説明

ディスプレイ用カバーガラス

【課題】本発明は、ガラスの軟化点温度が低く、その後の化学強化法によりガラスの強化が可能なディスプレイ用カバーガラスを提供することを目的とする。
【解決手段】ディスプレイ用カバーガラスであり、該カバーガラスは、熱軟化状態のガラス体をプレス成形加工され、かつ該ガラス体の表層部にイオン交換によって圧縮層が形成されたものであり、該圧縮層が形成されていない部位が、質量%表示で、SiO:50〜70、Al:1〜22、ZrO:0〜8、B:0〜8、RO:10〜30(RはLi、Na及びKからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、MO:0〜20、(MはMg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、のガラス組成物からなり、該ガラス組成物はROとしてLiOを少なくとも1質量%有し、AlとZrOとを少なくとも合計で6質量%有し、軟化点温度が650℃以下であること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ用カバーガラスに関するものであり、特にガラス表面に化学強化法を用いて強化処理されたタッチパネル方式のディスプレー用カバーガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、パーソナルコンピュータや携帯電話といった情報端末機器の表示装置はタッチパネル方式のディスプレイが多く採用されている。その際、ディスプレイの保護ならびに美観を高めるためのカバーガラスが用いられることが多い。
【0003】
前述したような情報端末機器は、軽量・薄型化が要求されており、カバーガラスについても薄くすることが要求されている。しかし、カバーガラスを薄くしていくと強度が低下し、落下などによりカバーガラス自身が割れてしまうことがあり、ディスプレイ装置を保護するという本来の役割を果たすことができなくなるという問題があった。
【0004】
上記問題を解決するためには、カバーガラスの強度を高めることが考えられ、通常、化学強化法によって強化されたカバーガラスが用いられている(特許文献1)。この化学強化法は、ガラス転移点以下の温度で、ガラス表面のイオン半径が小さなアルカリ金属イオン(例えば、Naイオン)をイオン半径のより大きいアルカリイオン(例えば、Kイオン)に交換することにより、ガラス表面に圧縮層を形成し強度を高める手法である。
【0005】
さらに近年、軽量や薄型化のための更なる高強度化が望まれており、そのためにイオン交換速度が大きい化学強化に適したガラスが提案されている(例えば、特許文献2)。
【0006】
また近年、タッチパネル方式ディスプレイは様々な機器に搭載されつつあり、用途によっては、特定形状、例えば曲面形状等の三次元形状を有する外装部品が使用されることが増えている(例えば特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0286548号明細書
【特許文献2】特開2007−099557号公報
【特許文献3】特開2010−168252号公報
【特許文献4】特開2002−274881号公報
【特許文献5】特開2001−213633号公報
【特許文献6】特開2001−180969号公報
【特許文献7】特開2011−134367号公報
【特許文献8】特開2011−123924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したように、特にタッチパネル方式のディスプレイ用カバーガラスは、化学強化し易く、低温で成形し易く、より好ましい態様においては、低温成形であっても三次元形状に加工し易いガラスであることが望ましい。
【0009】
形状加工された化学強化ガラスを得るためには、まず溶融ガラスを成形して平板等のガラスを作製し、次いで熱加工で特定形状に変形させた後、強化処理を行う。特定形状に変形させる際、ガラスを熱軟化状態とするが、この熱軟化状態とする際の温度(以下、軟化点温度と記載することもある)が高いと、生産コストの増加や成形装置の劣化が進む、ガラス組成によっては結晶化してしまう、等の問題が生じることがあった。
【0010】
本発明は、ガラスの熱軟化状態の温度、つまりガラスの軟化点温度が低く、かつ、その後の化学強化法によりガラスの強化が可能なディスプレイ用カバーガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明は、特許文献4〜特許文献8などで開示された情報記録媒体用基板ガラス用のガラス組成物などを鋭意検討したところ、特定のガラス組成物が、ディスプレイ用カバーガラスに好適であるとの知見を見出した。
