説明

デオキシリボース試薬

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オリゴヌクレオチド鎖への選択的開裂性及び/又はアベイシックサイトの混入に関し、より詳細には、この目的に有効な新規試薬に関する。本発明はまた、生化学アッセイ及びリン酸化反応におけるこの新規試薬の使用方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチド鎖への選択的開裂性サイトの混入は、関連する米国特許出願第 251,152号及び曾祖父米国特許第 4,775,619号に記載されている。その開示は引例として含まれる。選択的開裂性サイトは多くの異なるタイプのハイブリッド形成アッセイフォーマットにおいて有効である。例えば、ハイブリッド形成が標識プローブ及びサンプルDNA の固体支持デュプレックスを与える1タイプのアッセイにおいて、ハイブリッド構造内に含まれる開裂性サイトは固体支持体からの標識の容易な分離を可能にする。米国特許第 4,775,619号は、主にそのようなアッセイにおける制限エンドヌクレアーゼ開裂性サイトの使用に関する。化学的開裂性サイト、例えば、ジスルフィド結合、1,2−ジオール等も用いてよく、オリゴヌクレオチド合成の間に導入してよく、そして特定の化学試薬、例えばチオール、過沃素酸塩等により開裂可能である。
【0003】本発明はまた、選択的開裂性サイトに関する。しかし、本発明の方法は、光分解により開裂可能なサイト並びに他の手段、例えば化学もしくは酵素試薬、例えば還元剤を用いることにより開裂可能なサイトの挿入を含む。本発明の開裂性サイトは、オリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド鎖への化学部分、好ましくは光不安定な部分の混入により形成される。この新規光不安定部分は、上記出願に記載されているものを含む多くの異なるタイプのハイブリッド形成アッセイフォーマットにおいて、並びに本出願人の EPO出願No. 88.309697.6 に記載されている拡大核酸ハイブリッド形成アッセイにおいて有効である。
【0004】本発明の試薬の他の用途は、通常の用語において、オリゴヌクレオチド内のアベイシックサイトの形成である。「アベイシックサイト」とは、通常はヒドロキシル基−OH又はヌクレオベースを含む部位におけるエーテル部分−ORを意味する。そのような誘導化の利用性は、以下に詳細に説明するように広いものである。
【0005】本発明の試薬のさらに他の用途は、化学的リン酸化である。オリゴヌクレオチド化学の多くの異なる特徴において、ヒドロキシル基の化学的リン酸化が必要である。例えば、オリゴヌクレオチド合成において、合成及び脱保護後、オリゴヌクレオチドの遊離5′−ヒドロキシル基は殆どの生物学的プロセスに用いるためリン酸化されなければならない。また、(1)ポリメラーゼによる3′末端の延長を防ぐため、及び(2)DNA の化学的連結反応において、3′−ヒドロキシル官能基のリン酸化も必要であり、すなわち、3′ホスフェート部分は典型的には、オリゴヌクレオチドのカップリングにおいて化学的手段を用いることが必要である。
【0006】5′リン酸化は従来T4ポリヌクレオチドキナーゼ及びATP により行われ、この反応は特に信頼のおける又は有効なものではない。多くの化学的5′リン酸化方法も公知であり、例えばNadeaux ら、Biochemistry, 23:6153-6159(1984),vander Marelら、Tetrahedron Lett. 22:1463-1466(1981), Himmelsbach and Pfleiderer、Tetrahedron Lett.,23:4793-4796(1982), Maruggら、Nucleic Acids Research, 12:8639-8651(1984)、及びKondo ら、Nucleic Acids Research Symposium Series , 16:161-164(1985)に記載されているものを含む。しかし、これらの方法のほとんどは、不安定な試薬の使用を含み又は標準的脱保護及び精製方法の大きな改良を必要としている。一官能性及び二官能性3′−リン酸化試薬にも同様の問題がみられた(Sonveauxの、特に 297頁参照) 。
【0007】従って、オリゴヌクレオチドもしくはポリヌクレオチド鎖内に開裂性及び/又はアベイシックサイトを与えることの有用性に加え、本発明の化合物の多くは、現在のリン酸化法の限界を克服するリン酸化試薬としてさらに有効である(そして従来のジメトキシトリチル(DMT) 精製法において用いられているリン酸化反応においても有効であろう) 。
【0008】オリゴヌクレオチドの合成方法に関する文献は、β−シアノエチルホスフェート保護基の使用をベースとする5′−3′合成に関し、例えば、de Napoli ら、Gazz Chim Ital, 114,:65 (1984),Rosenthalら、Tetrahedron Lett.,24:1691(1983),Belagaje and Brush、Nucleic Acids Research, 10:6295(1977),であり、溶液相5′−3′合成を記載する文献は、Hayatsu and Khorana 、J.American Chemical Society , 89:3880(1957),Gait and Sheppard 、Nucleic Acid Research,4:1135(1977),Cramer and Koster 、Angew.Chem.Int.Ed.Engl. :473(1968)、及びBlackburn ら、Journal of the Chemical Society ,Part C,2438(1967)を含む。
【0009】上記に加え、Matteucci and Caruthers 、J.American Chemical Society, 103 :3185-3191(1981)は、オリゴヌクレオチドの調製におけるホスホクロリダイトの使用を記載している。Beaucage and Caruthers、Tetrahedron Letters, 22:1859-1862(1981)、及び米国特許第 4,415,732号は、オリゴヌクレオチドの調製におけるホスホアミダイトの使用を記載している。Smith 、ABL, 15-24 (1983年12月) は、自動化固体相オリゴヌデオキシリボヌクレオチド合成を記載している。また、ここに引用した文献及びWarnerら、DNA, 3: 401-411(1984) も参照のこと。
【0010】Horn and Urdea、DNA, 5.5:421-425(1986)は、ビス(シアノエトキシ)−N,N−ジイソプロピル−アミノホスフィンを用いる固体支持DNA フラグメントのリン酸化を記載している。Horn and Urdea、Tetrahedron Letters, 27:4705-4708(1986)も参照のこと。ハイブリッド形成法に関する文献は、以下のものを含む。Meinkoth and Wahl、Anal.Biochemistry, 138 :267-284(1984)はハイブリッド形成法のすぐれた総説を与えている。Leary ら、Proc.Natl.Acad. Sci.(USA) 80:4045-4049(1983)は、特定のオリゴヌクレオチド配列を検出するためのアビジン−酵素抱合体と抱合したビオチン化DNA の使用を記載している。Ranki ら、Gene, 21:77-85は、オリゴヌクレオチド配列の検出用の「サンドイッチ」ハイブリッド形成を記載している。
【0011】Pfeuffer and Helmrich 、J.Biol.Chem. 250 :867-876(1975)は、セファロース4Bへのグアノシン−5′−O−(3−チオトリホスフェート)のカップリングを記載している。Baumanら、J.Histochem.and Cytochem. 29:227-237は、蛍光剤によるRNA の3′−標識付けを記載している。 PCT出願WO/8302277 は、標識付けのための改質されたリボヌクレオチドのDNA フラグメントへの添加及びそのようなDNA フラグメントの分析方法を記載している。Renz and Kurz 、Nucl.Acid.Res., 12:3435-3444は、オリゴヌクレオチドへの酵素の共有結合を記載している。Wallance、DNA Recombinant Technology, (Woo,S.,編)CRC Pressは、診断におけるプローブの使用の一般的背景を与えている。
【0012】Cou and Merigan 、N.Eng.J.of Med.,308 :921-925は、CMV の検出用のラジオアイソトープ標識プローブの使用を記載している。Inman 、Method in Enzymol.34B, 24:77-102(1974) は、ポリアクリルアミドへの結合方法を記載しており、Parikhら、Method in Enzymol. 34B, 24:77-102(1974) は、アガロースとのカップリング反応を記載している。Alwineら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA), 74:5350-5354(1977)は、ハイブリッド形成のためのゲルから固体支持体へオリゴヌクレオチドを転換する方法を記載している。
【0013】Chu ら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)11:6513-6529は、末端ヌクレオチドを誘導化する方法を記載している。Hoら、Biochemistry, 20:64-67(1981)は、エステルを形成するためのホスフェートを介した末端ヌクレオチドを誘導化することを記載している。Ashley and MacDonald、Anal.Biochem.,140 :95-103(1984) は、表面結合した鋳型からプローブを調製する方法を報告している。Hebert and Gravel 、Can.J.Chem. 52:187-189(1974)、及びRubinsteinら、Tetrahedron Lett. 17:1445-1448(1975)は、光感受性保護基としての2−ニトロフェニル含有化合物の使用を記載している。K.Groebke ら、Helvetica Chemica Acta. 73:608-617(1990)は、ヒドロキシル官能基を保護するためのt−ブチルジメチルシリル部分の使用を記載している文献とする限り関連する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主要な目的は、当該分野において上記要求を満たすこと、及びオリゴヌクレオチド鎖に選択的開裂性及び/又はアベイシックサイトを挿入するための方法及び試薬を提供することである。本発明の他の目的は、オリゴヌクレオチド鎖に、化学的に開裂可能な選択的開裂性サイトを挿入するための方法及び試薬を提供することである。本発明の他の目的は、オリゴヌクレオチド鎖に、光により開裂可能な選択的開裂性サイトを挿入するための方法及び試薬を提供することである。本発明の他の目的は、オリゴヌクレオチド鎖にアベイシックサイトを挿入するための方法及び試薬を提供することである。
【0015】本発明のさらに他の目的は、ヒドロキシル基を化学的にリン酸化するための方法及び試薬を提供することである。本発明のさらに他の目的は、その後分枝鎖核酸マルチマーの形成に用いられるオリゴヌクレオチドにアベイシックサイトを挿入するための試薬を提供することである。本発明の他の目的は、アベイシックサイトがヌクレオチド性ではないそのような試薬を提供することである。本発明の他の目的、利点及び新規特徴を以下の説明に示す。そして一部は以下より又は本発明の実施により当業者に明らかとなるであろう。
【0016】
【課題を解決するための手段】一態様において、新規試薬が提供され、これは一般式
【0017】
【化33】


