説明

ディスク装置

【課題】記録ディスクが装着されるトレイをイジェクトピンの挿入によって強制的に排出させることが可能なディスク装置を提供する。
【解決手段】挿入穴10bに挿入されたイジェクトピン1aが板ばね40のカーブ40aを押圧することにより、板ばね40の突部40bの下端に接続された切替部44の一端が押下され、切替部44によって端子41a及び端子42aが接続される。よって、スピンドルモータ31にショートブレーキが加えられ、トレイに装着された光ディスクを停止させる。イジェクトピン1aに押圧されたシフタは移動し、ローダに設けられたピンがシフタの誘導溝に沿って誘導され、ローダの屈曲部分が下方へ引き下げられることによってトレイ上に載置された光ディスクがスピンドルモータ31及びクランパから取り外される。シフタの突部がトレイのガイド溝のカーブの外周面を押圧することによってトレイが装置本体から少し排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ディスクが装着されるトレイをイジェクトピンの挿入によって強制的に排出させることが可能なディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−ROM、BD(Blu-ray Disc)等の光ディスク上にデータを記録し、光ディスクに記録してあるデータを再生するディスク装置が普及している(例えば、特許文献1を参照)。従来のディスク装置は、特許文献1に開示されているように、光ディスクが搭載されたトレイを装置内部に収納することによって、光ディスクを所定の記録再生位置へ挿入するように構成されている。また、従来のディスク装置は、光ディスクが搭載されたトレイを装置外部へ排出することによって、光ディスクを装置外部へ排出するように構成されている。
【0003】
図4は従来のディスク装置の一般的な構成例を示す斜視図である。図4には従来のディスク装置6のトレイ7の周辺部分のみを図示しており、図4(a)にはトレイ7が装置本体60に収納されている状態を、図4(b)にはトレイ7が装置本体60から排出されている状態をそれぞれ示している。なお、以下では、装置本体60に対してトレイ7が排出及び収納される面をディスク装置6の正面とし、この正面を見て右側の側面を右側面として説明する。
【0004】
従来のディスク装置6において、板状のトレイ7の下面の適宜位置には、矢符7aで示す方向を形成方向としてラック歯73が形成されている。ラック歯73には、モータ62によって回転するピニオン61の周面に設けられたピニオン歯が噛合させてある。このような構成により、モータ62の回転によってピニオン61が回転し、この回転が、ピニオン61のピニオン歯とラック歯73との噛合部分においてラック歯73の形成方向への移動に変換され、トレイ7が装置本体60に対して矢符7aで示す方向又はその逆方向へ移動される。
【0005】
トレイ7の上面の中央には、光ディスクを載置するために円形断面を有する凹部70が形成されている。凹部70の底面中央には円形断面を有する貫通孔71aが設けられており、トレイ7の一側面から貫通孔71aに連なる切欠部71が形成されている。また、凹部70の底面には、貫通孔71aを隔てて切欠部71に対向する位置を始点とし、貫通孔71aの周縁に沿った中心角が略90度の円弧状のカーブと、このカーブに連なって、トレイ7の上面の長辺に平行に形成された直線部分とを含むガイド溝72が設けられている。
【0006】
トレイ7の下部には、矩形状のシフタ63が、トレイ7の装置本体60に対する排出方向に直交する矢符6bで示す方向及びその逆方向への移動が可能に設けられている。シフタ63の上面の一端部には、円柱状の突部64が鉛直方向に突設されている。突部64は、図4(a)に示すようにトレイ7が装置本体60に収納されている状態では、トレイ7のガイド溝72のカーブ側の端部に挿入されて配置される。シフタ63には、ディスク装置6の正面側の側面から、トレイ7の装置本体60に対する収納方向に向かって誘導溝63aが貫通して穿設されている。
【0007】
