説明

ディスク装置のディスク検出機構

【課題】制御レバーを搬送ローラに常に押し付けるための付勢手段を必要としないディスク装置を提供する。
【解決手段】搬送ローラの金属軸の中央部に制御レバー13を回転自在に嵌合し、制御レバー13の端部を搬送ローラ支持体8に支持する構成とし、ディスクが挿入された際の搬送ローラのディスクの厚み方向への移動に連動して制御レバー13が検出スイッチ16を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ローラと搬送ローラ支持体が別々に上下するディスク装置のディスク検出機構に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク挿入の有無を検出するため、ディスク挿入路の上下に光学検出手段を配置すると、ディスク装置の薄型化が難しく部品点数も増える。この問題を解決するため、ディスクを検出する検出スイッチを作動させる制御レバーを設ける。そして、制御レバーの一部を搬送ローラの中央最小径部とディスクとの間に位置させ、この制御レバーの一部を付勢手段により搬送ローラに常時当接させる。そうすると、搬送ローラがディスクの厚み方向に移動すると、制御レバーが検出スイッチを作動させる。
【0003】
このように、光学検出手段を用いることなく、簡単な機構によりディスクの有無を検出することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−202992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構造では、制御レバーを搬送ローラに常に押し付けるための付勢手段が必要である。また、制御レバーは、付勢手段により常に搬送ローラに押し付けられているため、搬送ローラがディスク搬送のために回転した際などに、制御レバーと搬送ローラの間で異音が発生する問題があった。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、制御レバーを搬送ローラに常に押し付ける付勢手段を必要としないディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ディスクから情報を読み取る光ピックアップユニットを保持するトラバースシャーシと、ディスクの有無を検出する検出スイッチと、トラバースシャーシに固定された搬送ローラ支持体にディスクの厚み方向に移動可能に取り付けられた搬送ローラを有するディスク装置であって、搬送ローラの軸の中央部に制御レバーを回転自在に嵌合し、制御レバーの端部を搬送ローラ支持体に支持する構成とし、ディスクが挿入された際の搬送ローラのディスクの厚み方向への移動に連動して制御レバーが検出スイッチを作動させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、従来の問題を解決するために、制御レバーに設けた丸穴に搬送ローラ軸を通す構成とすることにより、制御レバーを搬送ローラに常に押し付けることがない。したがって、制御レバーと搬送ローラの間で異音が発生することを大幅に低減することが可能なディスク装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態にかかるディスク装置を内蔵するカーオーディオ装置の全体斜視図
【図2】本発明の実施形態にかかるディスク装置の斜視図
【図3】(a)同ディスク装置の側面図(b)同ディスク装置のディスクを挿入した状態の側面図
【図4】同ディスク装置の搬送ローラと搬送ローラ支持体との関係を示す分解斜視図
【図5】同ディスク装置の搬送ローラ周辺を一部断面にした側面図
【図6】同ディスク装置の搬送ローラ支持体と制御レバーの嵌合部の前面図
【図7】同ディスク装置の搬送ローラ支持体と制御レバーの嵌合部の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態のディスク装置1について、図面を用いて説明する。
【0011】
図1には、本発明の実施の形態のディスク装置1を内蔵するカーオーディオ装置100の全体斜視図が示されている。このカーオーディオ装置100では、ディスク装置1のほかにラジオ20、カセットテープ再生装置30等を内蔵しており、前面パネル40には、全機能に共用される表示部40aや電源/ボリュームつまみ40bに加えて、ディスク装置1における開閉自在な蓋部110aを備えたディスク挿脱口110、ラジオ用のチューニングつまみ20a、カセットテープ挿入口30a等が設けられている。また、内部には、ラジオ20、カセットテープ再生装置30、ディスク装置1等を制御する図示しない制御部が設けられている。
