説明

ディスクプレーヤ

【課題】 ピックアップの上下方向への微小の移動を正確に行うことができるとともに、消費電力を抑制する。
【解決手段】 ピックアップベース7は、光ピックアップ6を移動自在に保持する。ピックアップベース7の係合部7aを、光ピックアップ6の移動方向に対して10°傾斜して形成する。ピックアップベース7に、光ピックアップ6の移動方向に対して10°傾斜したネジ部を形成する。保持ベース10の内壁面に、保持ガイド部10aを形成する。保持ベース10の取付部10bにモータ18を取り付けると、挿通孔にボールネジ19が挿通される。ピックアップベース7を保持ベース10に取り付けると、ネジ部とボールネジ19とが噛合する。これにより、モータ18の駆動に応じて、ピックアップベース7が、光ピックアップ6の移動方向に対して10°傾斜した方向に移動する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクに記録された情報の再生や記録を行うディスクプレーヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
CDプレーヤ、DVDプレーヤ等のディスクプレーヤには、CD、DVDなどの光ディスクが記憶媒体として用いられている。これらのディスクプレーヤは、ディスクトレイ上に装填された光ディスクを高速で回転させるディスク回転機構と、光ディスクの半径方向に移動しながら光ディスクにレーザ光を照射して情報を記録し、あるいは光ディスクから反射されたレーザ光を受光して情報の読み出しを行う光ピックアップとを備えている。光ピックアップは、光源からのレーザ光を対物レンズを通して光ディスクの情報記録面に照射し、また光ディスクからの反射光を前記対物レンズを通して受光する。
【0003】
光ディスクには、ディスク底面から記録面までの長さが異なる様々な種類がある。ディスクプレーヤは、ディスク底面から記録面までの長さが異なると、それに応じて対物レンズと光ディスクの記録面との距離が異なることになる。対物レンズと光ディスクの記録面との距離が変化すると、光ピックアップは、情報の記録・読み出しを正常に行うことができないという問題があり、このため、光ディスクを再生している時に、光ピックアップの対物レンズをフォーカシング用コイル等の駆動手段により上下に移動させ、光ディスクの記録面と対物レンズとの距離を一定にするようにされている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−183001号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、光ディスク再生時に対物レンズを上下に移動させた状態では、常にフォーカシング用コイル等の駆動手段を駆動させている必要があるため、消費電力が増加するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、光ピックアップの上下方向への微小の移動を正確に行うことができ、光ピックアップの上下の移動に係わる消費電力を抑制することができるディスクプレーヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のディスクプレーヤは、光ディスクにデータの記録及び/または再生を行う光ピックアップと、前記光ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動自在に保持するピックアップベースと、を有するディスクプレーヤにおいて、前記ピックアップベースを、前記光ディスクの上面視において前記光ピックアップ移動方向に移動自在で、且つ、前記光ディスクの側面視において前記光ピックアップ移動方向に対して傾斜した方向に移動自在に保持する保持部材と、前記ピックアップベースを移動させる移動手段と、前記移動手段の駆動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする。なお、前記光ディスクとしては、CD、DVD、デュアルディスク、SACD(ハイブリッド・ディスク)等が挙げられる。また、前記移動手段は、前記光ピックアップを移動させる移動部材、例えばモータ等を有することが好ましい。さらに、前記制御手段は、前記光ディスクを再生する前に前記光ピックアップを移動させることが好ましく、前記光ピックアップを移動させた後は移動手段を駆動しないことが好ましい。
【0007】
また、前記光ディスクの種類を判別する判別手段を備え、前記制御手段は、前記判別手段の判別結果に応じて、前記移動手段の駆動を制御して前記ピックアップベースを移動させることが好ましい。
【0008】
