説明

ディスプレイ装置及び映像処理方法

【課題】 偏光メガネを着用する方式の3Dディスプレイ装置において、ユーザーの認知するイメージの画質を改善し、偏光状態の操作による色の歪みの問題を解決できるディスプレイ装置及び映像処理方法を提供する。
【解決手段】 本発明に係るディスプレイ装置は、左眼映像及び右眼映像を含む映像信号を受信する信号受信部と、前記映像信号を表示可能な形態に処理する信号処理部と、前記処理された左眼映像及び右眼映像を表示するディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの前面に設けられ、前記左眼映像を第1偏光、前記右眼映像を第2偏光の光として通過させる偏光部と、前記偏光部を通過する第1偏光及び第2偏光の光の色の歪みを補償するように前記信号処理部を制御する制御部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置及び映像処理方法に係り、特に、偏光メガネを着用する方式の3Dディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置は、外部から入力されたり内部に記憶されている映像信号または映像データを様々なプロセスにより処理して、パネルまたはスクリーン上に映像として表示する装置で、TV、モニターなどの様々な方式のものとすることができる。技術の発展に伴い、ユーザーが視聴中の画面について立体感を感じることができる3Dディスプレイ装置が出現することとなった。かかる3Dディスプレイ装置は、ユーザーの左眼と右眼で認知する映像を異なるように表示し、異なる左眼映像及び右眼映像をユーザーが両眼で同時に認知することで立体感を感じるようになっている。
【0003】
3Dディスプレイ装置の最も普遍的な方法は、3Dメガネを掛け、左眼映像及び右眼映像をそれぞれ左眼及び右眼で認知するようにするものである。その例には、光の偏光特性を用いるもので、偏光メガネをユーザーが掛けることで両眼でそれぞれの映像を認知できるようにする方式と、映像フレームを時間的に分割して左眼及び右眼映像を交互にディスプレイパネルに表示し、ユーザーがアクティブシャッターメガネを介して左眼映像は左眼で、右眼映像は右眼で認知できるようにする方式などがある。
【0004】
しかしながら、上述のような、3Dメガネの着用を要する3Dディスプレイ装置では、色分散のような色の歪みにより、元来ディスプレイしようとした正確なイメージが感じられない場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、3Dディスプレイ装置において、ユーザーの認知するイメージの画質を改善できるディスプレイ装置及び映像処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、本発明により、左眼映像及び右眼映像を含む映像信号を受信する信号受信部と、前記映像信号を表示可能な形態に処理する信号処理部と、前記処理された左眼映像及び右眼映像を表示するディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの前面に設けられ、前記左眼映像を第1偏光、前記右眼映像を第2偏光の光として通過させる偏光部と、前記偏光部を通過する第1偏光及び第2偏光の光の色の歪みを補償するように前記信号処理部を制御する制御部と、を備えることを特徴とするディスプレイ装置によって達成できる。
【0007】
ここで、前記左眼映像及び前記右眼映像は交互に表示され、前記偏光部は、3D出力モードでは、前記左眼映像及び前記右眼映像を前記第1偏光及び前記第2偏光の光として交互に通過させることができる。
【0008】
ここで、前記制御部は、前記第1偏光の光を透過する左眼レンズ及び前記第2偏光の光を透過する右眼レンズを有する3Dメガネを通過した光の色の歪みを補償するように前記信号処理部を制御することができる。
【0009】
また、前記ディスプレイ装置は、3Dメガネにおける色の歪み情報及び前記偏光部における色の歪み情報の少なくとも一方が記憶された記憶部をさらに備え、前記制御部は、前記記憶部に記憶された情報に基づいて前記信号処理部を制御することができる。
【0010】
また、前記ディスプレイ装置は、前記偏光部を通過する前記第1偏光及び前記第2偏光の光の色の歪み度合を測定する色の歪み測定部をさらに備え、前記制御部は、前記色の歪み測定部の測定結果に基づいて前記映像を補償するように制御することができる。
【0011】
また、前記ディスプレイ装置は、前記ディスプレイパネルを駆動するパネル駆動部をさらに備え、前記制御部は、前記色の歪み度合に基づき、前記パネル駆動部のR、G、Bの駆動電圧が調整されるように制御することができる。
【0012】
