説明

ディスプレイシステム、多機能装置、及びマシン動作方法

【課題】多機能装置などのオフィス機器での使用に適し、ユーザ及び遠隔カスタマー・サービス・センター間の伝達を容易にするディスプレイシステムを提供する。
【解決手段】ディスプレイシステム12は、ローカル・ユーザ・インタフェース(LUI)を選択的に表示し、LUI上に表示されるタッチ式選択可能な図形オブジェクトに基づいて対応付けられる装置を制御するタッチセンサー式に構成される前面パネル22を有する。後部パネル20は、上記前面パネルを通して視認可能なLUIを選択的に表示するように構成される。スイッチング・コンポーネント58は、前面パネル22と後部パネル20との間でLUIの表示を切り替えるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
例示の実施の形態は、インタラクティブディスプレイに関する。実施の形態では、ユーザと遠隔トラブル・シュータとの間の操作指示上のインタラクションをサポートするためのマルチレイヤーディスプレイとの関連で特定のアプリケーションが見いだされ、それについての特定のアプリケーションとともに記載される。しかしながら、ディスプレイシステムは他のアプリケーションを見出すことを理解されたい。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、コピー機、スキャナ、及びこれらの組み合わせなどの多機能装置(MFD)のような装置のユーザは、いくらかの誘導があればユーザによって対応可能な問題に遭遇することが多く、これにより、保守サービス訪問の必要性を回避する。プリンタの場合、これらは、所望のプリンタ出力を実現するためにユーザ・インタフェース上の動作を識別すること、構成要素を交換するなど機械ハードウェアの問題を解決すること、紙詰まりを直すこと、機械ソフトウェアで問題を解決することを含む。一般に、顧客はカスタマー・サポート・センターに電話して、その問題を遠隔的に解決しようとするために電話でトラブルシューティング・セッションに携わることができる。遠隔トラブル・シュータの作業の一部は、顧客に対しローカル・ユーザ・インタフェース(LUI)上で、問題を解決すると思われる一連の動作を実行するようにガイドすることである。伝達不良は、トラブル・シュータが論理的且つ段階的な指示を提供せず、各ステップが首尾よく実行されたことを確認しない場合に生じることがある。さらに、通信はMFDのディスプレイの能力によって制限され、そのため、トラブル・シュータは、LUI上で顧客をガイドするためのインタラクティブで効果的な方法を提供できないことが多い。
【0003】
装置及びトラブルシューティング資源間の食違いのために遠隔トラブルシューティング動作がさらに複雑化することが見出されている。米国公開特許第2006/0197973号では、装置の共有の仮想表示を通して装置の履歴と状態を遠隔トラブル・シュータに伝達するシステムが提案されている。しかしながら、ユーザがLUI上で動作を実行する必要があるとき、そのユーザは、装置LUIに移って当該動作を実行するために、トラブルシューティング・セッションを終了させなければならない可能性があり、こうして遠隔トラブル・シュータとの通信の利益を失うことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許公開第2006/0197973号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例示の実施の形態は、多機能装置などのオフィス機器での使用に適し、ユーザ及び遠隔カスタマー・サービス・センター間の伝達を容易にするディスプレイを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示の実施の形態の一態様によると、ディスプレイシステムは、ローカル・ユーザ・インタフェース(LUI)を選択的に表示し、LUI上に表示されるタッチ式選択可能な図形オブジェクトに基づいて対応付けられる装置を制御するタッチセンサー式に構成される前面パネルを有する。後部パネルは、上記前面パネルを通して視認可能なLUIを選択的に表示するように構成される。スイッチング・コンポーネントは、前面パネルと後部パネルとの間でLUIの表示を切り替えるように構成される。
【0007】
ディスプレイシステムにおいて、スイッチング・コンポーネントは、ディスプレイシステムが指示モードにあるときにLUIのディスプレイを前面パネルから後部パネルへと切り替え、ディスプレイシステムの通常動作モードが再開されるときLUIのディスプレイを後部パネルから前面パネルへと戻すことができる。
【0008】
指示モードにおいて、前面パネルは、図形要素の下にある後部パネル上のローカル・ユーザ・インタフェースに表示される図形オブジェクトに関する情報を提供する当該図形要素を表示することもできる。
【0009】
図形要素は、ポインタ、境界ボックス、図形オブジェクトの表示の少なくとも1つを含むことができる。
【0010】
指示モードは、図形要素が遠隔サポート・センターから受信された指示に応答して表示されるトラブルシューティング・モードであってもよい。
【0011】
図形要素は、対応付けられる装置を制御するために接触することによって作動可能であってもよい。
【0012】
指示モードは、図形要素が、対応付けられるメモリに記憶されるトレーニングアプリケーションから受信された指示に応答して表示されるトレーニングモードであってもよい。
【0013】
前記ディスプレイシステムは、後部パネル上のディスプレイを制御する第1のディスプレイコントローラ、及び前面パネル上のディスプレイを制御する第2のディスプレイコントローラをさらに有してもよく、上記第1及び第2のディスプレイコントローラがスイッチング・コンポーネントと通信状態にある。
【0014】
前面パネルと後部パネルの少なくとも1つがLCDスクリーンを有する。