【0018】(上式中、R1 、R2 、x及びyは以下に規定のものと同じである)を有する光不安定な化合物である。この化合物は、光により開裂を可能にするようにオリゴヌクレオチドに混入される。他の態様において、新規試薬は以下の構造を有し提供される。
【0019】
【化34】


【0020】(上式中、R1 、R2 、及びRは以下に規定のものと同じである)
この化合物はオリゴヌクレオチド鎖内にアベイシックサイトを形成することにおいて有効であり、これは開裂性であってもなくてもよい。さらに他の態様において、新規試薬は以下の構造を有し提供される。
【0021】
【化35】


【0022】(上式中、R1 、R2 、及びRn は以下に規定のものと同じである)
この化合物は核酸マルチマーの合成において分枝点を形成することにおいて有効である。他の態様において、この試薬を用いる方法も提供される。
【0023】
【発明の実施の形態】
A.定義:「選択的開裂性サイト」とは、選択的に開裂できる官能基又は多くの官能基を意味する。上記に示すような本発明の焦点は、主に光分解を用いて特に開裂可能なサイトである。「オリゴヌクレオチド」及び「ポリヌクレオチド」という語は、ポリデオキシリボヌクレオチド(2′−デオキシ−D−リボース又はその改質形状を含む)、ポリリボヌクレオチド(D−リボース又はその改質形状を含む)、及びプリンもしくはピリミジン塩基の又は改質プリンもしくはピリミジン塩基のN−グルコシドである他のタイプのポリヌクレオチドに属する。「ヌクレオシド」は同様に、リボヌクレオシド、デオキシリボヌクレオシド、又はプリンもしくはピリミジン塩基の又は改質プリンもしくはピリミジン塩基のN−グルコシドである他のヌクレオシドに属する。
【0024】「オリゴヌクレオチド」と「ポリヌクレオチド」の間の長さは特に区別がなく、これらの用語は相互に用いられる。このオリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドは一重鎖でも二重鎖でもよく、典型的には一重鎖である。また、本発明のオリゴヌクレオチドは通常は約2〜約2000個のモノマーユニットを有し、より典型的には、ほとんどのプローブベース用途に対し、約2〜約 100個のモノマーユニットを有する。「核酸サンプル」とは、目的とする核酸配列を含むサンプルを意味する。「核酸アナライト」とは、目的とする配列を含む前記核酸サンプル内のDNA もしくはRNA を意味する。
【0025】「リン酸化試薬」とは、ヒドロキシル含有化合物との反応の際に、リン酸モノエステルを与える化合物を意味する。「低級アルキル」及び「低級アルコキシ」とは、それぞれ、約1〜8個、より典型的には約1〜6個の炭素原子を有するアルキル及びアルコキシ置換基を意味する。芳香族置換基を示す場合、個々の芳香族環は1個以上の炭素において機能もしくは反応性に実質的に影響を及ぼさない部分により置換されていてよいと理解すべきである。
【0026】B.新規光不安定性試薬の構造:本発明の一つの実施態様では、以下の構造で示される光不安定性の化学化合物である新規試薬が提供される。
【0027】
【化36】


【0028】上式中、R1 は塩基安定性の酸感受性ブロッキング基であり、R2 はヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチド鎖の5′位に試薬を付加させることができるように選ばれたリン誘導体であり、そしてxとyのうちの一方は0で、その他方は1〜12の範囲にある整数である。上記一般式には2種の塩基型構造:(1)xが0以外で且つyが0であるもの(本明細書では"NP1−型" 試薬と称することがある);及び(2)xが0で且つyが0以外であるもの(本明細書では"NP2−型" 試薬と称することがある) が含まれる。
【0029】これら2種の構造は、上記一般式から容易に推測されるように非常に似ている。それらは、ニトロフェニル部分があるために、光分解により容易に開裂することができる特異的部位をオリゴヌクレオチド鎖に導入するのにそれぞれ有用である。しかしながら、以下にさらに詳細に説明するように、その2族の化学試薬は、それらが若干異なる関連において有用である限り、区別することができる。新規光不安定性試薬の各種の置換基についてここでさらに詳細に説明する。
【0030】R1 は、先に記載したように、塩基安定性の酸感受性ブロッキング基である。このようなブロッキング基は、オリゴヌクレオチド合成の分野ではよく知られており、そして未置換または置換アリールまたはアラルキル基を含む。ここでアリールは、例えばフェニル、ナフチル、フラニル、ビフェニル、等であり、そしてその置換基は0〜3個、通常は0〜2個であり、また中性または極性の、電子供与性または吸引性の、任意の非妨害安定基を含む。このような基の例は、ジメトキシトリチル(DMT) 、モノメトキシトリチル(MMT) 、トリチル及びピクシルである。ここで使用するのに特に好ましい部分はDMT である。
【0031】R2 は、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチド鎖の5′−ヒドロキシル基と試薬との縮合を促進するように選ばれたリン誘導体である。このような基には、ホスホルアミダイト、ホスホトリエステル、ホスホジエステル、ホスファイト、H−ホスファイト、ホスホロチオエート等が含まれる(例えば、Urdea らの欧州特許公報第 0225807号「溶液相の核酸サンドイッチアッセイ及びそれに有用なポリヌクレオチドプローブ(Solution Phase Nucleic Acid Sandwich Assay and Polynucleotide Probes Useful Therein) 」を参照のこと。本明細書ではその開示を参照する) 。R2 として有用な特に好ましい基は、以下の構造で示されるホスホルアミダイトである:
【0032】
【化37】


