)の他に、別のバックアップ用データ(稼働中データの完全なミラー)を記憶するバックアップ系メモリ(予備ディスク装置)を用意し、この予備ディスク装置をホスト装置からのデータ更新処理から一時的に切り離して、バックグラウンド処理でもって、前述したバックアップ処理を実行するという一連の流れが一般的である。
【0012】
ここで、バックアップ用データには、前述したように、パリティ等の誤り訂正情報を付加しないRAID0のデータ形式を採用する場合が多い。この理由は、RAID1、RAID5のデータ形式では、パリティ等の誤り訂正情報が付加されるので、必要とする磁気ディスク装置の記憶容量が増大し、ディスクアレイ装置全体の製造費が上昇する問題がある。また、稼働系メモリのデータ形式にパリティ等の誤り訂正情報等の冗長性を持たせれば、ディスクアレイ装置全体としてはデータ冗長性が保てる。さらに、RAID0のデータ形式はデータ処理速度において最も高速である。などが理由である。
【0013】
上述した理由により採用されることの多いRAID0のデータ形式であるが、このRAID0のデータ形式は、前述したように各データに対してパリティ等の誤り訂正情報が付与されていないので、1台のバックアップ用論理ボリュームが形成されている磁気ディスク装置の故障でそのデータ領域全体(バックアップ)の論理ボリュームが閉塞してしまい、復旧(稼働状態の磁気ディスク装置等を用いたデータ復旧作業)するのに時間がかかる問題がある。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、同一データが書込まれる2つの論理ボリュームのうちのバックアップデータが読出される論理ボリュームにおいて、たとえ読出しエラーが発生したとしても、短時間で、その読出しエラー発生データを正しいデータに修正したバックアップデータを得ることができる。また、バックアップデータの作成処理を中断することなく、ホスト装置からの各データの更新処理効率、及びバックアップデータの作成処理効率を向上することができるディスクアレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解消するために、本発明は、ホスト装置からのデータを複数の磁気ディスク装置に割付けられた2つの論理ボリュームに記憶するとともに、バックアップデータ作成指示に応じて、一方の論理ボリュームに対するホスト装置からのデータ更新を停止し、該当時刻におけるこの一方の論理ボリュームに記憶されているデータをバックアップデータメモリに記憶するディスクアレイ装置において、
一方の論理ボリュームに対するデータ更新停止以降に、他方の論理ボリュームにホスト装置からのデータ更新があった場合、このデータの更新履歴を記憶する更新履歴テーブルと、一方の論理ボリュームに対するデータ読出時に、読出エラーが発生したデータの更新履歴が更新履歴テーブルに記憶されているか否かを判定する判定手段と、この判定手段の判定の結果、更新履歴テーブルに更新履歴が記憶されていない読出エラー発生データに対しては、他方の論理ボリュームの当該データをバックアップデータメモリに書込むデータ補間手段とを備えている。
【0016】
このように構成されたディスクアレイ装置においては、更新履歴テーブルには、一方の論理ボリュームに対するホスト装置からのデータ更新停止以降における、他方の論理ボリュームのホスト装置からのデータ更新があったデータの更新履歴が記憶されている。データ更新停止以降の一方の論理ボリュームには、バックアップデータ作成指示時点、すなわちデータ更新停止時点の各データが記憶されている。この各データがバックアップデータとして読取られて、バックアップデータメモリへ書込まれる。
【0017】
この場合、この一方の論理ボリュームに読出エラーが発生した場合は、この読出しエラー発生のデータがデータ更新停止以降に他方の論理ボリュームで更新されていないことが、更新履歴テーブルで確認できると、現在稼働状態の他方の論理ボリュームにおける該当データがエラー発生データに代わるバックアップデータとして、バックアップデータメモリへ書込まれる。
【0018】
したがって、バックアップデータが読出される論理ボリュームにたとえ読出しエラーが発生したとしても、短時間で正しいバックアップデータを得ることができる。
【0019】
