説明

ディスクドライブのウェッジ毎のWORF決定

【課題】新規且つ改善された、ディスクドライブのウェッジ毎のWORF決定方法。
【解決手段】サーボ情報の複数のウェッジを有するディスクの表面上にトラックを配置する方法は、第1のサーボウェッジについてのサーボ情報を復調すること(810)、及び第2のサーボウェッジについてのサーボ情報を復調する前に、第1のサーボウェッジについてのサーボ情報に対する反復可能な書き込みランアウトの補正因子を決定すること(812)を含む。機械読み取り可能なメディアは、上記方法を実行する命令を提供する。ディスクドライブは、上記方法を実行し、トランスデューサを所望のトラック上に配置するための信号を生成するプロセッサディスクを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクドライブのウェッジ毎のWORF決定に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクドライブは、情報記憶装置である。ディスクドライブは回転スピンドルに固定された1枚以上のディスクと、それぞれのディスクの表面からデータを表す情報を読み出すための、及び/又は、それぞれのディスクの表面にデータを書き込むための、少なくとも一つのヘッドを含む。具体的には、データの記憶は、ディスク上のトラックの各部への、データを表す情報の書き込みを含む。データの検索は、データを表す情報が記憶されたトラックの一部分からの、データを表す情報の読み出しを含む。ディスクドライブはまた、1又は複数のディスクの選択されたデータトラック上での1又は複数のトランスデューシングヘッド(transducing head)の位置決めのために、直線運動又は回転運動を用いるアクチュエータを含む。回転アクチュエータは、回転中のディスクの表面をトランスデューシングヘッドにスウィープ(sweep)させるピボットポイント(pivot point)にスライダを連結し、スライダ上には、トランスデューシングヘッドが取り付けられているか、又は一体形成されている。回転アクチュエータは、ボイスコイルモータ(voice coil motor)によって駆動される。
【0003】
ディスクドライブ情報記憶装置は、読み出し動作中、書き込み動作中、及びシーク(seek)中のトランスデューシングヘッドの位置を制御する制御システムを採用している。この制御システムは、サーボ制御システム(servo control system)すなわちサーボループ(servo loop)を含む。ディスクドライブ情報記憶装置内でのヘッド位置決めサーボ制御システムの機能は、2要素からなる。第1は、データトラック上での読み出し/書き込みトランスデューシングヘッドの充分正確な位置決めであり、当該トラックのエラーの無い読み出し及び書き込みを可能にするためのものである。第2は、書き込み素子の充分正確な位置決めであり、隣接トラックに侵入しないようにして、これらのトラックからの、追跡中のトラックへの書き込み動作中のデータ侵食を防ぐため、あるいは、継続している書き込みが隣接トラックに侵食しかねなければ、進行中の書き込み動作を停止するためのものである。
【0004】
サーボ制御システムは、サーボパターン(servo pattern)と呼ばれるディスク表面に書き込まれたパターンを含む。サーボパターンは、トランスデューシングヘッドによって読み出される。サーボパターンの読み出しの結果、ディスク上のトラックに対するトランスデューシングヘッドの位置決定に用いられる位置決めデータすなわちサーボ信号(servo signal)が得られる。一つのサーボスキーム(servo scheme)においては、位置決めデータはサーボウェッジ(servo wedge)に含まれることができ、それぞれがサーボパターンを有する。サーボパターンに含まれる情報は、位置エラー信号(position error signal)(PES)の生成に用いられ得、PESは、所望のトラック中心からのトランスデューシングヘッドの偏差(deviation)を示す。PESはまた、制御システムのフィードバックとしても用いられ、所望のトラック中心線上でのトランスデューシングヘッドの位置の維持、又は所望のトラックの中心線上の位置へのトランスデューシングヘッドの再配置、のどちらかのために、アクチュエータのボイスコイルモータに信号を提供する。
【0005】
理想的なディスクドライブにおいては、ディスクのトラックは、ディスク中心の周囲に位置するかく乱を受けない円(non-perturbed circles)である。そうであるため、これらの理想的なトラックのそれぞれは、トラック中心からの既知の一定半径に配置されたトラック中心線を含む。実際のディスクドライブでは、しかしながら、かく乱を受けない円形のトラックをディスクに書き込むことは困難である。すなわち、何らかの問題(例えば振動、ベアリング欠陥、STWにおける不正確さ、及びディスククランプの滑り)のために、一般的には、理想的なかく乱を受けない円形とは異なるトラックが書き込まれる。これらのトラックのかく乱された性質によって引き起こされる位置決めエラーは、反復可能な書き込みランアウト(written-in repeatable runout)(WRRO)として知られる。
【0006】
これらのトラックのかく乱された形状は、セルフサーボ書き込み、あるいは読み出し及び書き込み動作中のトランスデューサの位置決めを複雑化するが、これは、サーボ制御システムには、回転するディスクの中心に対して常時変化するトラック中心線の半径に応じるよう、トラック追跡中に継続的にトランスデューサを配置し直す必要があるためである。さらに、これらのトラックのかく乱された形状は結果として、読み出し及び書き込み動作中とセルフサーボ書き込み中の、トラックスクイーズ(track squeeze)及びトラック誤登録(track misregistration)エラーをもたらす。
【0007】
ディスクドライブの製造者は、WRROを計測し補正値を得る技術を開発してきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、新規且つ改善された、ディスクドライブのウェッジ毎のWORF決定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の態様を含む。
【0010】
(1)サーボ情報の複数のウェッジを有するディスクの表面上のトラックを探す方法であって、
第1のサーボウェッジについてのサーボ情報を復調することと、
第2のサーボウェッジについてのサーボ情報を復調する前に、前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報に対する反復可能な書き込みランアウトの補正因子を決定することであって、前記第2のサーボウェッジは、前記第1のサーボウェッジに対して時間的に次である、補正因子を決定することと、
を備える方法。
【0011】
(2)前記第1のサーボウェッジについて決定された補正因子を、前記第1のサーボウェッジについての位置エラー信号に加えることを更に備え、前記位置エラー信号は、前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報の復調の結果得られる、(1)に記載の方法。
【0012】
(3)前記第1のサーボウェッジについての前記決定された補正因子を、メモリに記憶することを更に備える、(1)に記載の方法。
【0013】
(4)前記第1のサーボウェッジについての前記決定された補正因子を、前記ディスクの表面に記憶することを更に備える、(1)に記載の方法。
【0014】
(5)前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報に対する反復可能な書き込みランアウトの補正因子を決定することは、複数のサーボウェッジそれぞれについてのサーボ情報の復調の結果得られる、前記複数のサーボウェッジそれぞれからの値の畳み込みを含む(1)に記載の方法。
【0015】
(6)前記トラック上の前記複数のサーボウェッジそれぞれについての位置エラー信号を、メモリから読み出すことを更に備え、前記位置エラー信号は、前記複数のサーボウェッジそれぞれについてのサーボ情報の復調の結果得られる、(5)に記載の方法。
【0016】
(7)顧客がドライブ操作を行う時々に実行される、(1)に記載の方法。
【0017】
(8)データリカバリ技術として実行される、(1)に記載の方法。
【0018】
(9)コンピュータ読み取り可能なメディアであって、コンピュータによって実行された場合に、当該コンピュータに、
第1のサーボウェッジについてのサーボ情報を復調することと、
第2のサーボウェッジについてのサーボ情報を復調する前に、前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報に対する反復可能な書き込みランアウトの補正因子を決定することであって、前記第2のサーボウェッジは、前記第1のサーボウェッジに対して時間的に次である、補正因子を決定することと、
