説明

ディスポーザー

【課題】 微細気泡による洗浄効果等の有効な効果を享受できるディスポーザーを提供する。
【解決手段】 収納した生ごみを破砕処理するディスポーザー槽2と、ディスポーザー槽2に出口を臨ませた槽用水給水経路4と、槽用水給水経路4の出口4aからディスポーザー槽2内に吐水される槽用水に微細気泡を発生させる微細気泡発生装置5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスポーザーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、排水処理の分野では、排水を処理する微生物の生息環境を良好にするために、微細気泡の良好な拡散性に注目して微細気泡発生装置にて発生させた微細気泡を排水中に供給することが行われている(たとえば、特許文献1乃至3参照)。ところで、近年では気泡に関する研究が進み、気泡(特に微細気泡)には気泡の気液界面の吸着特性や微細気泡の崩壊時に生じる衝撃波による汚れ除去効果などの洗浄効果が見出されてきており、微細気泡を発生させる微細気泡発生装置は様々な分野での応用が期待されているのが現状である。
【特許文献1】特開2002−210498号公報
【特許文献2】特公平7−115023号公報
【特許文献3】特開2003−164890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて為したものであって、微細気泡による洗浄効果等の有効な効果を享受できるディスポーザーを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に係るディスポーザーは、収納した生ごみを破砕処理するディスポーザー槽2と、ディスポーザー槽2に出口4aを臨ませた槽用水給水経路4と、槽用水給水経路4の出口4aからディスポーザー槽2内に吐水される槽用水に微細気泡を発生させる微細気泡発生装置5とを備えたことを特徴とする。これによると、台所での悪臭の一つの原因となっていたディスポーザー槽2内に微細気泡の持つ洗浄効果を作用させることで、ディスポーザー槽2内を清潔に保つことができて悪臭発生を抑制することができる。
【0005】
また、請求項2に係るディスポーザーは、請求項1において、微細気泡発生装置5で泡径0.1〜1000μmの微細気泡を発生させるようにしたことを特徴とする。これによると、同量の気体を微細化して得た気泡において、一般のミリメータサイズの気泡に比べて泡径0.1〜1000μmの微細気泡はその表面積(気液界面の面積)を格段に大きくできて反応効率を高めることができ、ディスポーザー槽2内に微細気泡による汚れ除去効果等の洗浄効果を充分に発揮させることができる。
【0006】
また、請求項3に係るディスポーザーは、請求項1または請求項2において、微細気泡発生装置5に槽用水給水経路4に気体を混入させる気体混入部15を備え、この気体混入部15に気体の槽用水への混入量を調整する気体混入量調整手段11を設けたことを特徴とする。これによると、たとえば気体混入量調整手段11を操作して気体の槽用水への混入量を少量にすると微細気泡発生装置5で発生した微細気泡の密度を低減できて微細気泡の泡径を小さく維持することができるなど、微細気泡発生装置5での微細化効率、ひいては発生させる微細気泡の泡径の調整を行わせることができる。また、気体混入量調整手段11によると気体の槽用水への混入を止めることもでき、つまり槽用水として微細気泡含有水と微細気泡が含まれない水とを切り替えることもでき、微細気泡が含まれない水で槽用水を構成したことによる利点(ディスポーザー槽2の内面に付着した洗剤泡の洗い落しを効率よく行える)をも備えることができる。
【0007】
また、請求項4に係るディスポーザーは、請求項1乃至請求項3のいずれかにおいて、微細気泡発生装置5に、発生させる微細気泡の泡径を調整する泡径調整手段13を設けたことを特徴とする。これによると、泡径調整手段13によって微細気泡発生装置5で発生させる微細気泡の泡径の調整を行わせることができるのであり、ディスポーザー1の使用性を高めることができる。
【0008】
また、請求項5に係るディスポーザーは、請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、槽用水給水経路4に、気体有用成分混入手段43を設けたことを特徴とする。これによると、気体有用成分混入手段43にて混入させた有用成分を微細気泡発生装置5にて発生させた微細気泡内に閉じ込めることができ、微細気泡の槽用水への拡散性を利用して有用成分の効果をディスポーザー槽2の内面に隈なく発揮させることができる。
【0009】
また、請求項6に係るディスポーザーは、請求項1乃至5のいずれかにおいて、槽用水給水経路4に、液体有用成分混入手段44を設けたことを特徴とする。これによると、液体有用成分混入手段44にて混入させた有用成分は微細気泡発生装置5にて発生させた微細気泡の気液界面に集まって濃縮されるのであり、また微細気泡は気液界面の吸着効果によってディスポーザー槽2の内面に付着し易いものであるから、微細気泡の気液界面に存する有用成分の効果をディスポーザー槽2の内面に有効に発揮させることができる。
【0010】
また、請求項7に係るディスポーザーは、請求項1乃至6のいずれかにおいて、槽用水給水経路4に、固体有用成分混入手段45を設けたことを特徴とする。これによると、固体有用成分混入手段45によって槽用水給水経路4内を流れる槽用水に有用成分を溶かして混入でき、槽用水に溶けた有用成分は微細気泡発生装置5にて発生させた微細気泡の気液界面に集まって濃縮されるのであり、また微細気泡は気液界面の吸着効果によってディスポーザー槽2の内面に付着し易いものであるから、微細気泡の気液界面に存する有用成分の効果をディスポーザー槽2の内面に有効に発揮させることができる。
【0011】
また、請求項8に係るディスポーザーは、請求項5において、気体有用成分を、酸素、オゾン、芳香成分の少なくとも1つで構成したことを特徴とする。これによると、槽用水に微細気泡として隈なく拡散させた酸素によって微細物を活性化して生ごみ分解効率を向上できたり、また槽用水に微細気泡として隈なく拡散させたオゾンによってディスポーザー槽2内に隈なく殺菌・制菌効果を作用させることができたり、また槽用水に微細気泡として隈なく拡散させた芳香成分によってディスポーザー槽2内に隈なく芳香効果を発揮させることができる。
【0012】
