説明

ディスク装置

【課題】 直径が12cmのディスクのみが装填されるディスク装置において、直径8cmの小径ディスクやカードなどの異物が挿入されたときに、異物を確実に挿入口から搬出できる「ディスク装置」を提供することを目的とする。
【解決手段】 可動部材50が時計方向へ回動しているときにディスクDが挿入されると、その挿入力によって可動部材50が反時計方向へ回動させられ検知スイッチS1の出力がONに切り替えられてディスク搬入動作に移行する。このとき、小径ディスクD1や異物が搬送ローラ41によって搬入され、可動部材50が時計方向へ回動することがあるが、可動部材50から延長する戻り案内傾斜部56aが搬送ローラ41に対向しているため、搬送ローラ41を逆転させれば、異物が戻り案内傾斜部56aから可動案内部51に入り込み、異物を確実に排出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に開口した挿入口からディスクが挿入されると、その挿入が検知され、挿入されたディスクが搬送機構により筐体の内部に向けて搬入されるディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用などとして使用されるディスク装置は、筐体にスリット状に開口する挿入口が設けられ、挿入口から一枚ずつディスクが挿入されるいわゆるスロットインタイプである。挿入口の内側に、検知機構と搬送機構が順に配置されており、挿入口からディスクが挿入されたことが検知機構で検知されると、搬送機構が始動して、ディスクが筐体の内部に向けて搬入される。搬入されたディスクは、筐体の内部に設けられたターンテーブルにクランプされて、ターンテーブルと共に回転駆動可能となる。あるいは、筐体の内部に複数枚のディスクを収納するディスク収納部が設けられており、搬送機構によって搬入されたディスクがディスク収納部内に保持される。
【0003】
検知機構としては、以下の特許文献1と特許文献2に記載のように、挿入口の内側に発光素子と受光素子とが対向する光学検知機構が設けられたものがある。この光学検知機構は、挿入口から挿入されたディスクが発光素子と受光素子との間に入り込み、発光素子から発せられて受光素子で検知されるべき光が遮断されると、制御部でディスクが挿入されたと判断されて、搬送機構が始動する。
【0004】
また、特許文献2に記載されたディスク装置は、挿入口の内側において左右に離れた位置に一対の選択アームが設けられている。それぞれの選択アームは、挿入口側に設けられた回動支点を中心として回動自在に支持されているとともに、それぞれの選択アームの筐体内側に向く端部に当接ピンが設けられている。
【0005】
直径が12cmの大径ディスクが挿入されると、大径ディスクの外周縁に押されて、一対の当接ピンの間隔が広げられる。このときの選択アームの回動力によって、筐体の内部に搬入された大径ディスクの中心をターンテーブル上に位置決めできるように位置決め機構が設定される。また、直径が8cmの小径ディスクが挿入されると、この小径ディスクは一対の当接ピンの間を通過して選択アームが回動しない。よって、位置決め機構は、小径ディスクの中心をターンテーブルに位置決めできるように設定される。
【0006】
特許文献3に記載されたディスク装置には、挿入口から挿入されたディスクの厚み方向に向けて回動する揺動プレートが設けられ、この揺動プレートに従動ローラが設けられている。揺動プレートは、ばねの力によって、従動ローラが下向きに押されるように付勢されている。また、従動ローラよりも下側で且つ従動ローラよりも筐体の内方に駆動ローラが設けられている。
【0007】
挿入口から挿入されたディスクの上面によって従動ローラが持ち上げられると、従動ローラと共に揺動プレートがばねの力に対抗して持ち上げられ、揺動プレートによってスイッチが切り替えられる。このスイッチの切り替えに伴って駆動ローラが始動し、駆動ローラと従動ローラとで挟まれたディスクが、駆動ローラの回転力で筐体の内部に搬入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−196128号公報
【特許文献2】特開平11−213506号公報
【特許文献3】特開2001−143351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1と特許文献2に記載されているように、挿入口から挿入されたディスクを光学検知機構で検知するディスク装置では、挿入口から挿入されたディスクを何時でも検知できるように、発光素子を常に点灯させておくか、または間欠的に点灯させておく必要がある。そのため、電力を常に浪費する欠点がある。このディスク装置が車載用として使用される場合、エンジンが停止しているときも、発光素子を点灯させてディスクの挿入を待機する必要があるため、自動車に搭載されているバッテリーの電力消費が多くなりすぎる。
【0010】
特許文献2に記載されているように、挿入口の内側に一対の検知ピンを設け、挿入口から挿入されたディスクの外周縁で検知ピンの間隔が広げられたことをスイッチで検知して、搬送機構を始動する構造も考えられる。この構造では、常に光学検知素子を点灯させておく必要がないため、ディスクの挿入を待つ待機時の消費電力を軽減できる。しかしながら、挿入口から挿入されたディスクの外周縁が、検知ピンに当たって摺動する構造であるため、正確な円形でない異形ディスクや四角いカードなどが挿入口から筐体内へ強引に押し込まれたときに、搬送機構を逆転させてこれらを挿入口から搬出させようとしても、異形ディスクやカードが検知ピンに引っ掛かって、挿入口へ戻せなくなることがあり得る。
【0011】
その点、特許文献3に記載されたディスク装置は、ディスクが挿入されたときに、従動ローラがディスクの厚さ方向へ持ち上げられてスイッチが切り替わるために、搬入されたのが異形ディスクやカードであると判別され、駆動ローラによって異形ディスクやカードなどを搬出するときに、これらを挿入口から搬出させやすい。
【0012】
しかしながら、特許文献3に記載されたディスク装置は、揺動プレートに支持された従動ローラが、搬送ローラよりも挿入口側に位置し、揺動プレートに与えられた付勢力により従動ローラが下側に押されている。そのため、ディスクが駆動ローラと従動ローラとで上下から挟持されたときに、駆動ローラよりも挿入口側で、ディスクが従動ローラによって下向きに押され続け、ディスクの下面が常に挿入口の下縁部に押し付けられることになる。よって、搬送されるディスクに常に負荷が作用することになり、また、ディスクの下面が挿入口の下縁部を摺動して傷付くことがある。さらに、搬入中のディスクは、筐体の内方へ向く周縁部が上向きの姿勢となるため、この周縁部がクランパなどに当たりやすく、所定位置まで搬入されたディスクを位置決めすることが困難である。
【0013】
さらに、本来受け入れるべきでない異形のディスクなどが誤って挿入され、これを搬出しようとしたときに、揺動プレートなどが邪魔となって、確実に搬出できないことが予測される。
【0014】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、ディスクの厚み方向へ移動する部材によってディスクが挿入されたことを検知でき、異形ディスクやカードなどが挿入された場合であっても、検知部材などに当たることなく確実に搬出することができるディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のディスク装置は、挿入口よりも装置奥側に、前記挿入口から挿入されたディスクを挟持して搬送力を与える搬送ローラと固定案内部とが対向して設けられ、
前記挿入口と前記固定案内部との間に、ディスクを案内する可動案内部を有する可動部材が設けられ、前記可動部材は、前記挿入口側に支点を有しディスクの厚み方向へ向けて非案内姿勢から案内姿勢に向けて回動可能に支持されているとともに、非案内姿勢に向けて付勢されており、