を行わせる命令を提供する、コンピュータ読み取り可能なメディア。
【0019】
(10)前記命令は、コンピュータによって実行された場合に、当該コンピュータに、前記第1のサーボウェッジについて決定された補正因子を、前記第1のサーボウェッジについての位置エラー信号に加えることを更に行わせ、前記位置エラー信号は、前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報の復調の結果得られる、(9)に記載のコンピュータ読み取り可能なメディア。
【0020】
(11)前記命令は、コンピュータによって実行された場合に、当該コンピュータに、前記第1のサーボウェッジについて決定された補正因子を、メモリに記憶することを更に行わせる、(9)に記載のコンピュータ読み取り可能なメディア。
【0021】
(12)前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報に対する反復可能な書き込みランアウトの補正因子を決定することは、当該コンピュータに、
ディスクドライブのディスク表面上のトラックに関連する複数の位置エラー信号値を読み出すことであって、前記複数の位置エラー信号値は、前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報の復調の結果得られる、複数の位置エラー信号値を読み出すことと、
前記複数のサーボウェッジそれぞれから読み出された位置エラー信号値の畳み込みを実行することと、
を行わせる、(9)に記載のコンピュータ読み取り可能なメディア。
【0022】
(13)前記命令は、コンピュータによって実行された場合に、当該コンピュータに、前記第1のサーボウェッジについて決定された補正因子を、前記第1のサーボウェッジについての位置エラー信号値に加えることを更に行わせ、前記複数の位置エラー信号値は、前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報の復調の結果得られる、(9)に記載のコンピュータ読み取り可能なメディア。
【0023】
(14)前記命令は、コンピュータによって実行された場合に、当該コンピュータに、トランスデューサをディスクの選択されたトラック上の位置に動かすため、ボイスコイルモータ内の電流を生成することを更に行わせる、(13)に記載のコンピュータ読み取り可能なメディア。
【0024】
(15)データを表す情報を記憶するディスクであって、
複数の同心のトラックと、
複数のサーボウェッジ、第1のサーボウェッジ、及び第2のサーボウェッジであって、前記複数のサーボウェッジのそれぞれは、前記複数の同心のトラックを横切るサーボ情報を含む、サーボウェッジと、
を含むディスクと、
アクチュエータモータを含むアクチュエータと、
前記第1のサーボウェッジ及び前記第2のサーボウェッジから、サーボ情報を読み出すためのトランスデューサであって、前記アクチュエータに取り付けられたトランスデューサと、
前記複数のトラックのうちの所望のトラックに対する、前記トランスデューサの位置に関係する位置エラー信号を決定するために、前記第1のサーボウェッジにおける情報を復調するための復調手段と、
前記第1のサーボウェッジに書き込まれた情報の書き込みランアウトを補正するための補正因子を決定するプロセッサであって、前記補正因子は、前記トラック上の前記第2のサーボウェッジについての位置エラー信号の復調前に決定され、当該プロセッサは、前記補正因子を前記位置エラー信号に加え、その結果は、前記トランスデューサを選択されたトラック上の位置に配置するため、前記アクチュエータモータにフィードバックされるプロセッサと、
を備えるディスクドライブ。
【0025】
(16)トラックに沿った前記複数のサーボウェッジそれぞれの復調に関連する、複数の位置エラー信号値を記憶するためのメモリ装置を更に備える、(15)に記載のディスクドライブ。
【0026】
(17)前記プロセッサは、
前記複数の位置エラー信号値を前記メモリ装置から読み出し、
前記補正因子の決定の一部として、前記複数の位置エラー信号値の畳み込みを行う、(16)に記載のディスクドライブ。
【0027】
(18)前記第1のサーボウェッジ及び前記第2のサーボウェッジは、前記ディスクの前記表面上で互いに隣接する、(15)に記載のディスクドライブ。
【0028】
(19)イベントを検出するイベントディテクタであって、前記プロセッサは、当該イベントディテクタからの入力に応じて前記補正因子の決定を中断するイベントディテクタを更に備える、(15)に記載のディスクドライブ。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、新規且つ改善された、ディスクドライブのウェッジ毎のWORF決定方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、本発明の様々な実施形態を用いるディスクドライブ100の分解図である。ディスクドライブ100は、ハウジングベース(housing base)104とハウジングカバー(housing cover)106を含むハウジング(housing)102を有する。図示されたハウジングベース104はベースキャスティング(base casting)であるが、他の実施形態においては、ハウジングベース104は、ディスクドライブ100の組み立てに先立って、あるいは組み立て中に組み立てられる別個の要素を備えてもよい。ディスク120は、スピンドルモータ(spindle motor)によって回転されるハブ(hub)すなわちスピンドル(spindle)122に取り付けられ得る。ディスク120は、クランプ(clamp)121によってハブあるいはスピンドル122に取り付けられている。ディスクは、一定の、もしくは毎分3600未満から15000回転より大きい値にわたる範囲の可変レートで回転させられてもよい。より高速な回転速度も将来には予想されている。スピンドルモータはハウジングベース104に接続される。ディスク120は、軽アルミ合金、セラミック/ガラス又は他の適当な基板から製造可能で、ディスクの片面又は両面に磁性材料が沈着されている。磁性層は、トランスデューシングヘッド146を介して転送されるデータを記憶するための磁化の小領域を含む。トランスデューシングヘッド146は、ディスク120からデータを読み出し、ディスク120にデータを書き込むよう構成された磁気トランスデューサ(magnetic transducer)を含む。他の実施形態では、トランスデューシングヘッド146は、別個の読み出し素子と書き込み素子を含む。例えば、この別個の読み出し素子は、MRヘッドとして知られる磁気抵抗ヘッドであってもよい。多数のヘッド146による構成も用いられ得ることも理解される。
【0031】
回転アクチュエータ130は、ベアリング132によってハウジングベース104に軸支されて取り付けられ、ディスク120の内径(ID)と、ディスク120の外径(OD)付近に配置されたランプ(ramp)150との間を、弧を描いてスウィープする。ハウジング104に取り付けられるのは、上部及び下部磁気リターンプレート(magnet return plate)110と少なくとも1つの磁石であり、ボイスコイルモータ(voice coil motor)(VCM)112の静止部を共に形成する。ボイスコイル(voice coil)134は、回転アクチュエータ130に取り付けられ、VCM112のエアギャップ(air gap)に配置される。回転アクチュエータ130は、ベアリング132を軸にして回転する。当該アクチュエータは、ボイスコイル134に電流が流されると一方の角度方向に加速し、電流の向きが逆転すると逆方向に回転して、ディスク120に対するアクチュエータ130の位置、及び取り付けられたトランスデューシングヘッド146の制御を可能とする。VCM112は、サーボシステム(servo system)(図4に示す)に連結され、サーボシステムは、トランスデューシングヘッド146によってディスク120から読み出された位置決めデータを用いて、ディスク120の複数のトラックのうちの一つ上でのトランスデューシングヘッド146の位置を決定する。サーボシステムは、ボイスコイル134に流すのに適切な電流を決定し、電流ドライバ及び関連する回路(図4及び図5に示す)を用いて、ボイスコイル134に電流を流す。実施形態によっては、二つの別個の素子を有するトランスデューシングヘッドもあるということには、留意が必要である。一つの素子は、データを表す情報の読み出し、及び位置情報すなわちサーボ情報(servo information)の読み出しのためのものである。この素子は読み出し素子として知られる。他方の素子は、これらの実施形態においては、データを表す情報の書き込みのためのものであり、書き込み素子として知られている。このようなトランスデューシングヘッドの一例として、磁気抵抗(MR)トランスデューシングヘッドがある。
