ディスク装置のローディング機構
【課題】機構が簡単であり、ターンテーブルに対する偏心量が小さく、しかもクランプ動作が安定するディスク装置のローディング機構を提供する。
【解決手段】クランプ動作のためにシャーシに固定された位置決部材を設け、ディスク10単体が前記位置決部材に当接するまで前進方向に送られた後、前記再生ユニットシャーシが上昇して前記ディスクガイド部3bがディスクの中心穴10aに入り込む過程で前記ディスクガイド部3bが前記ディスク10単体をディスク送り込み方向に対して後退させ前記位置決部材から離して前記ディスクの中心穴10aが前記ディスク嵌合部と嵌合するとともに前記ターンテーブルにより押し上げられたクランパ6とターンテーブル3aによりディスク10をクランプするように構成した。
【解決手段】クランプ動作のためにシャーシに固定された位置決部材を設け、ディスク10単体が前記位置決部材に当接するまで前進方向に送られた後、前記再生ユニットシャーシが上昇して前記ディスクガイド部3bがディスクの中心穴10aに入り込む過程で前記ディスクガイド部3bが前記ディスク10単体をディスク送り込み方向に対して後退させ前記位置決部材から離して前記ディスクの中心穴10aが前記ディスク嵌合部と嵌合するとともに前記ターンテーブルにより押し上げられたクランパ6とターンテーブル3aによりディスク10をクランプするように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はディスク装置のローディング機構に係わり、特に、その再生時の位置決め手段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のディスク装置のローディング機構としてディスクをトレイに載置し、トレイを移動させることによりディスクを筐体外から再生位置に向けて搬送するトレイ方式のローディング機構が知られている。このトレイ方式のローディング機構は大きいトレイを筐体内外に亘り移動させるために、機構が複雑となり、また、装置が大形となるという問題があった。そこで、ディスク単体を送りローラやレバーで搬送するスロットイン方式のローディング機構が多く採用されるようになった。
【0003】
スロットイン方式のローディング機構では、ディスクをターンテーブル上方まで搬送するときに、位置決め部材に当接させて停止させるが、それから、ディスクをターンテーブルにクランプして再生状態とするには、位置決め部材をディスクから離間させなければならない。
【0004】
特開2006−12277号公報に提案されたディスクドライブ装置では、上記位置決め部材である当接部材を回動アームに立設し、ディスクが当接部材に当接して停止した後に、回動アームを僅かに回動させて当接部材をディスクから離間させる。このディスクドライブ装置は回動アームを回動させるために機構が複雑となり、製造コストが高くなるという問題があった。
【0005】
特開2003−257109号公報に提案されたディスクのセンタリング装置では、ディスクが位置決め部材であるストッパ部21または当接片22に当接して停止した後にクランパがターンテーブル6方向に移動し、クランパがディスクの中心孔の縁に当接してディスク引き戻してストッパ部21または当接片22から離間させる。
【0006】
このディスクのセンタリング装置はクランパがターンテーブルに嵌合することによりターンテーブルに対して中心軸が合わせられ、ディスクがクランパに嵌合することによりクランパに対して中心軸が合わせられる。すなわち、ディスクはクランパを介してターンテーブルに間接的にセンタリングされる。このため、ディスクのターンテーブルに対する偏心量が大きくなるが、高速でディスクを回転させると、触れ回りにより再生機能が悪化するという問題があった。
【0007】
また、ディスクはガイド11と送りローラ10で挾持した片持ち状態でターンテーブル6上方まで送られ、クランプ時に送りローラ10を下降させてディスクをターンテーブル6上に落とすことになる。このようにクランプ時にディスクを落下させるため、クランプ時に音が発生したり、動作が不安定となるという問題があった。
【特許文献1】特開平2006−12277号公報、段落0090、段落0091、図11、図20
【特許文献2】特開平2003−257109号公報、段落0007、段落0011、段落0020、図3、図5、図7
