説明

ディスク装置

【課題】 挿入口を開閉する開閉部材を搬送部材の動作に連動させて動作させることができ、しかも開閉部材を適正な移動量で移動させて挿入口を閉鎖できる「ディスク装置」を提供することを目的とする。
【解決手段】 シャッタ部材60がローラブラケット44と連動可能に設けられている。シャッタ部材60は、ローラブラケット44の回動に連動して所定範囲だけ回動し、その後、シャッタ部材60の突部64が、左右の側方スライダに設けられた押圧部37によってY1方向に押される。シャッタ部材60は時計方向へ回動させられて、シャッタ部材60の開閉板部61が挿入口5を内側から閉鎖する。このため、シャッタ部材60によって挿入口5を確実に閉鎖でき、ディスクが回転駆動されている間に、他のディスクなどが、挿入口5から装置内部に挿入されることを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクが挿入口から挿入されて装置内部に装填されたときに、挿入口を閉鎖する開閉部材が設けられたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるスロットイン方式のディスク装置は、筐体にスリット状に開口する挿入口が設けられ、挿入口に挿入されたディスクが、搬送ローラによって筐体の内部に搬入されて装填される。このディスク装置として、挿入口を開閉するための開閉部材であるシャッタ部材が設けられたものがある。ディスクが筐体内にクランプされているときに、シャッタ部材で挿入口が閉鎖されることで、別のディスクが誤って挿入口から筐体の内部に挿入されることを防止できる。
【0003】
このディスク装置では、ディスクの挿入を待機するときに挿入口を開放状態とし、ディスクが搬入された後に挿入口を閉鎖できるように、シャッタ部材を移動させることが必要である。
【0004】
通常は、以下の特許文献1と特許文献2に記載されているように、筐体の内部に、シャッタ部材を動作させるための専用の開閉機構が設けられている。しかし、この開閉機構は、ディスクの装填が完了した後にタイミングを合わせてシャッタ部材を移動させて挿入口を閉鎖することが必要であるため、開閉機構の構造が複雑となり、この機構を構成するために多くの部品を要する。また、組み立てが煩雑であり、且つ筐体内で開閉機構がスペースを広く占有する欠点がある。
【0005】
以下の特許文献3に記載されたディスク装置では、ディスクを回転駆動するターンテーブルと挿入口との間に、ディスクを搬送する搬送ローラを支持するローラアームが設けられている。このローラアームは、搬送ローラの支持部よりも挿入口側に位置する軸を支点として回動自在に取り付けられている。また、ローラアームには、前記支点よりも挿入口側にドアが設けられている。
【0006】
このディスク装置は、搬送ローラがディスクに圧接する方向へローラアームが回動すると、ドアが挿入口から離れて挿入口が開放され、逆に搬送ローラがディスクから離れる方向へローラアームが回動すると、ドアによって挿入口が閉鎖されるというものである。
【0007】
しかし、このディスク装置は、搬送ローラとドアとが水平に延びるローラアームの両端部に設けられ、ローラアームが中間点を支点として回動する構造であるため、搬送ローラを移動させる移動距離と、ドアを開閉する際の移動距離とを個別に設定することができない。そのため、ドアで挿入口を閉鎖するときに、搬送ローラがディスクから十分に離れる位置まで移動できなかったり、逆に、搬送ローラをディスクから十分に離そうとすると、ドアの移動距離が長くなりすぎて、適正な開閉動作ができない、などの問題が生じやすい。
【特許文献1】特開2003−100067号公報
【特許文献2】特開2004−348907号公報
【特許文献3】特許第3634126号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、挿入口を開閉する開閉部材を、搬送部材を支持している支持部材に支持させ、支持部材の動作に伴って開閉部材が移動できるように構成することで、開閉部材の支持構造を簡単にできるディスク装置を提供することを目的としている。
【0009】
また、支持部材と開閉部材の移動距離を個別に設定できるようにして、支持部材の動作によって搬送部材を搬送位置から離反位置まで十分な距離だけ移動させることができ、しかも開閉部材を、挿入口を開閉するために適切な距離だけ移動させることができるディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ディスクが挿入される挿入口と、前記挿入口の内側に設けられてディスクを搬送する搬送部材とを有するディスク装置において、
前記搬送部材を支持して前記搬送部材をディスク搬送位置とディスクから離れる離反位置とに移動させる支持部材と、前記支持部材に移動自在に支持された開閉部材と、前記開閉部材に移動力を与える切り替え部材とを有しており、
前記支持部材が前記搬送部材を前記ディスク搬送位置から前記離反位置へ移動させるときに、前記支持部材の移動に伴って前記開閉部材が前記挿入口へ接近する位置または前記挿入口を部分的に閉鎖する位置へ移動し、その後に、前記切り替え部材によって、前記開閉部材が前記挿入口を閉鎖する位置まで移動させられることを特徴とするものである。
【0011】
本発明のディスク装置は、挿入口を開閉する開閉部材が支持部材に支持されているために、開閉部材の支持構造が簡単である。また、支持部材が動作して搬送部材がディスクから離れることとタイミングを合わせて開閉部材が挿入口に向けて移動するため、最少の部品を有する機構で、開閉部材を搬送部材の移動に同期させて動作させることができる。また、開閉部材が挿入口に接近した後に、切り替え部材で開閉部材を移動させて挿入口を閉鎖しているため、搬送部材の移動距離と開閉部材の開閉移動距離とを互いに独立させて最適に設定することができる。