【0032】
ディスク120のそれぞれの面について、関連するヘッド146があり得、これらのヘッド146がそろって回転するように、ヘッド146は回転アクチュエータ130にまとめて結合される。本明細書に述べる発明は、個々のヘッドがアクチュエータに対して短い距離を別個に動く装置にも、同様に適用可能である。この技術はデュアルステージアクチュエーション(dual-stage actuation)(DSA)と称される。
【0033】
サーボシステムの一つのタイプは組み込みのサーボシステムであり、各ディスク表面上のトラックがデータを表す情報の記憶に用いられ、このデータには、サーボ情報の小セグメント(segment)が含まれる。サーボ情報は、実施形態によっては、ディスク120の外周まわりにほぼ均一の間隔で配置され、狭く幾分カーブしたいくつかのスポーク(spoke)として示される、放射状のサーボセクタ(servo sector)すなわちサーボウェッジに記憶される。実際には、図1に示すよりも更に多数のサーボウェッジが存在し得るということは留意されるべきである。サーボウェッジ128は、図2、図3及び図4とこれらの図に関連する議論によって更に詳細に説明される。
【0034】
ディスク120はまた、複数のトラックを各ディスク表面上に有する。図1において、複数のトラックは、例えばディスク120上に示されるトラック129等の多数のトラックによって表される。サーボウェッジ128は、ディスク120上で、トラック129等、複数のトラックを横切る。複数のトラックは、実施形態によっては、ほぼ同心の円のセットとして配置されてもよい。データは、埋め込まれたサーボウェッジ128間のトラックに沿った固定セクタに記憶される。ディスク120上のトラックは、それぞれ複数のデータセクタ(data sector)を含む。具体的には、データセクタは、固定ブロック長と固定データ記憶容量(例えば、1データセクタにつき512バイトのユーザデータ)とを有するトラックの一部である。ディスク120の内側に近いトラックは、ディスク120の外周に近いトラック程の長さを有しない。結果として、ディスク120の内側に近いトラックは、ディスク120の外周に近いトラック程多くのデータセクタを保持できない。同数のデータセクタを保持可能なトラックは、データゾーン(data zone)としてグループ化される。密度とデータレート(data rate)はデータゾーンからデータゾーンへ変動するため、サーボウェッジ128は、少なくともいくつかのデータセクタを遮り、分断してもよい。サーボセクタ128は通常、工場においてサーボ書き込み装置(サーボライタ(servo-writer)と呼ばれる)によって記録されるが、ディスクドライブ100のトランスデューシングヘッド146によって、セルフサーボライティング(self-servowriting)操作で書き込まれて(又は部分的に書き込まれて)もよい。
【0035】
図2は、少なくとも一つのサーボウェッジ128を有するディスク120の一部分を示す。各サーボウェッジ128は、磁化の領域あるいは光学徴表(optical indicia)等の他の徴表(indicia)として記憶された情報を含む。サーボウェッジ128は、長手方向に磁化され得る(例えば、図2の磁化された部分では、サーボパターン200は、左向きに磁化されたクロスハッチされたブロックと、右向きに磁化された余白とを含み、または逆の場合もある)。あるいは、サーボウェッジ128は、垂直に磁化されてもよい(例えば、クロスハッチされたブロックは紙面から出ていく方向に磁化され、余白は紙面に入ってくる方向に磁化され、または逆の場合もある)。各サーボウェッジ128に含まれるサーボパターン200は、回転するディスク120の表面がトランスデューシングヘッド146の下を通過すると、トランスデューシングヘッド146によって読み出される。サーボパターン200は、データフィールド264に含まれるデータセクタの識別に使用可能な情報を含むことができる。例えば、サーボパターン200は、プリアンブル(preamble)202、サーボアドレスマーク(servo address mark)(SAM)204、トラック識別番号206等のデジタル情報を含むことができる。サーボパターン200はまた、サーボバースト(servo burst)のセットを含む。図2に示すように、サーボサーストのセットは、Aサーボバースト、Bサーボバースト、Cサーボバースト、及びDサーボバーストを含む。AサーボバーストとBサーボバーストの間にサーボバーストエッジ(servo burst edge)210があり、CサーボバーストとDサーボバーストの間にサーボバーストエッジ220がある。図示されたパターンは、直交型のパターンである。実施形態によっては、ディスクドライブは、各サーボウェッジ128内に、各タイプのサーボバーストの単一列を含む。各列は、ディスクの放射部(radial)に対応する。実施形態によっては、サーボウェッジ128は、ウェッジ番号(wedge number)等の他の情報も含む。他の情報はインデックスウェッジ(wedge #0)を指定するためのシングルビットであってもよい。あるいはSAMが別のパターン(サーボインデックスマーク、すなわちSIMと呼ばれる)に置き換えられてもよく、また、ウェッジはウェッジ番号の低次の数ビット、あるいは完全なウェッジ番号を含んでもよい。
【0036】
サーボバーストには、多くの異なるパターンがある。図3は、ヌルパターンに関連する他のサーボバーストパターンを示す。このパターンは4つのサーボバーストを示し、ディスク上のサーボウェッジ128のような各サーボウェッジにおいて、AB+、AB−、CD+、及びCD−サーボバーストによるいくつかの放射直線をディスク上に作り出すために、列として繰り返されてもよいことが理解される。サーボバーストパターンは結果として、ヌルパターンでは、AB+及びAB−サーボバースト間のサーボバーストエッジ310を与え、CD+及びCD−サーボバースト間のサーボバーストエッジ320を与える。
【0037】
理想的なドライブでは、サーボバーストエッジのうちの一つが、トラックの中心に、又はトラックの中心から既知の距離にあってもよい。理想的なドライブでは、サーボパターンが読み出されて復調され、選択されたサーボバーストエッジからの距離が決定される。トラックの中心又はサーボバーストエッジからの距離を示す位置エラー信号(position error signal)(PES)が生成されて、読み出し又は書き込みヘッドを、所望のトラック中心上の位置に移動させるために用いられる。たいていのドライブでは、(サーボライタ、メディアライタ、あるいは製品の)書き込みヘッドは、サーボ書き込み中、注意深く制御されはするが、必ずしも完璧というわけではなく、ディスク上に配置されたサーボデータが、理想状態のトラックに対応しないこともありうる。ディスクの回転ごとに、トラックに対するヘッドの位置決めを常に完璧に行うことはほとんど不可能である。たいていの場合、ディスクに対するヘッドの、所望の位置と実際の位置との間には、顕著なオフセットが生じる。結果として、わずかに誤って配置されたパターン部分を有するサーボパターンが書き込まれる。これが、書き込みランアウト(written-in runout)をもたらす。書き込みランアウトは、トラックの「実際の」中心線、あるいは所望の半径中心と、サーボパターンのヘッド書き込み及び読み出しによって定められる中心線との間のオフセットであると考えられる。書き込みランアウトは、サーボ性能の問題、ディスク上でのスペースの無駄、そして最悪のケースでは、回復不能あるいは取り返しのつかないデータの損傷をもたらし得る。
【0038】
所望のトラック中心線(読み出しトラック中心線か、書き込みトラック中心線)と、バーストパターンの復調から得られる見かけ上の中心線との間の距離を決定することが望ましい。この距離を知ると、同期書き込みランアウト(synchronous written-in runout)の全部又は一部分を、書き込まれたサーボパターンから取り除くことができる。この決定された距離は、1トラックのサーボウェッジに、又はディスクドライブに関連するメモリに記憶できる。サーボウェッジそれぞれに関連した値がある場合、本明細書中においては、記憶された距離データはウェッジオフセットリダクションフィールド(wedge offset reduction field)(WORF)データと称される。WORFデータは、例えば、与えられたトラック上でサーボウェッジの後に配置されるデジタルな数であり得、サーボバーストの復調から得られるサーボウェッジについてのPES値に加えたり、PES値から減じたりする量を含む。あるいは、WORFはまた、SRAM、DRAM、又はフラッシュのようなメモリに記憶され得る。WORFデータは、トラック中心線の決定に用いられるバーストエッジの、誤った配置を補正するために使用できる。サーボウェッジに関連するWORF値は、読み出され、計算されたPES値に加えられて、推定上、より正確なトラックを追跡することができる。当然ながら、WORFデータは、負の値であっても正の値であってもよい。