さらに、再生位置に位置する前記光ディスクの記録面の位置を検出する位置検出手段を備え、前記制御手段は、前記位置検出手段の検出結果に応じて、前記移動手段の駆動を制御して前記ピックアップベースを移動させることが好ましい。
【0009】
また、前記位置検出手段は、前記光ディスクの記録面の複数の位置を検出し、前記制御手段は、前記位置検出手段の検出結果に応じて、前記移動手段の駆動を制御して前記ピックアップベースを移動させることが好ましい。さらに、前記位置検出手段を、前記光ピックアップから構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のディスクプレーヤによれば、光ディスクにデータの記録及び/または再生を行う光ピックアップと、光ピックアップを光ディスクの径方向に移動自在に保持するピックアップベースと、ピックアップベースを、光ディスクの上面視において光ピックアップ移動方向に移動自在で、且つ、光ディスクの側面視において光ピックアップ移動方向に対して傾斜した方向に移動自在に保持する保持部材と、ピックアップベースを移動させる移動手段と、移動手段の駆動を制御する制御手段と、を備えたから、ピックアップベースを上下方向にのみ移動させるタイプのものに比べて、光ピックアップの上下方向への微小の移動を正確に行うことができる。さらに、光ピックアップを移動させた後は移動手段を駆動しないから、光ピックアップの移動に係わる消費電力の増加を抑制することができる。
【0011】
また、光ディスクの種類を判別する判別手段を備え、制御手段は、判別手段の判別結果に応じて、移動手段の駆動を制御してピックアップベースを移動させるから、光ディスクの種類に応じた位置に光ピックアップを移動させることができる。
【0012】
さらに、再生位置に位置する光ディスクの記録面の位置を検出する位置検出手段を備え、制御手段は、位置検出手段の検出結果に応じて、移動手段の駆動を制御してピックアップベースを移動させるから、光ディスクの記録面の位置に応じた位置に光ピックアップを移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1及び図2に本発明を用いたディスクプレーヤ2の外観を示す。ディスクプレーヤ2は、片面がDVD規格に準拠した面(DVD面)、他方の面がデジタルオーディオデータを記録した音楽専用面(非DVD面)からなるデュアルディスク3にアクセスして、デュアルディスク3に記録されたデータの再生を行うものである。本実施形態では、非DVD面を簡略的に音楽ディスク面と称する。なお、ディスクプレーヤ2は、CDやDVD等も再生可能である。
【0014】
ディスクプレーヤ2の本体ケース4の内部には、ディスクトレイ5、光ピックアップ6、ピックアップベース7、ターンテーブル8、チャッキングコア9、保持ベース(保持部材)10、回路基板等を含むプレーヤユニット11が組み込まれている。なお、光ピックアップ6、ピックアップベース7、ターンテーブル8、チャッキングコア9、保持ベース10は、図1及び図2では図示を省略し、図3〜図5で図示している。また、図1は、ディスクトレイ5が、デュアルディスク3再生時に本体ケース4内部に収納される再生位置に位置する状態を示し、図2は、ディスクトレイ5が、本体ケース4外部に露出される露出位置に位置する状態を示している。
【0015】
本体ケース4の前面には、LCD13、ディスクトレイ5開閉用の開閉スイッチ14が設けられている。また、LCD13の周辺には、再生スイッチや停止スイッチ等の各種スイッチが設けられており、これら開閉スイッチ14を含む複数のスイッチは、ディスクプレーヤ2の主制御を行う制御部30(図3参照)に接続されている。
【0016】
ディスクトレイ5は、デュアルディスク3再生時に本体ケース4内部に収納される再生位置(図1参照)と、本体ケース4外部に露出される露出位置(図2参照)との間で移動可能に設けられており、モータ等を含むトレイ移動機構(図示せず)により移動される。ディスクトレイ5を移動させるときには、開閉スイッチ14を操作する。
【0017】
ディスクトレイ5は、デュアルディスク3が装填されるものであり、デュアルディスク3の外径に対応した窪みが形成されている。ディスクトレイ5の窪みに合わせてデュアルディスク3を装填した状態で、ディスクトレイ5を再生位置まで移動させると、チャッキングコア9(図3参照)がデュアルディスク3のチャック孔3aに係合してデュアルディスク3を保持する。
【0018】
図3に示すように、プレーヤユニット11は、光ピックアップ6、ピックアップベース7、ターンテーブル8(図5参照)、チャッキングコア9、保持ベース10を備えて構成されている。チャッキングコア9は、プレーヤユニット11の取付部材(図示せず)に、回動可能で且つ上下方向に移動可能に取り付けられている。