【0012】
例えば、本発明は、前記支持部材は回動自在に支持され、前記支持部材の回動支点は、前記搬送部材よりも前記挿入口側に設けられており、前記開閉部材は、前記搬送部材よりも前記挿入口側において前記支持部材に移動自在に支持されているものである。この場合に、前記開閉部材は、連結支点によって前記支持部材に回動自在に支持されており、前記連結支点は、前記支持部材の回動支点と異なる位置にあることが好ましい。
【0013】
上記ディスク装置は、支持部材が回動して搬送部材がディスクから離れたときに、支持部材と共に開閉部材が回動し、開閉部材が挿入口に接近する位置へ移動できる。このとき、回動支点から搬送部材までの距離や、連結支点と回動支点との距離などを設定することで、搬送部材の移動量を大きく設定でき且つ開閉部材の移動量を開閉動作に必要な最適距離に設定しやすくなる。
【0014】
また、本発明は、筐体内において支持部材が回動することなく移動するものであってもよいし、また回動する支持部材に、開閉部材が回動することなく移動自在に支持されていてもよい。
【0015】
本発明は、前記開閉部材は板材で形成され、前記挿入口の外側に向けて凸状となる湾曲部を有していることが好ましい。
【0016】
本発明は、ターンテーブルにクランプされたディスクの周縁部が、湾曲部の内面に対向する構造にすると、クランプされているディスクの外周縁に挿入口が接近して配置されていても、ディスクの周縁部と開閉部材との間の距離を保つことができ、ディスクの外周縁が開閉部材に当たることを防止できる。
【0017】
また、本発明は、前記開閉部材が前記挿入口を閉鎖しているときに、前記湾曲部が前記挿入口の内部に入り込むことが好ましい。
【0018】
このように構成すると、挿入口とターンテーブルとの距離を最短にでき、小型のディスク装置を構成しやすくなる。
【0019】
また、本発明は、前記開閉部材には、前記湾曲部の縁部が、前記連結支点が存在している側と逆側に向けて曲げられて曲げ片が形成されており、前記開閉部材が前記挿入口を閉鎖しているときに、前記曲げ片が、前記挿入口の縁部の内側に対向するものとして構成できる。
【0020】
上記ディスク装置では、開閉部材が挿入口を閉鎖しているときに、開閉部材の湾曲部と挿入口の縁部との間に隙間が形成されなくなり、ディスクが前記隙間に入り込むことを防止できる。
【0021】
また、本発明は、前記開閉部材が挿入口から離れた開放姿勢のときに、前記開閉部材の内面が、前記挿入口から装置内方に延びて、挿入口から挿入されたディスクの案内面として機能するものである。
【0022】
挿入口を開放しているときの開閉部材をディスクの案内面として利用することで、挿入口に対してディスクが斜めに挿入されたときであっても、案内面によって、ディスクを正常な挿入姿勢に矯正することができる。
【0023】
本発明は、前記切り替え部材は、その一方への移動力によって前記支持部材を移動させて、前記搬送部材を前記ディスク搬送位置から前記離反位置に移動させるものであり、前記切り替え部材の前記一方への移動力によって、さらに前記開閉部材が前記挿入口を閉鎖する位置まで移動させられるものである。
【0024】
上記のように、支持部材を移動させる切り替え部材の移動力で開閉部材を閉鎖位置まで移動させることにより、開閉部材を動作させるための専用の切り替え部材が不要になって部品数を削減でき、また開閉部材を、搬送部材の移動にタイミングを合わせて動作させることが可能になる。
【0025】
また、開閉部材は、支持部材の移動力によって、挿入口に接近する位置または挿入口の一部を閉鎖する位置まで移動させられ、このようにある程度移動させらえた後に、切り替え部材で閉鎖部材を閉鎖姿勢まで移動させているため、切り替え部材の移動距離が短くても、開閉部材を閉鎖に必要な十分な距離だけ移動させることができる。
【0026】
本発明は、前記切り替え部材の移動力が弾性部材を介して前記開閉部材に伝達されることが好ましい。例えば、本発明では、前記弾性部材は、前記切り替え部材に一体に形成された弾性変形部である。
【0027】
上記のように、切り替え部材の移動力を、弾性部材を介して開閉部材に与えることで、開閉部材で挿入口を閉鎖しようとしているときに、挿入口に指などが挿入されたときに、切り替え部材の移動力で指などに大きな加圧力が作用することを防止できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のディスク装置は、搬送部材を移動させる支持部材に開閉部材を支持させているので、開閉部材の支持構造が簡単である。
【0029】
また、搬送部材を支持している支持部材で、開閉部材を挿入口に接近する位置または挿入口を部分的に閉鎖する位置まで移動させた後に、切り替え部材で、開閉部材を閉鎖姿勢まで移動させているため、搬送部材の移動距離と、開閉部材の開閉動作の移動量を個別に最適に設定することができる。
【0030】
また、開閉部材は、その前半が支持部材で移動させられ、挿入口に接近した後に切り替え部材で最後まで移動させられるため、開閉部材を閉鎖姿勢まで移動させる際の切り替え部材の移動距離を短くでき、機構の移動量を短縮して小型化に寄与できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
