説明

ディスク装置

【課題】 トレイを円滑に前後進させて水平に保持すること。
【解決手段】 ローディング時に、ターンテーブル5によりディスクDを高速回転させて
、該ディスクDに記録されている情報を光ピックアップ6で読み取り、アンローディング
時に、ターンテーブル5を下降させてディスクDをトレイ2上に載置し、該トレイ2を最
前進a位置で停止させてオープン状態にするようにしたディスク装置において、トレイ2
の後端縁両側にそれぞれ前後進a,b方向に沿って一対のスリット12が所定間隔をおい
て形成されることにより該各一対のスリット12間に弾性変位可能な左右一対の弾性片1
3が切り残されており、その一対の弾性片13の突起部13aをアンローディング時に横
桁8の下面8aに当接させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばBlu−ray Disc式のレコーダ(またはプレーヤ)などのデ
ィスク装置に関し、特に、トレイを円滑に前後進させて水平に保持することができるよう
にしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスク装置の一例として特許文献1に記載したものがあり、これは、図7のロ
ーディング状態及び図8のアンローディング状態に示すように、合成樹脂製ローダーシャ
ーシ1内にディスクD載置用合成樹脂製トレイ2が前後進a,b可能の配置され、該トレ
イ2の両側縁後端に一対のロック片3が一体突設されると共に、該各ロック片3に対向し
てローダーシャーシ1の両側板1aの前部に一対のストッパ片4が一体突設され、ローダ
ーシャーシ1内にターンテーブル5とディスクDの半径方向に移動可能な光ピックアップ
6とが配置され、ターンテーブル5に対向するクランパ7がローダーシャーシ1の両側板
1a間に架設した横桁8に一定範囲内昇降可能に配置され、トレイ2の後端部上面に一体
突設されて該トレイ2と横桁8との間の空隙9内に進入可能な左右一対のガイドリブ10
が設けられている。
【0003】
上記構成において、ローディング状態では、図7(a)及び(b)に示すように、トレ
イ2がローダーシャーシ1内に収納され、ターンテーブル5とクランパ7とでディスクD
がクランプされ、該ターンテーブル5により高速回転させたディスクDに対して光ピック
アップ6からレーザ光を投射し、その反射光に基づいてディスクDに記録されている情報
を読み取る。
【0004】
アンローディング時には、ターンテーブル5を下降させてディスクDをトレイ2上に載
置し、該トレイ2を前進aさせ、そのトレイ2が最前進a位置に達すると、図8(a)及
び(b)に示すように、各ロック片3を各ストッパ片4に当接させ、トレイ2を最前進a
位置で停止させてオープン状態にする。このトレイオープン状態では、図8(c)に示す
ように、各ガイドリブ10を横桁8の下面8aに当接させることにより、トレイ2の先端
側が自重により垂れ下がらないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−141358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の構成では、図8(c)に示すように、トレイオープン状態で、各ガイドリブ
10を横桁8の下面8aに当接させることにより、トレイ2の下面後端とローダーシャー
シ1との間に隙間αが生じるため、そのトレイオープン状態からトレイ2を後進bさせる
際に、該トレイ2が上下に動揺されて安定的に後進bさせることができず、外観上の体裁
を良好に維持することが困難である。
【0007】
アンローディング時に、各ロック片3が各ストッパ片4に衝撃的に当たるため、比較的
大きな当接音が発生し、ユーザに不快感を与える。
【0008】
本発明は、上記従来の欠点に鑑み、トレイを円滑に前後進させて水平に保持することが
できるようにしたディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、ローダーシャーシの両側板間にデ
ィスク載置用トレイが前後進可能に配置され、該トレイの両側縁後端に一対のロック片が
一体突設されると共に、該各ロック片に対向してローダーシャーシの両側板の前部に一対
のストッパ片が一体突設され、ローダーシャーシ内にターンテーブルとディスクの半径方
向に移動可能な光ピックアップとが配置され、ターンテーブルに対向するクランパがロー
ダーシャーシの両側板間に架設した横桁に一定範囲内昇降可能に配置されており、ローデ
ィング時に、ターンテーブルによりディスクを高速回転させて、該ディスクに記録されて
いる情報を光ピックアップで読み取り、アンローディング時に、ターンテーブルを下降さ
せてディスクをトレイ上に載置し、該トレイを前進させ、各ロック片を各ストッパ片に当
接させることにより、トレイを最前進位置で停止させてオープン状態にするようにしたデ
ィスク装置において、前記トレイの後端縁両側にそれぞれ前後進方向に沿って一対のスリ
ットが所定間隔をおいて形成されることにより該各一対のスリット間に弾性変位可能な左
右一対の弾性片が切り残されており、その一対の弾性片をアンローディング時に前記横桁
の下面に当接させるようにしたことを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記一対の弾性片の遊端に
