説明

ディスプレイを備えた分析読取り装置

液体サンプルを、分析がその上またはその中で行われる液体のキャリアまたは輸送体と接触させることにより行われる分析の結果を読み取るための分析結果読取り装置が開示され、分析結果読取り装置が、液体のキャリアまたは輸送体を受けるためのレセプタクルと、分析の結果を読み取るための読取り機と、分析結果を表示することが可能であるディスプレイを解放可能なように取り付けるための解放可能な取付け部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、統合分析装置と読取り機に関し、分析装置には、ディスプレイを解放可能なように取り付けるための手段が備わっている。
【背景技術】
【0002】
現在、臨床現場で使用するための、および被検物質を家庭で試験するための簡単な分析装置が、広く確立され、市販されている。
【0003】
欧州特許出願公開第291194号明細書には、溶液中で自由に移動でき、対象の被検物質を結合するために特異的である、粒子標識結合試薬を含有する多孔性キャリアを含む分析装置が開示されている。装置はまた、同じ被検物質について非標識特異的結合試薬も含み、その非標識結合試薬を、特異的結合試薬の下流に配置されている試験ゾーンに固定化する。対象の被検物質を含有していると思われる液体サンプルが多孔性キャリアに塗布され、標識試薬と反応して、標識被検物質による結合共同複合物を形成する。複合物は、固定化した非標識特異的結合試薬と相互に作用し、その試薬と複合物を形成する試験ゾーンの中に、多孔性キャリアに沿って移動し、したがって、それにより、サンプル中に存在する被検物質の量の判定が可能になる。しかし、このタイプの分析には、ユーザによる結果の解釈が必要であり、その解釈は正確でないことがある。
【0004】
液体サンプルにおいて被検物質の濃度および/または量を判定するための分析試験紙との組合せで使用するための電子読取り機が知られている。この種の読取り機/試験紙の組合せの例が欧州特許出願公開第0653625号明細書に開示されており、読取り機は試験結果を判定するために光学的方法を使用する。分析試験紙が読取り機に挿入され、発光ダイオード(LED)などの光源からの光が、試験紙上に照らされる。その場合、反射され、または伝送される光は光検出器によって検出され、したがって、固定化した試薬に結合され、試験ゾーン内で濃縮される標識被検物質の量の判定が可能になる。
【0005】
検出ゾーン(および制御ゾーン)内で生成される可視信号は、幅が非常に狭く、その結果、対応する光検出器に対する検出または制御ゾーンの小さな変位は、光検出器によってなされる読取りについて大きな影響をもたらす場合があるという事実により、この種の装置の分析読取り機と、試験紙とが慎重に位置合わせされることは重要である。さらに検討すべき事柄は、光検出器が、最適信号強度を得るために、試験紙にできるだけ近接するための必要性である。したがって、この種の装置を使用する場合には、ユーザは、試験スティックを分析結果読取り機と慎重に位置合わせすることが重要である。この種の精密な位置合わせは、特に、家庭で使用されることを目的とした装置については、困難な場合がある。
【0006】
この問題を克服するために、試験紙と読取り機とが単一の一体型ユニットに組み込まれている分析装置が設計されている。妊娠ホルモンのヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の検出に適する分析装置の一例が、商標名Clearblue(登録商標) Digitalで、Unipath Limitedによって販売されている。装置は、分析試験紙と、読取り機と、分析試験の結果を表示するディスプレイとを備える。
【0007】
この種の一体型電子分析装置は、それらが分析結果の正確性を向上させるという利点を有し、その結果がユーザによって解釈されるべき必要性を排除する。この種の装置は、当技術分野では知られており、例えば欧州特許出願公開第1,484,601号明細書、欧州特許出願公開第1,484,611号明細書、および欧州特許出願公開第1,484,613号明細書で開示されている。典型的には、一体型ユニットは分析結果を読み取るための手段、信号変換の手段、表示の手段、回路および電気的パワー源が備わっている。従来には、ディスプレイは、表示される情報を変更すると共に、保持するために、パワー源を必要とするLCDを備える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この種の装置と関連する1つの欠点は、パワー源が消耗し、または取り外されると、表示された情報が失われることである。