説明

ディスク装置

【課題】 ディスクが装填位置から搬出される途中で、ディスクが強引に引き抜かれたようなときに、誤検知が生じるのを防止できる「ディスク装置」を提供する。
【解決手段】 ディスクDの外周縁により動作させられる一対の回動アーム11,12と、この回動アーム11,12の回動動作を検知するスイッチSW2,S3と、さらに回動アーム12で動作させられるスイッチSW1と、ディスクDが装填位置にあることを検知するスイッチSW4が設けられている。ディスクの搬出動作では、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4の出力の組み合わせを検知するとともに、ディスクDが装填位置から搬出完了位置に至るまでディスクDを検知し続ける光学検知器Phの出力状態を監視することで、ディスクDが強引に引き抜かれた状態を正確に把握できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に形成された挿入口から挿入されたディスクが、搬送機構によって筐体内の所定の装填位置に搬入されるディスク装置に係り、特に、ディスクが筐体内から取り出されたことを正確に判別できるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用などのディスク装置では、筐体の前面に横方向に細長くスリット状に開口する挿入口が設けられている。CD(コンパクト・ディスク)やDVD(ディジタル・バーサタイル・ディスク)などのディスクが、前記挿入口から筐体内に挿入されると、筐体内に設けられた搬送機構によって、ディスクが筐体内に設けられたターンテーブル上に向けて搬入される。また、記録や再生が完了したディスクは、前記搬送機構によって前記挿入口へ向けて搬出される。
【0003】
以下の特許文献1などに記載のディスク装置は、挿入口の内側に一対の回動アームが設けられ、それぞれの回動アームの先部に検知突起が設けられている。挿入口からディスクが挿入されると、このディスクの外周縁に押されて一対の検知突起の間隔が開かれ、それぞれの回動アームが回動する。この回動アームの回動動作をスイッチで検出することで、ディスクが挿入口から挿入されたことを検出でき、またディスクが挿入口から一定寸法だけ突出する位置まで排出されたことを検出できる。さらに、それぞれの回動アームの回動動作により、挿入口から挿入されたのが直径12cmのディスクか直径8cmのディスクであるのかを検出する機能を発揮することもできる。
【特許文献1】特開2002−8291号公報
【特許文献2】特開平11−176069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように挿入口の内側に一対の回動アームが設けられるディスク装置では、ディスクを挿入口に挿入する前は、一対の検知突起の間隔が最短であり、またディスクが筐体内のターンテーブルに装填されたときも、一対の検知突起の間隔が最短になる。つまり、筐体内にディスクが存在していないときと、ターンテーブルにディスクが装填されているときとで、一対の回動アームの姿勢が同じである。よって、この回動アームで動作させられるスイッチの出力状態も同じである。また、ターンテーブル上のディスクが挿入口から一定寸法だけ突出した搬出完了位置まで排出されたときに、一対の検知突起の間隔が途中まで狭くなる。このときの回動アームの回動姿勢がスイッチで検出されて、搬送機構が停止し、ディスクは、その一部が挿入口から突出した姿勢で、停止している搬送機構で保持される。
【0005】
ところが、例えば、ディスクが搬送機能によって挿入口へ向けて搬出されている途中で、手でディスクを掴んで素早く強引に引き抜くなどの異常な動作を行うと、回動アームが瞬時に回動して、検知突起の間隔が最短になる。このときに回動アームの動きが速すぎて、スイッチの出力状態の切り換わりを検知できないなどの誤検出が生じることがある。この場合、ディスク装置の制御部は、ディスクの搬出を開始した直後においても一対の検知突起の間隔が最短であるために、未だディスクが筐体内に残っていると認識することになり、ディスクが筐体内に存在していないにも関わらず、搬送機構が搬出動作を継続し、いつまでもその動作が停止しないという誤動作を生じることが有り得る。
【0006】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、ディスクの搬出動作の際に、ディスクの有無を確実に検知できるようにして、ディスクが素早く引き抜かれて検知器が誤検出状態となったときでも、搬出機構を確実に停止させる制御を行うことが可能なディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の本発明は、挿入口を有する筐体と、前記挿入口から挿入されたディスクを前記筐体内の所定の装填位置まで搬入するとともにディスクを前記装填位置から前記挿入口へ向けて搬出する搬送機構と、
ディスクが装填位置に有るとき、およびディスクが前記挿入口から突出してその一部が筐体の内部に残っている搬出完了位置に至ったときに第1の出力状態となり、ディスクが装填位置から搬出完了位置に向かう途中で、第2の出力状態に切り換えられる第1の検知器と、
装填位置にあるディスクが搬出されて前記搬出完了位置に至るまで、継続してディスクが存在していることを検知できるディスク有無検知器と、
前記第1の検知器と前記ディスク有無検知器の出力状態に応じて前記搬送機構を制御する制御部と、を有しており、
前記制御部は、ディスクが前記装填位置にあるときにディスク搬出要求を受けると、前記搬送機構を搬出方向へ始動させ、
(a)前記第1の検知器が第1の出力状態から第2の出力状態を経て再び第1の出力状態となり、その間、前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知し続けているときに、ディスクが正常に搬出完了位置に至ったと認識して、前記第1の検知器が第2の出力状態から第1の出力状態に切り換わった直後に、またはその後に所定時間が経過したときに前記搬送機構の搬出動作を停止させ、
(b)ディスク搬出動作が正常に行われたと認識する前に、前記第1の検知器が第1の出力状態となり、且つ前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知できない状態が生じたときに、ディスクが前記挿入口から引き抜かれたと判断し、その直後にあるいはその後に所定時間が経過したときに、前記搬送機構の搬出動作を停止させること、
