説明

デジタルカメラおよびその製造方法

【課題】簡易な仕組みで2つの画像を重ね合わせた合成画像を生成する。
【解決手段】メインレンズの焦点距離を取得し、取得されたメインレンズの焦点距離とサブレンズの焦点距離とに基づいてサブ画像GSの所定位置Kから切り出される部分画像GSpとメイン画像GMとが同じ大きさとなるよう調整倍率を設定し、設定された調整倍率を用いて部分画像GSpのサイズの調整を伴って部分画像GSpをメイン画像GMの中央に重ね合わせたファインダー画像GFを生成し、生成されたファインダー画像GFを表示する。これにより、複雑な機構を採用することなく、簡易な仕組みで2つの画像を重ね合わせたファインダー画像GFを生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラおよびその製造方法に関し、詳しくは、マニュアルフォーカスが可能でメインレンズの焦点距離を変更可能なデジタルカメラおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のカメラとしては、半透明鏡を含むファインダー光学系と、三角測量の原理を用いて撮影用レンズのマニュアルフォーカス操作に連動して回動する距離計光学系とからなる、いわゆる二重像合致式のレンジファインダーを備えるカメラが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このようなカメラでは、ファインダー画像として、ファインダー光学系から入力されるファインダー像に距離計光学系から入力される距離計像を半透明鏡を介して重ね合わせた画像が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−122907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したカメラでは、距離計光学系をマニュアルフォーカス操作に連動して精度よく回動させる必要があり、そのために複雑な機構が必要となる。そのような機構においては、機構を構成する各構成部品の製造公差やカメラへの組み付けに高い精度が要求され、組み付け時の調整作業も時間の掛かるものとなる。
【0005】
本発明は、簡易な仕組みで2つの画像を重ね合わせた合成画像を生成するデジタルカメラおよびその製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のデジタルカメラおよびその製造方法は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のデジタルカメラは、
マニュアルフォーカスが可能でメインレンズの焦点距離を変更可能なデジタルカメラであって、
画像を表示する画像表示手段と、
前記メインレンズを介して得られる被写体の像を光電変換してメイン画像を生成するメイン撮像手段と、
サブレンズを介して得られる被写体の像を光電変換してサブ画像を生成するサブ撮像手段と、
前記メインレンズの焦点距離を取得する焦点距離取得手段と、
前記取得されたメインレンズの焦点距離に基づいて、画像の倍率を設定する倍率設定手段と、
前記設定された倍率で前記メイン画像と前記サブ画像の少なくとも一方の画像の変倍処理を伴って、該メイン画像と該サブ画像とを重ね合わせた合成画像を生成する合成画像生成手段と、
該生成された合成画像を表示するよう前記表示手段を制御する表示制御手段と
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明のデジタルカメラでは、メインレンズの焦点距離を取得し、取得されたメインレンズの焦点距離に基づいて画像の倍率を設定し、設定された倍率でメイン画像とサブ画像の少なくとも一方の画像の変倍処理を伴ってメイン画像とサブ画像とを重ね合わせた合成画像を生成し、生成された合成画像を表示するよう表示手段を制御する。これにより、簡易な仕組みでメイン画像とサブ画像とを重ね合わせた合成画像を生成することができる。なお、メインレンズの焦点距離は、メインレンズを焦点距離の異なるものに交換することにより変更するものとしてもよいし、焦点距離を変更可能なズームレンズを用いることにより変更するものとしてもよい。
【0009】
また、本発明のデジタルカメラにおいて、前記倍率設定手段は、前記メイン画像の被写体の像と前記サブ画像の被写体の像とが略同じ大きさとなるよう倍率を設定する手段であるものとすることもできる。こうすれば、両画像の比較を容易に行なうことができる。この態様の本発明のデジタルカメラにおいて、前記サブレンズとしてパンフォーカスレンズが取り付けられてなるものとすることもできる。こうすれば、サブレンズの焦点距離が固定となるため、メインレンズの焦点距離に基づいて簡易な処理で画像の倍率を設定することができる。また、前記メインレンズの焦点距離を所定の焦点距離とした際の前記合成画像における大きさのずれの確認を伴って画像の倍率を設定するための所定の倍率規則の補正が可能な補正用モードを有するこの態様の本発明のデジタルカメラにおいて、前記補正用モードにおいて、前記合成画像における大きさのずれが所定の程度以下となるよう前記設定された倍率に対する変更の指示を受け付ける指示受付手段と、前記補正用モードにおいて、前記受け付けられた倍率の変更量を前記所定の焦点距離における補正量として用いて前記倍率規則を補正する補正手段とを備えるものとすることもできる。こうすれば、簡易な処理でユーザーによる倍率規則の補正を可能とすることができる。なお、「所定の程度以下」には、大きさのずれが予め定められた所定量以下となる状態やユーザーの目視により大きさのずれのないことを確認した状態を含むものである。