突起部が一体突設され、該各突起部に対向して前記横桁の下面の後端縁からその下面の中
央まで凹溝が形成され、 該各凹溝の奥端に傾斜面が形成されており、アンローディング
時に、トレイを前進させることにより、一対の弾性片の突起部が各凹溝内を通過し傾斜面
上を通って横桁の下面に当接されるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、トレイオープン状態で、左右一対の弾性片を横桁の下
面に当接させることによりばね反発力を発生させており、そのばね反発力とトレイ及びそ
の上のディスクの重量とをバランスさせることにより、トレイの先端側が自重により垂れ
下がるのを阻止して、該トレイを水平状態に保持することができると共に、そのトレイの
下面がローダーシャーシに押し付けられているから、トレイオープン状態からトレイを後
進させる際に、該トレイを上下に動揺させることなく安定的に後進させることができ、外
観上の体裁を良好に維持することができる。
【0012】
アンローディング時に、各弾性片が横桁の下面に当接してトレイの前進にブレーキがか
かるから、各ロック片が各ストッパ片に衝撃的に当たらず、その当接音が極めて小さくな
り、ユーザに不快感を与えることがない。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、一対の弾性片の遊端に一体突設した突起部に対向して
横桁の下面の後端縁からその下面の中央まで凹溝が形成されているので、アンローディン
グ時に、トレイを最前進させる直前までは、一対の弾性片の突起部を横桁の下面に対して
非接触状態にして、該トレイを円滑に前進させ、そのトレイを最前進させたときだけ、一
対の弾性片の突起部を横桁の下面に当接させて、所定圧のばね反発力を確実に発生させる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の一形態であるディスク装置の平面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図1のB−B矢視図である。
【図4】(a)は図1のC−C矢視図、(b)は同アンローディング状態の縦断面図である。
【図5】同要部の斜視図である。
【図6】同要部の拡大縦断面図である。
【図7】(a)は従来例のローディング状態の平面図、(b)は同状態の側面図である。
【図8】(a)は従来例のアンローディング状態の平面図、(b)は同状態の側面図、(c)は同状態の要部の拡大縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1〜図5に示すように、トレイ2の後端縁両側にそれぞれ前後進a,b方向に沿って
一対のスリット12が所定間隔をおいて形成されることにより該各一対のスリット12間
に弾性変位可能な左右一対の弾性片13が切り残され、該各弾性片13の遊端に横断面半
円形状突起部13aが一体突設され、該各突起部13aに対向して横桁8の下面8aの後
端縁からその下面8aの中央まで凹溝14が形成され、該各凹溝14の奥端に傾斜面15
が形成されている。
【0016】
図2中、17はトラバースシャーシであって、後部がゴムからなる後側弾性体18を介
してローダーシャーシ1に上下動c,dに連結されたシャーシ本体17aと、該シャーシ
本体17aの前部にゴムからなる前側弾性体19を介して連結されたレバーシフト17b
とからなり、シャーシ本体17a上にターンテーブル5付きスピンドルモータ20と光ピ
ックアップ6とが配置されている。
【0017】
図2に示すように、ローダーシャーシ1の前部にカムスライダ22が前後進a,b方向
とは直交する左右方向e,fにスライド可能に配置され、該カムスライダ22に形成した
カム溝23aと、レバーシフト17bに突設されてカム溝23aに嵌入するカムピン23
bとからなるカム機構23によりカムスライダ22とレバーシフト17bとが連動連結さ
れている。
【0018】
図3に示すように、ローダーシャーシ1内の棚部1b上に複数のレール片25aからな
る左右一対のガイドレール25が前後進a,b方向に沿って一体突設され、該各ガイドレ
ール25から上方に所定のクリアランスをおいて複数の押さえ片26が各側板1aに一体
突設されており、各ガイドレール25と各押さえ片26との間にトレイ2が前後進a,b
可能に挿入されている。
【0019】
図1に示すように、ローダーシャーシ1の前部に第1ピニオン28が正逆回転g,h可
能に配置され、該第1ピニオン28に噛合可能なトレイラック29がトレイ2の下面に前
後進a,b方向に沿って一体突設され、その第1ピニオン28に同心状に一体形成した第
2ピニオン30に噛合可能なカムラック(図示せず)がカムスライダ22に一体突設され
ている。上記以外の構成は図7及び図8に示す構成とほぼ同じであるから、同一部分に同
一符号を付してその説明を省略する。
【0020】
上記構成において、ローディング状態では、図1〜図3及び図4(a)に示すように、
トレイ2がローダーシャーシ1内に収納され、ターンテーブル5とクランパ7とでディス
クDがクランプされ、スピンドルモータ20によりターンテーブル5を介して高速回転さ
せたディスクDに対して光ピックアップ6からレーザ光を投射し、その反射光に基づいて
ディスクDに記録されている情報を読み取る。
【0021】
アンローディング時には、光ピックアップ6をディスクDの内周側に移動させ、カムス