を特徴とするものである。
【0008】
本発明のディスク装置における「装填位置」とは、筐体内のディスク回転駆動部に設けられたターンテーブルにディスクが装填された位置を意味する。あるいは、筐体内に複数のディスクを収納する収納部が設けられているものでは、この収納部に設けられたいずれかのディスク保持トレイにディスクが保持される位置が、ディスクの装填位置である。
【0009】
また第1の本発明は、前記搬送機構が始動した後に、前記第1の検知器が第1の出力状態から第2の出力状態となる前に、前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知できない状態が生じたときに、ディスクが前記挿入口から引き抜かれたと判断する。または、前記搬送機構が始動した後に、前記第1の検知器が第1の出力状態から第2の出力状態となり、その後に第1の出力状態となり、且つ前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知できない状態が生じたときに、ディスクが前記挿入口から引き抜かれたと判断する。
【0010】
第1の本発明では、前記挿入口の内側に設けられて搬入途中または搬出途中のディスクの外周縁に押されて動作する検出体を有し、前記検出体がディスクの外周縁で押されて動作したときに、前記検出体によって前記第1の検知器が第1の出力状態から第2の出力状態に切り換えられるものとして構成できる。
【0011】
第2の本発明は、挿入口を有する筐体と、前記挿入口から挿入されたディスクを前記筐体内の所定の装填位置まで搬入するとともにディスクを前記装填位置から前記挿入口へ向けて搬出する搬送機構と、
ディスクが装填位置に有るときおよびディスクが前記筐体内に存在していないときに第3の出力状態となり、ディスクが装填位置から前記挿入口へ向けて搬出される途中で、第3の出力状態から第4の出力状態に切り換えられる第2の検知器と、
ディスクが装填位置から前記挿入口へ向けて搬出され、ディスクが前記挿入口から突出してその一部が筐体の内部に残っている搬出完了位置に至ったときに第2の出力状態から第1の出力状態に切り換えられる第1の検知器と、
装填位置にあるディスクが搬出されて前記搬出完了位置に至るまで、継続してディスクが存在していることを検知するディスク有無検知器と、
前記第1の検知器と前記第2の検知器および前記ディスク有無検知器の出力状態に応じて前記搬送機構を制御する制御部と、を有しており、
前記制御部は、ディスクが前記装填位置にあるときにディスク搬出要求を受けると、前記搬送機構を搬出方向へ始動させ、
(c)前記第2の検知器が第3の出力状態から第4の出力状態に切り換わり、且つ前記第1の検知器が第2の出力状態から第1の出力状態に切り換わり、その間、前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知し続けているときに、ディスクが正常に搬出完了位置に至ったと認識して、前記第1の検知器が第2の出力状態から第1の出力状態に切り換わった直後に、またはその後に所定時間が経過したときに前記搬送機構の搬出動作を停止させ、
(d)ディスク搬出動作が正常に行われたと認識する前に、前記第1の検知器が第1の出力状態となり、前記第2の検知器が第3の出力状態となり、且つ前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知できない状態が生じたときに、ディスクが前記挿入口から引き抜かれたと判断し、その直後にあるいはその後に所定時間が経過したときに、前記搬送機構の搬出動作を停止させること、
を特徴とするものである。
【0012】
第2の本発明では、前記搬送機構が始動した後に、前記第2の検知器が第3の出力状態から第4の出力状態に切り換わった後に、前記第1の検知器が第1の出力状態となり、前記第2の検知器が第3の出力状態となり、且つ前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知できない状態が生じたときに、ディスクが前記挿入口から引き抜かれたと判断する。
【0013】
また、第2の本発明は、前記挿入口の内側に設けられて搬入途中または搬出途中のディスクの外周縁に押されて動作させられる検出体を有し、前記検出体がディスクの外周縁で押されて動作したときに、この検出体によって、前記第1の検知器が第1の出力状態から第2の出力状態に切り換えられ、同じ検出体によって、第2の検知器が第3の出力状態から第4の出力状態に切り換えられるものとして構成できる。
【0014】
また、第1の本発明と第2の本発明は、前記制御部では、ディスクが正常に搬出完了位置に至ったと認識して、前記搬送機構の搬出動作を停止させた後に、前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知しなくなったときに、正常に搬出完了位置に至ったディスクが、前記挿入口から正常に引き抜かれたと認識するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、第1の検知器や第2の検知器とともに、常にディスクの存在を監視しつづけるディスク有無検知器を設けることにより、ディスクの搬出動作中に、ディスクが手で捕まれて素早く引き抜かれたときにも、ディスクが筐体の内部に存在していないことを確実に検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1ないし図6は、本発明の実施の形態のディスク装置でのディスクの搬出動作を示す平面図である。
【0017】
図1ないし図6に示すこのディスク装置1は直方体の筐体2を有している。筐体2は金属板で形成されて、前面2aと後面2bおよび右側面2cと左側面2dを有している。さらに底面と天井面を有している。筐体2の前面2aの前方には、図示しない合成樹脂製のノーズ部が取り付けられており、このノーズ部および前記前面2aに左右方向に細長いスリット状態の挿入口が開口している。
【0018】
前記挿入口から挿入されるディスクDは、CDやDVDなどであり、直径が12cmである。
【0019】