ここで、前記偏光部は、前記第1偏光及び前記第2偏光を線偏光として通過させ、前記第1偏光及び前記第2偏光の偏光方向は、相互垂直でよい。
【0013】
ここで、前記偏光部は、前記第1偏光及び前記第2偏光を円偏光として通過させ、前記第1偏光及び前記第2偏光の偏光方向は、相互反対方向でよい。
【0014】
また、上記目的は、本発明により、左眼映像及び右眼映像が表示されるディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの前面に設けられ、前記左眼映像を第1偏光、前記右眼映像を第2偏光の光として通過させる偏光部と、を備えるディスプレイ装置における映像処理方法であって、左眼映像及び右眼映像を含む映像信号を受信する段階と、前記映像信号を表示可能な形態に処理する段階と、前記偏光部を通過する第1偏光及び第2偏光の光の色の歪みを補償する段階と、を含むことを特徴とする映像処理方法により達成できる。
【0015】
ここで、前記左眼映像及び前記右眼映像は交互に表示され、前記偏光部は、3D出力モードでは、前記左眼映像及び前記右眼映像を前記第1偏光及び第2偏光の光として交互に通過させることができる。
【0016】
ここで、前記色の歪みを補償する段階は、前記第1偏光の光を透過する左眼レンズ及び前記第2偏光の光を透過する右眼レンズを有する3Dメガネを通過した光の色の歪みを補償する段階を含むことができる。
【0017】
また、前記映像処理方法は、3Dメガネの色の歪み情報及び前記偏光部の色の歪み情報の少なくとも一方を記憶する段階をさらに含み、前記色の歪みを補償する段階は、前記記憶された情報に基づいて前記色の歪みを補償することができる。
【0018】
また、前記映像処理方法は、前記偏光部を通過する前記第1偏光及び前記第2偏光の光の色の歪み度合を測定する段階をさらに含み、前記色の歪みを補償する段階は、前記測定された色の歪み度合に基づいて前記色の歪みを補償することができる。
【0019】
ここで、前記色の歪みを補償する段階は、前記色の歪み度合に基づき、前記ディスプレイパネルを駆動するR、G、Bの駆動電圧を調整することによって、前記色の歪みを補償することができる。
【0020】
ここで、前記偏光部は、前記第1偏光及び前記第2偏光を線偏光として通過させ、前記第1偏光及び前記第2偏光の偏光方向は、相互垂直でよい。
【0021】
ここで、前記偏光部は、前記第1偏光及び前記第2偏光を円偏光として通過させ、前記第1偏光及び前記第2偏光の偏光方向は、相互反対方向でよい。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明によれば、3Dディスプレイ装置において、ユーザーの認知するイメージの画質を改善し、色の歪みの問題を解決できるディスプレイ装置及び映像処理方法を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るディスプレイ装置の映像が偏光してユーザーに伝達される過程を示す図である。
【図2】本発明に係るディスプレイ装置で発生する色の歪みの問題を示す図である。
【図3】本発明に係るディスプレイ装置の制御ブロック図である。
【図4】本発明によって色の歪みを補償して出力される映像の輝度成分変化を示す図である。
【図5】本発明に係る映像処理方法の第1の実施例を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る映像処理方法の第2の実施例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施例について、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は様々な形態に実施することができ、ここに説明する実施例に限定されない。本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、かつ明細書全体を通じて同一または類似の構成要素には同一の参照符号を付ける。
【0025】
図1は、本発明に係る、ディスプレイ装置200の映像が偏光してユーザーに伝達される過程の一例を示す図である。
【0026】
図1を参照すると、ディスプレイパネル20には左眼映像11及び右眼映像12が交互に出力され、偏光部30は、映像信号に同期して、左眼映像11及び右眼映像12を互いに異なる第1偏光41及び第2偏光42に交互に通過させ、ユーザーの着用した3Dメガネ200の左眼レンズ及び右眼レンズはそれぞれ、第1偏光41または第2偏光42のみを通過させるように構成されているため、ユーザーは左眼では左眼映像、右眼では右眼映像のみを認知することができる。このような方式の3Dディスプレイ装置は、従来の3D方式に比べて、軽くて便利な3Dメガネを着用すると共に、解像度の低下を防止しながらもユーザーの目の疲労を低減できる効果がある。
