説明

ディスクプレーヤ

【課題】クランパ保持機構の部品点数と組立工数を削減してコストダウンが図りやすい「ディスクプレーヤ」を提供する。
【解決手段】ターンテーブルと協働してディスクをチャッキングするクランパ1と、このクランパ1の外周部を搭載可能なアーム部を有するクランパ支持体2と、このクランパ支持体2に組み付けられてクランパ1を保持する保持ブラケット3とを備えている。保持ブラケット3はバネ性に富む金属薄板からなり、クランパ支持体2に嵌着される取付部30と、この取付部30からアーム部側へ突出する支持部31および板ばね部32とが設けられている。支持部31はアーム部とは異なる位置でクランパ1の外周部を搭載可能な位置に配置され、板ばね部32の先端部分は中央突起部上に配置されてクランパ1を常時下方へ弾性付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CDやDVD等のディスクに対して情報の記録および/または再生を行うディスクプレーヤに係り、特に、ターンテーブルと協働してディスクをチャッキングするクランパの保持機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にディスクプレーヤには、シャーシの内部に配設されてスピンドルモータを駆動源として回転するターンテーブルと、このターンテーブルの上方に対向配置された回転可能なクランパと、このクランパを支持してターンテーブルに対し近接離反可能なクランパ支持体とが備えられており、ディスクの中心孔近傍の内周部をターンテーブルとクランパとでチャッキングした状態で、スピンドルモータの駆動力によってターンテーブルが回転駆動されるようになっている。このようなディスクプレーヤにおいては、従来より、シャーシに揺動可能に支持された板金製のクランパ支持体の先端側にクランパを回転可能に取り付け、クランパ支持体を下方へ回転移動させるとクランパがターンテーブルに近接してチャッキング動作が行え、クランパ支持体を上方へ回転移動させるとクランパがターンテーブルから離反してチャッキング状態が解除されるように構成したものが広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図15は従来例に係るクランパ保持機構の斜視図、図16はその分解斜視図、図17はその上面図である。これらの図に示すように、クランパ支持体50の後端部の左右両側には軸孔50aが設けられており、これら軸孔50aに図示せぬシャーシの突起部を挿入することによって、クランパ支持体50はシャーシに揺動可能に支持されて上下方向へ回転できるようになっている。クランパ支持体50の先端側には平面視C字形のアーム部50bが突設されていると共に、アーム部50bで包囲されたクランパ収納空間の中央部へ向かって延びる規制舌片50cが突設されている。アーム部50bの内周部はクランパ53の小径部に挿入されて該クランパ53を支持しており、規制舌片50cの先端部分は後述する板ばね部52aを介してクランパ53の回転中心部である中央突起部53a(図16参照)と対向している。
【0004】
このクランパ支持体50には、アーム部50bと協働してクランパ53を支持する支持ブラケット51と、クランパ53の中央突起部53aを下方へ向けて弾性付勢する押圧片52とが取付ねじ54によって共締めされている。クランパ支持体50と支持ブラケット51はいずれも板金製であり、図16に示すように、支持ブラケット51には、クランパ53の小径部に後方から挿入される弧状片51aと、取付ねじ54が挿通されるねじ孔51bと、クランパ支持体50の位置決めボス50dが挿通される位置決め孔51cとが設けられている。押圧片52はばね性に富む金属薄板からなり、この押圧片52には、クランパ53の中央突起部53aに弾接する板ばね部52aと、取付ねじ54が挿通されるねじ孔52bと、位置決めボス50dが挿通される位置決め孔52cと、板ばね部52aの撓みに伴う反力でクランパ支持体50の上面に弾接する一対の弾性片52dとが設けられている。板ばね部52aの先端部分は中央突起部53aと規制舌片50cとの間の隙間に挿入されている。
【0005】