【0039】
図4は、実施形態の一例による、ディスクドライブ100のブロック図であり、サーボウェッジ128において少なくとも一つのサーボバーストエッジの配置を決定するため、及びディスクドライブのアクチュエータドライバへの駆動信号を生成するための電気的な概略図を含む。図4に示すように、ディスク120は、サーボウェッジ128を含み、当該サーボウェッジ128は、AB+、AB−サーボバーストエッジ310及びCD+、CD−サーボバーストエッジ320を有するヌルタイプのサーボバーストパターンを含む。例えば直交サーボパターン等の、他のタイプのサーボパターンを含むディスクドライブにおいても、この発明が機能することには留意するべきである。同様に図4に示されているのは、距離の補正値を記憶するための記憶フィールド(storage field)410であり、AB+、AB−サーボバーストエッジ310又はCD+、CD−サーボバーストエッジ320のうちの少なくとも一つは理想的なトラックからのものである。補正値すなわちWORF値はまた、実施形態によっては、SRAM、DRAM、又はフラッシュのようなメモリに記憶されてもよい。当然ながら、直交タイプのサーボパターンを特徴とする実施形態では、WORF値は、ABサーボバーストエッジ210(図2に示される)又はCDバーストエッジ220(図2に示される)のうちの少なくとも一つからの距離に対応する。ディスク120は、メディアの一種であり、複数のトラック129(図1に示される)、データセクタ、及びメディアに書き込まれた少なくとも一つのサーボ情報のウェッジ128を含む。トラック129は、データセクタと少なくとも一つのサーボ情報のウェッジ128の双方を通る。サーボ情報のウェッジ128は、第1のサーボバーストエッジ310と、第2のサーボバーストエッジ320を含む。
【0040】
アクチュエータ130は、アクチュエータドライバ(actuator driver)440によって駆動される。アクチュエータドライバ440は、ボイスコイルモータ(図1に示される)に電流を供給する。動作中、記録された磁束転移から誘導された微小な電気信号がプリアンプ(preamplifier)424によって増幅され、従来のディスクドライブデータリカバリ(data recovery)回路(図示せず)に供給される。ディスクドライブ100は、サーボシステム(servo system)400を含み、当該サーボシステム400は、トランスデューサの位置を決定するのに用いられる。このサーボシステム400は、フィードバックループ(feedback loop)であり、トランスデューシングヘッドの位置を測定して、トランスデューシングヘッドを所望のトラック上の位置に駆動するために、アクチュエータのボイスコイルモータに入力する駆動電流(drive current)を生成する。サーボシステム400は、ウェッジオフセットリダクションフィールド(WORF)回路426、ファインポジションリカバリ(fine position recovery)回路430を含む。実際の位置信号(location signal)は、トランスデューシングヘッドによって決定され、エラー位置信号(error position signal)と合計されて、AB+、AB−サーボバースト310又はCD+、CD−サーボバースト値320に関連する少なくとも一つのWORF値によって補正される。当該信号はそれから、アクチュエータドライバ440において駆動電流を生成するために用いられる。ここで図4に基づいて、サーボシステムについて更に詳細に論じられる。WORF回路426は、ディスク120のサーボウェッジ128におけるWORFフィールド410からの、デジタルバースト補正値(digital burst correction value)すなわちWORF値を修復する。他の実施形態では、WORF値はメモリに記憶されてもよい。
【0041】
サミングノード(summing node)428もまた、プリアンプ424より下流の信号経路に含まれ、未知の位置エラー成分(position error component)、すなわち反復可能ランアウト(repeatable runout)(RRO)との加算を示す。未知の位置エラー成分すなわちRROは、レーザー干渉計ベースのサーボライタステーション(laser-interferometer-based servo writer station)における従来のサーボ書き込み動作中に、サーボウェッジ128に書き込まれるものである。この位置エラーRROは、ファインポジションAB+、AB−サーボバースト及びCD+、CD−サーボバーストから読み出された関係する振幅値に加算され、ファインポジションリカバリ回路430により合計として修復される。ファインポジションリカバリ回路430からのアナログ信号はデジタル化されて、PRMLデジタルディテクタ(partial response maximum likelihood digital detector)が、バースト位置の決定に用いられる。これらの関連する振幅(書き込み位置エラーRROによって破損した)は、アナログデジタル変換器(analog to digital converter)432によって量子化され、ヘッド位置コントローラ回路(head position controller circuit)436に供給される。変換器432からのデータストリーム(data stream)では、サミングノード434は、現在のサーボセクタ128の補正値フィールドすなわちWORFフィールド410から読み出されたWORF値を、デジタル化された位置の値と合成して、位置エラーRROを相殺する。コントローラ回路436は、ディスクドライブ100内の他の回路からヘッド位置コマンド(head position command)値を受信し、当該コマンド値を量子化され補正されたヘッド位置の値と合成して、コマンドを受けた(commanded)アクチュエータ電流値を発生させる。このノード436によって計算されたコマンドを受けた電流値は、デジタルアナログ変換器(digital to analog converter)438によってアナログ値に変換され、回転アクチュエータ1
30を操作するアクチュエータドライバ回路(actuator drive circuit)440の制御に用いられ、追跡されているデータトラック129に対するヘッドの位置を調整する。
【0042】
各ウェッジについてのWORF値あるいは補正値は、特定のトラックについて、ディスク上の各サーボウェッジにおいて決定される。言い換えれば、WORF値はウェッジ毎を基準として(on a per wedge basis)「リアルタイム(real time)」で決定される。あるサーボウェッジについてのWORF値は、次のサーボウェッジがアクセスされる前に決定される。ディスクドライブ100(図1に示す)は、サーボパターンを読み出して復調し、PESを生成するコントローラあるいはマイクロプロセッサを含む。コントローラあるいはマイクロプロセッサは、これらのサーボタスクに専用であってもよく、または、コントローラあるいはマイクロプロセッサの一部が、これらのサーボ動作に用いられてもよい。
【0043】
図5は、図1及び図4に示すディスクドライブシステムの別個のモデル500であり、実施形態の例の原理及び態様のいくつかを示す。図5では、オンボード(on-board)のヘッド位置サーボコントローラ(head position servo controller)436及び関連する回路を含むディスクドライブ100が、離散時間動的システム(discrete time dynamic system)G(z)としてブロック560内でモデル化されているが、これに限定されるものではない。この模範的なモデル500では、zは離散時間時間進行オペレータ(discrete-time time advance operator)を表し、連続時間システム(continuous time system)を離散時間システム(discrete time system)に変換するために一般的に用いられる。また、サンプル時間系列(sampled time series)rro(t)のZ変換(Z-transform)は、RRO(z)で表される。動的システムは、加算ノード(summing node)552に加わる、未知の反復する外乱(repeatable disturbance)RRO(z)を受ける。他の未知の外乱N(z)が加算ノード554でヘッド位置信号に加わるが、この外乱は、ゼロミーンノイズ(zero mean noise)であると想定される。最終的に、特定の補正信号WORF(z)が、加算ノード556において外乱を受けたヘッド位置信号に加えられる。これら3つの作用(influences)は、モデル500を駆動するエラー項である合成された作用ERR(z)をもたらす。結果として生じる閉ループ伝達関数(closed loop transfer function)は、次のように定義される。