トレイ7の下部には、トレイ7の貫通孔71a及び切欠部71を覆う大きさの板状のローダ8が、トレイ7に対して略平行に設けられている。ローダ8は、トレイ7の装置本体60に対する収納方向側の一側面に設けられた揺動軸80を中心として揺動可能に軸支されており、揺動端は下方に向かって直角に屈曲されている。ローダ8の屈曲部分は、シフタ63に当接する位置に配置されており、屈曲部分のディスク装置6の正面側の側面の所定位置には、円柱状のピン83が、トレイ7の装置本体60に対する排出方向に突設されている。ピン83は、図4(a)に示すようにトレイ7が装置本体60に収納されている状態では、シフタ83の誘導溝63aの上端部に挿入されて配置される。
【0008】
ローダ8の上面には、図4(a)に示すようにトレイ7が装置本体60に収納されている状態でトレイ7の貫通孔71aに対向する位置に、トレイ7上に載置された光ディスクを回転させるためのスピンドルモータ81が設けられており、スピンドルモータ81の上部に、スピンドルモータ81と光ディスクとを固定するためのクランパ82が設けられている。なお、スピンドルモータ81及びクランパ82は、トレイ7が装置本体60から排出される場合、切欠部71に対向する位置に配置されるので、トレイ7の移動を妨げることがない。
【0009】
特許文献1に開示されているように、従来のディスク装置6には、装置本体60に対してトレイ7を出し入れするためのボタン(図示せず)が設けられている。図4(a)に示すようにトレイ7が装置本体60に収納されている状態でユーザによってボタンが操作された場合、例えばCPU(Central Processing Unit )を利用した制御部が、スピンドルモータ81を駆動させるスピンドルモータ駆動回路を制御してスピンドルモータ81を停止させ、トレイ7に装着された光ディスクの回転を停止させる。そして、制御部は、モータ62を駆動させるモータ駆動回路を制御してモータ62を回転させ、ピニオン61を図4(a)において右側面視で反時計回りに回転させる。
【0010】
これにより、トレイ7が装置本体60から排出される方向に移動し、このように移動するトレイ7のガイド溝72に沿ってシフタ63の突部64がシフタ63と共に矢符6bに示す方向に移動する。シフタ63が矢符6bで示す方向へ移動した場合、ローダ8に設けられたピン83が、シフタ63の誘導溝63aの上端から下端へ誘導され、ローダ8が、揺動軸80を中心に、誘導溝63aの上端と下端との鉛直方向の差の分だけ下方へ引き下げられ、トレイ7上に載置された光ディスクがスピンドルモータ81及びクランパ82から取り外される。制御部は、ピニオン61がラック歯73の他端へ移動するまでモータ62を回転させ、トレイ7を装置本体60から排出させる。
【0011】
一方、図4(b)に示すようにトレイ2が装置本体10から排出されている状態でユーザによってボタンが操作された場合、制御部が、モータ62を駆動させるモータ駆動回路を制御してモータ62を回転させ、ピニオン61を図4(a)において右側面視で時計回りに回転させる。制御部は、ピニオン61がラック歯73の他端へ移動するまでモータ62を回転させ、トレイ7を装置本体60へ収納させる。
【0012】
トレイ7が装置本体60へ収納されると共に、トレイ7のガイド溝72に沿ってシフタ63の突部64がシフタ63と共に矢符6bに示す方向の逆方向に移動する。シフタ63が矢符6bで示す方向の逆方向へ移動した場合、ローダ8に設けられたピン83が、シフタ63の誘導溝63aの下端から上端へ誘導され、ローダ8が、揺動軸80を中心に、誘導溝63aの下端と上端との鉛直方向の差の分だけ上方へ引き上げられ、トレイ7上に載置された光ディスクにクランパ82によってスピンドルモータ81が固定される。
【0013】
上述した構成のディスク装置において何らかの不具合が発生し、制御部が正常に動作しない状況となった場合、制御部が上述したような処理を行なうことができないので、制御部による処理によっては光ディスクを装置本体60から排出することができない。ここで、装置本体60の右側面には、イジェクトピン6aが挿入される挿入口60aが設けられており、装置本体60の右側には、挿入口60aから挿入されたイジェクトピン6aが挿通される挿入穴60bが設けられている。
【0014】
ユーザがイジェクトピン6aを挿入口60aから挿入し、挿入穴60bに沿って挿入されたイジェクトピン6aによってシフタ63を押圧し、シフタ63を矢符6bに示す方向へ強制的に移動させる。イジェクトピン6aによってシフタ63を矢符6bに示す方向に押圧することにより、ローダ8に設けられたピン83が、シフタ63の誘導溝63aの上端から下端へ誘導され、ローダ8が、揺動軸80を中心に、誘導溝63aの上端と下端との鉛直方向の差の分だけ下方へ引き下げられる。よって、トレイ7上に載置された光ディスクがスピンドルモータ81及びクランパ82から取り外される。