【0019】
図3及び図4に示すように、光ピックアップ6は、発光素子から照射されたレーザ光をデュアルディスク3の記録面に集光する対物レンズ16が組み込まれており、ピックアップベース7に移動自在に保持されている。ピックアップベース7は、光ピックアップ6を移動自在に保持するものであり、枠状に形成されている。ピックアップベース7には、光ピックアップ6の軸受部6aに挿通されて光ピックアップ6を移動自在に保持する保持シャフト17が2本取り付けられている。光ピックアップ6は、公知のユニット移動機構により、デュアルディスク3の径方向である保持シャフト17の軸方向(図3〜図5におけるA方向及びB方向)に移動される。
【0020】
ピックアップベース7の図4における右側面には、断面が略コ字状の係合部7aが形成されている。係合部7aは、光ピックアップ6の移動方向に対して鋭角に傾斜して(図4におけるC方向及びD方向)形成されている。本実施形態では、係合部7aの傾斜角度を10°として説明する。なお、係合部7aを、ピックアップベース7の左側面にも形成するようにしてもよい。
【0021】
ピックアップベース7の図4における後面には、光ピックアップ6の移動方向に対して10°傾斜した挿通孔が形成され、この挿通孔には、モータ18のモータシャフトに取り付けられたボールネジ19に噛合するネジ部7bが形成されている。これにより、モータ18が駆動してモータシャフトが回動すると、ボールネジ19、ネジ部7bを介して、ピックアップベース7が、光ピックアップ6の移動方向(図3〜図5におけるA方向及びB方向)に対して10°傾斜した方向(図3〜図5におけるC方向及びD方向)に移動する。モータ18の駆動が停止すると、モータシャフトはモータ18内部のコイルの抵抗により回動不能となる。これにより、ボールネジ19は回動することがないため、ピックアップベース7も移動不能に保持された状態となる。モータ18は、制御部30に接続されている。本実施形態では、ピックアップベース7を移動させる移動手段は、ネジ部7b、モータ18、ボールネジ19から構成されている。
【0022】
図5に示すように、ピックアップベース7内部には、内センサ21、中央センサ22、外センサ23が取り付けられている。これらセンサ(位置検出手段)21〜23は、発光部と受光部とを備えた光センサであり、内センサ21はデュアルディスク3の内周部に向けて、中央センサ22はデュアルディスク3の略中央部に向けて、外センサ23はデュアルディスク3の外周部に向けて光を照射するように取り付けられている。これらセンサ21〜23は、制御部30に接続されている。各センサ21〜23は、発光部から光を照射し、デュアルディスク3のDVD面、DVD記録面、音楽ディスク記録面、音楽ディスク面のそれぞれで反射した反射光を受光部で受光し、受光した反射光の反射光データ(反射光の光量や、照射されてから入射されるまでの経過時間等)を制御部30に出力する。制御部30は、入力された反射光データに基づき、デュアルディスク3の種類を判別するとともに、デュアルディスク3の3箇所(内周部、中央部、外周部)の記録面の高さ方向の位置を検出する。このため、制御部30にはメモリが設けられ、このメモリには、入力される反射光データに対応付けられたデュアルディスク3の種類データ及びデュアルディスク3の記録面の位置データが格納されている。本実施形態では、デュアルディスク3の種類を判別する判別手段は、内センサ21、中央センサ22、外センサ23、制御部30から構成されている。
【0023】
なお、デュアルディスク3での光の反射についてさらに詳しく説明すると、例えば、DVD面を下側に向けた場合には、デュアルディスク3に向けて照射された光は、一部がディスク下側表面であるDVD面で反射し、残りがDVD面を通過する。DVD面を通過した光は、一部がDVD記録面で反射し、残りがDVD記録面を通過する。DVD記録面を通過した光は、一部が音楽ディスク記録面で反射し、残りが音楽ディスク記録面を通過する。音楽ディスク記録面を通過した光は、一部がディスク上側表面である音楽ディスク面で反射し、残りが音楽ディスク面を通過する。すなわち、各センサ21〜23には、DVD面、DVD記録面、音楽ディスク記録面、音楽ディスク面のそれぞれで反射した4種類の反射光が入射される。制御部30は、各センサ21〜23から入力される4種類の反射光データに基づき、デュアルディスク3の種類を判別するとともに、デュアルディスク3の最内周部の記録面の高さ方向の位置を検出する。
【0024】