また、請求項9に係るディスポーザーは、請求項8において、気体混入部15に気体供給流路19を槽用水給水経路4に至るように設け、この気体供給流路19の途中にオゾンを発生させる高電圧放電部40を設けたことを特徴とする。これによると、高電圧放電部40にて発生させるオゾンは気体供給流路19を通る気体を原料とするので永久に行えるのであり、つまり取替作業などのメンテが不要であって使用性を良好にできる。
【0013】
また、請求項10に係るディスポーザーは、請求項6において、液体有用成分を、界面活性剤、芳香成分の少なくとも1つで構成したことを特徴とする。これによると、微細気泡の気液界面に集まって濃縮された界面活性剤によってディスポーザー槽2内の油分を有効に除去させたり、微細気泡の気液界面に集まって濃縮された芳香成分にてディスポーザー槽2内に芳香効果を有効に発揮させたりできる。
【0014】
また、請求項11に係るディスポーザーは、請求項7において、固体有用成分を芳香成分で構成したことを特徴とする。これによると、微細気泡の気液界面に集まって濃縮された芳香成分によってディスポーザー槽2内に芳香効果を有効に発揮できる。
【0015】
また、請求項12に係るディスポーザーは、請求項1乃至11のいずれかにおいて、ディスポーザー1の運転前からディスポーザー槽2内に微細気泡を含んだ槽用水を供給させる制御部9を設けたことを特徴とする。これによると、ディスポーザー1の運転前からディスポーザー槽2内に微細気泡を供給しておくとディスポーザー1の運転による悪臭の拡散(上昇)を抑制することができる。特に、微細気泡に芳香成分を含ませておくと、芳香成分を拡散(上昇)させることができる。
【0016】
また、請求項13に係るディスポーザーは、請求項1乃至12のいずれかにおいて、ディスポーザー1の運転後にディスポーザー槽2内に微細気泡を含んだ槽用水を供給させる制御部9を設けたことを特徴とする。これによると、運転後のディスポーザー槽2に微細気泡による洗浄効果を作用させてディスポーザー槽2に破砕後の生ごみかすが付着して残ることを防止できる。特に、微細気泡にオゾンを含ませて構成させると、ディスポーザー槽2内に制菌・殺菌効果を発揮できると共に、ディスポーザー槽2内に残った生ごみかすにおいても雑菌が増殖するのを防止できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、台所での悪臭の一つの原因となっていたディスポーザー槽内に微細気泡の持つ洗浄効果を作用させてディスポーザー槽内を清潔に保つことができて悪臭発生を抑制できるといった利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0019】
本発明のディスポーザー1は、収納した生ごみを破砕処理するディスポーザー槽2と、ディスポーザー槽2に出口4aを臨ませて槽用水をディスポーザー槽2にのみ給水するようにした槽用水給水経路4と、槽用水給水経路4の出口4aからディスポーザー槽2内に吐水される槽用水に微細気泡を発生させる微細気泡発生装置5とを備えて構成されている。図1(b)のように、ディスポーザー槽2は上方に開口せる有底筒形状に形成されており、その底部にはディスポーザー1の排水経路8の入口が開口すると共に、上記排水経路8の入口の上部にディスポーザー槽2内に収納された生ごみを破砕する破砕部10が設けられている。破砕部10はモータ10bにより回転駆動される可動刃10aを有して構成されている。また、ディスポーザー1には制御部9が設けられ、槽用水のディスポーザー槽2への給水や破砕部10の駆動制御や微細気泡発生装置5の作動等が制御されるようになっている。
【0020】
本例のディスポーザー1は、図1(a)のように、キッチンキャビネット6の上面カウンター6aに上方に開口せるシンク3の排水経路3bの途中に、シンク3の排水孔3aにディスポーザー槽2の上方開口を開口させるようにして、ディスポーザー槽2が配設されている。詳しくは、キャビネット6のシンク3の下方には収納スペースや配管スペースとして利用可能なシンク下空間7が設けられており、このシンク下空間7にディスポーザー1が配設されている。このシンク下空間7には建物から槽用水給水経路4が引き込まれてディスポーザー槽2に至るようにされており、このシンク下空間7の槽用水給水経路4に微細気泡発生装置5が配設されている。なお、槽用水給水経路4はシンク3のカラン3cに給水するシンク用水給水経路から分岐させて設けてもよい。槽用水給水経路4には制御部9による槽用水の給水制御を行う給水弁14が配設されている。
【0021】
本例の微細気泡発生装置5は、図2のように、上記槽用水給水経路4に上流側から、槽用水給水経路4を流れる水に気体を混入させて気体混合水を得る気体混入部15、槽用水給水経路4に水を圧送するポンプ16、気体混合水内の気泡を高圧環境下で水に溶解させて気体溶解水を得る溶解部17を構成する溶解タンク17a、上記気体溶解水内の気体を析出させて微細気泡を発生させて微細気泡含有水を得る析出部18を構成する微細気泡発生ノズル18aを順に設けて構成されている。
【0022】
気体混入部15にはエアポンプにより気体を水に圧送する強制混入機構を採用することもできるが、本例では、特に動力を必要としないために構成の簡略化を図り得る、槽用水給水経路4を流れる水に気体をエゼクター効果にて自然に引き込ませるエゼクター機構が採用されている。詳しくは、槽用水給水経路4に絞り部を設ける等して形成した負圧発生部に室内に開口せる気体供給流路19を接続することで構成され、室内の空気を水に混入可能にしている。ここで、上記気体供給流路19には水の逆流を防ぐ逆止弁(図示せず)が設けられると共に、気体混入量調整手段11を構成する気体混入量調整弁12が設けられている。
【0023】
気体混入量調整弁12は、図3(a)のように、気体供給流路19に内部流路を連通させた筒状の本体部12aと、本体部12aの内部流路の内周壁にその外周部を螺合させて本体部12a内に配置された可動弁体12bとを有し、可動弁体12bを本体部12aの内部流路に螺進させることで本体部12aと可動弁体12bとの隙間を大小変化させることが可能にされたものであり、気体混入部15による気体の槽用水への混入量が調整可能にされている。なお図中12aは本体部12aに設けた雌ネジ部、12bは可動弁体12bに設けた雄ネジ部である。可動弁体12bは制御部9にて制御される図示しないモータにて回転駆動されており、つまり制御部9にて槽用水への取込気体量が制御可能にされている。たとえば、気体混入量調整手段11にて気体の槽用水への混入量を少量にすると、溶解タンク17a中でのボイド率(空間を占める気体の割合)を抑えることができて気体を効率よく液中に溶解できたり、発生させた微細気泡の密度を低減できて微細気泡の泡径を小さく維持することができたりなど、微細気泡発生装置5での微細化効率、ひいては発生させる微細気泡の泡径の調整を行わせることができる。特に、取込気体量の槽用水に対する体積比を0.1〜10%にすると、気体混合水が通過するポンプ16にかかる負担の抑制を図ることもできて好ましい。