【0015】
また、イジェクトピン6aによってシフタ63を矢符6bに示す方向に押圧することにより、シフタ63の突部64がトレイ7のガイド溝72のカーブの外周面を矢符6bに示す方向に押圧する。これにより、ガイド溝72のカーブの外周面には、トレイ7を装置本体60から排出させる方向の力が加わり、トレイ7が装置本体60から少し排出される。これにより、ユーザは、装置本体60から少し排出されたトレイ7を手動で装置本体60から強制的に排出させることができる。
【0016】
このように、従来のディスク装置では、制御部によってトレイ7の装置本体60からの排出処理が実行できない状態であっても、ユーザがイジェクトピン6aを挿入口60aから挿入し、手動でトレイ7を装置本体60から引き出すことによって、装置本体60に装着された光ディスクを強制的に排出することができる。
【特許文献1】特開2004−171703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかし、上述したようにイジェクトピン6aを挿入口60aから挿入してトレイ7を装置本体60から強制的に排出する一連の操作は、機械的に行なわれるため、ディスク装置6の電気的な回路とは一切関わっていない。従って、イジェクトピン6aを挿入してトレイ7を装置本体60から強制的に排出させる場合、スピンドルモータ81は光ディスクの回転を停止させないので、光ディスクが回転したままトレイ7が装置本体60から排出されることになり、装置本体60から排出されたトレイ7上でしばらく回転し続ける。そのため、光ディスクの表面に傷をつけてしまう虞があるという問題を有する。
【0018】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、記録ディスクが装着されるトレイを装置本体から機械的に排出させる際に、記録ディスクに傷をつけずに排出することが可能なディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係るディスク装置は、記録ディスクの装着が可能なトレイを装置本体から排出させるためにイジェクトピンが挿入穴に挿入された場合に、記録ディスクを回転させるモータの回転を停止させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、イジェクトピンを挿入穴から挿入して記録ディスクを強制的に排出させる場合に、イジェクトピンが挿入穴に挿入された時点で記録ディスクの回転を停止させるので、トレイが装置本体から機械的に排出させる際に早期に記録ディスクの回転を停止させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明に係るディスク装置を、その実施形態である光ディスク装置を示す図面に基づいて詳述する。図1及び図2は本発明に係るディスク装置の構成例を示す斜視図である。図1及び図2には本実施形態の光ディスク装置1のトレイ2の周辺部分のみを図示しており、図1にはトレイ2が装置本体10に収納されている状態を、図2にはトレイ2が装置本体10から排出されている状態をそれぞれ示している。なお、以下の実施形態では、装置本体10に対してトレイ2が排出及び収納される面を光ディスク装置1の正面とし、この正面を見て右側の側面を右側面として説明する。
【0022】
本実施形態では、例えばレーザ光(光ビーム)により光ディスク(記録ディスク)にデータの記録再生処理を行なう光ディスク装置1を例として説明する。但し、本発明は、レーザ光を用いて記録ディスクにデータを記録再生するものであればよい。例えば、レーザ光と磁気ヘッドからの磁界とにより光磁気ディスクにデータを記録再生する光磁気ディスク記録再生装置にも本発明を適用することができる。従って、記録ディスクとしては、CD、DVD、BD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスクを用いることができる。
【0023】
