説明

ディスプレイを較正する較正システムと方法

【課題】ディスプレイの色を較正する較正システム及び方法を提供する。
【解決手段】較正システムが、第一色空間と第二色空間との間の色転換を行うための転換モデルを作成する。三つの第一目標曲線が定義され、また、転換モデルにより転換が行われ、三つの参照表が作成される。ディスプレイが前記三つの参照表に基づいて較正を行う。これにより、前記ディスプレイの色温度は、各グレースケールに対して、ほぼ一定値になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイの較正システムと方法に関し、特に、ディスプレイの色を較正する較正システムと方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディスプレイ技術が益々進んでおり、平面ディスプレイが大部分の伝統的な陰極線管(CRT)ディスプレイに取って代わる。このような平面ディスプレイのうち、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT−LCD)が最も良く見られているものである。薄膜トランジスタ液晶ディスプレイの他は、プラズマディスプレイと有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイも益々普及している。平面ディスプレイの表示部分は、画素アレーを含み、画素アレーは、通常、マトリックスアレーであり、且つ、駆動器により駆動される。駆動器は、配列された映像データに基づいて、対応する画素を駆動する。よって、駆動器の制御の下で、画素は、特定の時間に特定の色を表示することができる。しかし、肉眼に理想の色が見えるために、画素により表示される色を依然として較正する必要がある(例えば、ガンマ曲線による較正)。
【0003】
図1を参照する。図1は、伝統的な平面ディスプレイにおけるグレースケールと、CIExyY色空間における二つの色値x、yとの関係図である。縦軸は、二つの色値x、yを表し、横軸は、グレースケールを表す。また、曲線260と曲線262は、それぞれ、色値xとyに対応し、且つ、色値xとyは、平面ディスプレイがパターンを表示している時に測定されたものである。各パターンは、対応するグレースケールを有し、且つ、このグレースケールは、図1の横軸の目盛りである。各パターンは、黒色のパターン、灰色のパターン又は白色のパターンであってもよい。例えば、黒色のパターンの対応するグレースケールは0であり、白色のパターンの対応するグレースケールは255であり、灰色のパターンの対応するグレースケールは1〜254である。理想的な状況では、二つの被測定色値x、yは固定値であり、さもなければ、グレースケールに対応する色温度(color temperature)は異なってしまう。言い換えると、被測定色値x、yは非固定値であれば、各グレースケールの色温度も非固定であり、これにより、平面ディスプレイにより表示される色には一致性が欠ける。
【0004】
特許文献1及びそれに対応する特許文献2には、記憶体の容量を節約するよう適当な色再生を行うことができる映像表示装置、映像処理方法及びコンピュータ読み取り可能なインターフェースが開示されている。この映像表示装置は、第一の色修正器を用いて、映像表示装置の特性値に基づく三次元の色修正表を参考することにより、映像表示装置の色の特性と参考色の特性とを比較し、また、入力された映像データに対して予期の色修正を施す。且つ、映像表示装置は、第二の色修正器を用いて、一次元の色修正表を参考することにより、施す環境に基づいてレイヤーを修正し、また、入力された映像データに対して予期の色修正を施す。
【0005】
特許文献3及びそれに対応する特許文献4には、色較正の方法が開示されており、この色較正の方法は、色測定システムにより、表示器に表示される光源の複数組のグレースケール値及びグレースケール表現値をそれぞれ選択し、各色の光の選択データのそれぞれに対して数値計算を行い、各区間内のグレースケール値のデータと曲線適合(curve fitting)する適合曲線関数を求め、そして、この適合曲線関数を用いて区間内のグレースケール値の適合グレースケール表現値を獲得して対照表を作成し、また、正規化された映像のグレースケールデータのガンマ曲線を、予め設定された目標曲線に対応させるために、対応させる時には、先ず、二つの曲線を対数化し、前述の対照表により、修正されたグレースケール信号を求め、そして、表示器がグレースケールの分布状態を呈するようこの修正されたグレースケール信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】台湾特許第I231715号公報
【特許文献2】米国特許第7079155号明細書
【特許文献3】台湾特許第I283852号公報
【特許文献4】米国特許第7375854号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ディスプレイを較正する方法を提供し、特に、ディスプレイが各グレースケールを表示するときにおける色温度を実質的に一定値に維持する方法を提供することにある。
【0008】
本発明のもう一つの目的は、ディスプレイの色を較正するシステムを提供し、特に、ディスプレイが各グレースケールを表示するときにおける色温度を実質的に一定値に維持するシステムを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的と利点については、本発明に開示される技術的特徴から更なる理解を得ることができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の一又は部分又は全部の目的若しくは他の目的を達成するために、本発明の一実施例において、ディスプレイを較正する方法が提供される。この方法は、ディスプレイが三つの原色映像データ集に基づいて三つの原色パターンを表示するときに、測定ユニットを用いてディスプレイを測定し、三つの第一測定データ集を生成するステップと、ディスプレイが黒色映像データ集に基づいて黒色パターンを表示するときに、測定ユニットを用いてディスプレイを測定し、第二測定データ集を生成するステップと、処理ユニットを用いて、三つの第一測定データ集、第二測定データ集、三つの原色映像データ集及び黒色映像データに基づいて、転換モデルを作成するステップと、ディスプレイが複数の灰色映像データ集に基づいて複数のグレースケールパターンを表示するときに、測定ユニットを用いてディスプレイを測定し、複数の第三測定データ集を生成するステップと、処理ユニットを用いて、第二測定データ集と第三測定データ集に基づいて、三つの第一原生表示曲線を作成するステップと、転換モデルを用いて、三つの第一原生表示曲線を三つの第二原生表示曲線に転換するステップと、処理ユニットを用いて、三つの最終目標曲線を定義するステップと、処理ユニットを用いて、三つの最終目標曲線と三つの第二原生表示曲線に基づいて、三つの参照表(lookup table)を作成するステップと、入力映像データ集を処理ユニットに提供するステップと、三つの参照表に基づいて、入力映像データ集を較正映像データ集に転換するステップと、較正映像データ集に基づいて、較正映像をディスプレイに表示するステップと、を含む。
【0011】
本発明の一実施例において、ディスプレイを較正する較正システムが提供される。この較正システムは、測定ユニット及び処理ユニットを含む。測定ユニットは、ディスプレイが複数の映像データ集に基づいて複数のパターンを表示するときに、ディスプレイを測定し、複数の測定データ集を生成する。処理ユニットは、測定ユニットにカップリングされ、転換モデル及び三つの参照表を作成する。そのうち、処理ユニットは、三つの第一測定データ集、一つの第二測定データ集、三つの原色映像データ集及び一つの黒色映像データ集に基づいて、転換モデルを作成し、そのうち、ディスプレイが三つの原色映像データ集に基づいて三つの原色パターンを表示するときに、測定ユニットは、ディスプレイを測定することにより、三つの第一測定データ集を生成し、且つ、ディスプレイが黒色映像データ集に基づいて黒色パターンを表示するときに、測定ユニットは、ディスプレイを測定することにより、第二測定データ集を生成し、そのうち、処理ユニットは、転換モデルを用いて、三つの第一原生表示曲線を三つの第二原生表示曲線に転換させ、処理ユニットは、第二測定データ集及び複数の第三測定データ集に基づいて、三つの第一原生表示曲線を作成し、且つ、ディスプレイが複数の灰色映像データ集に基づいて複数のグレースケールパターンを表示するときに、測定ユニットは、ディスプレイを測定することにより、複数の第三測定データ集を生成し、そのうち、処理ユニットは、三つの最終目標曲線を定義し、且つ、処理ユニットは、三つの最終目標曲線及び三つの第二原生表示曲線に基づいて、三つの参照表を作成し、処理ユニットは、三つの参照表に基づいて、入力映像データ集を較正映像データ集に転換し、且つ、処理ユニットは、較正映像データ集をディスプレイに出力し、ディスプレイに、較正映像データ集に基づいて較正映像を表示させる。
