説明

ディスペンサ

【課題】飲料水の冷却時に、飲料水の凍結を防ぐことのできるディスペンサを提供する。
【解決手段】ディスペンサ1の電源がONになると、制御Aが開始され、優先的に蓄氷運転が行われる(ステップS1)。続くステップS2において、冷却水槽7内に氷がある場合には、ステップS1の制御Aを継続する。一方、氷がないと共に冷水の注出もない場合には、ステップS1の制御Aを継続するが、注出が行われれば、制御Bが開始される(ステップS4)。続くステップS5において、冷却水槽7内に氷が形成され始めると、ステップS1に戻って制御Aを開始する。一方、氷がないにも関らず注出があった場合には(ステップS6)、ステップS4に戻って制御Bが開始され、一定時間の間に注出がない場合には(ステップS6)、制御Cが行われ、蓄氷運転が行われる。(ステップS7)。制御Cでは、ステップS6の判断が継続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ディスペンサに係り、とくに、アイスバンク方式のディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアイスバンク方式のディスペンサの構造が、例えば特許文献1等に記載されている。このようなディスペンサのうち、冷水を提供するためのディスペンサの構造を図7に示す。ディスペンサ40は冷却水槽41を備え、冷却水槽41の内周面には、冷却水槽41中の冷却水を冷却するために、管状の冷却器42が巻回されている。冷却器42には、それぞれ図示しない圧縮機、凝縮器及び膨張弁が順次接続されて冷凍装置を構成する。この冷凍装置に冷媒が循環すると、冷却器42において、冷媒と冷却水との間で熱交換が行われて冷却水が冷却され、冷却水槽41中に氷が形成される。
【0003】
形成された氷量を検出するために、冷却水槽には、蓄氷電極44が設けられている。図8に示されるように、冷却水槽41の内周面41a付近において、冷却水槽41の底面41bに固定部材45が固定されており、冷却器42及び蓄氷電極44は、固定部材45に取り付けられている。蓄氷電極44は、2つの電極センサ44a,44bから構成され、それぞれ固定部材45に対して冷却器42と反対側に、冷却器42の中心部から電極センサの端部までの距離がdとなるように取り付けられている。
氷47は、冷却器42の周りに、徐々に厚さが増すように板状に成長していく。この際、氷47の厚さが均一に成長するように、攪拌モータ46(図8参照)が冷却水を攪拌する。
【0004】
次に、氷を形成するための蓄氷運転の制御について、図9に基づいて説明する。
任意の時間tにおいて電源がONになると、攪拌モータ46の運転が開始され(ONとなり)、電源がOFFにならない限り、攪拌モータ46の運転は継続される。冷凍装置については、電源がONになると同時に、運転が開始される(ONとなる)。冷凍装置の運転開始後、時間tにおいて氷が形成し始める。時間tからtの間は、時間の経過とともに冷却水温度が低下し続け、0℃未満の過冷却状態となる。氷が形成し始めると、冷却水温度は0℃まで急上昇する。
形成される氷量が徐々に増加していき、時間tになると、蓄氷電極44が氷で覆われるようになる。2つの電極センサ44a,44bが共に氷で覆われていない場合には、冷却水を介して電極センサ間で通電が起こるが、どちらか一方でも氷で覆われるようになると、冷却水を介しての通電が起こらなくなる。このことを利用して、氷47の厚さがD(図9参照)になったか否かを検出する。氷の厚さがDになったことを検出した場合は、冷凍装置の運転が停止される(OFFになる)。冷凍装置の運転がOFFの間に、冷却水槽41中の氷が溶け、時間tにおいて、2つの電極センサ44a,44bが共に氷で覆われないようになると、電極センサ間で通電が起こる。これにより、冷凍装置の運転が再開され、再び蓄氷電極44が氷で覆われるようになるまで(時間t)、冷凍装置の運転が継続される。
【0005】
一方、冷却コイル43は、注出コック49と連動する電磁弁48を介して、水道に連結されている。冷水を注出するために注出コック49を操作すると、電磁弁48が開いて、水道から水道水が冷却コイル43に給水される。水道水は、冷却コイル43内を流通する際、冷却水と熱交換を行うことによって冷却される。冷却された水道水は、注出コック49から冷水として注出される。冷水の注出が終わり、注出コック49の操作を終了させると、電磁弁48が閉じ、冷却コイル43への水道水の給水が遮断される。