筐体2の内部では、前面2aの内側に一対の搬送ローラ3a,3bが設けられている。搬送ローラ3aと搬送ローラ3bは互いに平行であり、さらに前記前面2aと平行に配置されている。搬送ローラ3a,3bの上には摩擦係数の低い合成樹脂材料で形成された対向部材が設けられ、搬送ローラ3a,3bは、ばねの力で対向部材に向けて弾圧付勢されている。挿入口から挿入されたディスクDは、搬送ローラ3a,3bと対向部材とで挟まれ、図10に示す搬送モータMrの動力で搬送ローラ3a,3bが回転駆動されて、ディスクDが搬送される。この実施の形態では、搬送ローラ3a,3bと対向部材および搬送モータMrとで搬送機構が構成されている。
【0020】
筐体2のほぼ中心部に回転駆動部4が設けられている。この回転駆動部4には、底面側にスピンドルモータが設けられ、このスピンドルモータの回転軸にターンテーブルが固定されている。ターンテーブルの上にはクランパ5が対向している。クランパ5はクランプアーム6の先部に回転自在に支持されている。クランプアーム6の基部は、筐体2の後面2bの内側に設けられた軸7a,7bに回転自在に支持されている。
【0021】
クランプアーム6は、クランパ5がターンテーブルに圧接される方向へスプリングにより付勢されている。ディスクDの装填を待機するときには、図示しないクランプ解除部材によりクランプアーム6が持ち上げられて、クランパ5がターンテーブルから離れ、非クランプ状態となっている。
【0022】
挿入口から挿入されるディスクDが、搬送ローラ3a,3bと対向部材とで挟持されて筐体2の内方へ搬入され、ディスクDの中心穴が、ターンテーブルおよびクランパ5の中心に一致すると、クランプアーム6の持ち上げが解除されてクランプアーム6がスプリングで付勢されて、ディスクDの中心穴が、ターンテーブルとクランパ5と挟まれてクランプされる。ディスクDがターンテーブルとクランパ5とで挟持可能な位置まで搬入された時点では、ディスクDが搬送ローラ3a,3bと対向部材とで挟持されている。そして、ディスクDがターンテーブルとクランパ5とで挟持された後に、搬送ローラ3a,3bがディスクDから離れる位置へ下降し、ターンテーブルの回転力でディスクDを回転駆動できるようになる。そして、回転中のディスクDに対向する図示しない光ヘッドが、ディスクDの記録面に沿って移動し、ディスクDに記録されている情報が読取られ、あるいはディスクDに情報が記録される。
【0023】
この実施の形態のディスク装置1では、図1に示すように、ディスクDの中心穴が、ターンテーブルとクランパ5とで挟持可能な位置まで搬入されたときに、ディスクDが装填位置となる。
【0024】
図1に示すように、筐体2の天井面には、一対の回動アーム11と12が設けられている。右側の回動アーム11は軸17によって天井面に回動自在に支持されており、回動アーム11はスプリング15により時計方向へ付勢されている。左側の回動アーム12は軸18によって天井面に回動自在に支持されており、回動アーム12はスプリング16により反時計方向へ付勢されている。
【0025】
右側の回動アーム11の先部には検出体13が固定され、左側の回動アーム12の先部には検出体14が固定されている。検出体13と検出体14は丸棒形状の突起であり、前面2aに開口する挿入口の内側に対向している。図1に示すように、ディスクDが筐体2内の装填位置にあり、回転駆動部4にクランプされているときに、検出体13と検出体14との対向間隔が最も接近している。また、検出体13と検出体14は図1に示す対向間隔が最短であり、回動アーム11はそれ以上は時計方向へ回動しないように規制されており、回動アーム12はそれ以上は反時計方向へ回動しないように規制されている。
【0026】
また、ディスクDが筐体2の内部に存在していないときも、検出体13と検出体14は、その対向間隔が最短である。
【0027】
図2ないし図6に示すように、ディスクDが搬出されているとき、およびディスクDが搬入されているときは、ディスクDの外周縁で検出体13と検出体14が押されて、検出体13と検出体14の間隔が広げられる。
【0028】
図1に示すように、筐体2の天井面にはスイッチ基板20が設けられ、このスイッチ基板20に複数のスイッチが搭載されている。
【0029】
スイッチ基板20の左側には、第1の検知器としてスイッチSW1が設けられている。左側の回動アーム12には、第1のスイッチ押圧部12aが設けられている。図1に示すように、検出体13と検出体14とが最も接近しているとき、第1のスイッチ押圧部12aがスイッチSW1のアクチュエータ部から離れている。よって、第1の検知器であるスイッチSW1はOFFである。スイッチSW1がOFFのときが第1の出力状態であり、図7に示すタイムチャートと図8と図9に示すフローチャートでは、スイッチSW1の第1の出力状態を「L」で示している。
【0030】
ディスクDの外周縁によって検出体14が押され、回動アーム12が図3の位置まで回動すると、第1のスイッチ押圧部12aがスイッチSW1のアクチュエータ部を押し、スイッチSW1がONになる。スイッチSW1がONのときが第2の出力状態であり、図7に示すタイムチャートと図8と図9に示すフローチャートでは、スイッチSW1の第2の出力状態を「H」で示している。
【0031】
ディスクDの外周縁により検出体14が押され、図4に示すように、回動アーム12が時計方向へ最大角度まで回動したときも、スイッチSW1がONを継続し、その後、回動アーム12が反時計方向へ回動して図5の姿勢まで復帰すると、スイッチSW1がONからOFFに切り換えられる。
【0032】
スイッチ基板20には、左側に第2の検知器であるスイッチSW2が設けられ、右側に第3の検知器であるスイッチSW3が設けられている。スイッチSW2は、左側の回動アーム12に設けられた第2のスイッチ押圧部12bによって動作させられる。スイッチSW3は、右側の回動アーム11に設けられた第3のスイッチ押圧部11aによって動作させられる。
【0033】
図1に示すように、ディスクDが装填位置にあり、その中心穴がターンテーブルにクランプされているときに、ディスクDの外周縁が検出体13と検出体14から離れており、左側の回動アーム12が反時計方向へ最大に回動している。このとき、第2のスイッチ押圧部12bによりスイッチSW2のアクチュエータ部が押圧されて、スイッチSW2がONである。また、図1では、右側の回動アーム11が時計方向へ最大に回動しており、第3のスイッチ押圧部11aによってスイッチSW3のアクチュエータ部が押圧されており、スイッチSW3はONである。なお、ディスクDが筐体2の内部に存在していないときも、前記と同様に、スイッチSW2とスイッチSW3が共にONである。
【0034】
