説明

ディスク装置のローディング機構

【課題】大径ディスクと小径ディスクとでクランプ動作等を行うトリガー部材の動作位置が同じであり、クランプ動作等を行う機構が簡単となり、位置精度も高くすることができ、クランプ動作等の誤動作が防止されるローディング機構。
【解決手段】トッププレートにディスク挿入方向に摺動可能に支持された第1のスライダと、第1のスライダにディスク挿入方向と直角方向に摺動可能に支持され、互いに反対方向に移動する第2のスライダおよび第3のスライダと、第2のスライダおよび第3のスライダに夫々支持されディスクの挿入方向前側縁と当接しディスクの上下方向位置を規制する一対のディスク前側ガイド部材とを設け、小径ディスクが挿入されたときは前側ガイド部材はガイド溝の直線部に案内され、大径ディスクが挿入されたときは、ガイド溝の傾斜部に案内され第1のスライダはトッププレートに設けられたストッパと当接して停止してトリガー部材を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はディスク装置に係わり、特に、大径ディスクおよび小径ディスクを同一のターンテーブルにクランプさせるローディング機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車載用ディスクプレーヤ等のディスク装置で大径ディスクである12cmCDおよび小径ディスクである8cmCDの双方を前面のスロットから挿入してローディングするスロットイン方式のローディング機構が知られている。
【0003】
図11〜図15によりそのような従来のローディング機構の例を説明する。図11は従来のディスク装置のローディング機構の例を示す分解斜視図である。図11に示すシャーシ1とカバー板金5の内部にディスクを再生する再生機構2およびローディング機構4が収容されて保持されている。ローラ機構3はローディング機構4の前側に配置され装置前面のスロットから挿入された12cmCDまたは8cmCDをローディング機構4に送り込む。
【0004】
次に、図12および図13により12cmCDをローディングするときの動作を説明する。図12は12cmCD18aをローディングする途中の状態を示す。12cmCDが図11に示すローラ機構3により送られると、ローディング機構4のシャーシに回動自在に支持され、夫々引っ張りコイルばね8および9により回動付勢されているアーム6および7は、それに立設されたピンが12cmCD18aに押され、反時計方向および時計方向に回動される。これにより12cmCD18aのセンタリングが行われる。
【0005】
さらに、12cmCD18aが前進すると、同様に引っ張りコイルばね12により夫々反時計方向および時計方向に付勢されているアーム10およびアーム11が夫々時計方向および反時計方向に回動され、12cmCD18aのセンタリングされる。なお、アーム11の溝11aに係合しているアーム10のピン10aによりアーム10および11は連動して回動する。
【0006】
通常はアーム10はそのピン10bがアーム13の凹部13aと係合して回動しないようにロックされている。従って、アーム11もロックされている。なお、アーム13のピン13bはローディング機構のシャーシの長穴に係合しており、アーム13は引っ張りコイルばね13dにより反時計方向に回動付勢されている。
【0007】
アーム14の軸14aはアーム11の穴に嵌合し、さらに、アーム14のピン14bがスライダ15の溝15aに嵌合している。スライダ15は引っ張りコイルばね16により図示していないギヤと噛み合わないように奥側に引き寄せられている。
【0008】
12cmCD18aがローデロィングされる場合は、12cmCD18aの外周縁がアーム13のピン13bを押すことによりアーム10のピン10bを係止していた凹部13aがピン10bから外れ、上記したようにアーム10および11が回動する。
【0009】
図13は12cmCD18aがクランプ開始位置まで前進した状態を示す。このときは12cmCD18aの外周縁でアーム11のピンが押されることによりアーム11が回動して、アーム14のピン14bがスライダ15の溝15aの端を押すことによりスライダ15が左方向に移動してスライダ15に設けられたラックが図示していないギヤと噛み合うようになる。
【0010】