【0015】
前面パネルは透明であってもよい。
【0016】
上記前面パネル及び後部パネルは、第1及び第2の離間され重なり合う平行面にそれぞれ配置されていてもよい。
【0017】
後部パネルはフィンガータッチ・データを受信できないこともある。
【0018】
上記前面パネルは、起動されると、スイッチング・コンポーネントが表示されたローカル・ユーザ・インタフェースを前面パネルから後部パネルへと切り替える指示モードを開始するタッチ式作動可能領域をさらに有することもできる。
【0019】
多機能装置は、上記のディスプレイシステムとマーキングエンジンを有し、このマーキングエンジンは、LUIが前面パネル上に表示されるときにLUIに動作可能に接続される。
【0020】
上記多機能装置は、ディスプレイシステムを遠隔サポート・センターにリンクすることができるネットワーク接続をさらに有することもできる。
【0021】
ユーザに指示する方法は、上記のようなディスプレイシステムを提供することと、ディスプレイ装置と遠隔サポート・センタとの接続を開始することと、LUIを後部パネルに切り替えることと、前面パネル上に遠隔サポート・センターからの情報を表示することと、を有することもできる。
【0022】
コンピュータプログラム製品は、コンピュータ上で実行されるとき、コンピュータに上記方法を実行させる有形的媒体コード化指示を有することもできる。
【0023】
例示の実施の形態の別の態様によると、マシンを作動する方法は、ディスプレイシステムのタッチセンサー式前面パネル上にローカル・ユーザ・インタフェースを表示することを有する。このディスプレイシステムは、マシンによって実行される動作を制御するためにマシンに動作可能に接続される。ディスプレイシステムは動作の指示モードをとることができる。ディスプレイが指示モードをとれという要求を受け取ると、この方法は、ローカル・ユーザ・インタフェースをディスプレイシステムの後部パネルに切り替えることを有し、ローカル・ユーザ・インタフェースが前面パネルを介して視認可能であり、前面パネル上に指示を表示する。
【0024】
上記方法において、指示を表示することは、図形要素の下の後部パネル上のLUIに表示される図形オブジェクトに関する情報を提供する当該図形要素を表示することを有することもできる。
【0025】
前面パネルが、図形要素によって示されるもの以外の図形オブジェクトを起動しようとするユーザを表わすタッチデータを生成するとき、上記方法は、エラーを示すユーザに指示を行い、任意選択的にLUIとマシンとの接続を不可能にすることを有することもできる。
【0026】
ディスプレイが指示モードをとるという要求が受け取られると、上記方法は、ディスプレイ装置と遠隔サポート・センターとの接続を開始することと、遠隔サポート・センターからの指示を受け取ることをさらに有し、前面パネル上に指示を表示することが、遠隔サポート・センターから受け取られた指示を表示することを有することもできる。
【0027】
上記方法は、ローカル・ユーザ・インタフェースの表示を遠隔サポート・センターに伝達することをさらに有することもできる。
【0028】
コンピュータプログラム製品は、コンピュータ上で実行されるときに、コンピュータに上記の方法を実行させる有形的媒体コード化指示を有することもできる。
【0029】
例示の実施の形態の別の態様によると、多機能装置とマルチレイヤーディスプレイシステムとの組み合わせが提供される。この組み合わせは、少なくとも1つのマーキングエンジンを有する多機能装置を有する。ディスプレイシステムは、多機能装置の動作を制御するために多機能装置に動作可能に接続される。上記ディスプレイシステムは、タッチセンサー式前面スクリーンと、後部スクリーンを有する。ディスプレイシステムは通常動作モードと指示動作モードを有する。通常動作モードにおいて、前面スクリーンはローカル・ユーザ・インタフェースを表示し、多機能装置を制御するためのユーザタッチデータを受信する。指示モードにおいて、後部スクリーンはローカル・ユーザ・インタフェースを表示し、これは前面スクリーンを介して視認可能であり、前面スクリーンがローカル・ユーザ・インタフェースを作動するための指示を表示する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、例示の実施の形態の一態様によるマルチレイヤーディスプレイを組み込んだ多機能装置の斜視図である。
【図2】図2は、図1のマルチレイヤーディスプレイシステムのディスプレイスクリーンの拡大斜視図である。
【図3】図3は、動作環境における図1の多機能装置とディスプレイシステムの機能ブロック図である。
【図4】図4は、ローカル・ユーザ・インタフェースが多機能装置を制御するために使用される通常動作の際のマルチレイヤーディスプレイシステムの上部パネルの概略図である。
【図5】図5は、ディスプレイスクリーンがトラブルシューティング・セッションの際に指示モードで動作するとき、図2のマルチレイヤーディスプレイスクリーンの視覚表示を共有するユーザ及び遠隔呼出しセンターのトラブル・シュータを示す概略図である。
【図6】図6は、ローカル・ユーザ・インタフェースが背面スクリーンに転送され、図形要素の形式の指示が前面スクリーンに表示される指示モードの、マルチレイヤースクリーンの拡大斜視図である。
【図7】図7は、図3のマルチレイヤーディスプレイシステムを用いて実行され得るトラブルシューティング方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