【0006】
【特許文献1】特開2003−165600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、時間tからtの間において、冷却水が過冷却状態となる時間帯に注出コックから冷水を注出すると、水道水が冷却コイル43内を流通する際、過冷却状態の冷却水と熱交換することによって、綿氷が発生する。この状態で注出を繰り返すと、綿氷が下流に溜まり、水圧によって綿氷が圧縮されて氷の塊となり、さらに冷却水による冷却により、この氷の塊が成長する。この結果、冷却コイル43から注出コックまでの間において閉塞が発生するため、閉塞箇所より上流側の圧力が異常に上昇するといった問題点があった。
また、冷水の注出操作が頻繁であったりすると、冷凍装置による氷の形成が間に合わず、冷却水槽41内の氷が全て溶けてなくなってしまう場合がある。この状態を経て再び氷が形成される際には、冷却水は必ず過冷却状態を経ることになるため、上記問題点の生じる可能性が高くなってしまう。
【0008】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、飲料水の冷却時に、飲料水の凍結を防ぐことのできるディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るディスペンサは、冷却水を貯水する冷却水槽と、冷却水を冷却する冷凍装置と、冷却水を攪拌する攪拌手段と、冷却水が冷却されることによって形成された冷却水槽内の氷の量が、第一の所定量に達していることを検出する満氷検出手段と、氷の量が、第一の所定量よりも少ない第二の所定量に達していることを検出する氷有無検出手段と、氷有無検出手段及び満氷検出手段の検出値に基づいて、冷凍装置及び攪拌手段の運転を制御する制御装置とを備え、満氷検出手段が、氷の量が第一の所定量に達していることを検出した場合、制御装置は、冷凍装置及び攪拌手段の運転を停止し、氷有無検出手段が、氷の量が第二の所定量に達していることを検出すると共に、満氷検出手段が、冷却水槽内の氷が満氷でないことを検出した場合、制御装置は、冷凍装置及び攪拌手段の運転を開始することを特徴とする。
また、この発明に係るディスペンサは、飲料水が流通する給水管と、給水管と連通し、冷却水槽内に設けられ、飲料水が流通する際に、冷却水との熱交換により飲料水が冷却される冷却管と、冷却管と連通し、冷却された飲料水が注出される注出コックと、上限温度及び下限温度が設定された、冷却水の温度を検出する水温検出手段と、冷却管において冷却された飲料水を、注出コックから注出していることを検出する注出検出手段とを備え、制御装置は、さらに、水温検出手段及び注出検出手段にも基づいて、冷凍装置及び攪拌手段の運転を制御し、氷有無検出手段が、氷が第二の所定量に達していることを検出しない場合であって、水温検出手段が冷却水の温度が下限温度を下回ったことを検出すると共に、注出検出手段が、注出コックから飲料水を注出していることを検出した時には、制御装置が冷凍装置及び攪拌手段の運転を停止し、冷凍装置及び攪拌手段の運転停止後であって、注出検出手段が注出コックから飲料水が注出されたことを検出した時には、制御装置は、攪拌手段の運転を開始することを特徴とする。
さらに、この発明に係るディスペンサは、制御装置は、注出コックから飲料水を注出してからの経過時間を計測し、水温検出手段が、冷却水の温度が上限温度を上回ったことを検出した場合と、注出検出手段が、制御装置に任意に設定可能な所定時間内に、注出コックから飲料水が注出されたことを検出しない場合とのうち、少なくとも一方の場合には、制御装置が冷凍装置及び攪拌手段の運転を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、満氷検出手段、氷有無検出手段、水温検出手段、及び注出検出手段の検出値に基づいて、冷凍装置及び攪拌手段の運転を制御するようにしたので、飲料水の冷却時に、給水管及び冷却管内において、飲料水の凍結を防ぐことができる。これにより、給水管及び冷却管には異常圧力がかからなくなるため、これらの破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示されるように、この発明の実施の形態に係るディスペンサ1は、給水管2が図示しない水道に連結されている。給水管2には、水道水圧を減圧するための減圧装置3、ディスペンサ1への水道水の供給を制御する電磁弁4、手動閉止バルブ5及び逆流を防止するショックアブソーバ6が設けられている。
