説明

ディスク装着制御装置、その方法、および、ディスク装置

【課題】コストアップを招くことなく、質量が異なる光ディスクを迅速にかつ適切にターンテーブルに装着させることができるディスク装置の提供。
【解決手段】ディスク装置は、第1のチャッキング制御処理の後にスピンアップ制御処理をする。FG信号を規定回数検知できないまま規定時間が経過した場合、大径ディスクがスピンアップされていると認識し、規定時間経過した時点でブレーキ制御処理を実施して、大径ディスクの位相をスピンアップ開始前の位相に対してずらす。また、規定時間経過するまでにFG信号を規定回数検知できた場合、小径ディスクがスピンアップされていると認識し、FG信号を規定回数検知した時点でブレーキ制御処理を実施して、小径ディスクの位相をスピンアップ開始前の位相に対してずらす。この後、第2のチャッキング制御処理を実施する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量が異なるディスク状記録媒体をターンテーブルに装着させるディスク装着制御装置、その方法、および、ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスク状の記録媒体をターンテーブルに装着させる際に、その成功率を上げる構成が知られている(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)。
【0003】
特許文献1に記載のものは、天板部の開口部周囲にチャッキングプレートを設けている。このチャッキングプレートには、ターンテーブルのディスク装着位置と対向する面に、ベースの回動支点側から先端側にかけて厚さが減少していく傾斜面が形成されている。
そして、ターンテーブルの係合突部が光ディスクの中心孔に挿通する深さが、ベースの回動支点側と先端側とで等しくなり、係合突部の複数の係止爪がいずれもディスク上面に突出して光ディスクの中心孔の周囲を係止し、確実に光ディスクをターンテーブル上にチャッキングする構成が採られている。
【0004】
特許文献2に記載のものは、ローディングモータに正電圧の供給が開始されると、ローディングスライダーが後退を始める。さらに、従動ピンがカム溝に案内されてフレーム部材が水平状態を保ったまま上昇し、従動ピンが傾斜部の頂部に達すると、クランプヘッドによる第1回のクランプ動作が完了し、従動ピンが降下して高位部の最終位置に達する。
この後、電圧を供給しない微少期間を経過すると、負電圧の供給が開始され、ローディングスライダーが前進し、第2回のクランプ動作を行う構成が採られている。
【0005】
特許文献3に記載のものは、ベースがチャッキング位置まで上昇すると、天井部の当接突部に光ディスクの中心孔の周囲が押し付けられることにより、係合突部が光ディスクの中心孔に係合される。さらに、複数の係止爪が光ディスクの中心孔の周囲を係止した状態で、光ディスクがターンテーブル上に保持され、第1のチャッキング動作が行われる。
この後、スピンドルモータが光ディスクを回転駆動し、この光ディスクの位相をずらす。そして、ベースが再びチャッキング位置まで上昇し、光ディスクの位相をずらした状態で、ディスク装着部に装着する2回目のチャッキング動作を行う構成が採られている。
【0006】
一方で、記録媒体の径寸法を判別する構成が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
特許文献4に記載のものは、静止状態にあるスピンドルモータを、一定期間一定のゲインで強制加速駆動させる。その強制加速期間後のモータの回転速度を、FGパルス信号を計数することにより検出する。そして、この回転速度より、ディスクの有無、ディスクの種類(ディスク径が8cmのものと、12cmのもの)を判別する構成が採られている。
【0008】
【特許文献1】特開2006−65956号公報
【特許文献2】特開2007−115377号公報
【特許文献3】特開2005−85449号公報
【特許文献4】特開平8−221889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1のような構成では、チャッキングの成功率を上げるための特別な構成として、チャッキングプレートを設けているので、これを作製するための金型などを新たに準備する必要があり、コストアップにつながるおそれがあるという問題が一例として挙げられる。
さらに、特許文献2のような構成では、光ディスクの位相が同じ状態でクランプ動作を2回するため、確実にチャッキングできないおそれがあるという問題が一例として挙げられる。
また、特許文献3には、光ディスクの位相をずらす構成が開示されているが、この位相をずらす動作として、適当な時間で回転を停止させることが考えられる。しかしながら、このように適当な時間で回転を停止させる構成では、径寸法が異なる光ディスクについて同じ動作をさせると、光ディスクの質量の違いにより回転量が異なってしまうおそれがある。このため、一方の光ディスクの位相がずれずに、チャッキングを適切にできないおそれがあるという問題が一例として挙げられる。
さらに、このような位相がずれないという問題を解決するために、特許文献4のような構成を適用して、光ディスクの径寸法を判別してから、この径寸法に応じた時間で回転を停止させることが考えられる。しかしながら、径寸法を判別する、すなわち質量を判別する処理と、位相をずらす処理とを別々に実施するため、光ディスクを迅速にチャッキングできないおそれがあるという問題が一例として挙げられる。
【0010】