したがって、この種の分析装置は、分析の結果を表示するために一定の電源供給を必要とする。その結果、表示結果の存続期間は、使用されるパワー源によって決定される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、本発明は、液体サンプルを、分析がその上でまたはその中で行われる液体のキャリアまたは輸送体と接触させることによって行われる分析の結果を読み取るための分析結果読取り装置を提供し、分析結果読取り装置は、液体のキャリアまたは輸送体を受けるレセプタクルと、分析の結果を読み取る読取り機と、分析結果を表示することが可能であるディスプレイを解放可能なように取り付ける解放可能な取付け部とを備える。
【0010】
装置は、好ましくはゼロパワーのディスプレイであろう解放可能な取付けディスプレイを好ましくはさらに備え、その用語を以下に説明する。
【0011】
解放可能な取付け部は、ディスプレイを装置に解放可能なように取り付ける任意の適切な機構を含むことが可能である。好ましくは、機構は、いずれのツールも必要になることなく(例えば、スクリュードライバまたは同様のものが必要になることを避け)、作動可能であるというものである。一実施形態では、筺体上またはディスプレイ上に、弾性的に変形可能な部分が備わっており、それは、ディスプレイまたは筺体上の対応する開口部、凹部、または溝部内に、必要に応じて、収容および保持可能である。
【0012】
液体のキャリアまたは輸送体は、好ましくは、側方流動(lateral flow)の分析装置または試験紙を備える。この種の側方流動の分析装置または試験紙は、当業者にはよく知られている。典型的には、それらは、通常は、支持層またはバッキング層と共に、ニトロセルロースまたは類似の材料などの多孔性母材を備える。支持層またはバッキング層は、合成プラスチック材料などの比較的硬質な材料を含んでよい。Mylar(登録商標)がこの点から、特に適している。
【0013】
一実施形態では、液体のキャリアまたは輸送体が装置の一体型構成要素を含み、それにより、本発明は、液体サンプル内で、対象の被検物質の存在および/または量について試験するために分析を行う統合装置を提供する。別の実施形態では、液体のキャリアまたは輸送体は、本発明の装置の一体型構成要素を形成しない。例えば、適切な側方流動試験紙は、個別に製造、市販可能である。1つの特定の実施形態では、本発明の装置は、液体のキャリアまたは輸送体により解放可能な係合部を形成するための手段を有する。好ましくは、液体のキャリアまたは輸送体は、分析結果を読み取るために、本発明の分析結果読取り装置に挿入可能であり、読み取られたデータが取り込まれると、液体のキャリアまたは輸送体は、読取り装置から取り出しまたは取り外し可能であり、処分可能である。
【0014】
本発明によれば、ディスプレイは、分析結果の生成の後に、装置から分離可能であり、ディスプレイ上に記録された情報は、少なくとも限られた時間期間、パワー源が事実上ない状態で保持される。好ましくは、パワー源がない状態で、ディスプレイは、少なくとも24時間、より好ましくは、少なくとも72時間、およびより好ましくは、少なくとも168時間、保持可能である。
【0015】
この種の条件下で情報表示を保持することが可能であるディスプレイは、本目的のため、ゼロパワーのディスプレイと称することが可能である。好ましいゼロパワーのディスプレイは、電気的パワーを初期に使用して、情報表示を生成し、またはその表示を変更するという意味では、電気的であるが、その後、情報表示を保持するためにパワーは必要でない。望ましくは、情報表示は、英数字表示を含む。好ましいゼロパワーのディスプレイは、ZBD(Zenithal Bistable displays、Malvern Research Park、Worcester、www.zbddisplays.comを参照のこと)により利用可能である。Zenithal双安定ディスプレイは、画像を保持するためにパワーを必要としないLCDのタイプである。技術は、欧州特許出願公開第0856164号明細書に記載のように、ZBDによって開発された格子構造に基づいている。ZBDのディスプレイでは、分子に2つの安定した配向があり、結果的に黒または白の画像をもたらすことになる。Zenithal双安定ディスプレイは、単純微細構造の格子表面を使用して、液晶分子の位置合わせを制御する。格子構造は、機械的な衝撃があるにもかかわらず、パワー源が取り外された後に、画像が保持されるようにその表面に画像を保存する。ディスプレイの双安定性は、複雑な画像が、各ピクセルの後ろに薄膜トランジスタ(TFTS)を使用することの追加費用なしに、一度にラインを書かれることが可能であることを意味する。