そして、スライダ15がギヤにより左方向に送られ、スライダ15の溝15bに係合しているクランパプレート17のピンを押して、クランパプレート17を回動させ図示していないクランパを下げて12cmCD18aをクランプする。
【0011】
次に、図14および図15により8cmCDをローディングするときの動作を説明する。図14は8cmCDのローデング途中の状態を示す平面図、図13は同ディスク装置における8cmCDのローディング終了状態を示す平面図である。
【0012】
8cmCDが図11に示すローラ機構3により送られると、図14に示すようにアーム6および7は、それに立設されたピンが8cmCD18bに押され、反時計方向および時計方向に回動される。これにより8cmCD18bのセンタリングが行われる。しかしながら、8cmCD18bの外径が小さいため、8cmCD18bの外周縁がアーム13のピン13bを押すことがなく、アーム10のピン10bを係止している凹部13aがピン10bから外れず、アーム10および11がロックされたままとなる。
【0013】
図15は8cmCD18bがさらに前進してクランプ開始位置に到達した状態を示す。このときアーム10およびアーム11のロックが解除されていないため、前進した8cmCD18bの外周縁がアーム14のピン14cを押すことによりアーム14は回動してアーム14のピン14bがスライダ15の溝15aの端を押すことによりスライダ15が左方向に移動してスライダ15に設けられたラックが図示していないギヤと噛み合うようになる。これにより、8cmCD18bが再生位置にきた状態で、12cmCD18aの場合と同様にスライダ15を駆動させてクランプ動作が行われる。
【0014】
特開平8−7433号公報に開示された光ディスクのローディング機構は、8cmCDがローディングされるときは、回転板18、19は8cmCDにより回動されずスライド板17が前進した位置で8cmCDを停止させる。
【0015】
12cmCDがローディングされるときは、回転板18、19は12cmCDにより回動され、スライド板17が12cmCD押されて後退した位置で12cmCDを停止させる。このように8cmCDおよび12cmCDの双方がターンテーブル12でクランプされる位置に停止する。
【0016】
特開2000−90531号公報に開示されたディスクプレーヤは、8cmCDがローディングされるときは、第1ディスク検知レバー28が大きく回動しないため切換スライダ110のロックが解除されず切換スライダ110が前進した位置で切換スライダ110のストッパピン123、123で8cmCDを停止させる。
【0017】
12cmCDがローディングされるときは、第1ディスク検知レバー28が大きく回動し切換スライダ110のロックが解除され、切換スライダ110が12cmCDに押され後退した位置で切換スライダ110のストッパピン123、123で12cmCDを停止させる。
【特許文献1】特開平8−7433号公報、段落0036〜0046、段落0043〜0049、段落0054〜0055、図1、図4、図7、図8
【特許文献2】特開2000−90531号公報、段落0016〜0017、段落0029〜0042、図4〜、図14
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記した従来のディスク装置のローディング機構はディスクを停止させる部材の位置が8cmCDをローディングしているときと、12cmCDをローディングしているときとで変わる。そして、ディスクを停止させる部材によりクランプ動作を開始させるトリガー開始部材を動作させるので、トリガー開始部材も8cmCDをローディングしているときと12cmCDをローディングしているときとでその位置を変えることとなりクランプ動作を開始させる機構が複雑となる。
【0019】
また、8cmCDはディスクを停止させる部材に接触すると、直ちに停止するので、8cmCDの前縁を停止位置まで上下方向の位置を規制してガイドする部材がない。そのため、ディスクの高さ方向(上下方向)の位置が不安定となり、ターンテーブル、クランパ等内部のディスク移動路近傍の部材とディスクが当たり、ディスクの搬送が妨げられたり、ディスクが傷つけられる恐れがあった。
【0020】
なお、搬送中のディスクの上下位置を規制するためにディスクの上面および下面と当接するディスクガイドを設けると、ディスク面が擦れて傷がつき、さらに、装置の構造が複雑となるという問題が発生する。
【0021】