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は上記した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、機構が簡単であり、ターンテーブルに対する偏心量が小さく、しかもクランプ動作が安定するディスク装置のローディング機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のディスク装置のローディング機構は、ディスク単体をシャーシに固定された位置決部材に当接するまで送り込むディスク搬送手段と、先端に向けて直径が小さくなるディスクガイド部とその下部にディスク嵌合部を有するターンテーブルが回転軸に固着されたディスクモータを保持する再生ユニットシャーシと、前記再生ユニットシャーシを前記シャーシに対して上昇させる駆動手段と、前記シャーシに固定された部材に支持されたクランパと、を備え、ディスク単体が前記位置決部材に当接するまで前進方向に送られた後、前記再生ユニットシャーシが上昇して前記ディスクガイド部がディスクの中心穴に入り込む過程で前記ディスクガイド部が前記ディスク単体をディスク送り込み方向に対して後退させ前記位置決部材から離して前記ディスクの中心穴が前記ディスク嵌合部と嵌合するとともに前記ターンテーブルにより押し上げられたクランパとターンテーブルによりディスクをクランプするように構成したものである。
【0010】
また、前記ディスク装置のローディング機構において、前記再生ユニットシャーシは弾性部材によりサブシャーシに浮動状態に支持されており、前記駆動手段は前記サブシャーシを介して前記再生ユニットシャーシを駆動するものである。
【0011】
また、前記ディスク装置のローディング機構において、前記駆動手段は前記サブシャーシをシャーシに対して1の軸回りに回動させるものである。
【0012】
また、前記各ディスク装置のローディング機構において、前記クランパは前記シャーシに固定された部材を挿通するように前記シャーシに固定された部材に載置されているものである。
【0013】
また、前記各ディスク装置のローディング機構において、前記クランパとターンテーブルは磁力によりディスクを挾持してクランプするものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明のディスク装置のローディング機構は、機構が簡単であり、ターンテーブルに対する偏心量が小さく、しかもクランプ動作が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下この発明を実施するための最良の形態を実施例に即して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1はこの発明の実施例1であるディスク装置のローディング機構を一部部材を透視して示す平面図、図2は同ディスク装置のローディング機構の図1に示す状態を示す側面図である。
【0017】
図に示すシャーシ1は機構全体を支持する。サブシャーシ2はそれに立設された軸2aを介してシャーシ1に回動自在に支持されている。ターンテーブル3aが回転軸に固着された図示していないディスクモータは再生ユニットシャーシ3に固定されている。再生ユニットシャーシ3は光ピックアップおよびその駆動機構も支持している。
【0018】
ターンテーブル3aの上部にテーパ形状の傾斜部3bが設けられている。再生ユニットシャーシ3はダンパーとしての機能を有する弾性部材9を介してサブシャーシ2に所定ストローク内で浮動状態に支持されている。
【0019】
サブシャーシ2に立設されたボス2bはスライダ4のカム溝を挿通している。スライダ4はシャーシ1に摺動自在に支持されており、スライダ4に設けられたラック4aは図10にも詳しく示すようにギヤ5と噛み合い可能となっている。ギヤ5はシャーシ1に回動自在に支持されており、図示しない駆動機構により回転駆動される。
【0020】
シャーシ1に固定されたカバー7に穴7aが設けられており、穴7aを挿通するようにしてクランパ6がターンテーブル3aの上方にカバー7により吊り下げられている。カバー7にはディスクと当接するストッパピン7bが下方に延びるように立設されている。
【0021】
図9にも詳しく示すように、ローラレバー8に回転自在に支持された軸8dにゴム製のディスク送りローラ8a、8aが嵌着され、さらにギヤ8bが固着されている。ギヤ8bは図示しない駆動機構により回転駆動される。
【0022】
ローラレバー8はそれに立設された軸8e、8e回りに回動自在にシャーシ1に支持され、図示していないばねよりシャーシ1に圧接される方向に付勢されている。ローラレバー8はさらに図示していないスライダにより駆動されるピン8cが立設されている。
【0023】
上記構成において、図1および図2に示す初期状態で図示していないディスク挿入口よりディスクがディスク送りローラ8a、8aとシャーシ1で挾持される直前の位置まで挿入されたことが図示していな検出器により検出されると、ギヤ8bが駆動機構により回転駆動されるようになる。
【0024】
そして、ディスク送りローラ8a、8aと接触するまで押し込まれたディスクはディスク送りローラ8a、8aにより内部へ引き込まれる。このときディスク送りローラ8a、8aはばねの弾力に抗して押上げられるが、ディスク送りローラ8a、8aが回転しているので挿入感が損なわれることはない。
【0025】
