説明

ディスプレイ装置

【課題】密に配置された複数の発光ダイオードによる明確な表示を実現できるとともに、取付対象としての曲面部位に違和感なく取り付けることができ、省スペース化を図り得る簡潔な構成で且つ低コストであるディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】本装置1は、表面に複数の発光ダイオード(赤色LED7)が配設された平板状の基板2と、前記基板の表面側を覆うように設けられ、前記複数の発光ダイオードからの光を表示し、透光性を有する曲面板状の表示パネル3と、前記基板と前記表示パネルとの間に設けられ、該基板側の面が該基板の表面に沿う平面に形成され且つ該表示パネル側の面が該表示パネルの表面に沿う曲面に形成され、前記複数の発光ダイオードのそれぞれを互いに独立して収容する複数の貫通孔8が形成された収容部材4と、前記表示パネルの表面と前記収容部材の曲面とを接着し、透光性を有する接着層5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置に関し、さらに詳しくは、密に配置された複数の発光ダイオードによる明確な表示を実現できるとともに、取付対象としての曲面部位に違和感なく取り付けることができ、さらに省スペース化を図り得る簡潔な構成で且つ低コストであるディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のディスプレイ装置として、複数の発光ダイオードを並べて配設し、これら発光ダイオードの点灯・消灯を切り替えて全体として文字等の表示を行うものが一般に知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、複数の発光ダイオード(LED1)の表面側に発光ダイオードの光を表示する平板状のシート部材3を設けてなるディスプレイ装置が開示されている。しかし、この特許文献1の技術では、複数の発光ダイオードが互いに独立して仕切られていないので、特に複数の発光ダイオードが密に配置されている場合には、隣接する発光ダイオードの光が互いに重なって表示内容が不明確となってしまう。また、平板状のシート部材を採用しているので、ディスプレイ装置を取付対象としての曲面部位に取り付けると違和感が生じてしまう。
【0004】
そこで、上記問題を解決するディスプレイ装置として様々なものが提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
【0005】
上記特許文献2には、複数の発光ダイオード(LED41)の基板40とこれら発光ダイオードの光を表示する曲面板状の表示パネル(エレクトリックルミネセントランプ70)との間に、各発光ダイオードを独立して収容する複数の挿入孔43が形成されたハウジング42を設けてなるディスプレイ装置が開示されている(引用文献2の段落〔0038〕及び図5等参照)。この特許文献2の技術によると、各発光ダイオードの光がハウジング42の各挿入孔43を通って表示パネルに明確に表示される。また、表示パネルが曲面板状に形成されているため、ディスプレイ装置を取付対象としての曲面部位に取り付けても違和感がない。
【0006】
上記特許文献3には、複数の発光ダイオードの基板71aとこれら発光ダイオードの光を表示する曲面板状のパネル2との間に、各発光ダイオードの光を導く複数の導光部材6を設けてなるディスプレイ装置が開示されている(引用文献3の段落〔0032〕及び図2等参照)。この特許文献3の技術によると、複数の発光ダイオードの光が複数の導光部材6を通ってパネル2に明確に表示される。また、パネル2が曲面板状に形成されているため、ディスプレイ装置を取付対象としての曲面部位に取り付けても違和感がない。
【0007】
しかし、上記特許文献2の技術では、曲面板状の基板40(フィルム基板)を採用しているため、その基板ひいてはディスプレイ装置が高コストとなってしまう。また、複数の発光ダイオードが密に配置されている場合には、曲面板状の基板上に配置された隣接する発光ダイオードが互いに接触してしまうため、曲面板状の基板を採用することができない。
【0008】
また、上記特許文献3の技術では、多数の導光部材を採用しているので、パネルと基板との間隔が比較的広い複雑な構造となってしまい、ディスプレイ装置の全体の省スペース化を図ることができない。また、多数の導光部材が必要となり、部品点数が増え、それにより導光部材の取付作業性が悪くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−62441号公報
【特許文献2】特開平9−173558号公報
【特許文献3】特開2008−290685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、密に配置された複数の発光ダイオードによる明確な表示を実現できるとともに、取付対象としての曲面部位に違和感なく取り付けることができ、さらに省スペース化を図り得る簡潔な構成で且つ低コストであるディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の通りである。
1.表面に複数の発光ダイオードが配設された平板状の基板と、