また、ディスクを停止させる部材はディスクを挿入する前に必ず8cmCDを停止させる位置にロックされていなければならず、位置がずれていると、8cmCDを挿入したときにディスクがクランプ位置よりも奥に入ってしまい、送りローラとディスクが離れてディスクを取出すことができなくなるという問題が発生する。
【0022】
この発明は上記した問題点を解決するためになされたものであって、ディスクの前側部分の上下位置を規制する部材がディスクと当接状態で前進してディスクをガイドし、大径ディスクおよび小径ディスクの双方に対して同じ位置で停止することによりクランプ動作を開始させるトリガー開始部材を動作させるディスク装置のローディング機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この発明のディスク装置のローディング機構は、シャーシと一体のトッププレートと、前記トッププレートにディスク挿入方向に摺動可能に支持された第1のスライダと、前記第1のスライダにディスク挿入方向と直角方向に摺動可能に支持され、互いに反対方向に移動する第2のスライダおよび第3のスライダと、前記第2のスライダおよび第3のスライダに夫々支持されディスクの挿入方向前側縁と当接しディスクの上下方向位置を規制する一対のディスク前側ガイド部材と、前記第1のスライダを前側に付勢する第1の付勢部材と、前記第2のスライダおよび第3のスライダを夫々中心方向に付勢する第2の付勢部材と、前記トッププレートに設けられディスク挿入方向に延びる直線部と前記直線部から分岐され外側方向に延びる傾斜部とを有し前記ディスク前側ガイド部材を案内する1対のガイド溝とを有し、小径ディスクが挿入されたときは前記前側ガイド部材は前記直線部に案内され、大径ディスクが挿入されたときは前記前側ガイド部材は前記傾斜部に案内され前記第1のスライダは前記トッププレートに設けられたストッパと当接して停止し、前記第1のスライダが停止することによりディスククランプ動作を起動するトリガー部材が作動するように構成したものである。
【0024】
また、前記ディスク装置のローディング機構において、前記前側ガイド部材を前記第2のスライダおよび第3のスライダに回転自在に支持された鼓形のローラとしたものである。
【0025】
また、前記各ディスク装置のローディング機構において、前記第2のスライダおよび第3のスライダの少なくとも一方に回動自在に支持されたアームに立設されたピンが前記第1のスライダに設けられディスク挿入方向と直角方向に延びる直線部と前記直線部から円弧状に延びる係止部とを有するガイド溝を挿通しており、大径ディスクが挿入されたときはディスク周囲縁により前記アームを回動させて前記ピンを前記円弧状に延びる係止部から前記直線部に移動させて前記第2のスライダおよび第3のスライダの前記第1のスライダへのロックが解除されるものである。
【0026】
また、前記各ディスク装置のローディング機構において、先端方向に先細の送りローラと前記送りローラと対抗する位置に配置され前記送りローラと連動して互いに近接する方向または離れる方向に移動可能でありディスクの上下方向位置を規制する従動ローラとによりディスクを挟んで再生位置方向に送り込むものである。
【0027】
また、前記各ディスク装置のローディング機構において、前記第1のスライダを前側に付勢する第1の付勢部材がばねで回動付勢されたレバーで構成されており、前記レバーにより前記トリガー部材を作動させるように構成したものである。
【0028】
さらに、前記各ディスク装置のローディング機構において、前記第1のスライダが前記トッププレートに設けられたストッパと当接して停止したときにディスクはターンテーブルでクランプされる位置よりディスク挿入方向奥側に僅かに移動しており、前記ターンテーブルが上昇してディスクを挿入方向前側に誘い込んでクランプした後、前記クランプ動作に伴い前記ディスク前側ガイド部材をディスクと当接させた状態でディスク挿入方向前側に後退した前記第1のスライダを前記トリガー部材により起動された部材によりディスク挿入方向奥側に再度動作させて前記ディスク前側ガイド部材をディスクから離すように構成したものである。
【発明の効果】
【0029】
この発明のディスク装置のローディング機構によれば、ディスクが送りローラおよび押えローラと従動ローラによりディスクの挿入方向前側縁がディスクの上下方向位置を規制する一対のディスク前側ガイド部材と当接するまでは送りローラ、押えローラ、従動ローラおよびディスクが軽く接触する挿入口の上面で上下位置が規制される。