【0012】
図2は、ディスク装置1の斜視図を示し、図3は、ディスク装置1の側面図を示している。図3(a)は、ディスク3が挿入されていない状態を示し、図3(b)は、ディスク3を挿入した状態を示している。
【0013】
図2および図3を用いて、ディスク装置1について説明する。
【0014】
ディスク装置1は、メインシャーシ2の前面に、ディスク3を挿脱するためのディスク挿脱口4が設けられている。また、メインシャーシ2の上面にはディスクガイド5がねじ止めされ、メインシャーシ2内部にはダンパー6を介してトラバースシャーシ7が装着されている。
【0015】
また、トラバースシャーシ7の左右折り曲げ面には搬送ローラ支持体8が支持されている。ディスク3は、ディスク挿入口4より挿入され、ディスクガイド5と搬送ローラ10と挟持される。
【0016】
また、トラバースシャーシ7は、ディスク挿脱口4から挿入されたディスク3を保持し、ディスク3から情報を読み取るディスク再生部17を備えている。ディスク再生部17は、ディスク3を回転させるスピンドルモータ18、ディスク3の情報を記録再生する光ピックアップ(図示しない)、および当該光ピックアップをディスク3の内周及び外周方向に駆動する機構(図示しない)を備えている。
【0017】
次に、搬送ローラ10と搬送ローラ支持体8との関係を示す分解斜視図である図4を用いて詳しくディスク3の有無を検知する機構について説明する。
【0018】
図4に示すように、搬送ローラ10は金属軸11の中央部に制御レバー13の丸穴13aが回転自在に嵌合している。そして、制御レバー13の両方の外側に1対の合成ゴムよりなる弾性筒体9を嵌合した構成としている。また、金属軸11の右端部11aには、ギア12が取り付けられている。ギア12を介して図示しない駆動部が搬送ローラ10を回転させることにより、ディスク挿脱口4から挿入されたディスク3がディスク再生部17のスピンドルモータ18上へ保持される。なお、ディスク3の挿入を感知して搬送ローラ
10の回転を開始させるスイッチ(図示しない)が設けられている。
【0019】
また、搬送ローラ支持体8の左右側板には長溝8aが設けられており、各長溝8aに金属軸11の両端部11a、11bが挿入されている。さらに、金属軸11の両端部11a、11bにはローラカラー14が装着されている。そして、ローラカラー14を介して金属軸11の両端部11a、11bは、下側からバネ15によって上側に与圧され、長溝8aの上側に押し付けられている。
【0020】
また、制御レバー13の端部13bおよび軸部13cは、搬送ローラ支持体8に形成された上下1対の折り曲げ面8bおよび8cの隙間に移動可能な状態で嵌合されている。
【0021】
この部分の詳細を、搬送ローラ10の周辺の拡大側面図を示す図5を用いて説明する。
【0022】
制御レバー13の端部13bおよび軸部13cの厚みよりも、搬送ローラ支持体8の折り曲げ面8b、8cで作られる隙間のほうが広くなっている。そのため、制御レバー13の端部13bおよび軸部13cは、図5に示すL方向に移動可能な状態で嵌合されている。また、検出スイッチ16は、トラバースシャーシ7の折り曲げ面7aにねじ止めされている。
【0023】
ここで、ディスク挿脱口4から挿入されたディスク3がディスクガイド5と搬送ローラ10の間に挿入された際の搬送ローラ支持体8および制御レバー13の動作を説明する。
【0024】
ディスク3がディスクガイド5と搬送ローラ10の間に挿入されると、搬送ローラ10はバネ15の与圧に抗して、ディスク3の厚み分だけローラ支持体8の長溝8aに沿って下降する。そうすると、図5に示すように、搬送ローラ10の下降に連動して制御レバー13も仮想線のごとく下降し、検出スイッチ16に接触する。これら一連の動作によって、ディスク装置1におけるディスク3の有無を検出することができる。
【0025】
このように、搬送ローラ10の上下方向の移動に制御レバー13を連動させて検出スイッチ16に接触するため、制御レバー13に付勢手段を必要とせず、部品点数を削減することが可能となる。また、金属軸11と制御レバー13の丸穴部13aの嵌合部は付勢手段による与圧を受けていないので、搬送ローラ10が回転した際の嵌合部から異音の発生を大幅に低減することが可能となる。
【0026】
次に、図6および図7を用いて、搬送ローラ支持体8および制御レバー13の嵌合部の詳細を説明する。図6は、搬送ローラ支持体8と制御レバー13の嵌合部の前面図を示し、図7は、その拡大図である。なお、図6は、図5のM方向から見た斜視図である。