ターンテーブル8は、デュアルディスク3再生時にデュアルディスク3に当接した状態で回転するものであり、側縁側が中心部よりも下方に位置するようなすり鉢状に形成されている。ターンテーブル8は、デュアルディスク3に当接する当接位置(図5(B)参照)と退避する退避位置(図5(A)参照)との間で移動自在に設けられており、プレーヤユニット11の取付部材(図示せず)に回動可能に取り付けられている。デュアルディスク3が装填されたディスクトレイ5が露出位置から再生位置に移動するときには、ターンテーブル8は退避位置に位置し、ディスクトレイ5が再生位置まで移動されると、ターンテーブル8は当接位置まで移動される。そして、デュアルディスク3再生時には、ターンテーブル8は、ディスクモータ(図示せず)により駆動され、デュアルディスク3に当接した状態で回動する。すなわち、デュアルディスク3は、ターンテーブル8により、再生時に、側縁側が中心部よりも下方に位置するようなすり鉢状にされるとともに、上下方向の位置決めが行われる。なお、図5(A)は、ピックアップベース7が最も下方に位置するとき、図5(B)は、ピックアップベース7が最も上方に位置するときの側面断面図である。
【0025】
チャッキングコア9は、上下方向に移動可能に設けられており、デュアルディスク3のチャック孔3aに係合する係合位置(図5(B)参照)と、退避する退避位置(図5(A)参照)との間で移動する。デュアルディスク3が装填されたディスクトレイ5が、露出位置から再生位置に移動するときには、チャッキングコア9は退避位置に位置し、ディスクトレイ5が再生位置まで移動されると、チャッキングコア9は係合位置まで移動され、デュアルディスク3のチャック孔3aに係合する。デュアルディスク3は、チャッキングコア9によってターンテーブル8に押圧され、ターンテーブル8とチャッキングコア9との間に挟持される。
【0026】
図3〜図6に示すように、保持ベース10は、ピックアップベース7を移動自在に保持するものであり、枠状に形成されている。保持ベース10の内壁面には、ピックアップベース7の係合部7aに係合してピックアップベース7を移動自在に保持する保持ガイド部10aが形成されている。保持ベース10は、上面がピックアップベース7の上面に略平行になるようにピックアップベース7を保持する。なお、図3及び図4は前面側からの斜視図、図5は右側面断面図、図6は上面図である。
【0027】
保持ガイド部10aは、デュアルディスク3の上面視(すなわち、図6の紙面上)において光ピックアップ6の移動方向に平行で(図6参照)、且つ、デュアルディスク3の側面視(すなわち、図5の紙面上)ディスク表面に垂直な面において光ピックアップ6の移動方向に対して10°傾斜して(図3〜図5におけるC方向及びD方向)形成されている。これにより、図5に示すように、ピックアップベース7は、デュアルディスク3の側面視(すなわち、図5の紙面上)においては、光ピックアップ6の移動方向(図3〜図5におけるA方向及びB方向)に対して10°傾斜した方向に移動可能となり、さらに、図6に示すように、ピックアップベース7は、デュアルディスク3の上面視(すなわち、図6の紙面上)においては、光ピックアップ6の移動方向に平行な方向に移動可能となる。このため、ピックアップベース7を移動させた場合にも、常に対物レンズ16の移動軌跡の延長上にターンテーブル8の回転中心軸が位置するようになっている。本実施形態では、ピックアップベース7は、前後方向(図3〜図5におけるA方向及びB方向)に8.51mmの範囲で移動可能にされており、これに伴い、ピックアップベース7は、上下方向に1.5mmの範囲で移動可能となる。
【0028】
保持ベース10の後面(図5における右側面)には、モータ18を取り付けるための板状の取付部10bが形成されている。保持ベース10の後面には、モータ18のモータシャフトに取り付けられたボールネジ19を挿通するための挿通孔10cが形成されている。挿通孔10cは、光ピックアップ6の移動方向(図3〜図5におけるA方向及びB方向)に対して10°傾斜して形成されており、モータ18をビス等により取付部10bに取り付けると、挿通孔10cにボールネジ19が挿通される。
【0029】
ピックアップベース7を移動自在に保持ベース10に取り付けるときには、ピックアップベース7の係合部7aの凹部に保持ベース10の保持ガイド部10aが挿入されるとともに、ピックアップベース7のネジ部7bがボールネジ19に噛合するように取り付ける。
【0030】
図7に示すように、デュアルディスク3は、片面がDVD面、他方の面が音楽ディスク面からなり、DVD面は、記録面までの距離が0.6mm、音楽ディスク面は、記録面までの距離が1.2mmとされている。上記したように、デュアルディスク3の上下方向の位置決めは、ターンテーブル8により行われ、ターンテーブル8と保持ベース10との距離は一定となっている。このため、デュアルディスク3のDVD再生時と、デュアルディスク3の音楽ディスク再生時とでは、保持ベース10の上面から記録面までの距離が異なることとなる。すなわち、光ピックアップ6が上下方向に移動不能の場合には、DVDと音楽ディスクとの両方をエラーなく再生させることは困難となる。