【0016】
本発明により使用可能である別のゼロパワーのディスプレイは、導電性高分子、エレクトロクロミック高分子、および電子インクディスプレイである。
【0017】
電子インクディスプレイ(E Ink Corporation、Cambridge MA、USAにより入手可能)は、回路層にラミネート加工が施された1枚のプラスチック膜シートの上に、(正荷電粒子および負荷電粒子を含有する複数の微小マイクロカプセルを含む)電子インクを印刷することによって形成される。回路は、ディスプレイドライバによって制御可能であるピクセルのパターンを形成し、それにより、それが形成されると、画像が、パワー源のない状態で表示可能になる。
【0018】
BiNem(登録商標)ディスプレイ(Nemoptic、1 rue Guynemer、Magny les Hameaux、Franceにより入手可能)はLCD技術を使用して、ディスプレイを形成する。ディスプレイの手段は、双安定(すなわち、2つの異なる状態のどちらでも安定)的であり、それにより、ディスプレイの内容物が、内部メモリの効果によって、パワー源を全くなしに保持するようになる。加えて、ディスプレイは、ほとんどのLCDによって使用されるタイプのネマチック液晶を使用する。
【0019】
Dupont(120 Cremona Driva、Santa Barbara、California、USA)により開発されたOlight(登録商標)ディスプレイは、光を生成するために有機材料を使用する。有機材料の薄層は、適切なアノード層とカソード層の間に挟まれ、比較的少量の電圧(典型的には、2Vと10Vの間)が有機材料全体に印加され、それにより、それが、エレクトロルミネッセンスとして知られている処理で光を放射することになる。ディスプレイは、パワー源から取り外されると、限られた時間期間、保持可能である。
【0020】
上述のディスプレイのいずれも、本発明での使用に適することが可能である。
【0021】
本発明によれば、ゼロパワーのディスプレイを使用して、分析に関係する情報を表示することが可能である。典型的には、ディスプレイを使用して、分析の結果を示す。代替としては、または加えて、ディスプレイを使用して、分析の日付および時刻、患者情報、バッチコード情報などを表示することが可能である。ディスプレイは、当業者には知られている任意の適切な分離または解放の機構を使用して、統合装置から分離可能である。一実施形態では、ディスプレイは、解放可能な掛け金機構を使用して装置に取付け可能である。好都合には、ゼロパワーのディスプレイは、統合装置から取り外し可能であり、結果は、将来における参照用に、保持および保存可能である。
【0022】
典型的には、本発明の装置には、加えて、信号変換の機構、回路、およびパワー源が備わっている。
【0023】
本発明の装置は、好ましくは、側方流動の免疫測定装置を含み、対象の被検物質を含有している可能性のある液体サンプルが試験紙に塗布され、その紙に沿って移動する。このタイプの分析は、当業者にはよく知られており、例えば、欧州特許出願公開第0291194号明細書に開示されている。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、試験紙は、サンプルが塗布されるサンプル受けゾーンと液流連通している。試験紙は、概して、試薬と被検物質との複合物を生成するために対象の被検物質を結合することが可能である特異的結合試薬を含有する反応ゾーン、および試薬と被検物質との複合物を結合することが可能である固定化試薬を含有する試験ゾーンを含む。
【0025】
典型的には、反応ゾーンは、サンプル受けゾーンから下流に配置され、試験ゾーンは、反応ゾーンから下流に配置されている。
【0026】
好ましくは、試験紙は多孔性であって、したがって、サンプルが試験紙に沿って浸透することが可能になる。より好ましくは、ニトロセルロースが試験紙材料として選択される。これは、それがより早く感作する必要性なく、タンパク質を結合する自然の能力を有するので、紙などの従来の試験紙材料と比べて利点を有する。
【0027】
好ましい実施形態では、試験ゾーン内で、固定化試薬に、試薬と被検物質との複合物を結合することにより、結果的に、分析読取り機を使用して測定される信号の生成がもたらされる。原理的には、本発明の統合装置は、被検物質のいずれの量またはその存在の検出用に使用可能である。サンプルは、生物学的、工業的、または環境的な由来のものであってよい。
【0028】