【0012】
本発明の一実施例において、前述の処理ユニットは、信号生成器を有し、この信号生成器は、ディスプレイにカップリングされ、映像データ集をディスプレイに出力する。
【0013】
本発明の一実施例において、前述の三つの原色映像データ集は、それぞれ、赤色映像データ集、緑色映像データ集及び青色映像データ集であり、且つ、三つの原色パターンは、それぞれ、赤色パターン、緑色パターン及び青色パターンであり、ディスプレイは、赤色映像データ集に基づいて赤色パターンを表示し、ディスプレイは、緑色映像データ集に基づいて緑色パターンを表示し、且つ、ディスプレイは、青色映像データ集に基づいて青色パターンを表示する。
【0014】
本発明の一実施例において、前述の各灰色映像データ集は、第一色サブセット、第二色サブセット及び第三色サブセットを有し、且つ、第一色サブセット、第二色サブセット及び第三色サブセットの三つの画素値が等しい。
【0015】
本発明の一実施例において、前述の処理ユニットは、三つの第二目標曲線を標準化することにより、三つの最終目標曲線を求め、処理ユニットは、転換モデルを用いて、三つの第一目標曲線を三つの第二目標曲線に転換する。
【0016】
本発明の一実施例において、前述の処理ユニットは、三つの第二目標曲線の標準レベルと、三つの最大レベルのうち最大値との比に基づいて、三つの第二目標曲線をズーミングすることにより、三つの第二目標曲線を標準化する。
【0017】
本発明の一実施例において、前述の処理ユニットは三つの第一目標曲線のうち二つの第一目標曲線を定義するときに、処理ユニットは三つの第一目標曲線のうち他の第一目標曲線及びCIExyY色空間の三つの色値x、y、zに基づいて定義する。
【0018】
本発明の一実施例において、前述の処理ユニットは、三つの第一原生表示曲線のうち一つの第一原生表示曲線の最大レベルに基づいて、ガンマ曲線をズーミングすることにより、前述の他の第一目標曲線を定義する。
【0019】
本発明の一実施例において、前述の他の第一目標曲線は、CIE 1931 XYZ色空間の刺激値Yの曲線である。
【0020】
本発明の一実施例において、前述の処理ユニットは、転換モデル及び三つの最終目標曲線の三つの最大レベルに基づいて補償比を算出し、且つ、処理ユニットは、この補償比に基づいて、ディスプレイの光源のパワーを増加する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の前述の実施例には、少なくとも以下の一つの利点を有する。転換モデルの作成は、第一色空間と第二色空間との間の色転換を行うためである。転換モデルを用いて、三つの第一目標曲線を定義及び転換することにより、三つの参照表を生成する。参照表に基づいてディスプレイを較正し、これにより、各グレースケールに対して、ディスプレイに表示される色温度は、ほぼ一定値に維持されることができる。
本発明の上述の特徴及び利点をより明らかにするために、以下は実施例を挙げ、図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】従来の平面ディスプレイにおけるグレースケールとCIExyY色空間の二つの色値x、yとの間の関係図である。
【図2】本発明の実施例による較正システムとディスプレイの機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施例によるディスプレイを較正する方法のフローチャートである。
【図4】如何に本発明の一実施例に基づいて、ディスプレイに表示されるテストパターン341〜344を測定することにより、測定データ集351〜354を生成するかを示す図である。
【図5】如何に本発明の一実施例に基づいて、ディスプレイに表示されるテストパターンGP1〜GP255を測定することにより、測定データ集MD1〜MD255を生成するかを示す図である。
【図6A】本発明の一実施例に基づいて、三つの第一原生表示曲線を説明する図である。
【図6B】本発明の一実施例に基づいて、三つの第一原生表示曲線を説明する図である。
【図6C】本発明の一実施例に基づいて、三つの第一原生表示曲線を説明する図である。
【図7A】本発明の一実施例に基づいて、三つの第二原生表示曲線を説明する図である。
【図7B】本発明の一実施例に基づいて、三つの第二原生表示曲線を説明する図である。
【図7C】本発明の一実施例に基づいて、三つの第二原生表示曲線を説明する図である。
【図8A】本発明の一実施例に基づいて、三つの最終目標曲線を説明する図である。
【図8B】本発明の一実施例に基づいて、三つの最終目標曲線を説明する図である。
【図8C】本発明の一実施例に基づいて、三つの最終目標曲線を説明する図である。
【図9】色温度が6500Kでありガンマ値が2.2であるガンマ曲線を固定するときの本発明の例示的実施例を説明する図である。
【図10】如何に本発明の他の実施例に基づいて、三つの最終目標曲線を作成するかを説明する図である。
【図11】本発明の一実施例に基づいて、三つの参照表のうち一つを作成する方法を説明する図である。
【図12】処理ユニットが如何に三つの参照表を用いてディスプレイに対して色較正を行うかを説明する図である。
【図13】本発明の一実施例に基づいて、グレースケールとディスプレイの二つの色値x、yとの間の関係を説明図である。
【図14】本発明の一実施例に基づいて、グレースケールとディスプレイの二つの色値x、yとの間の関係を説明する他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に関わる前述及びその他の技術内容、特点及び効果は、添付された図面を参照しながら、好適な実施例を詳細に説明することによって明らかになる。本発明に言及した方向の用語、例えば、上、下、左、右、前、後などは、添付した図面の方向を参考するためのもののみである。よって、使用された方向の用語は、説明のために用いられ、本発明を限定するためのものでない。
【0024】
図2を参照する。図2は、本発明の一実施例による較正システム280とディスプレイ270の機能ブロック図である。較正システム280は、ディスプレイ270に対して色較正を行うためのものである。ディスプレイ270は、例えば、薄膜液晶ディスプレイ(TFT−LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、或いは陰極線管(CRT)ディスプレイ等である。較正システム280は、測定ユニット282と処理ユニット284を含む。この実施例において、測定ユニット282は、ディスプレイ270の色をセンシングできる映像センシング装置である。例えば、測定ユニット282は、KONICA MINOLTA社製のモデル番号がCA−210であるディスプレイカラー分析器であってもよい。しかし、本発明の測定ユニットは、これに限らない。また、処理ユニット284は、コンピュータ、携帯情報端末(PDA)、或いはセットトップボックス(Set−top box)等であってもよい。処理ユニット284は、測定ユニット282とディスプレイ270にカップリングされ、処理ユニット284は、信号生成器286を含む。信号生成器286は、ディスプレイ270にカップリングされ、且つ、信号生成器286は、映像データ集Sをディスプレイ270に出力し、ディスプレイ270に、受信された出力映像データ集Sに基づいて相関のパターンを表示させる。この実施例において、信号生成器286は、例えば、表示カードである。しかし、本発明は、これに限らない。ディスプレイ270は入力データ集Sに基づいてパターンを表示するときに、測定ユニット282はディスプレイ270を測定し、また、測定データ集Sを生成することができる。この実施例において、映像データ集Sは、RGB色系の映像データであり、且つ、
(外1)