【0012】
すなわち本発明は、ディスプレイ用カバーガラスであり、該カバーガラスは、熱軟化状態のガラス体をプレス成形加工され、かつ該ガラス体の表層部にイオン交換によって圧縮層が形成されたものであり、該圧縮層が形成されていない部位が、質量%表示で、SiO:50〜70、Al:1〜22、ZrO:0〜8、B:0〜8、RO:10〜30(RはLi、Na及びKからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、MO:0〜20、(MはMg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、のガラス組成物からなり、該ガラス組成物はROとしてLiOを少なくとも1質量%有し、AlとZrOとを少なくとも合計で6質量%有し、軟化点温度が650℃以下であることを特徴とするディスプレイ用カバーガラスである。
【0013】
また、本発明のディスプレイ用カバーガラスは、前記ガラス組成物がZrOを少なくとも1質量%有することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のディスプレイ用カバーガラスは、前記ガラス組成物がNaOを少なくとも1質量%有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は以下の工程を有することを特徴とするディスプレイ用カバーガラスの製造方法である。
【0016】
質量%表示で、SiO:50〜70、Al:1〜22、ZrO:0〜8、B:0〜8、RO:10〜30(RはLi、Na及びKからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、MO:0〜20、(MはMg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、であり、ROとしてLiOを少なくとも1質量%有し、AlとZrOとを合計で少なくとも6質量%有するガラス組成物を650℃以下に加熱する工程、650℃以下に加熱された該ガラス組成物をプレス成形する工程、該ガラス体の表層部にイオン交換によって圧縮層を形成する工程。
【0017】
また、本発明は、ディスプレイ用カバーガラスの製造方法のために供されるガラス組成物であり、該ガラス組成物は、質量%表示でSiO:50〜70、Al:1〜22、ZrO:0〜8、B:0〜8、RO:10〜30(RはLi、Na及びKからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、MO:0〜20、(MはMg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、のガラス組成物からなり、該ガラス組成物は、ROとしてLiOを少なくとも1質量%有し、AlとZrOとを合計で少なくとも6質量%有するものであり、軟化点温度が650℃以下であることを特徴とするガラス組成物である。
【発明の効果】
【0018】
本発明で規定したガラス組成物は、ガラスの軟化点温度が低く、かつ、その後の化学強化法によりガラスの強化が可能なディスプレイ用カバーガラスを可視光透過率を損なわず、視認性が良好なディスプレイ用カバーガラスを得ることができる。さらに、軟化点温度が630℃以下となる様態においては、ガラスの三次元形状への加工性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明はディスプレイ用カバーガラスであり、該カバーガラスは、熱軟化状態のガラス体をプレス成形加工され、かつ該ガラス体の表層部にイオン交換によって圧縮層が形成されたものであり、該圧縮層が形成されていない部位が、質量%表示で
SiO 50〜70、
Al 1〜22、
ZrO 0〜8、
0〜8、
O 10〜30(RはLi、Na及びKからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、
MO 0〜20、(MはMg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、
のガラス組成物からなり、該ガラス組成物はROとしてLiOを少なくとも1質量%有し、AlとZrOとを少なくとも合計で6質量%有し、軟化点温度が650℃以下である。
【0020】