本発明は、このような問題点などに鑑みて、コストアップを招くことなく、質量が異なるディスク状記録媒体を迅速にかつ適切にターンテーブルに装着させることが可能なディスク装着制御装置、その方法、および、ディスク装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、略中央に軸孔を有するディスク状記録媒体を収納可能な略箱状のケース体と、前記ディスク状記録媒体の一面側の退避位置および他面側のチャッキング位置の間を往復可能に設けられ、前記ディスク状記録媒体が着脱自在に装着されるターンテーブルと、このターンテーブルが前記チャッキング位置に位置した際に、前記ディスク状記録媒体の他面が押し付けられて前記ターンテーブルに前記ディスク状記録媒体を装着させる押付部と、を備えたディスク装置に設けられ、所定の質量の第1の前記ディスク状記録媒体またはこの第1のディスク状記録媒体よりも質量が大きい第2の前記ディスク状記録媒体を前記ターンテーブルに装着させるディスク装着制御装置であって、前記ターンテーブルを前記退避位置から前記チャッキング位置へ移動させ、前記ディスク状記録媒体の他面を前記押付部に押し付けて前記ターンテーブルに前記ディスク状記録媒体を装着させる第1のチャッキング制御手段と、前記ターンテーブルを前記退避位置側の待機位置へ移動させた後に前記ターンテーブルを回転させる回転開始制御手段と、前記ターンテーブルが所定角度回転するごとに回転信号を出力する回転信号出力手段と、前記ターンテーブルの回転開始から規定時間内に前記回転信号を規定回数検知できた場合、前記第1のディスク状記録媒体が回転していると認識し、前記規定時間内に前記回転信号を前記規定回数検出できない場合、前記第2のディスク状記録媒体が回転していると認識するディスク認識手段と、このディスク認識手段で前記第1のディスク状記録媒体が回転していると認識した場合、前記規定回数の回転信号の検出終了時に前記ターンテーブルの回転を停止させる制御をして、前記第1のディスク状記録媒体の位相を回転開始前の位相に対してずらし、前記第2のディスク状記録媒体が回転していると認識した場合、前記規定時間の経過時に前記ターンテーブルの回転を停止させる制御をして、前記第2のディスク状記録媒体の位相を回転開始前の位相に対してずらす位相制御手段と、前記ターンテーブルを前記チャッキング位置へ移動させ、前記ディスク状記録媒体の他面を前記押付部に押し付けて前記ターンテーブルに前記ディスク状記録媒体を装着させる第2のチャッキング制御手段と、を具備したことを特徴とするディスク装着制御装置である。
【0012】
請求項5に記載の発明は、略中央に軸孔を有するディスク状記録媒体を収納可能な略箱状のケース体と、前記ディスク状記録媒体の一面側の退避位置および他面側のチャッキング位置の間を往復可能に設けられ、前記ディスク状記録媒体が着脱自在に装着されるターンテーブルと、このターンテーブルが前記チャッキング位置に位置した際に、前記ディスク状記録媒体の他面が押し付けられて前記ターンテーブルに前記ディスク状記録媒体を装着させる押付部と、所定の質量の第1の前記ディスク状記録媒体またはこの第1のディスク状記録媒体よりも質量が大きい第2の前記ディスク状記録媒体を前記ターンテーブルに装着させる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のディスク装着制御装置と、を具備したことを特徴とするディスク装置である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、略中央に軸孔を有するディスク状記録媒体を収納可能な略箱状のケース体と、前記ディスク状記録媒体の一面側の退避位置および他面側のチャッキング位置の間を往復可能に設けられ、前記ディスク状記録媒体が着脱自在に装着されるターンテーブルと、このターンテーブルが前記チャッキング位置に位置した際に、前記ディスク状記録媒体の他面が押し付けられて前記ターンテーブルに前記ディスク状記録媒体を装着させる押付部と、を備えたディスク装置において、演算手段により、所定の質量の第1の前記ディスク状記録媒体またはこの第1のディスク状記録媒体よりも質量が大きい第2の前記ディスク状記録媒体を前記ターンテーブルに装着させるディスク装着制御方法であって、前記演算手段は、前記ターンテーブルを前記退避位置側の待機位置へ移動させた後に前記ターンテーブルを回転させる回転開始制御工程と、前記ターンテーブルが所定角度回転するごとに回転信号を出力する回転信号出力工程と、前記ターンテーブルの回転開始から規定時間内に前記回転信号を規定回数検知できた場合、前記第1のディスク状記録媒体が回転していると認識し、前記規定時間内に前記回転信号を前記規定回数検出できない場合、前記第2のディスク状記録媒体が回転していると認識するディスク認識工程と、このディスク認識工程で前記第1のディスク状記録媒体が回転していると認識した場合、前記規定回数の回転信号の検出終了時に前記ターンテーブルの回転を停止させる制御をして、前記第1のディスク状記録媒体の位相を回転開始前の位相に対してずらし、前記第2のディスク状記録媒体が回転していると認識した場合、前記規定時間の経過時に前記ターンテーブルの回転を停止させる制御をして、前記第2のディスク状記録媒体の位相を回転開始前の位相に対してずらす位相制御工程と、前記ターンテーブルを前記チャッキング位置へ移動させ、前記ディスク状記録媒体の他面を前記押付部に押し付けて前記ターンテーブルに前記ディスク状記録媒体を装着させる第2のチャッキング制御工程と、を実施することを特徴とするディスク装着制御方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る一実施形態のディスク装置について説明する。
【0015】
〔ディスク装置の構成〕
まず、ディスク装置の構成を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るディスク装置の初期状態における内部構成を示す平面図である。図2は、退避状態のディスク処理部の一部を切り欠いた側面図である。図3は、回転用電動モータの特性を示すグラフである。図4は、第2の移動カムを正面側から見た図である。図5は、第1の移動カムを左面側から見た図である。図6は、制御回路部の概略構成を示す模式図である。図7は、第1のチャッキング制御処理時のディスク処理部の一部を切り欠いた側面図である。図8は、スピンアップ制御処理開始前のディスク処理部の一部を切り欠いた側面図である。図9は、スピンアップ制御処理終了後のディスク処理部の一部を切り欠いた側面図である。図10は、第2のチャッキング制御処理時のディスク処理部の一部を切り欠いた側面図である。図11は、第2のチャッキング制御処理終了後のディスク処理部の一部を切り欠いた側面図である。
【0016】
図1において、100は、本発明の一実施形態に係るディスク装置である。このディスク装置100は、例えばノート型のパーソナルコンピュータなどの携帯型の電気機器や、車両などに搭載される電気機器などに装着される、いわゆるスロットインタイプと称されるものである。