と表示される。パラメータR、G及びBは、それぞれ、映像データ集Sの赤、青、緑色の画素値を表す。また、測定データ集Sは、CIE 1931 XYZ色空間のデータであり、且つ、
(外2)


と表示される。そのうち、パラメータX、Y及びZは、それぞれ、測定データ集Sの三つの刺激値(tristimulus values)X、Y及びZを表す。CIE 1931 XYZ色空間は、国際照明委員会(International Commission on Illumination:CIE)により、西暦1931年に作られたものである。
【0025】
図3を参照する。図3は、本発明の実施例によるディスプレイを較正する方法のフローチャートである。ステップS302において、処理ユニット284は、第一色空間と第二色空間との間に色転換を行うための転換モデル288を作成する。本実施例において、第一色空間は、RGB色空間であり、且つ、RGB色空間は、赤、青、緑色の三原色により定義される。第二色空間は、CIE 1931 XYZ色空間である。しかし、本発明は、これに限らない。例えば、第一色空間と第二色空間は、RGB色空間、Adobe RGB色空間、sRGB色空間、CIE 1931 XYZ色空間、IE xyY色空間、CIE 1960色空間、CIE 1964色空間、及びCIE 1976色空間から選出された二つの異なる色空間であっても良い。本発明の一実施例において、処理ユニット284により、RGB色空間とCIE 1931 XYZ色空間との間において作成された例示的な色転換モデルの数式は、次のように表れる。
【0026】
【数1】


そのうち、パラメータO、O及びOは、それぞれ、映像データ集Sの画素値が赤、青、緑色の三原色に対する偏移量を表す。パラメータC11〜C13、C21〜C23及びC31〜C33は、転換モデル中の転換マトリックス
(外3)


の係数である。
【0027】
図2と図4を参照する。転換モデル288を作成する前に、信号生成器286は、三つの原色映像データ集331〜333をディスプレイ270に伝送し、ディスプレイ270は、受信された三つの原色映像データ集331〜333に基づいて三つの原色パターン341〜343を表示する。三つの原色映像データ集331〜333は、それぞれ、赤色映像データ集331、緑色映像データ集332及び青色映像データ集333である。また、三つの原色パターン341〜343は、それぞれ、赤色映像パターン341、緑色パターン342及び青色パターン343を表す。そのうち、ディスプレイ270は、赤色映像データ集331に基づいて赤色パターン341を表示し、緑色映像データ集332に基づいて緑色パターン342を表示し、また、青色映像データ集333に基づいて青色パターン343を表示する。この実施例において、三つの原色映像データ集331〜333は、RGB色系の映像データ集であり、また、それぞれ、
(外4)


と表示される。三つの原色パターン341〜343は、ディスプレイ270に同期又は順次に表示されることができる。ディスプレイ270に三つの原色パターン341〜343を表示するときに、測定ユニット282を用いてディスプレイ270を測定することにより、三つの第一測定データ集351〜353を生成する。この実施例において、三つの第一測定データ集351〜353は、それぞれ、
(外5)


と表示される。具体的に言えば、ディスプレイ270は赤色パターン341を表示するときに、測定ユニット282は測定データ集
(外6)