図3および図4にディスク10が送られる途中を示している。このときは、ディスク10の中心穴10aはターンテーブル3aの上方に達していない。ディスク10がさらに送られると、図5に示すようにディスク10はストッパピン7b、7bに当接して送り方向に対する直角方向の位置決めがなされ、中心穴10aがターンテーブル3aの中心より僅かに進んだ位置にディスク10が停止している。
【0026】
この状態は図示していない検出器により検出され、図示していないスライダによりローラレバー8がばねの弾力に抗して回動されディスク送りローラ8a、8aがディスク10から離れる。そして、スライダ4が図示していないトリガー機構により図10(a)における右方向に押され図10(b)に示すようにラック4aがギヤ5と噛み合うようになる。
【0027】
その後、駆動機構によりギヤ5が回転され、スライダ4が図10(b)における右方向に送られる。そして、サブシャーシ2のボス2bが挿通するスライダ4のカム溝によりサブシャーシ2は図6における時計方向に回動され、ターンテーブル3aが円弧を描く方向(図11における矢印A方向)に上昇する。なお、図5に対応する図6はターンテーブル3aが上昇する途中の状態を示している。
【0028】
ターンテーブル3aの上昇する状態は図11に詳しく示されている。図11(a)はターンテーブル3aの上昇初期の状態を示し、この状態ではターンテーブル3aの傾斜部3bはディスク10の中心穴10aの縁に接触していない。
【0029】
ターンテーブル3aが図11(b)のA方向にさらに上昇すると、ターンテーブル3aの傾斜部3bがディスク10の中心穴10aの縁に接触してディスク10をディスクが送られた方向と逆方向の矢印B方向に戻されてディスク10がストッパピン7bから離される。
【0030】
ターンテーブル3aがさらに上昇するとターンテーブル3aの傾斜部3bの下部の円筒部がディスク10の中心穴10aに嵌まり込みディスク10がターンテーブル3aと同心に位置決めされる。そして、クランパ6はターンテーブル3aにより持ち上げられてカバー7から離れる。この状態が図11(c)に示されている。
【0031】
この状態でクランパ6はターンテーブル3aの傾斜部3bと嵌合することによりターンテーブル3aと同心に位置決めされると共に磁力によりディスク10をターンテーブル3aに圧接したディスククランプ状態すなわち再生状態となる。なお、再生状態は図7および図8にも示されている。ディスクを装置から排出(アンローディング)するときは上記と逆の動作が行われる。
【0032】
この実施例ではディスク10がターンテーブル3aにより直接位置決めされるため、ターンテーブル3aに対する偏心を小さくできる。また、ディスク10をストッパピン7bから離するためにストッパピン7bを駆動する機構が必要でなく、装置を簡単に構成できる。さらに、ターンテーブル3aがディスク10を持ち上げることによりクランプ動作が行われるので、ディスクをターンテーブル上に落とす動作に比べ動作がスムーズであり、クランプ動作が静かに確実に行われる。
【実施例2】
【0033】
図12〜図14によりこの発明の実施例2であるディスク装置のローディング機構を説明する。図12はこの発明の実施例2であるディスク装置のローディング機構におけるディスク挿入直後の状態を示す平面図、図13(a)は同ディスク装置のローディング機構におけるディスク搬送途中の状態を示す平面図、図13(b)は同ディスク装置のローディング機構を示す側面図、図14は同ディスク装置のローディング機構の部分を示す斜視図である。
【0034】
この例では実施例1のディスク送りローラ8aおよびその駆動機構が駆動ローラ23と従動ローラ24およびその駆動機構に置き換えられている。他の構成は実施例1と同様である。
【0035】
図に示す左スライダ21および右スライダ22はシャーシ1に摺動自在に支持され、引張りコイルばね26により互いに近寄る方向に付勢されている。左スライダ21および右スライダ22に夫々設けられたラック21aおよび22aはシャーシ1に回転自在に支持されたアイドラギヤ25と噛み合っており、左スライダ21と右スライダ22は同期して互いに近付く方向および互いに離れる方向に移動する。
【0036】
左スライダ21に立設された軸にギヤ23aと一体の駆動ローラ23が回転自在に支持されている。右スライダ22に立設された軸に従動ローラ24が固定されて支持されている。ギヤ23aは図示していない駆動機構により回転駆動される。
【0037】
図14に示すようにディスク10が矢印方向に挿入されると、駆動ローラ23と従動ローラ24によりディスクの側部が挾持されるように挟まれる。ディスク10が所定位置まで挿入されたことが検出されると駆動ローラ23が回転駆動されてディスク10がストッパピン7b、7bに当接するまで送り込まれる。
【0038】
すると、図示していな検出器がそれを検出して駆動ローラ23が停止して、図示していない駆動機構により左スライダ21および右スライダ22が移動されて駆動ローラ23および従動ローラ24がディスク10より離される。なお、アイドラギヤ25を一方向のみ回転駆動されるようにしてギヤにより左スライダ21および右スライダ22をギヤにより駆動してもよい。
