説明

ディスク装置

【課題】誤挿入防止処理が実行される毎に、処理状況及び誤挿入の原因を示す情報を記憶し、後で誤挿入の要因を分析できるようにしたディスク装置を提供する。
【解決手段】挿入されたディスクを筐体の内部に搬入するとともに筐体内部から排出する搬送機構と、搬入されたディスクを回転駆動するターンテーブルを含む回転駆動部と、ディスク搬送路に配置された複数の検出器を含みディスクの挿入・排出に応じて変化する検出結果を出力する検出部と、ディスクが挿入されたとき検出部からの検出結果を利用してディスクの誤挿入を判別し、ディスクの誤挿入時にディスクを排出する誤挿入防止処理部と、誤挿入の防止処理が実行される毎に処理の状況及び誤挿入の原因を示す分析用情報を記憶する記憶部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスク装置に係り、特に筐体の挿入口からディスクを挿入して再生する際に、ディスクが異常挿入されたり異型ディスクが挿入されたときに排出して誤挿入を防止するディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用等のディスク装置は、筐体の前面に挿入口(スリット)を設け、CD(コンパクト・ディスク)等のディスクを挿入口から挿入すると、ディスクは筐体内部に設けた搬送機構によってターンテーブルに向けて搬入されるようになっている。このようなディスク装置では、挿入口から挿入されたディスクを光学センサで検出し、この検出結果を受けて搬送機構が始動する。
【0003】
また複数の光学センサを用いて、ディスクが正常に搬入されたか、或いは正規寸法のディスクが搬入されたか否かの判別を行い、規格(例えば12cm)よりも直径の小さいディスクや、カード状のディスク等、異型ディスクが挿入されたときは、挿入口から強制的に排出して誤挿入を防止している
このような誤挿入防止機能を備えたディスク装置では、複数の光学センサの状態や、ディスクを挿入してローディンするまでの時間を監視し、通常の12cmディスクが挿入された時には起こり得ない状態や、規定外のローディング時間を検出した場合に、ディスクを排出し筐体内部への異物の挿入を防止している。
【0004】
しかしながら、異形ディスク等を挿入し誤挿入防止機能が働いた場合、ディスクが勝手に排出されるため、ユーザは故障と勘違いすることがある。通常、誤挿入防止の機能については製品マニュアルに記載されており、製品表示等で通知しているものの、市場クレームに繋がる場合がある。また、ユーザに起因する原因以外で誤挿入防止機能が動作することもあり、ユーザから苦情があった場合に、根本原因を知る術はない。
また、市場でのクレームは、実際に使用したディスクが入手できない場合が多く、問題の分析や再現試験に時間がかかり、再現できない場合も多い。さらに分析によって原因を推測できたとしても、あくまでも可能性を推測するだけであり、真の原因を探ることができない。
【0005】
特許文献1には、ハードディスク装置の故障に対応して故障や異常の状況を記録する故障記録機能と、ハードディスク装置が故障した旨を保守・点検業者に通知する通知機能を備えたカラオケ装置が開示されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1の例は、故障や異常についてのログを故障履歴として記憶装置に記憶するに過ぎない。つまりディスク装置において、異型ディスクを自動的に排出するという動作は正常な機能であり、故障や異常ではないため故障履歴に記憶されることはない。このため正常に動作したにも拘らず故障と誤解される場合に、その要因がどこにあるかを突き止めることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−151745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のディスク装置では、誤挿入防止機能が動作した場合、正常な動作であるにも拘わらず、ユーザは異常と勘違いしてクレームを寄せることがあった。また市場でのクレームは、実際に使用したディスクが入手できない場合が多く、原因の解析や再現試験に時間がかかり、真の原因を探ることが困難であった。また特許文献1の例は、装置の故障や異常の状況を記録するに過ぎず、ディスク装置の誤挿入防止機能が正常に動作したときに故障と誤解される要因がどこにあるかを突き止めることはできない。