を生成し、ディスプレイ270は緑色パターン342を表示するときに、測定ユニット282は測定データ集
(外7)
【0028】


を生成し、且つ、ディスプレイ270は青色パターン343を表示するときに、測定ユニット282は測定データ集
(外8)


を生成する。数式(1)により、三つの原色映像データ集331〜333と三つの第一測定データ集351〜353との間の関係は、次のように表れる。
【0029】
【数2】

【0030】
【数3】

【0031】
【数4】


また、黒色映像データ集334がディスプレイ270に伝送され、ディスプレイ270に、黒色映像データ集334に従って黒色パターン344を表示させる。この実施例において、黒色映像データ集344は、
(外9)


と表示される。ディスプレイ270は黒色パターン344を表示するときに、測定ユニット282はディスプレイ270を測定し、また、第二測定データ集354を生成する。この実施例において、第二測定データ集354は、
(外10)


と表示される。数式(1)により、黒色映像データ集334と第二測定データ集354との間の関係は、次のように表れる。
【0032】
【数5】


測定データ集のパラメータ
(外11)


は、既に知られたものであるので、処理ユニット284は、数式(2)〜(5)に基づいて、パラメータC11〜C13、C21〜C23、C31〜C33、O、O及びOを算出できる。これにより、処理ユニット284は、三つの第一測定データ集351〜353、第二測定データ集354、三つの原色映像データ集331〜333及び黒色映像データ集334に基づいて、転換モデル288を作成する。一つの例示的な転換モデル288は、次のように表れる。
【0033】
【数6】


再び図3を参照する。転換モデル288が作成された後に、処理ユニット284は、ステップS304において、ディスプレイ270の三つの第一原生表示曲線を作成する。ディスプレイ270の三つの第一原生表示曲線を作成する前に、処理ユニット284の信号生成器286は、複数の灰色映像データ集をディスプレイ270に伝送する。図2と図5を参照する。信号生成器286は、複数の灰色映像データ集TP1〜TP255をディスプレイ270に伝送し、これにより、ディスプレイ270は、複数の灰色映像データ集TP1〜TP255に基づいて複数のグレースケールパターンGP1〜GP255を表示する。この実施例において、灰色映像データ集TP1〜Tp255は、RGB色系における映像データであり、且つ、それぞれ、
(外12)


・・・及び
(外13)


と表示される。具体的に言えば、マトリックス
(外14)


の中のパラメータR、G及びBは、それぞれ、映像データ集Sの中の第一色サブセット、第二色サブセット及び第三色サブセットの三つの画素値を表す。そのうち、マトリックス(外15)


の中の符号Rは、赤色の第一色サブセットの画素値を表し、マトリックス
(外16)
【0034】


の中の符号Gは、緑色の第二色サブセットの画素値を表し、且つ、マトリックス
(外17)


の中の符号Bは、青色の第三色サブセットの画素値を表す。また、灰色映像データ集TP1〜TP255は、第一色サブセット、第二色サブセット及び第三色サブセットにある三つの画素値が等しい。例えば、一つ目の灰色映像データ集TP1の三つの画素値は全て1であり、二つ目の灰色映像データ集TP2の三つの画素値は全て2であり、三つ目の灰色映像データ集TP3の三つの画素値は全て3であり、これ以降は、類似する。また、ディスプレイ270は、一つ目の灰色映像データ集TP1に基づいてグレースケールパターンGP1を表示し、二つ目の灰色映像データ集TP2に基づいてグレースケールパターンGP2を表示し、且つ、三つ目の灰色映像データ集TP3に基づいてグレースケールパターンGP3を表示し、これ以降は、類似する。灰色映像データ集TP1〜TP255は、ディスプレイ270に同期又は順次に表示されることができる。ディスプレイ270はグレースケールパターンGP1〜GP255を表示するときに、測定ユニット282はディスプレイ270を測定し、複数の第三測定データ集MD1〜MD255を生成する。ディスプレイ270はグレースケールパターンGP1を表示するときに、測定ユニット282はディスプレイ270を測定することにより、測定データ集MD1を生成し、ディスプレイ270はグレースケールパターンGP2を表示するときに、測定ユニット282はディスプレイ270を測定することにより、測定データ集MD2を生成し、これ以降は、類似する。この実施例において、第三測定データ集MD1〜MD255は、色空間CIE 1931 XYZにおけるデータであり、且つ、それぞれ、
(外18)


・・・及び
(外19)


と表示される。
【0035】
ステップS304において、処理ユニット284は、第二測定データ集
(外20)


と第三測定データ集
(外21)


に基づいてディスプレイ270の三つの第一原生表示曲線を作成する。図6A〜図6Cを参照する。図6A〜図6Cは、本発明の実施例により、三つの第一原生表示曲線361〜363を説明する図である。三つの第一原生表示曲線361〜363の縦軸は、それぞれ、CIE 1931 XYZ色空間の三つの刺激値X、Y及びZを表す。三つの第一原生表示曲線361〜363の横軸は、灰色映像データ集TP1〜TP255のうち一つのグレースケール、又は、黒色映像データ集334のグレースケールに対応する指数を表す。例えば、測定ユニット282は、第n個のグレースケールパターンGPnを測定した後に、測定ユニット282は、第三測定データ集MD1〜MD255のうち対応する一つの第三測定データ集(即ち、第n個の第三測定データ集MDn)を生成し、そのうち、測定データ集MDnは、
(外22)


と表示されることができる。よって、指数n及び測定データ集
(外23)


により、原生表示曲線361のノードA、原生表示曲線362のノードB及び原生表示曲線363のノードCを定位することができる。また、測定データ集
(外24)


