ディスククランプ装置
【課題】ディスククランパーのがたつきを良好に抑止する。
【解決手段】ディスククランパー2が、ディスクDのクランプ時にディスクDと共に自由回転するように、クランプアーム3に対して遊嵌状態で取り付けられてなるディスククランプ装置において、ディスククランパー3によるディスクDの非クランプ時に、ディスククランパー2の回転方向に跨る位置でディスククランパー2の揺動を係止する係止部材4を備えることを特徴とする。
【解決手段】ディスククランパー2が、ディスクDのクランプ時にディスクDと共に自由回転するように、クランプアーム3に対して遊嵌状態で取り付けられてなるディスククランプ装置において、ディスククランパー3によるディスクDの非クランプ時に、ディスククランパー2の回転方向に跨る位置でディスククランパー2の揺動を係止する係止部材4を備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスククランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD、DVD、Blu-ray Discその他の光学ディスク(以下、単に「ディスク」と称する)を読み込むディスク装置において、ディスクを回転させるターンテーブルにディスクをセットする一手法としてターンテーブルに対してディスクを圧接するディスククランパーを用いる方法がある。
【0003】
図10は、従来のディスククランプ装置を有するディスク装置の一例を示す斜視図である。
ディスク装置100は、ディスククランパー2及びクランプアーム3を有する。
【0004】
図11は、ディスククランパー2によるディスクDの圧接の仕組みを示す説明図である。図11(A)は、ディスククランパー2によるディスクDの圧接が行われていない状態(非圧接状態)を示す説明図であり、図11(B)は、ディスククランパー2によるディスクDの圧接が行われている状態(圧接状態)を示す説明図である。図11(A)、(B)は、図10の矢印Vが示す方向からディスク装置100を見た場合の透過側面図である。
【0005】
ディスククランパー2は、ターンテーブル11に対する近接/離隔を切り替え可能に支持されており、ディスククランパー2の移動はクランプアーム3の回動動作による。
クランプアーム3は、インナーシャシ12に対して軸部13を支点として回動可能に設けられており、図示しない駆動部の駆動力により回動してディスククランパー2を移動させ、ディスククランパー2のターンテーブル11に対する近接/離隔を切り替える。
【0006】
図11(B)に示すように、ディスククランパー2とターンテーブル11との間にディスクDがある場合、ディスククランパー2は、ターンテーブル11に対する近接時にディスクDをターンテーブル11側へ押し付けてターンテーブル11に対してディスクDを圧接する。ディスクDの挿入又は取り出し時には、図3(A)に示すように、ディスククランパー2はターンテーブル11から離隔する位置へと移動し、ディスクDの圧接を解消する。
【0007】
ディスク装置100によるディスクDの読込動作時、ディスククランパー2によるディスクDの圧接が行われている状態でターンテーブル11が駆動されてディスクDが回転する。このため、ディスククランパー2はディスクDの回転に応じて回転することができるよう支持されている。
【0008】
図12は、ディスククランパー2及びクランプアーム3の分解斜視図である。
クランプアーム3は、ディスククランパー2を遊嵌状態で支持する支持部31を有する。ディスククランパー2は、支持部31から脱落しないよう係合する係合部21を有する。ディスククランパー2は、ディスクDのクランプ時にディスクDと共に自由回転するように、クランプアーム3の支持部31に遊嵌状態で取り付けられる。これによって、ディスククランパー2は、ディスクDの圧接時においてもターンテーブル11の回転軸14の軸方向に沿った軸部22を回転軸として回転することができる。
【0009】
なお、図11(A)及び図12に示すように、一般的に、支持部31の形状は、ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合にディスククランパー2のディスクDとの当接面23がターンテーブル11のディスク設置面15にほぼ沿うようディスククランパー2を遊嵌状態で支持することができるように設けられる。これによって、ディスククランパー2がディスクDの挿入及び排出を妨げないようにすることができる。
【0010】
ところで、ディスククランパー2はクランプアーム3の支持部31に遊嵌状態で支持されているため、支持部31に対してがたつきを生じる。このため、ディスクDの非挿入時にディスク装置100に何らかの振動が加わると、ディスククランパー2はがたつきを生じてクランプアーム3やディスク装置100の内壁等の別部材に衝突することがある。ディスククランパー2のがたつきによる別部材への衝突は、衝突音(ラトルノイズ等)を生じさせてディスク装置100のユーザに不快感をもたらす他、ディスククランパー2や該別部材の破損、ディスククランパー2及びクランプアーム3の取り付け精度の低下等をもたらす原因となりうる。
【0011】
そこで、ディスククランパーがターンテーブルから離隔する位置にある場合にディスククランパーの上部と当接することでディスククランパーのがたつきを抑止する係止部材を設けたディスク装置の構成が開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−331992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載の構成による従来の係止部材では、ディスククランパーのがたつきの抑止が不十分であった。
図13は、従来の係止部材104の構造を示す説明図である。図13(A)は従来の係止部材104の構造を示す側面図、図13(B)は従来の係止部材104の構造を示す斜視図である。図13(A)、(B)及び以下の説明において、ターンテーブル11の回転軸14の軸方向をZ軸方向、Z軸方向に直交する平面状においてディスククランパー2と当接部105との当接箇所とディスククランパー2の軸部22の中心とを結ぶ直線に沿う方向をY軸方向、Y−Z平面に直交する方向をX軸方向とする。Y軸方向は、ディスク装置100に対するディスクDの挿入及び排出方向に沿う。
【0014】