【0039】
その後は実施例1と同様にディスク10はクランプされてストッパピン7b、7bから離される。アンローディングは上記と逆の動作により行われる。なお、アンローディング動作において、駆動ローラ23と従動ローラ24がディスクを挾持したときに摩擦力によりセルフロック状態となり、引張りコイルばね26の弾力によりディスクを押し出すことのない位置に駆動ローラ23と従動ローラ24が配置されている。
【0040】
この実施例は実施例1と同様の効果を奏し、さらに、ディスクの記録面をガイド部材に圧接して摺動させることがないのでディスクの記録面を傷つけることがないという実施例2独自の効果を奏する。
【0041】
実施例は以上のように構成されているが発明はこれに限られず、例えば、再生ユニットシャーシを回動させることなく平行移動により上昇させてもよい。また、クランパを磁力によりターンテーブルに吸引させるのではなく、再生ユニットシャーシ等に支持された板ばねによりクランパ中心に設けた凹みを押すようにしてもよい。また、ディスクをレバーにより再生位置方向に送るようにしてもよい。
【0042】
さらに、ターンーブルの傾斜部は縦断面の縁が曲線となるように形成してもよい。そして、ディスク嵌合部と滑らかに連なるようにすれば、クランプ動作がよりスムーズに行われる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の実施例1であるディスク装置のローディング機構を一部部材を透視して示す平面図である。
【図2】同ディスク装置のローディング機構の図1に示す状態を示す側面図である。
【図3】同ディスク装置のローディング機構の他の状態を一部部材を透視して示す平面図である。
【図4】同ディスク装置のローディング機構の図3に示す状態を示す側面図である。
【図5】同ディスク装置のローディング機構のさらに他の状態を一部部材を透視して示す平面図である。
【図6】同ディスク装置のローディング機構の図5に示す状態を示す側面図である。
【図7】同ディスク装置のローディング機構のさらに他の状態を一部部材を透視して示す平面図である。
【図8】同ディスク装置のローディング機構の図7に対応する状態を示す側面図である。
【図9】同ディスク装置のローディング機構の部分を示す平面図である。
【図10】同ディスク装置のローディング機構の他の部分を示す平面図である。
【図11】同ディスク装置のローディング機構の作用を示す部分側面図である。
【図12】この発明の実施例2であるディスク装置のローディング機構におけるディスク挿入初期の状態を示す平面図である。
【図13】図13(a)は同ディスク装置のローディング機構におけるディスク搬送途中の状態をを示す平面図、図13(b)は同ディスク装置のローディング機構を示す正面図である。
【図14】同ディスク装置のローディング機構の部分を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 シャーシ
2 サブシャーシ、2a 軸、2b ボス
3 再生ユニットシャーシ、3a ターンーブル、3b 傾斜部
4 スライダ、4a ラック
5 ギヤ
6 クランパ
7 カバー、7a 穴、7b ストッパピン
8 ローラレバー、8a ディスク送りローラ、8b ギヤ、8c ピン、8d 軸
8e 軸
9 弾性部材
10 ディスク、10a 中心穴
21 左スライダ、21a ラック
22 右スライダ、22a ラック
23 駆動ローラ、23a ギヤ
24 従動ローラ
25 アイドラギヤ
26 引張りコイルばね
【技術分野】
【0001】
この発明はディスク装置のローディング機構に係わり、特に、その再生時の位置決め手段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のディスク装置のローディング機構としてディスクをトレイに載置し、トレイを移動させることによりディスクを筐体外から再生位置に向けて搬送するトレイ方式のローディング機構が知られている。このトレイ方式のローディング機構は大きいトレイを筐体内外に亘り移動させるために、機構が複雑となり、また、装置が大形となるという問題があった。そこで、ディスク単体を送りローラやレバーで搬送するスロットイン方式のローディング機構が多く採用されるようになった。
【0003】
スロットイン方式のローディング機構では、ディスクをターンテーブル上方まで搬送するときに、位置決め部材に当接させて停止させるが、それから、ディスクをターンテーブルにクランプして再生状態とするには、位置決め部材をディスクから離間させなければならない。
【0004】
特開2006−12277号公報に提案されたディスクドライブ装置では、上記位置決め部材である当接部材を回動アームに立設し、ディスクが当接部材に当接して停止した後に、回動アームを僅かに回動させて当接部材をディスクから離間させる。このディスクドライブ装置は回動アームを回動させるために機構が複雑となり、製造コストが高くなるという問題があった。