【0033】上式中、Yはメチル及びβ−シアノエチルより成る群から選択され、そして"iPr" はイソプロピルを表す。最も好ましくは、Yはβ−シアノエチルである。上記定義から容易に推定できるように、R1 及びR2 置換基は、標準的なホスホルアミダイト化学プロトコールを使用してDNA フラグメントへ光不安定性試薬を導入できるように一般に選択される。すなわち、オリゴヌクレオチド合成の際に、R2 置換基はヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチド鎖の5′−ヒドロキシル基と反応するように選定され、一方、R1 部分はヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチド鎖の3′−ヒドロキシルと反応できるように選定される。添え字のxとyについては、xとyのうちの一方は0であり、その他方は1〜12の範囲、より好ましくは1〜4の範囲にある整数で、そして最も好ましくは1である。上記の一般的なカテゴリーに含まれる試薬の例は以下のものである:
【0034】
【化38】


【0035】上記のこれらの特別な構造体、〔2−(2−ニトロフェニル)−2−(O−ジメトキシトリチルオキシ)エトキシ〕−N,N−ジイソプロピルアミノ−2−シアノエトキシホスフィン及び〔2−(2−ニトロフェニル)−1−(O−ジメトキシトリチルオキシ)エトキシ〕−N,N−ジイソプロピルアミノ−2−シアノエトキシホスフィン、はそれぞれ本明細書では"NP1" 及び"NP2" と示され、そして以下の実施例1及び2で合成する特別な試薬である。
【0036】C.上記試薬の合成:NP1型の試薬、すなわちxが0以外でyが0であるものは、経路1に記載した反応序列により合成される。NP2型の試薬は、経路2に記載した反応の組合せにより合成される。
【0037】
【化39】


【0038】
【化40】


【0039】経路1及び2中の略号:"DMT" =ジメトキシトリチル;"DMT-Cl"=塩化ジメトキシトリチル;"iPr" =イソプロピル;"DiPEA" =ジイソプロピルエチルアミン;"TBDMS-Cl"=塩化−ブチルジメチルシリル;"DMAP"=4−ジメチルアミノピリジン;"TEA" =トリエチルアミン;"TBAF"=フッ化テトラブチルアンモニウム。
【0040】NP1型試薬の合成は、2−(O−ニトロフェニル)1,2−エタンジオールの末端ヒドロキシル基を、R1 種で、例えばDMT 等でキャップした後に、残りのヒドロキシル基を選ばれたリン誘導体と反応させてR2 部分を生じさせる工程を含む。経路1に示したように、後者の目的のための例示的な試薬は、クロロ−N,N−ジイソプロピルアミノ−2−シアノエトキシホスフィンである。この基本経路に関する変更は容易に推定することができる。例えば、別のR1 置換基を付与するために、塩化ジメトキシトリチルの代わりに、塩化モノメトキシトリチル、塩化トリチル、塩化ピクシル、等が使用されるであろう。同様に、別のR2 置換基を生じさせるために、この反応の第二段階で代わりとなる置換ホスフィンが使用されるであろう。xを変化させるためには、初期の出発物質において新たに別のメチレン基が必要である。
【0041】NP2型の試薬、すなわちxが0でyが0以外のものを合成するためには、同様の合成序列を行うが、但しR1 及びR2 置換基の導入順序を逆にする。こうして、最初に、2−(O−ニトロフェニル)1,2−エタンジオールの末端ヒドロキシル基を塩化−ブチルジメチルシリル("TBDMS-Cl") と反応させて次の反応工程中にそのヒドロキシル基をブロックし、残りの遊離のヒドロキシル基を、塩基安定性の酸感受性ブロッキング基、例えば塩化ジメトキシトリチル("DMT-Cl")と反応させてR1 置換基を付与する。その後、末端ヒドロキシル基を、例えばフッ化テトラブチルアンモニウムで脱保護し、そして経路1にあるように、適当な置換ホスフィン誘導体と反応させてR2 部分を生じさせる。
【0042】D.選択的切断部位を創製するための上記試薬の使用:本発明の新規光不安定性試薬は、当該技術分野によく知られているように、また例えば先に引用したいくつかの参考文献に記載されているように、標準的なホスホルアミダイト化学を用いて、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド鎖の中に容易に導入される。一般には、DNA フラグメントへの新規試薬の導入は、R2 における5′−ヒドロキシル基への結合、及びR1 における3′−ヒドロキシル基への結合を含む。こうして、光不安定性試薬の導入後には、雑種オリゴヌクレオチド鎖は以下の構造を有する:
【0043】
【化41】


【0044】上記構造において、DNA1はDNA の第一セグメントを表し、DNA2はDNA の第二セグメントを表し、そしてxとyは先に定義したとおりである。DNA1及びDNA2は直鎖であっても枝別れであってもよい。このポリヌクレオチド試薬は、出願人の欧州特許出願第 88.309203.3号及び米国特許第 4,775,619号に記載されているようなハイブリダイゼーションアッセイに使用することができる。これらのアッセイは、選択可能な切断部位を有する直鎖ポリヌクレオチド試薬の使用を含み、すなわちそこではDNA1とDNA2は直鎖である。
【0045】また、本発明の光不安定性部分を含有するポリヌクレオチド試薬は、米国特許出願第07/252,638 号及び同第07/340,031 号の増幅アッセイに使用することもでき、これら両方を本明細書では参照として取り入れる(PCT特許公報第WO89/03891 号を参照のこと) 。それらの出願明細書に記載されているように、切断可能な「リンカー」分子は、(標識されたオリゴヌクレオチドに結合するマルチマーの部分のような)所定のセグメントを解放するための手段として、またはマルチマーの構造を分析するために、所定の部位における増幅マルチマーに導入することができる。
【0046】このような適用では、DNA1及び/またはDNA2は枝別れしたポリヌクレオチドセグメントである。マルチマー合成及び精製に続いて、マルチマーの枝別れしたポリヌクレオチド構造は、ヌクレオチド構造のさらなる分解を伴うことなく特異的に切断することができる。個々のマルチマーの「枝」の定量を可能にするために、切断可能な部位をマルチマーの接合部に、またはその付近に導入することが明らかに好ましい。
【0047】オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに導入された光不安定性試薬がNP1型(すなわち、xが0以外でyが0)であるか、あるいはNP2型(すなわち、xが0でyが0以外)であるかによって、切断の際に2種の異なる型のフラグメントが生じる。すなわち、経路3に記載したように、NP1型部分を含有するオリゴヌクレオチドは、末端5′−ホスフェートを有する第一フラグメントと、3′−末端に残留2−ニトロソフェニル種を含有する第二フラグメントとを生じる。対照的に、経路4に記載したように、NP2型部分を含有するポリヌクレオチドを切断すると、5′−末端に残留2−ニトロソフェニル基を含有する第一フラグメントと、末端3−ホスフェートを有する第二フラグメントとを生じる。
【0048】
【化42】


【0049】
【化43】


【0050】切断は、少なくとも約350nm の波長を有するUV光を用いた光分解によって行われるので、酵素試薬や化学試薬がまったく不要である。こうして、よりきれいな手順が提供されるので、必然的に外部の切断試薬で汚染されることのない製品が得られる。さらに、ポリヌクレオチド試薬自体はもともと安定性が高く、適当な波長の紫外線での処理によってのみ切断可能である。
【0051】E.上記試薬を用いたリン酸化:上記試薬は、光不安定性の切断部位を付与するという有用性の他に、化学リン酸化試薬としても有用である。これらの試薬を使用するリン酸化は、ヒドロキシル含有化合物との縮合と、その後のニトロフェニル基の光化学的切断及び解放を含む。この新規試薬はこれに関しても非常に多様性がある。というのは、それらが、ヌクレオシドまたはオリゴヌクレオチド鎖の5′−または3′−リン酸化のいずれかに使用することができるからである。
【0052】5′−リン酸化には、NP1型試薬、すなわちxが0以外でyが0の試薬が必要である。上記経路3に記載したように、NP1型分子を含有するポリヌクレオチド試薬を切断すると、5′−ホスフェート基を含有するヌクレオシドまたはDNA フラグメントが生じる。3′−リン酸化には、経路4に記載したように、NP2型試薬が必要である。NP2型分子を含有するポリヌクレオチド試薬を切断すると、フラグメントの一つが3′−ホスフェート基を含有し、そして残りのフラグメントがニトロソフェニル残基を含有する切断フラグメントが生じる。
【0053】F.二次的オリゴヌクレオチド鎖合成用のサイトおよびアベイシックサイトの導入:本発明の他の実施態様において、アベイシックサイトをオリゴヌクレオチド鎖に導入するのに有用な反応剤を提供する、このサイトは「裂開可能」であっても、またはなくてもよい。これら反応剤は次の構造を有する。
【0054】
【化44】