【0030】
そして、前記ディスク前側ガイド部材と当接し再生位置まで送られる間は送りローラ、押えローラと従動ローラおよび前記ディスク前側ガイド部材で上下位置が規制されるので、ディスクの上下の面がターンテーブル、ガイド部材等と強く接触することがなく傷付けられる恐れがない。また、装置内部にディスクの上下方向のガイド部材を設ける必要がないので構造が簡単である。
【0031】
さらに、第1のスライダが8cmCDと12cmCDとで同一位置で停止して、クランプ動作を開始させるトリガー部材を動作させるので、トリガー部材の動作位置が同じであり、クランプ動作等を行う機構が簡単となり、また、位置精度も高くすることができ、クランプ動作等の誤動作が防止される。そして、小径ディスクがディスク送り部材から外れ装置内部に落ち込み取出せなくなる恐れがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下この発明を実施するための最良の形態を実施例に即して説明する。
【実施例1】
【0033】
図1はこの発明の実施例であるディスク装置のローディング機構を示す分解斜視図である。図1に示すシャーシ19は機構全体を保持するものでその前面(左前方)にはディスクを挿入・排出するための切り欠きが設けられている。
【0034】
シャーシ19のディスクの挿入口側の左方には送りローラ20がギヤ21の固着された駆動軸22に左右方向移動自在かつ回転が伝えられるように嵌合しており、スライダ23によりその左右方向の位置が規制される。ギヤ21にはモータ25により駆動される図示していないギヤ列が噛み合っており、送りローラ20はギヤ21および駆動軸22を介してモータ25により回転駆動される。
【0035】
スライダ23には押さえローラ24が送りローラ20に圧接されるように付勢されて回転自在に支持されている。スライダ27はスライダ23と対向するように配置されスライダ27とスライダ23は互いに逆方向に移動するようにシャーシ19に支持されている。すなわち、スライダ27とスライダ23の間で回転可能にシャーシ19に支持されたギヤ28はスライダ27とスライダ23の互いに対向するラックと噛み合っている。
【0036】
鼓形の従動ローラ26は押さえローラ24および送りローラ20と対向する位置でスライダ27に回転可能に支持されている。スライダ27とシャーシ19の間に掛け渡された引っ張りコイルばね29はスライダ27を図示の左方向に付勢しており、従って従動ローラ26は押さえローラ24および送りローラ20と互いに近付く方向に付勢され、その間に挿入されたディスクの外縁を上下方向位置を規制するように挾持する。
【0037】
トッププレート39はシャーシ19の上端に固定され、中央部に前後方向に延びる溝39b、両端部に前後方向に延びる溝39a、39aと溝39bの両側に直線部と前記直線部から分岐され外側方向に延びる傾斜部とを有するガイド溝39c、39cが設けられている。
【0038】
第1のスライダ34はそのピン34d、34dが溝39a、39aと係合してトッププレート39に前後方向移動自在に支持されている。第1のスライダ34の後方位置はトッププレート39に設けられたストッパ39d、39dにより規制される。
【0039】
第3のスライダ33は第2のスライダ32と対向するように配置され第3のスライダ33と第2のスライダ32は互いに逆方向に移動するように第1のスライダ34に支持されている。すなわち、第3のスライダ33と第2のスライダ32の間で回転可能に第1のスライダ34に支持されたギヤ35は第3のスライダ33と第2のスライダ32の互いに対向するラックと噛み合っている。
【0040】
第2のスライダ32に立設されたピン32aは第1のスライダ34の溝34cを挿通し、鼓形のローラ30を回転自在に支持している。第3のスライダ33に立設されたピン33aは第1のスライダ34の溝34cを挿通し、鼓形のローラ31が回転自在に支持されている。第3のスライダ33と第1のスライダ34の間に掛け渡された引っ張りコイルばね36は第3のスライダ33を図示の左方向に付勢しており、従って、ローラ31とローラ30は互いに遠ざかる方向に付勢され、その間に挿入されたディスクの外縁を上下方向位置を規制するように挾持する。
【0041】