前記可動部材が非案内姿勢のときに、前記挿入口から挿入されたディスクが前記搬送ローラと前記固定案内部とで挟持される前に前記可動案内部に当たり、前記可動案内部に当たったディスクの挿入力によって、前記可動部材が案内姿勢に向けて回動させられて、ディスクが前記可動案内部から前記固定案内部に向けて案内され、
前記可動部材には、前記支点から離れるにしたがって搬送ローラから離れる向きに傾斜する戻り案内傾斜部が前記可動案内部と連続して形成され、前記可動部材が非案内姿勢のときに、前記戻り案内傾斜部が、前記固定案内部よりも前記搬送ローラから離れる位置へ延びており、
前記可動部材が前記案内姿勢に回動したことを検知する検知部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明のディスク装置は、挿入口と固定案内部との間に、ディスクの厚み方向へ回動する可動部材が設けられ、挿入口から挿入されたディスクの挿入力によって可動部材が回動させられると、検知部材が検知状態となり、ディスクの搬入動作に移行する。可動部材がディスクの厚み方向へ回動するものであるため、円形ではない異形ディスクやカード状の異物が挿入され、その搬出動作に移行したときに、どのような形状の異物であっても薄板状であるかぎり排出しやすくなる。特に、可動部材に戻り案内傾斜部が設けられているため、搬送ローラを逆転させて異物を搬出するときに、異物が可動部材に引っ掛かるのを防止でき、異物を挿入口に向けてスムースに搬出させることが可能である。
【0017】
本発明は、前記戻り案内傾斜部が、前記搬送ローラに対向する位置まで延びていることが好ましい。
【0018】
例えば、前記可動部材の装置奥側に向く縁部に、さらに装置奥側に延びる突出部が設けられ、前記突出部に前記戻り案内傾斜部が形成されている。
【0019】
上記のように、戻り案内傾斜部が搬送ローラと対向している位置まで延びていると、異型ディスクやカードなどの異物が搬送ローラと固定案内部とで挟持されて搬出されるときに、これら異物の搬出力によって可動部材を案内姿勢に向けて回動させることができ、異物を確実に排出することが可能になる。
【0020】
本発明は、前記搬送ローラは、軸方向の中心部が両端部よりも直径が小さく形成され、前記突出部は、前記両端部を避ける中央部に配置されており、
前記可動部材が非案内姿勢のときに、前記戻り案内傾斜部のうちの前記搬送ローラに最も接近している部分が、前記両端部での搬送ローラの表面よりも前記搬送ローラの中心側に位置していることが好ましい。
【0021】
戻り傾斜案内部を有する突出部が、搬送ローラの直径の小さい部分に位置しているために、戻り傾斜案内部がディスク装置の高さ方向に大きく突出するのを防止でき、ディスク装置を薄型に構成しやすくなる。特に、可動部材が非案内姿勢のときに、戻り案内傾斜部が、搬送ローラの両端部よりも中心に近い位置まで搬送ローラに接近できるため、全体の高さ寸法を薄く構成しやすい。
【0022】
本発明は、前記挿入口から正規のディスクが挿入されたときに、検知状態となり、ディスクが装置内の装填完了位置に至るまで検知状態を維持する識別検知部材が設けられており、
前記検知部材によって前記可動部材が案内姿勢に至ったと検知されたときと、前記識別検知部材が検知状態となったときの少なくとも一方で前記搬送ローラが搬入方向へ向けて始動し、
その後のディスク搬入動作の途中で、前記識別検知部材が非検知状態となったら、前記搬送ローラが搬出方向へ逆転するものとして構成できる。
【0023】
この場合に、前記識別検知部材は、前記搬送ローラよりも前記挿入口側に設けられていることが必要である。
【0024】
あるいは、本発明は、前記検知部材によって前記可動部材が案内姿勢に至ったと検知されたときに前記搬送ローラが搬入方向へ向けて始動し、
その後のディスク搬入動作の途中で、前記可動部材が前記非案内姿勢に向けて回動したことが前記検知部材で検知されたときに、前記搬送ローラが搬出方向へ逆転するものとして構成できる。
【0025】
上記の検知機構によって、正規のディスクが正常に搬入されていないと判断されたときに、搬送ローラを逆転することで、異型ディスクやカードなどの異物を挿入口から確実に搬出させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のディスク装置は、挿入口の内側に設けられた可動部材が、挿入口側に支点を有してディスクの厚み方向へ回動するものであり、さらに可動部材に戻り案内傾斜部が設けられている。そのため、挿入口から挿入された異形ディスクなどの異物を搬出するときに、異物が可動部材に引っ掛かりにくくなり、挿入口へ向けて搬出しやすくなる。
【0027】
また、可動部材が案内姿勢へ回動したことを検知する検知部材や、識別検知部材の検知動作を利用して、搬入されているのが異物であると判断されたときに、この異物を挿入口に向けて搬出しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態のディスク装置の全体構造を示す斜視図、
【図2】図1の右側面図、
【図3】固定案内部を有する固定部材と、可動案内部を有する可動部材、および搬送ロータとを示す分解斜視図、
【図4】固定案内部ならびに戻り傾斜部と可動案内部および搬送ローラの配置を示す断面図であり、(A)は可動部材が非案内姿勢であり、(B)は可動部材が案内姿勢である、
【図5】正規のディスクが挿入口から挿入された直後の状態を示すディスク装置の平面図、
【図6】正規のディスクまたは異物が搬送ローラで搬入される動作を示すディスク装置の平面図、
【図7】搬送ローラで搬入される正規のディスクが搬送完了位置に至った状態を示すディスク装置の平面図、
【図8】正規のディスクがターンテーブルにクランプされたときのディスク装置の平面図、
【図9】正規のディスクが挿入されてから搬入を完了するまでの動作を示すフローチャート、
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1以下に示すディスク装置は、DVD(デジタルバーサタイルディスク)やCD(コンパクトディスク)などの直径が12cmの真円形のディスクDが正規のディスクとして装填可能であり、正規のディスク以外のもので、例えば、図6に示される直径が8cmの小径ディスクD1や、外周の形状が楕円形やその他の形状の異形ディスクや、四角形のカードCなどが挿入されたときは、これらを異物として排出する。
【0030】
図5ないし図8に示すように、ディスク装置は、金属板から形成された筐体1を有している。車載用のディスク装置の場合、筐体1の大きさは、例えば1DINサイズまたは1/2DINサイズであり、筐体1は自動車の車室内のインストルメントパネルに埋設して設置される。
【0031】
筐体1は、Y1側に向く前面板2と、Y2側に向く後面板3と、X1側とX2側に向く側面板4,5を有し、さらに天井板と底板を有している。前面板2には、左右方向(X1−X2方向)に向けて細長い挿入口(図示せず)が開口している。筐体1の前面板2の前方に、合成樹脂で形成された化粧ノーズが取り付けられており、この化粧ノーズの前面に各種操作部材や表示装置が設けられている。化粧ノーズには、挿入口に連通するノーズ部挿入口が開口しており、このノーズ部挿入口と前面板2に形成された挿入口を経て、ディスクDが筐体1の内部に向けて挿入される。
【0032】
図5ないし図8に示すように、筐体1の内部に機構ユニット10が収納されている。図1と図2に示すように、機構ユニット10は底部側にドライブベース11を有し、上部側にクランプベース12を有している。ドライブベース11とクランプベース12は共に金属板を折り曲げて形成されている。ドライブベース11には、Y2側においてX1方向とX2方向へ延びる連結軸13が設けられており、クランプベース12のY2側の端部が、連結軸13に回動自在に支持されている。
【0033】