クランパ53は円盤状の樹脂成形品であり、その小径部にアーム部50bと弧状片51aを前後から挿入することによって、クランパ53はクランパ支持体50の前端側に回転可能に支持されている。このクランパ53の上面側に突出する中央突起部53aには板ばね部52aが弾接しており、この板ばね部52aの弾性力を受けてクランパ53はターンテーブルの存する下方へ向けて常時付勢されている。また、クランパ53の下面側には円環状の挟圧部(図示せず)が設けられており、この挟圧部をディスクの内周部の上面に圧接させることによって、ターンテーブル上に載置されたディスクのチャッキングが可能となる。なお、ディスクをチャッキングしていない待機状態でもクランパ53は板ばね部52aの弾性力でアーム部50bや弧状片51aに押し付けられているため、クランパ53が振動してラットルノイズを発生する虞はない。また、チャッキング時にはアーム部50bや弧状片51aに対してクランパ53が若干上動し、それに伴ってクランパ53の中央突起部53aが板ばね部52aを押し上げるため、板ばね部52aの弾性力が増大してクランパ53とターンテーブルとの間に所要の挟圧力を生じさせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−54199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら前述した従来のディスクプレーヤでは、クランパ支持体50にねじ止めした支持ブラケット51を用いてクランパ53を支持し、かつクランパ支持体50にねじ止めした押圧片52を用いてクランパ53を弾性付勢しているため、クランパ保持機構の部品点数や組立工数が増大してコストダウンを図りにくいという問題があった。すなわち、かかる従来のディスクプレーヤにおいては、クランパ支持体50にクランパ53を取り付けるために、支持ブラケット51と押圧片52および取付ねじ54という3つの独立した部品を用意して煩雑なねじ止め作業を行わねばならないため、このことが部品コストや組立コストを増大させる要因となっていた。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、クランパ保持機構の部品点数と組立工数を削減してコストダウンが図りやすいディスクプレーヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、モータを駆動源として回転するターンテーブルと、このターンテーブルに対向配置された回転可能なクランパと、このクランパの外周部下面を搭載可能なアーム部を有して前記ターンテーブルに対し近接離反可能なクランパ支持体とを備え、前記ターンテーブルと前記クランパとでディスクをチャッキングした状態で前記モータの駆動力によって前記ターンテーブルが回転駆動されるディスクプレーヤにおいて、金属板製の保持ブラケットに、前記クランパ支持体に嵌着される取付部と、この取付部から前記アーム部側へ突出する支持部および板ばね部とを設け、前記支持部が前記アーム部と異なる位置で前記クランパの外周部下面を搭載可能な位置に配置されると共に、前記板ばね部の先端部分が前記クランパの上面中央の回転中心部に弾接するように構成した。
【0010】
このような保持ブラケットを備えているディスクプレーヤでは、クランパ支持体に保持ブラケットの取付部を嵌着するだけで、クランパの外周部下面をアーム部と支持部とでバランス良く支持しつつ、クランパの上面中央の回転中心部に板ばね部を弾接させることが可能となる。つまり、保持ブラケットという1つの部品を用いるだけで、クランパ支持体にクランパを所望の状態で取り付けることができて、煩雑なねじ止め作業も省略できるため、クランパ保持機構の部品点数や組立工数を大幅に削減できる。
【0011】
上記の構成において、クランパ支持体の複数箇所に切欠き部とを設けると共に、保持ブラケットの取付部に複数の爪片を設け、この保持ブラケットをクランパ支持体に嵌着させる際に、複数の爪片を対応する切欠き部に挿入した状態で保持ブラケットをアーム部側へスライド移動することによって、各爪片が対応する切欠き部の周縁部に係止されると共に、支持部と板ばね部がクランパを挟持可能な位置に配置されるようにしてあると、保持ブラケットをクランパ支持体に組み付ける作業とクランパを保持ブラケットで保持する作業とが同時に行えるため、組立作業性が向上する。この場合において、クランパ支持体と保持ブラケットの取付部とのいずれか一方に位置決め孔を設けると共に、いずれか他方に位置決め孔内に係止される係止ボスを設けておけば、クランパ支持体に対する保持ブラケットの位置精度が高まってガタも防止できるため好ましい。