【0055】式中、R1 およびR2 は、上記このセクションのパートAで記載したものであり、Rは、2−ニトロベンジル、4−ペンテン−1−イル、
【0056】
【化45】


【0057】(式中、R′は、水素、アリールまたはアルアルキル、もしアリールまたはアルアルキルであるときは、C1 〜C8 のアリールまたはアルアルキルが好ましく、(R3 i は、同一または相違して、アミノ、ニトロ、ハロゲノ、ヒドロキシル、低級アルキルおよび低級アルコキシからなる群から選び、(R4 j は同一または相違して、アミノ、ニトロ、ハロゲノ、ヒドロキシル、低級アルキルおよび低級アルコキシからなる群から選び、iは0,1,2または3、jは0,1,2,3または4である。Rn は、レブリニル基-(CO)CH2CH2(CO)CH3またはR1 に影響せずに、除去されて水素で置換することができる他のブロック性または保護性の基、たとえば
【0058】
【化46】


【0059】であり、Rm は、炭素原子が1〜16、好ましくは2〜12のアルキレンか、またはオキシエチレンオリゴマー-(CH2CH2O)z - 、(式中、Zは1〜16、典型的には2〜12を含む整数) である。任意に、Rが-Rm -O-Rn のとき、Rn はレブリニル、Rm は-(CH2CH2O)4-である。これらのデオキシリボーゼをベースとする反応剤は、アベイシックサイトを、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド鎖に導入するのみでなく、また上記反応剤のように裂開可能なサイトを提供する。Rが
【0060】
【化47】


【0061】のとき、R′は水素またはフェニルが好ましい。(R3 i および(R4 j は、示したように、多数の相違する置換基の1つを表すことができる。特に好ましい実施態様においては、前述の構造は2−メチレン−9,10−アントラキノンカルボネートエステル、すなわち(R3 i および(R4 j は、R′と同様に水素である。
次式の反応剤
【0062】
【化48】


【0063】は、デオキシリボーゼと、R基のアルコール誘導体、すなわちR-OHから容易に合成することができる。2−ニトロベンジルの場合は、たとえばデオキシリボーゼを2−ニトロベンジルアルコールと反応させて、1′−O−(2−ニトロベンジル)誘導体を与えることができる。この中間体は、標準的方法、たとえばジメトキシトリチル(DMT) 基または同族の基を5′位置(R1)に導入し、燐誘導体たとえばホスホルアミジト、ホスホトリエステルなどを3′位置(R2)に導入するために、5′−および3′−が保護された同族体に容易に変換することができる。
【0064】これらの反応剤は、このセクションのパートDに記載したように、標準的なホスホルアミジト化学を使用して、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド鎖に容易に導入することができる。これらのデオキシリボーゼをベースとする裂開可能な基をオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド鎖を導入した後に、アベイシックサイト−ORを含む裂開可能な鎖は、次の構造を有するであろう。
【0065】
【化49】


【0066】(式中、DNA1およびDNA2は、初めに記載したDNA の第1および第2のセグメントである。このようなポリヌクレオチド反応剤は、多様なハイブリダイゼイション試験に使用することができる。これらの反応剤を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド鎖の裂開は、次のように行うことができる。Rが2−ニトロベンジルのとき、裂開は、波長が350nm 以上の紫外線を使用して光合成し、次にたとえば水酸化アンモニウムなどで塩基性加水分解で行うことができる。Rが -CH2CH2S-φ(式中、φはフェニルを表す)のとき、裂開は硫黄原子を、たとえば過沃素酸ナトリウムで-SO-またはSO2-に酸化し、次に塩基で処理して行うことができる。Rが-CH2CH2Si(CH3)3のとき、オリゴヌクレオチドは、たとえば弗化物イオンで処理した後、ここでも次に塩基で処理して裂開することができる。Rが
【0067】
【化50】


【0068】たとえば、2−メチレン−9,10−アントラキノンアセタールのとき、裂開はNa2S2O4 で酸化した後、塩基で処理して行うことができる。Rが
【0069】
【化51】


【0070】のとき、裂開は、DBU(1,8−ジアザビシクロ〔5・4・0〕ウンデカ−7−エン)を使用して行うことができる。Rがホスフェイトのとき、除去は、アルカリ性ホスファターゼで、次に塩基で処理して行うことができる。Rが4−ペンテン−1−イルのとき、裂開は、典型的にN−ブロモサクシンイミドを使用し、次に塩基で処理して行うことができる。上述のように、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド鎖を裂開させる本発明の反応剤は、本明細書でさきに参照した本出願人の欧州特許出願88.309697.6 に記載する増幅試験で使用することができる。デオキシリボーゼをベースとするこのセクションに記載した反応剤で核酸「マルチマー」の分枝点は、次の構造を有する多官能性核酸モノマーを使用して作ることができる。
【0071】
【化52】


【0072】式中、R1 は、塩基に安定であり、酸に敏感なブロック性基を表し、R2 は、化学合成中にオリゴヌクレオチドの5′位置に核酸を付加することができる燐誘導体を表し、R3 は、水素、メチル、沃素、臭素および弗素からなる群から選ぶ基を表し、R4 は、水素またはメチルを表し、R5 は、レブリニル、
【0073】
【化53】


【0074】(式中、R′,(R3 i および(R4 j はさきに規定した基を表し、kは、0,1,2,3または4を表し、Rk は同一または相違して、アミノ、ニトロ、ハロゲノ、ヒドロキシル、低級アルキルおよび低級アルコキシからなる群から選ぶ)からなる群から選び、Zは、
【0075】
【化54】


【0076】(式中、xおよびyは同一または相違し、1〜8の範囲の整数である)を表す。次いで、これらの核酸モノマーを、第二のオリゴヌクレオチド鎖が合成されるサイトを画定する開裂しうる、又は除きうる成分R5 で、上記のようにしてオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチド鎖に組み入れうる。核酸「マルチマー(multimer)」の枝分れ点も、次の一般構造を持つ多官能性、非ヌクレオチド化合物を用いて創り出しうる。
【0077】
【化55】


【0078】ここに、R1 ,R2 及びRn は、先に定義したとおりである。特に好ましい態様においては、R1 はDMT であり、R2 はβ−シアノエチルフォスフォラミダイトであり、Rn はレブリニル(levulinyl) である。そのような化合物は、トリス−ヒドロキシメチルエタンから、(1)例えばトリフェニルクロロシラン又は塩化トシルとの反応により水酸基の1つを保護すること;(2)この保護された化合物をR2 の塩、例えば塩化ジメチルトリチルと反応させて、2つの水酸基の内の1つを-OR2に転化すること;(3)こうして生じた化合物を Rn -OH 又は "Rn " の塩、例えばレブリン酸又はその塩と反応させて、ステップ(1)の保護基を置換すること;そして(4)中間化合物
【0079】
【化56】


【0080】を、残った遊離水酸基を-OR1に転化するに有効な試薬、例えばβ−シアノエトキシ−N,N−ジイソプロピルアミノクロロフォスフィンと反応させること、により合成しうる。
G.追加の選択しうる開裂リンカー(linker)成分:オリゴヌクレオチド鎖内の選択的開裂サイトを提供するに有用な、更に他の試薬は、次の構造で示される
【0081】
【化57】