【0027】
然るに、このような3Dディスプレイ方式の場合、偏光部30と3Dメガネ200による色分散のような色の歪みが発生することがある。色分散とは、ディスプレイパネル20に発された光源成分が偏光部30と3Dメガネ200を順次に通過しながら、偏光状態に操作が加えられる時にR、G、B光源が一様に処理されず、特定の色成分がディスプレイパネル20に発されたそれぞれの色成分とは異なってくる現象のことを指す。
【0028】
図2に示すように、バックライト(図示せず)からフルホワイトカラーが出力されてディスプレイパネル20に表示される場合に、左眼映像及び右眼映像には(a−1)及び(a−2)のように、同一のR、G、Bの輝度成分を有する光が出力される。この光は、偏光部30を通過しながら、(b−1)及び(b−2)のようにそれぞれ、左眼映像についてはR及びB成分が減少し、右眼映像についてはB成分が減少することがある。続いて、3Dメガネを通過しながら、(c−1)及び(c−2)のように、R、G、B輝度成分の差はより大きくなり、左眼映像及び右眼映像における各カラーの成分別輝度差が発生することがある。
【0029】
以下では、このような色分散のような色の歪みを補償するためのディスプレイ装置及び映像処理方法について説明する。
【0030】
図3は、本発明に係るディスプレイ装置100の制御ブロック図である。
【0031】
本発明に係るディスプレイ装置100は、信号受信部110、信号処理部120、ディスプレイパネル130、偏光部140、制御部150を備える。ディスプレイ装置100は、TV、モニターなどでよく、3D映像コンテンツを表示できるものであるが、具体例はこれに限定されない。
【0032】
信号受信部110は、左眼映像及び右眼映像を含む映像信号を受信する。図示せぬ外部の映像供給源から、3D映像コンテンツを含む映像信号を受信する。このような映像供給源は特に限定されず、CPU及びグラフカードで映像信号を生成し、これをローカル(local)に提供するコンピュータ本体、映像信号をネットワークに提供するサーバー、地上波またはケーブルを用いて放送信号を送出する放送局の送出装置などを含め、様々な映像供給源から映像信号を受けることができる。信号受信部110が受信する映像信号については、3D映像コンテンツの表示のために、左眼映像及び右眼映像を区別して受信することができる。
【0033】
信号処理部120は、信号受信部110で受信した映像信号を伝達され、これを、後述するディスプレイパネル130に表示可能な形態と処理する。信号処理部120が行う映像処理には、様々な映像フォーマットに対応するデコーディング(decoding)、デインターレーシング(deinterlacing)、フレームリフレッシュレート(frame refresh rate)変換、スケーリング(scaling)、映像画質改善のためのノイズ減少、ディテールエンハンスメント(detail enhancement)、ラインスキャニング(line scanning)などのプロセスがあり、さらには、3D映像の深さ(depth)の調節、2D映像の3D変換などの機能も果たすことができる。また、信号処理部は、後述する制御部の制御に応じて、出力される映像の色の歪みを補償することができる。
【0034】
ディスプレイパネル130は、信号処理部120で処理された左眼映像及び右眼映像を表示する。ディスプレイパネル130には、バックライト(図示せず)から出力された光が表示される。ディスプレイパネル130は、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)などとすることができる。
【0035】
偏光部140は、ディスプレイパネル130の前面に設けられ、左眼映像を第1偏光、右眼映像を第2偏光の光として通過させる。偏光部140は、入射する光を線偏光または円偏光とさせる公知の偏光フィルターで構成することができる。
【0036】
この場合、左眼映像及び右眼映像は交互に表示され、偏光部140は、3D出力モードでは、左眼映像及び右眼映像を第1偏光及び第2偏光の光として交互に通過させることができる。偏光部140には、出力される左眼/右眼映像に同期してハイ/ロー(high/low)の電圧が交互に入力される。左眼映像が出力される場合には、ハイ電圧が入力され、左眼映像を第1偏光(例えば、水平偏光)として通過させ、右眼映像が出力される場合には、ロー電圧が入力され、右眼映像を第2偏光(例えば、垂直偏光)として通過させる。ここで、第1偏光及び第2偏光は線偏光であり、偏光方向は相互垂直であってもよく、第1偏光及び第2偏光は円偏光または楕円偏光であり、偏光方向は相互反対方向であってもよい。
【0037】