【0012】
また、上記の構成において、板ばね部の両側縁近傍に該板ばね部の突出方向に沿って延びる突条を設けると共に、これら突条の間にグリースを塗布し、このグリース塗布領域がクランパの回転中心部に弾接するようにしておけば、保持ブラケットを組み付ける際に板ばね部の突条をクランパに対して摺動させながら、グリース塗布領域をクランパの回転中心部と弾接する位置まで移動させることができる。こうすることにより、保持ブラケットの組み付け時に板ばね部に塗布したグリースがクランパに削り取られにくくなるため、板ばね部のグリース塗布領域とクランパの回転中心部との間に必要量のグリースを介在させることが容易になり、クランパの摩耗を長期に亘って効果的に抑制できるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のディスクプレーヤによれば、クランパ支持体に保持ブラケットの取付部を嵌着するだけで、クランパの外周部下面をクランパ支持体のアーム部と保持ブラケットの支持部とでバランス良く支持することができると共に、クランパの上面中央の回転中心部に保持ブラケットの板ばね部を弾接させることができる。つまり、保持ブラケットという1つの部品を用いるだけで、クランパ支持体にクランパを所望の状態で取り付けることができて、煩雑なねじ止め作業も省略できるため、クランパ保持機構の部品点数や組立工数を大幅に削減できる。その結果、クランパ保持機構の部品コストと組立コストを低減できるため、ディスクプレーヤのコストダウンが容易に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態例に係るディスクプレーヤのクランパ保持機構を斜め上方から見た斜視図である。
【図2】図1に対応する分解斜視図である。
【図3】該クランパ保持機構を斜め下方から見た斜視図である。
【図4】該クランパ保持機構の上面図である。
【図5】該クランパ保持機構の下面図である。
【図6】該クランパ保持機構でディスクをチャッキングしている状態を示す説明図である。
【図7】該クランパ保持機構に用いられている保持ブラケットを斜め上方から見た斜視図である。
【図8】該保持ブラケットを斜め下方から見た斜視図である。
【図9】該保持ブラケットの上面図である。
【図10】該保持ブラケットの側面図である。
【図11】該保持ブラケットをクランパ支持体に組み付ける手順を示す説明図である。
【図12】該保持ブラケットの組み付け作業中における板ばね部の突条の働きを示す説明図である。
【図13】該保持ブラケットの比較例を斜め下方から見た斜視図である。
【図14】該比較例で懸念される不具合を示す説明図である。
【図15】従来例に係るクランパ保持機構を示す斜視図である。
【図16】図15に対応する分解斜視図である。
【図17】該従来例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態例を図1〜図14を参照して説明する。本実施形態例に係るディスクプレーヤは、図6に示すように、ターンテーブル4と、このターンテーブル4の上方に対向配置された回転可能なクランパ1とによって、CDやDVD等のディスク5をチャッキングできるようになっている。ターンテーブル4は、このディスクプレーヤのシャーシの内部に配設されている図示せぬスピンドルモータを駆動源として回転する。クランパ1の外周部は、ターンテーブル4に対して近接離反可能に配設されたクランパ支持体2(図1参照)のアーム部20と、このクランパ支持体2に嵌着された保持ブラケット3の支持部31(図2参照)とで支持されている。また、クランパ1の回転中心部である中央突起部10(図6参照)には、保持ブラケット3の板ばね部32の先端部分が弾接している。ディスク5はその中心孔近傍の内周部がターンテーブル4とクランパ1とによってチャッキングされ、かかるチャッキング状態で前記スピンドルモータが回転駆動すると、ターンテーブル4とディスク5およびクランパ1の三者が一体的に回転するため、図示せぬ光ピックアップをディスク5の径方向へ移動させることにより、ディスク5に対して情報の記録および/または再生が行えるようになっている。