図1と図2および図5ないし図8に示すように、筐体1の内部には、ドライブベース11を弾性的に支持する複数のダンパー15a,15b,15cが設けられている。これらダンパー15a,15b,15cは、弾性体の袋の内部にオイルが封入されて構成されている。ダンパー15a,15b,15cは、筐体1の内面に固定されており、ドライブベース11に固定された支持軸がそれぞれのダンパー15a,15b,15cに支持されている。機構ユニット10に正規のディスクDが装填された後は、ドライブベース11が、ダンパー15a,15b,15cに弾性支持された状態で、ディスクDが回転駆動される。
【0034】
図2に示すように、ドライブベース11のY1側には、回転駆動部20が設けられている。回転駆動部20は、ドライブベース11の上に固定されたスピンドルモータと、スピンドルモータの回転軸に固定された合成樹脂製のターンテーブル23を有している。
【0035】
図1に示すように、ドライブベース11には光ヘッド25が搭載されている。光ヘッド25は、ドライブベース11に設けられたガイド機構によって移動自在に支持されているとともに、光ヘッド25を前記ガイド機構に沿って往復移動させるスレッド機構が設けられている。光ヘッド25は、スレッド機構によって、ターンテーブル23にクランプされたディスクDの記録面に沿って、ディスクDの半径方向に向けて移動させられる。
【0036】
図1に示すように、クランプベース12のY1側の端部には、合成樹脂製のクランパ27が回動自在に支持されているとともに、クランパ27の回転軸を下方(Z2方向)へ押圧する板ばね26が設けられている。
【0037】
図1と図2に示すように、ドライブベース11のY2側の端部にはX1方向へ突出する突出片12aが一体に形成され、この突出片12aに、トーションコイルばね17が取り付けられている。トーションコイルばね17の一方の腕部は、ドライブベース11に掛けられ、他方の腕部がクランプベース12に掛けられて、クランプベース12が、連結軸13を支点として、反時計方向へ常に付勢されている。すなわち、クランプベース12は、クランパ27がターンテーブル23に押圧されるように常に回動付勢されている。
【0038】
図2に示すように、クランプベース12のY1側の端部には、X1方向へ突出する持ち上げ軸18が固定されている。この持ち上げ軸18に上方(Z1方向)への力を与えると、クランプベース12がトーションコイルばね17の付勢力に対抗して時計方向へ回動させられ、クランパ27がターンテーブル23から離れる。
【0039】
図1や図5などに示すように、クランプベース12の左右の側方には、下方に向けて突出する一対のストッパ部材16a,16bが形成されている。ストッパ部材は、金属製のピンであり、筐体1の内部に搬入されたディスクDの外周縁が、ストッパ部材16a,16aに当たったときに、ディスクDはその中心がターンテーブル23の中心に一致するように位置決めされて装填完了位置に至る。
【0040】
図1および図5などに示すように、ドライブベース11には、X1側に右側方スライダ30aが設けられ、X2側に左側方スライダ30bが設けられている。図1に示すように、右側方スライダ30aには前後方向(Y1−Y2方向)に延びる案内長穴31が開口し、ドライブベース11に案内軸19が固定されている。案内長穴31と案内軸19は、ひとつの右側方スライダ30aに複数組設けられているが、図1では1組のみ図示している。案内長穴31が案内軸19を摺動することで、右側方スライダ30aがY1−Y2方向へ往復移動可能である。同様に、左側方スライダ30bも、ドライブベース11のX2側の側部において前後方向へ往復移動可能に支持されている。
【0041】
ドライブベース11の左後方にモータMが設けられており、このモータMの動力によって左側方スライダ30bが前後方向へ駆動される。図6に示すように、機構ユニット10の底面側でY1側には、リンクスライダ46がX1−X2方向に移動自在に設けられている。図6と図8に示すように、リンクスライダ46と右側方スライダ30aとの間には、反転レバー47が設けられている。反転レバー47は、支持軸47aを中心に回動自在に支持されている。反転レバー47の一方の腕部に設けられた連結軸47bが、リンクスライダ46に連結され、他方の腕部に設けられた伝達軸47cが右側方スライダ30aに連結されている。
【0042】
左側方スライダ30bがモータMの動力によってY1−Y2方向に移動させられると、その移動力が、リンクスライダ46と反転レバー47を含むリンク機構を介して右側方スライダ30aに伝達され、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bとが同期してY1−Y2方向に移動させられる。図1と図2に示す待機状態では、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bが、共に後方(Y2方向)へ移動させられている。
【0043】
図5ないし図8に示すように、機構ユニット10のY2側には、トリガー部材14が設けられている。トリガー部材14は、ドライブベース11上に回動自在に支持されているアーム14Bとこのアーム14Bに固定されて、搬入されるディスクDの外周縁に対向する検知ピン14Aとを有している。
【0044】
直径が12cmの正規のディスクDが図7に示す装填完了位置まで搬入されると、このディスクDの外周縁で検知ピン14Aが押されてアーム14Bが反時計方向へ回動する。このとき、アーム14Bの回動力によって歯車が噛み合い、動力伝達機構の伝達経路が成立する。この動力伝達機構の伝達経路の成立により、モータMの動力が、左側方スライダ30bにY1方向への直線移動力として伝達され、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bが同期してY1方向へ移動させられる。
【0045】
以下では、主に右側方スライダ30aについて説明する。右側方スライダ30aと左側方スライダ30bは同じ機能を発揮するものであり、左側方スライダ30bの形状および構造は、右側方スライダ30aと同等である。
【0046】
図1に示すように、右側方スライダ30aにはクランプ制御カム部32が設けられている。クランプ制御カム部32は、前方(Y1方向)に向かうにしたがって上方(Z1方向)へ向けられるカム長穴32aと、このカム長穴32aとY2側で連続する大きな直径の逃げ穴部32bを有している。クランプベース12に設けられた持ち上げ軸18は、カム長穴32aと逃げ穴部32bの内部を移動できるように挿入されている。
【0047】
図1に示す待機状態では、右側方スライダ30aが後方(Y2方向)へ移動しているため、カム長穴32aによって持ち上げ軸18がZ1方向へ持ち上げられている。このとき、クランプベース12が時計方向へ回動させられ、クランパ27がターンテーブル23から上方へ離れたクランプ解除状態に設定されている。正常なディスクDの中心穴がターンテーブル23の上に移動し、モータMが始動して、右側方スライダ30aが前方(Y1方向)へ移動させられると、持ち上げ軸18が、逃げ穴部32b内に移動する。このとき、クランプベース12がトーションコイルばね17の弾性力によって反時計方向へ回動し、クランパ27によってディスクDの中心部がターンテーブル23に押し付けられ、ディスクDがターンテーブル23にクランプされる。
【0048】
図1に示すように、右側方スライダ30aにはロックカム部33が設けられている。このロックカム部33は、前後方向に延びるロック長穴33aと、ロック長穴33aのY2側に連続する大きな直径の逃げ穴部33bとを有している。
【0049】