第2のスライダ32に回動自在に支持され、捩じりコイルばね38で時計方向に付勢されているアーム37のピン37aは第1のスライダ34の直線部から円弧状に延びる係止部を有するガイド溝34aを挿通している。
【0042】
軸40cの上下に上側レバーおよび下側レバーが固着されているレバー40は軸40c回りに回動自在にシャーシ19に支持され、捩じりコイルばね41により反時計方向に付勢され、上側レバーに設けられた溝40aには第1のスライダ34に立設され、トッププレート39の溝39bを挿通したピン34bが挿通している。下側レバーにはピン40bが下方に立設されている。
【0043】
再生ユニットシャーシ49にはディスクモータが固定され、ディスクモータの回転軸にはボールクランプによるセルフチャッキング方式(クランパを必要とせずディスクの中心穴に挿通される円筒形状部の側面の窓からばねで突出するように付勢された複数のボールとターンテーブル面とでディスクを挾持するもので、例えば、特開平5−151675号公報に開示されている)のターンテーブル49cが固着されている。再生ユニットシャーシ49はさらに図示していない光ピックアップおよびその駆動機構を保持している。
【0044】
再生ユニットシャーシ49はその両側面の後方に軸49b、49bが立設され、軸49b、49b回りに回動自在にシャーシ19に支持されている。再生ユニットシャーシ49の前面にはシャーシ19の裏側に配置されたスライダ42のカム溝42b、42bを挿通するピン49a、49aが立設されている。
【0045】
スライダ42はシャーシ19に左右方向に移動可能に支持され、引っ張りコイルばね47により右方向に付勢され、通常はスライダ42のラック42aはモータ25により図示していないギヤ列を介して回転駆動されるギヤ43と噛み合わない位置にある。
【0046】
スライダ42と対向する位置にスライダ44がシャーシ19に左右方向に移動可能に支持されている。スライダ42とスライダ44の間にシャーシ19に回動自在に支持されたレバー45の夫々のピンは夫々スライダ42の溝42cおよびスライダ44の溝44bを挿通しており、スライダ44はスライダ42により駆動される。スライダ44にはスライダ27と当接するピン44cが立設されている。レバー46はシャーシ19により回転自在に支持され、引っ張りコイルばね48により時計方向に付勢されている。
【0047】
次に、上記構成のディスク装置のローディング機構の動作を説明する。図2は上記ローディング機構にディスクが挿入される前の状態を示し、図3〜図6は上記ローディング機構に12cmCD18aをローディングする各段階を順次示している。
【0048】
ディスクが挿入される前では図2に示すように、送りローラ20および従動ローラ26はスライダ23およびスライダ27がギヤ28により連動し、引っ張りコイルばね29で付勢されていることにより内側に寄せられている。
【0049】
奥側のローラ30、31は第2のスライダ32および第3のスライダ33がギヤ35により連動し、引っ張りコイルばね36で付勢されているが、トッププレート39の溝39cで開かないように規制されている。第1のスライダ34はレバー40により挿入口方向に付勢され最前進位置で図示いないストッパに圧接されている。また、アーム37は第1のスライダ34のガイド溝34aの係止部に係合している。
【0050】
図3は12cmCD18aを挿入し、送りローラ20および押さえローラ24と従動ローラ26とにより送られ奥側のローラ30とローラ31に当接した状態を示す。ディスクを筐体前面にスリット状に形成された挿入口から差し込み図示していないディスク検出スイッチが作動すると送りローラ20はディスク引き込み方向に回転し、デイスクと接触すると同時にディスクを引き込んで奥側に送る。すなわち、図3に示す状態となる。
【0051】
この間、12cmCD18aは送りローラ20および押さえローラ24と従動ローラ26とにより送られ、送りローラ20および押さえローラ24と従動ローラ26はスライダ23およびスライダ27がギヤ28により連動することにより外側に開く。
【0052】
そして、12cmCD18aの外縁が奥側のローラ30とローラ31に当接状態となると第2のスライダ32および第3のスライダ33を介して第1のスライダ34を奥側に押すが奥側のローラ30とローラ31はトッププレート39のガイド溝39c、39cの直線部にあるため第2のスライダ32および第3のスライダ33は外側に開くことができず、第1のスライダ34と一体に移動する。しかしながらアーム37のピン37aは12cmCD18aの外縁に押されてガイド溝34aの直線部まで移動しており、第2のスライダ32および第3のスライダ33の第1のスライダ34に対するロック状態は解除されている。