図1は、本発明の実施の形態のディスク装置の全体構造を示す斜視図であり、図2は図1の右側面図である。図1と図2は、ディスクの挿入を待つ待機状態である。図3ないし図7は、ディスクが挿入されてシャッタ部材が閉鎖されるまでの動作を示す部分拡大断面図であり、図3は待機状態、図4は挿入口からディスクが挿入された状態、図5と図6はディスクがクランプ可能な位置まで搬入された状態、図7はディスクが筐体内部に搬入されてクランプが完了し、シャッタ部材が閉鎖された状態をそれぞれ示している。
【0032】
各図においては、X1側が右方向、X2側が左方向、Y1側が前方、Y2側が後方、Z1側が上方、Z2側が下方である。図2では、右側方スライダ30aの図示を省略している。また、図3ないし図7には、挿入口を有する筐体1の一部が断面で示されているが、図1と図2では筐体1の図示を省略している。
【0033】
ディスク装置は、DVD(デジタルバーサタイルディスク)やCD(コンパクトディスク)などの直径が12cmのディスクDが装填可能である。
【0034】
図3ないし図7に示すように、ディスク装置は筐体1を有している。筐体1は金属板で形成されている。車載用のディスク装置の場合、筐体1の大きさは、例えば1DINサイズまたは1/2DINサイズであり、筐体1は自動車の車室内のインストルメントパネルに埋設して設置される。
【0035】
筐体1は、底板2と天井板3と前面板4とを有している。筐体1はY2側に後面板を有しており、X1側とX2側には側面板を有している。筐体1の前面板4には挿入口5が開口している。筐体1の前面板4の前方には、合成樹脂で形成された化粧ノーズが取り付けられており、この化粧ノーズの前面に各種操作部材や表示装置が設けられている。化粧ノーズには、挿入口5に連通するノーズ部挿入口が開口しており、このノーズ部挿入口と挿入口5を経て、ディスクDが筐体1の内部に向けて挿入される。挿入口5は、左右方向(X1−X2方向)に向けて細長く形成されている。
【0036】
筐体1の内部に、図1および図2に示す機構ユニット10が収納されている。図2に示すように、機構ユニット10は底部側にドライブベース11を有し、上部側にクランプベース12を有している。ドライブベース11とクランプベース12は共に金属板を折り曲げて形成されている。図1と図2に示すように、ドライブベース11には、Y2側においてX1方向とX2方向へ延びる連結軸13が設けられ、クランプベース12のY2側の端部は、連結軸13に回動自在に支持されている。
【0037】
筐体1の内部には、ドライブベース11を弾性的に支持する複数のダンパー15a,15bが設けられている。図1と図2に示すように、これらダンパー15a,15bは、弾性体の袋の内部にオイルが封入されて構成されている。ダンパー15a,15bは、筐体1の内面に固定されており、ドライブベース11に固定された支持軸がそれぞれのダンパー15a,15bに支持されている。機構ユニット10にディスクDが装填された後は、ドライブベース11が、ダンパー15a,15bに弾性支持された状態で、ディスクDが回転駆動される。
【0038】
図2に示すように、ドライブベース11にはY1側に回転駆動部20が設けられている。図3に示すように、回転駆動部20は、ドライブベース11の上に固定されたスピンドルモータ21と、スピンドルモータ21の回転軸22に固定された合成樹脂製のターンテーブル23を有している。
【0039】
図1に示すように、ドライブベース11には光ヘッド25が搭載されている。光ヘッド25は、ドライブベース11に設けられたガイド機構によって移動自在に支持されているとともに、光ヘッド25を前記ガイド機構に沿って往復移動させるスレッド機構が設けられている。スレッド機構によって、光ヘッド25は、ターンテーブル23にクランプされたディスクDの記録面に沿って、ディスクDの半径方向に向けて移動させられる。
【0040】
図1に示すように、クランプベース12のY1側の端部には、合成樹脂製のクランパ27が回動自在に支持されているとともに、クランパ27の回転軸を下方(Z2方向)へ押圧する板ばね26が設けられている。
【0041】
図1と図2に示すように、ドライブベース11のY2側の端部にはX1方向へ突出する突出片12aが一体に形成され、この突出片12aに、トーションコイルばね17が取り付けられている。トーションコイルばね17の一方の腕部は、ドライブベース11に掛けられ、他方の腕部がクランプベース12に掛けられて、クランプベース12は、連結軸13を支点として、反時計方向へ常に付勢されている。すなわち、クランプベース12は、図7に示すように、クランパ27がターンテーブル23に押圧されるように常に回動付勢されている。
【0042】
図1と図2に示すように、クランプベース12のY1側の端部には、X1方向へ突出する持ち上げ軸18が固定されている。この持ち上げ軸18に上方(Z1方向)への力を与えると、クランプベース12はトーションコイルばね17の付勢力に対抗して時計方向へ回動させられ、クランパ27がターンテーブル23から離れる。
【0043】
図1に示すように、機構ユニット10のドライブベース11には、X1側に、第1の切り替え部材として機能する右側方スライダ30aが設けられ、X2側に、第2の切り替え部材として機能する左側方スライダ30bが設けられている。図1に示すように、右側方スライダ30aには前後方向(Y1−Y2方向)に延びる案内長穴31が開口し、ドライブベース11に案内軸19が固定されている。案内長穴31と案内軸19は、ひとつの右側方スライダ30aに複数組設けられているが、図1では1組のみ図示している。案内長穴31が案内軸19を摺動することで、右側方スライダ30aがY1−Y2方向へ往復移動可能である。同様に、左側方スライダ30bも、ドライブベース11のX2側の側部において前後方向へ往復移動可能に支持されている。
【0044】