図1に示す待機状態で、右側方スライダ30aがY2方向へ移動していると、筐体1の左右の側面板4,5の内面に固定された拘束軸(図示せず)が、ロック長穴33a内に保持される。このとき、機構ユニット10は、筐体1の内側において動くことなく保持され、挿入口から搬入されたディスクDが、ターンテーブル23と、ターンテーブル23から離れているクランパ27との間の隙間内に移動しやすくなる。右側方スライダ30aがY1方向へ移動すると、クランパ27が下降してディスクDの中心部がクランプされるとともに、ロック長穴33aが前記拘束軸から外れ、拘束軸が逃げ穴部33bに移動する。このとき、機構ユニット10は筐体内1で拘束されず、ダンパー15a,15b,15cによって弾性支持される。ターンテーブル23にクランプされたディスクDが回転駆動される間に、外部振動がダンパー15a,15b,15cの振動として吸収されやすくなり、機構ユニット10に直接に影響を及ぼすことが防止される。
【0050】
図1ないし図4に示すように、挿入口と回転駆動部との間に搬送機構40が設けられている。
【0051】
搬送機構40は、搬送ローラ41と、搬送ローラ41のZ1側に対向する固定部材43とを有している。
【0052】
固定部材43は、摩擦係数の小さい合成樹脂材料で形成されて、筐体1の天井板の下面に動かないように固定されている。図2と図4に示すように、固定部材43は、その下面がY1−Y2方向へ水平に延びる固定案内部43aとなっている。
【0053】
図3に示すように、搬送ローラ41は、合成ゴムなどの摩擦係数の大きな材料で形成されており、金属製のローラ軸42の外周に装着されている。搬送ローラ41はその両端41a,41aで直径が最大であり、搬送ローラ41のX1−X2方向の長さを二分する中間点41bにおいて直径が最小であり、搬送ローラ41の表面は、X1方向とX2方向に延びるテーパ面形状である。
【0054】
図1と図2および図4に示すように、ローラ軸42の右端部と左端部はローラブラケット44に支持されている。ローラブラケット44は金属板で形成されている。
【0055】
図1に示すように、ローラブラケット44は、X1側に形成された右側支持部44aおよびこの右側支持部44aのY1側の先部から上方へ延びる右側先部44bと、X2側に形成されている左側支持部44cおよびこの左側支持部44cのY1側の先部から上方へ延びる左側先部44dとを有している。
【0056】
右側先部44bに支持穴44eが開口し、左側先部44dに支持穴44fが開口している。支持穴44eと支持穴44fは、X1−X2軸と平行な軸線上に位置している。筐体1の左右の側面板4,5のそれぞれの内面には短い一対の支持軸45,45が固定されており、支持穴44e,44fがそれぞれの支持軸45,45に支持され、ローラブラケット44は、支持軸45,45を回動支点として回動自在に支持されている。ローラブラケット44と筐体の底板との間に引っ張りコイルばね(図示せず)が掛けられており、ローラブラケット44は常に図2および図4における反時計方向へ付勢されている。
【0057】
図2に示すように、ローラブラケット44の右側支持部44aのY2側の端部に保持穴44gが形成され、左側支持部44cのY2側の端部にも同様に保持穴44gが開口している。ローラ軸42の左右両端部は、それぞれ保持穴44g,44g内に挿入されている。図1に示すように、ディスクDの挿入を待つ待機状態では、引っ張りコイルばねの弾性力でローラブラケット44が反時計方向へ付勢されており、この付勢力によって、ローラ軸42が固定部材43の固定案内部43aに押し付けられている。
【0058】
図5ないし図8に示すように、ローラ軸42のX2側の端部にピニオン歯車48が固定され、筐体1の左側(X2側)の側面板5の内側には、図示しない搬送モータからの回転動力が与えられる駆動歯車49が設けられている。図1と図2に示すディスクDの挿入待機状態から、図7に示すようにディスクDが所定の装填完了位置まで搬入されるまでの間は、図4に示すように、ローラブラケット44が反時計方向へ回動しているため、ピニオン歯車48が駆動歯車49と噛み合っている。この間、前記搬送モータの回転力が駆動歯車49からピニオン歯車48に伝達されて、ローラ軸42がディスクDを搬入する方向へ連続回転する。
【0059】
図2と図4に示すように、ローラブラケット44には、右側支持部44aの上縁と左側支持部44cの上縁とをつなぐ対向案内部44hが設けられている。すなわち、右側支持部44aは対向案内部44hのX1側で下向きに直角に折り曲げて形成され、左側支持部44cは対向案内部44hのX2側で下向きに直角に折り曲げられて形成されている。
【0060】
対向案内部44hの上面の対向案内面44iは平坦面である。図2と図4(A)に示す待機状態では、対向案内面44iが、後方(Y2方向)に向かうにしたがって上方(Z1方向)へ持ち上がるように傾斜している。
【0061】
搬送機構40と、挿入口を有する前面板2との間に、可動部材50が設けられている。可動部材50は、固定部材43と同じ低摩擦係数の合成樹脂材料で形成されており、その下面は平滑な可動案内部51である。可動案内部51は、ローラブラケット44に設けられた対向案内面44iに上方から対向している。
【0062】
可動部材50の先部(Y1側)には、X1方向とX2方向へ突出する短い支持軸52,52が一体に形成されている。それぞれの支持軸52,52は、筐体の両側面板に設けられた軸受部に回動自在に支持されている。可動部材50はその自重ならびに図示しないばね部材の付勢力によって、支持軸52,52を中心とし、図2と図4において時計方向へ回動付勢されている。
【0063】
図3に示すように、可動部材50のY2側に向く縁部50aには、上方(Z1方向)に立ち上がって後方(Y2方向)に延びるストッパ部53a,53b,53cが一体に形成され、固定部材43のY1側の縁部の上面には、前記ストッパ部53a,53b,53cが当たる受け部43bが形成されている。図2および図4(A)に示すように、ディスクDが挿入口から挿入されていない待機状態では、可動部材50が時計方向へ回動してストッパ部53a,53b,53cが、受け部43bに当たっている。このとき、可動部材50はそれ以上時計方向へ回動しない回動限界となる。可動部材50は、図2と図4(A)に示すように時計方向へ傾斜しているときが非案内姿勢である。
【0064】
可動部材50が非案内姿勢のときに、可動案内部51と対向案内面44iとの対向間隔が、挿入口側で広く、搬送ローラ41に向かうにしたがって徐々に狭くなっている。このとき、挿入口から挿入されたディスクDは、搬送ローラ41に至る前に可動案内部51に当たることができる。
【0065】
挿入口から挿入されたディスクDがY2方向へ押し込まれると、ディスクDのY2側の周縁部が、可動案内部51に当たり、図4(B)に示すように、ディスクDの挿入力によって可動部材50が反時計方向へ回動させられ、ディスクDが可動案内部51を摺動して、固定案内部43aと搬送ローラ41とで挟持できる位置へ導かれる。このときの可動部材50の姿勢が案内姿勢である。
【0066】
図3に示すように、可動部材50のY2側に向く縁部50aには、その一部から突出する突出部56が一体に設けられ、この突出部56のZ2側に向く下面が戻り案内傾斜部56aとなっている。戻り案内傾斜部56aは、前記可動案内部51と連続し、可動案内部51の平面に対して傾斜している。その傾斜方向は、支持軸52,52から離れる方向であるY2方向に向かうにしたがって、搬送ローラ41から離れる向きであるZ1方向へ徐々に向かう方向である。戻り案内傾斜部56aは、平面状の傾斜面であってもよいし、凸曲面状の傾斜面であってもよい。
【0067】
ここで、可動案内部51と戻り案内傾斜部56aとが連続しているとは、図4に示すように、可動部材50の表面が、平面状の可動案内部51から戻り案内傾斜部56aの傾斜面に直ちに移行している状態のみを意味するのではなく、可動案内部51の平面と戻り案内傾斜部56aの傾斜面との間に、滑らかな曲面状の段差部などが形成されている状態を含む。
【0068】
図3と図4に示すように、固定部材43のY1側の縁部の一部に凹部43cが形成されており、前記突出部56が、前記凹部43cに対向している。図4(A)に示すように、可動部材50が非案内姿勢のときに、突出部56が凹部54cに入り込み、突出部56に設けられた戻り案内傾斜部56aが搬送ローラ41の表面に対向する。このとき、戻り案内傾斜部56aは、固定部材43の下面の固定案内部43aよりもZ1方向すなわち搬送ローラ41から離れる位置まで延びている。