図13(B)に示すように、従来の係止部材104は、ディスク装置100のアウターシャシ16の下面からディスククランパー2側へ延設され、当接部105の一点のみをディスククランパー2に当接させてディスククランパー2を保持する。この構造は、Y−Z平面上におけるディスククランパー2のがたつきを抑止することができるが、その他の方向の振動によるがたつきを抑止することができない場合がある。例えば、図13(B)に示す矢印Nに沿った方向の振動が加わった場合、ディスククランパー2はディスククランパー2と当接部105との当接箇所及びディスククランパー2の軸部22を支軸として揺れ、がたつきを生じる。即ち、従来の係止部材は、二次元(図13に示すY−Z平面)的なディスククランパー2の位置及び向きの保持に留まり、三次元(Y−X−Z空間)的なディスククランパー2の位置及び向きの保持ができないためにディスククランパー2のがたつきを十分に抑止することができない。
【0015】
本発明の課題は、ディスククランパーのがたつきを良好に抑止することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、ディスククランパーが、ディスクのクランプ時に当該ディスクと共に自由回転するように、クランプアームに対して遊嵌状態で取り付けられてなるディスククランプ装置において、
前記ディスククランパーによるディスクの非クランプ時に、前記ディスククランパーの回転方向に跨る位置で当該ディスククランパーの揺動を係止する係止部材を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のディスククランプ装置であって、前記係止部材は、前記ディスククランパーの回転方向に間隔を置いた少なくとも2点の位置で当該ディスククランパーに当接することを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のディスククランプ装置であって、前記係止部材は、前記ディスククランパーの回転方向に所定長さ連続して当接することを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載のディスククランプ装置であって、前記係止部材の前記ディスククランパーと対向する面に突部が設けられ、前記ディスククランパーの前記係止部材と対向する面には前記突部が嵌合可能な凹部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のディスククランプ装置であって、前記ディスククランパーの凹部は、当該ディスククランパーの放射状位置に複数配列された溝状の凹部であることを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のディスククランプ装置であって、前記ディスククランパーの凹部は、当該ディスククランパーの周方向に沿って複数配列された円形状の凹部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ディスククランパー2のがたつきを良好に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態であるディスククランパー保持機構を有するディスク装置の主要構成図である。
【図2】ディスククランパーがターンテーブルから離隔する位置にある場合における各部の位置関係を示す側面図である。
【図3】ディスククランパーがターンテーブルから離隔する位置にある場合における各部の位置関係を示す斜視図である。
【図4】図3のW−W断面図である。
【図5】第二実施形態の係止部材の構成を示す斜視図である。
【図6】第三実施形態の係止部材の構成を示す斜視図である。
【図7】第四実施形態の係止部材の構成を示す斜視図である。
【図8】第五実施形態の係止部材の構成を示す斜視図である。
【図9】第一〜第五実施形態の係止部材と異なる形状による係止部材の一例を示す説明図である。
【図10】従来のディスククランプ装置を有するディスク装置の一例を示す斜視図である。
【図11】ディスククランパーによるディスクの圧接の仕組みを示す説明図である。図11(A)は、ディスククランパーによるディスクの圧接が行われていない状態(非圧接状態)を示す説明図であり、図11(B)は、ディスククランパーによるディスクの圧接が行われている状態(圧接状態)を示す説明図である。
【図12】ディスククランパー及びクランプアームの分解斜視図である。
【図13】従来の係止部材の構造を示す説明図である。図13(A)は従来の係止部材の構造を示す側面図、図13(B)は従来の係止部材の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0025】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態であるディスククランプ装置を有するディスク装置1の主要構成図である。従来のディスク装置と同様の構成については同じ符号を付して同様の説明を省略する。
【0026】
ディスク装置1は、ディスククランパー2、クランプアーム3、係止部材4、ターンテーブル11、インナーシャシ12及びアウターシャシ16を備える。
【0027】
アウターシャシ16は、インナーシャシ12及びディスク装置1の各部を内包する箱状のシャシであり、ディスク挿入口17を有する。ディスク挿入口17は、ディスク装置1に対するディスクDの挿入/排出を可能とする開口部である。図1及至図9ならびに以下の説明におけるY軸方向は、ディスク装置1に対するディスクDの挿入及び排出方向に沿う。
インナーシャシ12は、アウターシャシ16に固定されたシャシである。
ターンテーブル11は、インナーシャシ12上に設けられ、ディスク設置面15上にセットされたディスクDを回転させる。
ディスククランパー2は、クランプアーム3のディスクDの圧接時において、軸部22の中心がターンテーブル11の回転軸14の中心の延長線上に位置するよう配接されている。
【0028】
係止部材4は、ディスク装置100のアウターシャシ16の下面に設けられる。係止部材4は、ディスクDの挿入口17側からディスククランパー2側へ延設された延設部41を有する。
第一実施形態の延設部41の下面には二つの突部51、51が設けられている。突部51、51は、延設部41からターンテーブル11側へ突出するよう設けられた突部であり、突部51、51の突端が、ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合にディスククランパー2の上部と当接する。
【0029】
図2は、ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合における各部の位置関係を示す側面図である。図2は、図1における矢印Vが示す方向からディスク装置を見た場合の透過側面図である。