【0082】ここにDMT は、ジメチルトリチルを表わし、Bzはベンジルを表わし、iPr はイソプロピルを表わし、R6 はメチル又はβ−シアノエチルを表わす。先に述べた試薬のように、この成分は、従来法により、オリゴヌクレオチドに容易に組み込みうる。この成分を含むサイトにおける開裂は、2段階化学過程により達せられる:(1)過ヨウ素酸ナトリウム水溶液で1時間酸化し、次いで(2)n−プロピルアミン水溶液で処理する。本発明を、好ましい特別の態様と関連して述べた上の記述、及び以下に述べる例は、説明のためであって、本発明を限定するものではない。
【0083】例1〔2−(2−ニトロフェニル)−2−(O−ジメトキシトリチロシキ)エエトキシ〕−N,N−ジイソプロピルアミノ−2−シアノエトキシフォスフィン("NP1") の合成:2−(O−ニトロフェニル)−1,2−エタンジオール(2.5g、13.6ミリモル) を、ピリジンと共に共蒸発により乾燥した。残渣をピリジン (50ml) に溶解し、4,4′−ジメトキシトリチルクロライド(DMT-Cl)13.6ミリモルを加えた。反応混合物を20℃で18時間撹拌した。
【0084】次いでピリジンの殆どを蒸発除去し、油状残渣を 250ml酢酸エチルに溶解した。有機相を5% NaHCO3(2×250 ml) 、80%飽和NaCl水溶液(1×250 ml) で洗浄し、固体Na2SO4上で乾燥した。濾過の後、溶媒を真空かけて除き、残留物をトルエン(1×200 ml) 及びCH3CN(1×200 ml) で共蒸発した。製品をシリカゲル(CH2-Cl2-0.5%トリエチルアミンで溶離した) のカラムで精製し、 6.5g (13.6ミリモル) の純粋製品(収率 100%) を得た。
【0085】この精製した1−O−DMT −2−(O−ニトロフェニル)−1,2−エタンジオールを、ジイソプロピルエチルアミン(30ミリモル) の存在下、10℃で30分、クロロ−N,N−ジイソプロピルアミノ−2−シアノエトキシフォスフィン(15ミリモル) と、CH2Cl2 (50ml) 中で反応させることにより、β−シアノエチルフォスフォルアミダイトに転化した。次いで酢酸エチル(200ml) を加え、組み合わせ有機相を80%飽和NaCl水溶液(2×250 ml) で洗浄し、固体Na2SO4上で乾燥した。真空かけて、溶媒を除いた後、残留物をトルエン(100ml) 及びCH3CN (100ml) で共蒸発させて、 9.5gの1−O−ジメトキシトリチル−2−(O−ニトロフェニル)−1,2−エタンジオールの2−O−フォスフォルアミダイト(収率 100%) を得た。
【0086】例2〔2−(2−ニトロフェニル)−1−(O−ジメトキシトリチロキシ)エトキシ〕−N,N−ジイソプロピルアミノ−2−シアノエトキシフォスフィン("NP2") の合成:2−(O−ニトロフェニル)−1,2−エタンジオール(2.5g、13.6ミリモル) をCH3CN との共蒸発により乾燥した。次いで乾燥した化合物をCH2Cl2(100ml)-CH3Cl(10ml) 中に溶解した。N,N−ジメチルアミノピリジン(100mg) 及びトリエチルアミン(3.6ml、26ミリモル) を加え、撹拌しながら、固体t−ブチルジメチルシリルクロライド(TBDMS-Cl)(2.6g、15ミリモル) を加えた。撹拌を20℃で18時間続けた。更にTBDMS-Cl(200mg) を加えた。1時間後、反応混合物を 400mlの酢酸エチルで稀釈した。
【0087】有機相を5%NaHCO3(2×250 ml) 及び80%NaCl飽和水溶液(1×250 ml) で洗浄し、固体Na2SO4上で乾燥した。溶媒を真空かけて除いた後、残留物をトルエン(200ml) 及びCH3CN (200ml)と共蒸発し、 2.5gの粗1−O−TBDMS −2−(O−ニトロフェニル)−1,2−エタンジオールを得た。この粗物質をピリジンで共蒸発し、残留物をピリジン (50ml)に溶解した。DMT-Cl (30ミリモル) を加え、反応混合物を20℃で48時間撹拌した。溶媒を、真空かけて除いた後、残留物を酢酸エチル(250ml) に溶解した。
【0088】有機相を5% NaHCO3(2×250 ml) 及び80%NaCl飽和水溶液(1×250 ml) で洗浄し、固体Na2SO4上で乾燥した。溶媒を真空かけて除いた後、残留物をトルエン及びCH3CN で共蒸発した。残留物をTHF (100ml) に溶解し、10mlのTHF 中テトラブチルアンモニウムフルオライド1M溶液を10ml加えた。1−O−TBDMS 基の除去は30分以内に完了した。製品をシリカゲルカラム上で精製し、純粋な2−O−DMT −2−(O−ニトロフェニル)−1,2−エタンジオール(2.4g、 4.5ミリモル) を得た。この物質を、上述のようにして、2−シアノエチルフォスフォルアミダイトに転化し、定量的収率を得た。
【0089】例3標準的なフォスフォルアミダイト合成過程を用いてテストフラグメント5′−T15−3′−p−NP1 −p−5′−T20−3′−OH(p=ホスフェート)を組立てた。完全な脱保護の後、H2O に溶解した精製DNA オリゴマーを15分間光分解に付した (Hgランプ、λ>350nm)。光分解したサンプルをPAGE分析したところ、前記処理により、テストフラグメントが新しいフラグメントに完全に開裂し、この新しいフラグメントは、セグメントT20及びT15について予想されるように泳動した(migrated)。
【0090】例45′−DMT −1′−O−(2−ニトロベンジル)−2−デオキシリボース3′−O−メチルホスホルアミダイトの合成:100mlの乾燥アセトニトリル中のデオキシリボース (10ミリモル)2−ニトロベンジルアルコール(30ミリモル) 及びジクロロ酢酸(DCA;100ml) を2時間加熱して静かに還流させた。20℃に冷却後、ピリジンを加えてDCA を中和し、真空中で溶媒を除去した。残留物を 500mlの酢酸エチルに溶解させ、有機相を 400mlの5%NaHCO3、 400mlの80%NaCl飽和水溶液で洗浄して、固体Na2SO4で乾燥させた。
【0091】ろ過してから真空中で溶媒を除去し、残留物をトルエン及びアセトニトリルと共に蒸発させた。この粗反応混合物をCH2Cl2に溶解させ、生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより0〜6%のメタノール勾配を使って単離した。生成物(α−及びβ−異性体の1:1比の混合物)を含有しているフラクションを集め、真空中で溶媒を除去して 2.5gのわずかに黄色の固形物(5.2ミリモル、収率52%) を得た。
【0092】デオキシリボース−O−ニトロベンジルの残留物を、 200mgのジメチルアミノピリジン(DMAP)と 1.4mlのトリエチルアミンを含有している25mlのCH2Cl2に溶解させた。この溶液に、25mlのCH2Cl2に溶解したDMT-Cl(1.7g、5ミリモル)を一滴ずつ加えた。全部の出発物質が消費されたら、反応混合物を 250mlの酢酸エチルで希釈して抽出し、先に説明したように乾燥させて共蒸発させた。この粗反応混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、0〜3%のメタノール勾配で5′−DMT −1′−O−2−ニトロベンジル−2′−デオキシリボース異性体を溶離して、 2.3gの黄色発泡体 (2.65ミリモル) を得た。
【0093】標準的な手順を使って3−メチルホスホルアミダイトを調製した。5′−DMT−1′−O−(2−ニトロベンジル)−2′−デオキシリボースを 2.8mlのD PEA を含有している40mlのCH2Cl2に溶解させ、そして0℃でN,N−ジイソプロピルアミノメチルクロロホスフィン(2.0ミリモル) を加えた。30分後、反応混合物を 200mlの酢酸エチルで希釈し、 200mlの80%NaCl飽和水溶液で3回洗浄し、固体Na2SO4で乾燥させ、そしてろ過した。溶媒を真空中で除去し、残留物をトルエン及びアセトニトリルと共に蒸発させた。この物質はそれ以上の精製を行わずに使用した。
【0094】この保護されたアベーシックヌクレオシドホスホルアミダイトを標準の条件下で固体担体上のオリゴマー3′−T20−〔1′−O−(2−ニトロベンジル)−2′−デオキシリボース〕−T10に取入れた。フラグメントをDCA で保護解除し(5′−DMT を取除くため)チオフェノールで保護解除し(チオフェノール/トリエチルアミノ/ジオキサン、1:1:2 v/v 、20℃で1時間、メチルを取除くため)、そしてNH4OH で保護解除した(水酸化アンモニウム水溶液、20℃で1時間、3′−スクシネート結合を開裂するため)。上澄み液を60℃で18時間加熱した。
【0095】開裂は認められず、5′−DMT −1′−O−(2−ニトロベンジル)−2′−デオキシリボース部分の塩基安定性が証明された。水中にあるこの物質の試料を高強度のHgランプを使って20分間光分解にかけて、5′−DMT −1′−O−(2−ニトロベンジル)−2′−デオキシリボース部分からO−ニトロベンジル基を取除いた。この光分解工程の間にオリゴマーの開裂は認められなかった。光分解にかけたオリゴマーの試料を60℃のNH4OH 中で2時間温置した。この塩基処理の結果、オリゴマーは二つの成分オリゴマーT10−3′−pと5′−p−T10とに完全に開裂した。これらの反応の概要をスキーム5及びスキーム6に示す。
【0096】
【化58】


