説明

ディスポーザの運転装置

【課題】負荷電流の変化を検出して破砕の終了時期を検知するディスポーザのバッチ方式の運転において、負荷電流の変化を検出した後の残留厨芥を確実に処理してディスポーザの清潔を保ち、その処理時間を短縮させ省エネルギー効果を得る。
【解決手段】破砕室3に投入された厨芥を回転板4の回転によって破砕し、回転板4を駆動するモータ9の負荷電流が設定値に減少したことで破砕終了時期を検知してモータを停止させるディスポーザにおいて、破砕を開始してから負荷電流により破砕終了時期を検知するまでの時間を計測し、計測した時間が基準時間以内であれば、モータ9を直ちに高速運転に昇速させて残留厨芥を処理させる。計測した時間が基準時間を超えるときは、低速運転を設定時間継続させた後に高速運転に切り替えて残留厨芥を処理させモータを停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所などで発生する厨芥をバッチ方式で粉砕処理するディスポーザの運転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
厨芥を水とともに破砕室に投入し、破砕室底部に設けられた回転板をDCモータで回転させて上面に取り付けたハンマーと遠心力により厨芥を破砕し、回転板を囲んで破砕室の底部内壁に設けた固定刃と回転板外周との間で細かく剪断処理して排出するディスポーザにおいては、起動時に低速で数回繰り返して運転し、その間に過負荷電流を生じなければ所定の制御特性で運転させ、停止時は負荷電流が規定値より小さくなると短時間経過後に停止させる運転(特許文献1参照)や、起動時に短時間間隔で繰り返し運転を行なって厨芥を均し、その後に、低速で設定時間連続運転し、そのあと高速運転を行い、高速運転中に負荷電流が減少すると破砕の終了を判定してモータを停止させる方法(特許文献2参照)、回転板を定期的に回転させてモータ電流を検出し、検出したモータ電流に基づいて被粉砕物の有無や量を検知し、その量に応じて回転速度を異ならせるもの(特許文献3参照)などが種々提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−320267号公報
【特許文献2】特開2005−313007号公報(段落番号0039〜0041)
【特許文献3】特開2004−321840号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように従来の制御は、いずれも起動時や破砕時の運転速度の制御を行なっており、停止時の制御は設定した運転時間を経過し、あるいは負荷電流の変化を検出したときに回転板を停止させているにすぎなかった。
しかし、運転中の負荷電流の変化を検出して破砕の終了時期を検知する場合も、厨芥の種類や破砕状況によって負荷電流の変化が一様でなく、電流変化を検知した時点では厨芥が完全に処理されておらず、通常、設定された電流値になっても10%程度の厨芥が処理排出されずにディスポーザ内に残っている。
このため、負荷電流が規定値に減少した時点でモータを停止させないで一定時間経過後に停止させるようにしているが、投入された厨芥の種類と量によって負荷電流の変化を検出したときの処理状態が一様でないため、残留している厨芥の処理に必要な運転時間が異なり、運転を一定時間継続させるようにしても、厨芥が多量の場合は破砕処理されない厨芥が回転板上に残り、厨芥が少ないときは処理が終わっても無駄な回転を続けるという欠点があった。
このように、厨芥の量や種類に関係なく負荷電流の変化を検出した時から一定時間の運転を継続させて停止するようにした制御では、汚染や悪臭の原因になるディスポーザ内の残留厨芥を無くすために前記一定の運転時間を長く設定する必要があり、処理時間が長くなるとともに、処理する厨芥が少量で残留厨芥が少ない場合は無駄な運転を続ける欠点は解消されない。
【0005】
このため本発明は、破砕を開始したときから負荷電流の変化により粉砕処理の終了時期を検知した時までの時間を計測し、計測した時間によってその後の制御を変えるようにしている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
破砕室に投入された厨芥を回転板の回転によって破砕し、回転板を駆動するモータの負荷電流が規定値に減少したことで破砕終了時期を検知してモータを停止させるディスポーザにおいて、給水とともに起動時に低速で数回短時間の繰り返し運転を行なって厨芥中に金属などの異物がないことを検出し、異常がなければ騒音を発しないよう低速の連続運転で破砕運転を始める。この時点から負荷電流の変化により破砕終了時期を検知するまでの時間を計測し、計測した時間が基準時間以内であれば直ちに高速運転を短時間行わせ、残留している厨芥を破砕排出させてモータを停止させ、計測した時間が基準時間を超えているときは低速運転を継続させた後に高速運転に切り替え、所定時間運転して残留厨芥を破砕排出させた後にモータを停止させるようにしている。
【発明の効果】
【0007】
このように、負荷電流を検出して破砕の終了時期を検知するディスポーザのバッチ方式の運転において、破砕の開始から前記負荷電流による終了時期検知までの時間を計測することによって厨芥の量や質を判定し、モータを停止させるまでの運転サイクルを変えるようにしているので、終了時期を検知した時にディスポーザ内に残っている厨芥を、検知後にその量や質に応じて確実に処理し、残留厨芥をほぼ完全に破砕排出させてディスポーザを常に清潔に保持させるとともに、処理中の騒音を抑え、処理時間を短縮して無駄な運転をなくすことができ省エネルギー効果を得られる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