また、別の発明においては、ホスト装置からデータを複数の磁気ディスク装置に割付けられた2つの論理ボリュームに記憶するとともに、バックアップデータ作成指示が入力される毎に、一方の論理ボリュームに対するホスト装置からのデータ更新を停止し、各入力時刻におけるこの一方の論理ボリュームに記憶されているデータを各入力時刻に対応するバックアップデータメモリに記憶し、その後一方の論理ボリュームのデータを他方の論理ボリュームのデータに一致させるディスクアレイ装置において、
一方の論理ボリュームに対するデータ更新停止から次のデータ更新停止までの期間における他方の論理ボリュームのデータの更新履歴を記憶する各入力時刻に対応する複数の更新履歴テーブルと、一方の論理ボリュームに対するデータ読出時に、読出エラーが発生したデータの更新履歴が最新の更新履歴テーブルに記憶されているか否かを判定する判定手段と、この判定手段の判定の結果、最新の更新履歴テーブルに更新履歴が記憶されていない読出エラー発生データに対しては、他方の論理ボリュームの当該データをエラー発生データに代わるバックアップデータとして読取るデータ補間手段と、判定手段の判定の結果、最新の更新履歴テーブルに更新履歴が記憶されている読出エラー発生データに対しては、当該読出エラー発生データの更新履歴が最新から一つ前の更新履歴テーブルに記憶されているか否かを判定する追加判定手段と、この追加判定手段の判定の結果、一つ前の更新履歴テーブルに記憶されていない読出エラー発生データに対しては、最新の入力時刻の一つ前に対応するバックアップデータメモリに記憶されているデータをエラー発生データに代わるバックアップデータとして読取るデータ追加補間手段とを備えている。
【0020】
このように構成されたディスクアレイ装置においては、更新履歴テーブルは、論理ボリュームに対する各データ更新停止から次のデータ更新停止までの各期間における他方の論理ボリュームのホスト装置からのデータ更新があったデータの更新履歴テーブルが期間ごとに設けられている。さらに、本願発明の最終目標である各バックアップデータメモリにおいては、各バックアップデータ作成指示時点、すなわち各データ更新停止時点の各データが記憶されている。
【0021】
したがって、先の発明で、最新の期間において、更新されていた場合は、現在時点における稼働中の他方の論理ボリュームのデータを今回のバックアップデータとして採用できない。そこで、一つ前の期間における更新履歴テーブルに更新履歴がなければ、現在作成中のバックアップデータメモリでなくて、一つ前のバックアップデータメモリに、今回の更新前の対応するデータが記憶されている筈である。したがって、この一つ前のバックアップデータメモリのデータを今回の読取りエラー発生データに代わるバックアップデータとして読取り、バックアップデータメモリへ書込まれる。
【0022】
したがって、バックアップデータが読出される論理ボリュームにたとえ読出しエラーが発生したとしても、短時間で正しいバックアップデータを得ることができる。
【0023】
また、別の発明は、上記各発明における、一方の論理ボリューム(バックアップ系)と他方の論理ボリューム(稼働系)との2つの論理ボリュームに書込まれるデータ形式は、一方の論理ボリュームのデータ形式が誤り訂正情報を付加しないデータ形式であれば、バックアップデータの作成処理効率を向上できる。
【0024】
この誤り訂正情報を付加しないデータ形式と誤り訂正情報を付加するデータ形式との組合せを任意に設定可能である。
【0025】
すなわち、例えば、少なくとも、一方の論理ボリュームに書込まれるデータ形式は誤り訂正情報を付加しないデータ形式である組合せや、また、一方の論理ボリュームに書込まれるデータ形式は誤り訂正情報を付加しないデータ形式であり、他方の論理ボリュームに書込まれるデータ形式は誤り訂正情報を付加したデータ形式である組合せを選択できる。
【発明の効果】
【0026】
本発明においては、バックアップデータの作成指示に応じて一方の論理ボリューム(バックアップ系)に対する更新停止以降の他方の論理ボリューム(稼働系)における更新履歴を記憶する更新履歴テーブルを設け、バックアップデータが読出される論理ボリュームにたとえ読出しエラーが発生したとしても、短時間で、その読出しエラー発生を正しいデータに修正したバックアップデータを得ることができ、バックアップデータの作成処理を中断することなく、作成処理効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の各実施形態について図面を用いて説明する。