【0024】
また、溶解タンク17aは図3(b)にようにその内部は区画壁22で一次側槽20(バブリング槽)と二次側槽21(水位検知槽)に区分され一次側槽20と二次側槽21は区画壁22の上部の気体環流部23及び区画壁22の下部の水通過部24でそれぞれ連通する構造になっている。一次側槽20上部には上流側の槽用水給水経路4が接続されて噴霧ノズル25が配置され、二次側槽21の底部には下流側の槽用水給水経路4が接続されてタンク排出口26が配置され、また二次側槽21の側壁には空気抜弁27が設けられている。一次側槽20は、ポンプ16にて圧送された気体混合水が噴霧ノズル25によって高速噴射されて槽内でバブリング状態にされ、上記ポンプ16の圧送による高圧環境下で水に気体を溶解させて気体溶解水を得るための槽であり、二次側槽21は、タンク排出口26までに解けきれなかった気泡を気体環流部23に上昇させると共に、余剰気体を空気抜弁27によって除いて溶解タンク17a内の水位を安定させて溶解タンク17aの安定稼動を図るための槽である。
【0025】
また、微細気泡発生ノズル18aは図3(c)のように槽用水給水経路4の上流側からノズル入口28、ノズル入口28から放射状に連通する小径経路29、この小径経路29に連通する渦流部30、この渦流部30に連通するノズル出口31を順に設けて構成されている。ここで、小径経路29では、流れる水の圧力が急激に低下されて気体溶解水の溶解気体に減圧沸騰が始まり、気体溶解水から気体を泡径0.1〜1000μmの微細気泡として析出する機能を有する。つまり、実質的に析出部18は小径経路29にて構成されている。また、渦流部30では、内部で水の渦流を発生させて比較的泡径の小さく均質な微細気泡のみをノズル出口31に流す機能を有する。詳しくは、渦流部30では矢印Cのような渦が発生する。渦の中心部は渦の外周部よりも流速が低いので圧力が低くなりこの渦の中心部には小径経路29で発生した微細気泡同士が衝突する等でできた径の大きい気泡がたまる。なお、渦には、渦の半径方向に発生する速度勾配によりせん断力が作用するので、渦の中心部の大きな気泡が渦の外周部に遠心力で移動する際に、渦のせん断力によって分割されて小さい気泡に変化する。ノズル出口31には矢印Dのように渦の回転による遠心力により渦の外周部が優先的に吐出されるが、上記のように渦の外周部には径の大きい気泡が除かれた所定径以下の微細気泡が存在しているので、所定径以下の微細気泡が水と共に渦の外周部から連続して吐出されるようになっている。つまり、この渦流部30によると、微細気泡発生後に何らかの原因によって泡径が大きくなった気泡を排除することができ、少なくとも泡径0.1〜1000μmの微細気泡のみで構成される均質な微細気泡含有水を安定して得ることが可能にされている。なお、渦流部30を経て吐出される微細気泡の大きさは渦流部30の渦の角速度によって決定され、角速度が大きい程小さい気泡を吐出することができ、この渦の角速度は渦流部30に流入させる流速によって可変であるため、渦流部30への流入流速を変えることで所望の泡径の微細気泡を発生させることができる。
【0026】
ここで、本例のディスポーザー1では、上記微細気泡発生ノズル18aは槽用水給水経路4の出口4aに設けてある。したがって、析出直後の微細気泡が含有された槽用水を槽用水給水経路4の出口4aからディスポーザー槽2内に吐水できるようにされている。つまり、発生した多数の微細気泡が合一して泡径が大きくなる前の極力泡径が小さく且つ均一な微細気泡を槽用水給水経路4の出口4aからディスポーザー槽2内に吐水された槽用水に含有させることが可能にされているのである。
【0027】
本例のディスポーザー1においては、台所での悪臭の一つの原因となっていたディスポーザー槽2内に微細気泡発生装置5にて発生させた微細気泡の持つ洗浄効果を作用させることができ、ディスポーザー槽2内を清潔に保つことができて悪臭発生を抑制することが可能にされている。無論、槽用水が排水される排水経路8においても微細気泡の持つ洗浄効果を作用させて悪臭発生を抑制することが可能にされている。つまり、破砕部10で破砕した生ごみのかすがディスポーザー槽2の内面に付着、残留してしまうことでディスポーザー槽2から悪臭が発生してしまうものであったが、本例では微細気泡が有する汚物除去効果の洗浄効果によって、ディスポーザー槽2の内面に付着した生ごみのかすを剥離し、排水経路8に流して除去することができたから、ディスポーザー槽2内を清潔に保つことができて悪臭発生を抑制することが可能にされているのである。詳しくは、多量の微細気泡が槽用水内に隈なく広がってディスポーザー槽2の内面に付着した生ごみのかすに効率よく衝突して破裂することにより汚れを剥離させたり、多量の微細気泡の崩壊時に生じる多量の超音波により生ごみのかすをディスポーザー槽2の内面から剥離させたり、微細気泡界面が有する吸着特性(マランゴニ効果など)により生ごみのかすに吸着してディスポーザー槽2の内面から剥離させたり、更に懸濁物質(剥離後の生ごみのかす)に吸着して浮上分離させたり、微細気泡表面が負に帯電することによって懸濁物質に静電吸着して懸濁物質を微細気泡で包むことができるといったことで、ディスポーザー槽2内に有効な洗浄効果を付与できる。また、微細気泡の含有により摩擦抵抗が減少することで水跳ね防止効果や洗浄音の静音化効果も得られる。また、槽用水に微細気泡が含有されたことにより、槽用水の見かけの嵩比重が低減するので節水効果も得られるのである。
【0028】
また、本例のディスポーザー1の槽用水給水経路4の出口4aは、ディスポーザー槽2の内面の上部においてその開口方向がディスポーザー槽2の内面に沿うように設けられており、槽用水給水経路4の出口4aから吐水された槽用水はディスポーザー槽2の内面に沿わせて流下させることができ(矢印A)、上記微細気泡による洗浄効果をディスポーザー槽2の内面に隈なく発揮させることが可能にされている。また、本例の微細気泡発生装置5によると、槽用水に一旦気体を溶解させた後に析出させて微細気泡を発生させているので、泡径0.1〜1000μmの微細気泡のみが含まれる槽用水を安定的に得ることができる。この泡径0.1〜1000μmの微細気泡は槽用水に隈なく拡散可能であると共に槽用水に長い時間滞留可能であることから、微細気泡の有する洗浄効果をディスポーザー槽2内や排水経路8に有効に作用させることができたものである。一般に排水経路8には貯留水で封止する排水トラップが設けられるが、貯留水を微細気泡を含んだ槽用水にて構成できたことで、生ごみのかす等が付着し易い排水トラップを清潔にすると共に詰まりを防止できるという利点もある。なお、気体混入量調整手段11を調整したり等して、微細気泡発生装置5にて槽用水に泡径0.1〜200μmの微細気泡のみを含ませるようにしても好ましく、この場合には上記洗浄効果を更に効果的に得ることができる。更に言うと、泡径0.1〜1μmの微細気泡のみを含ませるようにすると、上記0.1〜1.0μmの微細気泡は極めて槽用水中への滞留時間が長いことから上記洗浄効果を持続的に得ることができる。
