説明

ディスク再生装置

【課題】挿入物の有無と当該挿入物が正しく挿入されたディスクであるか否かを判定し、ディスク以外の異物が挿入された場合またはディスクが正しく挿入されていない場合にはローディングを開始しないディスク再生装置を提供する。
【解決手段】発光素子21が発光しているときに、発光素子から発光された光の遮光状態を判別する第1受光素子22と反射状態を判別する第2受光素子23の2つの受光素子の受光状態に基づいて、挿入物の有無および当該挿入物が正しく挿入されたディスクであるか否かを判定し、ディスク以外の異物が挿入された場合またはディスクが正しく挿入されていない場合にはローディングを開始しないようにしたので、ディスク再生装置の故障を未然に防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光センサを用いたディスク再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、車載用等のディスク再生装置は、筐体の前面に挿入口を設け、ディスクを挿入口から挿入すると、ディスクが筐体内部に設けられた搬送ローラによってローディングされるようになっている。このようなディスク再生装置では、挿入口から挿入されたディスクを光センサで検出し、この検出結果を受けて搬送ローラが回転し始め、ディスクがローディングされる。
【0003】
このディスクのローディング開始を光の透過/遮光で判断しているディスク再生装置において、ディスクを表裏逆に挿入してしまった場合や、ディスクの代わりにカード、チケット、紙幣などの異物を挿入した場合には、光はディスクを正しく挿入した場合と同じように遮光され、ディスク再生装置はディスクが正しく挿入されたと判断してローディング動作を開始してしまう。
そこで、ディスクを表裏逆に挿入してしまった場合の問題を解決するために、挿入されたディスクのローディング後に、ディスクの表裏を検出して、裏だった場合には排出するものが知られている。(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平5−8753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えば特許文献1のような従来のディスク再生装置においては、ディスクが正しく挿入された場合でなくてもローディングしてしまい、ローディング後にディスクの表裏を検出して、裏だった場合には強制的に排出するというものであるため、その排出判断に時間がかかるとともに、排出の際にうまく排出できないことがあり、装置の故障を引き起こす場合があるという課題があった。また、ディスク以外の異物、例えばカード、チケット、紙幣などの異物を挿入した場合であっても、異物であることを判断できずに装置の中にローディングしてしまい、これらの異物が装置の内部に取り残される等により、装置の故障を引き起こすことがあるという課題もあった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、挿入物の有無と当該挿入物が正しく挿入されたディスクであるか否かを判定し、ディスク以外の異物が挿入された場合またはディスクが正しく挿入されていない場合にはローディングを開始しないディスク再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明のディスク再生装置は、ディスク挿入路に向けて発光する発光素子と、前記発光素子から発光され前記ディスク挿入路を横切った光を受光可能な第1受光素子と、前記発光素子から発光された光が挿入物であるディスクの再生面によって反射された反射光を受光可能な第2受光素子と、前記第1受光素子の受光状態と前記第2受光素子の受光状態とに基づいて、前記挿入物の有無および当該挿入物が正しく挿入されたディスクであるか否かを判定する制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明のディスク再生装置によれば、挿入物の有無と当該挿入物が正しく挿入されたディスクであるか否かを判定し、ディスク以外の異物が挿入された場合またはディスクが正しく挿入されていない場合にはローディングを開始しないようにしたので、ディスク再生装置の故障を未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明のディスク再生装置におけるディスク検出部分のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】この発明のディスク再生装置におけるディスク検出部分の概略構成を示す上面図および側面図である。
【図3】この発明のディスク再生装置における制御部4のローディング開始までの処理を示すフローチャートである。
【図4】発光素子21が発光しているときの、第1受光素子22および第2受光素子23の受光状態と、制御部4による判定結果を示す表である。
【図5】この発明のディスク再生装置に、ディスク以外の異物を挿入した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明のディスク再生装置におけるディスク検出部分のシステム構成を示すブロック図である。図1に示されるように、このディスク再生装置1(図2参照)のディスク検出部分は、検出部2、搬送部3、制御部4により構成される。