【0069】
また、図4(A)に示すように、可動部材50が非案内姿勢のときに、戻り案内傾斜部56aが搬送ローラ41の表面に最も接近する。図3に示すように、戻り案内傾斜部56aは、搬送ローラ41の両端部41a,41aには対向せず、中間点41bまたはその直近の中間部に対向している。可動部材50が非案内姿勢のときに、戻り案内傾斜部56aは、両端部41a,41aでのローラ表面よりもさらにローラ軸42に接近した位置にある。すなわち、戻り案内傾斜部56aは、両端部14a,41aでのローラ表面よりもさらにZ2方向へ下がった位置において、搬送ローラ41の中間部の表面に最小の隙間を有して対向している。そのために、可動部材50に傾斜した突出部56が設けられていても、装置の厚さ寸法が大きくなるのを避けることができる。
【0070】
図4(A)に示すように、可動部材50が非案内姿勢のとき、可動案内部51は、搬送ローラ41と固定案内部43aとの当接部よりもY1側に有り、戻り案内傾斜部56aのみが凹部43c内に延びて、搬送ローラ41の表面に対向している。
【0071】
図5に示すように、筐体1の天井板の下面には可動部材50の上面に対向する基板70が固定され、この基板70の下面に、可動部材50に上方から対向する検知部材である検知スイッチS1が固定されている。検知スイッチS1のアクチュエータSaは、斜め下向きに延びて、可動部材50の上面に対向している。図4(A)に示すように、可動部材50が時計方向へ回動して非案内姿勢にあるとき、アクチュエータSaが押されておらず、検知スイッチS1はOFFである。図4(B)に示すように、可動部材50が反時計方向へ回動して案内姿勢になると、可動部材50の上面によってアクチュエータSaが押されて、検知スイッチS1がONに切換えられる。
【0072】
可動部材50の後端部(Y2側の端部)には、X1方向とX2方向へ突出する持ち上げ突部55,55が一体に形成されている。
【0073】
図1に示すように、右側方スライダ30aのY1側には、ローラ制御カム部34が設けられている。ローラ制御カム部34は、上側に形成された上側案内部34aと、それよりもY2側で且つ下側に形成された下側拘束部34bと、上側案内部34aと下側拘束部34bとに連続する傾斜案内穴34cとを有している。ローラ軸42のX1側の端部は、ローラ制御カム部34に摺動自在に挿入されている。
【0074】
右側方スライダ30aのY1側の端部には、案内制御カム部35が形成されている。案内制御カム部35は、Y1側の持ち上げ案内部35aとY2側に延びる保持案内部35bとを有している。持ち上げ案内部35aは、後方(Y2方向)へ向かうにしたがって徐々に上向きになる傾斜面であり、保持案内部35bは、Y1−Y2方向へ延びる水平な平面である。可動部材50に設けられた持ち上げ突部55が案内制御カム部35で案内されて、可動部材50の姿勢が制御される。
【0075】
図1に示すようにディスクDの挿入を待つ待機状態では、右側方スライダ30aがY2方向へ移動しているため、ローラ軸42の右端部は、ローラ制御カム部34の上側案内部34a内に位置している。上側案内部34aの上下の開口幅はローラ軸42の直径よりも広くなっているため、図2および図4(A)に示すように、引っ張りコイルばねによってローラブラケット44が反時計方向へ付勢され、ローラ軸42が固定部材43の固定案内部43aに押圧されている。
【0076】
また、図1に示す待機状態では、右側方スライダ30aのY1側の端部に設けられた持ち上げ案内部35aが、持ち上げ突部55からY2方向へ離れており、図2および図4(A)に示すように、可動部材50が時計方向へ回動させられて非案内姿勢となっている。
【0077】
直径が12cmで真円形の正規のディスクDが搬入され、ディスクDが装填完了位置に至ると、モータMが始動し、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bが同期してY1方向へ移動する。前述のように、右側方スライダ30aがY1方向へ移動すると、クランプ動作が行われ、且つ機構ユニット10の拘束が解除される。
【0078】
右側方スライダ30aと左側方スライダ30bがY1方向へ移動すると、ローラ軸42の右端部が、ローラ制御カム部34の傾斜案内穴34cによって下向きに案内されて、下側拘束部34bで保持される。ローラブラケット44は時計方向へ回動させられ、搬送ローラ41が固定案内部43aおよびディスクDから離れて下降するとともに、対向案内面44iも可動案内部51から下側へ離れる。また、可動部材50に設けられた持ち上げ突部55が、右側方スライダ30aの持ち上げ案内部35aにより持ち上げられて、保持案内部35bを摺動するに至り、可動部材50は図4(B)に示す水平な案内姿勢で動かないように安定する。
【0079】
図5に示すように、挿入口が設けられた前側板2の内側に光学検知部材71A,71Bが設けられている。光学検知部材71A,71Bはそれぞれ、検知光を発する発光素子と、検知光を受光する受光素子とが、ディスクDの通過経路を挟んでZ方向に対向して設けられている。
【0080】
図3と図5に示すように、可動部材50に一対の検知穴57a,57bが開口しており、光学検知部材71A,71Bの発光素子から発せられる検知光が検知穴57a,57bを通って下方に向けられる。ディスクDの通過経路の下側に、検知光を受光する受光素子が設けられている。ディスクDが、発光素子から受光素子に至る検知光を遮っていないとき、光学検知部材71A,71Bが非検知状態となり、Hレベルの出力信号が得られる。ディスクDが検知光を遮ると受光素子が受光できなくなり、光学検知部材71A,71Bが検知状態となってLレベルの出力信号が得られる。
【0081】
図5に示すように、光学検知部材71A,71Bは共に、搬送ローラ41と挿入口を有する前面板2との間に配置されており、光学検知部材71Bが、光学検知部材71Aよりも前面板2に近い側に配置されている。
【0082】
図5に示すように、ターンテーブル23の回転中心を通ってY1−Y2方向に延びる線を搬送中心線Oa−Oaとしたときに、光学検知部材71A,71Bは、共に搬送中心線Oa−Oaよりも右側(X1側)に離れて配置されている。直径が12cmの正規のディスクDが挿入口から挿入されてY2方向へ搬入される間、ディスクDの中心穴Daおよびその周辺のリング状の透明部が、光学検知部材71A,71Bを通過しないようになっている。
【0083】
図5に示すように、光学検知部材71A,71Bは、ターンテーブル23の回転中心から共に同じ距離ro離れた位置に配置されている。しかも、図8に示すように、正規のディスクDが装填完了位置に至ってターンテーブル23にクランプされたときに、光学検知部材71A,71Bが共に、ディスクDの外周縁のすぐ内側に位置し、且つディスクDの外周縁に通常形成されているリング状の透明部のすぐ内側に対向する。
【0084】
そのため、挿入口から正規のディスクDが挿入されて、光学検知部材71A,71Bの双方が検知状態であるLレベルとなった後に、このディスクDが正常に搬入されて、図8に示すように、ディスクDの中心がターンテーブル23の回転中心と一致する正常な装填完了位置に位置決めされるまでの間、光学検知部材71A,71Bは共に検知状態を維持し、Lレベルを継続する。
【0085】
図8に示すように、筐体の底板の上面には回路基板が設けられ、その回路基板のX1側に、装填完了検知部材であるリミットスイッチS2が設けられている。リミットスイッチS2のアクチュエータSbがX1方向に突出している。
【0086】