【0031】
図5に示すように、デュアルディスク3が装填されたディスクトレイ5が、露出位置(図2参照)から再生位置(図1参照)まで移動すると、図示しないトレイ位置検出センサは、制御部30に再生位置信号を出力する。制御部30は、再生位置信号が入力されたことに応答して、各センサ21〜23を駆動する。各センサ21〜23は、発光部から光を照射し、デュアルディスク3のDVD面、DVD記録面、音楽ディスク記録面、音楽ディスク面のそれぞれで反射した反射光を受光部で受光し、受光した反射光の反射光データを制御部30に出力する。制御部30は、入力された反射光データに基づき、デュアルディスク3の種類を判別するとともに、デュアルディスク3の3箇所(内周部、中央部、外周部)の記録面の高さ方向の位置を検出する。
【0032】
制御部30は、判別したデュアルディスク3の種類と、検出したデュアルディスク3の3箇所(内周部、中央部、外周部)の記録面の高さ方向の位置とに基づき対物レンズ16からデュアルディスク3の記録面までの距離が規定値(例えば、9.5mm)になるように、モータ18の駆動を制御して、ボールネジ19、ネジ部7bを介して、ピックアップベース7を、光ピックアップ6の移動方向に対して10°傾斜した方向(図3〜図5におけるC方向及びD方向)に移動させる。例えば、デュアルディスク3のDVDを再生している状態から、デュアルディスク3を反転させて、音楽ディスクを再生するときには、デュアルディスク3の記録面までの距離が0.6mm長くなる。この場合、制御部30は、モータ18の駆動を制御して、ピックアップベース7を0.6mm上方に移動させる。本実施形態では、ピックアップベース7は、光ピックアップ6の移動方向(図3〜図5におけるA方向及びB方向)に対して10°傾斜した方向(図3〜図5におけるC方向及びD方向)に移動するから、ピックアップベース7を0.6mm上方に移動させる場合には、ピックアップベース7を図3〜図5におけるD方向に3.4mm移動させる。そして、制御部30は、ピックアップベース7を0.6mm上方に移動させた後は、モータ18の駆動を停止する。
【0033】
開閉スイッチ14が操作されると、ターンテーブル8とチャッキングコア9とは、それぞれ退避位置(図5(A)参照)に移動し、ディスクトレイ5は、再生位置から露出位置まで移動する。この状態では、トレイ位置検出センサから制御部30への再生位置信号の出力が停止し、これに応じて、制御部30は、デュアルディスク3の種類の判別結果、及びデュアルディスク3の記録面の位置検出結果をリセットする。すなわち、次にデュアルディスク3が装填されたディスクトレイ5が、露出位置から再生位置まで移動すると、再度、上記したように、デュアルディスク3の種類を判別するとともに、デュアルディスク3の3箇所(内周部、中央部、外周部)の記録面の高さ方向の位置を検出し、これらの結果に応じて、ピックアップベース7を移動させる。
【0034】
上記のように構成されたディスクプレーヤ2の作用について説明する。ユーザが、デュアルディスク3をディスクトレイ5に装填して、開閉スイッチ14を操作してディスクトレイ5を露出位置(図2参照)から再生位置(図1参照)まで移動させると、制御部30は、各センサ21〜23から入力される反射光データに基づき、デュアルディスク3の種類を判別するとともに、デュアルディスク3の記録面の3箇所(内周部、中央部、外周部)の高さ方向の位置を検出する。
【0035】
制御部30は、判別結果及び検出結果に基づき、対物レンズ16からデュアルディスク3の記録面までの距離が9.5mmになるように、モータ18の駆動を制御して、ボールネジ19、ネジ部7bを介して、ピックアップベース7を、光ピックアップ6の移動方向に対して10°傾斜した方向(図3〜図5におけるC方向及びD方向)に移動させる。そして、制御部30は、ピックアップベース7を移動させた後は、モータ18の駆動を停止する。
【0036】
このように、制御部30は、ピックアップベース7を、光ピックアップ6の移動方向に対して10°傾斜した方向(図3〜図5におけるC方向及びD方向)に移動させるから、ピックアップベース7を上下方向(光ピックアップ6の移動方向に垂直な方向)にのみ移動させるタイプのものに比べて、光ピックアップ6の上下方向への微小の移動を正確に行うことができる。
【0037】