前記ガラス体は熱による軟化点温度が650℃以下であり、イオン交換による化学強化処理を施すことが可能なガラス組成物からなる。一般的にプレス成形加工はプレス用の金型を用いて行われるため、該ガラス体はプレス成形加工用の金型に設置でき、かつ所望のカバーガラス形状に成形し易い形状に予備成形されたものであることが望ましく、通常は板状ガラスとして利用される。ガラス体が板状ガラスである場合、プレス成形加工工程で該ガラス体を加熱する際、ガラス体に温度ムラが生じるのを抑制でき、所望形状に加工し易くなる。
【0021】
前記ガラス体の表層部に形成される圧縮層は、イオン交換により形成される層であり、ガラスの表層部に圧縮応力を与えることにより、ガラス表層部を強化する層である。
【0022】
本発明のガラス体を化学強化処理する場合、好適なひとつの様態として、ガラス体をNaNO及びKNOとを有する混合溶融塩中に浸漬する。該混合溶融塩は質量%でNaNOよりKNOの含有量を多く含むのが好ましい。本発明のガラス体はLiイオンを含むため、LiイオンがNaイオンへイオン交換されるが、同時にNaイオンも一部Kイオンへイオン交換され、ガラス体の表層部に圧縮層が形成される。このように形成された圧縮層は、表面から深さ方向に対して、浅い層にKイオンを多く含むK層を有し、該Kイオン層よりも深い方向にNaイオンが拡散したNa層が見られる。また、該圧縮層は表面から深さ方向に少なくとも10μmの厚みを有し、好ましくは20μmでもよい。上限は特に限定する必要はないが、例えば200μmとしてもよい。
【0023】
本発明のガラス組成物において、SiOはガラスの主成分であり、質量%において50%未満ではガラスの耐水性または耐酸性を悪化させる。他方、70%を超えるとガラスの粘性が高くなり、成形加工が困難となる。従って50〜70%、好ましくは50〜68%、より好ましくは52〜67%の範囲とする。
【0024】
Alは、化学強化に際してイオン交換速度を速める上で必須成分である。質量%において、1%未満では化学強化が不十分である。他方、22%を超えるとガラスの粘性が高くなり軟化点温度が低くならず、さらに失透傾向が強くなり、成形加工が困難になる。従って1〜22%の範囲が好ましい。
【0025】
ZrOは、イオン交換速度を速める、また、耐水性を向上させる。質量%において、8%を超えるとガラスの粘性が高くなり、軟化点温度を低くできず、成形加工が困難になる。また、失透傾向が著しく増加する。従って、0〜8%、好ましくは0.5〜8%、より好ましくは1〜6%の範囲としてもよい。
【0026】
AlとZrOとの合計が、質量%において、少なくとも6%以上であることが、イオン交換速度を速める上で望ましい。6%未満だと化学強化が不十分になる。また一方で、Al、ZrOの含有量が多いと軟化点温度が高くなることから、上限を30質量%、好ましくは27質量%としてもよい。
【0027】
は、必須成分ではないが、ガラスの粘性を低下させる成分である。質量%において、8%を超えるとガラス溶融時に揮発し易くなり、脈理の生成を助長する。従って0〜8%、好ましくは1〜7%の範囲がよい。
【0028】
O(LiO+NaO+KO)は少なくとも1質量%LiOを含み、合計の質量%において10〜30%にすることにより、ガラスの粘性やイオン交換による化学強化を適切な範囲にすることができる。10%未満だと、ガラスの粘性が高くなり、また、イオン交換するアルカリ金属が少なくなり、化学強化による強度があまり得られない。30%を超えると耐水性が悪くなる。従って、10〜30%、好ましくは12〜28の範囲とする。
【0029】
LiOは、化学強化工程においてLiイオンよりイオン半径が大きいアルカリ金属イオン(例えば、Na、K、Cs、Rb)とガラス中のLiイオンとがイオン交換を起こすことから、圧縮層を形成する為には必須成分である。また、LiOはガラス溶解時の融剤として作用し、ガラスの粘性を低下させる。1質量%未満ではイオン交換による化学強化が起こりにくく、また、ガラスの粘性が高くなり、軟化点温度が低くならず、プレス成形加工が困難となる。軟化点温度をより下げる目的で、好ましくは1質量%以上18質量%以下、より好ましくは1質量%以上15質量%以下としてもよい。
【0030】
NaOは、化学強化工程においてNaイオンよりイオン半径が大きいアルカリ金属イオン(例えば、K、Cs、Rb)とガラス中のNaイオンとがイオン交換することから、ガラスに圧縮層を形成せしめることが可能となる。また、LiOと同様にガラス溶解時の融剤として作用し、ガラスの粘性を低下させる。軟化点温度をより下げる目的で、好ましくは1質量%以上20質量%以下、より好ましくは1質量%以上18質量%以下としてもよい。