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みて、誤挿入防止処理が実行される毎に処理状況及び誤挿入の原因を示す分析用情報を記憶し、あとで誤挿入の要因を分析できるようにしたディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の本発明のディスク装置は、ディスク挿入口から挿入されたディスクを筐体の内部に搬入するとともに前記筐体内部から排出する搬送機構と、前記搬送機構によって搬入されたディスクを回転駆動するターンテーブルを含む回転駆動部と、前記ディスク挿入口と前記ターンテーブル間のディスク搬送路に配置された複数の検出器を含み、前記ディスクの挿入・排出に応じて変化する検出結果を出力する検出部と、前記ディスクが挿入されたとき、前記検出部からの検出結果を利用してディスクの誤挿入を判別し、前記ディスクの誤挿入時に前記搬送機構を制御してディスクを排出する誤挿入防止処理部と、前記誤挿入の防止処理が実行される毎に、誤挿入防止処理の状況及び誤挿入の原因を示す分析用情報を記憶する記憶部と、を具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のディスク装置では、ユーザ操作が不明確な場合や、実際に使用したディスクが無い場合でも、ユーザが指摘する問題点を詳細かつ効率的に分析することができ、ユーザに正しい使用方法等を適切にアドバイスすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係るディスク装置の全体構成を示す斜視図。
【図2】同実施形態におけるディスク装置の主要部の構成を示す平面図。
【図3】同実施形態におけるディスク装置の全体構成を示すブロック図。
【図4】同実施形態におけるディスク挿入時の動作を示す平面図。
【図5】同実施形態におけるディスク挿入時の動作を示すタイミングチャート。
【図6】ディスク挿入時の動作の第2の例を示すタイミングチャート。
【図7】ディスク挿入時の動作の第3の例を示すタイミングチャート。
【図8】ディスク挿入時の動作の第4の例を示すタイミングチャート。
【図9】ディスク挿入時の動作の第5の例を示すタイミングチャート。
【図10】ディスク挿入時の動作の第6の例を示すタイミングチャート。
【図11】同実施形態に係るディスク装置の主要部の構成を示すブロック図。
【図12】同実施形態に使用する不揮発性メモリの記憶フォーマットの一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明のディスク装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、ディスク装置100の外観構造を示す斜視図である。図1において、ディスク装置100は、筐体10内にドライブユニット11を収容している。ドライブユニット11は、筐体10内に設けたダンパやスプリング等の弾性部材により支持されている。筐体10の前面には開口12を形成しており、この開口12を介してディスクをドライブユニット11に挿入したり、ディスクをドライブユニット11から排出することができる。
【0015】
図2は、筐体10のトップカバーを外して示す平面図である。図2で示すように、ドライブユニット11は、シャーシを構成するベース部材13を備えており、ベース部材13はディスク装置100の外殻を形成する枠体14に複数のダンパ15によって弾性的に支持されている。
【0016】
ベース部材13の手前側(挿入口側)の上面には支持板16が固定されており、支持板16の下面にガイドトップ17が固着具を用いて一体化されている。支持板16とガイドトップ17はガイド部材を構成し、このガイド部材の左右両側部に一対の補助ローラ18が回転可能に支持されている。補助ローラ18は合成樹脂で成形された円柱状を成している。
【0017】
ドライブユニット11は、本体シャーシ19の略中央部にスピンドルモータにて回転するターンテーブル20を設けている。本体シャーシ19の後端部には、クランプアーム21の端部が固定されており、クランプアーム21の前端部のほぼ中央部に取付け部22を設け、取付け部22の先端部にターンテーブル20と対向するようにクランパ(図示せず)を取付けている。
【0018】