左側方スライダ30bの移動力を右側方スライダ30aに伝達するための反転レバー47の下面には、接触部(図示せず)が設けられている。反転レバー47が、支持軸47aを中心に時計方向に回動して、右側方スライダ30aが最もY1方向へ移動したときに、前記接触部がリミットスイッチS2のアクチュエータSbに接触し、リミットスイッチS2の出力がOFFからONに切り替えられる。このとき、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bが最もY1方向へ移動したことが検知され、図示しない制御回路で、ディスクDの一連の装填動作が完了したと判断され、モータMが停止させられる。
【0087】
次に、ディスク装置の動作を説明する。
図9は、挿入口から正規のディスクDあるいは小径ディスクD1などが挿入されたときの制御動作を示すフローチャートである。図9のフローチャートでは、各ステップを「ST」の符号で示している。
【0088】
(ディスク挿入待機状態)
図1と図2および図4(A)に示すように、ディスクDが挿入される前のディスク挿入待機状態では、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bの双方がY2方向へ移動している。右側方スライダ30aに設けられたクランプ制御カム部32のカム長穴32aによって持ち上げ軸18が持ち上げられ、クランプベース12が時計方向へ回動させられて、クランパ27がターンテーブル23から上方へ離れている。
【0089】
ローラ軸42の右端部は、右側方スライダ30aに形成されたローラ制御カム部34の上側案内部34aに案内され、引っ張りコイルばねからローラブラケット44に作用する弾性力により、搬送ローラ41が固定部材43に向けて付勢され、搬送ローラ41が固定案内部43aに圧接している。また、右側方スライダ30aのY1側の端部の持ち上げ案内部35aが持ち上げ突部55から離れており、可動部材50が自重およびばねの力で時計方向へ回動して傾斜する非案内姿勢となっている。
【0090】
図1と図2に示す待機状態では、搬送モータに通電されていない。また、検知スイッチS1には検知電圧が与えられているが、検知スイッチS1の接点が非接触で開かれているため、検知スイッチS1に電流が流れていない。また、光学検知部材71A,71Bの発光素子に通電されておらず、この時点で発光素子からは検知光が発せられていない。
【0091】
(搬入動作)
図1と図2に示す待機状態において、挿入口からディスクDがY2方向へ挿入されると(ST1)、ディスクDのY2側に向く周縁部が、可動部材50の可動案内部51と、その下に対向する対向案内部44hの対向案内面44iとの間で導かれる。待機状態では、可動案内部51と対向案内面44iとの間隔がY2側に向かうにしたがって徐々に狭くなっている。そのため、図5の(i)に示す位置または(ii)に示す位置まで挿入されたディスクDは、搬送ローラ41に至る前に可動案内部51に当たる。そのままディスクDが押し込まれると、ディスクDの上面によって可動部材50が持ち上げられて図4(B)に示す案内姿勢になり、可動部材50の上面でアクチュエータSaが持ち上げられて、検知部材である検知スイッチS1の出力がOFFからONに切り替えられる。
【0092】
図9に示すST2では、図示しない制御回路によって、検知スイッチS1の出力がOFFのままであると認識された場合にはST3に移行して、図1と図2に示す待機状態が継続される。
【0093】
ST2において、検知スイッチS1の出力がOFFからONに切り替えられると、制御回路は光学検知部材71A,71Bの発光素子の通電を開始する。それ以後は、光学検知部材71A,71Bの発光素子に連続的に通電され、または間欠するパルス状の電流が与えられて検知光が発せられる。
【0094】
検知スイッチS1の出力がONに切り替えられるまでは光学検知部材71A,71Bに通電されず、挿入口からディスクDなどが挿入されて検知スイッチS1の出力がONに切り替えられて初めて光学検知部材71A,71Bに通電されるため、ディスク挿入待機中における消費電力を低減できる。
【0095】
ST4では、光学検知部材71Aの出力信号がHレベル(非検知状態)のままで、且つ光学検知部材71Bの出力信号がHレベルからLレベル(検知状態)に変化したか否かが判断される。
【0096】
挿入されたものが、外周縁が円形で直径が12cmの正規のディスクDであって、この正規のディスクDが、図5の(i)で示す位置から(ii)で示す位置まで挿入されると、ディスクDのY2側の端部によって、光学検知部材71Bの検知光が先に遮られ、その時点で光学検知部材71Aの検知光は未だ遮られない。よって、光学検知部材71Bの出力信号はHレベルからLレベル(検知状態)に変化し、光学検知部材71Aの出力信号はHレベル(非検知状態)のままである。このとき、制御回路は、搬入してもよいディスクDが挿入されたものと判断して、ST5に移行し、搬送モータが始動して、ローラ軸42をディスク搬入方向へ始動する。
【0097】
検知スイッチS1がONになり、光学検知部材71A,71Bに通電された後に、光学検知部材71Bの出力信号が検知状態であるLレベルにならないときは、搬送モータを始動せずローラ軸42を回転させることなく、そのまま光学検知部材71A,71Bの通電を継続する。そして、検知スイッチS1がOFFになったら、挿入口から挿入されているものが無くなったと判断して、光学検知部材71A,71Bの通電を停止する。
【0098】
ST4において、光学検知部材71Bの出力信号が非検知状態のHレベルのままで、奥側の光学検知部材71Aの出力信号が先に検知状態のLレベルになったときは、制御回路は、挿入口から挿入されているのが正規のディスクDではないと判断し、ST5へは移行せず、ローラ軸42を始動しない。このときも、検知スイッチS1がOFFになるのを待ってから、光学検知部材71A,71Bへの通電を停止する。
【0099】
正規のディスクDが挿入口から正常に挿入され、そのディスクDのY2側の外周縁が、搬送ローラ41に当たった時点では、図5に示す(ii)のように、光学検知部材71Bの出力信号は検知状態のLレベルになるが、光学検知部材71Aの出力信号が検知状態とならないように、搬送ローラ41と、光学検知部材71A,71Bの位置関係が決められている。これにより、正規のディスクDが正常に挿入されたときは、ローラ軸42を始動でき、それ以外の異形ディスクやカードなどが挿入されたときは、ローラ軸42が始動せず、これら異形ディスクなどが装置内に搬入することを阻止できる確率が高くなる。
【0100】
図5に示すように、光学検知部材71A,71Bは、搬送中心線Oa−Oaよりも右側に離れた位置にのみ設けられており、搬送中心線Oa−Oaよりも左側には、光学検知部材が設けられていない領域が広く存在している。したがって、直径が8cmの小径ディスクD1やクレジットカードまたはそれと同等の寸法のカードCなどの薄板状の異物が、左側(X2側)に寄った位置で挿入口に挿入されて検知スイッチS1がONになったとしても、光学検知部材71Bが検知状態となる確率が低くなる。そのため、これら異物が挿入されたときに、ローラ軸42が始動することがなく、搬入動作に移行する確率は低い。
【0101】
ST5において、搬送モータが始動し、ローラ軸42が搬入方向へ回転すると、ディスクDのY2側の周縁部が、搬送ローラ41の回転力によって、搬送ローラ41と固定部材43との間に導かれる。ローラ軸42に引っ張りコイルばねの弾性力が作用しているため、ディスクDは搬送ローラ41と固定部材43の固定案内部43aとで挟持され、搬送ローラ41の回転力によって筐体1の内方へ向けて搬入される。
【0102】
制御回路では、ST4で、光学検知部材71Bの出力信号がHレベルからLレベルに変化したことが前記制御部によって認識されたときに計測タイマーを始動し、ST4が成立したときを基準として時間の計測を開始する。
【0103】
なお、ST2で検知スイッチS1がONに切り替わった時点で、搬送モータを始動してもよいし、あるいは検知スイッチS1の検知出力を無視して、光学検知部材71Bのみが検知状態であるLレベルになったら搬送モータを始動してもよい。そして、この搬送ローラの始動と同時に時間の計測を開始してもよい。