図3は、ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合における各部の位置関係を示す斜視図である。図3では、クランプアーム3の図示を省略している。
図4は、図3のW−W断面図である。
なお、図2に示す矢印Mと、図3及び図4に示す矢印Nとは、ターンテーブル11の回転軸に沿った方向から見た場合、直交する関係にある。
【0030】
図2に示すように、ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合、
ディスククランパー2とクランプアーム3は、当接箇所61、62、63で当接する。そして、図3、図4に示すように、ディスククランパー2と係止部材4とは、二つの突部51、51を介して二点の当接箇所で当接する。二つの突部51、51は、ディスククランパー2の回転方向に跨って間隔を置いた2点の位置でディスククランパー2に当接する。
【0031】
このとき、ディスククランパー2は、ディスククランパー2と係止部材4との二つの突部51、51を介した二点の当接箇所を介して係止部材4からターンテーブル11側へ押し付けられる力のベクトルVを受けるが、ディスククランパー2とクランプアーム3との当接箇所62、63によって係止され、図2に示す矢印M方向に沿ったディスククランパー2の揺動が抑止され、ディスククランパー2の位置及び向きが保持される。つまり、Y−Z平面上におけるディスククランパー2の位置及び向きが保持される。これによって、ディスククランパー2は、図2に示す矢印M方向の揺動を抑止され、がたつきを生じない。
そして、ディスククランパー2と係止部材4との二つの突部51、51を介した二点の当接箇所によって図3及び図4に示す矢印N方向に沿ったディスククランパー2の揺動が抑止され、ディスククランパー2の位置及び向きが保持される。つまり、X−Z平面上におけるディスククランパー2の位置及び向きが保持される。これによって、ディスククランパー2は、図3及び図4に示す矢印N方向の揺動を抑止され、がたつきを生じない。
【0032】
つまり、ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合、クランプアーム3と係止部材4の二つの突部51によりディスククランパー2の位置及び向きが三次元(Y−X−Z空間)的に保持され、がたつきを生じない状態となる。
【0033】
なお、第一実施形態の係止部材4は、例えば樹脂や金属等の弾性を有する素材からなり、延設部41は弾性を有する。延設部41が突部51、51を介してディスククランパー2と当接するとき、延設部41はその弾性により図2に示す力のベクトルVをディスククランパー2に加えると共に、力のベクトルVと反対の力のベクトルをその弾性によって吸収することで適切な押し付け力を以ってディスククランパー2を押し付け、その位置及び向きを保持する。
【0034】
また、突部51、51は、弾性を有する樹脂(例えばエラストマ等)を素材とし、突部51、51とディスククランパー2との当接時においてディスククランパー2を傷つけることなくディスククランパー2を保持することができる。
【0035】
以上のように、第一実施形態によれば、係止部材4は、二つの突部51、51を介してディスククランパー2と二点の当接箇所で当接する。これによって、ディスククランパー2は、ターンテーブル11から離隔する位置にある場合において、クランプアーム3と係止部材4の二つの突部51、51により位置及び向きが保持され、がたつきを生じない。つまり、ディスククランパー2のがたつきを良好に抑止することができる。これによって、ディスククランパー2のがたつきによる別部材への衝突による衝突音(ラトルノイズ等)の発生を良好に抑止することができることに加え、ディスククランパー2や該別部材の破損、ディスククランパー2及びクランプアーム3の取り付け精度の低下等も抑止することができる。
【0036】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態によるディスククランパー保持機構について説明する。第一実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図5は、第二実施形態の係止部材4の構成を示す斜視図である。
第二実施形態の延設部41の下面には二つの当接部52、52が設けられている。当接部52、52は、延設部41からターンテーブル11側へ隆起するよう設けられた段部である。ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合、当接部52、52の先端はディスククランパー2の上部と当接する。
そして、二つの当接部52、52は、ディスククランパー2の回転方向に跨って間隔を置いた2点の位置でディスククランパー2に当接する略V字形状である。
【0037】
第二実施形態によれば、係止部材4は二つの当接部52、52の形状に沿った二本の線状の当接箇所を介してディスククランパー2と当接する。つまり、点状の当接箇所に比してより広い当接面積を介してディスククランパー2と当接してディスククランパー2の位置及び向きを保持することができ、一箇所の当接箇所にかかる力を分散、軽減することができ、より安定したディスククランパー2の位置及び向きの保持を実現することができる。
【0038】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態によるディスククランパー保持機構について説明する。第一、第二実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図6は、第三実施形態の係止部材4の構成を示す斜視図である。
第三実施形態の延設部41の下面には当接部53が設けられている。当接部53は、延設部41からターンテーブル11側へ隆起するよう設けられた段部である。ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合、当接部53の先端はディスククランパー2の上部と当接する。
そして、当接部53は、ディスククランパー2の回転方向に跨って所定長さ連続して当接する略U字形状である。
【0039】
第三実施形態によれば、係止部材4は当接部53の形状に沿った弧状の当接箇所を介してディスククランパー2と当接する。つまり、点状の当接箇所に比してより広い当接面積を介してディスククランパー2と当接してディスククランパー2の位置及び向きを保持することができ、一箇所の当接箇所にかかる力を分散、軽減することができ、より安定したディスククランパー2の位置及び向きの保持を実現することができる。