【0016】
本実施形態例に係るディスクプレーヤのクランパ保持機構について詳しく説明すると、金属板からなるクランパ支持体2の後端部の左右両側には軸孔21が設けられており、これら軸孔21に前記シャーシの突起部を挿入することによって、クランパ支持体2は該シャーシに揺動可能に支持されて上下方向へ回転できるようになっている。クランパ支持体2の先端側には平面視C字形のアーム部20が突設されていると共に、このアーム部20で包囲された略円形のクランパ収納空間の中央部へ向かって延びる規制舌片22が突設されている。図3に示すように、アーム部20の前端部分には前記クランパ収納空間内へせり出す弧状片20aが形成されており、この弧状片20a上と保持ブラケット3の前記支持部31上にクランパ1の外周部の下面側を搭載できるようになっている。また、図1に示すように、アーム部20の上面側の複数箇所にはL字状に起立して前記クランパ収納空間内へせり出す規制フック23が形成されており、これら規制フック23と規制舌片22とによってクランパ1の過度な上動を規制することにより、衝撃等が加わってもクランパ1がクランパ支持体2から外れないようになっている。規制舌片22の先端部22aは前記クランパ収納空間の上方の所定の高さ位置に配置されており、保持ブラケット3の板ばね部32を介して規制舌片22の先端部22aとクランパ1の中央突起部10とが対向している。ディスクをチャッキングしていない待機状態では、規制舌片22の先端部22aと下方の板ばね部32との間に所要のクリアランスが確保されているが、図6に示すように、ディスクがチャッキングされると中央突起部10が上動するため、板ばね部32は規制舌片22の先端部22aによって上動が規制される高さ位置まで押し上げられる。
【0017】
また、図2に示すように、このクランパ支持体2に保持ブラケット3の取付部30を嵌着させるために、クランパ支持体2には切欠き部24,25と係止片26,27および係止ボス28,29が設けられている。係止ボス28と係止ボス29は前記クランパ収納空間の中心を通る直線上に設けられており、切欠き部24はこれら両係止ボス28,29の間に開口部として形成されている。切欠き部25は係止ボス29の左右両側に一つずつ形成されており、これら切欠き部25は前記クランパ収納空間と連通する矩形状の切れ込み部として形成されている。また、係止片26は切欠き部24のアーム部20側の周縁部に左右一つずつ形成されており、係止片27は各切欠き部25の一辺部にそれぞれ形成されている。後述するようにクランパ支持体2に保持ブラケット3を組み付ける際には、保持ブラケット3の爪片30a,30bをそれぞれ切欠き部24,25に挿入してから係止片26,27に係止させると共に、係止ボス28と係止ボス29をそれぞれ保持ブラケット3の第1位置決め孔30cと第2位置決め孔30dに挿入させるようになっている。
【0018】
保持ブラケット3はバネ性に富む金属薄板からなり、図7〜図10に示すような所定形状に形成されている。この保持ブラケット3には、クランパ支持体2に嵌着される平面視五角形状の取付部30と、取付部30の前端側の隅部付近で垂下する折曲片を手前へ折り返してなる一対の支持部31と、取付部30の前端中央部で起立する折曲片を手前へ折り返して帯状に突出させてなる板ばね部32と、取付部30の左右両側部から側方へ突出する一対の弾性片33とが設けられている。
【0019】
保持ブラケット3について詳しく説明すると、取付部30には、その中央付近で垂下する折曲片を左右方向へ折り返してなる一対の第1爪片30aと、前端寄りの左右両側縁で垂下する折曲片を左右方向へ折り返してなる一対の第2爪片30bと、後端寄りの中央部に位置する丸孔形状の第1位置決め孔30cと、前端寄りの中央部に位置する長孔形状の第2位置決め孔30dとが形成されている。後述するように保持ブラケット3をクランパ支持体2に組み付ける際には、各第1爪片30aを切欠き部24に挿入すると共に、各第2爪片30bを対応する切欠き部25に挿入した後、保持ブラケット3をアーム部20側(クランパ1側)へスライド移動することによって、各第1爪片30aが対応する係止片26に係止され、かつ各第2爪片30bが対応する係止片27に係止されるようになっている。また、保持ブラケット3をアーム部20側へスライド移動することにより、第1位置決め孔30cに係止ボス28が挿入されると共に、第2位置決め孔30dに係止ボス29が挿入されるようになっている。