このディスク装置100は、ディスク状記録媒体としての光ディスク10の記録面11(図2参照)に記録された情報を読み込む読込処理、および記録面11へ各種情報を記録する記録処理のうち少なくとも一方の情報処理を実施する。
また、このディスク装置100は、光ディスク10として、直径8cmの第1のディスク状記録媒体としての小径ディスク10Aと、直径12cmの第2のディスク状記録媒体としての大径ディスク10Bと、を収納することができる。
ここで、このディスク状記録媒体としては、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)あるいはBD(Blu-ray Disc:ブルーレイディスク)またはHD−DVD(High Definition DVD)などの光ディスク10、光磁気ディスク、磁気ディスク、あるいは、これらを貼り合わせた複合ディスクなどの各種構成を例示することができる。
【0017】
そして、ディスク装置100は、例えば金属製で内部空間を有する略箱形状のケース体110を有している。
このケース体110は、図1および図2に示すように、正面および上面が開口する下ケース111と、この下ケース111の上面を略閉塞する上ケース112と、を備えている。
なお、以下において、図1における上方向、下方向、右方向、左方向、紙面の手前方向、紙面の奥方向を、それぞれ背面方向、正面方向、右面方向、左面方向、上面方向、下面方向と適宜称して説明する。
【0018】
上ケース112には、図2に示すように、後述するターンテーブル222の上方に、下面側に向けた凹状の押付部112Aが設けられている。この押付部112Aの略中央には、ターンテーブル222のテーブル回転軸部222Aよりも大きい径寸法を有する押付孔部112Bが開口形成されている。
【0019】
また、ケース体110内には、図1に示すように、いわゆるトラバースメカと称されるディスク処理部200と、ディスク処理部200を移動、例えば回動させる駆動部400と、光ディスク10を搬送する搬送手段500と、制御回路部600と、が配設されている。
【0020】
ディスク処理部200は、フレームとしての台座部210を有している。
この台座部210は、例えば金属板にて平面視で扁平八角形状に形成された長手枠状の台座基部211を備えている。
台座基部211の長手方向の一端側には、扁平八角形状の外側に向けて平面視で略コ字状の板状に突出する第1の台座取付部212が設けられている。また、台座基部211の長手方向の略中央かつ短手方向の一端側には、扁平八角形状の外側に向けて平面視で略コ字状の板状に突出する第2の台座取付部213が設けられている。
また、台座基部211の長手方向の他端側には、背面側および右面側に向けてそれぞれ略棒状に突出する、第1の台座係合部214と、第2の台座係合部215と、が設けられている。
【0021】
そして、台座部210は、図1および図2に示すように、第1,第2の台座取付部212,213がそれぞれ弾性部材217を介してねじ部材218により下ケース111に取り付けられるとともに、第1,第2の台座係合部214,215が後述する第1,第2の移動カム420,430に係合する状態で下ケース111内に配設される。
つまり、台座部210は、第1,第2の台座取付部212,213を含む仮想回動軸C1を中心に回動可能に、ケース体110に軸支されている。
【0022】
また、この台座部210の台座基部211には、第1,第2の台座係合部214,215近傍に位置して、ディスク回転駆動手段220が配設されている。
このディスク回転駆動手段220は、スピンドルモータなどの回転用電動モータ221と、この回転用電動モータ221の図示しない出力軸に一体的に設けられたターンテーブル222と、を備えている。
【0023】
回転用電動モータ221は、基板上の回路から供給される電力により駆動する。また、回転用電動モータ221には、図2に示すように、所定角度回転するごとに回転信号としてFG信号を出力する回転信号出力手段221Aが設けられている。この回転信号出力手段221Aは、45°回転するごとに1個のFG信号を制御回路部600へ出力する。なお、回転信号出力手段221Aとしては、45°以外の角度、例えば60°、90°、180°回転するごとに、1個のFG信号を出力する構成としてもよい。
【0024】
そして、回転用電動モータ221は、ターンテーブル222に小径ディスク10Aまたは大径ディスク10Bが装着されている状態において、回転(スピンアップ)を開始してからの経過時間と、出力されるFG信号と、の関係が図3のグラフで示されるような特性を有している。すなわち、経過時間が330msの時点において、小径ディスク10Aをスピンアップさせたときに約15個のFG信号が出力され、大径ディスク10Bをスピンアップさせたときに2個以下のFG信号が出力される特性を有している。これは、大径ディスク10Bの質量が小径ディスク10Aよりも大きいため、大径ディスク10Bの方が回転速度が遅くなるためである。
【0025】
ターンテーブル222は、いわゆるセルフチャック機能を備え、光ディスクを着脱自在に装着する。
具体的には、ターンテーブル222は、図1および図2に示すように、略円柱状に形成されたテーブル回転軸部222Aと、このテーブル回転軸部222Aの外周面にフランジ状に突設された鍔部222Bと、テーブル回転軸部222Aの周面から突出可能に配設されたテーブル係合部222Cと、を備えている。
テーブル回転軸部222Aは、光ディスク10の軸孔12に嵌挿されて、光ディスク10を着脱可能に軸支する。
鍔部222Bには、光ディスク10の軸孔12の周縁が載置される。
テーブル係合部222Cは、図示しないばねなどの付勢部材による付勢力により、テーブル回転軸部222Aの周面から突出する。そして、光ディスク10の軸孔12の周縁に係合し、鍔部222Bとにより光ディスク10を挾持、すなわちチャッキングする。
【0026】
さらに、台座部210には、図1に示すように、情報処理部230が配設されている。
この情報処理部230は、台座部210の長手方向に移動可能に設けられた移動保持部231を備えている。
この移動保持部231には、図示しない光源と、この光源からの光を収束するレンズ232と、光ディスク10で反射された反射光を検出する図示しない光センサとを備えた図示しない光ピックアップが配設されている。