【0031】
Oは、必須成分ではないが、LiOやNaOと同様にガラス溶解時の融剤として作用し、ガラスの粘性を低下させる。また、化学強化処理において、溶融塩中のKイオンをガラス中のアルカリイオンとイオン交換する場合、ガラス中にKOを含有するとイオン交換速度が上昇するため、イオン交換を阻害しない程度であれば用いてもよい。
【0032】
MO(MgO+CaO+SrO+BaO)は、必須成分ではないが、質量%において、0〜20%の範囲にすることで、ガラスの粘性を適宜調整することができる。20%を超えるとガラスの粘性が大きくなるため、20%以下とするのが好ましい。
【0033】
上記以他にも、一般的な酸化物で表すZnOやSnOなど上記性質を損なわない範囲で1質量%まで加えてもよい。
【0034】
また、実質的にFeやTiO等の着色成分を含有しない。ここで、実質的に含有しないとは、全く含有しないか、質量%で0.3未満の含有量であることをいう。
【0035】
本発明のディスプレイ用カバーガラスのプレス成形加工の手法は特に断定されない。プレス成形加工では、加熱されたガラス体と金型と接触することにより、金型の劣化が生じ、また、ガラス体の成形に適した加工温度が高いほど、プレス成形時に割れなどの欠陥が生じやすい。よって、プレス成形加工の温度は低いことが望ましい。したがって、プレス成形加工は650℃以下、好ましくは630℃以下がよい。また、温度が低い程上記の問題が生じ難く、生産コスト的にも安価となるため下限は特に限定しないが、例えば500℃以上としてもよい。
【0036】
本発明のディスプレイ用カバーガラスのガラス体の軟化点温度は、前記ガラス体のプレス成形の問題点を考慮すると、650℃以下がよい。650℃より高いとプレス成形温度を高くする必要があり、前記金型の劣化およびプレス後の欠陥が生じやすい。また、ディスプレイ用カバーガラスを三次元形状に加工する場合、軟化点温度が高いと加工時の温度を高くする必要があり、加熱や冷却等の作業性が悪くなる。よって、ガラス体の軟化点温度は、650℃以下、好ましくは、630℃以下、より好ましくは610℃以下がよい。また、下限は特に限定する必要はないが、例えば500℃以上としてもよい。
【0037】
本発明のディスプレイ用カバーガラスの化学強化処理は、ガラス体をプレス成形した後に行う。イオン交換に用いられる溶融塩として、アルカリ金属イオン(Li、Na、K、Cs、Rb)を少なくとも1種以上含むものであれば、単塩、複合塩のいずれでもよい。また、ガラス体を溶融塩に浸漬してイオン交換する温度、時間、回数を適宜調整し、所望の強化を行うことができる。ただし、浸漬温度が高いとガラスの変形が生じるため、プレス成形加工温度より低温、好ましくは歪点より低温での化学強化が望ましい。
【0038】
本発明のディスプレイ用カバーガラスは、可視光透過率が良好であるため、携帯電話やパーソナルコンピュータ等に好適に使用することが可能である。
【実施例】
【0039】
本発明の実施例1〜6を表1に、比較例1〜3を表2に示す。
【0040】
表1、2の各試料は次のようにして作製した。SiO2源として二酸化珪素を、Al源として酸化アルミニウムを、B源としてホウ酸を、LiO源として炭酸リチウムを、NaO源として炭酸ナトリウムを、KO源として炭酸カリウムを、MgO源として酸化マグネシウムを、CaO源として炭酸カルシウムを、SrO源として炭酸ストロンチウムを、BaO源として炭酸バリウムを、ZrO源として酸化ジルコニウムを使用し、これらを表1、2の組成となるように調合したうえで、白金ルツボに投入し、電気加熱炉内で1100〜1450℃、約6時間加熱溶融し溶融ガラスとした。
【0041】
次に、上記の溶融ガラスを鋳型に流し込み板状とし、ガラス転移点以上に保持した電気炉内に移入して徐冷した。このようにして作製した各試料について、軟化点、歪点、化学強化処理後の曲げ強度を評価した。また、実施例1については可視光透過率も測定を行った。
【0042】
(軟化点温度の測定)
軟化点は、軟化点測定装置(東芝硝子(株)製)を用いてJIS R3103−1の規定に基づく繊維伸張法により測定した。
【0043】
(歪点温度の測定)
歪点は、JIS R3103−2の規定に基づくビーム曲げ法により測定した。
【0044】
(可視光透過率の測定)
実施例1について、分光光度計(日立製作所製、分光光度計U−4000)を用いてJIS R3106に準拠した方法で可視光透過率を測定をした。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
(曲げ強度の評価)