また、本体シャーシ19の前方部の上面には、シャーシトップ23が設けられ、ローラ24(図11で後述)とシャーシトップ23とによってディスクDを挟持し、ローラ24の回転によりディスクDを搬送(挿入及び排出)するようにしている。図11で後述するように、ローラ24はゴム製であり、ディスクDの搬送方向と直交して設けられ、直径が中央部に向かって小さくなるテーパ状を成しており、後述するモータMの動力によって正逆両方向に回転し、ディスクを挿入又は排出する。ローラ24と、ローラ24を駆動するモータM等は搬送機構を構成する。補助ローラ18は、ディスクの挿入時にローラ24と補助ローラ18の間にディスクを挟み、ディスクの搬送を補助する役割を果たす。
【0019】
尚、本体シャーシ19の所定位置には、ターンテーブル20上にセットされたディスクDから情報の読み出しを行なうための光ピックアップ(図示せず)を設けている。
【0020】
図2において、ディスクD(一点鎖線で示す)は矢印A方向から挿入される。点線で示すディスクD’はターンテーブル20に載置された状態を示している。またディスクDの搬送路には複数の検出器(光学センサPD1〜PD4と、スイッチSW1)を設けている。
【0021】
複数の検出器のうち、光学センサPD1〜PD4は、例えばフォトダイオード等の発光素子とフォトトランジスタ等の受光素子を対向配置し、発光素子と受光素子の間をディスクDが通過することで、ディスクの搬入・排出状態を検出する。例えば、発光素子と受光素子との間にディスクDが存在しないときは、発光素子から発せられた光が受光素子で検出され、検出出力がロウ「L」になり、発光素子と受光素子との間にディスクDが存在するときは、発光素子からの光がディスクDで遮られ、受光素子の検出出力がハイ「H」になる。
【0022】
図2では、光学センサPD1とPD2が開口12(図1参照)側に位置し、光学センサPD3とPD4がPD1、PD2よりも奥側に位置しており、光学センサPD1が、開口12に最も近い位置にあり、PD1よりも僅かに奥側に光学センサPD2が位置している。また光学センサPD3は光学センサPD2よりも奥側に位置し、PD3よりも僅かに奥側に光学センサPD4が位置している。
【0023】
また、正規のディスクDの直径が12cmである場合、光学センサPD1とPD2の間隔は8cm以下に設定され、光学センサPD3とPD4の間隔は、12cm以下で8cmよりも長く設定されている。ディスクDがターンテーブル20に正常に装填されたときに、光学センサPD1〜PD4は、ディスクDの外周縁よりも内側にあり、且つディスクDの外周部に対向した位置にある。したがって、仮に直径8cmの異型ディスクがターンテーブル20に装填された場合は、光学センサPD1〜PD4の全てがディスクから外れる。また直径12cmの正規のディスクDがターンテーブル20上に装填されたときに、スイッチSW1がオンし、ディスクDの装填完了を検出する。
【0024】
ディスク装置100では、正規のディスク(直径12cmのCDやDVD等)が挿入されたときに、ディスクDが搬入されてターンテーブル20にクランプされる。しかしながら、それ以外の異型ディスク(例えば直径8cmの小径ディスク)が挿入されると、異物であると判別して排出し誤挿入を防止するようにしている。
【0025】
図3は、誤挿入防止機能を備えたディスク装置100の構成を示すブロック図である。図3において、ディスクDは、ターンテーブル20に載置されスピンドルモータ31によって一定の線速度で回転される。ディスクDからの情報の再生は、光ピックアップ32によって行われ、ディスクDにレーザ光を照射し、その反射光によってディスクDに記録されているデータを読み出す。
【0026】
光ピックアップ32は、スレッドモータ33によってディスクDの半径方向に移動制御され、再生位置を決定する。34はサーボ制御部であり、後述するシステムコントローラ42等から供給される制御信号に応じて、スピンドルモータ33の回転を制御する。またサーボ制御部34は、光ピックアップ32のトラッキング制御、フォーカス制御、及びスレッドモータ33の駆動制御を行う。
【0027】
スレッドモータ33は、ディスクDがターンテーブル20に装填され再生状態になると光ピックアップ32をディスクDの径方向に移動させる役割を有するが、それ以外にディスクDの挿入時にローラ24を駆動してディスクDを搬入したり、排出する役割も有する。
【0028】
35はRFアンプであり、光ピックアップ32によって読み出したデータに対応するRF信号を増幅してデジタル信号処理部36に供給する。又、このRFアンプ35は、RF信号からフォーカス制御用の信号及びトラッキング制御用の信号を分離して、これらの制御信号をサーボ制御部34に送る。