ライダ22のカムラック(図示せず)を第2ピニオン30に噛合させた状態で、該第2ピ
ニオン30を正転hさせることにより、カムスライダ22を矢印e方向にスライドさせ、
カム機構23を介してトラバースシャーシ17を下動dさせ(図2仮想線参照)、ターン
テーブル5上のディスクDをトレイ2上に載置させる。
【0022】
続いて、トレイ2をわずかに前進aさせてトレイラック29が第1ピニオン28に噛合
され、該第1ピニオン28の正転hにより、トレイ2を前進aさせる。
【0023】
トレイ2の前進aにより、図6に示すように、一対の弾性片13の突起部13aが各凹
溝14内を通過し傾斜面15上を通って横桁8の下面8aに当接され、その一対の弾性片
13が撓んで、ばね反発力Pを発生させる。
【0024】
その後、トレイ2が最前進a位置に達すると、各ロック片3を各ストッパ片4に当接さ
せ、トレイ2を最前進a位置で停止させてオープン状態にする(図1仮想線参照)。
【0025】
図4(b)に示すように、ばね反発力Pの荷重点t1からトレイ2とガイドレール25
との接点Oまでの距離をh1とし、トレイ2及びその上のディスクD(12cmの大型デ
ィスクD)の重量Fの重心位置t2から接点Oまでの距離をh2とした場合、P=F×h
2/h1となるように設定しており、これによって、トレイ2を水平状態に保持して、該
トレイ2の先端側が垂れ下がらないようにしている。
【0026】
上記構成によれば、トレイオープン状態で、左右一対の弾性片13の突起部13aを横
桁8の下面8aに当接させることにより発生させたばね反発力Pとトレイ2及びその上の
ディスクDの重量Fとをバランスさせることにより、トレイ2の先端側が自重により垂れ
下がるのを阻止して、該トレイ2を水平状態に保持することができると共に、そのトレイ
2の下面がガイドレール25を介してローダーシャーシ1に押し付けられているから、ト
レイオープン状態からトレイ2を後進bさせる際に、該トレイ2を上下に動揺させること
なく安定的に後進させることができ、外観上の体裁を良好に維持することができる。
【0027】
アンローディング時に、各弾性片13が横桁8の下面8aに当接してトレイ2の前進a
にブレーキがかかるから、各ロック片3が各ストッパ片4に衝撃的に当たらず、その当接
音が極めて小さくなり、ユーザに不快感を与えることがない。
【0028】
しかも、一対の弾性片13の遊端に一体突設した突起部13aに対向して横桁8の下面
8aの後端縁からその下面8aの中央まで凹溝14が形成されているので、アンローディ
ング時に、トレイを最前進aさせる直前までは、一対の弾性片13の突起部13aを横桁
8の下面8aに対して非接触状態にして、該トレイ2を円滑に前進aさせ、そのトレイ2
を最前進aさせたときだけ、一対の弾性片13のトレイ2を横桁8の下面8aに当接させ
て、所定圧のばね反発力Pを確実に発生させることができる。
【符号の説明】
【0029】
1 ローダーシャーシ
1a ローダーシャーシの側板
2 トレイ
3 ロック片
4 ストッパ片
5 ターンテーブル
6 光ピックアップ
7 クランパ
8 横桁
8a 横桁の下面
12 スリット
13 弾性片
13a 弾性片の突起部
14 凹溝
15 傾斜面
D ディスク
a,b 前後進

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローダーシャーシの両側板間にディスク載置用トレイが前後進可能に配置され、該トレ
イの両側縁後端に一対のロック片が一体突設されると共に、該各ロック片に対向してロー
ダーシャーシの両側板の前部に一対のストッパ片が一体突設され、ローダーシャーシ内に
ターンテーブルとディスクの半径方向に移動可能な光ピックアップとが配置され、ターン
テーブルに対向するクランパがローダーシャーシの両側板間に架設した横桁に一定範囲内
昇降可能に配置されており、ローディング時に、ターンテーブルによりディスクを高速回
転させて、該ディスクに記録されている情報を光ピックアップで読み取り、アンローディ
ング時に、ターンテーブルを下降させてディスクをトレイ上に載置し、該トレイを前進さ
せ、各ロック片を各ストッパ片に当接させることにより、トレイを最前進位置で停止させ
てオープン状態にするようにしたディスク装置において、前記トレイの後端縁両側にそれ
ぞれ前後進方向に沿って一対のスリットが所定間隔をおいて形成されることにより該各一
対のスリット間に弾性変位可能な左右一対の弾性片が切り残されており、その一対の弾性
片をアンローディング時に前記横桁の下面に当接させるようにしたことを特徴とするディ
スク装置。
【請求項2】
前記一対の弾性片の遊端に突起部が一体突設され、該各突起部に対向して前記横桁の下
面の後端縁からその下面の中央まで凹溝が形成され、 該各凹溝の奥端に傾斜面が形成さ
れており、アンローディング時に、トレイを前進させることにより、一対の弾性片の突起
部が各凹溝内を通過し傾斜面上を通って横桁の下面に当接されるようにしたことを特徴と
する請求項1に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−99184(P2012−99184A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246718(P2010−246718)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】