【0028】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係わるディスクアレイ装置のハード構成図である。このディスクアレイ装置1は、コンピュータから構成された磁気ディスク制御装置2と、3台の磁気ディスク装置3a、3b、3cとで構成されている。そして、この磁気ディスク制御装置2に対して、ホスト装置4から磁気ディスク装置3a、3b、3cに割付けられた図2(a)に示す第1の論理ボリューム(他方の論理ボリューム、稼働系ボリューム)5a、第2の論理ボリューム(一方の論理ボリューム、バックアップ系ボリューム)5bに記憶された各データを更新するためのデータがホストI/F部6に対して、不定周期で入力される。
【0029】
さらに、この磁気ディスク制御装置2には、外部記憶装置7及び別の磁気ディスク装置8が接続されている。この磁気ディスク装置8内には、図2(c)に示す、複数のバックアップデータメモリ8a、8b、8cが形成さている。なお、ここでは、バックアップデータを書込む順番を、8a→8b→8cとする。すなわち、バックアップデータメモリ8cに最新のバックアップデータが書込まれる。
【0030】
また、外部記憶装置7は、例えば、1週間又は1ヶ月等の所定の期間経過する毎に、バックアップデータ作成指示を磁気ディスク制御装置2の外部記憶装置I/F部9へ送出する。
【0031】
磁気ディスク制御装置2のバックアップデータメモリ制御部21は、外部記憶装置I/F部9からのバックアップデータ作成指示に応じて作成したバックアップデータを磁気ディスク装置8内の最新の期間のバックアップデータメモリ8cに書込む。なお、バックアップデータメモリ8a、8b、8cは1週間又は1ヶ月等の所定の期間経過した時点で出力されるバックアップデータ作成指示の出力時刻における第2の論理ボリューム5bに記憶された各データが読出されてバックアップデータとして書込まれる。
【0032】
磁気ディスク制御装置2においては、内部バス10に対して、ホストI/F部6、外部記憶装置I/F部9、ホストI/F部6から入力された更新用のデータを一時記憶するバッファメモリ11、ディスクアレイ装置1全体を制御するディスクアレイ装置制御部12、各磁気ディスク装置3a〜3cの各論理ボリューム5a、5bに対するデータのアクセスを実施する書込みデータ制御部13、各磁気ディクス装置3a〜3c、8とのデータ送受信を行う磁気ディスク装置I/F部14、更新履歴テーブル15、及びバックアップデータメモリ制御部21が接続されている。
【0033】
更新履歴テーブル15は、図2(b)に示すように、バックアップデータ作成指示にて第2の論理ボリューム5bに対する更新停止以降における第1の論理ボリューム5aの更新されたデータの更新履歴15aが記憶されている。具体的には、第1の論理ボリューム5aを複数のセクター16に分割して、更新されたデータがセクター16に含まれる場合は、該当セクター16に更新履歴15aが設定される。
【0034】
図3は、図1に示すハード構成のディスクアレイ装置1の各部が実施する各ソフト的機能を示すブロック構成図である。
ホスト装置4からホストI/F部6のデータ受信部17で受信された更新用の各データはバッファメモリ11に一旦書込まれる。書込みデータ制御部13内のデータ変換部18は、バッファメモリ11に記憶されたデータを読出して、このデータのデータ方式を予め指定したRAIDのデータ形式に変換して、各データ更新部19、20へ送出する。データ更新部19は指定されたデータ形式を有するデータで第1の論理ボリューム5aの対応するデータを更新する。また、データ更新部20は指定されたデータ形式を有するデータで第2の論理ボリューム5bの対応するデータを更新する。
【0035】
この第1の実施形態においては、ホスト装置4から入力される更新用のデータは、誤り訂正情報が付加されていないRAID0のデータ形式を有している。そして、データ変換部18は、第2の論理ボリューム5bに対する更新用のデータのデータ形式として、データ変換しないRAID0のデータ形式をそのまま採用する。したがって、第2の論理ボリューム5bには、冗長性が全くないデータが記憶される。