により、図6A〜図6Cの原点を決定することができ、且つ、図6A〜図6Cの原点は、それぞれ、(0,X)、(0,Y)及び(0,Z)と表示される。
【0036】
再び図3を参照する。ステップS306において、処理ユニット284は、転換モデル288を用いて、三つの第一原生表示曲線361〜363を三つの第二原生表示曲線に転換する。図7A〜図7Cを参照する。図7A〜図7Cは、本発明の実施例により、三つの第二原生表示曲線371〜373を説明する図である。三つの第二原生表示曲線371〜373の縦軸は、それぞれ、RGB色空間視覚上での画素値R、G及びBを表し、且つ、第二原生表示曲線371〜373の横軸は、RGB色空間の原始画素値R、G及びBを表す。例えば、原生表示曲線371のノードD、原生表示曲線372のノードE及び原生表示曲線373のノードFの対応する原始画素値はnであり、且つ、その同時に、ノードD、ノードE及びノードFは、それぞれ、視覚上での画素値Rn、Gn及びBnにも対応する。転換モデル288により、測定データ集
(外25)


は、
(外26)


に転換されることができる。即ち、
(外27)


である。よって、処理ユニット284は、転換モデル288により、三つの第一原生表示曲線361〜363を三つの第二原生表示曲線371〜373に転換することができる。
【0037】
再び図3を参照する。ステップS308において、処理ユニット284により、三つの最終目標曲線381〜383を定義する。ディスプレイ270の色較正が終わった後に、前述の三つの最終目標曲線381〜383は、較正後のディスプレイ270の大抵の特性を表示するために用いられることができる。図8A〜図8Cの横軸は、それぞれ、赤、緑、青色の入力画素値を表し、且つ、図8A〜図8Cの縦軸は、それぞれ、ディスプレイ270の視覚上で表示される赤、緑、青色の画素値を表す。
【0038】
本発明の実施例において、処理ユニット284は、三つの最終目標曲線381〜383を定義するときに、先ず、処理ユニット284は、三つの第一目標曲線を三つの第二目標曲線に転換し、それから、処理ユニット284は、三つの第二目標曲線を標準化し、これにより、三つの最終目標曲線を得る。図9を参照する。処理ユニット284は、三つの第一目標曲線391〜393を三つの第二目標曲線401〜403に転換し、その後、処理ユニット284は、三つの第二目標曲線401〜403を標準化し、これにより、三つの最終目標曲線381〜383を得る。三つの第一目標曲線391〜393は、色較正後のディスプレイ270が呈する三つの刺激値X、Y及びZを表す。本実施例において、第一目標曲線392は、ガンマ曲線(gamma curve)から転換されてきたものである。例えば、ガンマ値が2.2であるガンマ曲線は、次のように定義される。
【0039】
【数7】


そのうち、VINは、ガンマ曲線の入力であり、VOUTは、ガンマ曲線の出力であり、0≦VIN≦1、且つ、0≦VOUT≦1である。
【0040】
この実施例において、処理ユニット284は、第一特性表示曲線362の最大値に基づいて、ガンマ曲線をズーミングすることにより、第一目標曲線392を定義する。そのうち、第一特性曲線362は、第一目標曲線392に対応し、且つ、第一目標曲線392は、次のように現れる。
【0041】
【数8】


この実施例において、Yt255は、特性表示曲線362の刺激値Yの最大値(即ち、Yt255=Y255)に等しく、nは指数の値を表し、Ytは、指数がnに等しいときに、第一目標曲線392の対応する刺激値Yを表す。
【0042】
処理ユニット284は、第一目標曲線392を定義した後に、処理ユニット284は、第一目標曲線392と三つのCIE xyY色空間の色値x、y、zに基づいて、その他の二つの第一目標曲線391と393を定義する。CIE xyY色空間の規格により、三つの色値x、y、zは、それぞれ、次のように表れる。
【0043】
【数9】

【0044】
【数10】

【0045】
【数11】


よって、刺激値XとZは、次のように表れる。
【0046】
【数12】

【0047】
【数13】


この実施例において、ディスプレイ270に一致の色温度を持たせるために、色値x、y、zは、固定値を要する。色値x、y、zは固定値であるので、その他の二つの第一目標曲線391と393は、それぞれ、次のように表れる。
【0048】
【数14】

【0049】
【数15】


処理ユニット284は三つの第一目標曲線391〜393を定義した後に、処理ユニット284は転換モデル288を再び用いて三つの第一目標曲線391〜393を三つの第二目標曲線401〜403に転換する。よって、図9の三つの第二目標曲線401〜403の画素値Rt、Gt及びBtは、次の式により算出できる。
【0050】
【数16】


なお、三つの第二目標曲線401〜403の最大値は、255(即ち、RGB色系の標準レベル)より大きくなる可能性がある。この場合は、前述の標準レベルに合わせるよう三つの第二目標曲線401〜403がズーミングされることができる。処理ユニット284により三つの第二目標曲線401〜403をズーミングする前に、処理ユニット284においてズーミング比が定義される。本実施例において、前述のズーミング比は、前述の標準レベルが三つの第二目標曲線401〜403の三つの最大レベルのうち最大値に対する比と等しい。例えば、この実施例において、三つの第二目標曲線401〜403の最大レベルは、それぞれ、265、255及び240であれば、三つの第二目標曲線401〜403の最大レベルのうち最大値は、265である。標準レベルは255(即ち、2−1)であるので、ズーミング比は、255/265である。具体的に言えば、三つの最終目標曲線381〜383は、それぞれ、次のように表われる。
【0051】
【数17】

【0052】
【数18】

【0053】
【数19】


そのうち、パラメータRは、前述のズーミング比を表す。
【0054】
図9は、色温度が6500Kに固定され、且つ、ガンマ曲線のガンマ値が2.2に固定される時における本発明の例示的な一実施例を示す図である。本発明の他の実施例において、処理ユニット284は、ディスプレイ270の色較正への様々な需要に基づいて、様々の三つの最終目標曲線を作成できる。例えば、ディスプレイ270は、特殊なディスプレイであって良く、ディスプレイ270は、医学デジタル映像と通信(Digital Imaging and Communications in Medicine, DICOM)の規格を満たしても良い。図10を参照する。図10は、DICOMディスプレイの三つの第一目標曲線411〜413を説明する図である。処理ユニット284は、転換モデル288を用いて三つの第一目標曲線411〜413を三つの第二目標曲線421〜423に転換し、それから、前述のズーミング比に基づいて、三つの第二目標曲線421〜423に対してズーミングを行う。この実施例において、ズーミング比は、255/336である。図10において、三つの第二目標曲線421〜423の画素値Rt′、Gt′及びB′tは、次の式により算出できる。
【0055】
【数20】