まず、実施例1〜5の試料の化学強化処理を行った。50×10×3mmのガラス板を作製し、表3に記載の溶融塩を歪点×0.8(℃)に維持して、約4時間浸漬した。試料を上記の溶融塩から引き上げ、水洗、乾燥させた後、JIS R1601の規定に基づく3点曲げ強度で測定を行った。
【0048】
【表3】

【0049】
表1から明らかなように、実施例1〜6の各試料は、各組成が適切な範囲であるため、軟化点が所望の範囲に入っており、650℃以下でのプレス成形加工を行うのに有用である。これらに対して表2の比較例1〜3の各試料は、組成が適切な範囲でないため、軟化点が650℃より高くなった。実施例1の可視光透過率は板厚約3mmで91.3%となり、ディスプレイ用カバーガラスに使用するガラス組成物として好適であることがわかった。
【0050】
表3より、実施例1〜5のすべてにおいて、比較例1の一般的なソーダライムガラスの強化前の曲げ強度より2倍以上高くなることがわかった。
【0051】
以上より、本願発明は、ガラスの軟化点温度が低く、かつ、その後の化学強化法によりガラスの強化が可能なディスプレイ用カバーガラスであることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ用カバーガラスであり、該カバーガラスは、熱軟化状態のガラス体がプレス成形加工され、かつ該ガラス体の表層部にイオン交換によって圧縮層が形成されたものであり、該圧縮層が形成されていない部位が、質量%表示で
SiO 50〜70、
Al 1〜22、
ZrO 0〜8、
0〜8、
O 10〜30(RはLi、Na及びKからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、
MO 0〜20、(MはMg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、
のガラス組成物からなり、該ガラス組成物はROとしてLiOを少なくとも1質量%有し、AlとZrOとを少なくとも合計で6質量%有し、軟化点温度が650℃以下であることを特徴とするディスプレイ用カバーガラス。
【請求項2】
前記ガラス組成物がZrOを少なくとも1質量%有することを特徴とする請求項1に記載のディスプレイ用カバーガラス。
【請求項3】
前記ガラス組成物がNaOを少なくとも1質量%有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のディスプレイ用カバーガラス。
【請求項4】
以下の工程を有することを特徴とするディスプレイ用カバーガラスの製造方法;
質量%表示で
SiO 50〜70、
Al 1〜22、
ZrO 0〜8、
0〜8、
O 10〜30(RはLi、Na及びKからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、
MO 0〜20、(MはMg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、
であり、ROとしてLiOを少なくとも1質量%有し、AlとZrOとを合計で少なくとも6質量%有するガラス組成物を650℃以下の軟化点温度に加熱する工程、
650℃以下の軟化点温度に加熱された該ガラス組成物をプレス成形する工程、
該ガラス体の表層部にイオン交換によって圧縮層を形成する工程。
【請求項5】
請求項4の記載のディスプレイ用カバーガラスの製造方法のために供されるガラス組成物であり、該ガラス組成物は、質量%表示で
SiO 50〜70、
Al 1〜22、
ZrO 0〜8、
0〜8、
O 10〜30(RはLi、Na及びKからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、
MO 0〜20、(MはMg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1つ)、
のガラス組成物からなり、該ガラス組成物は、ROとしてLiOを少なくとも1質量%有し、AlとZrOとを合計で少なくとも6質量%有するものであり、軟化点温度が650℃以下であることを特徴とするガラス組成物。

【公開番号】特開2013−28506(P2013−28506A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166323(P2011−166323)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000002200)セントラル硝子株式会社 (1,198)
【Fターム(参考)】