【0029】
また、気体混入量調整手段11によると、気体の槽用水への混入を止めることもできるのであって、つまり、槽用水として微細気泡含有水と微細気泡が含まれない水とを切り替えることもでき、しかして、気体混入量調整手段11は微細気泡含有水と微細気泡が含まれない水とを切り替える気泡有無切替手段としても機能できる。微細気泡が含まれない槽用水は微細気泡が含まれた槽用水に比べてディスポーザー槽2の内面等に対する摩擦抵抗が大きく、つまり、微細気泡が含まれない槽用水は微細気泡が含まれた槽用水に比べてディスポーザー槽2の内面等への衝撃が大きく、しかして、ディスポーザー槽2の内面に付着した洗剤泡の洗い落としには適している。本例のディスポーザー1のようにディスポーザー槽2がシンク3の排水経路3bに配設されたものにあって、シンク3で行う食器洗いの際に用いた洗剤の洗剤泡がシンク用水の排水(矢印B)によってディスポーザー槽2の内面に付着することが想定される場合には、気体混入量調整手段11によって槽用水に微細気泡を含ませないようにすることは有用である。
【0030】
図4には実施の形態の他例を示す。なお先例と同様部位には同符合を付して説明を省く。本例は溶解部17として図2や図3(b)の溶解タンク17aの代わりに溶解管17bにて構成したものである。この溶解管17bは、たとえば内面に圧力及び流速を急変させるための連続した抵抗体33を設けてなる蛇腹管で構成することができる。蛇腹管は断面弧状をした環状凹部33aを溶解管17bの軸方向に連続して形成したもので、隣合う環状凹部33a同士の連結部分が溶解管17b内に突出した環状凸部33bとなっている。つまり、溶解管17bは環状凸部33b部分において最も径が小さく、環状凹部33aの底部分において最も径が大きく、その間は次第に径が変化していっている。ポンプ16で加圧された気体混合水が内面に連続して抵抗体33を設けた管体に流入すると、気液混合水は連続した抵抗体33によって次々と局所的に大きく撹乱され、ポンプ16通過後の加圧状態で攪拌混合される。この場合、蛇腹管で構成される溶解管17bでは図4(b)の矢印Eに示すように溶解管17bの内面の連続する環状凸部33bに当たって環状凹部33a内面に沿って旋回流となって撹乱され、この撹乱が溶解管17bの全内周にわたって次々と行われる。更に、図4(c)に示すように、溶解管17b内は環状凸部33b部分が最も径が小さいので、この環状凸部33b部分を含む部分が流速が速く且つ圧力が小となり、また、環状凹部33aの底部分が最も径が大きいので、この環状凹部33aの底部分を含む部分が流速が遅く且つ圧力が大となり、これにより溶解管17b内を通過する気液混合水は流速、圧力の急変を連続的に繰り返す。これらの作用により気体混合水が溶解管17bを通過する際に連続して攪拌混合され、気体混合水中の気体の水への溶解が大きく促進されることになる。また、溶解管17bの環状凹部33aを気体混合水が旋回して撹乱する際に上記のように気体の水への溶解が促進されるのであるが、この場合、溶解されなかった未溶解の気体34が環状凹部33aの底に溜まることになる。つまり、環状凹部33aの底が未溶解の気体34が溜まる微小な気体溜まりとなる。そして、加圧状態で形成された気体溜まりに環状凹部33aを旋回しながら流れる水とが接触しその界面において未溶解の気体34が水に効果的に溶解する。これは、先の溶解タンク17aの持つ機能と同様のものであり、管体で溶解管17bを構成したにもかかわらず、効果的に気体を水に溶解した気体溶解水を得ることができるのであって、微細気泡発生装置5の小型化を図ることができたものである。なお、上記溶解管7bは蛇腹状のフレキシブルホースにて構成することもできる。なお、図1乃至図4のような気体を加圧溶解した後に減圧することで微細気泡を得る微細気泡発生装置5にあっては、極めて微細かつ均一性の高い微細気泡が生成可能であるという利点を有している。
【0031】
図5には実施の形態の更に他例を示す。本例の微細気泡発生装置5は、槽用水給水経路4に設けた圧力急変部36によって、気体混入部15にて槽用水給水経路4内の水に混入された気泡に対して圧力変動に伴うせん断力を作用させることで微細化させて微細気泡を発生させている。本例の圧力急変部36は減圧・加圧手段37で構成させている。この減圧・加圧手段37にはたとえばベンチュリ管38を採用でき、この減圧・加圧手段37では、気泡がスロート部を通る際に流速が速くなるとともに減圧されて膨張し、その後は断面積が増加するに従って加圧されて収縮するが、この時に生じるせん断力によって気泡が圧壊されるようにして微細化されて泡径0.1〜1000μmの微細気泡が得られるようにされている。なお、減圧・加圧手段37より下流の槽用水給水経路4にメッシュを配設してこのメッシュに微細気泡含有水を通すと、この微細気泡の泡径を更に細分化することができて好ましい。また、減圧・加圧手段37の下流に渦流部30を設けてもよく、渦流部30にて所定径以下の微細気泡を含む比較的均質な微細気泡含有水を得ることができる。
【0032】
図6には実施の形態の更に他例を示す。本例の微細気泡発生装置5は、上記圧力急変部36を槽用水給水経路4の多段箇所に設け、気泡の微細化工程を多段に構成してより効率的で高度な微細気泡化を図っている。具体的に本例では、圧力急変部36としての減圧・加圧手段37a,37bを槽用水給水経路4の上流側と下流側とに2段に形成してあり、圧力変動に伴うせん断力気泡に対して2段に作用させてより微細化させてより泡径の小さい微細気泡の発生が図られている。詳しくは、上流側の減圧・加圧手段37aは一つのベンチュリ管38を槽用水給水経路4(基幹流路4a)の一部として設けてある。下流側の減圧・加圧手段37bは、槽用水給水経路4の前記上流側の減圧・加圧手段37aを設けた部分より下流側を複数の分岐流路4bに分岐し、各分岐流路4bにそれぞれベンチュリ管38を設けて構成されている。更に言うと、下流側のベンチュリ管38は、上流側のベンチュリ管38の径の1/2、断面積は1/4となるように発生させる微細気泡の径に応じて形成すると共に、分岐流路4bを四つ形成して各分岐流路4bにそれぞれベンチュリ管38を設けてあり、下流側のベンチュリ管38の断面積の合計は上流側のベンチュリ管38の断面積に等しくされている。なお、発生した微細気泡が一箇所に集中すると連結してより大きな気泡となってしまうため、本例においては複数の分岐流路4bに分岐して各分岐流路4bに下流側のベンチュリ管38を設けたことで、微細気泡が一箇所に集中して多数衝突することにより大きな気泡が発生するのを抑制して所定径の微細気泡を安定して得ることを可能にさせるといった工夫も施されている。