【0040】
前述の第二実施形態における当接部52、52及び第三実施形態における当接部53の素材として弾性を有する樹脂(例えばエラストマ)等を用いると、当接部がディスククランパー2を傷つけることなくディスククランパー2を保持することができる。
【0041】
(第四実施形態)
次に、本発明の第四実施形態によるディスククランパー保持機構について説明する。第一〜第三実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図7は、第四実施形態の係止部材4の構成を示す斜視図である。
第四実施形態のディスククランパー2の上面には凹部24が設けられている。凹部24は、略円錐形状のディスククランパー2の上面において放射状位置に複数配列された溝状の凹部であり、ディスククランパー2の上面に波目状の起伏を形成している。
ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合、二つの突部51、51は、その突端側が凹部24の凹に収まり、凹部24と嵌合する。
【0042】
第四実施形態によれば、二つの突部51、51が凹部24と嵌合するので、二つの突部51、51の突端のみがディスククランパー2の上面と当接する場合に比して係止部材4によるディスククランパー2の位置及び向きの保持力が大幅に高まる。これによって、係止部材4はより確実にクランプアーム3との協働によるディスククランパー2の位置及び向きの保持を行うことができる。
【0043】
(第五実施形態)
次に、本発明の第五実施形態によるディスククランパー保持機構について説明する。第一〜第四実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図8は、第五実施形態の係止部材4の構成を示す斜視図である。
第四実施形態のディスククランパー2の上面には複数の凹部25が設けられている。凹部25は、ディスククランパー2の周方向に沿って複数配列された円形状の凹部である。
ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合、二つの突部51、51は、その突端側が凹部25のいずれかに収まり、凹部25と嵌合する。
【0044】
第五実施形態によれば、二つの突部51、51が凹部25と嵌合するので、二つの突部51、51の突端のみがディスククランパー2の上面と当接する場合に比して係止部材4によるディスククランパー2の位置及び向きの保持力が大幅に高まる。これによって、係止部材4はより確実にクランプアーム3との協働によるディスククランパー2の位置及び向きの保持を行うことができる。
【0045】
前述の実施形態における記述は本発明の一例を示すものであり、本発明の実施形態を限定するものではなく、本発明の特徴を逸脱しない範囲での構成変更が可能である。
【0046】
例えば、係止部材はディスククランパーに対する二点以上の当接箇所あるいは略V字形状又は略U字形状の当接箇所を有していればよく、その形状及び材質は前述の第一〜第五実施形態に限らない。
図9は、第一〜第五実施形態の係止部材4と異なる形状による係止部材の一例を示す説明図である。
例えば、図9に示すように、ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合にディスククランパー2の上面と当接する緩衝材42をアウターシャシ16の下面に設ける方法等が挙げられる。このとき、緩衝材42として、例えばウレタンやゴム等、弾性、衝撃吸収性を有する部材を用いることでディスククランパー2の位置及び向きを保持する押し付け力をより適切に調節することが可能となる。
【0047】
また、ディスククランパーと係止部材との当接箇所は二点に限らず、三点以上であってもよい。係止部材は、少なくとも略V字形状又は略U字形状を形成する当接箇所と、突部による当接箇所の両方を有してもよい。
【0048】
なお、本発明によるディスククランプ装置は、その採用を特定用途のディスク装置に限定するものではないが、ディスク装置に対して振動が加わる機会の多い環境下、例えば車載用途のディスク装置等において特に効果を発揮する。
【0049】
突部又は当接部は係止部材に一体形成されていてもよいし、別部品で設けられた突部又は当接部を係止部材に固定してもよい。
一体形成する例として、係止部材を板金により設け、突部又は当接部を板金打ち出し形状によって形成したもの等が挙げられる。
別部品で突部又は当接部を設ける例として、樹脂製の突部又は当接部を別部品の係止部材に固定したもの等が挙げられる。この場合、突部又は当接部の素材として弾性を有する樹脂(例えばエラストマ)等を用いると、突部又は当接部がディスククランパー2を傷つけることなくディスククランパー2を保持することができる。
【符号の説明】
【0050】
2 ディスククランパー
3 クランプアーム
4 係止部材
11 ターンテーブル
12 インナーシャシ
16 アウターシャシ
41 延設部
51 突部
D ディスク
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスククランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD、DVD、Blu-ray Discその他の光学ディスク(以下、単に「ディスク」と称する)を読み込むディスク装置において、ディスクを回転させるターンテーブルにディスクをセットする一手法としてターンテーブルに対してディスクを圧接するディスククランパーを用いる方法がある。
【0003】
図10は、従来のディスククランプ装置を有するディスク装置の一例を示す斜視図である。
ディスク装置100は、ディスククランパー2及びクランプアーム3を有する。
【0004】
図11は、ディスククランパー2によるディスクDの圧接の仕組みを示す説明図である。図11(A)は、ディスククランパー2によるディスクDの圧接が行われていない状態(非圧接状態)を示す説明図であり、図11(B)は、ディスククランパー2によるディスクDの圧接が行われている状態(圧接状態)を示す説明図である。図11(A)、(B)は、図10の矢印Vが示す方向からディスク装置100を見た場合の透過側面図である。
【0005】
ディスククランパー2は、ターンテーブル11に対する近接/離隔を切り替え可能に支持されており、ディスククランパー2の移動はクランプアーム3の回動動作による。