この場合、ユーザーの着用した3Dメガネ200の左眼レンズは第1偏光のみを通過させ、右眼レンズは第2偏光のみを通過させるようにすることで、ユーザーは、左眼では左眼映像のみを認知でき、右眼では右眼映像のみを認知でき、結果として、出力される映像から立体感を感じることができる。
【0038】
制御部150は、本発明を構成するディスプレイ装置100の全般的な動作制御を行う。制御部150は、図示してはいないが、制御プログラムと制御プログラムが格納されるROM、フラッシュメモリーなどのような非揮発性メモリーと、格納された制御プログラムの少なくとも一部がローディングされるRAMのような揮発性のメモリーと、ローディングされた制御プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)、MCU(Micro Control Unit)などのようなマイクロプロセッサと、を備えることができる。
【0039】
制御部150は、偏光部140を通過する光の色の歪みを補償するように信号処理部120を制御する。前述したように、ディスプレイパネル130から出力された光が第1偏光及び第2偏光に偏光されながら、光の色別に波長が異なる特性から、R(red)、G(green)、B(blue)の色の成分別に透過率が異なってくることがあり、図2で説明した通り、各色の成分別に透過する量が異なってくることから、色の歪みが発生することがある。このような色の歪みの問題は、偏光部140が動作しない場合にも、すなわち、映像の出力モードが2Dモードである場合にも、偏光部140の存在により生じることがある。制御部150は、このような各色の成分別輝度レベルの減少量に相当する分だけを先補償して出力するように信号処理部を制御することによって、色の歪みを低減することができる。
【0040】
このような色の歪みは、偏光部を通過した映像が、ユーザーの掛けている3Dメガネ200の左眼及び右眼レンズを通過する場合にも発生することがある。3Dメガネ200の左眼レンズは第1偏光のみを、右眼レンズは第2偏光のみを透過させるから、R、G、Bの色成分別に透過量が異なり、色の歪みが発生することがある。制御部150は、第1偏光の光を透過させる左眼レンズと、第2偏光の光を透過させる右眼レンズとを有する3Dメガネ200を通過した光の色の歪みを補償するように信号処理部120を制御することができる。
【0041】
偏光部140及び3Dメガネ200を通過する光の色の歪みの度合を測定する方法には、下記のようなものがある。
【0042】
その第一に、ディスプレイ装置100は、3Dメガネ200の色の歪み情報及び偏光部140の色の歪み情報の少なくとも一方が記憶された記憶部160をさらに備えることができる。
【0043】
本発明に係るディスプレイ装置100は、手動方式の3D偏光メガネを用いるが、3Dメガネ200は、メーカ及び製造方法が相違し、互換性の側面で限界があるから、光の偏光特性に多少の相違がありうる。そのため、各3Dメガネ200別に、特定偏光状態の光が左眼レンズ及び右眼レンズを透過する際に、RGB色成分別の輝度減少量に関する光プロフィールをあらかじめ測定し、その結果を記憶部160に記憶させておくことができる。この場合、制御部150は、記憶部160に記憶された情報、すなわち、3Dメガネ200別の光プロフィールに基づいて左眼映像及び右眼映像のRGB色成分別に輝度を補償するように信号処理部120を制御することができる。
【0044】
また、偏光部140を構成する偏光フィルターの種類などによって、偏光部140を通過する光の偏光特性が異なることがある。そのため、偏光部140のハイ/ロー電圧の駆動によって偏光される第1偏光及び第2偏光のRGB色成分別の輝度減少量に関する情報をあらかじめ測定し、記憶部160に記憶させておくことができる。この場合、制御部150は、記憶部160に記憶してある情報に基づいてRGB色成分別に輝度を補償するように信号処理部120を制御することができる。
【0045】
第二に、ディスプレイ装置100は、偏光部140を通過する第1偏光及び第2偏光の光の色の歪み度合を測定する色の歪み測定部170をさらに備えることができる。色の歪み測定部170は、偏光部140を通過する光のRGB色成分別輝度レベルを測定して制御部150にフィードバックで伝達し、制御部150は、色の歪み測定部170で測定されたRGB色成分別輝度レベルの減少量に基づいて左眼映像及び右眼映像の輝度を補償することができる。色の歪み測定部170は、偏光部140の前面に設けられると好ましい。
【0046】
ディスプレイ装置100は、ディスプレイパネル130を駆動するパネル駆動部180をさらに備えることができ、パネル駆動部180は、映像信号に対応して、R、G、Bの各色成分の駆動電圧を別々にすることで、ディスプレイパネル130に出力される光量を調節し、その結果、ディスプレイパネル130には様々な映像の表示が可能である。そのため、制御部150は、色の歪み度合に応じて、ディスプレイパネル130に出力されるパネル駆動部のR、G、Bのそれぞれの駆動電圧を調整し、R、G、Bのそれぞれの輝度レベルを変化させることで、色の歪みを補償することができる。