【数1】

【0044】
ここで、以下のような変形が可能である。
【数2】

【0045】
RRO信号は、定義により、周期的である。周期的であるため、周波数領域においては離散的であり、有限長のz多項式(z-polynomial)で表される。これはディスクスピンドルの回転の度に反復するため、スピンドルの様々な調波の和で表される。実際に、存在するrro(t)の部分のみがω(i=0〜M/2)において現れる。ここでMは、回転毎のサーボ位置のサンプル数である。G(z)は、周期信号rro(t)によって活性化される線形システムであるため、ここでG(z)について関心があるのは、各ωにおけるもののみである。システム全体は、それぞれがωにおいて動作し、個々に解が求められる離散システムの総和として扱われる。
【0046】
与えられたωについて、WORF(jω)の計算は容易である。ERR(jω)を計測し(離散フーリエ変換(DFT)又は類似の方法によって)、1+G(jω)を知ることによって、以下の式からRRO(jω)を計算する。
【数3】

【0047】
それぞれのωでerr(t)のDFTを取り、それぞれを対応する1+G(jω)によってスケーリングするプロセスは、err(t)とカーネル(kernel)とを畳み込むことと同じであり、当該カーネルは、それぞれのωにおいて求められる1+G(z)の応答から得られる。従って、信号err(t)とカーネルを畳み込んで、次式を得る。
【数4】

【0048】
本発明の原理及び態様に従って、ゼロミーンノイズ項の影響(impact)のn(t)は、スピンドルの多数の回転について、err(t)か、又はerr(t)−worf(t)、時間定数(time constant)の漸近的な低減を伴うローパスフィルタリング(low pass filtering)、あるいは同期平均化(synchronously averaging)によって最小化される。必要な回転の数は、n(t)項の周波数内容(frequency content)に依る。スピンドル調波(spindle harmonics)に近い重要なスペクトルを有するn(t)は、rro(t)のスペクトルをn(t)と充分に区別するために、データフィルタリングの更なる回転を必要とする。充分なフィルタリングがなされれば、n(t)は小さくなり、上述の式の左辺は次式に帰着する。
【数5】

【0049】
これは、算出されたWORF値とRRO値との間のエラーである。この形式は、以下の反復解(iteration solution)に適する。
【数6】

【0050】
ここでαは、1に近い定数であり、実際の伝達関数とカーネルの生成のための伝達関数との不一致を許容する収束レート(convergence rate)を得るために選択されている。αの値が反復ごとに変動することもありうる。
【0051】
本発明の原理及び態様に従うと、カーネルは、ディスクドライブ製品ごとに、制御システムシミュレーションの処理か、あるいはサーボ制御ループへの識別信号の注入、及びこれらの信号に対する応答の計測の処理によって得られる。実施形態によっては、組み立て後の製造処理ステップ中に、それぞれ製造されたドライブ毎に別個のカーネルが決定されてもよい。ヘッド毎に別個に決定されたカーネルを用いること、あるいはヘッド毎に複数のカーネルを用いること、各ヘッド上の多数の半径方向のゾーンのそれぞれに対して一つのカーネルを用いることもまた可能である。
【0052】
一実施形態において、2つのWORF値が位置エラー信号(PES)の復調に用いられる。実施形態の一例による方法では、一つのオフセット(offset)すなわちWORF値が、サーボバーストエッジ210と220、又は310と320(図1から図4に示す)等の2つのバーストエッジそれぞれの配置エラー(placement-error)に関連付けられる。オフセットすなわちWORF値は、対応するバーストペア(burst-pair)(又はバースト相違(burst-difference))に起因する位置エラー信号(PES)の部分に加算される。2つのバーストエッジのうちの一つのみが、未加工のPESの決定にいつでも用いられるのなら、2つのオフセットあるいはWORF値の一方のみが用いられる。サーボバーストエッジ210と220、又は310と320(図1から図4に示す)等の2つのバーストエッジに対応する値の線形結合が用いられるなら、同じ重み付けの2つのオフセットあるいはWORF値が、未加工のPESに加えられる。
【0053】
図6(a)は、実施形態の一例による、ディスクメディアのトラック601上の、サーボウェッジと書き込まれたデータの相対的な位置、及び動作実行のための対応する時間領域シークエンス(time domain sequence)610を示す概略図である。サーボウェッジ620がアクセスされると、サーボインタラプト時間(servo interrupt time)630中にサーボ情報が読み出されて処理される。サーボ情報は、次のサーボウェッジ621へのアクセス前に読み出されて処理される。サーボウェッジ621がアクセスされると、サーボインタラプト時間631中にサーボ情報が読み出されて処理される。この処理は、トランスデューシングヘッドがディスク上を通過するのに伴って繰り返される。WORF値の決定は、処理時間量640(図6(a)ではWORF計算640として示される)も必要とする。例えばWORFを計算するための時間量640は、サーボインタラプト時間630とサーボインタラプト時間631の間に発生する。図6(a)はまた、サーボインタラクト時間632、及びサーボインタラプト時間631と632の間に生じるWORF計算時間641を含む。もちろん、この時間領域シークエンスは、サーボウェッジ620、621、及び622が配置されている、ディスクのトラック610の端から端まで繰り返す。
【0054】
図6(b)は、実施形態の他の例による、ディスクメディア上の、サーボウェッジと書き込まれたデータの相対的な位置、及び動作実行のための対応する時間領域シークエンス610を示す概略図である。再び、時間領域シークエンス610は、ディスクのトラック601上での、サーボウェッジ及び書き込まれたデータの発生に関連付けられている。図6(a)に示されるように、WORF計算は、サーボインタラプト自身の一部として行われることができる。従って、WORF値の決定はウェッジ毎を基準に行われ、サーボインタラプト過程の一部として行われ得るが、あるいはサーボインタラプトの後に実行される別のルーチンであってもよい。
【0055】
WORF計算時間中、ウェッジ毎を基準としてWORF値を計算するために、一定の動作が行われなければならない。一般に、この動作は、システムのエラー伝達関数の計測、対応する逆インパルス応答(inverse impulse response)の決定(一度だけ行われ、場合によってはセルフテスト(self-test)中に行われ、トラック毎あるいはウェッジ毎の基準での再実行の必要がない)、及び与えられたトラックについてのPESの補正を含む。逆インパルス応答(逆伝達関数(inverse transfer function))は、多様な方法で求められてよい。更に、逆インパルス応答は、ディスクドライブのトランスデューサ毎に求められてもよい。他のステップは、現在のウェッジ及び以前のウェッジを含んで、一ディスク回転におけるウェッジと少なくとも同数のウェッジについてのPES情報を収集することを含む。時間領域におけるそれら二つの量、すなわちこれらの時間領域における二つの配置(array)の巡回畳み込み積分(circular convolution)が行われると、サーボライタあるいはセルフサーボ書き込み処理によって生成される非円形のトラックとは対照的に、結果が有効な円形のトラックとなるよう、位置に適用される補正値が得られる。
【0056】
図7は、本発明の実施形態の一例による、WORF値を決定する方法700のフローチャートである。WORF値は、サーボウェッジにおいて書き込まれたサーボパターンに関する書き込みランアウト(written in run out)についてのエラー補正値である。方法700は、サーボ制御システムの逆インパルス応答関数を決定すること712を必要とする。方法700はまた、方法700が実施される都度、初期ゲイン(initial gain)及び初期WORF(initial WORF)値を設定すること710を必要とする。初期WORF値は、他のWORF値がない場合は、ゼロに設定され得る。別の方法としては、書き込みランアウト(RRO)が隣接するトラック配置について同じであることが知られていれば、初期WORF値は、例えば前のトラックから得られた最終WORF値等、ゼロではない値に設定されてもよい。初期WORF値はまた、直前のサーボウェッジについて決定されたWORF値であってもよい