また、三つの最終目標曲線431〜433は、それぞれ、次のように表れることができる。
【0056】
【数21】

【0057】
【数22】

【0058】
【数23】


そのうち、パラメータR′は、本実施例のズーミング比を表す。
【0059】
再び図2と図3を参照する。三つの最終目標曲線を作成した後に、処理ユニット284は、三つの最終目標曲線及び三つの第二原生表示曲線に基づいて、三つの参照表291〜293を作成する。例えば、図7A〜図7C及び図9の実施例において、処理ユニット284は、三つの最終目標曲線381〜383及び三つの第二原生表示曲線371〜373に基づいて、三つの参照表291〜293を作成する。具体的に言えば、処理ユニット284は、最終目標曲線381と第二原生表示曲線371に基づいて、第一参照表291を作成し、処理ユニット284は、最終目標曲線382と第二原生表示曲線372に基づいて、第二参照表292を作成し、且つ、処理ユニット284は、最終目標曲線383と第二原生表示曲線373に基づいて、第三参照表293を作成する。前述の三つ参照表291〜293は、それぞれ、ディスプレイ270の赤、緑、青色を較正するときに用いられる。図11は、本発明の実施例により、三つの参照表291〜293のうち一つを作成することを説明する図である。図11において、三つの最終目標曲線381〜383のうち一つは、図の右側に描かれ、三つの第二原生表示曲線371〜373のうち一つは、図の中間に描かれ、且つ、処理ユニット284により作成された対応参照表は、図の左側に描かれる。図11は、入力画素値と最終目標曲線の表示画素値との間の対応関係を説明する。図11の参照表、第二原生表示曲線及び最終目標曲線は、全て、同じ色(例えば、赤、緑、青色)に対応する。図11に示す最終目標曲線によれば、入力画素値は130であるときには、その対応する表示画素値は102である。また、図11に示すように、表示画素値102に対応する第二原生表示曲線の較正画素値は128である。これにより、処理ユニット284は、参照表に、入力画素値130と較正画素値128との間の関係を作成できる。同様に、処理ユニット284は、参照表に、より多くの入力画素値と較正画素値との間の関係を作成できる。入力画素値と較正画素値との間の関係は三つの参照表において作成された後に、処理ユニット284は、三つの参照表に基づいて、受信された入力映像データ集を較正映像データ集に転換する。
【0060】
図12を参照する。処理ユニット284は、入力映像データ集Sinを受信した後に、処理ユニット284は、三つの参照表291〜293に基づいて、入力映像データ集Sinを較正映像データ集Scbに転換する。較正映像データ集Scbは、ディスプレイ270へ伝送されることができ、これによって、ディスプレイ270に、較正映像データ集Scbに基づいて較正映像440を表示させる。
【0061】
図13を参照する。図13は、本発明の実施例により、グレースケールとディスプレイ270の二つの色値x、yとの間の関係を説明する図である。そのうち、縦軸は、それぞれ、色値x、yを表し、横軸は、グレースケールを表す。また、曲線450は、色値yに対応し、且つ、曲線452は、色値xに対応する。図に示すように、この二つの色値x、yは、ほぼ一致値に維持される。よって、ディスプレイ270の各グレースケールの色温度は、実質的に固定されるものである。
【0062】
図14を参照する。図14は、本発明の一実施例により、グレースケールとディスプレイ270の二つの色値x、yとの間の関係を説明するもう一つの例示的な図である。縦軸は、二つの色値x、yを表し、且つ、横軸は、グレースケールを表す。また、曲線460は、色値yに対応し、曲線462は、色値xに対応する。この二つの色値x、yは、ほぼ一定値に維持され、これによって、ディスプレイ270の各グレースケールの色温度は、実質的に固定されるものである。
【0063】
再び図2を参照する。本発明の実施例において、ディスプレイ270は、光源272を有する液晶ディスプレイ(LCD)である。光源272は、バックライトモジュールである。ディスプレイ270がオンになるときに、このバックライトモジュールは、バックライトをディスプレイ270に提供する。数式(17)〜(19)又は(21)〜(23)に基づいて処理ユニット284によりズーミングされた(即ち、標準化された)三つの第二目標曲線401〜403又は421〜423は、その画素値(Rf、Gf、Bf)又は(Rf′、Gf′、Bf′)が、画素値(Rt、Gt、Bt)又は(Rt′、Gt′、Bt′)より小さい。よって、ディスプレイ270に表示される映像は、ユーザが見たい映像よりも黒くなる可能性がある。表示される映像と、ユーザが見たい映像との輝度の差を補償するために、処理ユニット284は、バックライトモジュール272のパワーを上げるために、制御信号Scをバックライトモジュール272に伝送する。これにより、ディスプレイ270に表示される映像は、明るくなり、ユーザのニーズを満たすことができる。
【0064】
本発明の実施例において、処理ユニット284は、三つの最終目標曲線の三つの最大レベルに基づいて、制御信号Scを生成する。図9を参照する。三つの最終目標曲線381〜383の三つの最大レベルは、例えば、255、245及び231であれば、数式(1)により、三つの最終目標曲線381〜383の三つの最大レベルと、三つの対応する刺激値(X、Y、Z)との間の関係は、次のように表われることができる。
【0065】
【数24】


この実施例において、三つの最終目標曲線381〜383の三つの最大レベルは、例えば、255、245及び231であり、三つの対応する刺激値(X、Y、Z)は、例えば、146、161及び85である。これにより、処理ユニット284は、
(外28)


(即ち、
(外29)


である補償比を得ることができる。具体的に言えば、補償比は、刺激値Yに関係する。処理ユニット284は、補償比
(外30)