【0005】
特開2003−257109号公報に提案されたディスクのセンタリング装置では、ディスクが位置決め部材であるストッパ部21または当接片22に当接して停止した後にクランパがターンテーブル6方向に移動し、クランパがディスクの中心孔の縁に当接してディスク引き戻してストッパ部21または当接片22から離間させる。
【0006】
このディスクのセンタリング装置はクランパがターンテーブルに嵌合することによりターンテーブルに対して中心軸が合わせられ、ディスクがクランパに嵌合することによりクランパに対して中心軸が合わせられる。すなわち、ディスクはクランパを介してターンテーブルに間接的にセンタリングされる。このため、ディスクのターンテーブルに対する偏心量が大きくなるが、高速でディスクを回転させると、触れ回りにより再生機能が悪化するという問題があった。
【0007】
また、ディスクはガイド11と送りローラ10で挾持した片持ち状態でターンテーブル6上方まで送られ、クランプ時に送りローラ10を下降させてディスクをターンテーブル6上に落とすことになる。このようにクランプ時にディスクを落下させるため、クランプ時に音が発生したり、動作が不安定となるという問題があった。
【特許文献1】特開平2006−12277号公報、段落0090、段落0091、図11、図20
【特許文献2】特開平2003−257109号公報、段落0007、段落0011、段落0020、図3、図5、図7
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は上記した点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、機構が簡単であり、ターンテーブルに対する偏心量が小さく、しかもクランプ動作が安定するディスク装置のローディング機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明のディスク装置のローディング機構は、ディスク単体をシャーシに固定された位置決部材に当接するまで送り込むディスク搬送手段と、先端に向けて直径が小さくなるディスクガイド部とその下部にディスク嵌合部を有するターンテーブルが回転軸に固着されたディスクモータを保持する再生ユニットシャーシと、前記再生ユニットシャーシを前記シャーシに対して上昇させる駆動手段と、前記シャーシに固定された部材に支持されたクランパと、を備え、ディスク単体が前記位置決部材に当接するまで前進方向に送られた後、前記再生ユニットシャーシが上昇して前記ディスクガイド部がディスクの中心穴に入り込む過程で前記ディスクガイド部が前記ディスク単体をディスク送り込み方向に対して後退させ前記位置決部材から離して前記ディスクの中心穴が前記ディスク嵌合部と嵌合するとともに前記ターンテーブルにより押し上げられたクランパとターンテーブルによりディスクをクランプするように構成したものである。
【0010】
また、前記ディスク装置のローディング機構において、前記再生ユニットシャーシは弾性部材によりサブシャーシに浮動状態に支持されており、前記駆動手段は前記サブシャーシを介して前記再生ユニットシャーシを駆動するものである。
【0011】
また、前記ディスク装置のローディング機構において、前記駆動手段は前記サブシャーシをシャーシに対して1の軸回りに回動させるものである。
【0012】
また、前記各ディスク装置のローディング機構において、前記クランパは前記シャーシに固定された部材を挿通するように前記シャーシに固定された部材に載置されているものである。
【0013】
また、前記各ディスク装置のローディング機構において、前記クランパとターンテーブルは磁力によりディスクを挾持してクランプするものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明のディスク装置のローディング機構は、機構が簡単であり、ターンテーブルに対する偏心量が小さく、しかもクランプ動作が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下この発明を実施するための最良の形態を実施例に即して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1はこの発明の実施例1であるディスク装置のローディング機構を一部部材を透視して示す平面図、図2は同ディスク装置のローディング機構の図1に示す状態を示す側面図である。
【0017】
図に示すシャーシ1は機構全体を支持する。サブシャーシ2はそれに立設された軸2aを介してシャーシ1に回動自在に支持されている。ターンテーブル3aが回転軸に固着された図示していないディスクモータは再生ユニットシャーシ3に固定されている。再生ユニットシャーシ3は光ピックアップおよびその駆動機構も支持している。
【0018】
ターンテーブル3aの上部にテーパ形状の傾斜部3bが設けられている。再生ユニットシャーシ3はダンパーとしての機能を有する弾性部材9を介してサブシャーシ2に所定ストローク内で浮動状態に支持されている。