例示の実施の形態の態様は、多機能装置のような、装置上にマルチレイヤーディスプレイ(MLD)を提供するためのシステム及び方法に関する。MLDシステムは、装置上で動作を実行するためにリアルタイムで段階的指示をユーザ(例えば、顧客)に示すように構成される。例示のシステムは、当該装置を、トラブルシューティングプロセスを向上させるためにスクリーン情報を遠隔トラブル・シュータに伝達するインフラストラクチャとして使用する。例示の実施の形態は、コピー機、プリンタ、ファックシミリ装置、及びこれらの機能の組み合わせを提供する機械などのオフィス機器のユーザのための診断及びカスタマーサービスシステムに関連する特定のアプリケーションに適用される。例示のシステムは、ユーザがMLD上で動作を実行するようにガイドし、このことは、トラブルシューティング・セッションとの関連でローカル・ユーザ・インタフェース上で通常実行されることになる。
【0032】
MLDは、(例えば、装置構成を変化させ、又はローカル・ユーザ・インタフェース(LUI)設定を変化させることによって)装置の(LUI)上でユーザに指示を受け取らせ一連の動作を実行させる。装置上の組み込みMLDスクリーンは、トラブルシューティング・セッション及びLUIセッションの両方を同時に作動させ、トラブルシューティングプロセスを向上させるために、組み込み(背面)スクリーン及びLUI(前面)スクリーンを(直接的又は間接的に)相互に通信させることを可能にする。MLDは、遠隔カスタマートレーニングなどの種々の他の用途を提供することができることは理解されよう。
【0033】
本明細書中に使用されるように、「ユーザ」とは、MLDを直接観察することができる装置のいずれのローカルオペレータ、例えば、印刷機能若しくはスキャン機能を用いる動作を選択するカスタマー、又は、印刷され若しくはファックス送信された文書のレポート及び/若しくは診断レポートを印刷するような管理機能を実行するアドミニストレータなどの別のユーザ、又は、例えば、LUIを使用して、診断チェックの性能を制御するサービスエンジニアである可能性がある。
【0034】
「遠隔トラブル・シュータ」は一般に、遠隔カスタマー・サポート・センター内にいるような、装置から遠隔配置される人間であり、直接観察よりもむしろユーザインタフェースの表示に頼る必要がある。他の実施の形態において、トラブル・シュータは、合成質問に対するユーザ応答を解釈する音声認識ソフトウェアを使用するコンピュータ装置でもよい。
【0035】
本明細書中に使用される「MFD」は、印刷、複写、ファックス送受信、スキャン及び電子メール能力の1つ以上に対して構成される構造を有する電気機械式装置を包含する。一般に、MFDは、印刷媒体上に画像を形成し、その後、印刷された媒体を出力するために、紙などの印刷媒体にインクやトナーなどの1つ以上の着色剤を塗布する少なくとも1つのマーキングエンジンを有する。
【0036】
例示のMLDは、ユーザによるローカルユーザインタフェースの手動作動を介して少なくとも一部が動作可能である。「ローカルユーザインタフェース」又はLUIは概して、MFDなどの装置上の種々の動作を制御するために使用されるユーザインタフェースを意味する。MLDは、例えば、そのパネルの1つに取り付けられて、MFDによって提供されてもよく、例えばMFDに接続されるブラケットに取り付けられたり、若しくはMFD及びLUIがMFDを作動するユーザによって視認可能である程度にMFDに十分に近接して位置決めされたりして、MLDが制御するMFDに近接配置されてもよい。
【0037】
図1は、多機能装置(MFD)10の形式の例示の電気機械装置を示す。装置10は、マルチレイヤーディスプレイ(MLD)システム12のためのホストとして機能する。図2に示されるように、システム12は、離間した第1及び第2のスクリーン若しくはレイヤ16、18を有するマルチレイヤーディスプレイスクリーン14を有し、各レイヤはそこに画像(グラフィックス)を表示するために個別に動作可能である。図3に示されるように、スクリーン16、18は、一対の積み重ねた若しくは重なり合う第1及び第2のディスプレイパネル20、22によって規定され、これらパネルは離間された焦平面を規定する。各パネル20、22は高さh、長さl、幅wを有し、長さと幅は高さよりも大きく、平面状の対向する上下表面を規定する。各パネル20、22は、最外部ディスプレイパネルを介して視認するために表示要素をそこに描画(レンダリング)するように適合される。例示のマルチレイヤーディスプレイスクリーン14は液晶ディスプレイ(LCD)スクリーンであり、パネル20、22はともに透明LCDパネルであるが、一方若しくは両方のパネルが、プラズマスクリーンや陰極線管などの他のディスプレイ技術を利用してもよく、単一のパネルがその上下表面上にスクリーン16、18を設けてもよいことは理解されるものとする。第1の、すなわち後面のパネル20は、第2の前面パネルとは離間され、後者によって覆われている。前面パネル22は、透明な(即ち、いくらかの透過減衰量があるものの、後面パネル20からの光が前面パネル22を通るように十分に透明であるので、ユーザが後面パネル20のレイヤ16上に表示されているものを見ることができる)材料から構成されている。前面パネル22は接触に対して反応する。タッチセンサー式により、パネル22に接触若しくは近接して配置されるユーザの指を検出する、例えば、圧力検出、抵抗や電気容量の変化等の電気的特性の局所変化検出、熱、光又は動作検出等によって、パネル22がユーザの指「タッチ」に応答してタッチデータを生成することが意図される。パネル22は、パネル22上の接触の位置の特定を可能にし、それに基いて装置の動作を制御するこうした接触に応答して指タッチデータ(例えば電気信号)を生成する。後面パネル20は、指によるタッチが利用できず、タッチセンサーである必要はない。
【0038】
図3に示されているように、バックライト24は、ディスプレイ24全体を照明するために後面パネル20の後ろ側に配置される。取り付けシステム26は、前面パネル22及び後面パネル20間に所望の間隔dを維持する。
【0039】