分析の実施中に蓄積する信号は、分析の目的に適切である任意のものであってよい。典型的には、信号の蓄積は、カラー反応生成物など、すぐに検出可能な物質の生成または蓄積を含む。好ましくは、分析は、試験紙の試験ゾーン内で、標識試薬の蓄積を含む。本発明により使用可能である標識のいくつかの例は、酵素、電波標識、蛍光色素、カラー粒子または同様のものである。好ましくは、標識は、標識粒子を含み、その標識粒子は、金の粒子であってよく、またはラテックスなどのカラー高分子であってよい。
【0029】
概して、サンプル内に被検物質が存在することにより、信号の蓄積が生じやすいことになる。しかし、別の分析形態(競合または変位の形態分析など)では、対象の被検物質が存在しないことにより、結果的に、関連信号の堆積が生じることになる。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、分析結果読取り機は、標識の蓄積を監視するための光学検出器システムを備える。読取り機は、典型的には、蓄積された標識のレベルに比例する信号(望ましくは、デジタル信号)を生成する手段を含む。好都合には、光学検出器システムを使用して、任意の光学的特性、例えば、標識が蓄積される試験ゾーンから反射され、かつ/または伝送される光の量を測定することが可能である。
【0031】
好ましくは、光学検出システムは、少なくとも1つの光源と、少なくとも1つの光検出器とを備えるであろう。より好ましくは、光源は、発光ダイオード(LED)を含む。反射され、または伝送される光は、光検出器によって測定される。本目的のため、反射される光は、多孔性キャリア、または別の液体輸送手段から光検出器上に反射される光源からの光を意味するように解釈される。典型的には、この例では、検出器は、光源と同一側のキャリア上に設けられる。伝送される光は、キャリアを通る光を意味すると解釈される。伝送される光を検出するために、検出器は、典型的には、光源に対して反対側のキャリア上に設けられる。
【0032】
好ましくは、装置は、不透明材料から形成される筺体を備える。好都合には、筺体は、例えば、ポリカーボネート、ABS、ポリスチレン、またはポリプロピレンの合成プラスチック材料から形成される。望ましくは、開口部が筺体の一端部に設けられ、それにより、試験紙または類似の多孔性キャリアが、開口部から挿入可能であり、または既に筺体内に収容されている場合には、その開口部から突出可能である。本発明による統合装置を使用して分析測定を実施するために、装置内に収容された試験紙が液体サンプルと接触する。代替の実施形態では、液体サンプルが、まず、試験紙のサンプル受けゾーンに塗布され、次に、試験紙が装置内に挿入されることが可能である。サンプルは、試験紙に沿って移動し、サンプル内に存在するいずれの被検物質も関連反応を受ける。
【0033】
結果が判定されると、ディスプレイは、装置から分離され、将来の参照用に保存可能である。好ましくは、ディスプレイは、最初に装置に取り付けられ、その後、分析の実行に続いて取り外し可能である。
【0034】
有利には、本発明の装置は、家庭で、または臨床現場での試験において、使用可能である。
【0035】
一実施形態では、本発明の装置を使用して、妊娠ホルモンhCGを検出することが可能である。したがって、例えば、陽性結果(すなわち、妊娠)を示すディスプレイは、本発明の装置から取り外し、記念の品または思い出として保持可能であり、表示された情報は失われることがないであろう。
【0036】
別の実施形態によれば、本発明の装置は、連鎖球菌Aなどの感染性病原体の検出のために、または感染性もしくは別の疾病の診断のために使用可能である。有利には、装置を使用して、連鎖球菌Aが存在するかどうかを家庭で試験することが可能である。ディスプレイは、その場合、装置から分離可能であり、その結果は、その場合、医師または別の医療専門家に提出可能である。
【0037】
さらなる実施形態では、本発明の装置は、乱用薬物の検出に使用可能である。
【0038】
本発明の前には、分析装置から結果を分離して保存することは不可能であった。したがって、従来の側方流動分析装置は、分析装置からのサンプルで汚染されているディスプレイを有することが多い。本発明の装置は、ディスプレイが装置から分離可能であるという利点を有し、したがって、汚染材料をまき散らし、または広げるという危険性を最小限にし、それにより、衛生状態を向上させる。
【0039】
第2の態様では、本発明は、サンプル内で対象の被検物質の存在および/または量を判定する方法を提供し、方法は、サンプルを上記規定の第1の態様による装置の液体キャリアと接触させるステップを含む。
【0040】
第3の態様では、本発明は、上気規定の第1の態様による統合装置を形成する方法を提供する。
【0041】