ドライブベース11の左後方にモータMが設けられており、このモータMの動力によって左側方スライダ30bが前後方向へ駆動される。ドライブベース11の下面にはリンク機構が設けられ、左側方スライダ30bと右側方スライダ30aとが、前記リンク機構で連結されて、同期して同じ方向へ移動させられる。図1に示す待機状態では、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bは、共に後方(Y2方向)へ移動させられている。
【0045】
ドライブベース11上には、直径が12cmのディスクDの中心穴がターンテーブル23上に至ったことを検知する装填検知機構が設けられている。この装填検知機構がディスクDを検知すると、モータMが始動し、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bが同期して、一緒にY1方向へ移動させられる。
【0046】
以下では、主に右側方スライダ30aについて説明する。右側方スライダ30aと左側方スライダ30bは同じ機能を発揮するものであり、左側方スライダ30bの形状および構造は、右側方スライダ30aと同等である。
【0047】
図1に示すように、右側方スライダ30aにはクランプ制御カム部32が設けられている。クランプ制御カム部32は、前方(Y1方向)に向かうにしたがって上方(Z1方向)へ向けられるカム長穴32aと、このカム長穴32aとY2側で連続する大きな直径の逃げ穴部32bを有している。クランプベース12に設けられた持ち上げ軸18は、カム長穴32aと逃げ穴部32bの内部を移動できるように挿入されている。
【0048】
図1に示す待機状態では、右側方スライダ30aが後方(Y2方向)へ移動しているため、カム長穴32aによって持ち上げ軸18がZ1方向へ持ち上げられている。このとき、図3と図4に示すように、クランプベース12が時計方向へ回動させられ、クランパ27がターンテーブル23から上方へ離れたクランプ解除状態に設定されている。ディスクDの中心穴がターンテーブル23の上に移動して前記装填検知機構が動作し、モータMが始動して、右側方スライダ30aが前方(Y1方向)へ移動させられると、持ち上げ軸18が、逃げ穴部32b内に移動する。このとき、図7に示すように、クランプベース12がトーションコイルばね17の弾性力によって反時計方向へ回動し、クランパ27によってディスクDの中心部がターンテーブル23に押し付けられ、ディスクDがターンテーブル23にクランプされる。
【0049】
図1に示すように、右側方スライダ30aにはロックカム部33が設けられている。このロックカム部33は、前後方向に延びるロック長穴33aと、ロック長穴33aのY2側に連続する大きな直径の逃げ穴部33bとを有している。
【0050】
図1に示す待機状態で、右側方スライダ30aがY2方向へ移動していると、筐体1に固定されて設けられた拘束軸(図示せず)が、ロック長穴33a内に保持される。このとき、機構ユニット10は、筐体1の内側において動くことなく保持され、挿入口5から搬入されたディスクDが、ターンテーブル23と、ターンテーブル23から離れているクランパ27との間の隙間内に移動しやすくなる。前記装填検知機構が動作して、右側方スライダ30aがY1方向へ移動すると、
図7に示すように、クランパ27が下降してディスクDの中心部がクランプされるとともに、ロック長穴33aが前記拘束軸から外れ、拘束軸が逃げ穴部33bに移動する。このとき、機構ユニット10は筐体1内で拘束されず、ダンパー15a,15bによって弾性支持される。ターンテーブル23にクランプされたディスクDが回転駆動される間に、外部振動がダンパー15a,15bの振動として吸収されやすくなり、機構ユニット10に直接に影響を及ぼすことが防止される。
【0051】
図2と図3に示すように、挿入口5と回転駆動部20との間に搬送機構40が設けられている。
【0052】
搬送機構40は、搬送ローラ41と、搬送ローラ41のZ1側に対向する固定案内部43とを有している。搬送ローラ41と固定案内部43のそれぞれが本発明の搬送部材である。この実施の形態では、一方の搬送部材である搬送ローラ41が、支持部材であるローラブラケット44に支持され、ローラブラケット44が回動したときに、搬送ローラ41と固定案内部43とでディスクDが挟持される。ただし、本発明は、これとは逆に、搬送ローラ41が筐体1内で動くことなく設けられ、固定案内部43がローラブラケット44に支持されて、ローラブラケット44が回動したときに、固定案内部43と搬送ローラ41とでディスクが挟持されるものであってもよい。また、固定案内部43の代わりに自由に回転するローラを使用することも可能である。
【0053】
固定案内部43は、摩擦係数の小さい合成樹脂材料で形成されて、筐体1の天井板3の下面に動かないように固定されている。固定案内部43は、その下面が、Y1−Y2方向へ水平に延びる案内面43aとなっている。
【0054】
搬送ローラ41は、合成ゴムなどの摩擦係数の大きな材料で円筒状に形成されており、金属製のローラ軸42の外周に装着されている。ローラ軸42の両端部はローラブラケット44に支持されている。
【0055】
ローラブラケット44は金属板で形成されている。図1と図2に示すように、ローラブラケット44は、X1側において、右側支持部44aと、この右側支持部44aのY1側の先部から上方へ延びる右側先部44bとを有している。また、図3に示すように、ローラブラケット44は、X2側において、左側支持部44cと、この左側支持部44cのY1側の先部から上方へ延びる左側先部44dとを有している。
【0056】