破砕室に厨芥を投入し、給水しながらモータを起動し、低速で数回繰り返し運転して異物を検知し、異常がなければ低速の連続運転により破砕を行うとともに負荷電流が規定値に減少するまでの時間を計測し、計測した時間が基準時間以内であれば、直ちに高速運転に昇速させて残留厨芥を処理させ、計測した時間が基準時間を超えている場合は、設定時間低速運転を継続させた後に高速運転に切り替えて残留厨芥を処理させモータを停止させるようにしている。
【実施例】
【0009】
これを図に示す実施例について説明する。
図1は本発明を実施するディスポーザの例を示す側断面図で、1はシンクへの取付管、2は厨芥の投入口、3は破砕室、4は回転板、5は回転板の上面に取り付けたハンマー、6は回転板を囲む固定刃、7は排出室、8はインペラ、9は回転板4を駆動するモータでDCブラシレスモータを用いている。10は制御盤、11は投入口2を塞ぐ蓋、12は蓋11に埋め込んだマグネット、13は取付管1に設けた磁気センサーである。図2(a)は厨芥が少ない時の特性図、図2(b)は厨芥が多い時の特性図を示している。
【0010】
投入口2から破砕室3に厨芥が投入され、蓋11を投入口2に挿入してマグネット12を磁気センサー13の位置に合わせると、制御盤10により蓋11の孔から水が供給されていることを確認してモータ9を低速1000rpmで1秒づつ数回(図では3回)繰り返して運転する。この繰り返し運転は正逆回転を繰り返すようにしてもよい。この運転で厨芥にスプーンなどの異物が混入していると回転板4の回転で跳ね飛ばされ、破砕室3の内壁に当たって金属音を発するので停止させて異物を取り除く。異物の混入などの異常がなければ、騒音を生じないよう900rpmの低速運転で破砕を行い、負荷電流の変化を検出する。回転板4上の厨芥がほとんど破砕されモータ9の負荷電流が規定値まで減少すると、厨芥がすべて破砕処理されていないが大方の破砕が終了した時期として検出し、破砕開始からの時間を計測する。
【0011】
計測した時間が基準時間(この実施例では8秒)以内であれば、投入された厨芥量が少なく残飯など処理しやすい厨芥が多かったと判断し、図2(a)の特性図に示すように、負荷電流の変化を検出した時点で直ちに昇速させる。厨芥量が少なく短時間で負荷電流が変化したときの残留厨芥は、魚肉の皮や植物繊維などの軽い厨芥が多く、このため直ちに昇速させ5秒で1800rpmの高速運転に切り替えても騒音を生じることなく、高速運転により強い遠心力で残留厨芥を固定刃に押し付け、5秒間の高速運転で残留している厨芥を破砕し排出させてモータ9を停止させる。
モータ9を停止させ13秒間の給水でディスポーザ内に水を溜めた後、1000rpmで5秒間運転して溜めた水を攪拌し洗浄処理を行なって終了させる。なお、洗浄時は回転板4を逆回転させてもよい。
【0012】
計測した時間が基準時間を超えている(図では6秒超過)場合は、投入された厨芥量が多く、骨など破砕され難い厨芥が混入されていたものと判断し、図2(b)の特性図に示すように、破砕終了時期を検出したときから、さらに設定時間たとえば10秒間低速運転を継続させた後、6秒で1800rpmに昇速させ、10秒間の高速運転を行なって残留している厨芥を破砕し排出させて停止させる。このように残留厨芥を処理するため低速運転を継続させた後に高速運転に切り替えており、厨芥量が多く硬い厨芥であっても騒音を生じることがなく、破砕処理を円滑に行なうことができる。モータ9を停止させて13秒間で水を溜めた後、1000rpmで5秒間運転して溜めた水を攪拌し洗浄処理をして終了する。
【0013】
なお、本発明は図に示した実施例に限定されるものではなく、基準時間や回転数、運転時間などは、ディスポーザの容量や処理される厨芥の種類などの条件に応じて変更することができる。
また、基準時間を超える時間によって、低速運転を終了時期検出時点から継続させる設定時間や高速運転の時間を調整することにより無駄な運転を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を実施するディスポーザの例を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例を示す制御特性図である。
【符号の説明】
【0015】
1 取付管
2 投入口
3 破砕室
4 回転板
5 ハンマー
6 固定刃
7 排出室
8 インペラ
9 DCモータ
10 制御盤
11 蓋
12 マグネット
13 磁気センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕室に投入された厨芥を回転板の回転によって破砕し、回転板を駆動するモータの負荷電流が規定値に減少したことを検知してモータを停止させるディスポーザにおいて、前記負荷電流が規定値に減少するまでの時間を計測し、計測時間が基準時間以内であれば直ちに高速運転により残留厨芥を処理させてモータを停止させ、基準時間を超えるときは低速運転を設定時間継続した後に高速運転に切り替えて残留厨芥を処理させモータを停止させることを特徴とするディスポーザの運転装置。
【請求項2】
前記計測時間が、基準時間を超えるときは、高速運転に昇速する時間および高速運転の時間を、基準時間以内の場合より長くした請求項1に記載したディスポーザの運転装置。
【請求項3】
前記低速運転を継続する設定時間が、基準時間を超えた時間に応じて調整される請求項1または2に記載したディスポーザの運転装置。
【請求項4】
前記モータを停止させた後に、ディスポーザ内に水を溜め、モータを起動させて攪拌洗浄する請求項1または2または3に記載したディスポーザの運転装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−253900(P2008−253900A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−97304(P2007−97304)
【出願日】平成19年4月3日(2007.4.3)
【出願人】(593047552)株式会社フロム工業 (27)
【Fターム(参考)】