【0097】
【化59】


【0098】例5N−4−(O−N,N−ジイソプロピルアミノメトキシホスフィニル−6−オキシヘキシル)−5′−DMT −2′,3′−ジベンゾイルシチジンの調製:ウリジン(24.5g、 100ミリモル) をピリジン(2×150 ml) を用いての共蒸発で乾燥させた。
【0099】残留物を 150mlのピリジンに溶解させ、そしてかき混ぜながらジメトキシトリチルクロリド−Cl (34g、 100ミリモル) を一滴ずつ加えた。この反応混合物を48時間かき混ぜておいた。メタノール(100ml) を加え、そして30分後に溶媒を真空中で除去した。残留物を 800mlの酢酸エチルに溶解させ、有機相を 800mlの5%NaHCO3で3回、 800mlの80%NaCl飽和水溶液で3回洗浄し、固体Na2SO4で乾燥させ、ろ過し、乾くまで蒸発させ、続いてトルエン及びアセトニトリルを用いて共蒸発させた。粗生成物の0〜7%メタノール/1%トリエチルアミン勾配を使用したシリカゲルクロマトグラフィーから 46.36g、84.9ミリモルの5′−DMT−リボウリジン)が得られ、ピリジンを用いた共蒸発で乾燥させて、残留物を 250mlのピリジンに溶解させた。
【0100】このピリジン溶液に、 100mlの塩化メチレン中の塩化ベンゾイル (20ml、 170ミリモル) を0℃で一滴ずつ加えた。20℃で2時間撹拌後、真空中で溶媒を除去し、残留物をトルエンを用いて共蒸発させた。残留物を酢酸エチルに溶解させ、そして5′−DMT −ウリジンについて先に説明したのと同じ水性処理を施した。粗5′−DMT −2′,3′−ジベンゾイル−ウリジン(これは更に精製することなく使用した)を 150mlのアセトニトリルに溶解させた。1,2,4−トリアゾール(88.19g) を0℃で 400mlのアセトニトリルに懸濁させ、そして素早くかき混ぜながらPOCl3 (27.56ml) を加えた。次いでこの0℃の撹拌スラリーに、トリエチルアミン(106.7ml) を15分間かけて一滴ずつ加えた。30分後、 150mlのアセトニトリルに溶解した5′−DMT −2′,3′−ジベンゾイル−ウリジンを上記の0℃の撹拌スラリーに一滴ずつ加えた。氷水浴を取外し、撹拌を室温で1時間続けた。
【0101】この反応混合物を1400mlの酢酸エチルで希釈し、上述のように抽出しそして乾燥させた。溶媒を真空中で除去し、トルエンを用い、次いでアセトニトリルを用いて共蒸発させて、4−(トリアゾロ)−1−b−D−5′−O−DMT −2′,3′−ジベンゾイル−リボフラノシル)−2(1H)−ピリミジノンを定量的収量で白色の発泡体として得た。この後者の化合物の 350ml CH3CN撹拌溶液に固体の6−アミノヘキサノール(11.89g、 101.5ミリモル) を直接加えた。撹拌を18時間続けた。次いでこの反応混合物を 700mlの酢酸エチルで希釈して、上述のように抽出した。Na2SO4で有機相を乾燥後、真空中で溶媒を除去した。生成物をシリカ60Hカラムで精製し、CH2Cl2中の0〜50%の酢酸で溶離して、N−4−(6−ヒドロキシヘキシル)−5′−O−DMT −2′,3′−ジベンゾイルシチジンの黄色発泡体を35.4g (41.5ミリモル) 得た。
【0102】標準の手順を使って対応するメチルホスホルアミダイトを調製した。変性ヌクレオシドN−4−(6−ヒドロキシヘキシル−5′−DMT −2′,3′−ジベンゾイルシチジン(8.7g、10.2ミリモル) を、 8.8ml (50ミリモル) のジソプロピルエチルアミンを含有している50mlの塩化メチレンに溶解させ、そしてN,N−ジイソプロピルアミノメトキシクロロホスフィン(1.94ml、10ミリモル) を0℃でゆっくり加えた。
【0103】30分後、この反応混合物を 250mlの酢酸エチルで希釈し、そして有機相を 250mlの5%NaHCO3で2回、80%NaCl飽和水溶液で2回洗浄し、固体Na2SO4で乾燥させてろ過した。溶媒を真空中で除去し、トルエンとアセトニトリルを用いて残留物を共蒸発させた。この粗ホスフィチル化物質を、2%のトリエチルアミンを含有している塩化メチレン中の50〜70%酢酸エチル勾配を使ってシリカゲルのカラムで精製して、7.25gのN−4−(O−N,N−ジイソプロピルアミノメトキシホスフィニル−6−オキシヘキシル)−5′−DMT −2′,3′−ジベンゾイルシチジンを得た。
【0104】例6過ヨウ素酸ナトリウムでのシス−ジオール系の酸化開裂は、RNA 分子の末端リボヌクレオシドで容易に起こる。アミンの存在下において、得られたジアルデヒドは塩基部分と5′−炭素のホスフェートの両方をたやすくなくす。この例は、この概念を、二つのDNA オリゴマーがN−4−(6−ヒドロキシヘキシル)シチジン分子の5′−及び側鎖ヒドロキシル基を介して結合されている開裂可能部位分子の設計に利用することを説明する。
【0105】環外アルキルヒドロキシル基を含有している変性リボヌクレオシドRをウリジンから合成した。保護されたRリボヌクレオシドホスホルアミダイトを標準条件下で固体担体上のオリゴマー5′−T10−R−T15−3′に取入れた。生成物の精製試料を一連の化学処理にかけ、そして試料をPAGEで分析した。アンモニアを用いた60℃で18時間の処理後には、オリゴマーの開裂は認められなかった。過ヨウ素酸ナトリウム水溶液を用いて4℃で30分間の処理をしたところ、部分的な開裂に至った。過ヨウ素酸塩処理したオリゴマーを酢酸トリエチルアンモニウム中のn−プロピルアミンに60℃で90分間更にさらすと、オリゴマーは完全に開裂してT10−3′−pと5′端で変性されたT15種とになった。スキーム7はRリボヌクレオシドに結合したDNA フラグメントの開裂の概1 を示している。
【0106】開裂スキームは、いくつかの分枝状DNA オリゴマーに応用されており、このスキームでは、保護化Rリボヌクレオシドホスホロアミダイトは、それぞれ10,20及び30個の櫛状分枝点を含む固相に担持された線状オリゴマーの二次合成の第1サイクルの際に取り込まれた。各場合に、二次合成は、以下の構造:3′−T20−En −5′〔分枝−点−3′−R−T10−5′〕n、n=10, 20, 30の分枝状オリゴマーが得られるT10オリゴマーであった。これらの分子を開裂条件においた。PAGE分析は、すべての場合に、すべての側腕オリゴマーは開裂して離れ、T10−3′−pが主生成物であったことを示している。この分析は、更に、生成物分布は枝状DNA 分子中の分枝の数に依存し、分子中に分枝が多く存在すればする程、より短いオリゴマーの量が増加することを示している。生成物の均質性が低下するのは、主に化学合成の際の固相担持体内の立体的拘束の結果であると思われる。
【0107】
【化60】