例示の実施の形態において、パネル20、22はそれぞれ下部及び上部のパネルであり、これらはそれぞれ平行水平面において最大寸法(長さ及び幅)で配置されている。しかしながら、ディスプレイスクリーン14は、2つの垂直に積層されたディスプレイパネル20、22に制限されない。たとえば、3つ以上のスクーンが利用されることもある。さらに、例示のマルチレイヤーディスプレイスクリーン14は、パネル20、22が水平に配向された状態で示されているが、ディスプレイスクリーン14が垂直に配向されたり、又は他の向きに配置されたりしてもよく、この場合、第1及び第2のパネル20、22はまた、第1のパネル20が第2のパネル22によってユーザ28から離間された状態で平行面に配置される。
【0040】
図3に示すように、第1のパネル20は、有線又は無線リンク34を介して第1のLCDコントローラ32によって対応可能とされ、これによりパネル20に画像等を表示させる。第2のパネル22は、有線又は無線リンク38を介して第2のLCDコントローラ36によって対応可能とされ、これによりパネル22に、タブ、ボタンなどのユーザ選択可能な図形オブジェクトを有する画像を表示させる。一部の実施の形態において、LCDコントローラ32、36は単一のディスプレイコントローラに結合されることもある。パネル22はまた、リンク42を介して接触認識コンポーネント40と通信し、このコンポーネントは、パネル22から指接触データを受信し、接触した領域に対応するパネルの操作可能な領域を識別する。このようにして、指接触データはLCDコントローラ36に伝達され、後者は、(例えばタブが開かれているときに表示された動作を変化させることによって)接触した領域に基づいて所定の方法で図形を調整する。LCDコントローラ32、LCDコントローラ36、及び接触認識コンポーネント40からの情報がデバイスコントローラ44に伝達され、このコントローラはまた、USBリンク46、48、50などのリンクを介してネットワークコントローラとしての働きもする。ネットワークコントローラ34は、装置10の動作を制御するためにこの情報を使用する。例示のネットワークコントローラ44はまた、インターネットなどの有線若しくは無線リンク54を介して、例えば1つ以上のサーバ・コンピュータ(図示せず)を介して、遠隔カスタマー・サポート・センター52と通信することもできる。
【0041】
動作の通常モードにおいて上部パネル22は、装置10用のディスプレイとしての働きをすることもある。このパネルはLUIを表示し、指接触データを受信し、これによって、ユーザは、動作モード(例えば、複写、印刷、スキャン、ファックス送受信など)を選択し、そのモード内で、適切なオプション、例えばコピー枚数、カラー/黒白、両面/片面、仕上げオブションなどをMFDで利用可能なものから選択し、さらに随意に装置10からデータを取得するなどの、装置10の種々の動作を制御できる。ディスプレイはまた、第2の動作モードを有し、これは、指示動作モードと称され、一実施の形態においてトラブルシューティングに使用される。マルチレイヤーディスプレイ14が指示動作モードにおいて動作しているとき、ネットワークコントローラ44の制御を受けているソフトウェア・スイッチング・コンポーネント58が前面パネル22から後面パネル20へとLUIディスプレイを切り替える。
【0042】
ディスプレイシステム12の処理コンポーネント32、36、40、58は、ソフトウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせの形式であってもよい。一実施の形態において、これらはソフトウェアコンポーネントであり、1つ以上の計算装置62のコンピュータメモリに記憶され、バス64によってメモリ60に通信可能にリンクされる1つ以上のプロセッサ62によって実行される。計算装置62は、MFDのディジタルフロントエンドとして知られているもの又は別個の計算装置であってもよい。ネットワークコントローラ44はまた、メモリ60などのメモリに記憶されるソフトウェアコンポーネントでもあり、プロセッサ62や別個のプロセッサによって実行されてもよい。スイッチングコンポーネント58がネットワークコントローラとは別個のコンポーネントであるとして図示されているが、ネットワークコントローラ44の一部であってもよい。そのソフトウェア指示は、プロセッサ62又は別個のプロセッサによって実行されることもある。
【0043】
本明細書中で使用される用語「ソフトウェア」は、コンピュータや他のディジタルシステムをソフトウェアの目的であるタスクを実行するように構成するための、コンピュータや他のディジタルシステムによって実行可能な指示の集合若しくは一連の指示を包含することが意図される。本明細書中で使用される用語「ソフトウェア」は、RAM、ハードディスク、光学ディスクなどの記憶媒体に記憶されるこのような指示を包含するように意図され、またROMなどに記憶されるソフトウェアであるいわゆる「ファームウェア」を包含することも意図される。このようなソフトウェアは種々の方法で組織化されてもよく、ライブラリ、遠隔サーバなどに記憶されるインターネットベースのプログラム、ソースコード、解釈コード、オブジェクトコード、直接実行可能コードなどとして組織化されるソフトウェアコンポーネントを有することもある。ソフトウェアがシステムレベル・コードを呼び出し又は特定の機能を実行するためにサーバや他の場所に存在する他のソフトウェアを呼び出すことが意図される。
【0044】
メモリ60は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、磁気ディスクや磁気テープ、光学ディスク、フラッシュメモリ、ホログラムメモリ、又はこれらの組み合わせなどのいずれのタイプのコンピュータ可読媒体を示すこともある。一実施の形態において、メモリ60はランダムアクセスメモリ及び読出し専用メモリの組み合わせを有する。一部の実施の形態では、プロセッサ及びメモリは単一のチップに結合されることもある。
【0045】