【0033】
ところで、図5や図6の例のように、微細気泡発生装置5が気体混入水中の気泡に対してせん断力を作用させることで微細化させて微細気泡を発生させる装置の場合には、図1乃至4のように気体混入水を一旦気体溶解水にしてその後析出により微細気泡を発生させて微細気泡含有水を得る微細気泡発生装置5に比べて、装置が簡略化できて小型化が図れるという利点があり、更には多大な動力源を必要としないため、図7の例のようにポンプ16を無くして水道圧を利用する微細気泡発生装置5として該装置の簡略化、小型化を促進させることもできる。また、図8のように気体混入部15をポンプ16よりも下流の槽用水給水経路4に設けることもできる。
【0034】
図9には実施の形態の更に他例を示す。この例は、先例のような気体混入水中の気泡に対してせん断力を作用させることで微細化させて微細気泡を発生させる微細気泡発生装置5の他例であり、微細気泡発生装置5が気体混合水中に気液せん断層を形成させる気液せん断層発生手段35で構成された例である。本例の気液せん断層発生手段35は、槽用水給水経路4を絞る等して気体混合水に流速が著しく速いジェット憤流を生じさせる手段で構成されており、ジェット憤流中の気体混合水内の気液境界面にはせん断力が発生し(いわゆる気液境界面が気液せん断層となる)、このせん断力によって気泡が微細化されて微細気泡を得るようにしている。詳しくは、本例では気体混合部15の気体導入部分で槽用水給水経路4を流れる水がジェット憤流となっており、混合された気泡と水との速度の違いによって気泡と水との気液境界面がいわゆる気液せん断層となり、気泡に対してせん断力が作用されて微細化され、微細気泡を得るようにしている。
【0035】
図10には実施の形態の更に他例を示す。この例は、先例同様に微細気泡発生装置5が気体混合水に気液せん断層を形成させる気液せん断層発生手段35で構成された例である。本例の気液せん断層発生手段35は、上述の微細気泡発生ノズル18aと同構成物を用いており、つまり気体混合水が流れる槽用水給水経路4の流路幅を極端に絞った小径経路29と、この小径経路29に連続して内部に旋回流を生じさせる渦流部30とで構成されている。すなわち、小径経路29を通る気体混合水にはその断面方向の速度勾配によって気泡と水との境界面にせん断力が発生し(いわゆる気液境界面が気液せん断層となる)、このせん断力によって気泡が微細化されており、また続けて、渦流部30で生じる渦流によっても渦流の内外での速度勾配によって気泡と水との境界面にはせん断力が発生し(いわゆる気液境界面が気液せん断層となる)、このせん断力によって気泡が微細化されて、微細気泡を得るようにしている。なお、気液せん断層発生手段35としては小径経路29または渦流部30の少なくとも1つでも構成できる。
【0036】
ここで、上記図10の例の変形例として図11に実施の形態の更に他例を示す。この例は、図10の小径経路29の流路幅を可変にすることで発生させる微細気泡の泡径を調整可能にした例であり、つまり泡径調整手段13を設けた例である。具体的に、本例の微細気泡発生装置5にあっては、槽用水給水経路4の流れ方向を軸方向とする中空筒状の固定部材52の内面部位に軸中心方向に向けて突部53が突設されると共に、突部53よりも槽用水給水経路4の下流側の固定部材52の内面部位に周方向に所定間隔に脚部54が軸中心方向に向けて突設されており、槽用水給水経路4の流れ方向を軸方向とする円柱状の可動部材55が周面に刻設したネジ部55bを脚部54の突出先端に刻設したネジ部54aに螺合させて軸方向に螺進自在にして固定部材52の内部における突部53の下流側の部位に配設されており、小径経路29を形成する突部53の下流側端面53aと可動部材55の上流側端面55aとの対向距離が可動部材55の軸方向への螺進によって可変にされており、すなわち小径経路29の流路幅が可変にされている。可動部材55は制御部9に制御される図示しないモータにて回転制御されるようになっており、つまり制御部9にて槽用水に発生させる微細気泡の泡径の大小が制御可能されている。たとえば、小径経路29の流路幅を小さくすると、小径経路29を流れる気体混合水の断面方向の速度勾配がより大きくなって気体混合水の気泡に作用するせん断力が強まることから、気泡の細分化が促進されて比較的泡径の小さな微細気泡を発生させることができる。逆に、小径経路29の流路幅が大きくなると、上記と逆の理由で比較的泡径の大きな微細気泡を発生させることができるのである。なお、このような泡径調整手段13によって泡径が均一に整えられた微細気泡が含有される微細気泡含有水は、微細気泡が合一して大型化したり不均一な状態になる前に、そのまま吐水として使用されるのが好ましい。つまり、泡径調整手段13はディスポーザー槽2に臨む槽用水給水経路4の出口4a付近に設けるのが好ましい。これら図9乃至図11の微細気泡発生装置5によると、たとえば先例の圧力急変部36にて微細気泡を得る微細気泡発生装置5に比べても、装置5内での圧力損失を小さくできるため、より低圧環境への適用が可能となる利点を有している。
【0037】
図12には実施の形態の更に他例を示す。この例は、微細気泡発生装置5を、槽用水給水経路4を流れる水に気体を混入させて気体混合水を得る気体混入部15と、気体混合水が流れる槽用水給水経路4に配設した超音波振動子39とによって構成させたものであり、この超音波振動子39によって気体混合水に超音波振動を作用させ、その定常波領域で気泡をせん断させて微細化して微細気泡を得るようにしている。この微細気泡発生装置5によると、装置5内での圧力損失の発生がほとんど無いという利点を有し、さらには超音波振動子39で発生させる超音波の周波数を変えることで微細気泡の泡径の制御が可能になるといった利点も有している(つまり、超音波振動子39で発生させる超音波周波数調節手段が制御部9で制御される微細気泡の泡径調整手段13を構成する)。
【0038】