【0036】
一方、データ変換部18は、第1の論理ボリューム5aに対する更新用のデータのデータ形式として、RAID1の誤り訂正情報が付加された状態のデータ形式を採用する。したがって、ホスト装置4から入力されたRAID0のデータ形式をデータ変換部18で、誤り訂正情報が付加されているRAID1のデータ方式に変更して、データ更新部19で、第1の論理部ボリューム5aの各データが、誤り訂正情報が付加されているRAID1のデータ方式のデータで更新される。したがって、第1の論理ボリューム5aには冗長性を有するデータが記憶される。
【0037】
外部記憶装置I/F部9は、外部記憶装置7から入力されたバックアップデータ作成指示をバックアップデータメモリ制御部21へ送出する。バックアップデータメモリ制御部21は、バックアップデータ作成指示が入力されると、更新停止部22を介して、データ更新部20に対してデータの更新停止指示を送出する。すると、第2の論理ボリューム5bに対する、ホスト装置4から入力される更新用のデータを用いた更新処理を停止する。
【0038】
同時にバックアップデータメモリ制御部21は、更新履歴作成部24を起動して、更新履歴テーブル15内に、第2の論理ボリューム5bの更新停止以降に第1の論理ボリューム5aに更新があったデータの所属するセクター16に更新履歴15aを書込む。
【0039】
また、バックアップデータメモリ制御部21は、データ読取部23を起動して、更新を停止した第2の論理ボリューム5bの各データを読出して、磁気ディスク装置8の最も新しい、すなわち現在時刻が所属する、バックアップデータメモリ8cに、バックアップデータ作成指示時点のバックアップデータとして書込む。
【0040】
エラー発生検出部25は、データ読取部23において、第2の論理ボリューム5bからのデータ読出エラーが発生すると、更新有無判定部(判定手段)26を起動する。更新有無判定部26は、更新履歴テーブル15に、読出エラーが発生したデータの所属するセクター16に更新履歴15aが設定されているか否かを判定する。読出エラーが発生したデータのセクター16に更新履歴15aが設定されていない場合、データ補間部(データ補間手段)27を起動する。
【0041】
このデータ補間部27は、第1の論理ボリューム5aにおける読出エラーが発生したデータに対応する読出エラーが発生していない正しいデータを読み出し、読出エラー発生データに代わるバックアップデータとして、磁気ディスク装置8のバックアップデータメモリ8cに書込む。
【0042】
図4は、このディスクアレイ装置1の全体動作を示すフローチャートである。ホスト装置4から更新用のデータが入力されると(ステップS1)、一旦、バッファメモリ11に書込む(S2)。そして、一旦、ステップS1に戻り、連続してホスト装置4から更新用のデータが入力されないと(S1がN0)、バッファメモリ11にデータが存在するか存在しないかを判断する(S3)。
【0043】
そして、バッファメモリ11にデータが存在する(S3がYes)と、このデータに対して、RAID1(冗長性有り)、RAID0(冗長性無し)のデータ形式のデータ処理を実施する(S4)。この時点で、第2の論理ボリューム5bに対する更新停止指示が出されていない場合(S5がNo)、RAID1(冗長性有り)、RAID0(冗長性無し)の各データ形式に設定した各データで第1の論理ボリューム5a、第2の論理ボリューム5bの対応するデータを更新する(S6)。
【0044】
バッファメモリ11にデータが存在せず(S3がNo)、外部記憶装置7からバックアップデータ作成指示が入力されると(S7がYes)、第2の論理ボリューム5bに対する更新を停止させる(S8)、その後、図5のバックアップデータ作成処理をバックグラウンド処理で実行開始する(S9)。
【0045】
先のS5にて、第2の論理ボリューム5bに対する更新停止指示が出されていた場合(S5がYes)には、第1の論理ボリューム5aの対応するデータのみを更新する(S10)。さらに、更新履歴テーブル15内における更新されたデータが所属するセクター16に更新履歴15aを設定する(S11)。
【0046】