【0108】実施例7本実施例では、スキーム8に示すように多官能結合基"DMT-E(Lev)BCEアミダイト" の製造について述べる。
【0109】
【化61】


【0110】トリス−ヒドロキシメチルエタン(E′;200mmole) をピリジン 250mlと共蒸発させ次いで残渣をピリジン 125mlに溶解した。0℃まで冷却したこの溶液に、塩化トシル ("TsCl";50mmole)溶液 (CH2Cl2 125ml中) を滴加した。この反応混合物を室温まで温め次いで撹拌を全部で5時間続けた。次に溶剤を真空除去した。残渣を酢酸エチル 500mlに溶解し、これを5%NaHCO3溶液 500mlで2回、80%飽和NaCl水溶液 500mlで1回洗浄し、最後に固体状Na2SO4で乾燥した。ろ過後、溶剤を真空除去して粗 E′(Ts)13.7gを得た。この物質を更に精製することなく使用した。すべての E′(Ts)をCH2Cl2 250ml及びトリエチルアミン (14ml;100mmole) に溶解し次いでN,N−ジメチルアミノピリジン(100mg) を添加した。CH2Cl2 125mlに溶解したDMT-Cl (13.6g;40mmole) をこの溶液に添加した。室温で18時間後、反応混合物を酢酸エチル 500mlで希釈し次いで前述と同様の水性後処理に付した。
【0111】粗反応生成物を、CH2Cl2/ 0.5%トリエチルアミン中のメタノール勾配液で溶離する標準シリカカラム ("800ml”シリカ) を用いて精製したところ純粋な DMT-E′(Ts)14.8g(25mmole) が得られた。レブリン酸セシウム塩(M.Bodanszky及びA.Bodanszky.The Practiceof Peptide Synthesis、37頁、Springer Verlag(1984) により製造) をDMF 50mlに溶解して調製したばかりのもの50mmole で前記の物質すべてを処理した。この溶液を、密閉バイアル中ホットプレートで(セッティング3;温度約 30℃) 18時間加熱したが、その時点での分析は反応完了を示していた。
【0112】DMF を真空除去し次いで残渣を酢酸エチルに溶解した。有機相を前記のように洗浄した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィにかけ次いで純粋な生成物をCH2Cl2/ 0.5%トリエチルアミンで溶離して DMT-E′(Lev) の純粋生成物 2.5g(4.8mmole)を得た。純粋な DMT-E′(Lev) を以下のようにして2−シアノエチルホスホロアミダイトへ転化した。 DMT-E′(Lev) を、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.6ml;15mmole)を含有する CH2Cl2 20mlに溶解し次いで0℃まで冷却し;この溶液にアルゴン下注射器を用いて2−シアノエトキシ−N,N−ジイソプロピルアミノクロロホスフィン(1.1ml;5mmole)を添加した。
【0113】約30分後、反応が完了し次いで反応混合物を酢酸エチル 150mlで希釈した。有機相を5%NaHCO3 150mlで2回、80%飽和NaCl溶液 150mlで2回洗浄した。固体状Na2SO4で乾燥後、溶液をろ過蒸発させて乾燥して DMT-E′(Lev)BCEアミダイトの白色泡状物質 3.6gを得た。粗アミダイトを、CH2Cl2/酢酸エチル/トリエチルアミン(45:45:10 v/v)を用いて溶離するシリカゲルカラムを用いて精製して純粋な DMT-E′(Lev)BCEアミダイト (3.24g;4.5mmole) の白色泡状物質を得た。NMR(31P)δ148.5ppm及びカプリング効率98%。
【0114】実施例8本実施例では、スキーム9に示すように、多官能結合基"DMT-E′(Lev)BCEアミダイト" の別の合成法について述べる。
【0115】
【化62】


【0116】トリス−ヒドロキシメチルエタン(200mmole)をピリジン 250mlと共蒸発させ次いで残渣をピリジン 125mlに溶解した。0℃まで冷却したこの溶液に、トリフェニルクロロシラン("TPS";50mmole)溶液 (CH2Cl2 125ml中) を滴加した。この反応混合物を室温まで温め次いで撹拌を全部で18時間続けた。次に溶剤を真空除去した。残渣を酢酸エチル 500mlに溶解し、これを5%NaHCO3溶液 500mlで2回、80%飽和NaCl水溶液 500mlで1回洗浄し、最後に固体状Na2SO4で乾燥した。ろ過後、溶剤を真空除去して粗 E′(TPS) 18gを得た。この物質を更に精製することなく使用した。
【0117】すべての E′(TPS)(46mmole)をCH2Cl2 250ml及びトリエチルアミン (14ml;100mmole) に溶解し次いでN,N−ジメチルアミノピリジン(100mg) を添加した。CH2Cl2 125mlに溶解したDMT-Cl(50mmole) をこの溶液に添加した。室温で18時間後、反応混合物を酢酸エチル 500mlで希釈し次いで前述と同様の水性後処理に付して、黄色泡状物質35.8gを得た。粗反応生成物を、CH2Cl2/ 0.5%トリエチルアミン中のメタノール勾配液で溶離する標準シリカカラム ("800ml" シリカ) を用いて精製したところ純粋な DMT-E′(TPS) 14.8g(25mmole) が得られた。精製 DMT-E′-(TPS)(10mmole) をN,N−ジメチルアミノピリジン(100mg) 及び2,6−ルチンジン(2.3ml、20mmole)を含有する50mlに溶解し、次いでレブリン酸(2.3g、20mmole)を添加した。CH2Cl250mlに溶解した1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (3.83g、20mmole)をこの溶液に添加した。
【0118】18時間後、反応は完了し(tlc分析) 、次いで反応混合物を酢酸エチル 500mlで希釈し、前記と同様の水性後処理に付した。この後処理から得られた残渣をTHF(50ml) に溶解し、次いで先ず第1にピリジン40ml次に濃酢酸10mlを添加し、続いてTHF(Aldrich)中の1Mテトラブチルアンモニウムフルオライド20mlを添加した。30後のTlc 分析はすべての出発物質が消費されたことを示していた。ほとんどの溶剤を次に真空除去し次いで残留した残渣を以下の水性後処理に付した。
【0119】酢酸エチル(250ml) を添加してほとんどの有機物質を溶解し次いで5%重炭酸ナトリウム溶液 250mlを徐々に添加した(CO2発生)次に固体状NaHCO3を撹拌しながら添加しそして溶解し、遂には固体状塩が残留しそしてCO2 発生が停止した。水性/有機性溶液を合せたものを分液ロートに移し次いで有機相を前記のように洗浄した。溶剤を除去すると、粗 DMT-E′(Lev) 5.96gが明澄オイルとして生成した。この生成物を、約 500gのシリカ並びに溶離剤として0%及び1%のメタノールを含有するCH2Cl2/0.25%トリエチルアミンを用いるシリカゲルクロマトグラフィにより単離して、 DMT-E′(Lev)2.7g(5.2mmole)を明澄な無色オイルとして得た。
【0120】純粋な DMT-E′(Lev) を以下のようにして2−シアノエチルホスホロアミダイトへ転化した。 DMT-E′(Lev) を、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.6ml;15mmole)を含有する CH2Cl2 20mlに溶解し次いで0℃まで冷却し;この溶液にアルゴン下注射器を用いて2−シアノエトキシ−N,N−ジイソプロピルアミノクロロホスフィン(1.1ml;5mmole)を添加した。約30分後、反応が完了し次いで反応混合物を酢酸エチル 150mlで希釈した。
【0121】有機相を5%NaHCO3 150mlで2回、80%飽和NaCl溶液 150mlで2回洗浄した。固体状Na2SO4で乾燥後、溶液をろ過蒸発させて乾燥して DMT-E′(Lev)BCEアミダイトの白色泡状物質 3.4gを得た。粗アミダイトを、CH2Cl2/酢酸エチル/トリエチルアミン(45:45:10 v/v)を用いて溶離するシリカゲルカラムを用いて精製して純粋な DMT-E′(Lev)BCEアミダイト(2.4g;3.3mmole) の白色泡状物質を得た。NMR(31P)δ148.5ppm及びカプリング効率98%。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 次の式:
【化1】