本実施形態の光ディスク装置1において、矩形の板状のトレイ2には下面に、一長辺に沿って矢符2aで示す方向を形成方向としてラック歯23が形成されている。ラック歯23には、モータ12によって回転するピニオン11の周面に設けられたピニオン歯が噛合させてある。なお、モータ12は、図示しないモータ駆動回路によって駆動される。このような構成により、モータ12の回転によってピニオン11が回転し、この回転が、ピニオン11のピニオン歯とラック歯23との噛合部分においてラック歯23の形成方向への移動に変換され、ラック歯23が形成されたトレイ2が装置本体10に対して矢符2aで示す方向又はその逆方向へ移動する。
【0024】
なお、図1に示すようにトレイ2が装置本体10に収納されている状態で、モータ12が、ピニオン11を図1において右側面視で反時計回りに回転させた場合、ラック歯23が矢符2aで示す方向へ移動するので、トレイ2が矢符2aで示す方向へ移動し、装置本体10からトレイ2を排出させることができる。また、図2に示すようにトレイ2が装置本体10から排出されている状態で、モータ12が、ピニオン11を図2において右側面視で時計回りに回転させた場合、ラック歯23が矢符2aで示す方向の逆方向へ移動するので、トレイ2が矢符2aで示す方向の逆方向へ移動し、装置本体10にトレイ2を収納させることができる。
【0025】
トレイ2には上面の中央に、光ディスクを載置するために、トレイ2の上面の短辺よりも長く、長辺よりも短い直径の円形断面を有する凹部20が形成されている。凹部20の底面中央には円形断面を有する貫通孔21aが設けられている。また、トレイ2には、トレイ2の上面の短辺を含む側面のうちの、装置本体10内部側の側面から貫通孔21aに連なる切欠部21が形成されている。
【0026】
更に、凹部20の底面には、貫通孔21aを隔てて切欠部21に対向する位置を始点とし、図1において上面視で時計回りに貫通孔21aの周縁に沿った中心角が略90度の円弧状のカーブと、このカーブに連なって、トレイ2の上面の長辺に平行に形成された直線部分とを含むガイド溝22が設けられている。なお、ガイド溝22には後述する円柱状の突部14が挿入されてガイド溝22に沿って移動するので、ガイド溝22は、突部14の外径と略同じ幅に形成されている。
【0027】
トレイ2の下部には、ガイド溝22のカーブ側の端部の下方に、矩形の板状のシフタ13が、トレイ2の装置本体10に対する排出方向(矢符2aで示す方向)に直交する矢符1bで示す方向及びその逆方向への移動が可能に設けられている。図1に示すようにトレイ2が装置本体10に収納されている状態では、シフタ13は、移動可能な範囲内において、図1,2において正面視で右端の位置に配置され、図2に示すようにトレイ2が装置本体10から排出されている状態では、シフタ13は、移動可能な範囲内において、図1,2において正面視で左端の位置に配置される。なお、シフタ13が移動できる距離は、ガイド溝22の両端部間の矢符1bで示す方向の距離に略等しい。
【0028】
シフタ13の上面には、図1において正面視で左端部に円柱状の突部14が鉛直上方向に突設されている。また、シフタ13には、トレイ2の装置本体10に対する排出方向(矢符2aで示す方向)に誘導溝13aが貫通して穿設されている。誘導溝13aは、図1において正面視で左端部を上端部とし、左端部から略右方向へ所定長さに形成された上方の直線部分と、この直線部分の他端部で右斜め下方向へ屈曲し、屈曲部から所定長さに形成された傾斜部分と、この傾斜部分の他端部で略右方向へ屈曲し、屈曲部から所定長さに形成された下方の直線部分とを有する。
【0029】
シフタ13は、図1に示すようにトレイ2が装置本体10に収納されている状態では、突部14をトレイ2のガイド溝22のカーブ側の端部に挿入して配置され、図2に示すようにトレイ2が装置本体10から排出されている状態では、突部14をトレイ2のガイド溝22の直線部分側の端部に挿入して配置される。なお、誘導溝13aの両端部間の矢符1bで示す方向の距離は、シフタ13が移動できる距離、即ち、ガイド溝22の両端部間の矢符1bで示す方向の距離に略等しい。また、誘導溝13aには後述する円柱状のピン33が挿入されて誘導溝13aに沿って移動するので、誘導溝13aは、ピン33の外径と略同じ幅に形成されている。
【0030】