検出部2は、発光素子21と、発光素子21から発光された光がプリズムや反射板等の導光路を透過した光を受光可能な第1受光素子22、発光素子21から発光された光がディスクの再生面で反射された反射光を受光可能な第2受光素子23、および、受光検知回路24により構成され、例えば、発光素子21はLED、第1受光素子22および第2受光素子23はフォトトランジスタである。
搬送部3は、挿入されたディスクをローディングするディスク搬送ローラ31(図2参照)で構成されている。
【0011】
制御部4は、例えばマイクロコンピュータ等で構成され、発光素子21の発光/非発光の制御、受光検知回路24からの受光信号(各受光素子の受光状態)の監視を行い、その監視結果に基づいて、ディスク再生装置1の挿入口から物体が挿入されたか否か(挿入物の有無)およびその挿入物が正しく挿入されたディスクであるか否かを判定するとともに、その判定結果に基づいて、搬送部3に対してローディングの開始を指示する機構制御を行う。なお、ここではディスク検出部分についてのみ言及しているが、ディスク再生装置1の制御部4は、この他にも、通常のディスク再生処理など、ディスク再生装置全体の制御を行うものである。
【0012】
図2は、この発明のディスク再生装置におけるディスク検出部分の概略構成を示す上面図および側面図である。
このディスク再生装置1は、ディスクが挿入されたか否かを検出するためにディスク挿入路に向けて発光する発光素子21と、発光素子21から発光されディスク挿入路を横切った光を受光可能な第1受光素子22と、発光素子21からの光を透過させて光を導くプリズム25を備え、ディスクが挿入されていない場合には、そのプリズム25から導かれた光を第1受光素子22が検出できるように配置されている。また、発光素子21の隣には、ディスクが挿入された場合に、発光素子21から発光された光が挿入物であるディスクの再生面によって反射された反射光を受光可能な第2受光素子23が配置されている。なお、発光素子21、第1受光素子22および第2受光素子23に、太陽光などの外乱光の影響ができるだけ及ばないようにするための第1遮光板26や、発光素子21から第2受光素子23に直接回り込む光を遮断するための第2遮光板27も備えることが望ましい。
【0013】
図2(a)は、ディスク再生装置1に何も挿入されていない状態を示しており、この場合には、発光素子21から発光されディスク挿入路を横切った光はほぼ垂直にプリズム25の斜面に当たって反射し、プリズム25内を透過してもう一方の斜面で反射して、再びディスク挿入路を横切って第1受光素子22に導かれる。また、この場合には、第2受光素子23では、光は検出されない。
これにより、ディスク再生装置1には何も挿入されていないと判定される。
【0014】
また、ディスク11を挿入すると、図2(b)に示すように、ディスク11によって発光素子21からの光が遮られ、プリズム25に届かず、発光素子21からの光は第1受光素子22では検出されない。一方、発光素子21からの光は、ディスク11のディスク再生面で反射し、その反射された反射光が第2受光素子23で検出される。
これにより、ディスク再生装置1にディスク11が挿入されたと判定される。
【0015】
図3は、この発明のディスク再生装置における制御部4のローディング開始までの処理を示すフローチャートであり、図4は、発光素子21が発光しているときの、第1受光素子22および第2受光素子23の受光状態と、その場合の制御部4による判定結果を示す表である。
まず初めに、制御部4は、ディスク再生装置1に挿入物があるか否かを判定する(ステップST1)。この際、発光素子21から光を発光したときに、図2(a)に示すように何も挿入物がない場合には、その発光された光がディスク挿入路を横切ってプリズム25内を透過して導光され、第1受光素子22で光が検出される(ステップST1のNOの場合)。この場合には、第2受光素子23では光が検出されないことにより、図4のケース(1)に示すように、制御部4は、ディスク再生装置1に何も物体が挿入されていない(挿入物なし)と判定する。このとき、搬送部3に対してローディングの開始を指示しないことは、言うまでもない。
【0016】
また、図2(b)に示すようにディスクを挿入した場合には、発光素子21から光を発光したときに、その発光された光は挿入物であるディスクに遮光されて第1受光素子22では光が検出されない(ステップST1のYESの場合)。
このとき、制御部4は、挿入物が正しく挿入されたディスクであるか否かを判定する(ステップST2)。この際、図2(b)に示すようにディスクが正しく挿入された場合には、発光装置21から発光された光がディスクの再生面によって反射した反射光が第2受光素子23で検出される(ステップST2のYESの場合)。この場合には、図4のケース(2)に示すように、制御部4は、ディスク11が正しく挿入された(ディスクあり)と判定し、搬送部3に対してディスクのローディングの開始を指示する(ステップST3)。
その結果、ディスク搬送ローラ31が始動してディスク11がディスク再生装置1の内部へローディングされる。そして、ディスク11のローディングが完了すると、図2(c)に示す状態になり、ディスクの読み取り、再生が行われる。
【0017】
一方、ディスク以外の異物が挿入された場合や、ディスクが表裏正しく挿入されていない場合について、図5を参照しながら説明する。図5は、この発明のディスク再生装置1に、ディスク以外の異物(カード12)を誤って挿入した状態を示す図である。