ディスクDの外周縁で、検出体13および検出体14が押され、回動アーム12が図1の姿勢から時計方向へ回動すると、第2のスイッチ押圧部12bがスイッチSW2のアクチュエータ部から離れ、スイッチSW2がOFFになる。同様に、回動アーム11が図1の姿勢から反時計方向へ回動すると、第3のスイッチ押圧部11aがスイッチSW3のアクチュエータ部から離れ、スイッチSW3がOFFになる。
【0035】
第2の検知器であるスイッチSW2と第3の検知器であるスイッチSW3は、ONのときが第3の出力状態であり、図7に示すタイムチャートおよび図8と図9に示すフローチャートでは、第3の出力状態を「H」で示している。スイッチSW2とスイッチSW3は、OFFのときが第4の出力状態であり、図7に示すタイムチャートおよび図8と図9に示すフローチャートでは、第4の出力状態を「L」で示している。
【0036】
図1に示すように、前記クランプアーム6の後方位置には、検知アーム25が軸26によって回動自在に支持されており、この検知アーム25は、スプリング27により反時計方向へ付勢されている。検知アーム25は、スプリング27の付勢力により反時計方向へ回動するが、検知アーム25は図2ないし図6に示すように少しだけ反時計方向へ回動した姿勢が回動限界であり、それ以上は反時計方向へ回動できないように規制されている。
【0037】
検知アーム25の先部には、装填検出体28が固定されている。装填検出体28は、ディスクDの搬送経路と同じ高さ位置に設けられており、ディスクDが図1に示す装填位置に至ると、ディスクDの外周縁によって装填検出体28が押され、検知アーム25が時計方向へ回動する。
【0038】
クランプアーム6には、装填検知器であるスイッチSW4が設けられている。ディスクDが装填位置に至り、検知アーム25が図1に示す姿勢まで回動すると、検知アーム25によってスイッチSW4のアクチュエータ部が押圧されて、スイッチSW4がOFFからONに切り換えられる。図7に示すタイムチャートおよび図8と図9に示すフローチャートでは、スイッチSW4がONのときを「H」で示し、OFFのときを「L」で示している。
【0039】
また、前記スイッチ基板20にはディスク有無検知器として光学検知器Phが設けられている。光学検知器Phは、ディスクDの搬送経路を挟んで上下のいずれか一方に発光素子が設けられ、他方に受光素子が設けられている。ディスクDの一部が光学検知器Phの位置に存在していないときには、発光素子から発せられる光が受光素子で受光されて、光学検知器PhがONになる。また、図1ないし図6に示すように、ディスクDのいずれかの部分が、光学検知器Phに位置すると、発光素子の光がディスクDで遮られて光学検知器PhがOFFになる。
【0040】
光学検知器Phは、その出力状態がOFFのときにディスクDの存在を検知しており、出力状態がONのときにディスクDの存在を検知していない。図7に示すタイムチャートと、図8と図9に示すフローチャートでは、光学検知器PhがONであり、ディスクDを検知していない状態を「H」で示し、光学検知器PhがOFFであり、ディスクDを検知している状態を「L」で示している。
【0041】
図1に示すように、ディスクDが装填位置のときにイジェクト要求があると、搬送ローラ3a,3bが回転し、ディスクDが、図2、図3、図4に示すように挿入口に向けて搬出される。そして、図5に示すように、第1の検知器であるスイッチSW1がON(H)からOFF(L)に切り換わった時点で、搬送モータMrが停止する。ディスクDは、図5に示す位置に至ると搬出完了位置となる。搬出完了位置のディスクDは、そのほとんどが挿入口から突出し、その一部が筐体2の内部に有り、停止している搬送ローラ3a,3bと対向部材とで挟まれている。
【0042】
ディスクDが図1に示す装填位置から搬出されて、図5に示す搬出完了位置に至るまでの間、光学検知器Phの出力状態がOFF(L)を継続し、ディスクDの存在を検知し続ける。すなわち、ディスクDが図1に示す装填位置から図5に示す装填完了位置に至るまで、ディスクの不透明な部分が光学検知器Phを通過することになり、ディスクDの中心穴や、中心穴の周囲の透明な部分や、あるいは外周の透明な部分が、光学検知器Phを通過することがない。
【0043】
図10は、ディスク装置1の回路構成を示すブロック図である。スイッチSW1,SW2,SW3,SW4および光学検知器Phのそれぞれの出力は、制御部31に与えられる。そして制御部31では、前記スイッチSW1,SW2,SW3,SW4および光学検知器Phのそれぞれの出力に基づいてモータドライバ32を制御する。搬送ローラ3a,3bを駆動する搬送モータMrは、モータドライバ32により駆動される。
【0044】
次に、前記ディスク装置1のディスクの搬出動作を説明する。
図7は、スイッチSW1,SW2,SW3,SW4および光学検知器Phのそれぞれの出力状態を示している。図7のタイムチャートは、左側の端部が図1に示すようにディスクDが装填位置にあるときであり、図7の右側の端部は、図5に示すように、ディスクDが搬出完了位置にあるときを意味している。
【0045】
図8は、装填位置にあるディスクDが搬出される際のフローチャートであり、このフローチャートでは「ステップ1,2,3,・・・」を「ST1,2,3,・・・」で示している。
【0046】
(正常な搬出動作)
図7は、ディスクDが装填位置から搬出完了位置に至るまで正常に搬出されたときのスイッチSW1,SW2,SW3,SW4および光学検知器Phのそれぞれの出力状態を示している。正常な搬出動作では、図8のフローチャートのST1,ST2,ST3,ST4,ST5およびST6を経る。
【0047】
図1に示すように、ディスクDが装填位置にあり、中心穴がターンテーブルとクランパ5とで挟持されてクランプされているとき、図7に示すように、スイッチSW1がLで、第2のスイッチSW2と第3のスイッチSW3が共にHである。また、装填検知であるスイッチDW4はHであり、さらにディスク有無検知器である光学検知器PhがディスクDの存在を検知している。
【0048】
図1の状態から、イジェクト操作が行われ、制御部31にイジェクト要求が出されると、図8のST1においてイジェクト動作を開始する。
【0049】
イジェクト動作が開始されると、搬送ローラ3a,3bが上昇して、搬送ローラ3a,3bと対向部材とでディスクDが挟持され、その直後にクランプアーム6が上昇して、ディスクDに対するクランプが解除される。そして、制御部31からモータドライバ32に指令が与えられ、搬送モータMrが始動して、搬送ローラ3a,3bが搬出方向へ向けて駆動されて、ディスクDが挿入口に向けて搬出される。