方法700はまた、トラック周りのサーボウェッジそれぞれについての位置エラー信号(PES)を連続的に保存すること714を含む。これらの値は、サーボウェッジのサーボ情報に関する書き込みランアウト(WRRO)決定の一部として、全PES値の畳み込みを実行するのに必要とされる。具体的には、各ウェッジnのPESは、WORFi(n)を用いてバッファに記憶される。現在のウェッジnより以前の、1全回転中のウェッジに関連するPES値は、バッファに記憶される。PESは、サーボ復調の一部として、プロセッサがサーボインタラプトに応じた動作を処理している時間中に決定される。一実施形態において、デコードされたPESは、トラック周りのサーボウェッジ毎に、円形のバッファに継続的に保存される。円形のバッファの使用によって、あるトラックについてディスク周りのそれぞれのウェッジに関連する全てのPESの値が、円形のバッファから読み出され得る。方法700において、参照番号716で示されるように、個々のサーボウェッジnのWORF値が、システムの逆インパルス応答を用いて、次のサーボウェッジに先立つ最後の回転についてのPESの巡回畳み込み(CONVi(n)で示す)として計算される。
【0057】
方法700はまた、参照番号718で示されるように、巡回畳み込みCONVi(n)を可変ゲインG倍することを含む。可変ゲインGは、実施形態によっては、現在のWORF計算手順の開始から処理されたウェッジ数mの関数である。ゲインGはまた、現在のWORF手順中に実現される、反復可能なランアウト(RRO)あるいはトラック誤登録(track misregistration)(TMR)のレベルの関数であってもよい。TMRあるいはRROの現在の高いレベルが、高いゲインG値を正当化することもできる。一方、低いレベルのTMRあるいはRROが、低いゲインG値を正当化することもできる。最終的に、ゲインGは、現在の回転数の関数であり得、以下の式と同等であり得る。
【数7】

【0058】
ここで、Revは、現在のWORF計算手順の開始からの、全ディスク回転の数である。他の関数も同様に可能である。ゲインの値は、処理されたウェッジ数mが多ければ減少し、非反復ランアウト(nonrepeatable run out)(NRRO)の影響の軽減、及びサーボトラックのWORF値の正しい推定値へのWORF値の収束が保証される。この可変ゲイン反復手順は、インパルス応答の測定及び/又はモデル化エラーと、制御システムの非線形性及びPESデコーディングに対して、それほど敏感ではない。
【数8】

【0059】
参照番号720で示されるように、計算された現在のウェッジnのWORF値は、既存のWORF値に加えられ、次にウェッジnのPESが計算される際のWORF補正として用いられる。この要素はまた、以下に示す数学的関係によって示される。
【数9】

【0060】
次に、参照番号722で表されるように、最終条件が満たされているかを決定する決定木が用いられる。提案された方法700の最終条件は、回転数とは無関係である。一実施形態において、WORF値計算方法700は、手順の開始から所定のサーボウェッジ数の後、終了される。方法700はまた、RRO軽減の所望のレベルあるいは比率が達成された後に終了されてもよい。方法700は、シークの開始、サーボ位置バンプ(bump)検出(オフトラックドリフト(off-track drift))、又は外乱(external disturbance)といったクオリファイングイベント(qualifying event)によって終了あるいは休止されてもよい。クオリファイングイベントは、いくつかの出来事(incident)うちの一つによってトリガされ得る。例えば、振動の表れは、別のクオリファイングイベントになり得、シークコマンドが欠けている際に、選択された時間量の間に発生する過大な数のトラック交差によってトリガされ得る。別の実施形態では、振動は、加速度計(accelerometer)によって検知されるが、当該加速度計は、ディスクドライブ100のハウジング、あるいはハウジングに取り付けられたプリント基板に取り付けられる。加速度計が、加速あるいは振動を表す出力を得ると、これは、クオリファイングイベントである振動の役割を果たす。当然ながら、他の基準(criteria)が、クオリファイングイベントと称されてよいことには、留意が必要である。他の終了基準(termination criteria)もまた可能である。一実施形態においては、WORF計算手順は無限に実行し得、終了基準をもたない。すなわち、WORF計算は、ドライブ100の寿命を通じて実行され、このドライブ100の寿命は、サーボ書き込み処理中、ドライブを顧客に出荷する前の試験時間中(例えばセルフテストあるいはバーンイン(burn in)中)を含む。当該ドライブが顧客によってインストールされて使用される場合も同様である。あるいは、WORF計算手順すなわち方法700は、ドライブの寿命中の様々な時間に行われてもよい。例えば、WORF計算手順すなわち方法700は、データリカバリ手順の一部として使用できる。一般的に、データを表す情報がドライブの通常の動作中に読み出しできない場合、コントローラは、データリカバリ技術のセットを実施する。これらのデータリカバリ技術は何度も分割されて、一般的に成功する技術、及び一般にディープデータリカバリ技術と称される更なる技術に分けられ、当該ディープデータリカバリ技術は、1又は複数のセクタを不良としてマーキングし、これらをスキップするため欠陥リストに配置する以前の、データの修復に用いられてもよい。WORF計算手順すなわち方法700は、例えばディープデータリカバリ技術として用いられてもよい。
【0061】
最終条件が満足されなければ、参照数字724で表されるように、mの値が1ずつ増加され、参照数字726で表されるように、ゲイン値Gが調整される。WORF計算手順すなわち方法700のいくつかの要素がその後、要素714から始まって繰り返される。
【0062】
WORF計算手順すなわち方法700は、他のWORF決定技術と比較すると、相対的に短い時間内に、新たなサーボトラック配置についての有効なWORF値を提供する。WORF計算手順すなわち方法700を用いて、対応するウェッジの直後に、更新されたWORF値が有功になり、これはPESデータの計測と、このデータから求められた補正値の使用との間の時間を短縮させる。WORF計算手順すなわち方法700は、急速に収束し、他の方法に比べてより安定が得られる。WORF計算手順すなわち方法700はまた、計算上のオーバーヘッド(computational overhead)を、ファームウェア実装の複雑性と同様に減少させる。ここで、ファームウェア実装の複雑性は、全回転あるいは多数の回転について、PESデータの収集の後に続いてトラック上の全てのウェッジについての畳み込みを実行する方法に関連している。各サーボウェッジについてのWORF決定は、次のサーボインタラプト前に終了しなくてはならないという事実によって、特別なハードウェア要求が生じる。すなわち、プロセッサは、第1のサーボインタラプトの開始と第2のサーボインタラプトの開始の間の時間で要求された計算を終わらせるよう、充分に高速でなければならない。
【0063】
WORF値計算手順すなわち方法700によって、全てのサーボウェッジについてWORF値が、全く同じステップのセットを用いて計算される。WORF計算手順すなわち方法700を用いた他とははっきりと異なるデータ処理ステージ、及び異なるデータ収集などはない。これによって、より簡単でより少量のコードの実装が可能となり、バックグラウンドで起動しているWORF処理状態機械(WORF processing state machine)が必要とされない。WORFスキーム(WORF scheme)は、完全にリアルタイムなサーボインタラプトルーチン(servo interrupt routine)中に、非常に自然に実装される。
【0064】