図5に示すバックグラウンド処理によるバックアップデータ作成処理が開始されると、更新が停止状態の第2の論理ボリューム5bからデータを読み出す(ステップQ1)。読出しエラーが発生していない場合(Q2がNo)は、読み出したデータをバックアップデータメモリ8cへ書込む(Q3)。そして、第2の論理ボリューム5bにまだ、未読み出しのデータがあれば(Q4がYes)、Q1へ戻る。
【0047】
読出しエラーが発生している場合(Q2がYes)は、更新履歴テーブル15の該当データのセクター16に更新履歴15aが設定されているか否かを調べる(Q5)。更新履歴15aが設定されていない場合(Q6がYes)は、第1の論理ボリューム5aの対応する正しいデータを読み出して、読出しエラーが発生したデータに代わるデータとしてバックアップデータメモリ8cへ書込む(Q7)。
なお、更新履歴15aが設定されていた場合(Q6がNo)は、エラー発生をバックアップデータメモリ8cへ書込む(Q8)。
第2の論理ボリューム5bに記憶されている全部のデータの読出しが終了すると(Q4がNo)、バックアップデータ作成終了を出力する(Q9)。
【0048】
図4のS12にて、バックアップデータ作成終了が確認できると、第2の論理ボリューム5bの記憶内容を、第1の論理ボリューム5aの記憶内容に合わせる(Q13)。そして、第2の論理ボリューム5bに対する更新停止状態を解除する(S14)。そして、更新履歴テーブル15の各更新履歴15aをクリアする。
【0049】
このように構成された第1実施形態のディスクアレイ装置1においては、更新履歴テーブル15には、図2(b)に示すように、第2の論理ボリューム5bに対するホスト装置4からのデータ更新停止以降における、第1の論理ボリューム5aのホスト装置4からのデータ更新があったデータの更新履歴15aが記憶されている。データ更新停止以降の第1の論理ボリューム5aには、バックアップデータ作成指示時点、すなわちデータ更新停止時点の各データが記憶されている。この各データがバックアップデータとして読取られて、バックアップデータメモリ8cへ書込まれる。
【0050】
この場合、第2の論理ボリューム5bに読出エラーが発生した場合は、この読出しエラー発生のデータがデータ更新停止以降に第1の論理ボリューム5aで更新されていないことが、更新履歴テーブル15で確認できると、現在稼働状態の第1の論理ボリューム5aにおける該当データが読出され、エラー発生データに代わるバックアップデータとして、バックアップデータメモリ8cへ書込まれる。
【0051】
したがって、バックアップデータが読出される第2の論理ボリューム5bにたとえ読出しエラーが発生したとしても、短時間で正しいバックアップデータを得ることができる。
【0052】
(第2実施形態)
図6は本発明の第2実施形態に係わるディスクアレイ装置のハード構成図である。図1に示す第1実施形態に係わるディスクアレイ装置1と同一部分には同一符号を付して、重複する部分の詳細説明を省略する。
【0053】
この第2実施形態のディスクアレイ装置1aにおいては、磁気ディスク制御装置2a内に第1実施形態の更新履歴テーブル15に加えて、この更新履歴テーブル15と同一構成の更新履歴テーブル30が設けられている。
【0054】
さらに、図7に示すように、外部記憶装置7から外部記憶装置I/F部9を介してバックアップデータメモリ制御部21aへ、一定期間間隔の時刻t1、t2、t3でバックアップデータ作成指令が入力されると、一つのバックアップデータ作成指令が入力してから次のバックアップデータ作成指令が入力されるまでの各期間Ta、Tb、Tcにおいて、第1の論理ボリューム(稼働系ボリューム)5aの各データの更新履歴が、それぞれの入力時刻に対応した更新履歴テーブルに書込まれる。
【0055】
例えば、時刻t3以降の期間Tcに所属する場合、最新の期間(周期)Tcに対する更新履歴テーブルは更新履歴テーブル15であり、最新から1つ前の期間Tbに対する更新履歴テーブルは更新履歴テーブル30である。なお、最新から2つ前の期間Taに対する更新履歴テーブルは、時刻t4の時点で最新の更新履歴テーブル15に書き換えられる。
【0056】