【0104】
ST6では、時間の計測を開始してから所定時間を経過するまでの間に、光学検知部材71Bが検知状態を維持したまま、光学検知部材71Aの出力信号が検知状態であるLレベルに切り替わるか否かを監視する。所定時間を経過するまでに光学検知部材71BがLレベルにならなかったら、搬入されているのが正規のディスクDではないと判断し、ST7に移行し、搬送モータを逆転しローラ軸42を逆転させて、搬出動作に移行する。
【0105】
ST6において所定時間以内に光学検知部材71Aの出力信号がLレベルになったら、搬送ローラ41の回転による搬入動作を継続し、ST8に移行する。
【0106】
その後の搬入動作において、直径が12cmの正規のディスクが搬送ローラ41の回転力で正常に搬入されているときは、正規のディスクDの中心穴または中心穴の周囲のリング状の透明部分が光学検知部材71A,71Bを通過することがなく、ディスクDの外周縁のリング状の透明部分も光学検知部材71A,71Bを通過することがない。また、図7に示すように、正規のディスクDの中心がターンテーブル23の中心に一致する正常な装填位置に位置決めされたときも、光学検知部材71A,71Bが、正規のディスクDの外周縁のリング状の透明部分よりもすぐ内側に対向する。そのため、正規のディスクDが搬入されているときは、図7に示すように、ディスクDの位置決めが完了するまで、光学検知部材71A,71Bが共にLレベルを継続する。
【0107】
制御回路では、搬入動作を行っている間に、光学検知部材71A,71Bの少なくとも一方が非検知状態であるHレベルになったら、搬入されているのが正規のディスクではないと判断し、搬送ローラを逆転させ、ローラ軸42を逆転させて、これらを挿入口から排出する。
【0108】
すなわち、制御回路は、ST6が成立した後で、ST8において、光学検知部材71Bが検知状態であるLレベルを継続しているか、ST9で、光学検知部材71Aが検知状態であるLレベルを継続しているかを監視する。そして、ST8とST9の双方の成立が継続している間は、正規のディスクDが正常に搬入され続けていると判断してST10まで搬入動作を継続し、ST10に至る前に、ST8とST9の少なくとも一方が成立しなくなったら、その時点で直ちにST7に移行し、搬出動作に移行する。
【0109】
(異物排出動作)
本来搬入されるべきではない直径が8cmの小径ディスクD1が挿入されたときであっても、検知スイッチS1がONになり、その後に光学検知部材71Bと光学検知部材71Aの順に出力がLレベルになれば、図9に示すST6が成立するため、搬送モータが動作し続けて搬送ローラ41が回転し続け、図6に示すように、小径ディスクD1がY2方向の深い位置まで搬入されることがある。
【0110】
しかし、図5に示すように、ターンテーブル23の回転中心から光学検知部材71A,71Bによる検知点までの距離roは、4cmよりも長く設定されているため、小径ディスクD1の中心がターンテーブル23と同じ位置に至る前に、光学検知部材71Aと光学検知部材71Bの少なくとも一方が非検知状態となる。そのため、ST10の装填完了に至ることはできず、ST7に移行して小径ディスクD1の搬出動作に移行することができる。
【0111】
図6に示すように、小径ディスクD1がY2方向へ搬入されていくときに、小径ディスクD1のY1側に向く縁部が光学検知部材71Bから外れ、ST7で異物排出動作に移行する時点で、小径ディスクD1は搬送ローラ41と固定案内部43aとで挟持されている。そのため、ST7に至った直後に搬送モータを逆転させ、搬送ローラ42を搬出方向へ回転させることで、小径ディスクD1に排出方向への搬出力を与えることができる。
【0112】
また、搬入されていく小径ディスクD1のY1側の縁部が光学検知部材71Bから外れた時点で、小径ディスクD1のY1側の端部が、可動部材50の可動案内部51に対向している。しかし、小径ディスクD1と可動案内部51との対向面積はわずかであるために、ばねの力で可動部材50が図4(A)に示すように時計回りに回動しやすく、小径ディスクD1のY1側の縁部が可動案内部51のY2側の縁部50aよりもさらにY2側へ外れてしまうことが有り得る。あるいは、ST7に移行したときに、搬送モータを逆転するタイミングが少し遅れると、搬送モータを逆転させた時点で、小径ディスクD1のY1側の端部が可動部材50のY2側の縁部50aから外れて、可動部材50がばねの力で時計方向へ回動し、図4(A)に示す非案内姿勢に至ることが有り得る。
【0113】
このような状態になったとしても、図4(A)に示すように、可動部材50に設けられた突出部56の戻り案内傾斜部56aが搬送ローラ41に対向し、さらに戻り案内傾斜部56aが固定案内部43aよりも上に延びているために、搬送ローラ41と固定案内部43aとで挟持されている小径ディスクD1のY1側の縁部が必ず戻り案内傾斜部56aの下に対向する。
【0114】
そのため、搬送ローラ41の逆転動作で搬出される小径ディスクD1のY1側の縁部が戻り案内傾斜部56aを摺動し、可動部材50が反時計方向へ回動させられて図4(B)に示す案内姿勢となり、小径ディスクD1は、可動部材50のY2側の縁部50aに引っ掛かることがなく、挿入口に向けて確実に排出される。
【0115】
図6に示すように、識別検知部材である光学検知部材71A,71Bが、搬送中心線Oa−Oaよりも右側(X1側)にのみ設けられているために、小径ディスクD1が挿入口に対して左側(X2側)に寄って挿入されたときは、図9のST4が成立しずらくまたはST6が成立しずらく、小径ディスクD1が筐体1の内部に深く送り込まれることが少ない。これに対し、小径ディスクD1が挿入口に対して右側(X1側)に片寄って挿入されると、図6に示すように、搬送ローラ41で筐体1の内部へ深くまで搬入されることがあり、その結果、ST7に至って搬送動作に移行することがありえる。
【0116】
そのため、図6に示すように、筐体内のディスク搬送経路の右端部(A)よりも左側に8cm以上の距離を開けない位置に戻り案内傾斜部56aが設けられることが必要である。また、搬出される小径ディスクD1が戻り案内傾斜部56aを確実に摺動できるようにするために、戻り案内傾斜部56aが、搬送中心線Oa−Oaよりも右側(X1側)、すなわち、識別検知部材である光学検知部材71A,71Bが設けられている側に片寄るように設けられることが好ましい。
【0117】
また、図6に示すように、クレジットカードなどと同等のカードCが誤って挿入口から右側に片寄って挿入され、搬送ローラ41によってカードCが搬入されたときも、小径ディスクD1のときと同様に、ST10に至る前に搬出動作(ST7)に移行し、これら異物を戻り案内傾斜部56aに摺動させることで、挿入口から確実に搬出させることができる。
【0118】
なお、本発明では、図9に示す動作フロー以外の異物検知方法として、可動部材50が図4(B)に示すように反時計方向へ回動させられて検知スイッチS1がONになった時点で搬送モータを始動して搬入動作を開始し、その後、正常な装填動作が完了したと判断されるまでの間に、可動部材50が図4(A)に示すように時計方向へ回動して検知スイッチS1がOFFになったら、小径ディスクD1などの異物が搬入されたと判断し、搬送モータを逆転させて、ST7の搬出動作に移行してもよい。この場合も、搬出される小径ディスクD1などが戻り案内傾斜部56aを通過することで、一度時計方向へ回動した可動部材50を反時計方向へ回動させることができ、異物を排出することができる。
【0119】
(ディスククランプ動作)
正規のディスクDが、図6に示す状態からさらにY2方向に搬入され、図7に示す位置に至ると、ディスクDのY2側の外周縁によって、トリガー部材14を構成する検知ピン14AがY2方向に押圧され、アーム14Bが反時計方向に回動させられる。同時に、正規のディスクDの外周縁が、一対のストッパ部材16a,16bに当たり、ディスクDはクランプ可能位置である正常な搬入完了位置に位置決めされる。