冷却水槽7内には、内コイル及び外コイルが並列に構成されている冷却コイル8が設けられ、ショックアブソーバ6を介して給水管2と連結している。冷却水槽7内周面には、冷却水槽7内の冷却水を冷却するための冷却器9が設けられている。冷却器9、圧縮機10、凝縮器11、及び図示しない膨張弁が順次接続されて冷凍装置20が構成され、圧縮機10によって、冷凍装置20内を冷媒が循環するようになっている。
また、冷却水槽7内には、冷却水の水温検出手段であるサーミスタ15、冷却水槽7内の氷量を検出する中間電極16及び蓄氷電極17が設けられている。さらに、冷却水槽7の下方には、冷却水の攪拌手段である攪拌モータ12が設けられている。
【0012】
冷却コイル8の下流端部には注出管13が接続され、注出管13の他端には、冷水を注出する注出コック14が設けられている。注出コック14と電磁弁4とは電気的に接続されて連動するようになっており、注出コック14から冷水が注出されると電磁弁4が開き、水道から冷却コイル8へ水道水が供給される。一方、注出コック14から冷水の注出が停止すると電磁弁4は閉じ、冷却コイル8への水道水の供給が停止する。また、注出コック14には、注出コック14から冷却された水道水(冷水)が注出されているか否かを検出する注出検出手段である注出検出スイッチ18が設けられている。
さらに、制御装置19が設けられており、この制御装置19には、圧縮機10、攪拌モータ12、サーミスタ15、中間電極16、蓄氷電極17、及び注出検出スイッチ18が電気的に接続されている。
【0013】
次に、中間電極16及び蓄氷電極17の構成を、図2に基づいて説明する。
図2に示されるように、冷却水槽7の内周面7a付近において、冷却水槽7の底面7bに固定部材21が固定されており、冷却器9は固定部材21に固定されている。蓄氷電極17は、2つの電極センサ17a,17bから構成され、それぞれ固定部材21に対して冷却器9と反対側に、冷却器9の中心部から電極センサ17a,17bの端部までの距離がdとなるように取り付けられている。中間電極16は、蓄氷電極17を構成する2つの電極センサ17a,17bと同じ電極センサで構成され、巻回された冷却器9の間に位置するように、固定部材21に取り付けられている。
【0014】
氷は、冷却器9の周りに、徐々に厚さが増すように板状に成長していく。この際、氷22の厚さが均一に成長するように、攪拌モータ12が冷却水を攪拌する。中間電極16及び蓄氷電極17を構成する電極センサ17a,17bの合計3つの電極センサ間では、冷却水を介して通電が起こっている。冷却水中では電流が流れるが、氷中では電流は流れない。この性質を利用し、各電極センサが氷で覆われているか否かを判断でき、これにより、氷22の厚さを検出することができる。
中間電極16が氷で覆われてしまう時の氷22の厚さ(氷22の量)を第二の所定量とすると、中間電極16は、氷の形成し始めにおける僅かの量の氷でも覆われてしまう位置にあるため、氷22の量が第二の所定量に達したことを検出することによって、冷却水槽7内に氷が存在するか否かを検出することができる。ここで、中間電極16は、氷有無検出手段を構成する。一方、蓄氷電極17は、固定部材21に取り付ける際、距離dを調整することにより、蓄氷電極17が氷で覆われる時の氷22の厚さDを調整することができる。このときの氷22の厚さD(氷22の量)を第一の所定量とし、この第一の所定量を満氷と規定する。蓄氷電極17は、第一の所定量の氷が存在することを検出することで、満氷であることを検出する。ここで、蓄氷電極17は、満氷検出手段を構成する。
【0015】
次に、この実施の形態に係るディスペンサの動作を説明する。
図1に示されるように、ディスペンサ1の電源を入れると圧縮機10が起動し、冷凍装置20内を冷媒が循環する。冷媒の循環により冷却器9が冷却され、冷却器9と冷却水槽7内の冷却水とが熱交換を行うことによって、冷却水が冷却されて氷が形成される。また、冷凍装置20の運転開始から所定のタイミングで攪拌モータ12が運転されると、冷却水槽7内の冷却水が攪拌されて、冷却水は効率的に冷却される。さらに、この攪拌により、後述する冷却コイル8内の水道水と冷却水との熱交換効率を高める効果も得られる。