各バックアップデータ作成指令の入力時刻t1、t2、t3における各バックアップデータは、データの更新が停止された状態の期間T0の第2の論理ボリューム(バックアップ系ボリューム)5bの各データにて作成され、対応するバックアップデータメモリ8a、8b、8cに書込まれる。すなわち、最新の期間Tcのバックアップデータメモリはバックアップデータメモリ8cであり、一つ前の期間Tbのバックアップデータメモリはバックアップデータメモリ8bである。
【0057】
なお、更新停止期間T0が経過すると、第2の論理ボリューム5bの記憶内容は、第1の論理ボリューム5aの記憶内容に一致させられて、データに対する更新停止が解除される。
【0058】
図8は、図6に示すハード構成のディスクアレイ装置1aの各部が実施する各ソフト的機能を示すブロック構成図である。図3に示す第1実施形態の各ソフト的機能を示すブロック構成図と同一部分には同一符号を付して、重複する部分の詳細説明を省略する。
【0059】
更新履歴作成部24は、図7における各更新停止期間T0において、更新履歴テーブル30,15内に、第2の論理ボリューム5bが更新停止以降に第1の論理ボリューム5aに更新があったデータの所属するセクター16に更新履歴15aを書込む。したがって、更新履歴テーブル15は,最新の期間Tcの更新履歴が書込まれ、更新履歴テーブル30には,一つ前の期間Tbの更新履歴が書込まれている状態である。
【0060】
バックアップデータメモリ制御部21は、データ読取部23を起動して、更新を停止した第2の論理ボリューム5bの各データを読出して、磁気ディスク装置8の最も新しい、すなわち現在時刻が所属する、バックアップデータメモリ8cに、バックアップデータ作成指示時点のバックアップデータとして書込む。
【0061】
エラー発生検出部25は、データ読取部23において、第2の論理ボリューム5bからのデータ読出エラーが発生すると、更新有無判定部26aを起動する。更新有無判定部26aは、更新履歴テーブル15に、読出エラーが発生したデータの所属するセクター16に更新履歴15aが設定されているか否かを判定する。読出エラーが発生したデータのセクター16に更新履歴15aが設定されていない場合、データ補間部27を起動する。このデータ補間部27は、第1の論理ボリューム5aにおける読出エラーが発生したデータに対応する読出エラーが発生していない正しいデータを読出して、このデータをエラー発生データに代わるバックアップデータとして、磁気ディスク装置8のバックアップデータメモリ8cに書込む。
【0062】
また、更新有無判定部26aは、更新履歴テーブル15に、読出エラーが発生したデータの所属するセクター16に更新履歴15aが設定されている場合は、追加更新有無判定部(追加判定手段)32を起動して、更新履歴テーブル15の一つ前の更新履歴テーブル30に読出エラーが発生したデータの所属するセクターに更新履歴が設定されているか否かを判定する。読出エラーが発生したデータのセクターに更新履歴が設定されていない場合、追加データ補間部(データ追加補間手段)33を起動する。
【0063】
追加データ補間部33は、磁気ディスク装置8一つ前のバックアップデータメモリ8bにおける読出エラーが発生したデータに対応する読出エラーが発生していない正しいデータを読出して、このデータをエラー発生データに代わるバックアップデータとして、磁気ディスク装置8の最新のバックアップデータメモリ8cに書込む。
【0064】
図9は、バックグラウンド処理によるバックアップデータ作成処理を示すフローチャートである。先ず、更新が停止状態の第2の論理ボリューム5bから一つのデータを読み出す(ステップR1)。読出しエラーが発生していない場合(R2がNo)は、読み出したデータを最新のバックアップデータメモリ8cへ書込む(R3)。そして、第2の論理ボリューム5bにまだ、未読み出しのデータがあれば(R4がYes)、R1へ戻る。
【0065】
読出しエラーが発生している場合は(R2がYes)、最新の更新履歴テーブル15の該当データのセクター16に更新履歴15aが設定されているか否かを調べる(R5)。更新履歴15aが設定されていない場合は(R6がYes)、第1の論理ボリューム5aの対応する正しいデータを読み出して、読出しエラーが発生したデータに代わるデータとしてバックアップデータメモリ8cへ書込む(R7)。
【0066】