トレイ2の下部には、シフタ13に対して装置本体10の内部側に、トレイ2の貫通孔21a及び切欠部21を覆う大きさの矩形の板状のローダ3が、トレイ2に対して略平行に設けられている。ローダ3は、トレイ2の装置本体10に対する収納方向側の一側面に設けられた揺動軸30を中心として揺動可能に軸支されており、揺動端は下方に向かって直角に屈曲されている。ローダ3の屈曲部分は、シフタ13に当接する位置に配置されており、屈曲部分の光ディスク装置1の正面側の側面の所定位置には、円柱状のピン33が、トレイ2の装置本体10に対する排出方向に突設されている。ピン33は、図1に示すようにトレイ2が装置本体10に収納されている状態では、シフタ13の誘導溝13aの上端部に挿入されて配置され、図2に示すようにトレイ2が装置本体10から排出されている状態では、シフタ13の誘導溝13aの下端部に挿入されて配置される。
【0031】
ローダ3の上面には、図1に示すようにトレイ2が装置本体10に収納されている状態でトレイ2の貫通孔21aに対向する位置に、トレイ2上に載置された光ディスクを回転させるためのスピンドルモータ31が設けられており、スピンドルモータ31の上部に、スピンドルモータ31と光ディスクとを固定するためのクランパ32が設けられている。なお、スピンドルモータ31及びクランパ32は、トレイ2が装置本体20から排出される場合、切欠部21に対向する位置に配置されるので、トレイ2の移動を妨げることがない。
【0032】
装置本体10の右側面には、イジェクトピン1aが挿入される挿入口10aが設けられており、装置本体10の右側には、挿入口10aから挿入されたイジェクトピン1aが挿通される挿入穴10bが設けられている。挿入口10aから挿入されたイジェクトピン1aは、挿入穴10bを挿通された後、トレイ2の下部を通過し、図1において正面視でシフタ13の右側面に当接する。なお、挿入口10a及び挿入穴10bには、トレイ2を装置本体10から機械的に且つ強制的に排出させる場合にイジェクトピン1aが挿入される。従って、挿入穴10bは、イジェクトピン1aの長さよりも短い長さに形成されている。
【0033】
装置本体10の内部には、挿入穴10bの適宜箇所の直下に筺状のスイッチ4が設けられている。図3はスイッチ4の構成例を示すブロック図である。なお、図3(a)にはイジェクトピン1aが挿入穴10bに挿入されていない状態を、図3(b)にはイジェクトピン1aが挿入穴10bに挿入されている状態をそれぞれ示している。また、図3には、図1において光ディスク装置1の正面からスイッチ4を見た図を示している。
【0034】
スイッチ4の上面には、図3において右端部に一端が取り付けられた板ばね40が、他端を上方向に付勢して設けられている。板ばね40は、スイッチ4の上面の取り付け位置から左斜め上方向に延設されており、板ばね40の延設端部分は、適宜位置で鉛直方向上向きに屈曲され、この屈曲位置から鉛直上方向に湾曲されて半円弧状のカーブ40aが形成されている。また、板ばね40には、カーブ40aが形成される屈曲位置から鉛直下向きに板状の突部40bが突設されている。スイッチ4は、挿入穴10bにイジェクトピン1aが挿通された場合に、イジェクトピン1aによって板ばね40を押圧できるように、板ばね40が挿入穴10bを遮る位置に配置されている。このような板ばね40は、スイッチ4の上面の取り付け位置を支点とし、イジェクトピン1aによる押圧位置を力点とし、カーブ40aが形成される屈曲位置を作用点とし、作用点が鉛直方向への移動が可能に構成されている。
【0035】
このように、板ばね40が挿入穴10bを遮って配置されていることにより、挿入穴10bにイジェクトピン1aが挿入された場合、イジェクトピン1aによって板ばね40のカーブ40aに鉛直方向下向きの力が加わり、板ばね40のスイッチ4の上面の取り付け位置を中心として、カーブ40aが鉛直方向下向きに移動し、図3(b)に示す状態となる。また、イジェクトピン1aが挿入穴10bから排出された場合、板ばね40は付勢力によって図3(a)に示す状態に戻る。
【0036】
スイッチ4の下面には、3つの端子41,42,43が設けられている。第1端子41は、スピンドルモータ31の第1の端子(例えば、プラス端子)と、スピンドルモータ31を駆動させるスピンドルモータ駆動回路(駆動部)31aの第1の端子(例えば、プラス端子)とに接続されている。第2端子42は、スピンドルモータ31の第2の端子(例えば、マイナス端子)に接続されている。第3端子43は、スピンドルモータ駆動回路31aの第2の端子(例えば、マイナス端子)に接続されている。