【0027】
駆動部400は、例えば制御回路部600に動作制御される図示しない電動モータと、この電動モータの回転駆動を伝達する図示しない駆動伝達部と、この駆動伝達部により伝達される駆動により移動する第1の移動カム420と、この第1の移動カム420に移動に伴い移動する第2の移動カム430と、を備えている。
【0028】
第2の移動カム430は、長手状に形成されている。この第2の移動カム430は、台座基部211の第2の台座係合部215に対向する位置に配置され、ガイド部材440により下ケース111の左右方向に移動可能に設けられている。
【0029】
この第2の移動カム430の正面には、図4に示すように、第2の押付昇降溝431が形成されている。この第2の押付昇降溝431には、第2の台座係合部215が係合されている。そして、第2の移動カム430が左右方向に移動すると、第2の台座係合部215が第2の押付昇降溝431により上下方向に案内され、台座部210が仮想回動軸C1を中心に回動する。
この第2の押付昇降溝431は、左面側から右面側にかけて並設された、第2の昇降退避部431Aと、第2の昇降待機部431Bと、第2の昇降押付部431Cと、第2の昇降演奏可能部431Dとを備えており、これらが連続して形成されている。
【0030】
第2の昇降退避部431Aは、下ケース111の底面に最も近接した退避位置に設けられている。この第2の昇降退避部431Aに第2の台座係合部215が案内されると、図2に示すように、ターンテーブル222が搬送経路に位置する光ディスク10から最も離れる位置に位置決めされる退避状態となる。
【0031】
第2の昇降待機部431Bは、情報処理部230により光ディスク10の情報処理が可能な演奏位置よりも若干上面側の待機位置に設けられている。具体的には、退避位置、および、後述するチャッキング位置を結ぶ直線状の経路の途中に設けられている。この第2の昇降待機部431Bに第2の台座係合部215が案内されると、搬送経路に位置する光ディスク10の軸孔12周縁がターンテーブル222のテーブル係合部222Cに載置されるチャッキング待機状態となる。
【0032】
第2の昇降押付部431Cは、待機位置よりも上面側に位置し、上ケース112に最も近接したチャッキング位置に設けられている。この第2の昇降押付部431Cに第2の台座係合部215が案内されると、光ディスク10の軸孔12周縁が上ケース112の押付部112Aに押し付けられるチャッキング状態となる(例えば、図7参照)。
【0033】
第2の昇降演奏可能部431Dは、演奏位置に設けられている。この第2の昇降演奏可能部431Dに第2の台座係合部215が案内されると、情報処理部230にて光ディスク10の情報が処理可能な演奏可能状態となる(例えば、図8参照)。
【0034】
また、第2の移動カム430の上面における右面側には、図1に示すように、上面側に向けてピン状に突出するカムピン432が設けられている。
【0035】
駆動部400を構成する電動モータは、下ケース111の正面側かつ右面側に設けられている。
駆動伝達部は、例えば複数の図示しないピニオンギアなどを備え、電動モータおよび第1の移動カム420の間に設けられている。
【0036】
第1の移動カム420は、長手状に形成されている。この第1の移動カム420は、台座部210の第1の台座係合部214に対向する位置に配置され、下ケース111の前後方向に移動可能に設けられている。
【0037】
また、第1の移動カム420の左面における正面側には、ラック421が形成されている。このラック421は、駆動伝達部を構成するピニオンギアに係合可能に設けられている。
【0038】
さらに、第1の移動カム420におけるラック421の背面側には、第1の押付昇降溝422が形成されている。この第1の押付昇降溝422には、第1の台座係合部214が係合されている。
また、第1の移動カム420の下面における第1の押付昇降溝422の背面側には、屈曲箇所を有するカム左右移動溝423が形成されている。このカム左右移動溝423には、第2の移動カム430のカムピン432が係合されている。
そして、第1の移動カム420が進退すると、第1の台座係合部214が第1の押付昇降溝422により上下方向に案内される。また、第1の移動カム420の進退に伴い、カムピン432がカム左右移動溝423により左右方向に案内される。さらに、この案内に伴い、第2の移動カム430が左右方向に移動して、第2の台座係合部215が上下方向に案内される。そして、第1,第2の台座係合部214,215の上下方向への案内により、台座部210が仮想回動軸C1を中心に回動し、退避状態、チャッキング待機状態、チャッキング状態、演奏可能状態に移行する。
【0039】
具体的には、第1の押付昇降溝422は、図5に示すように、正面側から背面側にかけて並設された、第1の昇降退避部422Aと、第1の昇降待機部422Bと、第1の昇降押付部422Cと、第1の昇降演奏可能部422Dとを備えており、これらが連続して形成されている。
そして、第1の昇降退避部422A、第1の昇降待機部422B、第1の昇降押付部422C、および、第1の昇降演奏可能部422Dは、それぞれ退避位置、待機位置、チャッキング位置、および、演奏位置に設けられている。
【0040】
搬送手段500は、図1に示すように、ケース体110内に設けられた、正面側かつ右面側の位置を中心に回動可能なローディングアーム510と、正面側かつ左面側の位置を中心に回動可能なサブローディングアーム520と、左面側かつ前後方向略中央の位置を中心に回動可能なガイドアーム530と、背面側かつ左右方向略中央の位置を中心に回動可能な第1のイジェクトアーム540と、第1のイジェクトアーム540の回動中心に対して左面側の位置を中心に回動可能な第2のイジェクトアーム550と、を備えている。
そして、これらローディングアーム510、サブローディングアーム520、ガイドアーム530、第1のイジェクトアーム540、第2のイジェクトアーム550は、制御回路部600の制御により回動し、光ディスク10の周縁に当接して、光ディスク10をケース体110に対して搬送入する。
【0041】
制御回路部600は、各種電気部品が搭載された回路基板に回路構成として構成され、ディスク装置100全体の動作を制御する。