クランプアーム3は、インナーシャシ12に対して軸部13を支点として回動可能に設けられており、図示しない駆動部の駆動力により回動してディスククランパー2を移動させ、ディスククランパー2のターンテーブル11に対する近接/離隔を切り替える。
【0006】
図11(B)に示すように、ディスククランパー2とターンテーブル11との間にディスクDがある場合、ディスククランパー2は、ターンテーブル11に対する近接時にディスクDをターンテーブル11側へ押し付けてターンテーブル11に対してディスクDを圧接する。ディスクDの挿入又は取り出し時には、図3(A)に示すように、ディスククランパー2はターンテーブル11から離隔する位置へと移動し、ディスクDの圧接を解消する。
【0007】
ディスク装置100によるディスクDの読込動作時、ディスククランパー2によるディスクDの圧接が行われている状態でターンテーブル11が駆動されてディスクDが回転する。このため、ディスククランパー2はディスクDの回転に応じて回転することができるよう支持されている。
【0008】
図12は、ディスククランパー2及びクランプアーム3の分解斜視図である。
クランプアーム3は、ディスククランパー2を遊嵌状態で支持する支持部31を有する。ディスククランパー2は、支持部31から脱落しないよう係合する係合部21を有する。ディスククランパー2は、ディスクDのクランプ時にディスクDと共に自由回転するように、クランプアーム3の支持部31に遊嵌状態で取り付けられる。これによって、ディスククランパー2は、ディスクDの圧接時においてもターンテーブル11の回転軸14の軸方向に沿った軸部22を回転軸として回転することができる。
【0009】
なお、図11(A)及び図12に示すように、一般的に、支持部31の形状は、ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合にディスククランパー2のディスクDとの当接面23がターンテーブル11のディスク設置面15にほぼ沿うようディスククランパー2を遊嵌状態で支持することができるように設けられる。これによって、ディスククランパー2がディスクDの挿入及び排出を妨げないようにすることができる。
【0010】
ところで、ディスククランパー2はクランプアーム3の支持部31に遊嵌状態で支持されているため、支持部31に対してがたつきを生じる。このため、ディスクDの非挿入時にディスク装置100に何らかの振動が加わると、ディスククランパー2はがたつきを生じてクランプアーム3やディスク装置100の内壁等の別部材に衝突することがある。ディスククランパー2のがたつきによる別部材への衝突は、衝突音(ラトルノイズ等)を生じさせてディスク装置100のユーザに不快感をもたらす他、ディスククランパー2や該別部材の破損、ディスククランパー2及びクランプアーム3の取り付け精度の低下等をもたらす原因となりうる。
【0011】
そこで、ディスククランパーがターンテーブルから離隔する位置にある場合にディスククランパーの上部と当接することでディスククランパーのがたつきを抑止する係止部材を設けたディスク装置の構成が開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−331992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載の構成による従来の係止部材では、ディスククランパーのがたつきの抑止が不十分であった。
図13は、従来の係止部材104の構造を示す説明図である。図13(A)は従来の係止部材104の構造を示す側面図、図13(B)は従来の係止部材104の構造を示す斜視図である。図13(A)、(B)及び以下の説明において、ターンテーブル11の回転軸14の軸方向をZ軸方向、Z軸方向に直交する平面状においてディスククランパー2と当接部105との当接箇所とディスククランパー2の軸部22の中心とを結ぶ直線に沿う方向をY軸方向、Y−Z平面に直交する方向をX軸方向とする。Y軸方向は、ディスク装置100に対するディスクDの挿入及び排出方向に沿う。
【0014】
図13(B)に示すように、従来の係止部材104は、ディスク装置100のアウターシャシ16の下面からディスククランパー2側へ延設され、当接部105の一点のみをディスククランパー2に当接させてディスククランパー2を保持する。この構造は、Y−Z平面上におけるディスククランパー2のがたつきを抑止することができるが、その他の方向の振動によるがたつきを抑止することができない場合がある。例えば、図13(B)に示す矢印Nに沿った方向の振動が加わった場合、ディスククランパー2はディスククランパー2と当接部105との当接箇所及びディスククランパー2の軸部22を支軸として揺れ、がたつきを生じる。即ち、従来の係止部材は、二次元(図13に示すY−Z平面)的なディスククランパー2の位置及び向きの保持に留まり、三次元(Y−X−Z空間)的なディスククランパー2の位置及び向きの保持ができないためにディスククランパー2のがたつきを十分に抑止することができない。
【0015】
本発明の課題は、ディスククランパーのがたつきを良好に抑止することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、ディスククランパーが、ディスクのクランプ時に当該ディスクと共に自由回転するように、クランプアームに対して遊嵌状態で取り付けられてなるディスククランプ装置において、
前記ディスククランパーによるディスクの非クランプ時に、前記ディスククランパーの回転方向に跨る位置で当該ディスククランパーの揺動を係止する係止部材を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のディスククランプ装置であって、前記係止部材は、前記ディスククランパーの回転方向に間隔を置いた少なくとも2点の位置で当該ディスククランパーに当接することを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のディスククランプ装置であって、前記係止部材は、前記ディスククランパーの回転方向に所定長さ連続して当接することを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載のディスククランプ装置であって、前記係止部材の前記ディスククランパーと対向する面に突部が設けられ、前記ディスククランパーの前記係止部材と対向する面には前記突部が嵌合可能な凹部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のディスククランプ装置であって、前記ディスククランパーの凹部は、当該ディスククランパーの放射状位置に複数配列された溝状の凹部であることを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載のディスククランプ装置であって、前記ディスククランパーの凹部は、当該ディスククランパーの周方向に沿って複数配列された円形状の凹部であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、ディスククランパー2のがたつきを良好に抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第一実施形態であるディスククランパー保持機構を有するディスク装置の主要構成図である。