なお、更新履歴15aが設定されていた場合(R6がNo)は、一つ前の更新履歴テーブル30の該当データのセクターに更新履歴が設定されているか否かを調べる(R8)。更新履歴が設定されていない場合(R9がYes)は、磁気ディスク装置8の一つ前のバックアップデータメモリ8bにおける読出エラーが発生したデータに対応する読出エラーが発生していない正しいデータを読出して、このデータをエラー発生データに代わるバックアップデータとして、磁気ディスク装置8の最新のバックアップデータメモリ8cに書込む(R10)。
【0067】
更新履歴が設定されている場合(R9がNo)は、エラー発生を最新のバックアップデータメモリ8cへ書込む(R11)。
【0068】
第2の論理ボリューム5bに記憶されている全部のデータの読み出しが終了すると(R4がNo)、バックアップデータ作成終了を出力する(R12)。
【0069】
なお、メイン処理動作は、図4に示す第1実施形態のメイン処理動作とほほ同じであるので、説明を省略する。
【0070】
このように構成された第2実施形態のディスクアレイ装置においては、第2の論理ボリューム5bに対する各データ更新停止から次のデータ更新停止までの各期間Ta、Tb、Tcにおける第1の論理ボリューム5aのホスト装置4からのデータ更新があったデータの更新履歴テーブル15、30が期間ごとに設けられている。さらに、各バックアップデータメモリ8a、8b、8cにおいては、各バックアップデータ作成指示時点の各データが記憶されている。
【0071】
したがって、最新の期間において、データが更新されていた場合は、現在時点における稼働中の他方の論理ボリュームのデータを今回のバックアップデータとして採用できない。そこで、一つ前の期間における更新履歴テーブル30に更新履歴がなければ、一つ前のバックアップデータメモリ8bに、今回の更新前の対応するデータが記憶されているので、この一つ前のバックアップデータメモリ8bのデータを今回の読取りエラー発生データに代わるバックアップデータとしてバックアップデータメモリ8cへ書込むことが可能である。
【0072】
このように、第2実施形態においては、発生した読取エラー対して、できるだけ正しいデータを補うことが可能となる。
【0073】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。各実施形態においては、第1の論理ボリューム5aのデータ形式をRAIDIの誤り訂正情報を付加したデータ形式とし、第2の論理ボリューム5bのデータ形式をRAID0の誤り訂正情報を付加しないデータ形式とした。
【0074】
しかし、第1、第2の論理ボリューム5a、5bのデータ形式を任意に設定可能である。例えば、第1、第2の論理ボリューム5a、5bのデータ形式を共に、RAID0の誤り訂正情報を付加しないデータ形式とすることが可能である。さらに、第1、第2の論理ボリューム5a、5bのデータ形式を共に、RAIDIの誤り訂正情報を付加したデータ形式とすることが可能である。
【0075】
さらに、RAID3,RAID5のデータ形式を適宜組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1実施形態に係わるディスクアレイ装置のハード構成図
【図2】同実施形態のディスクアレイ装置内に形成された各メモリを示す図
【図3】同実施形態のディスクアレイ装置の機能ブロック図
【図4】同実施形態のディスクアレイ装置のメイン処理動作を示すフローチャート
【図5】同実施形態のディスクアレイ装置のバックアップデータ作成処理動作を示すフローチャート
【図6】本発明の第2実施形態に係わるディスクアレイ装置のハード構成図
【図7】同実施形態のディスクアレイ装置内に形成された各メモリの作成タイミングを示すタイミングチャート
【図8】同実施形態のディスクアレイ装置の機能ブロック図
【図9】同実施形態のディスクアレイ装置のバックアップデータ作成処理動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0077】