また、ピックアップベース7を移動させた後には、モータ18の駆動が停止し、モータ18に係わる電力消費がないから、デュアルディスク3再生時に常に光ピックアップ6を移動させてデュアルディスク3の記録面までの距離を一定にするタイプのものに比べて、消費電力を低減させることができる。
【0038】
さらに、制御部30は、デュアルディスク3の種類の判別結果と、デュアルディスク3の記録面の3箇所(内周部、中央部、外周部)の高さ方向の検出位置とに基づき、これら3箇所における対物レンズ16からデュアルディスク3の記録面までの距離の平均が9.5mmになるように、ピックアップベース7を移動させるから、対物レンズ16からデュアルディスク3の記録面までの距離を、より一層一定にすることができる。
【0039】
なお、上記実施形態では、モータ18の駆動により、ピックアップベース7を移動させたが、これに限定されることなく、例えば、ソレノイド等により移動させるようにしてもよい。
【0040】
また、上記実施形態では、ボールネジ19とピックアップベース7に形成されたネジ部7bとの噛合により、ピックアップベース7を移動させたが、これに限定されることなく、例えば、モータ18のモータシャフトにモータギアを取り付け、ピックアップベース7に直線状のベースギアを形成し、モータギアとベースギアとの噛合により、ピックアップベース7を移動させるようにしてもよい。
【0041】
さらに、上記実施形態では、内センサ21、中央センサ22、外センサ23を設け、これらセンサ21〜23により、デュアルディスク3の記録面の3箇所(内周部、中央部、外周部)の高さ方向の位置を検出するようにしたが、これに限定されることなく、デュアルディスク3の記録面の複数の位置を検出することができればよく、センサの個数は適宜変更可能である。例えば、1個のセンサで、デュアルディスク3の記録面の複数の位置を検出するようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、ピックアップベース7を、光ピックアップ6の移動方向に対して10°傾斜した方向(図3〜図5におけるC方向及びD方向)に移動させるようにしたが、傾斜角度は10°に限定されることなく、適宜変更可能である。
【0043】
さらに、上記実施形態では、ディスクプレーヤ2を例示して説明したが、本発明はこれに限定されることなく、例えばCDプレーヤ、DVDプレーヤ、DVDレコーダ等にも適用することができる。
【0044】
図8に他の実施形態を示す。上記実施形態のものと同様の構成部材には同一の符号を付し、その詳細な説明を簡略化する。この実施形態では、デュアルディスク3の記録面の3箇所(内周部、中央部、外周部)の高さ方向の位置を検出する位置検出手段を、上記実施形態の内センサ21、中央センサ22及び外センサ23に代えて、光ピックアップ6から構成する。図8(A)に示すように、制御部30は、光ピックアップ6と、光ピックアップ6を図8中A方向及びB方向に移動させるピックアップ移動機構(図示せず)と、に接続されている。
【0045】
図8(B)に示すように、ディスクトレイ5を露出位置(図2参照)から再生位置(図1参照)まで移動させると、制御部30は、上記したピックアップ移動機構の駆動を制御し、ピックアップ移動機構により、光ピックアップ6をデュアルディスク3の最内周部に対向する位置まで移動させた後、光ピックアップ6の駆動を制御して、光ピックアップ6にファーカス動作を実行させる。
【0046】
光ピックアップ6のフォーカス動作では、光ピックアップ6から光が照射される。光ピックアップ6から照射された光は、デュアルディスク3のDVD面、DVD記録面、音楽ディスク記録面、音楽ディスク面それぞれで反射し、反射光として光ピックアップ6に入射される。光ピックアップ6は、入射された反射光の反射光データ(反射光の数、光量、照射されてから入射されるまでの経過時間等)を制御部30に出力する。制御部30は、入力された反射光データに基づき、デュアルディスク3の種類を判別するとともに、デュアルディスク3の最内周部の記録面の高さ方向の位置を検出する。
【0047】
制御部30は、判別結果及び検出結果に基づき、対物レンズ16からデュアルディスク3の記録面までの距離が9.5mmになるように、モータ18の駆動を制御して、ボールネジ19、ネジ部7bを介して、ピックアップベース7を、光ピックアップ6の移動方向に対して10°傾斜した方向(図8中C方向及びD方向)に移動させる。そして、制御部30は、ピックアップベース7を移動させた後は、モータ18の駆動を停止する。具体的には、ファーカス動作を行いながら、光ピックアップ6に入射した反射光から生成されるフォーカスエラー信号と、フォーカシング用コイルにかかる電圧とを監視するとともに、ピックアップベース7を図8中C方向及びD方向に移動させる。そして、フォーカスエラー信号がゼロとなり、且つ、フォーカシング用コイルにかかる電圧が最小となる位置にピックアップベース7を停止させる。