図8は、実施形態の一例による、サーボ情報の多数のウェッジを有するディスク表面上のトラックを探す方法800を示す。サーボ情報の多数のウェッジを有するディスク表面上のトラックを探す方法800は、第1のサーボウェッジについてのサーボ情報を復調すること810、第2のサーボウェッジについてのサーボ情報を復調する前に、第1のサーボウェッジについてのサーボ情報に対する反復可能な書き込みランアウトの補正因子(correction factor)を決定すること812を含む。第2のサーボウェッジは、第1のサーボウェッジに対して、時間的に次のサーボウェッジである。第1のサーボウェッジについての補正因子は、第1のサーボウェッジについての位置エラー信号に加えられる。位置エラー信号は、第1のサーボウェッジについてのサーボ情報の復調によって得られる。実施形態によっては、814で、サーボ情報の第1のウェッジについての決定された補正因子がメモリに記憶される。実施形態によっては、サーボ情報の第1のウェッジについての決定された補正因子をメモリに記憶することは、ディスク表面上に値を記憶することを含む。一方、他の実施形態では、補正因子はディスク表面ではないメモリに記憶される。実施形態によっては、第1のサーボウェッジについてのサーボ情報に対する反復可能な書き込みランアウトの補正因子を決定することは、複数のサーボウェッジのそれぞれについてのサーボ情報の復調によって生じる、それぞれのサーボウェッジからの値の畳み込みを含む。畳み込みは、トラック上の複数のサーボウェッジのそれぞれについての位置エラー信号を必要とする。結果として、当該方法は、ストレージからトラック上の複数のサーボウェッジのそれぞれについての位置エラー信号を読み出すこと816を含む。実施形態によっては、補正値を決定する方法800は、顧客がドライブを操作する時々に実行される。そのような場合の一つが、データリカバリ時である。
【0065】
図9は、実施形態の一例による、図7及び図8に示される上述の方法700及び800を行うためのプログラミングを実行するコンピュータシステム2000のブロック図である。コンピュータ2010の形式の一般的な計算装置は、プロセッシングユニット2002、メモリ2004、リムーバブルストレージ(removable storage)2012、及びノンリムーバブルストレージ(non-removable storage)2014を含んでもよい。メモリ2004は、揮発性メモリ2006及び不揮発性メモリ2008を含んでもよい。コンピュータ2010は、揮発性メモリ2006と不揮発性メモリ2008、リムーバブルストレージ2012とノンリムーバブルストレージ2014といった多様なコンピュータ読取り可能なメディアを含むコンピュータ環境を有しても、あるいはこれらの多様なメディアを含むコンピュータ環境へのアクセスを有してもよい。コンピュータストレージはRAM、ROM、消去可能PROM(EPROM)、電気的消去可能PROM(EEPROM)、フラッシュメモリや他のメモリ技術、CD−ROM、DVD、その他の光学ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージやその他の磁気ストレージ装置、あるいはその他のコンピュータ読取り可能な命令を記憶できるメディアを含む。コンピュータ2010は、入力2016、出力2018、及び通信接続2020を含むコンピュータ環境を含んでも、あるいはこのようなコンピュータ環境へのアクセスを有してもよい。入力の一つとして、キーボード、マウス、その他の選択装置があり得る。通信接続2020はまた、例えばディスプレイのような、グラフィカルユーザインタフェースを含むことができる。コンピュータは、1以上のリモートコンピュータ(remote computer)と接続するのに、通信接続を用いてネットワーク化された環境において動作してもよい。リモートコンピュータは、パーソナルコンピュータ(PC)、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ピアデバイス(peer device)や他の一般的なネットワークノード(network node)等を含んでもよい。通信接続は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)や他のネットワークを含んでもよい。
【0066】
コンピュータ読取り可能なメディアに記憶されたコンピュータ読取り可能な命令は、コンピュータ2010のプロセッシングユニット2002によって実行可能である。ハードドライブ、CD−ROM、及びRAMは、コンピュータ読取り可能なメディアを含む物品の例である。例えば、本発明の教示に従って、コンポーネントオブジェクトモデル(COM)に基づくシステムにおいて、サーバのうちの一つ上で動作を行うため、及び/又は、データアクセスのための、アクセス制御チェックを実行する一般的技術を提供可能なコンピュータプログラム2025は、CD−ROMに含まれていてもよく、CD−ROMからハードドライブにロードされてもよい。コンピュータ読み取り可能な命令によって、コンピュータシステム2000は、多数のユーザ及びサーバを有するCOMに基づくコンピュータネットワークシステムにおいて、一般的なアクセス制御を提供する。
【0067】
上に述べたように、機械読取り可能なメディアは、機械によって実行される場合に、第1のサーボウェッジについてのサーボ情報を復調する、第2のサーボウェッジについてのサーボ情報を復調する前に、第1のサーボウェッジについてのサーボ情報に対する反復可能な書き込みランアウトの補正因子を決定する、等の動作を当該機械に行わせる命令を提供する。第2のサーボウェッジは、第1のサーボウェッジに対して、時間的に次のサーボウェッジである。実施形態によっては、当該命令は、機械によって実行される場合に、当該機械に、第1のサーボウェッジについての決定された補正因子を、第1のサーボウェッジについての位置エラー信号に加えさせる。位置エラー信号は、第1のサーボウェッジについてのサーボ情報の復調の結果得られる。実施形態によっては、当該命令は、当該機械に、第1のサーボウェッジについての決定された補正因子を記憶させる。機械読取り可能なメディアはまた、当該機械に、複数のサーボウェッジそれぞれに関連する複数のPES値を読み出させてもよく、当該複数のサーボウェッジは、ディスクドライブのディスク表面上のトラックに関連する。また、機械読取り可能なメディアはまた、当該機械に、補正値決定の一部として、複数のサーボウェッジそれぞれから読み出されたPES値の畳み込みを実行させてもてもよい。機械読み取り可能なメディアはまた、当該機械に、サーボ情報の第1のサーボウェッジについての決定された補正因子を、サーボ情報の第1のサーボウェッジについての位置エラー信号に加えさせる命令を含んでもよい。当該機械は、トランスデューサをディスク上の選択されたトラック上の位置に移動させるため、ディスクドライブのボイスコイルモータ内の電流を生成するよう命令を受けてもよい。
【0068】
ディスクドライブは、データを表す情報を記憶するディスク、アクチュエータモータを含むアクチュエータ、アクチュエータに取り付けられたトランスデューサを含む。ディスクは、複数の同心のトラック及び複数のサーボウェッジを含む。複数のサーボウェッジは第1のサーボウェッジ及び第2のサーボウェッジを含む。複数のサーボウェッジのそれぞれは、複数の同心トラックを横切るサーボ情報を含む。トランスデューサは、第1のサーボウェッジ及び第2のサーボウェッジからサーボ情報を読み出す。ディスクドライブはまた、第1のサーボウェッジにおいて情報を復調する復調器(demodulator)を含む。サーボ情報の復調の結果は、複数のトラックのうちの所望のトラックに対するトランスデューサの位置に関する位置エラー信号の決定を含む。ディスクドライブは、第1のサーボウェッジに書き込まれた情報の書き込みランアウトを補正する補正因子を決定するためのプロセッサを含む。補正因子は、トラック上の第2のサーボウェッジについての位置エラー信号の復調の前に決定される。プロセッサは補正因子を位置エラー信号に加え、その結果は、選択されたトラック上でのトランスデューサの位置決めのため、アクチュエータモータにフィードバックされる。ディスクドライブはまた、トラックに沿った複数のサーボウェッジそれぞれの復調に関連する、複数の位置エラー信号値を記憶するためのメモリ装置を含む。ディスクドライブのプロセッサは、複数の位置エラー信号値をメモリ装置から読み出し、補正因子決定の一部として、複数の位置エラー信号値との畳み込みを行う。一実施形態において、第1のサーボウェッジ及び第2のサーボウェッジは、ディスクの表面上で互いに隣接する。さらに他の実施形態においては、ディスクドライブは、イベントを検出するイベント検出器(event detector)を含む。プロセッサは、イベント検出器からの入力に応じて補正因子の決定を中断する。
【0069】
上述の特定の実施形態の説明は、本発明の一般的な性質を効果的に明らかにしており、
現在の知識の適用により、包括的な概念から逸脱することなく、様々な応用のために容易に修正及び/又は適合が可能である。従って、このような適合及び修正は、開示された実施形態の等価物の意義及び範囲内に包括されることが意図されている。
【0070】
本明細書において採用された語法や用語は、説明を目的とするものであり、限定のためではないということが理解される。従って本発明は、添付の請求項の精神と範囲内に含まれるこのような代替物、修正、等価物、及び変形全てを包含することが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本明細書に述べられる実施形態の例を用いるディスクドライブの分解図。