前記基板の表面側を覆うように設けられ、前記複数の発光ダイオードからの光を表示し、透光性を有する曲面板状の表示パネルと、
前記基板と前記表示パネルとの間に設けられ、該基板側の面が該基板の表面に沿う平面に形成され且つ該表示パネル側の面が該表示パネルの表面に沿う曲面に形成され、前記複数の発光ダイオードのそれぞれを互いに独立して収容する複数の貫通孔が形成された収容部材と、
前記表示パネルの表面と前記収容部材の曲面とを接着し、透光性を有する接着層と、を備えることを特徴とするディスプレイ装置。
2.前記接着層は、ポリエステルフィルム層の両面にアクリル系粘着剤層を積層してなる上記1.記載のディスプレイ装置。
3.前記接着層はアクリル系粘着剤層からなる上記1.記載のディスプレイ装置。
4.前記接着層の厚さは0.05〜0.20mmである上記1.乃至3.のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
5.前記表示パネルの厚さは0.2〜0.4mmである上記1.に記載のディスプレイ装置。
6.前記表示パネルと前記基板との最小間隔は0.5〜1.2mmである上記1.に記載のディスプレイ装置。
7.前記複数の発光ダイオードのうちの隣接する発光ダイオードの中心間隔は2.0〜3.0mmである上記1.に記載のディスプレイ装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明のディスプレイ装置によると、基板上に配設された各発光ダイオードの光は、収容部材の各貫通孔を通って接着層に至り、透光性を有する接着層及び表示パネルを透過して表示パネルの表示面に表示される。このように、複数の貫通孔を有する収容部材と透光性を有する接着層とにより複数の発光ダイオードの光を表示パネルに表示するようにしたので、各発光ダイオードの光に高い指向性を持たせて隣接する発光ダイオードの光を互いに重なり難くでき、密に配置された複数の発光ダイオードによる明確な表示を実現することができる。また、従来のように導光部材を介して発光ダイオードの光を表示するものに比べて、省スペース化を図り得る簡潔な構造とすることができる。また、接着層は、収容部材と表示パネルとを接着する役割を具備しつつ、透光性を有するので、複数の発光ダイオードからの光を拡散させずに表示パネルに明確に表示させることができる。また、接着層により表示パネル及び収容部材の成形誤差が吸収されるため、表示パネルと収容部材との曲面同士の追従性を高めることができる。また、表示パネルが曲面板状に形成されているので、ディスプレイ装置を取付対象としての曲面部位に違和感なく取り付けることができる。さらに、表示パネルにより基板及び収容部材の表面側が覆われているので、発光ダイオードの非発光時に発光ダイオード及び収容部材の貫通孔を認識させ難くでき意匠性を高めることができる。
また、前記接着層が、ポリエステルフィルム層の両面にアクリル系粘着剤層を積層してなる場合は、接着層の透光性をより高めて発光ダイオードからの光の拡散をより確実に抑制することができる。また、ポリエステルフィルム層の採用により、接着層に高い防湿性及び防水性を持たせることができるので、湿気等による赤色LED7や基板2等の故障を防止することができる。
また、前記接着層がアクリル系粘着剤層からなる場合は、接着層の薄肉化を図り、その透光性をより高めて発光ダイオードからの光の拡散をより確実に抑制することができる。
また、前記接着層の厚さが0.05〜0.20mmである場合は、接着層の透光性をより高めて発光ダイオードからの光の拡散をより確実に抑制できるとともに、接着層に適切な接着性を持たせることができる。
また、前記表示パネルの厚さが0.2〜0.4mmである場合は、表示パネルの透光性をより高めて発光ダイオードからの光の拡散をより確実に抑制できるとともに、発光ダイオードの非発光時に表示パネルにより覆われる発光ダイオード及び収容部材の貫通孔をより確実に認識させ難くできる。
また、前記表示パネルと前記基板との最小間隔が0.5〜1.2mmである場合は、表示パネルと基板との対向間隔を比較的狭いものにでき、密に配置された複数の発光ダイオードによる更に明確な表示を実現することができる。
さらに、前記複数の発光ダイオードのうちの隣接する発光ダイオードの中心間隔が2.0〜3.0mmである場合は、極めて密に配置された複数の発光ダイオードによる更に明確な表示を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
【図1】実施例に係るディスプレイ装置を表示面側から見た分解斜視図である。
【図2】上記ディスプレイ装置を反表示面側から見た分解斜視図である。
【図3】上記ディスプレイ装置を模式的に示す縦断面図である。
【図4】実施例に係る基板を示す平面図である。
【図5】実施例に係る接着層を示す縦断面図である。
【図6】その他の形態の接着層を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
【0015】
1.ディスプレイ装置
本実施形態1.に係るディスプレイ装置は、以下に述べる基板、表示パネル、収容部材及び接着層を備える。
【0016】