図2に示すように、ローラブラケット44のX1側では、右側先部44bに支持穴44eが開口し、図3に示すように、ローラブラケット44のX2側では、左側先部44dに支持穴44fが開口している。支持穴44eと支持穴44fは、X1−X2軸と平行な軸線上に位置している。筐体1の両側面板の内側には短い一対の支持軸45,45が固定されており、支持穴44e,44fがそれぞれの支持軸45,45に支持され、ローラブラケット44は、支持軸45,45を回動支点として回動自在に支持されている。図3に示すように、ローラブラケット44と筐体1の底板2との間に引っ張りコイルばね46が掛けられており、ローラブラケット44は常に反時計方向へ付勢されている。
【0057】
図2に示すように、ローラブラケット44の右側支持部44aのY2側の端部に保持穴44gが形成され、左側支持部44cのY2側の端部にも同様に保持穴44g(図示せず)が開口している。ローラ軸42の両端部は、それぞれ保持穴44g内に挿入されている。図2に示す待機状態では、引っ張りコイルばね46の弾性力でローラブラケット44が反時計方向へ付勢されており、この付勢力によって、ローラ軸42が固定案内部43に押し付けられている。
【0058】
また、ローラ軸42のX2側の端部にはピニオン歯車が固定されており、図示しない搬送モータからの回転動力が前記ピニオン歯車に伝達されて、ローラ軸42が回転駆動される。
【0059】
図2と図3に示すように、ローラブラケット44には、右側支持部44aの上縁と左側支持部44cの上縁とをつなぐ対向案内部44hが設けられている。すなわち、右側支持部44aは対向案内部44hのX1側で下向きに直角に折り曲げて形成され、左側支持部44cは対向案内部44hのX2側で下向きに直角に折り曲げられて形成されている。
【0060】
対向案内部44hの上面の案内面44iは平坦面である。図2と図3に示す待機状態では、案内面44iが、後方(Y2方向)に向かうにしたがって上方(Z1方向)へ持ち上がるように傾斜している。
【0061】
搬送機構40と挿入口5との間には可動案内部50が設けられている。可動案内部50は、固定案内部43と同じ低摩擦係数の合成樹脂材料で形成されており、その下面は平滑な案内面51である。案内面51は、ローラブラケットに形成された対向案内部44hの案内面44iに上方から対向している。
【0062】
図1と図2に示すように、可動案内部50の先部(Y1側)には、X1方向とX2方向へ突出する短い支持軸52,52が一体に形成されている。それぞれの支持軸52,52は、筐体1の両側面板に設けられた軸受部に回動自在に支持されている。可動案内部50はその自重と図示しないばね部材の付勢力によって、支持軸52,52を中心として時計方向へ回動付勢されている。可動案内部50の上面には、支持軸52,52よりもY1側にストッパ部53が形成されている。図3に示すように、可動案内部50は、ストッパ部53が筐体1の天井板3の下面に当たったときに、それ以上は時計方向へ回動しない回動限界となる。可動案内部50は、図3に示すような傾斜しているときが当接姿勢であり、挿入口5から挿入されたディスクDが案内面51に当たりやすくなっている。
【0063】
図3に示すように、ディスクの挿入を待機する待機状態では、可動案内部50の下面の案内面51と対向案内部44hの案内面44iとの対向間隔が、挿入口5側で広く、搬送ローラ41に向かうにしたがって徐々に狭くなっている。そして、可動案内部50の案内面51のY2側の端部51aが、搬送ローラ41の左側に対向しており、同じく対向案内部44hの案内面44iのY2側の端部44jも、搬送ローラ41の左側に対向している。そして、端部51aと端部44jとの間隔が、ディスクDの厚み寸法よりも狭くなっている。
【0064】
図1と図3に示すように、固定案内部43の前端(Y1側の端部)には、X1−X2方向のほぼ中心部分に、機械的なスイッチSが固定され、スイッチSのアクチュエータSaがY1方向へ突出している。可動案内部50のY2側の端部には、その上面に凹部54が形成されている。可動案内部50がばね部材の付勢力に抗して反時計方向へ回動させられると、凹部54の底面によってアクチュエータSaが上に押されて、スイッチSの出力がOFFからONに切り替えられる。
【0065】
図1と図2に示すように、可動案内部50の後端部(Y2側の端部)には、X1方向とX2方向へ突出する持ち上げ突部55,55が一体に形成されている。
【0066】
また、可動案内部50の下には、開閉部材として機能するシャッタ部材60が設けられている。シャッタ部材60は金属板で形成されている。図3ないし図7に示すように、シャッタ部材60は、挿入口5を内側から閉鎖することができる開閉板部61を有している。開閉板部61は、Y−Z平面と平行な切断面で切断したときに、挿入口5に凸側が向けられたほぼ円筒状の湾曲部となっている。
【0067】
湾曲部である開閉板部61の反時計側に向く縁部には、曲げ片61aが形成されている。この曲げ片61aは、開閉板部61の縁部から、連結軸63,63が設けられているのと逆の側へ折り曲げられて形成されたものであり、X方向に向けて平坦に延びる細長い板部である。
【0068】
図1に示すように、シャッタ部材60は、開閉板部61のX1側からほぼ直角に折り曲げられた右側支持部62aと、開閉板部61のX2側からほぼ直角に折り曲げられた左側支持部62bとを有している。
【0069】
ローラブラケット44の右側先部44bの内面および左側先部44dの内面には短い連結軸63,63が固定されており、シャッタ部材60の右側支持部62aと左側支持部62bが、連結軸63,63を連結支点として、ローラブラケット44の内側に回動自在に支持されている。
【0070】
連結支点である連結軸63,63と、ローラブラケット44の回動支点である支持軸45,45とは異なる位置に配置されており、図3に示すように、シャッタ部材60が挿入口5から外れて挿入口5を開放させているときに、連結軸63,63は、支持軸45,45よりも、挿入口5から離れた筐体1の内方に配置されている。