【0019】
サブシャーシ2に立設されたボス2bはスライダ4のカム溝を挿通している。スライダ4はシャーシ1に摺動自在に支持されており、スライダ4に設けられたラック4aは図10にも詳しく示すようにギヤ5と噛み合い可能となっている。ギヤ5はシャーシ1に回動自在に支持されており、図示しない駆動機構により回転駆動される。
【0020】
シャーシ1に固定されたカバー7に穴7aが設けられており、穴7aを挿通するようにしてクランパ6がターンテーブル3aの上方にカバー7により吊り下げられている。カバー7にはディスクと当接するストッパピン7bが下方に延びるように立設されている。
【0021】
図9にも詳しく示すように、ローラレバー8に回転自在に支持された軸8dにゴム製のディスク送りローラ8a、8aが嵌着され、さらにギヤ8bが固着されている。ギヤ8bは図示しない駆動機構により回転駆動される。
【0022】
ローラレバー8はそれに立設された軸8e、8e回りに回動自在にシャーシ1に支持され、図示していないばねよりシャーシ1に圧接される方向に付勢されている。ローラレバー8はさらに図示していないスライダにより駆動されるピン8cが立設されている。
【0023】
上記構成において、図1および図2に示す初期状態で図示していないディスク挿入口よりディスクがディスク送りローラ8a、8aとシャーシ1で挾持される直前の位置まで挿入されたことが図示していな検出器により検出されると、ギヤ8bが駆動機構により回転駆動されるようになる。
【0024】
そして、ディスク送りローラ8a、8aと接触するまで押し込まれたディスクはディスク送りローラ8a、8aにより内部へ引き込まれる。このときディスク送りローラ8a、8aはばねの弾力に抗して押上げられるが、ディスク送りローラ8a、8aが回転しているので挿入感が損なわれることはない。
【0025】
図3および図4にディスク10が送られる途中を示している。このときは、ディスク10の中心穴10aはターンテーブル3aの上方に達していない。ディスク10がさらに送られると、図5に示すようにディスク10はストッパピン7b、7bに当接して送り方向に対する直角方向の位置決めがなされ、中心穴10aがターンテーブル3aの中心より僅かに進んだ位置にディスク10が停止している。
【0026】
この状態は図示していない検出器により検出され、図示していないスライダによりローラレバー8がばねの弾力に抗して回動されディスク送りローラ8a、8aがディスク10から離れる。そして、スライダ4が図示していないトリガー機構により図10(a)における右方向に押され図10(b)に示すようにラック4aがギヤ5と噛み合うようになる。
【0027】
その後、駆動機構によりギヤ5が回転され、スライダ4が図10(b)における右方向に送られる。そして、サブシャーシ2のボス2bが挿通するスライダ4のカム溝によりサブシャーシ2は図6における時計方向に回動され、ターンテーブル3aが円弧を描く方向(図11における矢印A方向)に上昇する。なお、図5に対応する図6はターンテーブル3aが上昇する途中の状態を示している。
【0028】
ターンテーブル3aの上昇する状態は図11に詳しく示されている。図11(a)はターンテーブル3aの上昇初期の状態を示し、この状態ではターンテーブル3aの傾斜部3bはディスク10の中心穴10aの縁に接触していない。
【0029】
ターンテーブル3aが図11(b)のA方向にさらに上昇すると、ターンテーブル3aの傾斜部3bがディスク10の中心穴10aの縁に接触してディスク10をディスクが送られた方向と逆方向の矢印B方向に戻されてディスク10がストッパピン7bから離される。
【0030】
ターンテーブル3aがさらに上昇するとターンテーブル3aの傾斜部3bの下部の円筒部がディスク10の中心穴10aに嵌まり込みディスク10がターンテーブル3aと同心に位置決めされる。そして、クランパ6はターンテーブル3aにより持ち上げられてカバー7から離れる。この状態が図11(c)に示されている。
【0031】
この状態でクランパ6はターンテーブル3aの傾斜部3bと嵌合することによりターンテーブル3aと同心に位置決めされると共に磁力によりディスク10をターンテーブル3aに圧接したディスククランプ状態すなわち再生状態となる。なお、再生状態は図7および図8にも示されている。ディスクを装置から排出(アンローディング)するときは上記と逆の動作が行われる。
【0032】
この実施例ではディスク10がターンテーブル3aにより直接位置決めされるため、ターンテーブル3aに対する偏心を小さくできる。また、ディスク10をストッパピン7bから離するためにストッパピン7bを駆動する機構が必要でなく、装置を簡単に構成できる。さらに、ターンテーブル3aがディスク10を持ち上げることによりクランプ動作が行われるので、ディスクをターンテーブル上に落とす動作に比べ動作がスムーズであり、クランプ動作が静かに確実に行われる。