【0037】
スイッチ4の内部には、配線を介して第2端子42に接続された端子42aに一端が接続され、板ばね40の突部40bの下端に他端が接続された板状の切替部44が設けられている。図3(a)に示すようにイジェクトピン1aが挿入穴10bに挿入されていない状態では、切替部44の上面が、端子42aと板ばね40の突部40bの下端との間において、配線を介して第3端子43に接続された端子43aに当接されている。即ち、切替部44は、第2端子42と第3端子43とを接続している。
【0038】
図3(b)に示すようにイジェクトピン1aが挿入穴10bに挿入された状態では、上述したように、板ばね40の作用点が鉛直下方向に移動するので、切替部44の下面が、端子42aと板ばね40の突部40bの下端との間において、配線を介して第1端子41に接続された端子41aに当接される。即ち、切替部44は、第2端子42と第1端子41とを接続する。このように、板ばね40は、挿入穴10bに挿入されたイジェクトピン1aによって押圧されることにより、突部40bの下端に接続された切替部44の他端を、端子43aとの接続から端子41aとの接続に切り替える制御部として動作する。
【0039】
スピンドルモータ31を駆動させるスピンドルモータ駆動回路31aは、光ディスク装置1の全体を制御するコントロール回路15に接続されており、コントロール回路15によって制御されている。なお、コントロール回路15は、図示しないが、ピニオン11を回転させるモータ12を回転させるモータ駆動回路にも接続され、モータ駆動回路も制御する。
【0040】
スイッチ4において、図3(a)に示すように、イジェクトピン1aが挿入穴10bに挿入されていない場合、即ち通常時では、切替部44は端子42a及び端子43a、即ち第2端子42及び第3端子43を接続しており、これにより、スピンドルモータ31と、スピンドルモータ駆動回路31aとが接続される。従って、この場合、コントロール回路15からの指示に従って、スピンドルモータ駆動回路31aは、スピンドルモータ31の回転を制御することができる。
【0041】
図3(b)に示すように、イジェクトピン1aが挿入穴10bに挿入された場合、即ち、ユーザがイジェクトピン1aによってトレイ2を装置本体10から強制的に排出させようとした場合、切替部44は、イジェクトピン1aによって押下された板ばね40の突部40bに押下され、切替部44の下面が端子41aに当接され、端子41a及び端子42aを接続する。即ち、第1端子41及び第2端子42が接続される。これにより、スピンドルモータ31の両端子間が接続され、スピンドルモータ31の端子間がショート(短絡)する。この場合、コントロール回路15からの指示に拘わらず、スピンドルモータ31にショートブレーキを加えることになるので、スピンドルモータ31を停止させることができる。
【0042】
本実施形態の光ディスク装置1には、装置本体10に対してトレイ2を出し入れするためのボタン(図示せず)が設けられている。図1に示すようにトレイ2が装置本体10に収納されている状態でユーザによってボタンが操作された場合、コントロール回路15は、スピンドルモータ駆動回路31aを制御してスピンドルモータ31を停止させる。これにより、トレイ2に装着された光ディスクが停止する。そして、コントロール回路15は、モータ12を駆動させるモータ駆動回路を制御してモータ12を回転させ、ピニオン11を図1において右側面視で反時計回りに回転させる。
【0043】
これにより、トレイ2が装置本体10から排出される方向に移動し、このように移動するトレイ2のガイド溝22に沿ってシフタ13の突部14がシフタ13と共に矢符1bに示す方向へ移動する。シフタ13が矢符1bで示す方向へ移動した場合、ローダ3に設けられたピン33が、シフタ13の誘導溝13aの上端から下端へ誘導される。これにより、ローダ3のピン33が設けられた屈曲部分が、揺動軸30を中心に、誘導溝13aの上端と下端との鉛直方向の差の分だけ下方へ引き下げられ、トレイ2上に載置された光ディスクがスピンドルモータ31及びクランパ32から取り外される。
【0044】