【0053】
図4は奥側のローラ30とローラ31がトッププレート39のガイド溝39c、39cの分岐部を越えて奥側に移動している状態を示す。分岐部では第2のスライダ32および第3のスライダ33が引っ張りコイルばね36により外側に付勢され、第1のスライダ34に対するロック状態が解除されているため、ガイド溝39c、39cの外側傾斜部に導かれるようになる。そして、第1のスライダ34が奥側に移動することにより、レバー40は第1のスライダ34のピン34bで時計方向に回動される。
【0054】
図5は、さらに、12cmCD18aがクランプ開始位置まで奥側に送られ、第1のスライダ34がトッププレート39のストッパ39d、39dと当接して停止した状態を示している。このときレバー40の時計方向の回動によりピン40bがスライダ42の右端を押して、スライダ42のラック42aがギヤ43と噛み合うようになる。なお、12cmCD18aはターンテーブル49cの真上より僅かに奥側に送られているが、ターンテーブル49cが誘い込める位置にある。
【0055】
図6は、12cmCD18aがクランプされ再生状態となった状態を示している。すなわち、スライダ42のラック42aがギヤ43と噛みあいラック42aがギヤ43により左方向に送られると、図1に示すスライダ42のカム溝42b、42bが再生ユニットシャーシ49のピン49a、49aを押上げ、再生ユニットシャーシ49が軸49b、49b回りに回動する。
【0056】
すると、ターンテーブル49cが上昇して、そのボールが転がってディスクの上側に位置するようになり、ボールとターンテーブル49cの上面でディスクを挾持する。このときディスクは押えローラ24、従動ローラ26、ローラ30およびローラ31によりターンテーブル49cで持ち上げられないように上方への動きが規制されている。
【0057】
その後、スライダ42がさらに所定距離左方向に送られると、スライダ42の溝42cの端でレバー45のピンを押し、レバー45が反時計方向に回動され、レバー45のピンでスライダ44の溝44bを押してスライダ44が右方向に移動される。
【0058】
そして、スライダ44のラック44aがギヤ43と噛み合うと、スライダ44がギヤ43により右方向に送られ、そのピン44cでスライダ27を右方向に移動させ、それと連動するスライダ23を左方向に移動させる。さらに、スライダ44がレバー46のピンを押すことによりレバー46は反時計方向に回動して、レバー46のピンがレバー40を押してレバー40を捩じりコイルばね41の弾力に抗して時計方向に回動させる。
【0059】
上記の動作により送りローラ20、押えローラ24、従動ローラ26、ローラ30およびローラ31がディスクから離れディスク、すなわち、この場合12cmCD18aはターンテーブル49cにより回転駆動される再生状態となる。ディスクを装置から排出するアンローディング動作はモータ25を逆回転させ、ギヤ43およびギヤ21を上記と逆方向に回転させることにより行われる。
【0060】
図7〜図9は上記ローディング機構に8cmCD18bをローディングする各段階を順次示している。図7は8cmCD18bが奥側のローラ30およびローラ31に当接した状態を示している。
【0061】
このとき、アーム37は8cmCD18bにより十分に回動されてないためそのピン37aがガイド溝34aの円弧部にとどまり、第2のスライダ32および第3のスライダ33は外側に開くことができず、第1のスライダ34に対しては、ロックされた状態となっている。
【0062】
この状態では図8に示すように、ローラ30およびローラ31は外側に開くことができず、トッププレート39のガイド溝39c、39cの直線部にガイドされ、スライダ34と一体に奥側に送られる。
【0063】
図9は第1のスライダ34がトッププレート39のストッパ39d、39dと当接して停止した状態を示している。このとき第1のスライダ34は12cmCD18aのローディングのときと同様のクランプ開始位置にあり、以下、12cmCD18aと同様に8cmCDが再生状態となり、また、アンローディング動作が行われる。
【0064】