【0047】
制御部150の色の歪み補償の結果として出力される映像のR、G、B別輝度成分の変化は、図4に示す通りになる。
【0048】
図4の(a−1)及び(a−2)は、ユーザーにフルホワイトカラーを認知してもらうために、色の歪み度合に基づき、左眼映像及び右眼映像においてRGBの輝度を補償して出力した、RGBのそれぞれの輝度レベルを示すグラフである。すなわち、記憶部160に記憶されている光プロフィール、または色の歪み測定部170により測定された輝度減少量に基づき、左眼映像についてはR及びB成分の輝度を補償して出力し(a−1)、右眼映像についてはB成分の輝度を補償して出力する(a−2)。偏光部140を通過しながら色の歪みが発生すると、左眼映像ではR及びB成分の輝度レベルが減少し(b−1)、右眼映像ではB成分の輝度レベルが減少する(b−2)。なお、3Dメガネ200を通過しながら、最終的に、左眼映像及び右眼映像におけるRGB成分別輝度レベルが同一になり(c−1、c−2)、ユーザーはフルホワイトカラーを認知することが可能になる。
【0049】
その結果、偏光メガネを着用する方式の3Dディスプレイ装置100において、ユーザーの認知するイメージの画質を改善し、偏光部140の最適設計によっては克服できない、偏光状態の操作による色の歪みの問題を解決することが可能になる。
【0050】
図5は、本発明に係る映像処理方法の第1の実施例を示すフローチャートである。
【0051】
本実施例に係る映像処理方法を行うディスプレイ装置100は、左眼映像及び右眼映像が表示されるディスプレイパネルと、ディスプレイパネルの前面に設けられ、左眼映像を第1偏光、右眼映像を第2偏光の光として通過させる偏光部と、を備える。ディスプレイパネルにはバックライト(図示せず)から出力された光が表示される。ディスプレイパネルは、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)などで具現することができ、偏光部は、入射する光を線偏光または円偏光に偏光させる公知の偏光フィルターで構成することができる。
【0052】
ディスプレイ装置100は、左眼映像及び右眼映像を含む映像信号を受信し(S110)、受信した映像信号をディスプレイパネルに表示可能な形態に処理する(S120)。
【0053】
本実施例では、3Dメガネ200における色の歪み情報及び偏光部における色の歪み情報の少なくとも一方を記憶する段階を含むことができる(S130)。
【0054】
本発明に係るディスプレイ装置100は、手動方式の3D偏光メガネを用いるが、3Dメガネ200は、
本発明に係るディスプレイ装置100は、手動方式の3D偏光メガネを用いるが、3Dメガネ200は、メーカ及び製造方法が相違し、互換性の側面で限界があるから、光の偏光特性に多少の相違がありうる。そのため、各3Dメガネ200別に、特定偏光状態の光が左眼レンズ及び右眼レンズを透過する際に、各色成分別の輝度減少量に関する光プロフィールをあらかじめ測定し、その結果を記憶させることができる。この場合、ディスプレイ装置100は、記憶された情報、すなわち、3Dメガネ200別の光プロフィールに基づいて左眼映像及び右眼映像のRGB色成分別に輝度を補償することができる。
【0055】
また、偏光部140を構成する偏光フィルターの種類などによって、偏光部140を通過する光の偏光特性が異なることがある。そのため、偏光部のハイ/ロー電圧の駆動によって偏光される第1偏光及び第2偏光のRGB色成分別の輝度減少量に関する情報をあらかじめ測定して記憶させることができる。この場合、ディスプレイ装置100は、記憶された情報に基づいてRGB色成分別に輝度を補償することができる。
【0056】
次に、偏光部を通過する第1偏光及び第2偏光の光の色の歪みを補償する(S140)。上述したように、ディスプレイパネル130から出力された光が第1偏光及び第2偏光に偏光されながら、光の色別に波長が異なる特性から、R(red)、G(green)、B(blue)の色の成分別に透過率が異なってくることがあり、図2で説明した通り、各色の成分別に透過する量が異なってくることから、色の歪みが発生することがある。ディスプレイ装置100は、このような各色の成分別輝度レベルの減少量に相当する分だけを先補償することで、色の歪みを低減することができる。
【0057】
ここで、左眼映像及び右眼映像は交互に表示され、偏光部は、3D出力モードでは、左眼映像及び右眼映像を第1偏光及び第2偏光の光として交互に通過させることができる。偏光部には、出力される映像に同期してハイ/ローの電圧が交互に入力される。左眼映像が出力される場合には、ハイ電圧が入力され、左眼映像を第1偏光(例えば、水平偏光)として通過させ、右眼映像が出力される場合には、ロー電圧が入力され、右眼映像を第2偏光(例えば、垂直偏光)として通過させる。