【0027】
まず、搬送ローラ支持体8の折り曲げ面8cの中央部には凸形状8dが形成されている。また、制御レバー13の端部13bには、半円形溝13dが形成されている。この嵌合部を拡大した図7に示すように、搬送ローラ支持体8の凸形状8dの角部8eは、制御レバー13の半円形溝13dよりも幅が大きくなっている。つまり、搬送ローラ支持体8の凸形状8dを制御レバー13の半円形溝13dに圧嵌している。これは、嵌合させた状態で、制御レバー13の半円形溝13dと搬送ローラ支持体8の凸形状8dに隙間を作らないようにするためである。このようにすれば、制御レバー13は、搬送ローラ支持体8にガタ付き無く保持することができ、振動環境下でのラトルノイズの発生を抑制することが可能となる。さらに、制御レバー13が搬送ローラ支持体8にガタなく保持されていることにより制御レバー13の位置が安定し、ディスク検出の精度が高くなる効果も得られる。
【0028】
なお、以上の説明では、搬送ローラ支持体8の凸形状8dの角部8eが、制御レバー13の半円形溝13dより大きな幅とする例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、制御レバー13の端部13b、および軸部13cの厚みよりも、搬送ローラ支持体8の折り曲げ面8b、8cの隙間を狭くし、圧嵌して保持する構成でも良い。
【0029】
以上説明したように、制御レバー13に丸穴を設け、その穴に搬送ローラ10の金属軸11を通す構成とすることにより、制御レバー13を搬送ローラ10に常に押し付けるための付勢手段を必要としない。したがって、制御レバーと搬送ローラの間で異音が発生することを大幅に低減することが可能なディスク装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明にかかるディスク装置は、搬送ローラ回転時の異音発生を抑制することができ、振動環境下でのラトルノイズの発生も抑えるため、車両に搭載されるカーオーディオ機器などに有用である。
【符号の説明】
【0031】
1 ディスク装置
2 メインシャーシ
3 ディスク
4 ディスク挿入口
5 ディスクガイド
6 ダンパー
7 トラバースシャーシ
8 搬送ローラ支持体
8a 搬送ローラ支持体の長溝
8b 搬送ローラ支持体の折り曲げ面
8c 搬送ローラ支持体の折り曲げ面
8d 搬送ローラ支持体の凸形状
9 弾性筒体
10 搬送ローラ
11 金属軸
11a 金属軸右端部
11b 金属軸左端部
12 ギア
13 制御レバー
13a 制御レバーの丸穴
13b 制御レバーの端部
13c 制御レバーの軸部
13d 制御レバーの端部の半円形溝
14 ローラカラー
15 バネ
16 検出スイッチ
17 ディスク再生部
18 スピンドルモータ
20 ラジオ
20a チューニングつまみ
30 カセットテープ再生装置等
30a カセットテープ挿入口
40 前面パネル
40a 表示部
40b 電源/ボリュームつまみ
100 カーオーディオ装置
110 挿脱口
110a 蓋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクから情報を読み取る光ピックアップユニットを保持するトラバースシャーシと、
前記ディスクの有無を検出する検出スイッチと、
前記トラバースシャーシに固定された搬送ローラ支持体に前記ディスクの厚み方向に移動可能に取り付けられた搬送ローラを有するディスク装置であって、
前記搬送ローラの軸の中央部に制御レバーを回転自在に嵌合し、前記制御レバーの端部を前記搬送ローラ支持体に支持する構成とし、前記ディスクが挿入された際の前記搬送ローラの前記ディスクの厚み方向への移動に連動して前記制御レバーが前記検出スイッチを作動させることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記制御レバーの端部と前記搬送ローラ支持体を圧嵌により支持することを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記搬送ローラ支持体の折り曲げ面の中央部に凸形状を形成し、
前記制御レバーの端部に半円形溝を形成し、
前記制御レバーの前記半円形溝と前記搬送ローラ支持体の前記凸形状とが嵌合する構成であり、
前記凸形状の一部が、前記半円形溝よりも幅が大きいことを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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