説明

ディスプレイ・パネル・ドライバー

【課題】ディスプレイ・パネル・ドライバーを提供することを目的とする。
【解決手段】該ディスプレイ・パネル・ドライバーは、n個の入力信号を受信し、(2n−1)倍の基準電流に基づきD/A出力電圧信号を送信する2進重み(binary−weighted)電流型D/A変換器と、前記D/A出力電圧信号を受信し、電流ミラー効果を利用し(2n−1)倍の前記基準電流を出力端に伝導することにより、ディスプレイ・パネルをドライブできる出力電圧を発生させる電流ミラー型ソースフォロアと、を備えて成ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はドライバーに関し、特にディスプレイ・パネルに適用するドライバーに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のディスプレイ・パネル・ドライバーの回路を示す図である。図1において、ディスプレイ・パネル・ドライバー1はD/A変換器とゲーンステージとを備えて成る。該D/A変換器は6進D/A変換器10であり、該ゲーンステージはOPアンプ11である。6進D/A変換器10から出力されたD/A出力信号は、OPアンプ11に増幅され、ディスプレイ・パネル12をドライブできる出力電圧信号となる。
【0003】
図1に示した構成のようなディスプレイ・パネル・ドライバーは少なくとも下記二つの欠点を有する。
【0004】
(1)線性度(Linearity)が低下する:
系統の電源電圧VDDは一般に3.3〜5Vである。D/A変換器10は低圧の素子であり、OPアンプ11は高圧の素子である。D/A変換器10には一個の最下位ビット(LSB)がVDD/26ので、最大のLSBは78.125mVである。しかしながら、OPアンプ11の最小同相入力電圧は一般に1V以上である。この差が同相入力電圧の範囲を狭くする可能があるので、OPアンプ11内のトランジスタが飽和モードで動作するように、やや高い電圧を入力する必要がある。図2は、入力コードに対し、図1におけるD/A変換器の出力とゲーンステージの出力との総合を示す曲線図である。図2において、縦座標はD/A変換器の出力とゲーンステージの出力との総合(単位:V)であり、横座標は入力コード(単位:LSB)である。図2に示したように、だいたい四分の一の入力コードは線性度が低下する。特に、小電圧の範囲内の入力コードはそうになる。
【0005】
(2)チップの寸法が大きくなる
OPアンプ11は高圧の素子で、規格(rule)が大きくなり、その内それぞれのチャネルにとって一つのD/A変換器及び一つのバッファが必要なものなので、チップの寸法が大きくなる傾向がある。
【0006】
上記の欠点のため、従来のディスプレイ・パネル・ドライバーの表現はユーザーに満足できないと言える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来のディスプレイ・パネル・ドライバーを改善し、チップの寸法を小さくするために、良い線性度、やや少ない高圧の素子を有するディスプレイ・パネル・ドライバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明は、ディスプレイ・パネル・ドライバーを提供することで上記課題を快適に解決する。該ディスプレイ・パネル・ドライバーは、n個の入力信号を受信し、(2n−1)倍の基準電流に基づきD/A出力電圧信号を出力する2進重み(binary−weighted)電流型D/A変換器と、前記D/A出力電圧信号を受信し、電流ミラー効果を利用し(2n−1)倍の前記基準電流を出力端に伝導することにより、ディスプレイ・パネルをドライブできる出力電圧を発生させる電流ミラー型ソースフォロアと、を備えて成る。
【0009】
前記2進重み電流型D/A変換器は、前記n個の入力信号に制御されるn個のNMOSトランジスタと、20倍の前記基準電流、21倍の前記基準電流、〜2(n-1)倍の前記基準電流をそれぞれ発生させるn個の基準電流源と、を備える入力段と、前記入力段内の前記n個の基準電流源からの全ての電流を総合し(2n−1)倍の前記基準電流を発生させるPMOSトランジスタを備える総合段と、前記総合段が発生させた(2n−1)倍の前記基準電流を転送するPMOSトランジスタを備える転送段と、前記転送段からの(2n−1)倍の前記基準電流に基づき前記D/A出力電圧信号を出力する出力段と、を備えて成ることを特徴とする。
【0010】
前記電流ミラー型ソースフォロアは、高圧NMOSトランジスタと、前記高圧NMOSトランジスタと直列に接続された第1高圧PMOSトランジスタとを備え、前記高圧NMOSトランジスタは、前記2進重み電流型D/A変換器が出力した前記D/A出力電圧信号に制御され、(2n−1)倍の前記基準電流を前記第1高圧PMOSトランジスタを通して流す変換段と、第2高圧PMOSトランジスタと、前記第2高圧PMOSトランジスタと直列に接続された第1抵抗とを備え、前記第2高圧PMOSトランジスタは前記変換段からの(2n−1)倍の前記基準電流を転送し、前記第1抵抗に初期電圧を発生させる転送段と、前記転送段からの前記初期電圧をバッファし、前記出力電圧を発生させるバッファ段と、を備えて成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明による利点は、有効にチップの寸法を小さくすることができ、良い線性度、やや少ない高圧の素子を有するディスプレイ・パネル・ドライバーを提供する。