さらなる態様では、本発明は、上記規定の本発明の第1の態様による液体サンプルにおいて、対象の被検物質の存在および/または量について試験するための分析を行う統合装置を提供し、装置は、ゼロパワーのディスプレイに取り付けるための手段を有する。
【0042】
誤解を避けるために、「好ましい」、「望ましい」、「好都合な」、「有利な」、もしくは同様のものとして記述されている本発明のいずれの特徴も、文脈が特に指示しない場合は、単独で採用可能であり、または、そのように記述される任意の別の特徴または複数の特徴と組み合わせても採用可能である。
【0043】
次に、本発明を例示によって、および以下の図面を参照してさらに説明することにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
例1
本発明による統合装置の実施形態を図1に示す。
【0045】
装置は、長さ約12cm、および幅約2cmであり、概して、指または葉巻のような形状である。しかし、任意の好都合な形状が使用可能である。統合装置は、不透明な合成プラスチック材料から形成された筺体(2)を備える。筺体の一端部に、液体の輸送体またはキャリア(4)が、液体サンプルと接触するために筺体を越えて、それから突出することが可能である狭い開口部が設けられている。
【0046】
ゼロパワーのディスプレイ(6)が装置に解放可能なように取り付けられ、情報をユーザに表示する。ゼロパワーのディスプレイ(6)は、分析結果の生成後、装置から取り外し可能である。弾性的に変形可能なクリップ(8)上の下方圧力により、分析が完了し、結果が表示された後に、ゼロパワーのディスプレイは、筺体から取り外されることが可能になる。ゼロパワーのディスプレイは、パワー源から孤立した状態で、分析結果および任意の別の表示された情報を継続的に表示し、それにより、結果は、将来における参照用にユーザによって保持可能である。ディスプレイ上に記録された情報は、装置からの取り外し後に、または代替として、パワー源の消耗後に保持可能である。
【0047】
図3および4に最もよく見られるように、筺体(2)は、参照数字(10)によって概して示される分析組立部を収容する。
【0048】
分析組立部(10)は、液体の輸送体またはキャリアのサンプリング部分(4)と液流連通しているニトロセルロースの側方流動紙(16)の試験ゾーンと位置合わせされた2つのLEDと、2つのフォトダイオード(14)とが、その上に実装されているプリント回路基板(12)を含む。試験ゾーンは、対象の被検物質が存在する(または、必要に応じて、存在しない)際に、標識試薬がその中に蓄積するゾーンである。この蓄積は、その反射率または透過率など、試験紙(16)の光学的特性に影響を及ぼし、その特性は、LED/フォトダイオードの配列の使用により測定可能である。したがって、フォトダイオードは、試験ゾーン内に蓄積された標識の量に関係している出力電流の大きさを生成する。
【0049】
分析組立部(10)はまた、ディスプレイ(6)が筺体(2)に取り付けられた場合、それにパワーを供給するために、電気的パワー源(ボタンセル18)を備える。ディスプレイ(6)は、筺体(2)内に設けられる適切な形状および寸法の開口部内に、クリップ(8)を保持することによって筺体に解放可能なように取り付けられる。加えて、溝部(20)は、筺体の上部に設けられ、その溝部の中に、ディスプレイ(6)のわずかにフランジ状の部分が筺体(2)の開口端部から摺動移動することによって導入可能である。正確に位置付けられた場合には、ディスプレイ上の電気コネクタが筺体上に設けられた電気コネクタ(22)と接触するようになり、それにより、ディスプレイ(6)と分析組立部(10)との間の電気的接触が確実になる。
【0050】
分析組立部(10)は、データ記憶バッファ、アナログからデジタルへの変換器(ADC)、およびマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含む信号変換構成要素(24)を備える。ディスプレイ(6)は、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラからの出力に応答する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明による統合分析装置と読取り機、および取付けディスプレイの一実施形態の概略図である。
【図2】取り付けられたディスプレイと共に、図1に示す装置の概略図である。
【図3】図2に示す装置の実施形態の平面図である。