【0120】
トリガー部材14のアーム14Bが反時計方向へ回動すると、モータMが始動するとともに動力伝達機構の歯車が噛み合わされ、モータMの動力により左側方スライダ30bがY1方向へ移動させられる。なお、モータMを搬送モータとして兼用し、ST5においてモータMを始動してローラ軸42を回転させ、その後、図7の状態で、アーム14Bの回動力で動力伝達機構が成立して、モータMの動力が動力伝達機構から左側方スライダ30bに伝達されてもよい。
【0121】
その後は、右側方スライダ30aと左側方スライダ30bが同期して、図7に示す位置からY1方向へ移動する。この過程で、図1に示す右側方スライダ30aに設けられたクランプ制御カム部32のカム長穴32aによって持ち上げ軸18が下方へ案内されて逃げ穴部32bに移動させられる。よって、クランプベース12が、トーションコイルばね17の付勢力によって、連結軸13,13を支点として反時計方向へ回動させられ、クランパ27がターンテーブル23に向けて下降する。
【0122】
上記のクランプベース12の反時計方向への回動動作とほぼ同時に、ローラ軸42の右端部が、右側方スライダ30aに設けられたローラ制御カム部34の上側案内部34aから傾斜案内穴34cへ案内され、さらに下側拘束部34bで拘束される。これにより、ローラブラケット44が時計方向へ回動させられて、ローラ軸42および搬送ローラ41が下降させられる。搬送ローラ41の上に乗っている正規のディスクDは、搬送ローラ41と共に下降し、ディスクDの中心穴Daが、ターンテーブル23とクランパ27とで挟持されて、ディスクDがクランプされる。
【0123】
ローラ制御カム部34の下側拘束部34bによって、搬送ローラ41がディスクDから下側へ離れた位置に拘束された後に、さらに右側方スライダ30aがY1方向へ移動すると、右側方スライダ30aのY1側の端部に設けられた案内制御カム部35の持ち上げ案内部35aで持ち上げ突部55が持ち上げられさらに保持案内部35bで保持される。その結果、可動部材50が反時計方向へ回動させられ、可動部材50の下面の可動案内部51が水平姿勢となって、クランプされているディスクDから上方へ離れ、可動部材50は図4(A)に示す案内姿勢に保持される。
【0124】
右側方スライダ30aが最もY1方向に移動して、上記のように正規のディスクDのクランプ動作が完了すると、図8に示すように、右側方スライダ30aを駆動する反転レバー47の接触部が、リミットスイッチS2のアクチュエータSbに接触し、リミットスイッチS2の出力がOFFからONに切り替えられる(図9のST10)。リミットスイッチS2は、ディスクDがターンテーブル23にクランプされたことを検知するディスクの装填完了検知部材として機能する。
【0125】
図9に示すフローチャートでは、ST10において、ST4でタイマーの計測が開始された後の予め決められた所定時間以内にリミットスイッチS2がONになったか否かが監視される。所定時間以内にST10が成立すれば、ST11に移行して、ディスク搬入完了と判断し、図8に示す状態で、ターンテーブル23にクランプされたディスクDを回転駆動することが可能になる。
【0126】
一方、ST4から所定時間以内にST10に至らないときは、ディスクが正常にクランプされるに至っていないと判断し、ST7に移行して搬出動作に移行する。
【符号の説明】
【0127】
1 筐体
2 前面板
10 機構ユニット
14 トリガー部材
16a,16b 位置決め部材
20 回転駆動部
23 ターンテーブル
27 クランパ
30a 左側方スライダ
30b 右側方スライダ
40 搬送機構
41 搬送ローラ
43 固定部材
43a 固定案内部
43b 受け部
43c 凹部
50 可動部材
51 可動案内部
52 回動支点となる支持軸
53a,53b,53c ストッパ部
56 突出部
56a 戻り案内傾斜部
71A,71B 光学検知部材(識別検知部材)
S1 検知スイッチ(検知部材)
S2 リミットスイッチ
D 正規のディスク
D1 小径ディスク
C カード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入口よりも装置奥側に、前記挿入口から挿入されたディスクを挟持して搬送力を与える搬送ローラと固定案内部とが対向して設けられ、
前記挿入口と前記固定案内部との間に、ディスクを案内する可動案内部を有する可動部材が設けられ、前記可動部材は、前記挿入口側に支点を有しディスクの厚み方向へ向けて非案内姿勢から案内姿勢に向けて回動可能に支持されているとともに、非案内姿勢に向けて付勢されており、
前記可動部材が非案内姿勢のときに、前記挿入口から挿入されたディスクが前記搬送ローラと前記固定案内部とで挟持される前に前記可動案内部に当たり、前記可動案内部に当たったディスクの挿入力によって、前記可動部材が案内姿勢に向けて回動させられて、ディスクが前記可動案内部から前記固定案内部に向けて案内され、
前記可動部材には、前記支点から離れるにしたがって搬送ローラから離れる向きに傾斜する戻り案内傾斜部が前記可動案内部と連続して形成され、前記可動部材が非案内姿勢のときに、前記戻り案内傾斜部が、前記固定案内部よりも前記搬送ローラから離れる位置へ延びており、
前記可動部材が前記案内姿勢に回動したことを検知する検知部材が設けられていることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記戻り案内傾斜部が、前記搬送ローラに対向する位置まで延びている請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記可動部材の装置奥側に向く縁部に、さらに装置奥側に延びる突出部が設けられ、前記突出部に前記戻り案内傾斜部が形成されている請求項1または2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記搬送ローラは、軸方向の中心部が両端部よりも直径が小さく形成され、前記突出部は、前記両端部を避ける中央部に配置されており、
前記可動部材が非案内姿勢のときに、前記戻り案内傾斜部のうちの前記搬送ローラに最も接近している部分が、前記両端部での搬送ローラの表面よりも前記搬送ローラの中心側に位置している請求項3記載のディスク装置。
【請求項5】
前記挿入口から正規のディスクが挿入されたときに、検知状態となり、ディスクが装置内の装填完了位置に至るまで検知状態を維持する識別検知部材が設けられており、
前記検知部材によって前記可動部材が案内姿勢に至ったと検知されたときと、前記識別検知部材が検知状態となったときの少なくとも一方で前記搬送ローラが搬入方向へ向けて始動し、
その後のディスク搬入動作の途中で、前記識別検知部材が非検知状態となったら、前記搬送ローラが搬出方向へ逆転する請求項1ないし4のいずれか1項に記載のディスク装置。
【請求項6】
前記識別検知部材は、前記搬送ローラよりも前記挿入口側に設けられている請求項5記載のディスク装置。
【請求項7】
前記検知部材によって前記可動部材が案内姿勢に至ったと検知されたときに前記搬送ローラが搬入方向へ向けて始動し、
その後のディスク搬入動作の途中で、前記可動部材が前記非案内姿勢に向けて回動したことが前記検知部材で検知されたときに、前記搬送ローラが搬出方向へ逆転する請求項1ないし4のいずれか1項に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−108336(P2011−108336A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263847(P2009−263847)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】