【図2】ディスククランパーがターンテーブルから離隔する位置にある場合における各部の位置関係を示す側面図である。
【図3】ディスククランパーがターンテーブルから離隔する位置にある場合における各部の位置関係を示す斜視図である。
【図4】図3のW−W断面図である。
【図5】第二実施形態の係止部材の構成を示す斜視図である。
【図6】第三実施形態の係止部材の構成を示す斜視図である。
【図7】第四実施形態の係止部材の構成を示す斜視図である。
【図8】第五実施形態の係止部材の構成を示す斜視図である。
【図9】第一〜第五実施形態の係止部材と異なる形状による係止部材の一例を示す説明図である。
【図10】従来のディスククランプ装置を有するディスク装置の一例を示す斜視図である。
【図11】ディスククランパーによるディスクの圧接の仕組みを示す説明図である。図11(A)は、ディスククランパーによるディスクの圧接が行われていない状態(非圧接状態)を示す説明図であり、図11(B)は、ディスククランパーによるディスクの圧接が行われている状態(圧接状態)を示す説明図である。
【図12】ディスククランパー及びクランプアームの分解斜視図である。
【図13】従来の係止部材の構造を示す説明図である。図13(A)は従来の係止部材の構造を示す側面図、図13(B)は従来の係止部材の構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0025】
(第一実施形態)
図1は、本発明の第一実施形態であるディスククランプ装置を有するディスク装置1の主要構成図である。従来のディスク装置と同様の構成については同じ符号を付して同様の説明を省略する。
【0026】
ディスク装置1は、ディスククランパー2、クランプアーム3、係止部材4、ターンテーブル11、インナーシャシ12及びアウターシャシ16を備える。
【0027】
アウターシャシ16は、インナーシャシ12及びディスク装置1の各部を内包する箱状のシャシであり、ディスク挿入口17を有する。ディスク挿入口17は、ディスク装置1に対するディスクDの挿入/排出を可能とする開口部である。図1及至図9ならびに以下の説明におけるY軸方向は、ディスク装置1に対するディスクDの挿入及び排出方向に沿う。
インナーシャシ12は、アウターシャシ16に固定されたシャシである。
ターンテーブル11は、インナーシャシ12上に設けられ、ディスク設置面15上にセットされたディスクDを回転させる。
ディスククランパー2は、クランプアーム3のディスクDの圧接時において、軸部22の中心がターンテーブル11の回転軸14の中心の延長線上に位置するよう配接されている。
【0028】
係止部材4は、ディスク装置100のアウターシャシ16の下面に設けられる。係止部材4は、ディスクDの挿入口17側からディスククランパー2側へ延設された延設部41を有する。
第一実施形態の延設部41の下面には二つの突部51、51が設けられている。突部51、51は、延設部41からターンテーブル11側へ突出するよう設けられた突部であり、突部51、51の突端が、ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合にディスククランパー2の上部と当接する。
【0029】
図2は、ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合における各部の位置関係を示す側面図である。図2は、図1における矢印Vが示す方向からディスク装置を見た場合の透過側面図である。
図3は、ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合における各部の位置関係を示す斜視図である。図3では、クランプアーム3の図示を省略している。
図4は、図3のW−W断面図である。
なお、図2に示す矢印Mと、図3及び図4に示す矢印Nとは、ターンテーブル11の回転軸に沿った方向から見た場合、直交する関係にある。
【0030】
図2に示すように、ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合、
ディスククランパー2とクランプアーム3は、当接箇所61、62、63で当接する。そして、図3、図4に示すように、ディスククランパー2と係止部材4とは、二つの突部51、51を介して二点の当接箇所で当接する。二つの突部51、51は、ディスククランパー2の回転方向に跨って間隔を置いた2点の位置でディスククランパー2に当接する。
【0031】
このとき、ディスククランパー2は、ディスククランパー2と係止部材4との二つの突部51、51を介した二点の当接箇所を介して係止部材4からターンテーブル11側へ押し付けられる力のベクトルVを受けるが、ディスククランパー2とクランプアーム3との当接箇所62、63によって係止され、図2に示す矢印M方向に沿ったディスククランパー2の揺動が抑止され、ディスククランパー2の位置及び向きが保持される。つまり、Y−Z平面上におけるディスククランパー2の位置及び向きが保持される。これによって、ディスククランパー2は、図2に示す矢印M方向の揺動を抑止され、がたつきを生じない。
そして、ディスククランパー2と係止部材4との二つの突部51、51を介した二点の当接箇所によって図3及び図4に示す矢印N方向に沿ったディスククランパー2の揺動が抑止され、ディスククランパー2の位置及び向きが保持される。つまり、X−Z平面上におけるディスククランパー2の位置及び向きが保持される。これによって、ディスククランパー2は、図3及び図4に示す矢印N方向の揺動を抑止され、がたつきを生じない。
【0032】
つまり、ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合、クランプアーム3と係止部材4の二つの突部51によりディスククランパー2の位置及び向きが三次元(Y−X−Z空間)的に保持され、がたつきを生じない状態となる。