に基づいて制御信号Scを生成し、これにより、ディスプレイ270に表示される映像の輝度は、バックライトモジュール272のパワーの増加により高くなる。バックライトモジュール272のパワーが増加した後に、ディスプレイ270の刺激値YはY255と等しく、且つ、ディスプレイ270に表示される映像に充分な輝度を持たせ、また、ユーザに見たい映像が見えるようになる。
【0066】
同様に、図10において、三つの最終目標曲線431〜433の三つの最大レベルに対応する三つの刺激値(X′、Y′、Z′)も、数式(1)により、求められる。即ち:
【0067】
【数25】


この場合、刺激値Y′は、135.97と等しいので、補償比は、
(外31)


(即ち、
(外32)


と等しい。よって、ディスプレイ270に表示される映像と、ユーザが見たい映像との間の輝度の差は、補償比
(外33)


により補償されることができる。
【0068】
以上のことを総合すれば、本発明の前述の実施例は、少なくとも、以下の一つの利点を有する。本発明の前述の実施例において、転換モデルを作成し、この転換モデルにより第一色空間と第二色空間との間の色転換が行われる。また、三つの第一原生表示曲線は、測定データ集に基づいて作成される。そのうち、前述の測定データ集は、ディスプレイが三つの原色パターン、黒色パターン及び複数のグレースケールパターンを表示するときに、測定ユニットによりディスプレイを測定することにより得られる。その後、前述の転換モデルにより、三つの第一原生表示曲線は三つの第二原生表示曲線に転換され、さらに、前述の三つの第二原生表示曲線により、ディスプレイが前述の第二色空間における色特性を作成する。その後、三つの最終目標曲線及び三つの第二原生表示曲線により、三つのディスプレイの色較正用参照表を作成し、また、前述の三つの参照表によりディスプレイを較正し、これによって、ディスプレイの各グレースケールの色温度にほぼ一定値を持たせることができる。また、ディスプレイの光源(例えば、バックライトモジュール)のパワーは補償比に基づいて調整されることができ、これによって、ディスプレイに表示される映像と、ユーザが見たい映像との間の輝度の差を補償することができる。
【0069】
本発明は、前述した好適な実施例に基づいて以上のように開示されたが、前述した好適な実施例は、本発明を限定するためのものでなく、当業者は、本発明の精神と範囲を離脱しない限り、本発明に対して些細な変更と潤色を行うことができるので、本発明の保護範囲は、添付した特許請求の範囲に定まったものを基準とする。また、本発明の何れの実施例又は特許請求の範囲は、本発明に開示された全ての目的又は利点又は特徴を達成する必要がない。また、要約の部分と発明の名称は、文献の検索を助けるためのみのものであり、本発明の権利範囲を限定するものでない。
【符号の説明】
【0070】
260 CIExyY色空間の色値x
262 CIExyY色空間の色値y
270 ディスプレイ
272 光源
280 較正システム
282 測定ユニット
284 処理ユニット
286 信号生成器
288 転換モデル
291 第一参照表
292 第二参照表
293 第三参照表
331 赤色映像データ集
332 緑色映像データ集
333 青色映像データ集
334 黒色映像データ集
341 赤色パターン
342 緑色パターン
343 青色パターン
344 黒色パターン
351 第一測定データ集
352 第一測定データ集
353 第一測定データ集
354 第二測定データ集
361〜363 第一原生表示曲線
371〜373 第二原生表示曲線
381〜383、431〜433 最終目標曲線
391〜393、411〜413 第一目標曲線
401〜403、421〜423 第二目標曲線
440 較正映像
450、452、460、462 曲線
Sc 制御信号
出力映像データ集
測定データ集
S302〜S312 フローチャートステップ
TP1〜TP255 灰色映像データ集
MD1〜MD255 第三測定データ集
GP1〜GP255 グレースケール
〜X255、Y〜Y255、Z〜Z255:CIE 1931 XYZ色空間の刺激値
、G、B:RGB色空間の視覚上での画素値
Xt、Yt、Zt:刺激値
Rt、Gt、Bt:三原色画素値
in:入力映像データ集
cb:較正映像データ集