【0016】
ユーザーが、注出コック14から冷水を注出するために、注出コック14を作動すると、電磁弁4が開いて、水道から供給された水道水は給水管2を流通し、減圧装置3によって、水道水圧が適正な圧力に減圧される。減圧装置3によって減圧された水道水は、冷却コイル8へ供給される。水道水が冷却コイル8を流通する際、冷却水槽7中の冷却水と熱交換することにより、水道水は冷却され、冷水として注出コック14から注出される。
【0017】
一方、ディスペンサ1の電源がONとなり、冷却水槽7内の冷却水が冷却されて氷が形成される際、必ず冷却水が過冷却状態となる時間帯が存在する。この時間帯に注出コック14より冷水を注出すると、水道水が冷却コイル8内を流通する際、過冷却状態の冷却水と熱交換することによって、綿氷が発生する。このような状態で、冷水の注出を繰り返すと、綿氷が下流に溜まり、水圧によって綿氷が圧縮されて氷の塊となる。さらに冷却水による冷却により、この氷の塊が成長する。この結果、冷却コイル8から注出コック14の間で閉塞が生じ、閉塞箇所から上流において、圧力が異常に上昇してしまう。
そこで、冷却コイル8内で冷却水が結晶化するのを防ぐために、冷凍装置20及び攪拌モータ12の運転について、図3〜5に示される制御を行う。
【0018】
図3に示される制御Aは、中間電極16が、氷の存在を検出した場合の制御である。
任意の時間tA0において、ディスペンサの電源をONにすると、攪拌モータ12の運転が開始され(ONとなり)、圧縮機10が起動されることによって冷凍装置20の運転が開始される(ONとなる)。攪拌モータ12及び冷凍装置20の運転開始後、しばらくの間は氷が形成されず、時間tA1になって氷が形成し始める。時間tA0〜tA1の間において、時間の経過とともに冷却水温度が低下し続け、0℃未満の過冷却状態になる時間帯が存在する。時間tA1において、氷が形成され始めることによって冷却水温度は0℃まで急上昇し、その後は0℃に保たれる。冷却水槽7内の氷量が増加し、時間tA2において、蓄氷電極17が氷で覆われるようになると(蓄氷電極17がONとなる)、制御装置19は攪拌モータ12の運転を停止し(OFFにし)、さらに圧縮機10を停止することによって冷凍装置20の運転を停止する(OFFにする)。
その後、攪拌モータ12及び冷凍装置20の運転が停止された状態で、注出コック14より冷水を注出したり、冷水が注出されるのを待機している間に氷が溶け、時間tA3において、蓄氷電極17が氷で覆われないようになる(蓄氷電極17がOFFとなる)。すると、制御装置19は攪拌モータ12及び冷凍装置20の運転を再開し、再び蓄氷電極17が氷で覆われるようになるまで(時間tA4)、攪拌モータ12及び冷凍装置20の運転を継続する。
【0019】
図4に示される制御Bは、制御Aにおいて、中間電極16が、氷が存在しないことを検出し、かつ注出検出スイッチ18が、注出コック14から冷水が注出されていることを検出した場合の制御である。
時間tB1において、冷却水が過冷却状態の時に、注出検出スイッチ18が、注出コック14から冷水が注出されたことを検出すると(注出検出スイッチ18がONとなる)、制御装置19は攪拌モータ12及び冷凍装置20の運転を停止する。制御装置19には、注出検出スイッチ18のON/OFFを検出するカウンターが設けられており、注出スイッチ18がONとなることによって冷凍装置20の運転が停止されると、このカウンターがリセットされるようになっている。カウンターリセット後、時間tB2において最初に注出検出スイッチ18がONとなると、制御装置19は、攪拌モータ12の運転のみを開始する。これにより、再び、水道水が冷却コイル8において冷却されるようになる。その後に注出検出スイッチ18がONとなっても、制御装置19は、攪拌モータ12の運転を停止しないようになっている。
時間tB2以降、冷却水温度が徐々に上昇していき、時間tB3において、サーミスタ15が、冷却水温度が上限温度に達したことを検出すると、制御装置19は冷凍装置20の運転を開始する。これにより、攪拌モータ12及び冷凍装置20の両方が運転している状態になる。
【0020】