この制御回路部600は、スピンアップ開始から規定時間内にFG信号を規定回数検知できたか否かに基づいて、異なる制御によりターンテーブル222に光ディスク10を装着する。
そして、制御回路部600は、各種プログラムとして、図6に示すように、第1のチャッキング制御手段610と、回転制御手段としても機能するディスク認識手段620と、位相制御手段630と、第2のチャッキング制御手段640と、記録再生処理手段650と、などを備えている。
なお、この制御回路部600および回転信号出力手段221Aは、本発明のディスク装着制御装置および演算手段を構成している。
【0042】
第1のチャッキング制御手段610は、搬送手段500により光ディスク10をケース体110内に搬送すると、第1のチャッキング制御処理を実施する。
具体的には、第1のチャッキング制御手段610は、第1の移動カム420を正面側へ、第2の移動カム430を左面側へ移動させて、台座部210を図2に示すような退避状態から、チャッキング待機状態を経て、図7に示すようなチャッキング状態へ移行させる。
ここで、チャッキング状態では、台座部210の回動先端側(第2の台座係合部215側)が回動基端側(第2の台座取付部213側)よりも上ケース112に近づいている。
このため、チャッキング待機状態からチャッキング状態に移行する際に、回動先端側の軸孔12周縁が押付部112Aにより鍔部222Bに当接するまで押し付けられ、この回動先端側に位置するテーブル係合部222Cは、付勢力に抗してテーブル回転軸部222A内に押し込められる。そして、回動先端側の軸孔12周縁が鍔部222Bに当接すると、テーブル係合部222Cは、付勢力によりテーブル回転軸部222Aから突出し、軸孔12周縁に係合される。
また、回動基端側の軸孔12周縁が押付部112Aにより鍔部222Bに当接するまで押し付けられないので、回動先端側以外に位置するテーブル係合部222Cは、テーブル回転軸部222Aの位相によっては、軸孔12周縁に係合されない場合がある。また、例えばDVDの貼り合わせ部にテーブル係合部222Cが入り込んでしまい、軸孔12周縁に係合されない場合がある。
なお、この図7では、回動先端側以外に位置するテーブル係合部222Cが軸孔12周縁に係合されていない状態を表している。
【0043】
ディスク認識手段620は、小径ディスク10Aまたは大径ディスク10Bがターンテーブル222にチャッキングされている旨を認識する。
具体的には、ディスク認識手段620は、第1,第2の移動カム420,430をそれぞれ正面側、左面側へ移動させて、図8に示すような演奏可能状態へ移行させる。さらに、ターンテーブル222を回転させるスピンアップ制御処理を実施する。
そして、ディスク認識手段620は、FG信号を規定回数検知できないまま、スピンアップ開始から規定時間が経過した場合、具体的には、FG信号を3回検知できないまま、スピンアップ開始から330msが経過した場合、質量が大きい大径ディスク10Bがスピンアップされていると認識する。また、スピンアップ開始から330ms経過するまでにFG信号を3回検知できた場合、質量が小さい小径ディスク10Aがスピンアップされていると認識する。
【0044】
位相制御手段630は、ディスク認識手段620で認識された光ディスク10の径寸法、すなわち質量に基づいて、光ディスク10の位相を制御する。
具体的には、位相制御手段630は、大径ディスク10Bがスピンアップされている場合、330msが経過した時点で、ターンテーブル222の回転を停止させるブレーキ制御処理を実施する。
ここで、大径ディスク10Bがスピンアップされている場合、図3に示すように、330ms経過時点でのFG信号の検知回数は、90°以下の回転に対応する2回以下である。また、ブレーキ制御処理を実施しても、慣性の影響などにより、ターンテーブル222は直ちに停止しない。このため、330ms経過時点で、ブレーキ制御処理を開始しても、ターンテーブル222は、大径ディスク10Bが約1回転半した時点で停止する。
【0045】
また、位相制御手段630は、小径ディスク10Aがスピンアップされている場合、FG信号を3回検知した時点でブレーキ制御処理を実施する。
ここで、上述したように、ブレーキ制御処理を実施しても、ターンテーブル222は直ちに停止しない。また、小径ディスク10Aの慣性の影響は、この小径ディスク10Aよりも質量が大きい大径ディスク10Bよりも小さくなる。さらに、スピンアップ開始時のターンテーブル222の位相によっては、1個目のFG信号の精度が低くなるおそれがある。このため、135°の回転に対応する3回のFG信号を検知した時点で、ブレーキ制御処理を開始しても、ターンテーブル222は、小径ディスク10Aが約1回転半した時点で停止する。
【0046】
つまり、位相制御手段630は、FG信号を3回検知できないまま330ms経過した時点でブレーキ制御処理を実施することにより、大径ディスク10Bを約540°回転させ、図9に示すように、大径ディスク10Bの位相をスピンアップ開始前(図8の状態)の位相に対して、設定位相である約180°ずらす。また、330ms経過する前にFG信号を3回検知した時点でブレーキ制御処理を実施することにより、小径ディスク10Aを約540°回転させ、小径ディスク10Aの位相をスピンアップ開始前の位相に対して、約180°ずらす。
そして、大径ディスク10Bあるいは小径ディスク10Aの位相が約180°ずらされると、これらにおけるテーブル係合部222Cが係合されている部分は、台座部210の回動基端側に位置し、係合されていない部分は、回動先端側に位置する。
【0047】
第2のチャッキング制御手段640は、位相がずらされた光ディスク10に対して第2のチャッキング制御処理を実施する。
具体的には、第2のチャッキング制御手段640は、第1の移動カム420を背面側へ、第2の移動カム430を右面側へ移動させて、台座部210を図9に示すような演奏可能状態から図10に示すようなチャッキング状態へ移行させる。
この移行時において、テーブル係合部222Cが係合されていない回動先端側の軸孔12周縁が鍔部222Bに当接するまで押し付けられ、このテーブル係合部222Cは、軸孔12周縁に係合される。
そして、この第2のチャッキング制御処理により、小径ディスク10Aあるいは大径ディスク10Bは、その軸孔12周縁に全てのテーブル係合部222Cが係合し、適切にチャッキングされる。
【0048】