コントロール回路15は、ピニオン11が、ラック歯23の一端、具体的には、図1において右側面視でラック歯23の右端から他端(左端)へ移動するまでモータ12を回転させ、トレイ2を装置本体10から排出させる。なお、トレイ2が装置本体10から排出されるとき、シフタ13に設けられた突部14は、トレイ2のガイド溝22に沿って、ガイド溝22の一端から他端まで移動するので、トレイ2の移動を妨げない。
【0045】
一方、図2に示すようにトレイ2が装置本体10から排出されている状態でユーザによってボタンが操作された場合、コントロール回路15は、モータ12を回転させるモータ駆動回路を制御してモータ12を回転させ、ピニオン11を図1において右側面視で時計回りに回転させる。コントロール回路15は、ピニオン11が、ラック歯23の一端、具体的には、図1において右側面視でラック歯23の左端から他端(右端)へ移動するまでモータ12を回転させ、トレイ2を装置本体10へ収納させる。
【0046】
これにより、トレイ2が装置本体10に収納される方向に移動し、このように移動するトレイ2のガイド溝22のカーブに沿ってシフタ13の突部14がシフタ13と共に矢符1bに示す方向の逆方向へ移動する。シフタ13が矢符1bで示す方向の逆方向へ移動した場合、ローダ3に設けられたピン33が、シフタ13の誘導溝13aの下端から上端へ誘導される。これにより、ローダ3のピン33が設けられた屈曲部分が、揺動軸30を中心に、誘導溝13aの下端と上端との鉛直方向の差の分だけ上方へ引き上げられ、トレイ2上に載置された光ディスクが、クランパ32によってスピンドルモータ31に固定される。
【0047】
上述した構成の光ディスク装置1において何らかの不具合が発生し、コントロール回路15が正常に動作しない状況となった場合、コントロール回路15による処理によってはトレイ2を装置本体10から排出させることができない。この場合、ユーザはイジェクトピン1aを挿入口10aから挿入し、挿入穴10bに沿って挿入されたイジェクトピン1aによってシフタ13を押圧し、シフタ13を矢符1bに示す方向へ強制的に移動させる。
【0048】
イジェクトピン1aが挿入穴10bに挿入された場合、イジェクトピン1aによってスイッチ4の板ばね40が鉛直下向きに押圧される。これにより、板ばね40の突部40bに接続された切替部44の一端が、板ばね40の突部40bによって押下され、切替部44の下面が端子41aに当接される。よって、端子41a及び端子42aが接続され、これにより、スピンドルモータ31の両端子間をショートさせることができる。即ち、イジェクトピン1aが挿入穴10bに挿入された場合、スイッチ(停止手段)4は、スピンドルモータ31にショートブレーキを加えて強制的に停止させ、トレイ2に装着された光ディスクを停止させることができる。
【0049】
板ばね40を押下したイジェクトピン1aは、シフタ13を押圧して矢符1bに示す方向へ強制的に移動させ、これにより、ローダ3に設けられたピン33が、シフタ13の誘導溝13aの上端から下端へ誘導され、ローダ3のピン33が設けられた屈曲部分が、揺動軸30を中心に、誘導溝13aの上端と下端との鉛直方向の差の分だけ下方へ引き下げられる。よって、トレイ2上に載置された光ディスクがスピンドルモータ31及びクランパ32から取り外される。
【0050】
また、イジェクトピン1aによってシフタ13を矢符1bに示す方向に押圧することにより、シフタ13の突部14がトレイ2のガイド溝22のカーブの外周面を矢符1bに示す方向に押圧する。これにより、ガイド溝22のカーブの外周面には、矢符1bに示す方向の力と、トレイ2を装置本体10から排出させる方向の力とが加わり、トレイ2が装置本体10から少し排出される。その後、ユーザは、装置本体10から少し排出されたトレイ2を手動で装置本体10から強制的に排出させることができる。
【0051】
このように、本実施形態の光ディスク装置1では、コントロール回路15によってトレイ2の装置本体10からの排出処理が実行できない状態であっても、ユーザがイジェクトピン1aを挿入穴10bに挿入すると共に、手動でトレイ2を装置本体10から強制的に引き出すことができる。また、トレイ2を強制的に引き出す際に、スイッチ4によってスピンドルモータ31にショートブレーキを加えることにより、スピンドルモータ31によって回転する光ディスクの回転を停止させることができる。従って、トレイ2を強制的に装置本体10から引き出す場合であっても、トレイ2に装着された光ディスクの回転を早期に停止させることができるので、光ディスクの表面に傷をつけることがない。