【0020】
保持ブラケット3の一対の支持部31は、板ばね部32の基端部分の左右両側に線対称に配設されている。これら支持部31上にはクランパ1の外周部の下面側が搭載可能であり、図3に示すように、一対の支持部31とアーム部20の弧状片20aとが互いに異なる位置でクランパ1の外周部を支持できるようになっている。
【0021】
保持ブラケット3の板ばね部32はクランパ1を常時下方へ弾性付勢するためのものであり、保持ブラケット3の取付部30をクランパ支持体2に嵌着させると、板ばね部32の先端部分が中央突起部10に弾接してクランパ1を下方へ弾性付勢することにより、クランパ1が支持部31や弧状片20aに押し付けられるようになっている。また、かかる板ばね部32の撓みに伴う反力で左右一対の弾性片33がクランパ支持体2の上面に弾接するため、保持ブラケット3がガタを生じないように配慮されている。この板ばね部32の先端部分の下面(クランパ1と対向する面)には一対の突条32aが形成されており、これら突条32aは板ばね部32の両側縁部に沿って直線状に延びている。板ばね部32は一対の突条32aで挟まれている領域がクランパ1の回転中心部である中央突起部10に弾接するようになっており、図8に示すように、これら両突条32aで挟まれている領域はグリースが塗布されるグリース塗布領域32bとなっている。なお、前述したように、ディスクをチャッキングしていない待機状態では、規制舌片22の先端部22aと板ばね部32の上面との間に所要のクリアランスが確保されている。
【0022】
クランパ1は円盤状の樹脂成形品であり、このクランパ1の上面側には回転中心部となる中央突起部10が突設され、下面側にはターンテーブル4の中央凸部40(図6参照)と係合可能な係合突起部11が突設されている。また、クランパ1の下面側には円環状の挟圧部12が設けられており、ターンテーブル4上に載置されたディスク5の内周部の上面にこの挟圧部12を圧接させることによってチャッキングが可能となる。クランパ1は保持ブラケット3を用いてクランパ支持体2の前端側に回転可能に取り付けられており、ディスクをチャッキングしていない待機状態では、クランパ1の外周部がアーム部20の弧状片20aと保持ブラケット3の支持部31上に搭載されている。また、前述したようにクランパ1の中央突起部10に板ばね部32の先端部分が弾接しているため、このクランパ1はターンテーブル4の存する下方へ向けて常時弾性付勢されている。すなわち、ディスクをチャッキングしていない待機状態でも、クランパ1は板ばね部32の弾性力を受けてアーム部20の弧状片20aと保持ブラケット3の支持部31に押し付けられているため、クランパ1が振動してラットルノイズを発生する虞はない。また、チャッキング時には、アーム部20と支持部31に対してクランパ1が若干上動して中央突起部10が板ばね部32を押し上げるため、板ばね部32の弾性力が増大してクランパ1とターンテーブル4との間に所要の挟圧力を生じさせることができる。
【0023】
次に、本実施形態例に係るクランパ保持機構の組立手順について説明する。保持ブラケット3を組み付ける前に、まず、クランパ支持体2のアーム部20で包囲されたクランパ収納空間にクランパ1を嵌め込む。その際、クランパ支持体2の下面が上方を向くように上下逆向きにしておけば、クランパ1をアーム部20の弧状片20aに差し込むようにして規制舌片22と規制フック23上に容易に搭載することができる。
【0024】