図13には実施の形態の更に他例を示す。本例は、槽用水給水経路4に、制御部9にて動作制御される気体有用成分混入手段43を設けた例である。具体的に、本例では、気体混入部15の気体供給流路19の途中にオゾンを発生させる高電圧放電部40を設けている。すなわち、水に混入される気体をオゾンにて構成できたことから、微細気泡発生装置5を経てオゾンの微細気泡を発生させてオゾンを含む微細気泡含有水を得て、このオゾンを含む微細気泡含有水でなる槽用水をディスポーザー槽2内に供給可能にしてある。ここで、オゾンは強力な酸化力を有しているから高い殺菌効果や有機物分解効果を備えるものである。そして、微細気泡発生装置5で発生させた微細気泡は、上述のように比表面積や内部圧力が高くて水からすぐに出てしまうことがなくて分散することが可能であって、洗浄対象物と気泡界面との接触効率も高い。しかして、両者の相乗効果によってディスポーザー槽2内(及び排水経路8)に対する汚れ除去効果を飛躍的に高めることができると共に、少量のオゾンであってもディスポーザー槽2内(及び排水経路8)に対して汚れ除去効果を発揮させることができるのである。また、ディスポーザー槽2の内面の殺菌に有効であるのはもとより、雑菌が発生し易い排水経路8や排水経路8のトラップ部にはオゾンを含む微細気泡含有水が貯留水として貯留するので、貯留水自身や排水経路8の内面の殺菌・制菌効果を有効に得ることができ、汚物や尿石、ぬめりの除去効果、及び汚物の付着防止効果をも有効に高めることができる。また、本例のように高電圧放電部40にて発生させるオゾンは気体供給流路19を通る気体を原料とするので永久に行えるのであり、つまり取替作業などのメンテが不要であって良好な使用性を備えている。
【0039】
また、気体有用成分混入手段43としては、図14のように、槽用水に混入させる気体の酸素濃度を増加させる酸素供給部42を気体混入部15の気体供給流路19の途中に配設しても、槽用水に混入させる気体に芳香成分を含ませる芳香成分供給部46を気体混入部15の気体供給流路19の途中に配設しても好ましい。なお、上記酸素供給部42としては、気体供給流路19を流れる気体の酸素濃度を25〜40%に高めてなる酸素富化空気を得ることができる酸素富化膜42aを採用することができる。酸素供給部42によると酸素を微細気泡に閉じ込めることができて、生ごみを分解処理する好気性微生物に隈なく微細気泡にて酸素を供給できて、好気性微生物の働きを活発化させることができる。芳香成分供給部46によると微細気泡に芳香成分を閉じ込めることができて、ディスポーザー槽2内全体に微細気泡と共に芳香成分を行き渡らせて、ディスポーザー槽2内全体から芳香を発生させることができる。なお、酸素供給部42で得た酸素富化空気中に芳香成分を混入させるとも好ましい。
【0040】
また、図15のように、気体供給流路19における高電圧放電部40よりも上流部位に、上流側から順に、気体の除湿をするシリカゲル等が装填された吸湿部41、先の酸素供給部42を設けても好ましい。これによると、高電圧放電部40に吸湿部41により除湿した気体を導入することができて、高電圧放電部40でのオゾンの発生効率を向上できる。また、酸素富化膜42aによって気体の酸素濃度を高めることができて高電圧放電部40でのオゾンの発生効率を向上できる。このように高電圧放電部40でのオゾンの発生効率を高めたことによって、微細気泡含有水のオゾン濃度を高めてオゾンの殺菌効果を更に高めることができ、上記汚れ除去効果やディスポーザー槽2の内面の殺菌・制菌効果を更に高めることができる。
【0041】
また、図16には実施の形態の更に他例を示す。本例は、槽用水給水経路4に、制御部9にて動作制御される液体有用成分混入手段44を設けた例である。液体有用成分混入手段44は、有用成分を充填した有用成分貯留タンク44aと有用成分貯留タンク44aから槽用水給水経路4に至る有用成分供給通路44bとを有して構成される。有用成分供給通路44bには、有用成分貯留タンク44aに充填した有用成分を槽用水給水経路4に適宜供給させる供給手段(図示せず)が設けられ、この供給手段が制御部9にて駆動制御される。供給手段としては、有用成分貯留タンク44a内の有用成分を槽用水給水経路4に強制注入させるポンプや、有用成分供給通路44bを開閉して液体有用成分を槽用水に供給自在にする有用成分供給弁で構成することができる。なお、有用成分貯留タンク44aはカートリッジ式のように有用成分供給通路44bに着脱自在にして取替可能にしてもよい。液体有用成分としては、界面活性剤、芳香成分等が好ましい。微細気泡の気液界面には液体有用成分が集まり易いものであり、また微細気泡は気液界面の吸着効果にてディスポーザー槽2の内面に付着し易いものである。しかして、たとえば液体有用成分が界面活性剤の場合には、微細気泡の気液界面に集まって濃縮された界面活性剤をディスポーザー槽2の内面に効率よく付着させることができてディスポーザー槽2の内面から油分を有効に除去させることができる。また、界面活性剤によると微細気泡が水面に浮上しても破裂して消滅し難くなるため、排水経路8のトラップ部の貯留水の水面部分に微細気泡層を形成させることができて、微細気泡層にて排水経路8を封止できて排水経路8の臭気防止効果の向上を図ることができる。更に言うと、界面活性剤によると槽用水の表面張力を低下できてせん断力等による気泡の微細化を促進することもできる。また、液体有用成分が芳香成分の場合には、微細気泡の気液界面に集まって濃縮された芳香成分をディスポーザー槽2の内面に効率よく付着させ、ディスポーザー槽2の内面から芳香を発生させることができる。
【0042】
また、図17には実施の形態の更に他例を示す。本例は、槽用水給水経路4に、固体有用成分混入手段45を設けた例である。固体有用成分混入手段45によると、固体有用成分を槽用水に溶かし込ませることができる。槽用水に溶かし込まれた固体有用成分は液体有用成分と同様に微細気泡の気液界面に集まる性質を有する。ここで、固体有用成分としては芳香成分等が好ましく、微細気泡の気液界面に集まって濃縮された芳香成分をディスポーザー槽2の内面に効率よく付着させ、ディスポーザー槽2の内面から芳香を発生させることができる。なお、各有用成分混入手段43,44,45は各種有用成分を組み合わせて槽用水に供給させたり、上記有用成分混入手段43,44,45同士を併用しても好ましい。また、各有用成分混入手段43,44,45にて槽用水に供給する有用成分として上記例では、殺菌・制菌効果を付与する有用成分としてオゾンを、油分等の特定物質の洗浄効果を付与する有用成分として界面活性剤を、悪臭を打ち消す効果を付与する有用成分として芳香成分(芳香剤)を、好気性微生物を活性化させる等の上記効果に含まれない他の機能を付与する有用成分として酸素をそれぞれ例示したが、各種有用成分として他の有用成分を用いることもできる。