図5に示される制御Cは、制御Bにおいて、注出検出スイッチ18が、一定時間、例えば60分間、ONとならなかった場合の制御である。
制御装置19は、注出検出スイッチ18がONとなってから、次にONとなるまでの経過時間を計測する。注出検出スイッチ18がONとなった時間tC1の後、60分間の待機時間を経過しても、注出検出スイッチ18がONとならない場合には、時間tC2において、制御装置19は攪拌モータ12及び冷凍装置20の運転を開始する。図5では、時間tC2において、攪拌モータ12及び冷凍装置20の運転がOFFとなっているため、制御装置19が攪拌モータ12及び冷凍装置20の運転を開始するようになっているが、時間tC2において、例えば冷却水温度が上限温度に達したことにより、既に冷凍装置20及び攪拌モータ12の運転が行われている場合には、制御装置19は冷凍装置20及び攪拌モータ12の運転を開始する必要はない。時間tC2以降については、制御Bが行われる。
ここで、待機時間として、60分を例として示したが、これは注出操作の頻度が少ない夜間を想定した場合の一例であり、これに限定されるものではない。外気温が高い場合や注出操作が頻繁に行われる場合には、冷却水温度の上昇が早いため、待機時間として60分よりも短く設定する必要があるし、外気温が低い場合や注出操作が全く行われないことが予想される場合には、60分よりも長めに設定することもできる。
【0021】
次に、ディスペンサ1の電源をONにした後、上述した制御A〜Cがどのような場合に行われるかについて、図6のフローチャートに基づいて整理する。
ディスペンサ1の電源がONになると、制御Aが開始され、優先的に蓄氷運転が行われる(ステップS1)。続くステップS2では、中間電極16によって、冷却水槽7内に氷があるか否かが検出され、氷がある場合にはステップS1の制御Aを継続する。一方、氷がない場合には、ステップS3において、注出検出スイッチ18によって注出コック14から冷水が注出されているか否かが検出される。注出が行われていなければ、ステップS1の制御Aを継続する。一方、注出が行われれば、制御Bが開始される(ステップS4)。続くステップS5では、中間電極16によって、冷却水槽7内に氷があるか否かが検出され、氷がある場合にはステップS1に戻って、制御Aを開始する。一方、氷がない場合には、注出検出スイッチ18によって、一定時間内に注出があったか否かが検出される(ステップS6)。注出があった場合には、ステップS4に戻って制御Bが開始され、注出がない場合には、制御Cが行われる(ステップS7)。ステップS7の制御Cでは、ステップS6の判断が継続される。
【0022】
このように、制御Aによれば、氷が存在している条件で、攪拌モータ12及び冷凍装置20の運転を行っても、冷却水が過冷却状態になることはないため、冷却コイル8内で水道水の凍結を防ぐことができる。これにより、給水管2、冷却コイル8、及びこれらに設けられている各種部品に異常水圧がかからなくなるため、これらの破損を防ぐことができる。
また、制御Bによれば、冷却水が過冷却状態の時に冷水が注出されても、冷凍装置20及び攪拌モータ12の運転を停止することによって、水道から給水される水道水(必ず0℃以上である)自体で冷却コイル8内が暖められるので、冷却コイル8内の氷結を未然に防止することができる。また、冷却水温度が上限温度に達するまで、冷凍装置20及び攪拌モータ12の運転を停止するようにしたため、冷水の注出が行われない限り、電力をほとんど消費せずに保温状態となり、省エネの制御が可能となる。
さらに、制御Cによれば、冷水の注出が一定時間行われない場合には、攪拌モータ12及び冷凍装置20の運転を開始するようにしたので、冷水の注出が長時間行われないことによって、冷却水温度が上限温度を超えたままの状態になることを防止することができる。
【0023】
この実施の形態では、給水管2が水道に連結された冷水機を用いて説明しているが、これに限定されるものではない。水に限定されない任意の飲料水が貯溜されているタンクに給水管2を連結させ、炭酸ガス等による加圧によって、タンク内の飲料水を冷却コイル8へ送るようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態1に係るディスペンサの内部構造を表す側面図である。
【図2】図1に示される中間電極16及び蓄氷電極17の拡大図である。