遠隔カスタマー・サポート・センター52にいるトラブル・シュータとの音声通信のために、マイクロホン70及びスピーカ72は、有線/無線リンク74、76によってネットワークコンピュータ44にリンクされたり、あるいはまた、例えば電話接続を介してサポートセンター52にリンクされることもある。
【0046】
図4に示されるように、通常動作モードにおいて、ユーザによって制御可能なMFD10の種々の動作は、上部パネル22上のLUI80に表示される。動作のモードを含むオプションは、図示した実施の形態においては、タブ82、84、86、88を開いて、カラーモード(例えば、黒又はカラー)、種々の寸法と重量の紙のなかから選択された1つのような印刷媒体タイプ、及び単純な照合、単一ステープリングやダブルステープリングなどの仕上げモード等のMFDに備えられた操作に相当する1以上のオプションをタッチングによって選択することによって選択可能である。一般に、デフォルト設定はそれぞれの選択可能なオプションに対して設けられる。
【0047】
ユーザ28は、LUI80を介して制御可能なMFD10によって提供される動作のすべてと精通していないこともあり、あるいは、ユーザの要件に適合するLUI上の選択可能なオプションを特定することができないこともある。この時には、ユーザが例えば「コールサポート」ボタン90をタッチングすることによってヘルプオプションを選択することもできる。例示のボタン90は、ヘルプを要求するための、前面パネル22の作動可能領域に対応し、上部スクリーン18上のLUI80に表示される。コールサポートボタン90をタッチングすることにより、接触認識コンポーネント40がタッチデータをネットワークコントローラ44に送信し、これはヘルプ用の要求として解釈される。ネットワークコントローラ44は、遠隔カスタマー・サポート・センター52のサーバーコンピュータ94とリンクが行われるトラブルシューティング・セッシヨンを開始し、図5に示されるように、ユーザ28が、1つ以上のリンク97によってサーバ95にリンクされる遠隔トラブル・シュータ96と通信可能となる。代替方法として、マシン10が問題自体を検出すると、その問題が、通知されるユーザに対し、サポートを呼び出すようにLUI80を介して示されることもある。
【0048】
視聴覚リンク54によって、関連データが転送される安全なデータ接続を介して、カスタマー・サポート・センター56のサーバ94への安全な視聴覚終端間接続が行なわれる。関連データは、以下のいずれか又はすべてを有することもある。即ち、マシンシリアル番号、ユーザID、ユーザがログインされる場合には、例えばユーザ名、及び他の関連情報である。図示した実施の形態においては、ユーザ28と遠隔トラブル・シュータ96間の通信は、発話、例えばヘッドセット72、100(図5)などの個々のマイクロホン70、98及びスピーカを用いてインターネットプロトコル(VoIP)や電話接続による発話によるものである。接続が行われると、ユーザは、例えばディスプレイ14上に表示されるメッセージを介して、ヘッドホンとスピーカーを装着するように指示されることがある。スクリーン上に表示されるキーボードによるテキストの入力によって通信が代替的又は付加的に行われてもよいと考えられる。しかしながら、空間が制限されるMFDの場合には、フルサイズのキーボードに対しスペースがないこともある。
【0049】
図5の実施の形態においては、ディスプレイスクリーン14は、LUI80のディスプレイが下部パネル20に切り替えられた指示モードで示されている。上部パネル22はここで、トラブルシューティング・ユーザインタフェース(TUI)102に情報を表示するために使用される。ネットワークコントローラ44は、ユーザ28及びトラブル・シュータ96が同時にディスプレイ14の表示を共有できるように、ディスプレイ14上に現在何が表示されているかの視覚表示をサポート・センター・サーバ94に伝達する。特に、遠隔トラブル・シュータ96は、ワークステーションのスクリーン108上のように、ユーザ自身のコンピュータ装置106上にLUI80及びTUI102の表示104を表示することができる。上部パネル22上に表示されるTUI102は概してLUI80の修正版であり、ユーザの問題と関連性のある特定の図形オブジェクトのみを表示する。
【0050】
トラブルシューティング・セッションが起動されると、図5に示されるように、LUI80は、(具体的に、LUI80の視覚化110として)背景ディスプレイパネル20に自動的に転送され、パネル22は、現在のトラブルシューティング・セッションのためのTUI102を示すように使用される。ソフトウェアスイッチングモジュール58(図3)は、2つのディスプレイパネル22、20間のLUI80のスイッチを管理する。このように、トラブルシューティング・セッションの間、例えば、正しい位置で適切な動作を実行する正しい方法をユーザに示すインジケータや強調表示領域等のトラブルシューティングに対して示される最小化LUI102を(少なくともいくらかの時間)提供することを除いて、上部パネル22は透明になる。
【0051】
トラブルシューティング・セッションの間、パネル22は遠隔トラブル・シュータ96から情報を伝達するために使用される。たとえば、パネル22上のTUI102が、パネル22上で移動可能な浮上ポインタ112を表示することもある。トラブル・シュータがユーザに作動させることを欲するLUI上のボタンを包囲する、図示された境界要素114などの他の図形要素がTUIに表示されることもあることは理解されよう。図形要素112、114などは、下部スクリーン16上のLUI視覚表示110がそれでも視覚できる半透明画像を形成することもある。
【0052】