【実施例2】
【0033】
図12〜図14によりこの発明の実施例2であるディスク装置のローディング機構を説明する。図12はこの発明の実施例2であるディスク装置のローディング機構におけるディスク挿入直後の状態を示す平面図、図13(a)は同ディスク装置のローディング機構におけるディスク搬送途中の状態を示す平面図、図13(b)は同ディスク装置のローディング機構を示す側面図、図14は同ディスク装置のローディング機構の部分を示す斜視図である。
【0034】
この例では実施例1のディスク送りローラ8aおよびその駆動機構が駆動ローラ23と従動ローラ24およびその駆動機構に置き換えられている。他の構成は実施例1と同様である。
【0035】
図に示す左スライダ21および右スライダ22はシャーシ1に摺動自在に支持され、引張りコイルばね26により互いに近寄る方向に付勢されている。左スライダ21および右スライダ22に夫々設けられたラック21aおよび22aはシャーシ1に回転自在に支持されたアイドラギヤ25と噛み合っており、左スライダ21と右スライダ22は同期して互いに近付く方向および互いに離れる方向に移動する。
【0036】
左スライダ21に立設された軸にギヤ23aと一体の駆動ローラ23が回転自在に支持されている。右スライダ22に立設された軸に従動ローラ24が固定されて支持されている。ギヤ23aは図示していない駆動機構により回転駆動される。
【0037】
図14に示すようにディスク10が矢印方向に挿入されると、駆動ローラ23と従動ローラ24によりディスクの側部が挾持されるように挟まれる。ディスク10が所定位置まで挿入されたことが検出されると駆動ローラ23が回転駆動されてディスク10がストッパピン7b、7bに当接するまで送り込まれる。
【0038】
すると、図示していな検出器がそれを検出して駆動ローラ23が停止して、図示していない駆動機構により左スライダ21および右スライダ22が移動されて駆動ローラ23および従動ローラ24がディスク10より離される。なお、アイドラギヤ25を一方向のみ回転駆動されるようにしてギヤにより左スライダ21および右スライダ22をギヤにより駆動してもよい。
【0039】
その後は実施例1と同様にディスク10はクランプされてストッパピン7b、7bから離される。アンローディングは上記と逆の動作により行われる。なお、アンローディング動作において、駆動ローラ23と従動ローラ24がディスクを挾持したときに摩擦力によりセルフロック状態となり、引張りコイルばね26の弾力によりディスクを押し出すことのない位置に駆動ローラ23と従動ローラ24が配置されている。
【0040】
この実施例は実施例1と同様の効果を奏し、さらに、ディスクの記録面をガイド部材に圧接して摺動させることがないのでディスクの記録面を傷つけることがないという実施例2独自の効果を奏する。
【0041】
実施例は以上のように構成されているが発明はこれに限られず、例えば、再生ユニットシャーシを回動させることなく平行移動により上昇させてもよい。また、クランパを磁力によりターンテーブルに吸引させるのではなく、再生ユニットシャーシ等に支持された板ばねによりクランパ中心に設けた凹みを押すようにしてもよい。また、ディスクをレバーにより再生位置方向に送るようにしてもよい。
【0042】
さらに、ターンーブルの傾斜部は縦断面の縁が曲線となるように形成してもよい。そして、ディスク嵌合部と滑らかに連なるようにすれば、クランプ動作がよりスムーズに行われる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】この発明の実施例1であるディスク装置のローディング機構を一部部材を透視して示す平面図である。
【図2】同ディスク装置のローディング機構の図1に示す状態を示す側面図である。
【図3】同ディスク装置のローディング機構の他の状態を一部部材を透視して示す平面図である。
【図4】同ディスク装置のローディング機構の図3に示す状態を示す側面図である。
【図5】同ディスク装置のローディング機構のさらに他の状態を一部部材を透視して示す平面図である。
【図6】同ディスク装置のローディング機構の図5に示す状態を示す側面図である。
【図7】同ディスク装置のローディング機構のさらに他の状態を一部部材を透視して示す平面図である。
【図8】同ディスク装置のローディング機構の図7に対応する状態を示す側面図である。
【図9】同ディスク装置のローディング機構の部分を示す平面図である。
【図10】同ディスク装置のローディング機構の他の部分を示す平面図である。
【図11】同ディスク装置のローディング機構の作用を示す部分側面図である。
【図12】この発明の実施例2であるディスク装置のローディング機構におけるディスク挿入初期の状態を示す平面図である。
【図13】図13(a)は同ディスク装置のローディング機構におけるディスク搬送途中の状態をを示す平面図、図13(b)は同ディスク装置のローディング機構を示す正面図である。