しかる後、図11に示すように、保持ブラケット3の各爪片30a,30bをクランパ支持体2の上方から対応する切欠き部24,25内へ挿入し、長孔形状の第2位置決め孔30dを係止ボス29に挿入する。これにより、保持ブラケット3はクランパ支持体2に対して左右方向に位置決めされるため、そのまま保持ブラケット3をアーム部20側(クランパ1側)へスライド移動する。かかるスライド移動は第2位置決め孔30dが係止ボス29のガイド溝として機能するため円滑に行え、保持ブラケット3を所定量スライドすると第1位置決め孔30cに係止ボス28がスナップイン式に嵌り込む。その結果、一対の第1爪片30aと一対の第2爪片30bがそれぞれ対応する係止片26,27に係止されると共に、第1位置決め孔30cが係止ボス28に係止され、かつ第2位置決め孔30dが係止ボス29に係止されるため、保持ブラケット3はクランパ支持体2の所定位置に嵌着された状態となる。また、このスライド移動に伴って、一対の支持部31がクランパ1の外周部と重なり合う位置まで移動すると共に、板ばね部32の先端部分がクランパ1の中央突起部10と重なり合う位置まで移動する。つまり、保持ブラケット3の取付部30をクランパ支持体2に嵌着させる組み付け作業を行うのと同時に、保持ブラケット3の支持部31と板ばね部32とでクランパ1を挟持するクランパ保持作業が行える。
【0025】
なお、保持ブラケット3をクランパ支持体2に組み付ける際には、板ばね部32の先端部分をクランパ1上で摺動させながら中央突起部10上まで移動させなければならないので、この摺動時に板ばね部32に塗布しておいたグリースがクランパ1の中央突起部10以外の場所で削り取られてしまう可能性がある。しかるに本実施形態例においては、板ばね部32の先端部分の下面にグリース塗布領域32bを挟んで一対の突条32aが形成してあり、これら突条32aが板ばね部32の突出方向に沿って直線状に延びているため、図12に示すように、保持ブラケット3を組み付ける際に板ばね部32の突条32aだけがクランパ1上を摺動することになり、両突条32aで挟まれた間に塗布されたグリースがさほど削り取られないように配慮されている。
【0026】
すなわち、図13に示すように、板ばね部32の先端部分に突条32aが形成されていない比較例の保持ブラケット3´においては、この保持ブラケット3´をクランパ支持体2に組み付ける際に、図14に示すように板ばね部32のグリース塗布領域32bがクランパ1に接触したまま摺動してしまうため、多量のグリースがクランパ1に削り取られてしまう虞がある。その場合、クランパ1の回転中心部である中央突起部10と板ばね部32との間のグリースが不足してしまうため、クランパ1が摩耗しやすくなってディスクを正常に回転駆動させることが次第に困難になってしまう。これに対して本実施形態例で用いた保持ブラケット3は、図8に示すように、板ばね部32の先端部分にグリース塗布領域32bを挟むように延びる突条32aが形成してあり、クランパ支持体2への組み付け時にこれら突条32aをクランパ1上で摺動させることができるため、グリース塗布領域32bをほとんど摺動させずに中央突起部10上まで移動させることができる。したがって、本実施形態例に係るクランパ保持機構では、板ばね部32のグリース塗布領域32bとクランパ1の中央突起部10との間に必要量のグリースを介在させることが容易であり、クランパ1の摩耗を長期に亘って効果的に抑制することができる。
【0027】
このように本実施形態例に係るディスクプレーヤのクランパ保持機構では、クランパ支持体2に保持ブラケット3の取付部30を嵌着させるだけで、クランパ1の外周部下面側をクランパ支持体2のアーム部20(弧状片20a)と保持ブラケット3の支持部31とでバランス良く支持することができ、かつ、クランパ1の上面側の回転中心部(中央突起部10)に保持ブラケット3の板ばね部32を弾接させることができる。つまり、保持ブラケット3という1つの部品を用いるだけで、クランパ支持体2にクランパ1を所望の状態で取り付けることができて、煩雑なねじ止め作業も省略できるため、クランパ保持機構の部品点数や組立工数を大幅に削減できる。その結果、クランパ保持機構の部品コストと組立コストを低減できるため、ディスクプレーヤのコストダウンが容易に実現できる。
【0028】