【0029】
サーボ制御部34は、フォーカス制御用の信号に基づいて光ピックアップ32のアクチュエータ(図示せず)を制御し、光ビームが、ディスクD上に常時ジャストフォーカスとなるように制御する。また、トラッキング制御用の信号に基づいてアクチュエータを制御し、光ピックアップ32のトラッキング方向の移動を制御する。これにより、データの再生を正確に行うようにしている。
【0030】
デジタル信号処理部36は、RFアンプ35からのRF信号をデジタル化し、デジタル化された信号の復調処理と誤り訂正処理を行い、信号処理の過程で得られたデータをRAM37に格納する。またデジタル信号から制御信号を分離し、分離した制御信号をサーボ制御部34及び後述するシステムコントローラ42に送る。
【0031】
38はオーディオデコーダであり、オーディオデータを復号化処理し、復号化処理の過程で得られたデータをRAM39に格納する。オーディオデコーダ38の出力はオーディオ出力部40に供給される。オーディオ出力部40は、D/A変換器を含みデジタルオーディオ信号をアナログオーディオ信号に変換してスピーカ41に出力する。
【0032】
システムコントローラ42は、CPU及びROM等を含み、ROMに格納されたプログラムに従ってディスク装置100の全体の動作を制御する。またシステムコントローラ42は、操作部43からの各種の指示信号、及びデジタル信号処理部36からの信号を受けて、サーボ制御部34等を制御する。操作部43は、リモートコントローラ等の操作部であり、再生、停止、早送り、ボリューム設定などの各種操作を行う複数の操作ボタンを有している。
【0033】
システムコントローラ42には、不揮発性メモリ44、信号検出部45が接続されている。信号検出部45は、前述した光学センサPD1〜PD4と、スイッチSW1を含み、光学センサPD1〜PD4は、例えば発光ダイオードとフォトトランジスタで構成されている。光学センサPD1〜PD4はディスク11の挿入の状態に応じて出力が変化する。
【0034】
本発明の実施形態では、ディスクDの挿入によって光学センサPD1〜PD4及びスイッチSW1の状態が変化し、光学センサPD1〜PD4及びスイッチSW1の状態によって正規のディスクが正常に挿入されたか否かを判断し、正常にディスクが挿入されたときは再生に移行するが、光学センサPD1〜PD4及びスイッチSW1が、予め設定した状態以外の動作を示した場合、システムコントローラ42はディスクが誤挿入されたものと判断してディスクを排出し、誤挿入を防止するようにしている。
【0035】
図4は、直径12cmの正規のディスクDが挿入され、ターンテーブル20に載置されるまでの搬送状態を模式的に示した図である。図4において、実線D1はディスクDが開口12から挿入された初期の状態を示し、ディスクが光学センサPD1,PD2の直前まで挿入された状態を示している。一点鎖線D2はディスクが光学センサPD1,PD2を通過し、光学センサPD3,PD4の直前まで挿入された状態を示している。
【0036】
二点鎖線D3は、ディスクが半分以上挿入され、光学センサPD1〜PD4の位置を通過し、ディスクの周縁部がターンテーブル20上を通過した状態を示し、点線D4は、ディスクの中心穴がターンテーブル20に載置され、スイッチSW1がオンした状態を示している。このように、正規のディスクDが正常に挿入されると、搬入に合わせて光学センサPD1〜PD4の状態が遷移し最終的にスイッチSW1が動作する。
【0037】
図5は、正規のディスクDが正常に挿入されたときの、光学センサPD1〜PD4及びスイッチSW1の動作を示した波形図である。光学センサPD1〜PD4は、ディスクが挿入される前は発光素子からの光が受光素子に透過するため、受光素子がオン(L)となっているが、ディスクDが通過すると遮光されオフ(H)となる。したがって、ディスクDの搬入に合わせて光学センサPD1〜PD4は、順次にLからHに遷移する。またディスクDがターンテーブル20に載置された状態でスイッチSW1がオン(H)になる。
【0038】
図5において、MはディスクDを搬入するローラ24を駆動するモータ(スレッドモータ33)の状態を示しており、いずれかの光学センサPD1〜PD4がオフ(H)になると、モータMは回転しスイッチSW1のオン(H)で回転を停止する。また図5のSは、モータMがディスクDの搬入のために動作するタイミングと、モータMが光ピックアップ32の移動のために動作するタイミングを示しており、Hの期間はディスクDを搬入し、Lの期間で光ピックアップ32を移動する。