【0033】
なお、第一実施形態の係止部材4は、例えば樹脂や金属等の弾性を有する素材からなり、延設部41は弾性を有する。延設部41が突部51、51を介してディスククランパー2と当接するとき、延設部41はその弾性により図2に示す力のベクトルVをディスククランパー2に加えると共に、力のベクトルVと反対の力のベクトルをその弾性によって吸収することで適切な押し付け力を以ってディスククランパー2を押し付け、その位置及び向きを保持する。
【0034】
また、突部51、51は、弾性を有する樹脂(例えばエラストマ等)を素材とし、突部51、51とディスククランパー2との当接時においてディスククランパー2を傷つけることなくディスククランパー2を保持することができる。
【0035】
以上のように、第一実施形態によれば、係止部材4は、二つの突部51、51を介してディスククランパー2と二点の当接箇所で当接する。これによって、ディスククランパー2は、ターンテーブル11から離隔する位置にある場合において、クランプアーム3と係止部材4の二つの突部51、51により位置及び向きが保持され、がたつきを生じない。つまり、ディスククランパー2のがたつきを良好に抑止することができる。これによって、ディスククランパー2のがたつきによる別部材への衝突による衝突音(ラトルノイズ等)の発生を良好に抑止することができることに加え、ディスククランパー2や該別部材の破損、ディスククランパー2及びクランプアーム3の取り付け精度の低下等も抑止することができる。
【0036】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態によるディスククランパー保持機構について説明する。第一実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図5は、第二実施形態の係止部材4の構成を示す斜視図である。
第二実施形態の延設部41の下面には二つの当接部52、52が設けられている。当接部52、52は、延設部41からターンテーブル11側へ隆起するよう設けられた段部である。ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合、当接部52、52の先端はディスククランパー2の上部と当接する。
そして、二つの当接部52、52は、ディスククランパー2の回転方向に跨って間隔を置いた2点の位置でディスククランパー2に当接する略V字形状である。
【0037】
第二実施形態によれば、係止部材4は二つの当接部52、52の形状に沿った二本の線状の当接箇所を介してディスククランパー2と当接する。つまり、点状の当接箇所に比してより広い当接面積を介してディスククランパー2と当接してディスククランパー2の位置及び向きを保持することができ、一箇所の当接箇所にかかる力を分散、軽減することができ、より安定したディスククランパー2の位置及び向きの保持を実現することができる。
【0038】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態によるディスククランパー保持機構について説明する。第一、第二実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図6は、第三実施形態の係止部材4の構成を示す斜視図である。
第三実施形態の延設部41の下面には当接部53が設けられている。当接部53は、延設部41からターンテーブル11側へ隆起するよう設けられた段部である。ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合、当接部53の先端はディスククランパー2の上部と当接する。
そして、当接部53は、ディスククランパー2の回転方向に跨って所定長さ連続して当接する略U字形状である。
【0039】
第三実施形態によれば、係止部材4は当接部53の形状に沿った弧状の当接箇所を介してディスククランパー2と当接する。つまり、点状の当接箇所に比してより広い当接面積を介してディスククランパー2と当接してディスククランパー2の位置及び向きを保持することができ、一箇所の当接箇所にかかる力を分散、軽減することができ、より安定したディスククランパー2の位置及び向きの保持を実現することができる。
【0040】
前述の第二実施形態における当接部52、52及び第三実施形態における当接部53の素材として弾性を有する樹脂(例えばエラストマ)等を用いると、当接部がディスククランパー2を傷つけることなくディスククランパー2を保持することができる。
【0041】
(第四実施形態)
次に、本発明の第四実施形態によるディスククランパー保持機構について説明する。第一〜第三実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図7は、第四実施形態の係止部材4の構成を示す斜視図である。
第四実施形態のディスククランパー2の上面には凹部24が設けられている。凹部24は、略円錐形状のディスククランパー2の上面において放射状位置に複数配列された溝状の凹部であり、ディスククランパー2の上面に波目状の起伏を形成している。
ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合、二つの突部51、51は、その突端側が凹部24の凹に収まり、凹部24と嵌合する。
【0042】
第四実施形態によれば、二つの突部51、51が凹部24と嵌合するので、二つの突部51、51の突端のみがディスククランパー2の上面と当接する場合に比して係止部材4によるディスククランパー2の位置及び向きの保持力が大幅に高まる。これによって、係止部材4はより確実にクランプアーム3との協働によるディスククランパー2の位置及び向きの保持を行うことができる。
【0043】
(第五実施形態)
次に、本発明の第五実施形態によるディスククランパー保持機構について説明する。第一〜第四実施形態と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
図8は、第五実施形態の係止部材4の構成を示す斜視図である。
第四実施形態のディスククランパー2の上面には複数の凹部25が設けられている。凹部25は、ディスククランパー2の周方向に沿って複数配列された円形状の凹部である。
ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合、二つの突部51、51は、その突端側が凹部25のいずれかに収まり、凹部25と嵌合する。
【0044】