【0043】
図18には実施の形態の更に他例を示す。本例は、ディスポーザー槽2に臨む槽用水給水経路4の出口4aのノズル形状が、ディスポーザー槽2の広範囲に槽用水を当てることができるように、その吐水形態がシャワー流となるようなシャワー流吐水口とされており、この槽用水給水経路4の出口4aに微細気泡発生装置5にて発生された微細気泡の泡径を調整して吐水に含有させる泡径調整手段13が設けられている。詳しくは、多数のシャワー吐出孔57aを穿設した散水板56が配置された槽用水給水経路4の出口4aに、散水板56と同様に多数のシャワー吐出孔57bを穿設した開口面積調整カバー58が散水板56に重ねて回転自在に取り付けられており、この開口面積調整カバー58を回転操作することで、散水板56のシャワー吐出孔57aと開口面積調整カバー58のシャワー吐出孔57bとの重なり面積(つまり、シャワー吐出孔57個々の開口面積)の大小を変化できるようにしている。開口面積調整カバー58は制御部9に制御される図示しないモータにて回転制御されるようになっており、つまり制御部9にて槽用水に発生させる微細気泡の泡径の大小が制御可能にされている。たとえば、シャワー吐出孔57の開口面積を小さくすると、圧力変動の幅を大きくできて微細気泡の微細化を促進でき、微細気泡の泡径を小さく整えることができるのである。
【0044】
また、泡径調整手段13としては図19のものも適用できる。本例の泡径調整手段13は、散水板56のシャワー吐出孔57を閉塞自在にする開口孔数調整カバー59を周方向にスライド自在に槽用水給水経路4の出口4aに取り付けており、開口孔数調整カバー59を周方向にスライドさせることで散水板56の多数のシャワー吐出孔57を周方向に徐々に閉塞させ、シャワー吐出孔57全体の開口面積の大小を変化できるようにしている。開口孔数調整カバー59は制御部9に制御される図示しないモータにて回転制御されるようになっており、つまり制御部9にて槽用水に発生させる微細気泡の泡径の大小が制御可能にされている。たとえば、シャワー吐出孔57全体の開口面積を小さくすると、圧力変動の幅を大きくできて微細気泡の微細化を促進でき、微細気泡の泡径を小さく整えることができるのである。
【0045】
なお、上記実施形態では、図1乃至図4には気体混合水中の気泡を一旦溶解させた後に析出させて微細気泡を得るタイプの微細気泡発生装置5を、図5乃至図12には気体混合水中の気泡をせん断させて細分化して微細気泡を得るタイプの微細気泡発生装置5を例示したが、図13乃至図19の例は、上記例示したいずれのタイプの微細気泡発生装置5にもそれぞれ適用できるのはいうまでもない。
【0046】
ところで、ディスポーザー1の制御部9によると、ディスポーザー1の運転中または運転後等、適宜のタイミングで微細気泡を含有させた槽用水をディスポーザー槽2に吐水させたり、微細気泡の泡径を変化させたり、有用成分を槽用水に供給するようにできる。たとえば、ディスポーザー1が微細気泡発生装置5の他に、界面活性剤を槽用水に混入させる液体有用成分混入手段44を備えると共にオゾンを槽用水に混入させる気体有用成分混入手段43を備えて構成された場合には、制御部9によって、図20のように、破砕部10での生ごみ破砕運転と同時に微細気泡発生装置5を作動させてディスポーザー槽2内に微細気泡を含有した槽用水を供給し、破砕部10での生ごみ破砕運転終了と同時に液体有用成分混入手段44を作動させ、界面活性剤を槽用水に混入させてディスポーザー槽2の内面の油分を除去させ、液体有用成分混入手段44の作動終了後に続けて気体有用成分混入手段43を作動させ、ディスポーザー槽2の内面に制菌・殺菌効果を発揮させるといった制御を行わせることができる。ディスポーザー槽2内で破砕部10により生ごみを破砕する際には破砕部10の可動刃10aの駆動に伴って生ごみが動いてディスポーザー槽2から生ごみ臭が上昇することもあるが、破砕部10の運転開始時(破砕部10の運転前でもよい)からディスポーザー槽2内に微細気泡を供給しておくと、ディスポーザー槽2内に微細気泡を充満させて微細気泡でディスポーザー槽2内を覆うことができ、ディスポーザー1の運転による悪臭の拡散(上昇)を抑制することができて好ましい。特に、気体有用成分供給手段等にて槽用水に芳香成分を含ませておくと、芳香成分を拡散(上昇)させることもできて好ましい。また上記のようにディスポーザー1の運転終了時に気体有用成分混入手段43等で槽用水にオゾンを含ませておくと、ディスポーザー槽2内に制菌・殺菌効果を発揮できると共に、ディスポーザー槽2内に残った生ごみかすにおいても雑菌が増殖するのを防止できて好ましい。なお、ディスポーザー1が更に泡径調整手段13や気体混入量調整手段11を備える場合には、制御部9によって、生ごみが破砕される時間に伴って微細気泡の泡径を変化させる制御も可能である。
【0047】
また、上記実施形態では、シンク3の排水経路3bの途中にディスポーザー槽2を配設したタイプのディスポーザー1を例示したが、たとえば図21のように台所用のキャビネット6の上面カウンター6aにディスポーザー槽2の上方開口を開口させるようにしてにシンク3とは別個に配置したり、また槽用水給水経路4の出口4aもディスポーザー槽2の上方開口の上方位置に位置させてディスポーザー槽2に臨ませるようにするのも好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態の例のディスポーザーであって、(a)はディスポーザーの配置を説明する台所の斜視図であり、(b)はディスポーザーの要部の側断面図である。
【図2】同上のディスポーザー装置の概略構成図である。
【図3】(a)は気体導入部の要部の側断面図であり、(b)は溶解タンクの側断面図であり、(c)は微細気泡発生ノズルの側断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の他例のディスポーザーであって、(a)はディスポーザーの概略構成図であり、(b)は溶解管の断面図であり、(c)は溶解管の機能を説明する説明図である。
【図5】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーであって、(a)はディスポーザーの概略構成図であり、(b)は微細気泡発生装置の要部の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーにおける、微細気泡発生装置の要部の断面図である。