ポインタ112の移動は、例えば、カーソル制御装置、キーパッド、キーボード、タッチスクリーン、ジョイスティックなどのワークステーション106上のユーザ入力装置114を使用してユーザ自身のスクリーン108上で同様のポインタや他の図形要素を移動させることによって、遠隔トラブル・シュータによって制御される。このように、例えば、ポインタ112は、タブ82、84、86、88のすぐ上の位置、又は下部パネル20(但しこれは作動不能である)上に同時に表示されている選択可能なボタン上に移動され、一方では、遠隔トラブル・シュータ96はユーザにタブ又はボタンをクリックするように伝える。代替的に又は付加的に、図6に示すように、修正ボタンは、下部スクリーン16上に表示される視覚化LUI110における表示された図形オブジェクトと同一位置に、上部スクリーン18上で選択すべきボタンを視覚化する図形要素120、122を表示することによってTUI102に示されることもある。ユーザの適切な応答は、遠隔トラブル・シュータによって識別されている図形要素114、120、122、例えば視覚化ボタン、に対応する上部パネル22上の作動可能領域にタッチすることである。このようにして、一例として、下部スクリーン16が図6に示されるように、プロモートボタン126などの通常のユーザ作動領域のすべてを示す図形表示を示す一方で、ユーザがタッチするように指示されるボタン120、122のみが上部スクリーン18上に視覚化され、そうでなければ強調表示される。
【0053】
ボタンがユーザによって押されると、下に視覚化されるLUIが上部スクリーン22上にあるのと同じように変化する。例示の実施の形態において、埋設された(下側)スクリーンは遠隔サポート・センター・サーバ94を通して制御される。特に、上部スクリーンのユーザ操作はネットワークコントローラを介して遠隔トラブルシューティング・センターに伝達され、ユーザが正しい動作を実行したかどうかを見るためにトラブル・シュータによって点検されることもある。もし正しい動作を実行していれば、トラブル・シュータはその動作を認証し、遠隔トラブル・シュータはネットワークコントローラに確認を送信する。ネットワークコントローラは遠隔トラブルシューティング・センターから確認を受信し、下部スリーンを変化させ、ユーザが上部スクリーンをタッチすることに対する応答をシミュレートする。他の実施の形態において、上部スクリーンは、直接下部スクリーンと通信し、又はネットワークコントローラを介して通信することもできる。
【0054】
トラブルシューティング・セッションの間に、カスタマー28は、トラブル・シュータ96からの説明を誤解すると、間違ったボタンをクリックすることがある。ユーザが不正確な作動可能領域(例えば「プロモート」ボタン126に対応する領域)を押すと、この情報は、遠隔トラブル・シュータに伝達され、遠隔トラブル・シュータによって、ユーザの誤りを、発話及び/又TUI102上のポインタ112を使用して示され得る。マルチレイヤータッチスクリーン14を使用することによって、LUI80は上部レイヤ18の下に示されフィンガータッチデータを直接取り扱うことができない。不正確なユーザタッチの場合、トラブル・シュータは、顧客が間違ったボタンをクリックすることを防止するために、上部レイヤ18からのデータ転送を一時的に制限することができる。このようにして、マシン10への接続は不可能とされることもあり、MFD10が不正確なユーザの動作に応答しないようにする。
【0055】
たとえば、図6に示すように、ボタン「削除(DELETE)」及び「ホールド(HOLD)」が配置されている位置にタッチングすることが可能とされる。しかしながら、顧客がボタン「プロモート(PROMOTE)」をクリックすると、上部パネル22は、クリック事象がトリガされないように、このフィンガータッチデータをLUI80に転送しない。さらに、顧客が間違ったボタンや間違った領域をクリックすると、トラブル・シュータは、顧客がタッチスクリーン22上で不正確な動作を実行したことを知らせるためにフィードバックを受信することができる。したがって、トラブル・シュータは実行すべき動作を説明する方法を変更することができる。このようにして、顧客とトラブル・シュータとの意思疎通を向上することができる。
【0056】
図7は、例示のトラブルシューティング・セッションのためのトラブルシューティング方法を示す。このセッションはS100から開始し、概してユーザによって(例えばボタン90を押すことによって)、但し一部の例では装置10によって、トラブルシューティング・セッションが起動される。たとえば、ネットワークコントローラ44が新しいユーザを検出し、又はユーザがLUI80上で選択を行うために所定の時間長よりも長く時間がかかったと検出すると、トラブルシューティング・セッシヨンがネットワークコントローラ44によって起動される。
【0057】
S102において、LUI80は、ネットワークコントローラ44からの指示に応じてスイッチングコンポーネント58によって上部レイヤ18(パネル22)から底部レイヤ16(パネル20)に転送される。上部パネル22は、フィンガータッチデータに応答し続ける。
【0058】
S104において、表示されたLUI80に関するスクリーン情報はカスタマー・サポート・センター52に送信される。フォールトトレラント(耐故障性)制御データもまた、上部スクリーン18からカスタマー・サポート・センター52に送信される。たとえば、顧客が上部スクリーンの間違ったボタンをクリックすると、ネットワークコントローラは、障害コードやスクリーン情報を送信することによってこの動作を遠隔トラブル・シュータに通知する。顧客に、上部スクリーン上の情報の表示によってエラーに関する視覚フィードバックが提供されることもある。
【0059】
S106において、ユーザのディスプレイスクリーン14の視覚化104は、例えば、受信データに基づいてトラブル・シュータのディスプレイ108上で、遠隔トラブル・シュータに表示される。
【0060】
S108において、トラブル・シュータは、ユーザのスクリーン情報に基づいて、例えば口頭指示及び/又は図形的指示を行う。
【0061】