第五実施形態によれば、二つの突部51、51が凹部25と嵌合するので、二つの突部51、51の突端のみがディスククランパー2の上面と当接する場合に比して係止部材4によるディスククランパー2の位置及び向きの保持力が大幅に高まる。これによって、係止部材4はより確実にクランプアーム3との協働によるディスククランパー2の位置及び向きの保持を行うことができる。
【0045】
前述の実施形態における記述は本発明の一例を示すものであり、本発明の実施形態を限定するものではなく、本発明の特徴を逸脱しない範囲での構成変更が可能である。
【0046】
例えば、係止部材はディスククランパーに対する二点以上の当接箇所あるいは略V字形状又は略U字形状の当接箇所を有していればよく、その形状及び材質は前述の第一〜第五実施形態に限らない。
図9は、第一〜第五実施形態の係止部材4と異なる形状による係止部材の一例を示す説明図である。
例えば、図9に示すように、ディスククランパー2がターンテーブル11から離隔する位置にある場合にディスククランパー2の上面と当接する緩衝材42をアウターシャシ16の下面に設ける方法等が挙げられる。このとき、緩衝材42として、例えばウレタンやゴム等、弾性、衝撃吸収性を有する部材を用いることでディスククランパー2の位置及び向きを保持する押し付け力をより適切に調節することが可能となる。
【0047】
また、ディスククランパーと係止部材との当接箇所は二点に限らず、三点以上であってもよい。係止部材は、少なくとも略V字形状又は略U字形状を形成する当接箇所と、突部による当接箇所の両方を有してもよい。
【0048】
なお、本発明によるディスククランプ装置は、その採用を特定用途のディスク装置に限定するものではないが、ディスク装置に対して振動が加わる機会の多い環境下、例えば車載用途のディスク装置等において特に効果を発揮する。
【0049】
突部又は当接部は係止部材に一体形成されていてもよいし、別部品で設けられた突部又は当接部を係止部材に固定してもよい。
一体形成する例として、係止部材を板金により設け、突部又は当接部を板金打ち出し形状によって形成したもの等が挙げられる。
別部品で突部又は当接部を設ける例として、樹脂製の突部又は当接部を別部品の係止部材に固定したもの等が挙げられる。この場合、突部又は当接部の素材として弾性を有する樹脂(例えばエラストマ)等を用いると、突部又は当接部がディスククランパー2を傷つけることなくディスククランパー2を保持することができる。
【符号の説明】
【0050】
2 ディスククランパー
3 クランプアーム
4 係止部材
11 ターンテーブル
12 インナーシャシ
16 アウターシャシ
41 延設部
51 突部
D ディスク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスククランパーが、ディスクのクランプ時に当該ディスクと共に自由回転するように、クランプアームに対して遊嵌状態で取り付けられてなるディスククランプ装置において、
前記ディスククランパーによるディスクの非クランプ時に、前記ディスククランパーの回転方向に跨る位置で当該ディスククランパーの揺動を係止する係止部材を備えることを特徴とするディスククランプ装置。
【請求項2】
前記係止部材は、前記ディスククランパーの回転方向に間隔を置いた少なくとも2点の位置で当該ディスククランパーに当接することを特徴とする請求項1に記載のディスククランプ装置。
【請求項3】
前記係止部材は、前記ディスククランパーの回転方向に所定長さ連続して当接することを特徴とする請求項1に記載のディスククランプ装置。
【請求項4】
前記係止部材の前記ディスククランパーと対向する面に突部が設けられ、前記ディスククランパーの前記係止部材と対向する面には前記突部が嵌合可能な凹部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスククランプ装置。
【請求項5】
前記ディスククランパーの凹部は、当該ディスククランパーの放射状位置に複数配列された溝状の凹部であることを特徴とする請求項4に記載のディスククランプ装置。
【請求項6】
前記ディスククランパーの凹部は、当該ディスククランパーの周方向に沿って複数配列された円形状の凹部であることを特徴とする請求項4に記載のディスククランプ装置。
【請求項1】
ディスククランパーが、ディスクのクランプ時に当該ディスクと共に自由回転するように、クランプアームに対して遊嵌状態で取り付けられてなるディスククランプ装置において、
前記ディスククランパーによるディスクの非クランプ時に、前記ディスククランパーの回転方向に跨る位置で当該ディスククランパーの揺動を係止する係止部材を備えることを特徴とするディスククランプ装置。
【請求項2】
前記係止部材は、前記ディスククランパーの回転方向に間隔を置いた少なくとも2点の位置で当該ディスククランパーに当接することを特徴とする請求項1に記載のディスククランプ装置。
【請求項3】
前記係止部材は、前記ディスククランパーの回転方向に所定長さ連続して当接することを特徴とする請求項1に記載のディスククランプ装置。
【請求項4】
前記係止部材の前記ディスククランパーと対向する面に突部が設けられ、前記ディスククランパーの前記係止部材と対向する面には前記突部が嵌合可能な凹部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のディスククランプ装置。
【請求項5】
前記ディスククランパーの凹部は、当該ディスククランパーの放射状位置に複数配列された溝状の凹部であることを特徴とする請求項4に記載のディスククランプ装置。
【請求項6】
前記ディスククランパーの凹部は、当該ディスククランパーの周方向に沿って複数配列された円形状の凹部であることを特徴とする請求項4に記載のディスククランプ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−267309(P2010−267309A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116224(P2009−116224)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(508209990)J&Kカーエレクトロニクス株式会社 (98)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(508209990)J&Kカーエレクトロニクス株式会社 (98)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]