【0050】
図1に示すように装填位置にあるディスクDが搬出されると、ディスクDの搬出側の外周縁が検出体13と14に当たり、ディスクDの搬出方向への移動力により、左側の回動アーム12が時計方向へ回動させられ、ほぼ同時に右側の回動アーム11が反時計方向へ回動させられて、検出体13と検出体14との間隔が広げられる。
【0051】
搬出動作によって、ディスクDが図2に示す位置まで移動すると、回動アーム12の第2のスイッチ押圧部12bが第2の検知器であるスイッチSW2のアクチュエータ部から離れ、スイッチSW2が、第3の出力状態であるHから第4の出力状態であるLに切り換えられる。また、回動アーム11の第3のスイッチ押圧部11aが第3の検知部であるスイッチSW3から離れ、スイッチSW3が、第3の出力状態であるHから第4の出力状態であるLに切り換えられる。すなわち、図8のフローチャートのST2がYESとなる。
【0052】
図7に示すように、図1の状態からディスクDが図2の位置まで搬出される区間がA区間であり、図8のフローチャートでは、ST1からST2までがA区間である。
【0053】
正常な搬出動作では、ディスクDが図3の位置まで移動すると、左側の回動アーム12が時計方向へさらに回動し、右側の回動アーム11がさらに反時計方向へ回動する。図3に示すように、左側の回動アーム12が時計方向へ回動すると、回動アーム12に設けられた第1のスイッチ押圧部12aが第1の検知器であるスイッチSW1のアクチュエータ部を押圧し、スイッチSW1が、第1の出力状態であるLから第2の出力状態であるHに切り換えられる。すなわち、正常な搬出動作では、図8のフローチャートのST3がYESである。
【0054】
図7に示すように、ディスクDが図2の位置から図3の位置まで搬出される区間がB区間であり、図8のフローチャートでは、ST2からST3までがB区間である。
【0055】
ディスクDが図3の位置からさらに搬出され、ディスクDが図4の位置に移動するまで、左側の回動アーム12が時計方向へ回動し、右側の回動アーム11が反時計方向へ回動し、図4では、検出体13と検出体14の間隔が最大になる。
【0056】
さらにディスクDが図4の位置を通過してされに挿入口に向けて搬出されると、左側の回動アーム12が反時計方向へ回動し、右側の回動アーム11が時計方向へ回動し、検出体13と検出体14との間隔が徐々に狭められていく。
【0057】
ディスクDが図5の位置まで搬出されると、左側の回動アーム12に設けられた第1のスイッチ押圧部12aがスイッチSW1のアクチュエータ部から離れ、スイッチSW1が第2の出力状態であるHから第1の出力状態であるLに切り換えられる。ディスクDが図3の位置から図4の位置を経て図5の位置に至るまでが、C区間である。図7に示すように、スイッチSW1は、前記C区間でのみHとなり、C区間では、スイッチSW1の出力状態がHを継続し、途中でLに切り換わることはない。すなわち、図8のフローチャートでは、ST3からST4までがC区間である。
【0058】
つまり、図1の装填位置にあるディスクDが正常に搬出されるときは、ST2で、スイッチSW2とスイッチSW2が、共に第3の出力状態であるHから第4の出力状態であるLに切り換えられ、その後、ST3において、スイッチSW2とSW3が共にLの状態のままで、且つ第1の検知器であるスイッチSW1が第1の出力状態であるLから第2の出力状態であるHに切り換えられる。さらに、ST4において、スイッチSW2とスイッチSW3がLを継続したまま、スイッチSW1がLになる。制御部では、ST1からST2、ST3を経てST4に至ったときに、ディスクDがA区間、B区間およびC区間を移動して、図5に示す正常な搬出完了位置に至ったと判断する。そして、図5に示すように、スイッチSW1がHからLに切り換わったと同時に、搬送モータMrを停止させる(図8のST5)。
【0059】
図5に示すように、ディスクDが搬出完了位置に至ったときに、搬送モータMrを停止させると、ディスクDの多くの部分が筐体2の挿入口から突出し、ディスクDの一部が筐体2内に残り、停止している搬送ローラ3a,3bと対向部材とでディスクDが挟まれる。よって、図5に示す搬送完了位置で停止しているディスクDが、挿入口から脱落することがない。
【0060】
なお、図5において、スイッチSW1がHからLに切り換わった直後に、搬送モータMrを停止させるのではなく、スイッチSW1がHからLに切り換わった後に少し時間が経過した後に、搬送モータMrを停止させ、そのときのディスクDの停止位置を正常な搬出完了位置としてもよい。ただし、ディスクDが搬出完了位置のときに、回動アーム11と回動アーム12が図1に示す姿勢まで復帰せず、スイッチSW2とスイッチSW3が、LからHに切り換わらないことが必要である。また、ディスクDが搬出完了位置にあるとき、光学検知器PhがLからHに切り換わらないことがさらに好ましい。
【0061】
図5に示すように、ディスクDが正常な搬出完了位置に至って、搬送モータMrが停止した後に、ディスクDを指で掴んで筐体2の外へ引き出すと、図6に示すように、まず、ディスクDの不透明部分が光学検知器Phから外れ、光学検知器Phの出力状態が、ディスクDを検知していたLから、ディスクDを検知しないHに切り換えられる。さらに、回動アーム11が時計方向へ回動し、回動アーム12が反時計方向へ回動して、図1に示す姿勢に復帰する。このとき、スイッチSW2とスイッチSW3が、共に第4の出力状態であるLから第3の出力状態であるHに切り換えられる。
【0062】
この実施の形態では、図8のST1、ST2,ST3,ST4に示すように、機械的な検知器であるスイッチSW1,SW2,SW3の出力状態を監視するのみで、ST5に示すように、ディスクDが正常な搬出完了位置に至ったか否かを判断できる。さらに、図5に示す搬出完了位置にあるディスクDが引き抜かれたか否かは、スイッチSW2とSW3の出力のみを監視し、両スイッチSW2,SW3の出力状態がLからHに切り換わるか否かを監視することで判断できる。
【0063】
ただし、スイッチSW2,SW3の出力の監視に加え、図5の状態から、光学検知器PhがLからHになったことが検知されたときに、制御部31において、ディスクDが引き抜かれたと判断してもよい。あるいは、スイッチSW2,SW3と光学検知器Phの出力を全て監視し、スイッチSW2とスイッチSW3が共にHで、且つ光学検知器PhがHになったときに、ディスクDが引き抜かれたと判断してもよい。