【図3】この実施の形態1に係るディスペンサの制御(制御A)を説明するための図である。
【図4】この実施の形態1に係るディスペンサの別の制御(制御B)を説明するための図である。
【図5】この実施の形態1に係るディスペンサのさらに別の制御(制御C)を説明するための図である。
【図6】この実施の形態1に係るディスペンサの制御A〜Cを説明するフローチャートである。
【図7】従来のディスペンサの構造を表す図である。
【図8】図7のAの部分の拡大図である。
【図9】従来のディスペンサの制御を説明するための図である。
【符号の説明】
【0025】
1 ディスペンサ、2 給水管、7 冷却水槽、8 冷却コイル(冷却管)、12 攪拌モータ(攪拌手段)、14 注出コック、15 サーミスタ(水温検出手段)、16 中間電極(氷有無検出手段)、17 蓄氷電極(満氷検出手段)、18 注出検出スイッチ(注出検出手段)、19 制御装置、20 冷凍装置、22 氷。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水を貯水する冷却水槽と、
前記冷却水を冷却する冷凍装置と、
前記冷却水を攪拌する攪拌手段と、
前記冷却水が冷却されることによって形成された前記冷却水槽内の氷の量が、第一の所定量に達していることを検出する満氷検出手段と、
前記氷の量が、前記第一の所定量よりも少ない第二の所定量に達していることを検出する氷有無検出手段と、
前記氷有無検出手段及び前記満氷検出手段の検出値に基づいて、前記冷凍装置及び前記攪拌手段の運転を制御する制御装置と
を備え、
前記満氷検出手段が、前記氷の量が前記第一の所定量に達していることを検出した場合、
前記制御装置は、前記冷凍装置及び前記攪拌手段の運転を停止し、
前記氷有無検出手段が、前記氷の量が前記第二の所定量に達していることを検出すると共に、前記満氷検出手段が、前記冷却水槽内の氷が満氷でないことを検出した場合、
前記制御装置は、前記冷凍装置及び前記攪拌手段の運転を開始する
ことを特徴とするディスペンサ。
【請求項2】
飲料水が流通する給水管と、
前記給水管と連通し、前記冷却水槽内に設けられ、前記飲料水が流通する際に、前記冷却水との熱交換により前記飲料水が冷却される冷却管と、
前記冷却管と連通し、冷却された前記飲料水が注出される注出コックと、
上限温度及び下限温度が設定された、前記冷却水の温度を検出する水温検出手段と、
前記冷却管において冷却された前記飲料水を、前記注出コックから注出していることを検出する注出検出手段と
を備え、
前記制御装置は、さらに、前記水温検出手段及び前記注出検出手段にも基づいて、前記冷凍装置及び前記攪拌手段の運転を制御し、
前記氷有無検出手段が、前記氷が第二の所定量に達していることを検出しない場合であって、
前記水温検出手段が前記冷却水の温度が前記下限温度を下回ったことを検出すると共に、前記注出検出手段が、前記注出コックから前記飲料水を注出していることを検出した時には、
前記制御装置が前記冷凍装置及び前記攪拌手段の運転を停止し、
前記冷凍装置及び前記攪拌手段の運転停止後であって、
前記注出検出手段が前記注出コックから前記飲料水が注出されたことを検出した時には、
前記制御装置は、前記攪拌手段の運転を開始する
ことを特徴とする請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記制御装置は、前記注出コックから前記飲料水を注出してからの経過時間を計測し、
前記水温検出手段が、前記冷却水の温度が前記上限温度を上回ったことを検出した場合と、
前記注出検出手段が、前記制御装置に任意に設定可能な所定時間内に、前記注出コックから前記飲料水が注出されたことを検出しない場合と
のうち、少なくとも一方の場合には、
前記制御装置が前記冷凍装置及び前記攪拌手段の運転を開始することを特徴とする請求項2に記載のディスペンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−51988(P2006−51988A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235402(P2004−235402)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(000194893)ホシザキ電機株式会社 (989)
【Fターム(参考)】