【0058】
ここで、第1偏光及び第2偏光は線偏光であり、偏光方向は相互垂直であってもよく、第1偏光及び第2偏光は円偏光または楕円偏光であり、偏光方向は相互反対方向であってもよい。
【0059】
この場合、ユーザーの着用した3Dメガネ200の左眼レンズは第1偏光のみを通過させ、右眼レンズは第2偏光のみを通過させるようにすることで、ユーザーは、左眼では左眼映像のみを認知でき、右眼では右眼映像のみを認知でき、結果として、出力される映像から立体感を感じることができる。
【0060】
光の偏光特性による色の歪みは、偏光部を通過した映像が、ユーザーの掛けている3Dメガネ200の左眼及び右眼レンズを通過する場合にも発生することがある。3Dメガネ200の左眼レンズは第1偏光のみを、右眼レンズは第2偏光のみを透過させるから、R、G、Bの色成分別に透過量が異なり、色の歪みが発生することがある。ディスプレイ装置100は、第1偏光の光を透過させる左眼レンズと、第2偏光の光を透過させる右眼レンズとを有する3Dメガネ200を通過した光の色の歪みを補償することができる。
【0061】
ここで、色の歪みを補償する段階は、色の歪み度合に基づき、ディスプレイパネルを駆動するR、G、Bの駆動電圧を調整し、出力されるR、G、Bの各色成分の光量を調節することによって、色の歪みを補償することができる。
【0062】
ディスプレイ装置100は、上記段階で色の歪みが補償された映像をディスプレイパネルに表示することによって(S150)、ユーザーの認知するイメージの画質を改善し、偏光部の最適設計によって克服できない、偏光状態の操作による色の歪みの問題を解決することが可能になる。
【0063】
図6は、本発明に係る映像処理方法の第2の実施例を示すフローチャートである。
【0064】
ディスプレイ装置100は、眼映像及び右眼映像を含む映像信号を受信し(S210)、受信した映像信号をディスプレイパネルに表示可能な形態に処理する(S220)。
【0065】
色の歪みの度合を測定する方法に関し、本実施例では、偏光部を通過する第1偏光及び第2偏光の光の色の歪み度合を測定する段階をさらに含むことができる(S230)。ディスプレイ装置100は、偏光部を通過する光のRGB色成分別輝度レベルを測定し、測定された色成分別輝度レベルの減少量に基づいて左眼映像及び右眼映像の輝度を補償することができる(S240)。
【0066】
ディスプレイ装置100は、色の歪みの補償された映像をディスプレイパネルに表示することによって(S250)、ユーザーの認知するイメージの画質を改善し、偏光部の最適設計によって克服できない、偏光状態の操作による色の歪みの問題を解決することが可能になる。
【0067】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施例を説明してきたが、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴から逸脱することなく、他の具体的な実施の形態も可能であるということが理解されるであろう。そのため、以上で記述した実施例はいずれの面においても例示的なもので、限定的なものと理解してはならない。したがって、本発明の範囲は、上記の詳細な説明に限定されず、添付の特許請求の範囲により定められ、特許請求の範囲及びその均等範囲でなされた変更や変形も、本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0068】
100 ディスプレイ装置
110 信号受信部
120 信号処理部
130 ディスプレイパネル
140 偏光部
150 制御部
160 記憶部
170 色の歪み測定部
180 パネル駆動部
200 3Dメガネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左眼映像及び右眼映像を含む映像信号を受信する信号受信部と、
前記映像信号を表示可能な形態に処理する信号処理部と、
前記処理された左眼映像及び右眼映像を表示するディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルの前面に設けられ、前記左眼映像を第1偏光、前記右眼映像を第2偏光の光として通過させる偏光部と、
前記偏光部を通過する第1偏光及び第2偏光の光の色の歪みを補償するように前記信号処理部を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項2】
前記左眼映像及び前記右眼映像は交互に表示され、