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイを較正する方法であって、
前記ディスプレイは三つの原色映像データ集に基づいて三つの原色パターンを表示するときに、測定ユニットにより前記ディスプレイを測定し、三つの第一測定データ集を生成するステップと、
前記ディスプレイは黒色映像データ集に基づいて黒色パターンを表示するときに、前記測定ユニットにより前記ディスプレイを測定し、第二測定データ集を生成するステップと、
処理ユニットにより、前記三つの第一測定データ集、前記第二測定データ集、前記三つの原色映像データ集及び前記黒色映像データに基づいて、転換モデルを作成するステップと、
前記ディスプレイは複数の灰色映像データ集に基づいて複数のグレースケールパターンを表示するときに、前記測定ユニットにより前記ディスプレイを測定し、複数の第三測定データ集を生成するステップと、
前記処理ユニットにより、前記第二測定データ集と前記第三測定データ集に基づいて三つの第一原生表示曲線を生成するステップと、
前記転換モデルにより、前記三つの第一原生表示曲線を三つの第二原生表示曲線に転換するステップと、
前記処理ユニットにより、三つの最終目標曲線を定義するステップと、
前記処理ユニットにより、前記三つの最終目標曲線及び前記三つの第二原生表示曲線に基づいて三つの参照表を作成するステップと、
前記処理ユニットに入力映像データ集を提供するステップと、
前記三つの参照表に基づいて、前記入力映像データ集を較正映像データ集に転換するステップと、
前記較正映像データ集に基づいて、較正映像を前記ディスプレイに表示するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記三つの原色映像データ集は、それぞれ、赤色映像データ集、緑色映像データ集及び青色映像データ集であり、且つ、前記三つの原色パターンは、それぞれ、赤色パターン、緑色パターン及び青色パターンであり、前記ディスプレイは、前記赤色映像データ集に基づいて前記赤色パターンを表示し、前記ディスプレイは、前記緑色映像データ集に基づいて前記緑色パターンを表示し、且つ、前記ディスプレイは、前記青色映像データ集に基づいて前記青色パターンを表示する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の灰色映像データ集の各々は、第一色サブセット集、第二色サブセット集及び第三色サブセット集を有し、且つ、前記第一色サブセット集、前記第二色サブセット集及び前記第三色サブセット集の三つの画素値は、等しい、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記処理ユニットにより、前記三つの最終目標曲線を定義するステップは、
前記処理ユニットにより、三つの第二目標曲線を標準化し、前記三つの最終目標曲線を得るステップと、
前記転換モデルにより、三つの第一目標曲線を前記三つの第二目標曲線に転換するステップと、
を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記処理ユニットは、前記三つの第二目標曲線の標準レベルと、三つの最大レベルのうち最大値との間の比に基づいて、前記三つの第二目標曲線をズーミングし、前記三つの第二目標曲線を標準化する、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記処理ユニットは、前記三つの第一目標曲線のうち二つの第一目標曲線を定義するときは、前記処理ユニットは、前記三つの第一目標曲線のうち他の第一目標曲線及びCIE xyY色空間の三つの色値x、y、zに基づいて定義する、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記処理ユニットは、前記三つの第一原生表示曲線のうち一つの第一原生曲線の最大レベルに基づいてガンマ曲線をズーミングし、前記他の第一目標曲線線を定義する、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記他の第一目標曲線は、CIE 1931 XYZ色空間の刺激値Yの曲線である、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、さらに、
前記転換モデル及び前記三つの最終目標曲線の三つの最大レベルに基づいて補償比を算出するステップと、
前記補償比に基づいて前記ディスプレイの光源のパワーを上げるステップと、
を含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項10】
ディスプレイを較正する較正システムであって、
前記ディスプレイは複数の映像データ集に基づいて複数のパターンを表示するときに、前記ディスプレイを測定し、複数の測定データ集を生成する測定ユニットと、
前記測定ユニットにカップリングされ、転換モデル及び三つの参照表を作成する処理ユニットと、
を含み、
前記処理ユニットは、三つの第一測定データ集、一つの第二測定データ集、三つの原色映像データ集及び一つの黒色映像データに基づいて、前記転換モデルを作成し、そのうち、前記ディスプレイは前記三つの原色映像データ集に基づいて三つの原色パターンを表示するときに、前記測定ユニットは前記ディスプレイを測定し、前記三つの第一測定データ集を生成し、且つ、前記ディスプレイは前記黒色映像データ集に基づいて黒色パターンを表示するときに、前記測定ユニットは前記ディスプレイを測定し、前記第二測定データ集を生成し、
前記処理ユニットは、前記転換モデルにより、三つの第一原生表示曲線を三つの第二原生表示曲線に転換し、前記処理ユニットは、前記第二測定データ集及び複数の第三測定データ集に基づいて前記三つの第一原生表示曲線を作成し、且つ、前記ディスプレイは複数の灰色映像データ集に基づいて複数のグレースケールパターンを表示するときに、前記測定ユニットは前記ディスプレイを測定し、前記複数の第三測定データ集を生成し、
前記処理ユニットは、三つの最終目標曲線を定義し、且つ、前記処理ユニットは、前記三つの最終目標曲線及び前記三つの第二原生表示曲線に基づいて前記三つの参照表を作成し、及び、
前記処理ユニットは、前記三つの参照表により、入力映像データ集を較正映像データ集に転換し、且つ、前記処理ユニットは、前記較正映像データ集を前記ディスプレイに出力し、前記ディスプレイに、前記較正映像データ集に基づいて較正映像を表示させる、
較正システム。
【請求項11】
前記処理ユニットは、信号生成器を有し、前記信号生成器は、前記ディスプレイにカップリングされ、映像データ集を前記ディスプレイに出力する、
請求項10に記載の較正システム。
【請求項12】
前記三つの原色映像データ集は、それぞれ、赤色映像データ集、緑色映像データ集及び青色映像データ集であり、且つ、前記三つの原色パターンは、それぞれ、赤色パターン、緑色パターン及び青色パターンであり、前記ディスプレイは、前記赤色映像データ集に基づいて前記赤色パターンを表示し、前記ディスプレイは、前記緑色映像データ集に基づいて前記緑色パターンを表示し、且つ、前記ディスプレイは、前記青色映像データ集に基づいて前記青色パターンを表示する、
請求項10に記載の較正システム。
【請求項13】
前記複数の灰色映像データ集の各々は、第一色サブセット集、第二色サブセット集及び第三色サブセット集を有し、且つ、前記第一色サブセット集、前記第二色サブセット集及び前記第三色サブセット集の三つの画素値は、等しい、
請求項10に記載の較正システム。
【請求項14】
前記処理ユニットは、三つの第二目標曲線を標準化し、前記三つの最終目標曲線を求め、前記処理ユニットは、前記転換モデルにより、三つの第一目標曲線を前記三つの第二目標曲線に転換する、
請求項10に記載の較正システム。
【請求項15】
前記処理ユニットは、前記三つの第二目標曲線の標準レベルと、三つの最大レベルのうち最大値との間の比に基づいて、前記三つの第二目標曲線をズーミングし、前記三つの第二目標曲線を標準化する、
請求項14に記載の較正システム。
【請求項16】
前記処理ユニットは前記三つの第一目標曲線のうち二つの第一目標曲線を定義するときは、前記処理ユニットは前記三つの第一目標曲線のうち他の第一目標曲線及びCIE xyY色空間の三つの色値x、y、zに基づいて定義する、
請求項14に記載の較正システム。
【請求項17】
前記処理ユニットは、前記三つの第一原生表示曲線のうち一つの第一原生曲線の最大レベルに基づいてガンマ曲線をズーミングし、前記他の第一目標曲線を定義する、
請求項16に記載の較正システム。
【請求項18】
前記他の第一目標曲線は、CIE 1931 XYZ色空間の刺激値Yの曲線である、
請求項17に記載の較正システム。
【請求項19】
前記処理ユニットは、前記転換モデル及び前記三つの最終目標曲線の三つの最大レベルに基づいて補償比を算出し、且つ、前記処理ユニットは、前記補償比に基づいて前記ディスプレイの光源のパワーを上げる、
請求項14に記載の較正システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−256899(P2010−256899A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88323(P2010−88323)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(510097622)揚泰光電股▲ふん▼有限公司 (1)
【Fターム(参考)】