【0064】
(搬出動作の異常処理、その1)
図8のフローチャートに示すように、ST1においてイジェクト処理を開始するのと同時に制御部31に備えられたガードタイマをセットする。図1に示す状態から、ST2においてスイッチSW2とSW3がLにならないとき、ST11に移行し、ガードタイマのカウント値がゼロになるか否かを監視する。カウント値がゼロになったらST12の異常処理に移行する。これは、例えば、イジェクト処理を開始しても搬送ローラ3a,3bが始動しないとき、または搬送ローラ3a,3bの搬送力がディスクDに伝達されないときである。あるいは、ターンテーブルとクランパ5とによるディスクDのクランプが解除されないとき、さらには、図1の状態で、ディスクDが筐体2内のいずれかの機構に引っ掛かって動けなくなっているときなどが想定される。
【0065】
ST12の異常処理では、制御部3からモータドライバ32に動作の停止指令が与えられて、筐体2の前面2aの前方に設けられたノーズ部のディスプレイに故障表示などの警告が告知される。あるいは、搬送ローラ3a,3bを搬入方向へ回転させて、装填検知用のスイッチSW4がONになるか否かを監視し、スイッチSW4がONになったら、ディスクDの搬出動作をリトライ動作として再開してもよい。そして、リトライ動作を所定回数行っても、正常なディスクDの搬出ができないときに、ディスク装置1の動作を停止させてもよい。
【0066】
(搬出動作の異常処理、その2)
図8に示すように、ST1のイジェクト処理開始から、ST2および図2に示すように、スイッチSW2とスイッチSW3がLになった後に、制御部31では、スイッチSW1,SW2,SW3の出力状態の監視に加え、光学検知器Phの出力状態を監視して、搬出動作の異常が発生したか否かを判断している。
【0067】
ディスクDが図1に示す装填位置にあるときから、ディスクDが搬出されて図5に示す搬出完了位置に至るまで、ディスク有無検知器である光学検知器Phが、ディスクDの不透明部分で遮光され続け、光学検知器Phの出力状態がLを継続する。この、光学検知器Phの出力状態を監視することで、ディスクDが搬出している途中で挿入口から突出したディスクDが指で掴まれて瞬時に抜き取られたような異常動作を検出できるようにしている。
【0068】
ディスクDを搬出している途中で、ディスクDが瞬時に抜き取られると、すなわち、制御部31によりスイッチSW1の出力状態を間欠的に監視しているときに、その監視の休止時間よりも速い時間に、速い速度でディスクDが抜き取られると、制御部31では、スイッチSW1,SW2,SW3がST2,ST3,ST4の変化を辿ったか否かを認識できないうちに、いきなりスイッチSW1,2,3の出力状態がL,H,Hに切り換わってしまうことが有り得る。スイッチSW1,2,3の出力状態がL,H,Hとなるのは、ディスクDが図1と図2との間の位置に存在しているときと同じである。そのため、制御部31は、ディスクDが抜き取られているのにも拘わらず、未だディスクDが搬出途中であると誤認識し、搬送モータMrが回転し続けるという誤動作が生じる。
【0069】
そこで、このディスク装置1では、スイッチSW1,SW2,SW3の出力状態を監視するとともに、光学検知器Phの出力を監視することで、前記のように、搬出途中のディスクDが瞬時に抜き取られたときでも、ディスクDが筐体2の内部に存在していないことを正確に認識できるようにしている。
【0070】
図2に示すように、ST2においてスイッチSW2とスイッチSW3が共にLになった後に、図3およびST3に示すように、スイッチSW1,SW2,SW3の出力状態が、L,L,LからH,L,Lに切り換わるまでの間、ST15において、「PhがHで且つスイッチSW1,2,3,4がL,H,H,Lの状態」が生じるか否かを監視する。この状態は、スイッチSW1,SW2,SW3が図1と同じ検出状態で、さらにディスクDが装填位置にあることを検出するSW4がOFFすなわちLで、且つ光学検知器PhがディスクDの存在を検知していない状態、すなわち、筐体2内にディスクDが存在していない状態である。
【0071】
ST15において、前記状態が生じた場合には、ST16に移行して、制御部31では、ディスク引き抜きフラグをONにする。そして、ST17に移行して、ディスクが強引に引き抜かれたときの処理動作として、搬送モータMrを停止して搬送ローラ3a,3bを停止する。これにより、スイッチSW1,SW2,SW3がST2,ST3,ST4の変化を辿らないうちにディスクDが引き抜かれたときに、搬送ローラ3a,3bを直ちに停止できる。
【0072】
ST17において、搬送モータMrを停止させた後に、ST18に移行し、引き抜きフラグをOFFにして、ST6に移行し処理動作を終了する。
【0073】
なお、ST3において、スイッチSW1,2,3がH,L,Lに切り換わることがなく、さらに、ST15において、「PhがHで且つスイッチSW1,2,3,4がL,H,H,Lの状態」が生じていないときには、ST19に移行する。ST19では、イジェクト処理を開始したときからカウントが始まったガードタイマがゼロになったか否かを監視し、ゼロになったらST12の異常処理に移行する。これは、図2の状態から図3の状態に至る間に、ディスクDが筐体2の内部で引っ掛かるなどしたときのための処理である。
【0074】
また、図3およびST3において、スイッチSW1,SW2,SW3がH,L,Lになった後に、図5とST4に示すように、スイッチSW1,SW2,SW3がL,L,Lに切り換わる間、ST21では、ST15と同じ監視動作を行い、「PhがHで且つスイッチSW1,2,3,4がL,H,H,Lの状態」が生じるか否かを監視する。ST21で前記状態が生じないときは、ST22でディスク引き抜きフラグをONにし、ST23でディスクDが強引に引き抜かれたときの処理として、搬送モータMrを停止させる。そしてST24で引き抜きフラグをOFFにし処理動作を終了する。
【0075】
また、ST4において、スイッチSW1,SW2,SW3がL,L,Lにならず、ST21において「PhがHで且つスイッチSW1,2,3,4がL,H,H,Lの状態」が生じないときには、ST25に移行する。ST25では、イジェクト処理が開始されたときにスタートしたガードタイマのカウントがゼロになるかを監視し、ゼロになったときに、ST12の異常処理に移行する。