前記偏光部は、3D出力モードでは、前記左眼映像及び前記右眼映像を前記第1偏光及び前記第2偏光の光として交互に通過させることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1偏光の光を透過する左眼レンズ及び前記第2偏光の光を透過する右眼レンズを有する3Dメガネを通過した光の色の歪みを補償するように前記信号処理部を制御することを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
3Dメガネにおける色の歪み情報及び前記偏光部における色の歪み情報の少なくとも一方が記憶された記憶部をさらに備え、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された情報に基づいて前記信号処理部を制御することを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記偏光部を通過する前記第1偏光及び前記第2偏光の光の色の歪み度合を測定する色の歪み測定部をさらに備え、
前記制御部は、前記色の歪み測定部の測定結果に基づいて前記映像を補償するように制御することを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記ディスプレイパネルを駆動するパネル駆動部をさらに備え、
前記制御部は、前記色の歪み度合に基づき、前記パネル駆動部のR、G、Bの駆動電圧が調整されるように制御することを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記偏光部は、前記第1偏光及び前記第2偏光を線偏光として通過させ、
前記第1偏光及び前記第2偏光の偏光方向は、相互垂直であることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記偏光部は、前記第1偏光及び前記第2偏光を円偏光として通過させ、
前記第1偏光及び前記第2偏光の偏光方向は、相互反対方向であることを特徴とする、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
左眼映像及び右眼映像が表示されるディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの前面に設けられ、前記左眼映像を第1偏光、前記右眼映像を第2偏光の光として通過させる偏光部と、を備えるディスプレイ装置における映像処理方法であって、
左眼映像及び右眼映像を含む映像信号を受信する段階と、
前記映像信号を表示可能な形態に処理する段階と、
前記偏光部を通過する第1偏光及び第2偏光の光の色の歪みを補償する段階と、
を含むことを特徴とする映像処理方法。
【請求項10】
前記左眼映像及び前記右眼映像は交互に表示され、
前記偏光部は、3D出力モードでは、前記左眼映像及び前記右眼映像を前記第1偏光及び第2偏光の光として交互に通過させることを特徴とする、請求項9に記載の映像処理方法。
【請求項11】
前記色の歪みを補償する段階は、
前記第1偏光の光を透過する左眼レンズ及び前記第2偏光の光を透過する右眼レンズを有する3Dメガネを通過した光の色の歪みを補償する段階を含むことを特徴とする、請求項9に記載の映像処理方法。
【請求項12】
3Dメガネの色の歪み情報及び前記偏光部の色の歪み情報の少なくとも一方を記憶する段階をさらに含み、
前記色の歪みを補償する段階は、
前記記憶された情報に基づいて前記色の歪みを補償することを特徴とする、請求項9に記載の映像処理方法。
【請求項13】
前記偏光部を通過する前記第1偏光及び前記第2偏光の光の色の歪み度合を測定する段階をさらに含み、
前記色の歪みを補償する段階は、
前記測定された色の歪み度合に基づいて前記色の歪みを補償することを特徴とする、請求項9に記載の映像処理方法。
【請求項14】
前記色の歪みを補償する段階は、
前記色の歪み度合に基づき、前記ディスプレイパネルを駆動するR、G、Bの駆動電圧を調整することによって、前記色の歪みを補償することを特徴とする、請求項9に記載の映像処理方法。
【請求項15】
前記偏光部は、前記第1偏光及び前記第2偏光を線偏光として通過させ、
前記第1偏光及び前記第2偏光の偏光方向は、相互垂直であることを特徴とする、請求項9に記載の映像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−81167(P2013−81167A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−209581(P2012−209581)
【出願日】平成24年9月24日(2012.9.24)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】