上記「基板」は、表面に複数の発光ダイオードが配設され平板状に形成されている限り、その構造、形状、大きさ、材質等は特に問わない。これら複数の発光ダイオードは、例えば、マトリックス状に配設されていることができる。また、これら複数の発光ダイオードのうちの隣接する発光ダイオードの中心間隔(s1)は、例えば、2.0〜3.0mm(好ましくは2.25〜2.75mm、特に2.4〜2.6mm)であることができる(例えば、図3参照)。また、各発光ダイオードは、例えば、直径が1.5〜3.0mm(好ましくは1.5〜2.5mm、特に1.9〜2.2mm)の円内に配置され得る大きさとされていることができる。
【0017】
上記「表示パネル」は、上記基板の表面側を覆うように設けられ、複数の発光ダイオードからの光を表示し、透光性を有し、曲面板状に形成されている限り、その構造、形状、大きさ、材質等は特に問わない。この表示パネルの厚さ(t1)は、例えば、0.2〜0.4mm(好ましくは0.2〜0.3mm)であることができる(例えば、図3参照)。また、この表示パネルと上記基板との最小間隔(s2)は、例えば、0.5〜1.2mm(好ましくは0.75〜1.2mm、特に1.0〜1.2mm)であることができる(例えば、図3参照)。また、この表示パネルと上記基板との最大間隔(s3)は、例えば、2〜5mm(好ましくは2〜4mm、特に2.5〜3.5mm)であることができる(例えば、図3参照)。これにより、表示パネルと基板との対向間隔を比較的狭いものにでき、密に配置された複数の発光ダイオードによる更に明確な表示を実現できるとともに、それらの対向間隔に配置される収納部材の必要な強度を確保することができる。また、この表示パネルの材質としては、例えば、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)等のポレオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PCV)、アクリル樹脂(PMMA等)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等を挙げることができる。
【0018】
上記「収容部材」は、上記基板と表示パネルとの間に設けられ、基板側の面が基板の表面に沿う平面に形成され且つ表示パネル側の面が表示パネルの表面に沿う曲面に形成され、複数の発光ダイオードのそれぞれを互いに独立して収容する複数の貫通孔が形成されている限り、その構造、形状、大きさ、材質等は特に問わない。また、この収容部材の材質としては、例えば、アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)等のポレオレフィン、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PCV)、アクリル樹脂(PMMA等)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)等を挙げることができる。また、各貫通孔の平面形状としては、例えば、円形、楕円形、多角形(例えば、正方形、六角形等)を挙げることができる。この各貫通孔が円形である場合、各貫通孔の直径は、例えば、1.5〜3.0mm(好ましくは1.5〜2.5mm、特に1.9〜2.2mm)であることができる。
【0019】
上記「接着層」は、上記表示パネルの表面と収容部材の曲面とを接着(粘着)し、透光性を有する限り、その構造、形状、大きさ、材質等は特に問わない(なお、上記接着層とは、粘着層をも含む広い意味として用いる)。この接着層としては、例えば、(1)ポリエステルフィルム層の両面にアクリル系粘着剤層を積層してなる形態(例えば、図5参照)、(2)アクリル系粘着剤層からなる形態(例えば、図6参照)等を挙げることができる。上記(1)(2)形態において、上記アクリル系粘着剤層としては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸‐2−エチルヘキシル等の1種以上のアクリル酸エステルを乳化重合して作られるアクリルエマルジョン粘着剤層等を挙げることができる。また、粘着剤の粘着付与剤としては、ロジン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、クマロン・インデン樹脂等を挙げることができる。また、上記(1)形態において、上記ポリエステルフィルム層の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテフレタレート(PBT)等を挙げることができる。また、上記接着層の厚さ(t2)は、例えば、0.05〜0.20mm(好ましくは0.10〜0.20mm、特に0.10〜0.15mm)であることができる(例えば、図3参照)。
【0020】
ここで、本実施形態1.に係るディスプレイ装置としては、例えば、上記表示パネルが青色であり、上記発光ダイオードが、赤色発光ダイオードであり且つ発光光度が200〜400mcd(好ましくは250〜400mcd、特に300〜400mcd)である形態を挙げることができる。これにより、密に配置された複数の発光ダイオードによる更に明確な表示を実現することができる。また、この形態では、上記収容部材が灰色であることが好ましい。発光ダイオードの非点灯時に収容部材の各貫通孔を更に確実に認識させ難くできるためである。なお、上記青色とは青の他に藍も含み、上記赤色とは赤の他に茶、濃茶も含むものとする。また、加色方法としては、例えば、加色材(顔料)を加えて樹脂成形する形態、色付きの塗膜を形成する形態等を挙げることができる。