記録再生処理手段650は、第1,第2の移動カム420,430を背面側,右面側へ移動させて、台座部210をチャッキング状態からチャッキング待機状態へ移行させた後、第1,第2の移動カム420,430を前面側,左面側へ移動させて、再度チャッキング状態を経て、図11に示すような演奏可能状態へ移行させる。
そして、記録再生処理手段650は、情報処理部230で読込処理や記録処理を適宜実施させる。
【0049】
〔ディスク装置の動作〕
次に、ディスク装置100の動作として、光ディスク10のチャッキング処理について図面を参照して説明する。
図12は、チャッキング処理を示すフローチャートである。
【0050】
ディスク装置100の制御回路部600は、図12に示すように、利用者によりケース体110内に小径ディスク10Aまたは大径ディスク10Bが挿入されると(ステップS101)、搬送手段500で搬送して、第1のチャッキング制御処理を実施する(ステップS102:第1のチャッキング制御工程)。この後、スピンアップ制御処理を実施する(ステップS103:回転開始制御工程)。このスピンアップに伴い、回転信号出力手段221Aは、FG信号を出力する(回転信号出力工程)。
そして、制御回路部600は、FG信号の検知を開始して(ステップS104)、スピンアップを開始してから規定時間が経過したか否か、すなわち330msが経過したか否かを判断する(ステップS105:ディスク認識工程)。
【0051】
このステップS105において、規定時間が経過していないと判断した場合、FG信号を規定回数、すなわち3回検知したか否かを判断する(ステップS106:ディスク認識工程)。そして、ステップS106において、規定回数検知してないと判断した場合、ステップS105の処理を実施する。一方、ステップS106において、規定回数検知したと判断した場合、小径ディスク10Aがスピンアップされていると認識して、ブレーキ制御処理を実施する(ステップS107:位相制御工程)。
このように、FG信号を規定時間内に規定回数検知したときにブレーキ制御処理を実施することにより、制御回路部600は、小径ディスク10Aを約540°回転させて、その位相を約180°ずらす。
【0052】
また、ステップS105において、規定時間が経過したと判断した場合、大径ディスク10Bがスピンアップされていると認識して、ステップS107のブレーキ制御処理を実施する。
このように、FG信号を規定回数検知できないまま、規定時間が経過したときにブレーキ制御処理を実施することにより、制御回路部600は、大径ディスク10Bを約540°回転させて、その位相を約180°ずらす。
【0053】
そして、制御回路部600は、ステップS107において小径ディスク10Aまたは大径ディスク10Bの位相を約180°ずらすと、第2のチャッキング制御処理を実施して(ステップS108:第2のチャッキング制御工程)、小径ディスク10Aまたは大径ディスク10Bを適切にチャッキングさせる。
【0054】
〔ディスク装置の作用効果〕
上述したように、上記実施形態では、ディスク装置100の制御回路部600は、ケース体110内に光ディスク10を搬送すると、台座部210をチャッキング状態へ移行させ、光ディスク10の軸孔12周縁を押付部112Aに押し付けて、ターンテーブル222に光ディスク10を装着させる。さらに、台座部210を演奏可能状態へ移行させた後に、ターンテーブル222をスピンアップさせる。この後、FG信号を規定回数検知できないまま、スピンアップ開始から規定時間が経過した場合、質量が大きい大径ディスク10Bがスピンアップされていると認識する。そして、規定時間経過した時点でブレーキ制御処理を実施して、大径ディスク10Bの位相をスピンアップ開始前の位相に対してずらす。また、スピンアップ開始から規定時間経過するまでにFG信号を規定回数検知できた場合、質量が小さい小径ディスク10Aがスピンアップされていると認識する。そして、FG信号を規定回数検知した時点でブレーキ制御処理を実施して、小径ディスク10Aの位相をスピンアップ開始前の位相に対してずらす。この後、台座部210を再度チャッキング状態へ移行させ、軸孔12周縁を押付部112Aに押し付けて、ターンテーブル222に光ディスク10を装着させる。
このため、互いに質量が異なる小径ディスク10Aおよび大径ディスク10Bに対するブレーキ制御処理のタイミングを異なる基準に基づいて取っているので、ブレーキ制御処理のタイミングを確実に異ならせることができ、これら両方の回転停止後の位相をより確実にずらすことができる。したがって、この後に第2のチャッキング制御処理を実施することにより、小径ディスク10Aおよび大径ディスク10Bを適切にターンテーブル222に装着できる。
また、台座部210の一端側をケース体110に軸支させて、ターンテーブル222が設けられた他端側を回動させることにより、光ディスク10をチャッキングする構成としているので、水平状態を保ったまま台座部210を上下させる構成と比べて、構造の簡略化を図れる。
さらに、チャッキングを適切にするための特別な構成を設けないので、新たな金型を準備する必要がなく、コストアップを招くことがない。
そして、位相をずらす制御を実施しつつ、スピンアップしている光ディスク10を認識するので、光ディスク10をより迅速に装着できる。
【0055】
また、小径ディスク10Aおよび大径ディスク10Bの位相を、約180°ずらしている。
このため、小径ディスク10Aおよび大径ディスク10Bにおける第1のチャッキング制御処理で押付部112Aに押し付けられた部分と略反対側の部分を、第2のチャッキング制御処理で押付部112Aに押し付けることができる。したがって、小径ディスク10Aおよび大径ディスク10Bの確実な装着を、より安定的に実施できる。
【0056】
そして、小径ディスク10Aおよび大径ディスク10Bを、約540°回転させる制御を実施している。
ここで、小径ディスク10Aを約180°回転させようとする場合、ブレーキ制御処理開始の基準となるFG信号の検知回数を少なくする必要があり、FG信号の誤検知などが発生して、制御が困難になるおそれがある。また、小径ディスク10Aおよび大径ディスク10Bを約900°回転させようとすると、FG信号の誤検知のおそれが少なくなり制御が容易になるが、ブレーキ制御処理開始までの期間が長くなり、迅速な装着を実現できないおそれがある。