また、本実施形態例においては、保持ブラケット3をクランパ支持体2に組み付ける際に、取付部30に付設した爪片30a,30bをクランパ支持体2の対応する切欠き部24,25に挿入した状態で、保持ブラケット3をアーム部20側(クランパ1側)へスライド移動するだけで、各爪片30a,30bを対応する係止片26,27に係止させることができると共に、支持部31と板ばね部32をそれぞれ所望の位置まで移動させて両者31,32でクランパ1を挟持できるようになっている。つまり、保持ブラケット3をクランパ支持体2に組み付ける作業と、クランパ1を保持ブラケット3で保持する作業とが同時に行えるため、組立作業性が良好である。しかも、保持ブラケット3をスライド移動する際に第2位置決め孔30dが係止ボス29のガイド溝として機能するため、組み付け作業は円滑に行える。また、保持ブラケット3を所定量スライドすると、各爪片30a,30bが対応する係止片26,27に係止されるだけでなく、第1位置決め孔30cが係止ボス28に係止されて第2位置決め孔30dが係止ボス29に係止されるため、保持ブラケット3を高い位置精度でクランパ支持体2に組み付けることができてガタも防止できる。なお、前述したように、左右一対の弾性片33が板ばね部32の撓みに伴う反力でクランパ支持体2の上面に弾接するため、これら弾性片33も保持ブラケット3のガタ防止に寄与する。
【符号の説明】
【0029】
1 クランパ
2 クランパ支持体
3 保持ブラケット
4 ターンテーブル
5 ディスク
10 中央突起部(回転中心部)
12 挟圧部
20 アーム部
20a 弧状片
22 規制舌片
24,25 切欠き部
26,27 係止片
28,29 係止ボス
30 取付部
30a 第1爪片
30b 第2爪片
30c 第1位置決め孔
30d 第2位置決め孔
31 支持部
32 板ばね部
32a 突条
32b グリース塗布領域
33 弾性片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動源として回転するターンテーブルと、このターンテーブルに対向配置された回転可能なクランパと、このクランパの外周部下面を搭載可能なアーム部を有して前記ターンテーブルに対し近接離反可能なクランパ支持体とを備え、前記ターンテーブルと前記クランパとでディスクをチャッキングした状態で前記モータの駆動力によって前記ターンテーブルが回転駆動されるディスクプレーヤにおいて、
金属板製の保持ブラケットに、前記クランパ支持体に嵌着される取付部と、この取付部から前記アーム部側へ突出する支持部および板ばね部とを設け、前記支持部が前記アーム部と異なる位置で前記クランパの外周部下面を搭載可能な位置に配置されると共に、前記板ばね部の先端部分が前記クランパの上面中央の回転中心部に弾接するように構成したことを特徴とするディスクプレーヤ。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記クランパ支持体の複数箇所に切欠き部とを設けると共に、前記保持ブラケットの前記取付部に複数の爪片を設け、この保持ブラケットを前記クランパ支持体に嵌着させる際に、複数の前記爪片を対応する前記切欠き部に挿入した状態で前記保持ブラケットを前記アーム部側へスライド移動することによって、各爪片が対応する前記切欠き部の周縁部に係止されると共に、前記支持部と前記板ばね部が前記クランパを挟持可能な位置に配置されるように構成したことを特徴とするディスクプレーヤ。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記クランパ支持体と前記取付部とのいずれか一方に位置決め孔を設けると共に、いずれか他方に前記位置決め孔内に係止される係止ボスを設けたことを特徴とするディスクプレーヤ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項の記載において、前記板ばね部の両側縁近傍に該板ばね部の突出方向に沿って延びる突条を設けると共に、これら突条の間にグリースを塗布し、このグリース塗布領域が前記クランパの回転中心部に弾接するように構成したことを特徴とするディスクプレーヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−238314(P2011−238314A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108312(P2010−108312)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】