図10に12cmCD18aをローディングするときと、8cmCD18bをローディングするときとでのディスクがローラ30およびローラ31に当接した直後のアーム37を2位置で示している。12cmCD18aではアーム37のピン37aは8cmCD18bのときよりAの距離だけ奥側に送られている。
【0065】
このことによりローラ30およびローラ31がトッププレート39のガイド溝39c、39cの直線部または外側傾斜部にガイドされるかが決定され、いずれの場合も第1のスライダ34は同一の位置で停止してクランプ動作等が開始される。
【0066】
上記した実施例のディスク装置のローディング機構では、ディスクが送りローラ20、押えローラ24と従動ローラ26により奥側のローラ30およびローラ31と当接するまでは送りローラ20、押えローラ24およびディスクが軽く接触する挿入口の上面で上下位置が規制される。
【0067】
そして、奥側のローラ30およびローラ31と当接し再生位置まで送られる間は送りローラ20、押えローラ24と従動ローラ26および奥側のローラ30およびローラ31で上下位置が規制されるので、ディスクの上下の面がターンテーブル、ガイド部材等と強く接触することがなく傷付けられる恐れがない。また、装置内部にディスクの上下方向のガイド部材を設ける必要がないので構造が簡単である。
【0068】
さらに、第1のスライダ34がクランプ動作を開始させるトリガー部材を8cmCDと12cmCDとで同一位置で動作させるので、トリガー部材の動作位置が同じであり、クランプ動作等を行う機構が簡単となり、また、位置精度も高くすることができ、クランプ動作等の誤動作が防止される。
【0069】
実施例は以上のように構成されているが発明はこれに限られず、例えば、クランプ動作等を行う機構は他の周知の機構を用いてもこの発明の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】この発明の実施例であるディスク装置のローディング機構を示す分解斜視図である。
【図2】同ディスク装置を示す平面図である。
【図3】同ディスク装置に12cmCDを挿入した直後の状態を示す平面図である。
【図4】同ディスク装置の12cmCDのローデング途中の状態を示す平面図である。
【図5】同ディスク装置において12cmCDが停止位置まで送り込まれた状態を示す平面図である。
【図6】同ディスク装置における12cmCDのローディング終了状態を示す平面図である。
【図7】同ディスク装置に8cmCDを挿入した直後の状態を示す平面図である。
【図8】同ディスク装置の8cmCDのローデング途中の状態を示す平面図である。
【図9】同ディスク装置において8cmCDが停止位置まで送り込まれた状態を示す平面図である。
【図10】同ディスク装置の動作を説明するための平面図である。
【図11】従来のディスク装置のローディング機構の例を示す分解斜視図である。
【図12】同ディスク装置の12cmCDのローデング途中の状態を示す平面図である。
【図13】同ディスク装置における12cmCDのローディング終了状態を示す平面図である。
【図14】同ディスク装置の8cmCDのローデング途中の状態を示す平面図である。
【図15】同ディスク装置における8cmCDのローディング終了状態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 シャーシ
2 再生機構
3 ローラ機構
4 ローディング機構
5 カバー板金
6 アーム
7 アーム
8 引張りコイルばね
9 引張りコイルばね
10 アーム、10a ピン、10b ピン
11 アーム、11a 溝
12 引張りコイルばね
13 アーム、13a 凹部、13b ピン
13d 引っ張りコイルばね
14 アーム、14a 軸、14b ピン、14c ピン
15 スライダ、15a 溝、15b 溝
16 引張りコイルばね
17 クランパプレート
18a 12cmCD、18b 8cmCD
19 シャーシ
20 送りローラ
21 ギヤ
22 駆動軸
23 スライダ
24 押えローラ
25 モータ
26 従動ローラ
27 スライダ
28 ギヤ
29 引張りコイルばね
30 ローラ
31 ローラ
32 第2のスライダ、32a ピン
33 第3のスライダ、33a ピン
34 第1のスライダ、34a ガイド溝、34b ピン、34c 溝、34d ピン 35 ギヤ
36 引張りコイルばね