【0039】
正規のディスクDが正常に挿入されたとき、光学センサPD1又はPD2のオフ(H)からスイッチSW1のオン(H)までの時間は5秒程度であり、モータMがローラ24の駆動から光ピックアップ32の駆動に切り替わるまでの時間は、50ミリ秒程度である。
【0040】
図6〜図10は、正規のディスクDが正常に挿入されたときの、光学センサPD1〜PD4及びスイッチSW1等の動作を示した他の波形図である。即ち、ディスクDは、ユーザによって挿入されるため、開口12の左側に偏った方向から挿入したり、逆に開口12の右側に偏った方向から挿入することがあるため、光学センサPD1とPD2の遷移タイミングが変わったり、光学センサPD3とPD4の遷移タイミングが変わることがある。
【0041】
図5の状態を基準にすると、図6は、光学センサPD4がPD3よりも先にオフ(H)になった場合を示し、図7は、光学センサPD2がPD1よりも先にオフ(H)になった場合を示している。また図8は、光学センサPD2がPD1よりも先にオフ(H)になり、光学センサPD4がPD3よりも先にオフ(H)になった場合を示している。図9は、光学センサPD1とPD2が同時にオフ(H)になり、図10は、光学センサPD1とPD2が同時にオフ(H)になり、かつ光学センサPD4がPD3よりも先にオフ(H)になった場合を示している。図5〜図10は、いずれもディスクDの挿入が正常であるため、誤挿入防止機能は動作しない。
【0042】
一方、光学センサPD1〜PD4及びスイッチSW1が、図5〜図10以外の遷移をするとき、システムコントローラ42は、異型ディスクが挿入されたものと判断して、ディスクを排出する。例えば直径8cmのディスクが挿入された場合は、光学センサPD1,PD2はオフ(H)になるが、光学センサPD3,PD4はオン(L)のままであるため、異型ディスクが挿入されたものと判断して、搬送機構(ローラ24等)を制御してディスクの排出動作を行う。
【0043】
また光学センサPD1又はPD2がディスクDを検出して、ローディング動作を開始した後、一定時間(5sec)以内にスイッチSW1がオンしない(ローディングが完了しない)場合、システムコントローラ42は、ディスクの異常挿入と判断してディスクDの排出動作を行う。したがって、システムコントローラ42は、ディスクの誤挿入を判別し、誤挿入時に搬送機構を制御してディスクを排出する誤挿入防止処理部を構成する。
【0044】
また、光学センサPD1〜PD4及びスイッチSW1が、図5〜図10以外の遷移をした場合、システムコントローラ42は、ディスクの排出動作を行うが、不揮発性メモリ44には、誤挿入防止処理が起動したときの詳細な状況、つまり誤挿入防止処理の状況及び誤挿入の原因を示す分析用情報が記憶される。
【0045】
図11は、ディスク装置100の主要部の構成である制御系を示すブロック図である。図11(a)において、11はドライビングユニットであり、センター部にターンテーブル20を有している。光学センサPD1〜PD4及びスイッチSW1は検出部45を構成するものであり、光学センサPD1〜PD4及びスイッチSW1の遷移を示す情報が、検出部45を介してシステムコントローラ42に送られる。
【0046】
システムコントローラ42は、モータM(スレッドモータ33)を制御して光ピックアップ32の位置及びローラ24の回転を制御する。ローラ24は、ディスクDの搬送方向と直交するように配置され、ローラ24の回転によってディスクDを搬入・排出する。
【0047】
またシステムコントローラ42は、誤挿入防止用の制御部として機能し、光学センサPD1〜PD4、スイッチSW1の検出結果によってディスクの異常挿入や異型ディスクの挿入といった誤挿入が行われた場合は、ディスクDの排出を行う。またシステムコントローラ32には、不揮発性メモリ44が接続されており、誤挿入防止処理が実行される都度、光学センサPD1〜PD4及びスイッチSW1の状態や、処理に要した時間等を記憶する。
【0048】
即ち、異形ディスクが挿入されたり、異常な挿入が行われた場合は、誤挿入防止処理が起動してディスクを自動的に排出するが、ユーザ側にしてみると、ディスクが勝手に排出されるため、故障したと勘違いすることがあり、市場クレームに繋がる場合がある。またユーザ操作以外の原因で誤挿入防止処理が起動することもあり、市場クレームがあった場合に、根本原因を知る必要がある。