【図14】同ディスク装置のローディング機構の部分を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1 シャーシ
2 サブシャーシ、2a 軸、2b ボス
3 再生ユニットシャーシ、3a ターンーブル、3b 傾斜部
4 スライダ、4a ラック
5 ギヤ
6 クランパ
7 カバー、7a 穴、7b ストッパピン
8 ローラレバー、8a ディスク送りローラ、8b ギヤ、8c ピン、8d 軸
8e 軸
9 弾性部材
10 ディスク、10a 中心穴
21 左スライダ、21a ラック
22 右スライダ、22a ラック
23 駆動ローラ、23a ギヤ
24 従動ローラ
25 アイドラギヤ
26 引張りコイルばね
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク単体をシャーシに固定された位置決部材に当接するまで送り込むディスク搬送手段と、先端に向けて直径が小さくなるディスクガイド部とその下部にディスク嵌合部を有するターンテーブルが回転軸に固着されたディスクモータを保持する再生ユニットシャーシと、前記再生ユニットシャーシを前記シャーシに対して上昇させる駆動手段と、前記シャーシに固定された部材に支持されたクランパと、を備え、ディスク単体が前記位置決部材に当接するまで前進方向に送られた後、前記再生ユニットシャーシが上昇して前記ディスクガイド部がディスクの中心穴に入り込む過程で前記ディスクガイド部が前記ディスク単体をディスク送り込み方向に対して後退させ前記位置決部材から離して前記ディスクの中心穴が前記ディスク嵌合部と嵌合するとともに前記ターンテーブルにより押し上げられたクランパとターンテーブルによりディスクをクランプするように構成したディスク装置のローディング機構。
【請求項2】
前記再生ユニットシャーシは弾性部材によりサブシャーシに浮動状態に支持されており、前記駆動手段は前記サブシャーシを介して前記再生ユニットシャーシを駆動する請求項1のディスク装置のローディング機構。
【請求項3】
前記駆動手段は前記サブシャーシをシャーシに対して1の軸回りに回動させる請求項2のディスク装置のローディング機構。
【請求項4】
前記クランパは前記シャーシに固定された部材を挿通するように前記シャーシに固定された部材に載置されている請求項1から3のいずれかに記載したディスク装置のローディング機構。
【請求項5】
前記クランパとターンテーブルは磁力によりディスクを挾持してクランプする請求項1から4のいずれかに記載されたディスク装置のローディング機構。
【請求項1】
ディスク単体をシャーシに固定された位置決部材に当接するまで送り込むディスク搬送手段と、先端に向けて直径が小さくなるディスクガイド部とその下部にディスク嵌合部を有するターンテーブルが回転軸に固着されたディスクモータを保持する再生ユニットシャーシと、前記再生ユニットシャーシを前記シャーシに対して上昇させる駆動手段と、前記シャーシに固定された部材に支持されたクランパと、を備え、ディスク単体が前記位置決部材に当接するまで前進方向に送られた後、前記再生ユニットシャーシが上昇して前記ディスクガイド部がディスクの中心穴に入り込む過程で前記ディスクガイド部が前記ディスク単体をディスク送り込み方向に対して後退させ前記位置決部材から離して前記ディスクの中心穴が前記ディスク嵌合部と嵌合するとともに前記ターンテーブルにより押し上げられたクランパとターンテーブルによりディスクをクランプするように構成したディスク装置のローディング機構。
【請求項2】
前記再生ユニットシャーシは弾性部材によりサブシャーシに浮動状態に支持されており、前記駆動手段は前記サブシャーシを介して前記再生ユニットシャーシを駆動する請求項1のディスク装置のローディング機構。
【請求項3】
前記駆動手段は前記サブシャーシをシャーシに対して1の軸回りに回動させる請求項2のディスク装置のローディング機構。
【請求項4】
前記クランパは前記シャーシに固定された部材を挿通するように前記シャーシに固定された部材に載置されている請求項1から3のいずれかに記載したディスク装置のローディング機構。
【請求項5】
前記クランパとターンテーブルは磁力によりディスクを挾持してクランプする請求項1から4のいずれかに記載されたディスク装置のローディング機構。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−293962(P2007−293962A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−118756(P2006−118756)
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月24日(2006.4.24)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】
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