37 アーム、37a ピン
38 捩じりコイルばね
39 トッププレート、39a 溝、39b 溝、39c ガイド溝
39d ストッパ
40 レバー、40a 溝、40b ピン、40c 軸
41 捩じりコイルばね
42 スライダ、42a ラック、42b カム溝、42c 溝
43 ギヤ
44 スライダ、44a ラック、44b 溝、44c ピン
45 レバー
46 レバー
47 引張りコイルばね
48 引張りコイルばね
49 再生ユニットシャーシ、49a ピン、49b 軸、49c ターンテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャーシと一体のトッププレートと、前記トッププレートにディスク挿入方向に摺動可能に支持された第1のスライダと、前記第1のスライダにディスク挿入方向と直角方向に摺動可能に支持され、互いに反対方向に移動する第2のスライダおよび第3のスライダと、前記第2のスライダおよび第3のスライダに夫々支持されディスクの挿入方向前側縁と当接しディスクの上下方向位置を規制する一対のディスク前側ガイド部材と、前記第1のスライダを前側に付勢する第1の付勢部材と、前記第2のスライダおよび第3のスライダを夫々中心方向に付勢する第2の付勢部材と、前記トッププレートに設けられディスク挿入方向に延びる直線部と前記直線部から分岐され外側方向に延びる傾斜部とを有し前記ディスク前側ガイド部材を案内する1対のガイド溝とを有し、小径ディスクが挿入されたときは前記前側ガイド部材は前記直線部に案内され、大径ディスクが挿入されたときは前記前側ガイド部材は前記傾斜部に案内され前記第1のスライダは前記トッププレートに設けられたストッパと当接して停止し、前記第1のスライダが停止することによりディスククランプ動作を起動するトリガー部材が作動するように構成したディスク装置のローディング機構。
【請求項2】
前記前側ガイド部材は前記第2のスライダおよび第3のスライダに回転自在に支持された鼓形のローラである請求項1のディスク装置のローディング機構。
【請求項3】
前記第2のスライダおよび第3のスライダの少なくとも一方に回動自在に支持されたアームに立設されたピンが前記第1のスライダに設けられディスク挿入方向と直角方向に延びる直線部と前記直線部から円弧状に延びる係止部とを有するガイド溝を挿通しており、大径ディスクが挿入されたときはディスク周囲縁により前記アームを回動させて前記ピンを前記円弧状に延びる係止部から前記直線部に移動させて前記第2のスライダおよび第3のスライダの前記第1のスライダへのロックが解除される請求項1または2のディスク装置のローディング機構。
【請求項4】
先端方向に先細の送りローラと前記送りローラと対抗する位置に配置され前記送りローラと連動して互いに近接する方向または離れる方向に移動可能でありディスクの上下方向位置を規制する従動ローラとによりディスクを挟んで再生位置方向に送り込む請求項1から3のいずれかに記載したディスク装置のローディング機構。
【請求項5】
前記第1のスライダを前側に付勢する第1の付勢部材がばねで回動付勢されたレバーで構成されており、前記レバーにより前記トリガー部材を作動させるように構成した請求項1から4のいずれかに記載したディスク装置のローディング機構。
【請求項6】
前記第1のスライダが前記トッププレートに設けられたストッパと当接して停止したときにディスクはターンテーブルでクランプされる位置よりディスク挿入方向奥側に僅かに移動しており、前記ターンテーブルが上昇してディスクを挿入方向前側に誘い込んでクランプした後、前記クランプ動作に伴い前記ディスク前側ガイド部材をディスクと当接させた状態でディスク挿入方向前側に後退した前記第1のスライダを前記トリガー部材により起動された部材によりディスク挿入方向奥側に再度動作させて前記ディスク前側ガイド部材をディスクから離すように構成した請求項1から5のいずれかに記載したディスク装置のローディング機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−21381(P2008−21381A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193687(P2006−193687)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】