【0071】
シャッタ部材60とローラブラケット44との間には、トーションばねや引っ張りコイルばね(いずれも図示せず)などのバネ部材が取り付けられており、シャッタ部材60は、ローラブラケット44内において、常に反時計方向、すなわち開閉板部61が挿入口5から離れ、挿入口5を開放させる方向へ回動付勢されている。
【0072】
シャッタ部材60の右側支持部62aにはX1方向へ突出する突部64が設けられ、左側支持部62bにはX2方向へ突出する突部64が設けられている。この突部64をY1方向へ押圧すると、シャッタ部材60がばね部材の付勢力に抗して時計方向へ回動し、図7に示すように、開閉板部61が挿入口5を閉鎖する閉鎖姿勢となる。
【0073】
図1に示すように、右側方スライダ30aのY1側には、ローラ制御カム部34が設けられている。ローラ制御カム部34は、上側に形成された上側案内部34aと、それよりもY2側で且つ下側に形成された下側拘束部34bと、上側案内部34aと下側拘束部34bとに連続する傾斜案内穴34cとを有している。ローラ軸42のX1側の端部42aは、ローラ制御カム部34に摺動自在に挿入されている。
【0074】
右側方スライダ30aのY1側の端部には、案内制御カム部35が形成されている。案内制御カム部35は、Y1側の持ち上げ案内部35aとY2側に延びる保持案内部35bとを有している。持ち上げ案内部35aは、後方(Y2方向)へ向かうにしたがって徐々に上向きになる傾斜面であり、保持案内部35bは、Y1−Y2方向へ延びる水平な平面である。右側方スライダ30aがY1方向へ移動するときに、可動案内部50に設けられた持ち上げ突部55が案内制御カム部35に摺動し、これによって可動案内部50の姿勢が制御される。
【0075】
右側方スライダ30aのY1側の端部には切り欠き36を挟んで上向きに延びるシャッタ押圧部37が一体に形成されている。右側方スライダ30aがY1方向へ移動すると、シャッタ押圧部37で、シャッタ部材60の突部64がY1方向へ押圧される。
【0076】
右側方スライダ30aは、合成樹脂材料で形成されており、シャッタ押圧部37aは弾性変形可能な弾性変形部となっている。
【0077】
次に、ディスク装置の内部にディスクDを搬入する動作を説明する。
(ディスク挿入待機状態)
図1ないし図3に示すように、ディスクDが挿入される前のディスク挿入待機状態では、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bの双方がY2方向へ移動している。よって、右側方スライダ30aに設けられたクランプ制御カム部32のカム長穴32aによって持ち上げ軸18が持ち上げられ、クランプベース12が時計方向へ回動させられて、クランパ27がターンテーブル23から上方へ離れている。
【0078】
また、ローラ軸42の端部42aが、右側方スライダ30aに形成されたローラ制御カム部34の上側案内部34aに案内されている。よって、引っ張りコイルばね46からローラブラケット44に作用する弾性力により、ローラブラケット44が反時計方向へ回動させられているとともに、引っ張りコイルばね46の弾性力により、搬送ローラ41のローラ軸42が固定案内部43に向けて付勢されている。また、右側方スライダ30aのY1側の端部の持ち上げ案内部35aが持ち上げ突部55から離れており、可動案内部50がその自重ならびに図示しないばね部材の付勢力によって時計方向へ回動させられて、図3に示すように傾斜した当接姿勢となっている。
【0079】
図3に示すように、ローラブラケット44に支持されているシャッタ部材60は、図示しないばね部材の付勢力によって反時計方向へ回動させられている。よって、開閉板部61が挿入口5から離れて挿入口5が開放状態なっている。
【0080】
図3に示す待機状態では、可動案内部50の下面の案内面51と、その下に位置する対向案内部44hの案内面44iとの上下の間隔が、挿入口5側で広く、搬送ローラ41に向かうにしたがって徐々に狭くなっている。
【0081】
また、シャッタ部材60が反時計方向へ回動しているため、開閉板部61が、挿入口5の下側の壁部1bの内面と、ローラブラケット44の案内面44iとの間に位置している。すなわち、開閉板部61が、壁部1bと案内面44iとの橋渡しとなり、壁部1bの内面と案内面44iとの間に、下側へ深く窪む空間ができることを防止している。そのため、挿入口5から挿入されたディスクDを、開閉板部61の内周面と案内面44iとで案内して搬送ローラ41に導けるようになる。また、湾曲部である開閉板部61のY2側の端部に曲げ片61aが形成されているが、図3の状態で、この曲げ片61aが、開閉板部61と案内面44iとの境界部を埋めるようになり、この境界部でディスクDをスムースにY2方向へ案内できる。
【0082】
図3に示す待機状態では、搬送モータに通電されておらず、また、スイッチSには検知電圧が与えられているが、スイッチSの接点が非接触で開かれているため、スイッチSに電流が流れず、消費電力が低くなっている。
【0083】
(ディスクの搬入動作)
図3に示す待機状態で、挿入口5からディスクDがY2方向へ挿入されると、ディスクDのY2側に向く周縁部が、可動案内部50の案内面51と、その下に対向する開閉板部61の内面および対向案内部44hの案内面44iとの間で導かれて搬送ローラ41に至る。図3の待機状態では、可動案内部50の案内面51と対向案内部44hの案内面44iとの間隔がY2側に向かうにしたがって徐々に狭くなっており、しかも案内面51のY2側の端部51aと案内面44iのY2側の端部44jが搬送ローラ41の側方に対向している。