【0010】
さらに、本発明のデジタルカメラにおいて、マニュアルフォーカスの操作量を取得する操作量取得手段を備え、前記合成画像生成手段は、前記合成画像として、前記取得された操作量と所定の切出規則とに基づいてマニュアルフォーカスによる焦点が被写体に合うほど該合成画像における重ね合わせ部分の位置のずれが小さくなるよう、前記サブ画像から部分的に画像を切り出す切出位置を設定すると共に該設定した切出位置に従って部分画像を切り出して前記メイン画像の所定位置に重ね合わせた画像を生成する手段であるものとすることもできる。こうすれば、合成画像の重ね合わせ部分の位置のずれを確認することにより被写体に焦点が合っているか否かを確認することができる。この態様の本発明のデジタルカメラにおいて、前記合成画像生成手段は、前記所定の切出規則として、前記メインレンズと前記サブレンズとの間隔と、前記取得された操作量から導かれる被写体までの距離とに基づく三角測量の原理により定められた規則を用いる手段であるものとすることもできる。
【0011】
本発明のデジタルカメラの製造方法は、
マニュアルフォーカスが可能でメインレンズの焦点距離を変更可能なデジタルカメラの製造方法であって、
(a)画像を表示する画像表示手段と、前記メインレンズを介して得られる被写体の像を光電変換してメイン画像を生成するメイン撮像手段と、サブレンズを介して得られる被写体の像を光電変換してサブ画像を生成するサブ撮像手段と、前記メインレンズの焦点距離を取得する焦点距離取得手段と、前記取得されたメインレンズの焦点距離に基づいて前記メイン画像の被写体の像と前記サブ画像の被写体の像とが略同じ大きさとなるよう画像の倍率を設定する倍率設定手段と、前記設定された倍率で前記メイン画像と前記サブ画像の少なくとも一方の画像の変倍処理を伴って該メイン画像と該サブ画像とを重ね合わせた合成画像を生成する合成画像生成手段と、該生成された合成画像を表示するよう前記表示手段を制御する表示制御手段と、各種データを記憶する記憶手段とを組み付ける組付工程と、
(b)前記メインレンズの焦点距離を所定の焦点距離に変更する準備工程と、
(c)前記合成画像生成手段に前記合成画像を生成させ、該生成させた合成画像の大きさのずれを確認したときには、該ずれが所定の程度以下となるように前記設定された倍率に対する調整を行なう調整工程と、
(d)前記ずれが所定の程度以下となったときに設定されている倍率に基づいて、前記所定の焦点距離と前記倍率とを関連付けた倍率規則を生成させ、該生成させた倍率規則を前記記憶手段に登録させる登録工程と
を備えることを要旨とする。
【0012】
この本発明のデジタルカメラの製造方法によれば、各構成部品を組み付け、メインレンズの焦点距離を所定の焦点距離に変更し、合成画像生成手段に合成画像を生成させ、生成させた合成画像の大きさのずれを確認したときには、そのずれが所定の程度以下となるように設定された倍率に対する調整を行ない、ずれが所定の程度以下となったときに設定されている倍率に基づいて、所定の焦点距離と倍率とを関連付けた倍率規則を生成させ、生成させた倍率規則を記憶手段に登録させる。これにより、各構成部品の組付誤差などに起因するデジタルカメラの個体差に伴う倍率のずれを解消した上で倍率規則を登録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】デジタルカメラ10の構成の概略を示す構成図。
【図2】デジタルカメラ10の斜視図。
【図3】デジタルカメラ10の背面図。
【図4】切出規則Rkを生成する方法の考え方を示す説明図。
【図5】サブ画像GSにおける切出位置Kの一例を示す説明図。
【図6】倍率規則Rbを生成する方法の考え方を示す説明図。
【図7】ファインダー画像表示処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図8】ファインダー画像GFが生成される様子を示す説明図。
【図9】ファインダー画像GFのずれとピント合わせとの関係を示す説明図。
【図10】補正処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
【図11】調整中のファインダー画像GF’の一例を示す説明図。
【図12】デジタルカメラ10の製造工程の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態であるデジタルカメラ10の構成の概略を示す構成図であり、図2はデジタルカメラ10の斜視図であり、図3はデジタルカメラ10の背面図である。