【0049】
そこで本発明では、誤挿入防止処理が実行される毎に、光学センサPD1〜PD4及びスイッチSW1の状態や動作時間(誤挿入の原因を示す情報)、及び誤挿入防止処理時の状況を示す情報を不揮発性メモリ44に記憶する点に特徴がある。
【0050】
不揮発性メモリ44への記憶項目は、例えば誤挿入防止処理の起動回数と、誤挿入防止処理が起動したときの諸情報が挙げられる。
【0051】
図11(b)は、不揮発性メモリ44に誤挿入防止処理の起動回数を記憶する際の記録フォーマットの一例を示している。
【0052】
図11(b)において、BYTEは不揮発性メモリ44のアドレスを表しており、2BYTE分ずつ4セット(Detection Counter1〜4)にそれぞれ誤挿入防止処理が起動した回数を記憶する。起動した回数が増加する毎にそれぞれのアドレスにはデータが上書きされる。また記憶内容の書き込み、読み出しエラーを防ぐため、4セットに同値のデータを書き込み、不揮発性メモリ44からのデータの読み出し時に4セットの記憶内容を比較することで、記憶内容の信頼性チェック及び補正を行うようにしている。
【0053】
図12は、誤挿入防止処理が起動したときの諸情報を不揮発性メモリ44に記憶する際の記憶フォーマットの一例を示している。
【0054】
図12(a)において、BYTEは不揮発性メモリ44のアドレスを表しており、BYTE0とBYTE1の2BYTE分には、最後に誤挿入防止処理が起動したときの時間(Last Detection Time)を記憶し、BYTE2とBYTE3の2BYTE分には、車両のエンジンをかけたときの時間(ACC ON Time)を記憶する。ここでは、ディスク装置100が車両に搭載された例を想定している。
【0055】
またBYTE4には、誤挿入防止処理が何をきっかけに起動したかを示す有効コマンドや、ディスクの排出動作を完了した後の状態、及び異型ディスクの判断種別を記憶する。動作を完了した後の状態とは、ディスクを排出したとか、ディスクを排出するときに引っ掛かりを生じたといった情報である。異型ディスクの判断種別とは8cmのディスク等を表す。
【0056】
またBYTE5とBYTE6の2BYTE分には、誤挿入防止処理が起動したときの光学センサPD1〜PD4及びスイッチSW1の値(H/L値)を記憶する。例えば異型ディスク検出時、及びディスクの排出動作完了時の各センサの値を記憶するとともに、異型ディスクの検出時間を記憶する。さらにBYTE7には、異型ディスクを排出した場合に異型ディスクの排出時間を記憶する。例えば、ローディングの開始から異型ディスクと判断するまでの時間や、判断して排出するまでの時間等を記憶する。
【0057】
図12(b)〜(e)は、(a)のBYTE4〜BYTE7の記憶フォーマットを示す図である。図12(b)は、BYTE4の記憶フォーマットの詳細を表している。ここでは、7〜0のBitに、有効コマンド、異型ディスクの排出完了後の状態、異型ディスクの判断種別をそれぞれ記憶する。尚、Reservedは予備のアドレスを示す。
【0058】
図12(c)は、BYTE5の記憶フォーマットの詳細を表している。ここでは、7〜0のBitに、スイッチSW1及び光学センサPD1〜PD4が異型ディスクを検出したときのそれぞれの値と、ディスクの排出動作完了時のスイッチSW1及びセンサPD4とPD3の値を記憶する。
【0059】
図12(d)は、BYTE6の記憶フォーマットの詳細を表している。ここでは、7〜0のBitに、ディスクの排出動作完了時の光学センサPD2とPD1の値と、異型ディスクの検出時間を記憶する。尚、Reservedは予備のアドレスを示す。
【0060】
図12(e)は、BYTE7の記憶フォーマットの詳細を表している。ここでは、7〜0の各Bitに、異型ディスクの排出時間を記憶する。尚、Reservedは予備のアドレスを示す。
【0061】
このように、不揮発性メモリ44には、誤挿入防止処理が起動する毎に、光学センサPD1〜PD4及びスイッチSW1の状態や時間情報、及び誤挿入防止処理時の各種の情報が記憶される。尚、不揮発性メモリ44の記憶容量に余裕がない場合は、誤挿入防止処理の起動回数の増加に対処するため、古いデータは削除し、新しいデータを残すように更新すると良い。但し、初期の起動時(例えば1〜3回目)のデータは重要なデータになるため、更新せずに残すのが望ましい。