S110において、この指示はリンク54を介してユーザに送信され、S112では、ディスプレイの上部レイヤ18上に視覚化される。たとえば、1つ以上の操作図形オブジェクト112、114、120、122はTUI102(修正LUI)上に表示されることもある。
【0062】
こうした指示に応答するユーザからのフィンガータッチデータは、S114において上部パネル22から取得される。ボタンが押されると、後部スクリーン上で視覚化されるLUIは、上部スクリーン22上にあるのと同じように変化する。
【0063】
このサイクルは、トラブルシューティング・セッションが(例えば、トラブル・シュータや自動的時間切れ、又はユーザがボタン90を押すことによって)S116で終了する前に1回以上繰り返されることがある。
【0064】
S118において、LUI80は上部スクリーン18に戻される。
【0065】
この方法はS120で終了する。
【0066】
この方法のステップは、図示された順序ですべてが処理される必要はなく、より少ないステップ、より多くのステップ、又は異なるステップを実行してもよいことは理解されよう。
【0067】
図7に示される方法は、コンピュータ上で実行され得るコントローラプログラム製品で実施されてもよい。コンピュータプログラム製品は、ディスク、ハードドライブなどの、制御プログラムが記録されるコンピュータ可読記録媒体であればよい。コンピュータ可読媒体の通常の形態は、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープや他の磁気記憶媒体、CD−ROM、DVDや他の光学媒体、RAM、PROM、EPROM、フラッシュEPROM、他のメモリチップやカートリッジ、あるいはコンピュータが読み取り使用できる他の具体的な媒体を含む。代替的に、この方法は、制御プログラムが音響波や光波、無線及び赤外線データ通信の際に生成されるものなどの搬送媒体を使用してデータ信号として具現化される送信可能な搬送波において実施され得る。
【0068】
例示の方法は、1つ以上の汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、プログラム化マイクロプロセッサやマイクロコントローラ及び周辺集積回路素子、ASIC若しくは他の集積回路、ディジタル信号プロセッサ、個別素子回路などのハードワイヤード電子回路や論理回路、PLD、PLA、FPGA、PALなどのプログラマブル論理デバイス等上で実施され得る。一般に、図7に示されるフローチャートを実施することができる有限状態機械を実施できるいずれの装置も上記の方法を実施するために使用できる。
【0069】
例示の2層ディスプレイシステム12及び使用方法は、既存のシステムを超える利点を提供する。レイヤ16、18が近接して離間した焦平面を規定するために、ユーザは、頭を動かすことを要求されずに、1つのスクリーンから他のスクリーンに焦点を迅速に変化させることができる。さらに、LUI80の視覚化110上に指示図形を重ね合わせることにより、どのボタンを押す必要があるかを直ちに理解できる。ボタンが押されると、下に視覚化されるLUIは、上部スクリーン22上にあるのと同じように変化する。このように図形画像を重ね合わせることは、層状情報を同化することができるユーザに対して気をそらすものではない。層状情報を見るときに、ユーザの関心は別のものから気をそらすことなく選択されたレイヤに焦点を合わせることができる。これにより、情報は、単一面又は隣り合うスクリーン上にすべてを表示させる場合とは対照的に、2つの深さレベルにわたって分割されるときに、より迅速に探索され、アクセスされ、さらに読み取られることができる。
【0070】
既存の単一層システムにおいては、ダイアログボックスがユーザの関心を引くために領域を強調表示するために表示されることが多い。しかしながら、ダイアログボックスを表示することは、その下にある情報の視覚化を妨げる。隣り合うパネル又は分割スクリーンを、LUI及びダイアログボックスをともに示すために、(空間が許すならば)使用することができるが、このことはそれ自体の問題をもたらすことがある。ユーザは、視角を繰り返し変化させる必要があるだろうし、その際に、他のスクリーン上で示されているものを忘れてしまうことがある。従来のシステムにおいて、ユーザがMFD上のLUIと、トラブルシューティング・セッションに使用されているワークステーション上のスクリーンとの間を移動しなければならない場合、状況がさらに悪化する。というのは、ユーザが自分が見たことや、行うように指示されたことを移動の間に忘れてしまうことがあるからである。さらに、トラブルシューティング・セッションが、ユーザが応答するのに時間が長くかかりすぎると、自動的に時間切れになることがある。
【0071】
例示のMLDパネル20、22は、一次画像の一定のクリアなフルサイズ画像の表示を維持し、必要であれば半透明画像を上に浮かせて設けることによってこうした問題を克服する。ユーザは、新しい情報が表示されていることに直ちに気づくことができ、オリジナル画像の詳細と下側のLUI上の情報を見続けることができる。ユーザは、表示されている詳細に応答し、又は要求されるデータ入力を提供する間、一次画像とのアイコンタントを失うことを求められない。
【0072】
例示のMLD14は、単層装置(SLD)よりも読み取りが容易であり、SLDや分離スクリーン装置SSDよりも理解しやすく、SLDにおけるよりも通信を維持することが容易であり、ユーザの間違いに関するフィードバックをユーザに提供することによって誤りに対してより容易に対処でき、そしてSLDやSSD程にはユーザの思考能力に負担をかけない。さらに、SSDの両方のスクリーンがMFD上に収容されることになる場合には、MFD10上のフットプリントがSSDよりも小さい。
【0073】
MLDシステム12が既存のトラブルシューティングシステムよりも使用し易いことから、トラブルシューティング・セッションにかかる時間を短縮することができ、遠隔カスタマー・サポート・センターを配置することが必要とされるトラブル・シュータの数を減少させる。