【図7】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーの概略構成図である。
【図8】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーにおける、槽用水給水経路の要部の概略構成図である。
【図9】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーにおける、微細気泡発生装置の要部の概略側断面図である。
【図10】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーにおける、微細気泡発生装置の要部の概略側断面図である。
【図11】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーにおける泡径調整手段であり、(a)は正面断面図であり、(b)は側面図である。
【図12】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーにおける、微細気泡発生装置の要部の概略側断面図である。
【図13】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーにおける、槽用水給水経路の要部の概略構成図である。
【図14】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーにおける、槽用水給水経路の要部の概略構成図である。
【図15】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーにおける、槽用水給水経路の要部の概略構成図である。
【図16】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーにおける、槽用水給水経路の要部の概略構成図である。
【図17】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーにおける、槽用水給水経路の要部の概略構成図である。
【図18】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーであって、(a)は泡径調整手段の分解斜視図であり、(b)は同泡径調整手段の動作説明図である。
【図19】泡径調整手段の他例であり、動作説明図である。
【図20】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーであって、制御部による制御の一例を示すタイムチャートである。
【図21】本発明の実施の形態の更に他例のディスポーザーの要部の側断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 ディスポーザー
2 ディスポーザー槽
4 槽用水給水経路
4a 出口
5 微細気泡発生装置
6 キャビネット
7 シンク下空間
8 排水経路
9 制御部
10 破砕部
11 気体混入量調整手段
13 泡径調整手段
15 気体混入部
19 気体供給流路
43 気体有用成分混入手段
44 液体有用成分混入手段
45 固体有用成分混入手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納した生ごみを破砕処理するディスポーザー槽と、ディスポーザー槽に出口を臨ませた槽用水給水経路と、槽用水給水経路の出口からディスポーザー槽内に吐水される槽用水に微細気泡を発生させる微細気泡発生装置とを備えたことを特徴とするディスポーザー。
【請求項2】
微細気泡発生装置で泡径0.1〜1000μmの微細気泡を発生させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のディスポーザー。
【請求項3】
微細気泡発生装置に槽用水給水経路に気体を混入させる気体混入部を備え、この気体混入部に気体の槽用水への混入量を調整する気体混入量調整手段を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のディスポーザー。
【請求項4】
微細気泡発生装置に、発生させる微細気泡の泡径を調整する泡径調整手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のディスポーザー。
【請求項5】
槽用水給水経路に、気体有用成分混入手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のディスポーザー。
【請求項6】
槽用水給水経路に、液体有用成分混入手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のディスポーザー。
【請求項7】
槽用水給水経路に、固体有用成分混入手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のディスポーザー。
【請求項8】
気体有用成分を、酸素、オゾン、芳香成分の少なくとも1つで構成したことを特徴とする請求項5に記載のディスポーザー。
【請求項9】
気体混入部に気体供給流路を槽用水給水経路に至るように設け、この気体供給流路の途中にオゾンを発生させる高電圧放電部を設けたことを特徴とする請求項8に記載のディスポーザー。
【請求項10】
液体有用成分を、界面活性剤、芳香成分の少なくとも1つで構成したことを特徴とする請求項6に記載のディスポーザー。
【請求項11】
固体有用成分を芳香成分で構成したことを特徴とする請求項7に記載のディスポーザー。
【請求項12】
ディスポーザーの運転前からディスポーザー槽内に微細気泡を含んだ槽用水を供給させる制御部を設けたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載のディスポーザー。
【請求項13】
ディスポーザーの運転後にディスポーザー槽内に微細気泡を含んだ槽用水を供給させる制御部を設けたことを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載のディスポーザー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−117854(P2007−117854A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−312017(P2005−312017)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】