【実施例】
【0021】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、本発明に係る「ディスプレイ装置」としてドアトリム等の車両内装材として用いられるディスプレイ装置を例示する。
【0022】
(1)ディスプレイ装置の構成
本実施例に係るディスプレイ装置1は、図1〜図3に示すように、平板状の基板2、透光性を有する曲面板状の表示パネル3、収容部材4、及び透光性を有する接着層5を備えている。
【0023】
上記基板2の表面には、複数の赤色LED7(本発明に係る「発光ダイオード」として例示する。)がマトリックス状に配設されている(図4参照)。これらの赤色LED7のうちの隣接する赤色LED7の中心間隔s1は約2.5mmとされている(図3参照)。また、各赤色LED7は、直径が約2.0mmの円内に配置され得る大きさとされている。また、各赤色LED7の発光光度は約300mcdとされている。
【0024】
上記表示パネル3は、青色(研彩館インターナショナル株式会社No.SCOTDIC673006)のポリカーボネート樹脂製である。この表示パネル3は、上記基板2の表面側を覆うように設けられている。また、この表示パネル3は、複数の赤色LED7からの光を表示する表示面3aを有している。また、この表示パネル3の厚さt1は約0.25mmとされている(図3参照)。また、この表示パネル3と基板2との最小間隔s2は約1.15mmとされ、表示パネル3と基板2との最大間隔s3は約3.15mmとされている(図3参照)。
【0025】
上記収容部材4は、灰色(社団法人日本塗料工業会No.YN−55)のABS樹脂製である。この収容部材4は、表示パネル3と略同じ平面形状を有するベース部材6に取り付けられ、上記基板2と表示パネル3との間に設けられている。また、この収容部材4は、基板2側の面が基板2の表面に沿う平面4aに形成され且つ表示パネル3側の面が表示パネル3の表面に沿う曲面4bに形成されている(図3参照)。また、この収容部材4には、各赤色LED7のそれぞれを互いに独立して収容する複数の貫通孔8が形成されている。これら各貫通孔8の平面形状は、直径が約2.0mmの円形とされている。なお、上記ベース部材6には、このベース部材6に基板2を取り付ける際に基板2の側縁部を案内して位置決めするガイド部6aが設けられている(図3参照)。
【0026】
上記接着層5は、表示パネル3と略同じ平面形状を有している。この接着層5は、上記表示パネル3の表面(表示面3aの反対側の面)と収容部材4の曲面4bとを接着している。この接着層5は、図5に示すように、ポリエチレンテレフタレート製のフィルム層10(本発明の「ポリエステルフィルム層」として例示する。)の両面にアクリル系粘着剤層11,11を積層してなされている。また、この接着層5の厚さt2は約0.15mmとされている。
【0027】
(2)ディスプレイ装置の作用
次に、上記構成のディスプレイ装置1の作用について説明する。
点灯された複数の赤色LED7の光は、収容部材4の各貫通孔8を通って接着層5に至り、透光性を有する接着層5及び表示パネル3を透過して表示パネル3の表示面3aに至る。したがって、各赤色LED7を点灯・消灯を切り替えることによって、表示パネル3の表示面3aには、車両速度、車両状態、バッテリー残量、エラー情報等の情報が表示されることとなる。
【0028】
(3)実施例の効果
以上より、本実施例のディスプレイ装置1では、複数の貫通孔8を有する収容部材4と透光性を有する接着層5とにより複数の赤色LED7の光を表示パネル3の表示面3aに表示するようにしたので、各赤色LED7の光に高い指向性を持たせて隣接する赤色LED7の光を互いに重なり難くでき、密に配置された複数の赤色LED7による明確な表示を実現することができる。また、従来のように導光部材を介して発光ダイオードの光を表示するものに比べて、省スペース化を図り得る簡潔な構造とすることができる。また、接着層5は、収容部材4と表示パネル3とを接着する役割を具備しつつ、透光性を有するので、複数の赤色LED7からの光を拡散させずに表示パネル3の表示面3aに明確に表示させることができる。また、接着層5により表示パネル3及び収容部材4の成形誤差が吸収されるので、表示パネル3と収容部材4との曲面同士の追従性を高めることができる。また、表示パネル3が曲面板状に形成されているので、ディスプレイ装置1を取付対象としての曲面部位に違和感なく取り付けることができる。さらに、表示パネル3により基板2及び収容部材4の表面側が覆われているので、赤色LED7の非発光時に赤色LED7及び収容部材4の貫通孔8を認識させ難くでき意匠性を高めることができる。
【0029】
また、本実施例では、接着層5を、フィルム層10の両面にアクリル系粘着剤層11,11を積層してなるようにしたので、接着層5の透光性をより高めて赤色LED7からの光の拡散をより確実に抑制することができる。また、ポリエチレンテレフタレート製のフィルム層10の採用により、接着層5に高い防湿性及び防水性を持たせることができるので、湿気等による赤色LED7や基板2等の故障を防止することができる。