【0052】
上述したように、本実施形態では、挿入穴10bに挿入されたイジェクトピン1aによってスイッチ4の板ばね40が押下された場合、切替部44が、第2端子42及び第3端子43を接続している状態から、第1端子41及び第2端子42を接続する状態へ切り替えることにより、スピンドルモータ31の両端子間をショートさせ、光ディスクの回転を強制的に停止させる構成について説明した。
【0053】
しかし、例えば、イジェクトピン1aの挿入穴10bへの挿入を検知する手段を備え、イジェクトピン1aの挿入穴10bへの挿入を検知した場合に、制御回路によってスピンドルモータ31の両端子間をショートさせるように構成することもできる。なお、イジェクトピン1aが挿入穴10bに挿入される場合は、コントロール回路15による制御が正常に行なうことができなくなっている状況であるので、スピンドルモータ31の両端子間をショートさせる制御回路を、コントロール回路15とは異なる制御系で動作させる必要がある。
【0054】
上述した実施形態では、スイッチ4は、板ばね40のカーブ40a側の端部が鉛直方向へ移動可能に構成されており、板ばね40に設けられた突部40bがイジェクトピン1aによって押下されることにより、切替部44による切替処理を行なう構成について説明した。しかし、例えば、板ばね40を、スイッチ4の一側面に一端を取り付け、板ばね40に設けられた突部40bが水平方向へ移動可能に構成してもよい。この場合、板ばね40の突部40bがイジェクトピン1aによって水平方向に押圧されることにより、切替部44が切替処理を行なえるように構成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係るディスク装置の構成例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るディスク装置の構成例を示す斜視図である。
【図3】スイッチの構成例を示すブロック図である。
【図4】従来のディスク装置の一般的な構成例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0056】
1 光ディスク装置(ディスク装置)
2 トレイ
4 スイッチ
10b 挿入穴
31 スピンドルモータ(モータ)
31a スピンドルモータ駆動回路(駆動部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ディスクの装着が可能なトレイと、イジェクトピンの挿入が可能な挿入穴と、該挿入穴に挿入されたイジェクトピンによって前記トレイを装置本体から排出する排出手段と、該トレイに装着された記録ディスクを回転させるモータとを備えるディスク装置において、
前記挿入穴にイジェクトピンが挿入された場合に前記モータの回転を停止させる停止手段を備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記停止手段は、前記モータの第1の端子及び第2の端子間を短絡させて前記モータの回転を停止させるように構成してあることを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記モータを駆動させる駆動部を備え、
前記停止手段は、
前記モータの第1の端子及び前記駆動部の第1の端子に接続された第1端子と、
前記モータの第2の端子に接続された第2端子と、
前記駆動部の第2の端子に接続された第3端子と、
前記第2端子に一端が接続され、前記第1端子及び前記第3端子のそれぞれと他端との接続が切り替え可能な切替部と、
前記挿入穴に挿入されたイジェクトピンによって押圧されることにより、前記切替部の他端を、前記第1端子との接続から前記第3端子との接続に切り替える制御部とを有することを特徴とする請求項2に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−305528(P2008−305528A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154362(P2007−154362)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】