【図2】実施形態の一例による、サーボバーストを含むサーボパターンを有する、図1に示されるディスクドライブのディスクの部分詳細図。
【図3】実施形態の一例による、サーボウェッジにおいて使用できるサーボバーストヌルパターンの他の配置の表現。
【図4】実施形態の一例による、サーボウェッジにおける少なくともの1つのサーボバーストエッジの位置決めのため、及びディスクドライブのアクチュエータドライバへの駆動信号の生成のための電気的概略を含む、ディスクドライブの概略図。
【図5】実施形態の一例による、離散周波数領域信号を含む、コントローラあるいはマイクロプロセッサを示す概略図。
【図6】実施形態の一例による、サーボウェッジの相対的位置、及び対応するコードサーボルーチン実行タイムに書き込まれたデータ示す概略図。
【図7】実施形態の一例による、ウェッジ毎を基準としてウェッジオフセットリダクションフィールド(WORF)値を決定する方法のフローチャート。
【図8】実施形態の一例による、ウェッジ毎を基準としてWORF値を決定する他の方法のフローチャート。
【図9】実施形態の一例による、本明細書中で論じられる方法を行うためのプログラミングを実行するコンピュータシステムのブロック図。
【符号の説明】
【0072】
100…ディスクドライブ、102…ハウジング、104…ハウジングベース、106…ハウジングカバー、110…磁気リターンプレート、112…ボイスコイルモータ、120…ディスク、121…クランプ、122…スピンドル、128…サーボウェッジ、129…トラック、130…回転アクチュエータ、132…ベアリング、134…ボイスコイル、146…トランスデューシングヘッド、150…ランプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーボ情報の複数のウェッジを有するディスクの表面上のトラックを探す方法であって、
第1のサーボウェッジについてのサーボ情報を復調することと、
第2のサーボウェッジについてのサーボ情報を復調する前に、前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報に対する反復可能な書き込みランアウトの補正因子を決定することであって、前記第2のサーボウェッジは、前記第1のサーボウェッジに対して時間的に次である、補正因子を決定することと、
を備える方法。
【請求項2】
前記第1のサーボウェッジについて決定された補正因子を、前記第1のサーボウェッジについての位置エラー信号に加えることを更に備え、前記位置エラー信号は、前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報の復調の結果得られる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のサーボウェッジについての前記決定された補正因子を、メモリに記憶することを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のサーボウェッジについての前記決定された補正因子を、前記ディスクの表面に記憶することを更に備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報に対する反復可能な書き込みランアウトの補正因子を決定することは、複数のサーボウェッジそれぞれについてのサーボ情報の復調の結果得られる、前記複数のサーボウェッジそれぞれからの値の畳み込みを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
顧客がドライブ操作を行う時々に実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
データリカバリ技術として実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
コンピュータ読み取り可能なメディアであって、コンピュータによって実行された場合に、当該コンピュータに、
第1のサーボウェッジについてのサーボ情報を復調することと、
第2のサーボウェッジについてのサーボ情報を復調する前に、前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報に対する反復可能な書き込みランアウトの補正因子を決定することであって、前記第2のサーボウェッジは、前記第1のサーボウェッジに対して時間的に次である、補正因子を決定することと、
を行わせる命令を提供する、コンピュータ読み取り可能なメディア。
【請求項9】
前記命令は、コンピュータによって実行された場合に、当該コンピュータに、前記第1のサーボウェッジについて決定された補正因子を、前記第1のサーボウェッジについての位置エラー信号に加えることを更に行わせ、前記位置エラー信号は、前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報の復調の結果得られる、請求項8に記載のコンピュータ読み取り可能なメディア。
【請求項10】
前記命令は、コンピュータによって実行された場合に、当該コンピュータに、前記第1のサーボウェッジについて決定された補正因子を、メモリに記憶することを更に行わせる、請求項8に記載のコンピュータ読み取り可能なメディア。
【請求項11】
前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報に対する反復可能な書き込みランアウトの補正因子を決定することは、当該コンピュータに、
ディスクドライブのディスク表面上のトラックに関連する複数の位置エラー信号値を読み出すことであって、前記複数の位置エラー信号値は、前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報の復調の結果得られる、複数の位置エラー信号値を読み出すことと、
前記複数のサーボウェッジそれぞれから読み出された位置エラー信号値の畳み込みを実行すること、
を行わせる、請求項8に記載のコンピュータ読み取り可能なメディア。
【請求項12】
前記命令は、コンピュータによって実行された場合に、当該コンピュータに、前記第1のサーボウェッジについて決定された補正因子を、前記第1のサーボウェッジについての位置エラー信号値に加えることを更に行わせ、前記複数の位置エラー信号値は、前記第1のサーボウェッジについてのサーボ情報の復調の結果得られる、請求項8に記載のコンピュータ読み取り可能なメディア。
【請求項13】
データを表す情報を記憶するディスクであって、
複数の同心のトラックと、
複数のサーボウェッジ、第1のサーボウェッジ、及び第2のサーボウェッジであって、前記複数のサーボウェッジのそれぞれは、前記複数の同心のトラックを横切るサーボ情報を含むサーボウェッジと、
を含むディスクと、
アクチュエータモータを含むアクチュエータと、
前記第1のサーボウェッジ及び前記第2のサーボウェッジから、サーボ情報を読み出すためのトランスデューサであって、前記アクチュエータに取り付けられたトランスデューサと、
前記複数のトラックのうちの所望のトラックに対する、前記トランスデューサの位置に関係する位置エラー信号を決定するために、前記第1のサーボウェッジにおける情報を復調するための復調手段と、
前記第1のサーボウェッジに書き込まれた情報の書き込みランアウトを補正するための補正因子を決定するプロセッサであって、前記補正因子は、前記トラック上の前記第2のサーボウェッジについての位置エラー信号の復調前に決定され、当該プロセッサは、前記補正因子を前記位置エラー信号に加え、その結果は、前記トランスデューサを選択されたトラック上の位置に配置するため、前記アクチュエータモータにフィードバックされるプロセッサと、
を備えるディスクドライブ。
【請求項14】
トラックに沿った前記複数のサーボウェッジそれぞれの復調に関連する、複数の位置エラー信号値を記憶するためのメモリ装置を更に備える、請求項13に記載のディスクドライブ。
【請求項15】
前記第1のサーボウェッジ及び前記第2のサーボウェッジは、前記ディスクの前記表面上で互いに隣接する、請求項13に記載のディスクドライブ。
【請求項16】
イベントを検出するイベントディテクタであって、前記プロセッサは、当該イベントディテクタからの入力に応じて前記補正因子の決定を中断するイベントディテクタを更に備える、請求項13に記載のディスクドライブ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−87515(P2009−87515A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35170(P2008−35170)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】