【0048】
このように、光ピックアップ6により、デュアルディスク3の種類を判別するとともに、デュアルディスク3の最内周部の記録面の高さ方向の位置を検出するから、上記した判別及び検出を行うための部材(例えば、光センサ等)を別に設ける必要がなく、コストアップを防ぐことができる。
【0049】
なお、上記実施形態では、光ピックアップ6でデュアルディスク3の最内周部の記録面の高さ方向の位置を検出し、この検出結果に基づいて、ピックアップベース7を移動させるようにしたが、光ピックアップ6で検出するデュアルディスク3の記録面の高さ方向の位置及び個数は、適宜変更可能であり、例えば、デュアルディスク3の最内周部、中央部、最外周部の3箇所の高さ方向の位置を検出し、この検出結果に基づいて、ピックアップベース7を移動する(対物レンズ16から3箇所の平均高さまでの距離を9.5mmにする)ようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明を実施したディスクプレーヤの外観斜視図である。
【図2】ディスクトレイが露出した状態のディスクプレーヤの外観斜視図である。
【図3】光ピックアップとピックアップベースと保持ベースとチャッキングコアとモータとを示す斜視図である。
【図4】光ピックアップとピックアップベースと保持ベースとチャッキングコアとモータとを示す分解斜視図である。
【図5】デュアルディスクと光ピックアップとピックアップベースとターンテーブルと保持ベースとチャッキングコアとモータとを示す側面断面図である。
【図6】光ピックアップとピックアップベースと保持ベースとチャッキングコアとモータとを示す上面図である。
【図7】デュアルディスクを示す側面図である。
【図8】光ピックアップでデュアルディスクの高さ方向の位置を検出する実施形態のデュアルディスクと光ピックアップとピックアップベースとターンテーブルと保持ベースとチャッキングコアとモータとを示す側面断面図である。
【符号の説明】
【0051】
2 ディスクプレーヤ
3 デュアルディスク(光ディスク)
6 光ピックアップ
7 ピックアップベース
7a 係合部
7b ネジ部
10 保持ベース(保持部材)
10a 保持ガイド部
16 対物レンズ
18 モータ
19 ボールネジ
21〜23 センサ(位置検出手段)
30 制御部(制御手段)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスクにデータの記録及び/または再生を行う光ピックアップと、前記光ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動自在に保持するピックアップベースと、を有するディスクプレーヤにおいて、
前記ピックアップベースを、前記光ディスクの上面視において前記光ピックアップ移動方向に移動自在で、且つ、前記光ディスクの側面視において前記光ピックアップ移動方向に対して傾斜した方向に移動自在に保持する保持部材と、
前記ピックアップベースを移動させる移動手段と、
前記移動手段の駆動を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とするディスクプレーヤ。
【請求項2】
前記光ディスクの種類を判別する判別手段を備え、
前記制御手段は、前記判別手段の判別結果に応じて、前記移動手段の駆動を制御して前記ピックアップベースを移動させることを特徴とする請求項1記載のディスクプレーヤ。
【請求項3】
再生位置に位置する前記光ディスクの記録面の位置を検出する位置検出手段を備え、
前記制御手段は、前記位置検出手段の検出結果に応じて、前記移動手段の駆動を制御して前記ピックアップベースを移動させることを特徴とする請求項1または2記載のディスクプレーヤ。
【請求項4】
前記位置検出手段は、前記光ディスクの記録面の複数の位置を検出し、
前記制御手段は、前記位置検出手段の検出結果に応じて、前記移動手段の駆動を制御して前記ピックアップベースを移動させることを特徴とする請求項3記載のディスクプレーヤ。
【請求項5】
前記位置検出手段を、前記光ピックアップから構成したことを特徴とする請求項3または4記載のディスクプレーヤ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−87478(P2007−87478A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−273611(P2005−273611)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】