【0076】
なお、前記ST17とST23では、引き抜きフラグがONになったと同時に、搬送モータMrを停止させてもよいし、引き抜きフラグがONになった後に、所定時間が経過した後に、搬送モータMrを停止させてもよい。
【0077】
次に、図9のフローチャートにより、ディスクDを搬入する動作を説明する。
(正常なディスク搬入動作)
筐体2内へのディスクDの搬入動作が正常に行われるときには、図9のST31,ST32,ST33,ST34の処理を辿る。
【0078】
制御部31は、「PhがHで且つスイッチSW1,2,3,4がL,H,H,L」のときに、筐体2内にディスクが存在していないと判断し、このときにディスクDの搬入動作を受け付ける。
【0079】
ST31においては、制御部31では、スイッチSW2とスイッチSW3の出力状態を監視し、図6に示すように、スイッチSW2とスイッチSW3の少なくとも一方が、第3の出力状態であるHから第4の出力状態であるLに切り換わったときに、搬送モータMrを始動して搬送ローラ3a,3bを搬入方向へ動作させ、ディスク搬入動作を開始する。あるいは、図5に示すように、スイッチSW2とスイッチSW3の出力状態が、共にHからLに切り換わり、且つ光学検知器Phの出力がHからLになってディスクDの存在を検出したときに、搬送モータMrを始動してもよい。
【0080】
搬送ローラ3a,3bが始動した後は、ST32において、装填検知用のスイッチSW4の出力状態がLからHに切り換わるか否かを監視し、スイッチSW4がHになったら、ディスクDが正常に装填位置まで搬入されたものと判断する。このときST33に移行して搬送モータMrを停止し、ST34に移行して処理動作を停止する。
【0081】
ST31でディスク搬入動作を開始した後に、ST32においてスイッチSW4がHにならないときは、ST35において、ディスク搬入動作が開始されたときにスタートしたガードタイマのカウント値がゼロになったか否か監視する。カウント値がゼロになったら、ST36に移行し、ディスク搬入動作の途中で、ディスクDを排出させるためのイジェクト操作が行われたかを判断し、イジェクト要求が出されていないと判断したときには、ST37に移行し、異常処理を行う。
【0082】
これは、挿入されたディスクDが装填位置に移動できずに筐体2内のいずれかの機構に引っ掛かっているとき、あるいは、一度挿入口に挿入されたディスクDが引き抜かれたときなどに発生する現象である。ST37の異常処理では、搬送ロータMrを逆転して、搬送ローラ3a,3bを搬出方向へ回転させ、その後に、搬送ローラ3a,3bを搬入方向へ回転させるリトライ動作を行う。あるいは、図8のST1に移行して、イジェクト処理に移行してもよい。または、直ちに搬送モータMrを停止してもよい。
【0083】
(ディスク搬入中にイジェクト要求が出されたとき)
ディスク搬入動作が行われており、スイッチSW4がHになる前にST36でイジェクト要求があった場合には、制御部31からモータドライバ32に指令が出され、搬送モータMrが逆転して、搬送ローラ3a,3bがディスク搬出方向へ動作させられる。
【0084】
このとき、ST41に移行して、「PhがHで且つスイッチSW1,2,3,4がL,H,H,Lの状態」、すなわち筐体2内にディスクDが存在しない状態に至っているかを監視する。ST41において前記状態に至っていないときには、ST42に移行し、制御部31では、現在ディスク装置1の動作がディスク搬出動作中であると認識し、ST43に移行する。ST43では、図8のST1に示すイジェクト処理開始後と同じ監視動作および制御動作を行う。
【0085】
ST41で「PhがHで且つスイッチSW1,2,3,4がL,H,H,Lの状態」が生じていると判断したときには、ST45で、ディスクDが筐体2内に存在しないと判断し、ST46に移行して、搬送モータMrを停止する。
【0086】
このように、ディスク搬入動作中で搬入動作が完了しないうちにイジェクト動作に移行したときにおいて、ディスクDが挿入口から即時に引き抜かれることがあっても、ST41の監視を行うことにより、筐体2内にディスクDが存在しないことを確実に検知でき、ディスクDが筐体2内に存在していないにも拘わらず、搬送モータMrが動作し続けるという誤動作を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態のディスク装置を示す平面図であり、ディスクが装填位置にある状態を示す。
【図2】本発明の実施の形態のディスク装置を示す平面図であり、ディスクの搬出開始直後の状態を示す。
【図3】本発明の実施の形態のディスク装置を示す平面図であり、ディスクが搬出途中の状態を示す。
【図4】本発明の実施の形態のディスク装置を示す平面図であり、ディスクが搬出途中の状態を示す。
【図5】本発明の実施の形態のディスク装置を示す平面図であり、ディスクが搬出完了位置に至った状態を示す。
【図6】本発明の実施の形態のディスク装置を示す平面図であり、搬出完了位置に至ったディスクが引き抜かれる途中の状態を示す。
【図7】各検知器の出力状態の切り換わりを示すタイムチャート。
【図8】ディスク搬出動作を示すフローチャート。
【図9】ディスク搬入動作を示すフローチャート。
【図10】ディスク装置の回路ブロック図。
【符号の説明】
【0088】
1 ディスク装置
2 筐体
3a,3b 搬送ローラ
4 回転駆動部
5 クランパ
11,12 回動アーム
13,14 検出体
D ディスク
SW1 スイッチ(第1の検知器)
SW2 スイッチ(第2の検知器)
SW3 スイッチ(第3の検知器)
SW4 スイッチ(装填検知器)
Ph 光学検知器(ディスク有無検知器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入口を有する筐体と、前記挿入口から挿入されたディスクを前記筐体内の所定の装填位置まで搬入するとともにディスクを前記装填位置から前記挿入口へ向けて搬出する搬送機構と、
ディスクが装填位置に有るとき、およびディスクが前記挿入口から突出してその一部が筐体の内部に残っている搬出完了位置に至ったときに第1の出力状態となり、ディスクが装填位置から搬出完了位置に向かう途中で、第2の出力状態に切り換えられる第1の検知器と、
装填位置にあるディスクが搬出されて前記搬出完了位置に至るまで、継続してディスクが存在していることを検知できるディスク有無検知器と、