したがって、光ディスク10を約540°回転させる制御をすることにより、容易な制御で迅速な装着を実現できる。
【0057】
さらに、質量が異なる光ディスク10として、小径ディスク10Aおよび大径ディスク10Bを適切に装着する構成としている。
このため、広く普及している径寸法が異なる光ディスク10を適切に装着でき、利用拡大を容易に図れる。
【0058】
そして、第1,第2の移動カム420,430に、第1,第2の昇降押付部422C,431Cをそれぞれ1個ずつ設け、第1,第2の移動カム420,430を往復移動させることにより、第1,第2のチャッキング制御処理を実施している。
このため、例えば第1,第2の昇降押付部422C,431Cをそれぞれ2個ずつ設け、第1,第2の移動カム420,430を一方向に移動させることにより、第1,第2のチャッキング制御処理を実施する構成と比べて、第1,第2の移動カム420,430の長さ寸法を小さくできる。したがって、第1,第2の移動カム420,430の移動範囲を小さくでき、ディスク装置100の小型化を容易に図ることができる。
【0059】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0060】
すなわち、小径ディスク10Aおよび大径ディスク10Bの位相を約180°ずらす構成について例示したが、90°、135°など他の角度としてもよい。また、小径ディスク10Aおよび大径ディスク10Bの間でずらし量を異ならせてもよい。
【0061】
そして、小径ディスク10Aおよび大径ディスク10Bの位相を約180°ずらすために、これらを約540°回転させた構成について例示したが、約90°、約900°など、90°に180°の整数倍を加えたいずれの角度だけ回転させてもよい。また、小径ディスク10Aおよび大径ディスク10Bの間で回転角度を異ならせてもよい。
【0062】
さらに、本発明の質量が異なるディスク状記録媒体として、径寸法が同じで厚さ寸法が異なるディスク状記録媒体を対象としてもよい。
【0063】
そして、本発明のディスク装着制御装置を、水平状態を保ったまま台座部210を上下させる構成に適用してもよい。
【0064】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0065】
〔実施形態の効果〕
上述したように、上記実施形態では、ディスク装置100の制御回路部600は、第1のチャッキング制御処理の後に、ターンテーブル222をスピンアップさせて、FG信号を規定回数検知できないまま、スピンアップ開始から規定時間が経過した場合、質量が大きい大径ディスク10Bがスピンアップされていると認識する。そして、規定時間経過した時点でブレーキ制御処理を実施して、大径ディスク10Bの位相をスピンアップ開始前の位相に対してずらす。また、スピンアップ開始から規定時間経過するまでにFG信号を規定回数検知できた場合、質量が小さい小径ディスク10Aがスピンアップされていると認識する。そして、FG信号を規定回数検知した時点でブレーキ制御処理を実施して、小径ディスク10Aの位相をスピンアップ開始前の位相に対してずらす。この後、第2のチャッキング制御処理を実施する。
このため、互いに質量が異なる小径ディスク10Aおよび大径ディスク10Bに対するブレーキ制御処理のタイミングを異なる基準に基づいて取っているので、ブレーキ制御処理のタイミングを確実に異ならせることができ、これら両方の回転停止後の位相をより確実にずらすことができる。したがって、この後に第2のチャッキング制御処理を実施することにより、小径ディスク10Aおよび大径ディスク10Bを適切にターンテーブル222に装着できる。
さらに、チャッキングを適切にするための特別な構成を設けないので、新たな金型を準備する必要がなく、コストアップを招くことがない。
そして、位相をずらす制御を実施しつつ、スピンアップしている光ディスク10を認識するので、光ディスク10をより迅速に装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係るディスク装置の初期状態における内部構成を示す平面図である。
【図2】前記一実施形態における退避状態のディスク処理部の一部を切り欠いた側面図である。
【図3】前記一実施形態における回転用電動モータの特性を示すグラフである。
【図4】前記一実施形態における第2の移動カムを正面側から見た図である。
【図5】前記一実施形態における第1の移動カムを左面側から見た図である。
【図6】前記一実施形態における制御回路部の概略構成を示す模式図である。
【図7】前記一実施形態における第1のチャッキング制御処理時のディスク処理部の一部を切り欠いた側面図である。
【図8】前記一実施形態におけるスピンアップ制御処理開始前のディスク処理部の一部を切り欠いた側面図である。
【図9】前記一実施形態におけるスピンアップ制御処理終了後のディスク処理部の一部を切り欠いた側面図である。
【図10】前記一実施形態における第2のチャッキング制御処理時のディスク処理部の一部を切り欠いた側面図である。
【図11】前記一実施形態における第2のチャッキング制御処理終了後のディスク処理部の一部を切り欠いた側面図である。
【図12】前記一実施形態におけるチャッキング処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
10A…第1のディスク状記録媒体としての小径ディスク
10B…第2のディスク状記録媒体としての大径ディスク
12…軸孔
100…ディスク装置
110…ケース体
112A…押付部
210…フレームとしての台座部
221A…ディスク装着制御装置および演算手段を構成する回転信号出力手段
222…ターンテーブル
600…ディスク装着制御装置および演算手段を構成する制御回路部
610…第1のチャッキング制御手段
620…回転制御手段としても機能するディスク認識手段
630…位相制御手段
640…第2のチャッキング制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略中央に軸孔を有するディスク状記録媒体を収納可能な略箱状のケース体と、
前記ディスク状記録媒体の一面側の退避位置および他面側のチャッキング位置の間を往復可能に設けられ、前記ディスク状記録媒体が着脱自在に装着されるターンテーブルと、