1,91a…ディスクアレイ装置、2,2a…磁気ディスク制御装置、3a,3b,3c,8…磁気ディスク装置、4…ホスト装置、5a…第1の論理ボリューム、5b…第2の論理ボリューム、7…外部記憶装置、8a,8b,8c…バックアップデータメモリ、15,30…更新履歴テーブル、17…データ受信部、18…データ変換部、19,20…データ更新部、21…バックアップデータメモリ制御部、22…更新停止部、23…データ読取部、24…更新履歴作成部、25…エラー発生検出部、26,26a…更新有無判定部、27…データ補間部、32…追加更新有無判定部、33…追加データ補間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト装置からのデータを複数の磁気ディスク装置に割付けられた2つの論理ボリュームに記憶するとともに、バックアップデータ作成指示に応じて、前記一方の論理ボリュームに対する前記ホスト装置からのデータ更新を停止し、該当時刻におけるこの一方の論理ボリュームに記憶されているデータをバックアップデータメモリに記憶するディスクアレイ装置において、
前記一方の論理ボリュームに対するデータ更新停止以降に、他方の論理ボリュームに前記ホスト装置からのデータ更新があった場合、このデータの更新履歴を記憶する更新履歴テーブルと、
前記一方の論理ボリュームに対するデータ読出時に、読出エラーが発生したデータの更新履歴が前記更新履歴テーブルに記憶されているか否かを判定する判定手段と、
この判定手段の判定の結果、前記更新履歴テーブルに更新履歴が記憶されていない読出エラー発生データに対しては、前記他方の論理ボリュームの当該データを前記バックアップデータメモリに書込むデータ補間手段と
を備えたことを特徴とするディスクアレイ装置。
【請求項2】
ホスト装置からデータを複数の磁気ディスク装置に割付けられた2つの論理ボリュームに記憶するとともに、バックアップデータ作成指示が入力される毎に、前記一方の論理ボリュームに対する前記ホスト装置からのデータ更新を停止し、各入力時刻におけるこの一方の論理ボリュームに記憶されているデータを前記各入力時刻に対応するバックアップデータメモリに記憶し、その後前記一方の論理ボリュームのデータを前記他方の論理ボリュームのデータに一致させるディスクアレイ装置において、
前記一方の論理ボリュームに対するデータ更新停止から次のデータ更新停止までの期間における前記他方の論理ボリュームのデータの更新履歴を記憶する前記各入力時刻に対応する複数の更新履歴テーブルと、
前記一方の論理ボリュームに対するデータ読出時に、読出エラーが発生したデータの更新履歴が最新の更新履歴テーブルに記憶されているか否かを判定する判定手段と、
この判定手段の判定の結果、前記最新の更新履歴テーブルに更新履歴が記憶されていない読出エラー発生データに対しては、前記他方の論理ボリュームの当該データを前記エラー発生データに代わるバックアップデータとして読取るデータ補間手段と、
前記判定手段の判定の結果、前記最新の更新履歴テーブルに更新履歴が記憶されている読出エラー発生データに対しては、当該読出エラー発生データの更新履歴が最新から一つ前の更新履歴テーブルに記憶されているか否かを判定する追加判定手段と、
この追加判定手段の判定の結果、前記一つ前の更新履歴テーブルに記憶されていない読出エラー発生データに対しては、最新の入力時刻の一つ前に対応するバックアップデータメモリに記憶されているデータを前記エラー発生データに代わるバックアップデータとして読取るデータ追加補間手段と
を備えたことを特徴とするディスクアレイ装置。
【請求項3】
前記2つの論理ボリュームに書込まれるデータ形式は誤り訂正情報を付加しないデータ形式であることを特徴とする請求項1又は2記載のディスクアレイ装置。
【請求項4】
前記一方の論理ボリュームに書込まれるデータ形式は誤り訂正情報を付加しないデータ形式であることを特徴とする請求項1又は2記載のディスクアレイ装置。
【請求項5】
前記一方の論理ボリュームに書込まれるデータ形式は誤り訂正情報を付加しないデータ形式であり、前記他方の論理ボリュームに書込まれるデータ形式は誤り訂正情報を付加したデータ形式であることを特徴とする請求項1又は2記載のディスクアレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−122964(P2010−122964A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296826(P2008−296826)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】