前記第1の検知器と前記ディスク有無検知器の出力状態に応じて前記搬送機構を制御する制御部と、を有しており、
前記制御部は、ディスクが前記装填位置にあるときにディスク搬出要求を受けると、前記搬送機構を搬出方向へ始動させ、
(a)前記第1の検知器が第1の出力状態から第2の出力状態を経て再び第1の出力状態となり、その間、前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知し続けているときに、ディスクが正常に搬出完了位置に至ったと認識して、前記第1の検知器が第2の出力状態から第1の出力状態に切り換わった直後に、またはその後に所定時間が経過したときに前記搬送機構の搬出動作を停止させ、
(b)ディスク搬出動作が正常に行われたと認識する前に、前記第1の検知器が第1の出力状態となり、且つ前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知できない状態が生じたときに、ディスクが前記挿入口から引き抜かれたと判断し、その直後にあるいはその後に所定時間が経過したときに、前記搬送機構の搬出動作を停止させること、
を特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記搬送機構が始動した後に、前記第1の検知器が第1の出力状態から第2の出力状態となる前に、前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知できない状態が生じたときに、ディスクが前記挿入口から引き抜かれたと判断する請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記搬送機構が始動した後に、前記第1の検知器が第1の出力状態から第2の出力状態となり、その後に第1の出力状態となり、且つ前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知できない状態が生じたときに、ディスクが前記挿入口から引き抜かれたと判断する請求項1記載のディスク装置。
【請求項4】
前記挿入口の内側に設けられて搬入途中または搬出途中のディスクの外周縁に押されて動作する検出体を有し、前記検出体がディスクの外周縁で押されて動作したときに、前記検出体によって前記第1の検知器が第1の出力状態から第2の出力状態に切り換えられる請求項1ないし3のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項5】
挿入口を有する筐体と、前記挿入口から挿入されたディスクを前記筐体内の所定の装填位置まで搬入するとともにディスクを前記装填位置から前記挿入口へ向けて搬出する搬送機構と、
ディスクが装填位置に有るときおよびディスクが前記筐体内に存在していないときに第3の出力状態となり、ディスクが装填位置から前記挿入口へ向けて搬出される途中で、第3の出力状態から第4の出力状態に切り換えられる第2の検知器と、
ディスクが装填位置から前記挿入口へ向けて搬出され、ディスクが前記挿入口から突出してその一部が筐体の内部に残っている搬出完了位置に至ったときに第2の出力状態から第1の出力状態に切り換えられる第1の検知器と、
装填位置にあるディスクが搬出されて前記搬出完了位置に至るまで、継続してディスクが存在していることを検知するディスク有無検知器と、
前記第1の検知器と前記第2の検知器および前記ディスク有無検知器の出力状態に応じて前記搬送機構を制御する制御部と、を有しており、
前記制御部は、ディスクが前記装填位置にあるときにディスク搬出要求を受けると、前記搬送機構を搬出方向へ始動させ、
(c)前記第2の検知器が第3の出力状態から第4の出力状態に切り換わり、且つ前記第1の検知器が第2の出力状態から第1の出力状態に切り換わり、その間、前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知し続けているときに、ディスクが正常に搬出完了位置に至ったと認識して、前記第1の検知器が第2の出力状態から第1の出力状態に切り換わった直後に、またはその後に所定時間が経過したときに前記搬送機構の搬出動作を停止させ、
(d)ディスク搬出動作が正常に行われたと認識する前に、前記第1の検知器が第1の出力状態となり、前記第2の検知器が第3の出力状態となり、且つ前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知できない状態が生じたときに、ディスクが前記挿入口から引き抜かれたと判断し、その直後にあるいはその後に所定時間が経過したときに、前記搬送機構の搬出動作を停止させること、
を特徴とするディスク装置。
【請求項6】
前記搬送機構が始動した後に、前記第2の検知器が第3の出力状態から第4の出力状態に切り換わった後に、前記第1の検知器が第1の出力状態となり、前記第2の検知器が第3の出力状態となり、且つ前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知できない状態が生じたときに、ディスクが前記挿入口から引き抜かれたと判断する請求項5記載のディスク装置。
【請求項7】
前記挿入口の内側に設けられて搬入途中または搬出途中のディスクの外周縁に押されて動作させられる検出体を有し、前記検出体がディスクの外周縁で押されて動作したときに、この検出体によって、前記第1の検知器が第1の出力状態から第2の出力状態に切り換えられ、同じ検出体によって、第2の検知器が第3の出力状態から第4の出力状態に切り換えられる請求項5または6記載のディスク装置。
【請求項8】
前記制御部では、ディスクが正常に搬出完了位置に至ったと認識して、前記搬送機構の搬出動作を停止させた後に、前記ディスク有無検知器がディスクの存在を検知しなくなったときに、正常に搬出完了位置に至ったディスクが、前記挿入口から正常に引き抜かれたと認識する請求項1ないし7のいずれかに記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−135106(P2008−135106A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−319607(P2006−319607)
【出願日】平成18年11月28日(2006.11.28)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)
【Fターム(参考)】