【0084】
そのため、図4に示すように、ディスクDのY2側に向く周縁部が搬送ローラ41に当たる位置、すなわち搬送機構40から搬送力を与えることが可能な位置まで挿入されると、ディスクDが端部51aと端部44jとの間に入り込み、ディスクDの上面によって可動案内部50が持ち上げられる。そして、可動案内部50の凹部54の底部によってアクチュエータSaが持ち上げられて、スイッチSの出力がOFFからONに切り替えられる。
【0085】
図示しない制御部では、スイッチSがONに切り替えられたときに、搬送モータを始動する。搬送モータの動力は減速歯車で減速されて、ローラ軸42に伝達され、ローラ軸42および搬送ローラ41が、図4において搬入方向である時計方向へ回転し始める。ディスクDのY2側の周縁部は、搬送ローラ41の回転力によって、搬送ローラ41と固定案内部43との間に導かれる。ローラ軸42に引っ張りコイルばね46の弾性力が作用しているため、ディスクDは搬送ローラ41と固定案内部43の案内面43aとで挟持され、搬送ローラ41の回転力によって筐体1の内方へ向けて搬入される。
【0086】
搬入されたディスクDの中心穴がターンテーブル23の上に至ると、筐体1の内部に設けられている装填検知機構がこれを検知する。制御部では、装填検知機構が検知状態となったときに、図1に示すモータMを始動する。
【0087】
モータMが始動すると、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bが同期して、図1に示す状態からY1方向へ移動する。この過程で、右側方スライダ30aに設けられたクランプ制御カム部32のカム長穴32aによって持ち上げ軸18が下方へ案内されて逃げ穴部32bに移動させられる。よって、クランプベース12が、トーションコイルばね17の付勢力によって、連結軸13,13を支点として反時計方向へ回動させられ、クランパ27がターンテーブル23に向けて下降する。
【0088】
図5に示すように、上記のクランプベース12の反時計方向への回動動作とほぼ同時に、ローラ軸42の端部42aが、ローラ制御カム部34の上側案内部34aから傾斜案内穴34cへ案内される。よって、ローラブラケット44は、引っ張りコイルばね46からの弾性力に抗して、支持軸45,45を中心として時計方向へ回動させられる。図5と図6に示すように、ローラブラケット44が時計方向へ回動させられ、搬送ローラ41が下降する際に、ディスクDが搬送ローラ41と一緒に下降し、クランパ27の下降力によって、ディスクDの中心穴がターンテーブル23とクランパ27とで挟持される。
【0089】
シャッタ部材60は、図示しないばね部材で反時計方向へ付勢されてローラブラケット44に保持されているため、図5から図6に示すように、ローラブラケット44が時計方向に回動させられる間に、ローラブラケット44の回動動作に伴ってシャッタ部材60が時計方向へ回動する。ローラブラケット44およびシャッタ部材60が時計方向へ回動して、シャッタ部材60の開閉板部61が挿入口5に接近し、または開閉板部61によって挿入口5の一部が閉鎖された時点で、さらにY1方向へ移動する右側方スライダ30aのY1側の端部のシャッタ押圧部37によって突部64がY1方向へ押され始める。その後の、右側方スライダ30aのY1方向の移動力により、シャッタ部材60が、ローラブラケット44とは独立して連結軸63,63を支点として時計方向へ回動させられて、開閉板部61によって挿入口5が閉鎖される。
【0090】
なお、ローラブラケット44の回動動作とシャッタ部材60の回動動作との関係は、ローラブラケット44が、図6に示す姿勢まで完全に回動した後に、右側方スライダ30aのシャッタ押圧部37で突部64が押されて、シャッタ部材60が時計方向へ回動させられてもよいし、または、ローラブラケット44が図3の姿勢から時計方向へ回動し始めて図6に示す終端に至る途中で、右側方スライダ30aのシャッタ押圧部37で突部64が押され始め、ローラブラケット44が時計方向へ回動している途中で、シャッタ部材60が時計方向へ回動し始めてもよい。
【0091】
いずれにせよ、ローラブラケット44が、図3の姿勢から図6の姿勢まで回動するだけでは、シャッタ部材60の開閉板部61は、挿入口5に接近し、または挿入口5の一部を部分的に閉鎖できる姿勢までしか回動することができず、右側方スライダ30aのシャッタ押圧部37で突部64が押されることによって、シャッタ部材60は、図7に示すように、開閉板部61が挿入口5を完全に閉鎖できる姿勢まで回動する。
【0092】
また、シャッタ押圧部37は弾性変形可能であるため、シャッタ部材60が閉鎖方向へ回動している途中で、指や異物が挿入口5から挿入され、指や異物に開閉板部61の上縁部61bが当たっても、開閉板部61から指や異物に与えられ押圧力を緩和できる。
【0093】
図7に示すように、シャッタ部材60の開閉板部61で挿入口5が閉鎖されたとき、弾性変形するシャッタ押圧部37によって、シャッタ部材60が弾性的に時計方向へ押し付けられているため、シャッタ部材60の曲げ片61aが筐体1の挿入口5よりも下の壁部1bの内面に押し付けられ、曲げ片61aによって、挿入口5の下側に隙間が生じることを防止できる。また、開閉板部61の上端部61bは、筐体1の挿入口5よりも上側の壁部1aよりも内側に入り込み、挿入口5が完全に閉鎖される。
【0094】
また、右側方スライダ30aがY1方向へ移動する際に、案内制御カム部35の持ち上げ案内部35aで持ち上げ突部55が持ち上げられ、さらに保持案内部35bで保持される。その結果、図6と図7に示すように、可動案内部50は反時計方向へ回動させられ、可動案内部50の下面の案内面51が水平姿勢となり、クランプされているディスクDから上方へ離れる。