このターンテーブルが前記チャッキング位置に位置した際に、前記ディスク状記録媒体の他面が押し付けられて前記ターンテーブルに前記ディスク状記録媒体を装着させる押付部と、を備えたディスク装置に設けられ、所定の質量の第1の前記ディスク状記録媒体またはこの第1のディスク状記録媒体よりも質量が大きい第2の前記ディスク状記録媒体を前記ターンテーブルに装着させるディスク装着制御装置であって、
前記ターンテーブルを前記退避位置から前記チャッキング位置へ移動させ、前記ディスク状記録媒体の他面を前記押付部に押し付けて前記ターンテーブルに前記ディスク状記録媒体を装着させる第1のチャッキング制御手段と、
前記ターンテーブルを前記退避位置側の待機位置へ移動させた後に前記ターンテーブルを回転させる回転開始制御手段と、
前記ターンテーブルが所定角度回転するごとに回転信号を出力する回転信号出力手段と、
前記ターンテーブルの回転開始から規定時間内に前記回転信号を規定回数検知できた場合、前記第1のディスク状記録媒体が回転していると認識し、前記規定時間内に前記回転信号を前記規定回数検出できない場合、前記第2のディスク状記録媒体が回転していると認識するディスク認識手段と、
このディスク認識手段で前記第1のディスク状記録媒体が回転していると認識した場合、前記規定回数の回転信号の検出終了時に前記ターンテーブルの回転を停止させる制御をして、前記第1のディスク状記録媒体の位相を回転開始前の位相に対してずらし、前記第2のディスク状記録媒体が回転していると認識した場合、前記規定時間の経過時に前記ターンテーブルの回転を停止させる制御をして、前記第2のディスク状記録媒体の位相を回転開始前の位相に対してずらす位相制御手段と、
前記ターンテーブルを前記チャッキング位置へ移動させ、前記ディスク状記録媒体の他面を前記押付部に押し付けて前記ターンテーブルに前記ディスク状記録媒体を装着させる第2のチャッキング制御手段と、
を具備したことを特徴とするディスク装着制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のディスク装着制御装置において、
前記位相制御手段は、前記第1のディスク状記録媒体および前記第2のディスク状記録媒体の位相を前記回転開始前の位相に対して略180°ずらす
ことを特徴とするディスク装着制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のディスク装着制御装置において、
前記位相制御手段は、前記第1のディスク状記録媒体および前記第2のディスク状記録媒体を略540°回転させた状態で停止させる制御をする
ことを特徴とするディスク装着制御装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のディスク装着制御装置において、
前記第2のディスク状記録媒体は、前記第1のディスク状記録媒体よりも径寸法が大きい形状を有している
ことを特徴とするディスク装着制御装置。
【請求項5】
略中央に軸孔を有するディスク状記録媒体を収納可能な略箱状のケース体と、
前記ディスク状記録媒体の一面側の退避位置および他面側のチャッキング位置の間を往復可能に設けられ、前記ディスク状記録媒体が着脱自在に装着されるターンテーブルと、
このターンテーブルが前記チャッキング位置に位置した際に、前記ディスク状記録媒体の他面が押し付けられて前記ターンテーブルに前記ディスク状記録媒体を装着させる押付部と、
所定の質量の第1の前記ディスク状記録媒体またはこの第1のディスク状記録媒体よりも質量が大きい第2の前記ディスク状記録媒体を前記ターンテーブルに装着させる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のディスク装着制御装置と、
を具備したことを特徴とするディスク装置。
【請求項6】
略中央に軸孔を有するディスク状記録媒体を収納可能な略箱状のケース体と、
前記ディスク状記録媒体の一面側の退避位置および他面側のチャッキング位置の間を往復可能に設けられ、前記ディスク状記録媒体が着脱自在に装着されるターンテーブルと、
このターンテーブルが前記チャッキング位置に位置した際に、前記ディスク状記録媒体の他面が押し付けられて前記ターンテーブルに前記ディスク状記録媒体を装着させる押付部と、を備えたディスク装置において、演算手段により、所定の質量の第1の前記ディスク状記録媒体またはこの第1のディスク状記録媒体よりも質量が大きい第2の前記ディスク状記録媒体を前記ターンテーブルに装着させるディスク装着制御方法であって、
前記演算手段は、
前記ターンテーブルを前記退避位置側の待機位置へ移動させた後に前記ターンテーブルを回転させる回転開始制御工程と、
前記ターンテーブルが所定角度回転するごとに回転信号を出力する回転信号出力工程と、
前記ターンテーブルの回転開始から規定時間内に前記回転信号を規定回数検知できた場合、前記第1のディスク状記録媒体が回転していると認識し、前記規定時間内に前記回転信号を前記規定回数検出できない場合、前記第2のディスク状記録媒体が回転していると認識するディスク認識工程と、
このディスク認識工程で前記第1のディスク状記録媒体が回転していると認識した場合、前記規定回数の回転信号の検出終了時に前記ターンテーブルの回転を停止させる制御をして、前記第1のディスク状記録媒体の位相を回転開始前の位相に対してずらし、前記第2のディスク状記録媒体が回転していると認識した場合、前記規定時間の経過時に前記ターンテーブルの回転を停止させる制御をして、前記第2のディスク状記録媒体の位相を回転開始前の位相に対してずらす位相制御工程と、
前記ターンテーブルを前記チャッキング位置へ移動させ、前記ディスク状記録媒体の他面を前記押付部に押し付けて前記ターンテーブルに前記ディスク状記録媒体を装着させる第2のチャッキング制御工程と、を実施する
ことを特徴とするディスク装着制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−43363(P2009−43363A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−209433(P2007−209433)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】