{式中、R1 は塩基安定、酸感受性ブロッキング基であり;
2 は、オリゴヌクレオチド鎖の5′位に試薬を付加することを可能にするために選択されたリン誘導体であり;そしてRは2−ニトロベンジル、4−ペンテン−1−イル、
【化2】


〔式中、R′は水素、アリール又はアラルキルであり、(R3 i は同一でも又は異っていてもよく、そしてアミノ、ニトロ、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル及び低級アルコキシから成る群から選択され、(R4 j は同一でも又は異っていてもよく、そしてアミノ、ニトロ、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル及び低級アルコキシから成る群から選択され、iは0,1,2又は3であり、jは0,1,2,3又は4であり、Rm はC1 〜C16−アルキレン又はオキシエチレンオリゴマー-(CH2CH2O)z - (ここで、zは1〜16の範囲の整数である) であり、そしてRn は、
【化3】


から成る群から選択される〕である}により表わされるポリヌクレオチド合成用試薬。
【請求項2】 R1 がジメトキシトリチル、モノメトキシトリチル、トリチル及びピキシルから成る群から選択される、請求項1に記載の試薬。
【請求項3】 R2 がホスホラミダイト、ホスホトリエステル、ホスホジエステル、ホスファイト、H−ホスホネート及びホスホロチオエートから成る群から選択される、請求項1又は2に記載の試薬。
【請求項4】 Rが2−ニトロベンジルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項5】 Rが、
【化4】


である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項6】 Rが-CH2CH2Si(CH3)3 である、請求項1に記載の試薬。
【請求項7】 Rが、
【化5】


である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項8】 Rが2−メチレン−9,10−アントラキノンアセタールである、請求項7に記載の試薬。
【請求項9】 Rが4−ペンテン−1−イルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項10】 Rが、
【化6】


である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項11】 Rが、
【化7】


である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の試薬。
【請求項12】 次の式:
【化9】


{式中、DNA1は、DNA の第一セグメントであり;
DNA2は、DNA の第二セグメントであり;
Rは、2−ニトロベンジル、4−ペンテン−1−イル、
【化10】


〔式中、R′は水素、アリール又はアラルキルであり、(R3 i は同一であっても又は異っていてもよく、そしてアミノ、ニトロ、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル及び低級アルコキシから成る群から選択され、(R4 j は同一であっても又は異っていてもよく、そしてアミノ、ニトロ、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルキル及び低級アルコキシから成る群から選択され、iは0,1,2又は3であり、jは0,1,2,3又は4であり、Rm はC1 〜C16−アルキレン又はオキシエチレンオリゴマー-(CH2CH2O)z - (ここで、zは1〜16の範囲の整数である)であり、Rn は、
【化11】


から成る群から選択される〕である}により表わされるオリゴヌクレオチド配列検出用ポリヌクレオチド試薬。
【請求項13】 Rが2−ニトロベンジルである、請求項12に記載のポリヌクレオチド試薬。
【請求項14】 Rが、
【化12】


である、請求項12又は13に記載のポリヌクレオチド試薬。
【請求項15】 Rが、
【化13】


である、請求項12又は13に記載のポリヌクレオチド試薬。
【請求項16】 Rが2−メチレン−9,10−アントラキノンアセタールである、請求項12又は13に記載のポリヌクレオチド試薬。
【請求項17】 Rが4−ペンテン−1−イルである、請求項12又は13に記載の試薬。
【請求項18】 Rが、
【化14】


である、請求項12又は13に記載のポリヌクレオチド試薬。
【請求項19】 Rが、
【化15】


である、請求項12又は13に記載のポリヌクレオチド試薬。
【請求項20】 核酸試料中に存在する核酸被検体中のオリゴヌクレオチド配列の存在を検出する方法において、ハイブリダイゼーションを起こす条件下で前記核酸試料と請求項12〜19のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド試薬を組み合わせる工程〔但し、前記試料または前記試薬の1つが支持体に結合しており、そして前記被検体と前記ポリヌクレオチド試薬が開裂部位
【化18】


(Rは、2−ニトロベンジル、4−ペンテン−1−イル、
【化19】


からなる群より選ばれ、ここで、R′は水素、アリール又はアラルキルであり、(R3 i は同一もしくは異なってもよいアミノ、ニトロ、ハロゲン、ヒドロキシル、低級アルキルおよび低級アルコキシからなる群より選ばれ、(R4 j は同一もしくは異なってもよいアミノ、ニトロ、ハロゲノ、ヒドロキシル、低級アルキルおよび低級アルコキシからなる群より選ばれ、iは0,1,2または3であり、jは0,1,2,3または4であり、Rm はC1 −C16のアルキレンまたはオキシエチレンオリゴマー-(CH2CH2O)z - であって、zが1〜16の範囲の整数であり、そしてRn は、
【化20】


からなる群より選ばれる)を介して前記支持体に結合された標識を生じるものである〕、実質的に、前記選択的な開裂部位以外で前記支持体に結合された標識を前記支持体から遊離させる工程、前記開裂部位を少なくとも約350nm の波長を有する光を使用する光分解により開裂する工程、ならびに前記支持体の遊離標識を検出する工程、を含んでなる方法。
【請求項21】 核酸試料中に存在する核酸被検体中のオリゴヌクレオチド配列の存在を検出する方法において、水性媒体中のハイブリダイゼーションを起こす条件下で、前記核酸試料と請求項12〜19のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド試薬を組み合わせる工程〔但し、前記試料または前記試薬成分の1つが支持体に結合されており、そして前記被検体と前記ポリヌクレオチド試薬とのハイブリダイゼーションが開裂部位
【化21】


(Rは2−ニトロベンジル、4−ペンテン−1−イル、
【化22】


からなる群より選ばれ、ここでR′は水素、アリールまたはアラルキルであり、(R3 i は同一もしくは異なってもよいアミノ、ニトロ、ハロゲノ、ヒドロキシル、低級アルキルおよび低級アルコキシからなる群より選ばれ、(R4 j は同一もしくは異なってもよいアミノ、ニトロ、ハロゲノ、ヒドロキシル、低級アルキルおよび低級アルコキシからなる群より選ばれ、iは0,1,2または3であり、jは0,1,2,3または4であり、Rm はC1 −C16のアルキレンまたはオキシエチレンオリゴマー-(CH2CH2O)z - であって、zが1〜16の範囲内にある整数であり、そしてRn
【化23】


からなる群より選ばれる)を介して前記支持体に結合された標識を生じるものである〕、ポリヌクレオチド試薬と核酸被検体の結合した前記支持体を前記水性媒体から分離する工程、前記支持体を前記水性媒体と異なるハイブリダイゼーション力の媒体で洗浄して前記開裂部位以外で前記支持体に結合された標識を除去する工程、前記開裂部位を少なくとも約350nm の波長を有する光を使用する光分解により開裂する工程、ならびに前記支持体の遊離標識を検出する工程、を含んでなる方法。

【特許番号】第2951590号
【登録日】平成11年(1999)7月9日
【発行日】平成11年(1999)9月20日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−68176
【分割の表示】特願平3−514119の分割
【出願日】平成3年(1991)7月25日
【公開番号】特開平9−31090
【公開日】平成9年(1997)2月4日
【審査請求日】平成8年(1996)3月25日
【出願人】(596044491)チロン コーポレイション (4)