【0062】
不揮発性メモリ44に記憶されたデータは、市場でのクレーム等に対処する際に読み出され、誤挿入防止機能が稼働した原因の分析に利用される。したがって、従来では知り得なかったユーザによるディスクの挿入方法や環境について推測し易くなり、実際の原因を詳細かつ効率的に分析することができる。またユーザ操作が不明確な場合や、実際に使用したディスクが無い場合でも、ユーザが指摘する問題点の要因を容易に突き止めることができる。
【0063】
このように、本発明のディスク装置では、誤挿入防止処理が起動しディスクが勝手に排出された場合に、ユーザが故障したと勘違いすることがあっても、ユーザがどのような操作をしたかを容易に分析することができるため、使用方法等について適切なアドバイスを与えることができる。
【0064】
尚、本発明の実施形態は、以上説明した構成に限定されるものではない。例えば、複数のディスクを収納して、いずれか1枚のディスクを再生するようにした収納型ディスク装置に適用することができる。また車載用ディスク装置に限らず家庭用ディスク装置に適用することもできる。また特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0065】
D…ディスク
10…筐体
11…ドライブユニット11
12…開口
20…ターンテーブル
PD1〜PD4…光学センサ
SW1…スイッチ
31…スピンドルモータ
32…光ピックアップ部
33…スレッドモータ
34…サーボ制御部
35…RFアンプ
36…デジタル信号処理部
37,39…RAM
38…オーディオデコーダ
40…オーディオ出力部
42…システムコントローラ(制御部)
43…操作部
44…不揮発性メモリ
45…検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク挿入口から挿入されたディスクを筐体の内部に搬入するとともに前記筐体内部から排出する搬送機構と、
前記搬送機構によって搬入されたディスクを回転駆動するターンテーブルを含む回転駆動部と、
前記ディスク挿入口と前記ターンテーブル間のディスク搬送路に配置された複数の検出器を含み、前記ディスクの挿入・排出に応じて変化する検出結果を出力する検出部と、
前記ディスクが挿入されたとき、前記検出部からの検出結果を利用してディスクの誤挿入を判別し、前記ディスクの誤挿入時に前記搬送機構を制御してディスクを排出する誤挿入防止処理部と、
前記誤挿入防止処理が実行される毎に、誤挿入防止処理の状況及び誤挿入の原因を示す分析用情報を記憶する記憶部と、
を具備したことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記誤挿入防止処理部は、前記ディスクが異常挿入されたとき又は規定外のディスクが挿入されたときに誤挿入と判別することを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記検出部の検出器は、前記ディスクの挿入とディスクサイズを検出する複数の光学センサと、前記ディスクが前記ターンテーブルに載置されたことを検出するスイッチとを含み、
前記誤挿入防止処理部は、前記複数の光学センサの検出結果と前記スイッチが動作するまでの時間情報をもとに前記誤挿入か否かを判別することを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記分析用情報として、前記複数の検出器の検出結果と検出時間、及び前記ディスクの排出時間に関する情報を記憶することを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項5】
前記記憶部は、前記分析用情報として、前記誤挿入防止処理が実行された回数を示す情報を複数の記憶領域に同値で記憶することを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項6】
前記記憶部は、前記分析用情報のうち初期時の情報は消去することなく保持し、前記誤挿入防止処理の起動回数が増加するにつれ前記初期時以外の情報を更新記憶することを特徴とする請求項1記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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