【0095】
図7に示す状態で、スピンドルモータ21の回転力でターンテーブル23と共にディスクDが回転させられる。このとき、図7に示すように、回転中のディスクの周縁部が、シャッタ部材60の開閉板部61に対面するが、開閉板部61がY1方向へ凸側が向く湾曲部であるため、ディスクDの外周縁と開閉部材61の内面との間に間隔を空けることができる。よって、ディスクの回転駆動中に、ダンパーで支持されている機構ユニット10が動いても、ディスクDの外周縁が開閉板部61の内面に当たることはない。
【0096】
また、図7に示すように、シャッタ部材60で挿入口5が閉鎖されているときに、湾曲部である開閉板部61が、挿入口5の内部においてY1方向へ突出しているため、挿入口5とターンテーブル23との距離を可能な限り短くしても、ディスクDの外周縁が開閉板部61の内面に当たらないように構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施の形態のディスク装置の全体構造を示す斜視図、
【図2】図1の右側面図、
【図3】図3は待機状態を示す部分拡大断面図、
【図4】挿入口からディスクが挿入された状態を示す部分拡大断面図、
【図5】ディスクがクランプ可能な位置まで搬入された状態を示す部分拡大断面図、
【図6】ディスクがクランプ可能な位置まで搬入された状態を示す部分拡大断面図、
【図7】ディスクが筐体内部に搬入されてクランプが完了し、シャッタ部材が閉鎖された状態を示す部分拡大断面図、
【符号の説明】
【0098】
1 筐体
5 挿入口
10 機構ユニット
20 回転駆動部
23 ターンテーブル
27 クランパ
30a 右側方スライダ(第1の切り替え部材)
30b 左側方スライダ(第2の切り替え部材)
37 シャッタ押圧部
41 搬送ローラ(搬送部材)
44 ローラブラケット(支持部材)
45 支持軸(回動支点)
60 シャッタ部材
61 開閉板部(湾曲部)
61a 曲げ片
63 連結軸(連結支点)
64 突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクが挿入される挿入口と、前記挿入口の内側に設けられてディスクを搬送する搬送部材とを有するディスク装置において、
前記搬送部材を支持して前記搬送部材をディスク搬送位置とディスクから離れる離反位置とに移動させる支持部材と、前記支持部材に移動自在に支持された開閉部材と、前記開閉部材に移動力を与える切り替え部材とを有しており、
前記支持部材が前記搬送部材を前記ディスク搬送位置から前記離反位置へ移動させるときに、前記支持部材の移動に伴って前記開閉部材が前記挿入口へ接近する位置または前記挿入口を部分的に閉鎖する位置へ移動し、その後に、前記切り替え部材によって、前記開閉部材が前記挿入口を閉鎖する位置まで移動させられることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記支持部材は回動自在に支持され、前記支持部材の回動支点は前記搬送部材よりも前記挿入口側に設けられており、前記開閉部材は、前記搬送部材よりも前記挿入口側において前記支持部材に移動自在に支持されている請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記開閉部材は、連結支点によって前記支持部材に回動自在に支持されており、前記連結支点は、前記支持部材の回動支点と異なる位置にある請求項2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記開閉部材は板材で形成され、前記挿入口の外側に向けて凸状となる湾曲部を有している請求項2または3記載のディスク装置。
【請求項5】
前記開閉部材が前記挿入口を閉鎖しているときに、前記湾曲部が前記挿入口の内部に入り込む請求項4記載のディスク装置。
【請求項6】
前記開閉部材には、前記湾曲部の縁部が、前記連結支点が存在している側と逆側に向けて曲げられて曲げ片が形成されており、前記開閉部材が前記挿入口を閉鎖しているときに、前記曲げ片が前記挿入口の縁部の内側に対向する請求項4または5記載のディスク装置。
【請求項7】
前記開閉部材が前記挿入口から離れた開放姿勢のときに、前記開閉部材の内面が、前記挿入口から装置内方に延びて、前記挿入口から挿入されたディスクの案内面として機能する請求項2ないし6のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項8】
前記切り替え部材は、その一方への移動力によって前記支持部材を移動させて、前記搬送部材を前記ディスク搬送位置から前記離反位置に移動させるものであり、前記切り替え部材の前記一方への移動力によって、さらに前記開閉部材が前記挿入口を閉鎖する位置まで移動させられる請求項1ないし7のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項9】
前記切り替え部材の移動力が弾性部材を介して前記開閉部材に伝達される請求項1ないし8のいずれかに記載のディスク装置。
【請求項10】
前記弾性部材は、前記切り替え部材に一体に形成された弾性変形部である請求項9記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−301687(P2009−301687A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−158172(P2008−158172)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】