このディスプレイ・パネル・ドライバーは、電界放出型ディスプレイ(FED)、蛍光表示管ディスプレイ(VFD)、又は有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)に適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本願発明のその他の利点及び特徴については、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明らかとなるであろう。下記実施の形態は本発明の技術的手段をより具体的に詳述するためのもので、当然本発明はそれに限定されず、添付クレームの範囲を逸脱しない限り、当業者による単純な設計変更、付加、修飾、及び置換はいずれも本発明の技術的範囲に属する。
【0013】
図3は、本発明による実施形態のディスプレイ・パネル・ドライバーを示すブロック図である。図1の従来のディスプレイ・パネル・ドライバーと異なったものとして、図3に示したディスプレイ・パネル・ドライバー3は、2進重み(binary−weighted)電流型D/A変換器30及び電流ミラー型ソースフォロア31を用いてディスプレイ・パネル32をドライブするのである。2進重み電流型D/A変換器30から出力されたD/A出力電圧信号は、電流ミラー型ソースフォロア31を通して、ディスプレイ・パネル32をドライブできる出力電圧をなる。
【0014】
本発明において、2進重み電流型D/A変換器30は高圧の素子を用いて電流を電圧に変換する動作を行うので、その最下位ビット(LSB)が基準電流を基本単位とする。その後、電流ミラー型ソースフォロア31を用いて2進重み電流型D/A変換器30からの総電流を電流ミラー型ソースフォロア31の抵抗に転送する際に、電流ミラー型ソースフォロア31の抵抗が高圧のパスにあるので、その最下位ビットは該基準電流及び該抵抗の積である。したがって、電流ミラー型ソースフォロア31の電源が60〜70Vである場合、最下位ビットは1Vぐらいに向上することができる。
【0015】
図4は、本発明による実施形態の2進重み電流型D/A変換器を示す回路図である。2進重み電流型D/A変換器4は、入力段40、総合段41、転送段42、及び出力段43を備えて成る。説明の便利のため、本実施形態において、6進入力段40及び六つの入力信号D0〜D5を用いた。この発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は容易に同じ原理に基づいてそれをn進重み電流型D/A変換器に推論することができる。
【0016】
2進重み電流型D/A変換器4は、六つのPMOSトランジスタ(M0〜M5)及び六つの基準電流源から構成される。六つの基準電流源は、それぞれ20Iref、21Iref、22Iref、23Iref、24Iref、25Irefの基準電流を提供し、PMOSトランジスタP1から構成された総合段41へ転送された総合電流は(26-1)Irefである。
【0017】
総合電流(26-1)Irefは、PMOSトランジスタP2から構成された転送段42によって出力段43へ転送された後、遂に出力段43を構成した高圧NMOSトランジスタN6のソースに、2進重み電流型D/A変換器4によって出力されるD/A出力電圧信号D/A Outを発生させる。
【0018】
図5は、本発明による実施形態の電流ミラー型ソースフォロアを示す回路図である。電流ミラー型ソースフォロア5は、変換段50、転送段51、及びバッファ段52を備えて成る。変換段50は、高圧NMOSトランジスタM7と、高圧NMOSトランジスタM7と直列に接続された高圧PMOSトランジスタP3とを備える。高圧NMOSトランジスタM7は、2進重み電流型D/A変換器4から出力されたD/A出力電圧信号D/A Outに制御され、電流(26-1)Irefを高圧PMOSトランジスタP3を通して流す。その後、電流(26-1)Irefは、高圧PMOSトランジスタP4及び抵抗Rによって構成された転送段51による電流ミラー効果を通して、遂に抵抗Rに初期電圧V’を発生させる。
【0019】
バッファ段52は、電流源I、二つのPMOSトランジスタP5とP6、及び二つの抵抗R01とR02を備えて成る。電流ミラー型ソースフォロア5からの初期電圧V’は、バッファ段52によってバッファされて、出力電圧Voutになり、図2のディスプレイ・パネル32をドライブするようにする。
【0020】
上記実施形態によれば、本発明のディスプレイ・パネル・ドライバーは、2進重み電流型D/A変換器を用いたため、高速なD/A変換に適用する。一方、電流ミラー型ソースフォロアを採用したため、LSBが向上し、ソースフォロアを構成したトランジスタが飽和モードで動作することができる。したがって、バッファ段の線性度が上がり、やや少ない高圧素子を用いて有効にチップの寸法を減少することができる。
【0021】
図6は、入力コードに対し、図3における2進重み電流型D/A変換器の出力と電流ミラー型ソースフォロアの出力との総合を示す曲線図である。図6において、縦座標は2進重み電流型D/A変換器の出力と電流ミラー型ソースフォロアの出力との総合(単位:V)であり、横座標は入力コード(単位:LSB)である。図6に示したように、全ての入力コードは線性区域になる。たとえ図2の低電圧区域でもそうなる。