【0074】
例示の実施の形態においては、MLDシステム12は、遠隔トラブル・シュータがいるトラブルシューティング・セッションで使用するために記載されているが、その使用はこのようなアプリケーションに制限されない。上述のように、ディスプレイシステム12は2つのモードを有する。1つは指示モード(例えばトラブルシューティング用)であり、その場合には、LUIが下部パネルに切り替えられる。もう1つは通常動作用の通常動作モードであり、その場合には、LUIが上部パネルに切り替えられる。一実施の形態において、ヘルプは「ヘルプ」ソフトウェア・コンポーネントによって提供され、これはメモリ60に記憶されプロセッサ62によって実行され、又は例えばインターネットを介して遠隔的にアクセスされることもある。この実施の形態において、ユーザは、遠隔トラブル・シュータとのインタラクションと同様にしてソフトウェア・コンポーネントによってガイドされるが、この場合、ソフトウェアがTUIを生成し、テキスト又は音声合成指示を提供する。指示モードにおけるMLDシステム12は、また、カスタマートレーニングに使用される。ユーザは、上部パネル22上にコメントが表示されるディスプレイ14上でトレーニングプログラムを視認し得る一方で、コンポーネントが下側に表示されている。このトレーニングプログラムは、装置10に配置された対応付けられるメモリにソフトウェアとして記憶された、または、例えばインターネットを介して遠隔アクセスされるトレーニングアプリケーションによって生成されてもよい。コンポーネントがLUI80であるとき、ユーザには、適切なボタンを上部パネル22上で強調表示させることによって種々の動作を視覚化し又は実行する機会が与えられることもある。
【0075】
MLDシステム12は、LUI以外の、MFDのコンポーネント上でユーザによって実行される動作を表示するためのトラブルシューティング・セッションにおいて使用されることもある。たとえば、下部パネル20は、マシン10の一部の視覚化を表示するために使用されることがある。ユーザが上部パネル22の領域を作動するとき、下側に表示されたコンポーネントに関する情報は上部パネルに提供されることもある。同様に、トラブル・シュータや自動化トラブルシューティング・システムからの指示は、コンポーネントが同時に下部パネル上で視認されることを妨げられずに、上部パネル22上で表示されることもある。
【0076】
MLDシステム12は、また、通常動作の間に更なる情報を表示することにも使用される。たとえば、装置10の通常動作の間に、パネル20の1つがユーザに有用な情報を表示するために使用されることがあり、一方で、他のパネル22がLUI80を表示する。一例として、パネル20はスキャンされているプロセスにおいてページを表示することもあり、それによって、ユーザはスキャンが完了するときを検出でき、さらにスキャンされている文書がスキャンウィンドウ上に正確に位置決めされていることを確認できる。
【符号の説明】
【0077】
10 多機能装置(MFD)
12 ディスプレイシステム
20 後面パネル
22 前面パネル
32 ディスプレイ(LCD)コントローラ1
36 ディスプレイ(LCD)コントローラ2
40 タッチ式認識コンポーネント
44 ネットワークコントローラ
52 遠隔カスタマーサポートセンター
58 スイッチングコンポーネント
60 メモリ
62 プロセッサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローカル・ユーザ・インタフェースを選択的に表示し、前記ローカル・ユーザ・インタフェース上に表示されるタッチ選択された図形オブジェクトに基づいて対応付けられる装置を制御するタッチセンサー式に構成される前面パネルと、
前記前面パネルを介して視認可能なローカル・ユーザ・インタフェースを選択的に表示するように構成される後部パネルと、
前面パネルと後部パネルとの間で、前記ローカル・ユーザ・インタフェースの表示を切り替えるように構成されるスイッチング・コンポーネントと、
を有するディスプレイシステム。
【請求項2】
前記前面パネルは、起動されると、前記スイッチング・コンポーネントが表示されたローカル・ユーザ・インタフェースを前面パネルから後部パネルへと切り替える指示モードを開始する接触作動可能領域をさらに含む、請求項1に記載のディスプレイシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のディスプレイシステム及びマーキングエンジンを含み、前記マーキングエンジンは、ローカル・ユーザ・インタフェースが前面パネル上に表示されるときにローカル・ユーザ・インタフェースと動作可能に接続される、多機能装置。
【請求項4】
マシンによって実行される動作を制御するためにマシンに動作可能に接続されるディスプレイシステムのタッチセンサー式前面パネル上にローカル・ユーザ・インタフェースを表示することを含み、前記ディスプレイシステムが動作の指示モードをとることができ、
前記ディスプレイが指示モードをとれという要求を受け取ると、前記ローカル・ユーザ・インタフェースをディスプレイシステムの後部パネルに切り替えることを含み、前記ローカル・ユーザ・インタフェースが前面パネルを介して視認可能であり、
指示を前記前面パネル上に表示することを含む、
マシンを動作する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−277089(P2010−277089A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123172(P2010−123172)
【出願日】平成22年5月28日(2010.5.28)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】