【図4】(取り付けられたディスプレイと共に)図1に示す装置の実施形態の部分的断面の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体サンプルを、分析がその上またはその中で行われる液体のキャリアまたは輸送体と接触させることによって行われる分析の結果を読み取るための分析結果読取り装置であって、液体のキャリアまたは輸送体を受けるレセプタクルと、分析の結果を読み取る読取り機と、分析結果を表示することが可能であるディスプレイを解放可能なように取り付ける解放可能な取付け部とを備える、分析結果読取り装置。
【請求項2】
解放可能なように取り付けられたディスプレイをさらに備える、請求項1に記載の分析結果読取り装置。
【請求項3】
解放可能なように取り付けられたディスプレイがゼロパワーのディスプレイである、請求項2に記載の分析結果読取り装置。
【請求項4】
パワー源をさらに備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の分析結果読取り装置。
【請求項5】
パワー源が電気的パワー源である、請求項4に記載の分析結果読取り装置。
【請求項6】
装置から取り外された場合に、ディスプレイが少なくとも24時間、分析結果または別の表示情報を継続して表示する、請求項1から5のいずれか一項に記載の分析結果読取り装置。
【請求項7】
装置から取り外された場合に、ディスプレイが少なくとも72時間、分析結果または別の表示情報を継続して表示する、請求項6に記載の分析結果読取り装置。
【請求項8】
装置から取り外された場合に、ディスプレイが少なくとも168時間、分析結果または別の表示情報を継続して表示する、請求項6に記載の分析結果読取り装置。
【請求項9】
ディスプレイが双安定液晶ディスプレイ、導電性高分子ディスプレイ、エレクトロクロミック高分子ディスプレイ、またはe−inkディスプレイを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の分析結果読取り装置。
【請求項10】
液体のキャリアまたは輸送体をさらに備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の分析結果読取り装置。
【請求項11】
液体のキャリアまたは輸送体が多孔性である、請求項10に記載の分析結果読取り装置。
【請求項12】
液体のキャリアまたは輸送体が側方流動試験紙を備える、請求項10に記載の分析結果読取り装置。
【請求項13】
少なくとも1つの光源および/または少なくとも1つのフォトダイオードをさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載の分析結果読取り装置。
【請求項14】
マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ、アナログからデジタルへの変換器、およびデータ記憶バッファから成るグループから選択される1つまたは複数の構成要素をさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の分析結果読取り装置。
【請求項15】
液体のキャリアまたは輸送体が結果読取り装置と解放可能なように係合可能であり、分析結果が読み取られると、装置から取り出しまたは取り外し可能である、請求項1から14のいずれか一項に記載の分析結果読取り装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項による分析結果読取り装置を形成する方法であって、筺体内に必要な構成要素を組み立てるステップを含み、筺体が、ディスプレイを解放可能なように取り付ける解放可能な取付け手段を有する、方法。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか一項による分析結果読取り装置を使用して分析を読み取る、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−503528(P2009−503528A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−524589(P2008−524589)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【国際出願番号】PCT/GB2006/002921
【国際公開番号】WO2007/017648
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(302044591)インバーネス・メデイカル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【Fターム(参考)】