【0030】
また、本実施例では、接着層5の厚さt2を約0.15mmとしたので、接着層5の透光性をより高めて赤色LED7からの光の拡散をより確実に抑制できるとともに、接着層5に適切な接着性を持たせることができる。
【0031】
また、本実施例では、表示パネル3の厚さt1を約0.25mmとしたので、表示パネル3の透光性をより高めて赤色LED7からの光の拡散をより確実に抑制できるとともに、赤色LED7の非発光時に表示パネル3により覆われる赤色LED7及び収容部材4の貫通孔8をより確実に認識させ難くできる。
【0032】
また、本実施例では、表示パネル3と基板2との最小間隔s2を約1.15mmとし、表示パネル3と基板2との最大間隔s3を約3.15mmとしたので、表示パネル3と基板2との対向間隔を比較的狭いものにでき、密に配置された複数の赤色LED7による更に明確な表示を実現することができる。
【0033】
また、本実施例では、複数の赤色LED7のうちの隣接する赤色LED7の中心間隔s1を約2.5mmとしたので、極めて密に配置された複数の赤色LED7による更に明確な表示を実現することができる。
【0034】
さらに、本実施例では、表示パネル3を青色とし、赤色LED7の発光光度を約300mcdとしたので、密に配置された複数の赤色LED7による更に明確な表示を実現することができる。特に、本実施例では、上記収容部材4を灰色としたので、赤色LED7の非点灯時に収容部材4の各貫通孔8を更に確実に認識させ難くできる。
【0035】
なお、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例では、3層構造の接着層5を例示したが、これに限定されず、例えば、図6に示すように、1層のアクリル系粘着剤層11のみからなる接着層15としてもよい。この場合、接着層15の更なる薄肉化を図り、その透光性をより高めて赤色LED7からの光の拡散をより確実に抑制することができる。
【0036】
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
【0037】
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
文字、図柄、アニメーション等の情報を表示する技術として広く利用される。特に、乗用車、バス、トラック等の他、列車、汽車等の鉄道車両、建設車両、農業車両、産業車両などの車両用の内装材又は外装材として用いられるディスプレイ装置として好適に利用される。
【符号の説明】
【0039】
1;ディスプレイ装置、2;基板、3;表示パネル、4;収容部材、5;接着層、7;赤色LED、8;貫通孔、10;フィルム層、11;アクリル系粘着剤層、s1;赤色LEDの中心間隔、s2;表示パネルと基板との最小間隔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に複数の発光ダイオードが配設された平板状の基板と、
前記基板の表面側を覆うように設けられ、前記複数の発光ダイオードからの光を表示し、透光性を有する曲面板状の表示パネルと、
前記基板と前記表示パネルとの間に設けられ、該基板側の面が該基板の表面に沿う平面に形成され且つ該表示パネル側の面が該表示パネルの表面に沿う曲面に形成され、前記複数の発光ダイオードのそれぞれを互いに独立して収容する複数の貫通孔が形成された収容部材と、
前記表示パネルの表面と前記収容部材の曲面とを接着し、透光性を有する接着層と、を備えることを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項2】
前記接着層は、ポリエステルフィルム層の両面にアクリル系粘着剤層を積層してなる請求項1記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記接着層はアクリル系粘着剤層からなる請求項1記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記接着層の厚さは0.05〜0.20mmである請求項1乃至3のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記表示パネルの厚さは0.2〜0.4mmである請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記表示パネルと前記基板との最小間隔は0.5〜1.2mmである請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記複数の発光ダイオードのうちの隣接する発光ダイオードの中心間隔は2.0〜3.0mmである請求項1に記載のディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−2579(P2011−2579A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144549(P2009−144549)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】