基本的に、ディスク以外の異物、例えばカード、チケット、紙幣などのプラスチックや紙等の異物は、そのほとんどが光を遮光はするが、反射はしない。そのため、図5に示すように、ディスク以外のカード12が挿入された場合、発光素子21から発光された光は、カード12によって遮られ、プリズム25に届かず、第1受光素子22では光は検出されない(ステップST1のYESの場合)。一方、発光素子21から発光された光は、カード12によって反射されず、第2受光素子23でも光は検出されない(ステップST2のNOの場合)。すなわち、発光素子21から光を発光したときに、第1受光素子22でも第2受光素子23でも光が検出されないことにより、図4のケース(3)に示すように、制御部4は、ディスク再生装置1にディスク以外の異物が挿入された、または、ディスクが正しく挿入されていない(異物あり)と判定し、搬送部3に対してローディングの開始を指示しない。これにより、ディスク再生装置1に異物や表裏が正しく挿入されていないディスクがローディングされることがないので、ディスク再生装置1からそれら異物や正しく挿入されていないディスクを排出するという排出判断に時間がかかることもなく、また、ディスク再生装置1の内部に異物が入り込んでしまって装置の故障を引き起こす、という不具合の発生を未然に防止することができる。
【0018】
また、図4のケース(4)は、通常では起こりえない状態を示している。すなわち、発光素子21から発光された光が第1受光素子22でも第2受光素子23でも検出されているため、第1受光素子22の検出結果からは、何も挿入されていない、と判断され、第2受光素子23の検出結果からは、ディスクが挿入されている、と判断され、結局のところ、どのような状態になっているかを判定できない異常状態である。この原因としては、例えば、第1受光素子22か第2受光素子23が故障していることや、外乱光の影響が強すぎるため常に第1受光素子22でも第2受光素子23でも光を検出してしまう状態になっていること等が考えられる。この場合には、図4のケース(4)に示すように、制御部4は、判定不能と判断し、搬送部3に対してローディングの開始を指示しない。
【0019】
このように、この発明のディスク再生装置1は、発光素子21が発光しているときに、発光素子から発光された光の遮光状態を判別する第1受光素子22と反射状態を判別する第2受光素子23の2つの受光素子の受光状態に基づいて、挿入物の有無および当該挿入物が正しく挿入されたディスクであるか否かを判定し、挿入物が正しく挿入されたディスクであると判定された場合には、搬送部3に対してローディングの開始を指示し、挿入物が正しく挿入されたディスクではないと判定された場合には、搬送部3に対してローディングの開始を指示しない。
【0020】
以上のように、この発明のディスク再生装置によれば、挿入物の有無と当該挿入物がディスクであるか否かを判定し、ディスク以外の異物が挿入された場合またはディスクが正しく挿入されていない場合にはローディングを開始しないようにしたので、ディスク再生装置の故障を未然に防ぐことができる。
【0021】
なお、このディスク再生装置1ではプリズム25を備えるものとしたが、発光素子21から発光された光がディスク挿入路を横切って第1受光素子22に導かれるものであれば、反射板を組み合わせたものや、光ファイバー等、プリズム25以外の構成であっても構わない。
また、第1受光素子22をディスク挿入路を挟んで発光素子21の対面(図2の側面図において、発光素子21の上部)に配置するようにすれば、プリズム25等の導光部材を設ける必要はなく、そのような構成であっても構わない。ただし、この発明のように、第1受光素子22と第2受光素子23を図2に示す位置に配置することにより、ディスク挿入時(図2(b)の状態)にもディスクのローディング後(図2(c)の状態)にも、ディスク11を検出することができるため、正しいサイズのディスクかどうかについても検知することができるというメリットがある。
【0022】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 ディスク再生装置、2 検出部、21 発光素子、22 第1受光素子、23 第2受光素子、24 受光検知回路、25 プリズム、26 第1遮光板、27 第2遮光板、3 搬送部、31 ディスク搬送ローラ、4 制御部、11 ディスク、12 カード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク挿入路に向けて発光する発光素子と、
前記発光素子から発光され前記ディスク挿入路を横切った光を受光可能な第1受光素子と、
前記発光素子から発光された光が挿入物であるディスクの再生面によって反射された反射光を受光可能な第2受光素子と、
前記第1受光素子の受光状態と前記第2受光素子の受光状態とに基づいて、前記挿入物の有無および当該挿入物が正しく挿入されたディスクであるか否かを判定する制御部と
を備えることを特徴とするディスク再生装置。
【請求項2】
前記挿入物を装置内部へローディングする搬送部を備え、
前記制御部は、前記挿入物が正しく挿入されたディスクであるという判定に基づいて、前記搬送部に対してローディングの開始を指示する
ことを特徴とする請求項1記載のディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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