【0022】
上記実施の形態は本発明の技術的手段をより具体的に詳述するためのもので、当然本発明はそれに限定されず、添付クレームの範囲を逸脱しない限り、当業者による単純な設計変更、付加、修飾、及び置換はいずれも本発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来のディスプレイ・パネル・ドライバーの回路を示す図。
【図2】入力コードに対し、図1におけるD/A変換器の出力とゲーンステージの出力との総合を示す曲線図。
【図3】本発明による実施形態のディスプレイ・パネル・ドライバーを示すブロック図。
【図4】本発明による実施形態の2進重み電流型D/A変換器を示す回路図。
【図5】本発明による実施形態の電流ミラー型ソースフォロアを示す回路図。
【図6】入力コードに対し、図3における2進重み電流型D/A変換器の出力と電流ミラー型ソースフォロアの出力との総合を示す曲線図。
【符号の説明】
【0024】
1,3…ディスプレイ・パネル・ドライバー、10…D/A変換器、11…OPアンプ、12…ディスプレイ・パネル、4,30…2進重み電流型D/A変換器、5,31…電流ミラー型ソースフォロア、32…ディスプレイ・パネル、40…入力段、41…総合段、42…転送段、43…出力段、50…変換段、51…転送段、52…バッファ段、D0〜D5…入力信号、D/A Out…D/A出力電圧信号、I…電源、Iref…基準電流、M0〜M7…NMOSトランジスタ、P1〜P6…PMOSトランジスタ、R,R01、R02…抵抗、V’…初期電圧、Vout …出力電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
n個の入力信号を受信し、(2n−1)倍の基準電流に基づきD/A出力電圧信号を出力する2進重み(binary−weighted)電流型D/A変換器と、
前記D/A出力電圧信号を受信し、電流ミラー効果を利用し(2n−1)倍の前記基準電流を出力端に伝導することにより、ディスプレイ・パネルをドライブできる出力電圧を発生させる電流ミラー型ソースフォロアと、
を備えて成るディスプレイ・パネル・ドライバー。
【請求項2】
前記ディスプレイ・パネルは、電界放出型ディスプレイ(FED)、蛍光表示管ディスプレイ(VFD)、及び有機発光ダイオードディスプレイ(OLED)よりなる群から選ばれる一つであることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ・パネル・ドライバー。
【請求項3】
前記2進重み電流型D/A変換器は、
前記n個の入力信号に制御されるn個のNMOSトランジスタと、20倍の前記基準電流、21倍の前記基準電流、〜2(n-1)倍の前記基準電流をそれぞれ発生させるn個の基準電流源と、を備える入力段と、
前記入力段内の前記n個の基準電流源からの全ての電流を総合し(2n−1)倍の前記基準電流を発生させるPMOSトランジスタを備える総合段と、
前記総合段が発生させた(2n−1)倍の前記基準電流を転送するPMOSトランジスタを備える転送段と、
前記転送段からの(2n−1)倍の前記基準電流に基づき前記D/A出力電圧信号を出力する出力段と、
を備えて成ることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ・パネル・ドライバー。
【請求項4】
前記電流ミラー型ソースフォロアは、
高圧NMOSトランジスタと、前記高圧NMOSトランジスタと直列に接続された第1高圧PMOSトランジスタとを備え、前記高圧NMOSトランジスタは、前記2進重み電流型D/A変換器が出力した前記D/A出力電圧信号に制御され、(2n−1)倍の前記基準電流を前記第1高圧PMOSトランジスタを通して流す変換段と、
第2高圧PMOSトランジスタと、前記第2高圧PMOSトランジスタと直列に接続された第1抵抗とを備え、前記第2高圧PMOSトランジスタは前記変換段からの(2n−1)倍の前記基準電流を転送し、前記第1抵抗に初期電圧を発生させる転送段と、
前記転送段からの前記初期電圧をバッファし、前記出力電圧を発生させるバッファ段と、
を備えて成ることを特徴とする請求項1記載のディスプレイ・パネル・ドライバー。
【請求項5】
前記バッファ段は、
電流源と、
前記電流源の出力端と接続されたドレインと、前記初期電圧を受信するゲートと、を備える第1PMOSトランジスタと、
前記第1PMOSトランジスタのソースと接続された一端と、グラウンドと接続された他端と、を備える第2抵抗と、
前記電流源の出力端と接続されたドレインと、自らのソースと接続され前記出力電圧を発生させるゲートと、を備える第2PMOSトランジスタと、
前記第2PMOSトランジスタのソースと接続された一端と、グラウンドと接続された他端と、を備える第3抵抗と、
を備えて成ることを特徴とする請求項4記載のディスプレイ・パネル・ドライバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−294632(P2009−294632A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234409(P2008−234409)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(599034734)盛群半導體股▲ふん▼有限公司 (10)
【Fターム(参考)】