【0015】
本実施形態のデジタルカメラ10は、本体12と、被写体の像を光電変換しデジタル信号を出力するメイン電子撮像ユニット20と、被写体を光電変換しファインダー画像を生成するためのデジタル信号を出力するサブ電子撮像ユニット40と、メイン電子撮像ユニット20やサブ電子撮像ユニット40から出力される信号を入力して所定の画像処理を施して画像データや画像ファイルを生成する画像処理部70と、画像処理部70から入力した画像データをEVF(Electronic View Finder)82や液晶モニター84に表示させる表示制御部80と、ユーザーによって操作される各種の操作スイッチ群90と、画像処理部70により生成された画像ファイルを保存可能なメモリーカード60と、装置全体を制御するメインコントローラー30とを備える。
【0016】
メイン電子撮像ユニット20は、図示しないレンズマウントを介して本体12に交換可能に取り付けられマニュアルフォーカスレンズとして構成された撮影レンズ21と、撮影レンズ21を介して入力した光を光電変換によって電気信号に変換する周知のCCDイメージセンサーとして構成されたイメージセンサー22と、撮影レンズ機構21とイメージセンサー22との間に配置されたフォーカルプレーンシャッター23と、イメージセンサー22を駆動するドライバー回路24と、イメージセンサー22から出力された電気信号をデジタル信号に変換して出力するアナログフロントエンド(AFE)26とを備える。イメージセンサー22は、数百万〜千数百万画素のセンサーとして構成されている。なお、イメージセンサー22としてCCDイメージセンサーを例示したが、CMOS型のイメージセンサーを採用してもよい。
【0017】
撮影レンズ21は、凸レンズと凹レンズとを組み合わせて構成されたレンズ群21aと、光量を調節する絞り機構21bと、ユーザーによる回転操作(ピント合わせ操作)がなされることにより焦点位置が変わる距離リング21cと、撮影レンズ21の取り付け側に設けられ距離リング21cの操作量(回転量)に応じて繰り出し量が変化するよう螺旋状に形成された繰り出し部21dとを備える。なお、この撮影レンズ21の光軸は、本体12の底面と平行になっている。距離リング21cには、図示は省略したが、距離目盛りが外周部分に表示されている。また、繰り出し部21dは、本体12内に前後方向に変位可能に設けられた連動コロ29に当接している。このため、距離リング21cの操作量は、繰り出し部21dの繰り出し量を介して連動コロ29の変位量に変換されることになる。また、デジタルカメラ10には、この連動コロ29の変位量を検出可能なコロ位置センサー29aが取り付けられている。これにより、距離リング21cの操作量は、コロ位置センサー29aの検出値として検出されることになる。即ち、メイン電子撮像ユニット20(撮影レンズ21)のピント位置を反映した値が検出され、以下、この検出値を操作量Soとする。
【0018】
サブ電子撮像ユニット40は、レンズ群41a,41cと絞り機構41bとを有し焦点距離が固定されたパンフォーカス式のサブレンズ41と、サブレンズ41を介して入力した光を光電変換によって電気信号に変換する周知のCCDイメージセンサーとして構成されたイメージセンサー42と、イメージセンサー42を駆動するドライバー回路44と、イメージセンサー42から出力された電気信号をデジタル信号に変換して出力するAFE46とを備える。なお、このサブ電子撮像ユニット40の光軸は、本体12の底面と平行になっている。ここで、サブ電子撮像ユニット40とメイン電子撮像ユニット20との間隔は、本体12の左右(水平)方向に所定間隔A、上下(垂直)方向に所定間隔Bだけ離れた位置となるように組み付けられる。なお、メイン電子撮像ユニット20のイメージセンサー22が数百万〜千数百万画素のセンサーとして構成されているのに対し、イメージセンサー42は、例えば200万画素など、数十万〜数百万画素のセンサーとして構成されている。
【0019】
画像処理部70は、図示しないが、RGB画素の色補間処理やホワイトバランス処理、色再現処理、リサイズ処理、ガンマ補正処理、画像ファイル生成処理などのデジタルカメラにおける周知の画像処理を実行する各種の画像処理機能ブロックを備える。この画像処理部70は、メイン電子撮像ユニット20から出力されるデジタル信号を入力し画像処理を実行してメイン画像GMを生成したり、生成したメイン画像GMを所定形式の画像に変換し撮影情報を付加して画像ファイルを生成したり、サブ電子撮像ユニット40から出力されるデジタル信号を入力し画像処理を実行してサブ画像GSを生成したりする。また、画像処理部70は、画像から部分的に画像を切り出す切出処理を実行する切出処理部と、切り出した部分画像を含めて画像のサイズを調整するサイズ調整部と、一方の画像に他方の画像を重ね合わせる合成処理を実行する合成処理部とを備えており、サブ画像GSから部分的に切り出した部分画像GSpをメイン画像GMに重ね合わせる合成処理を行なうことによりEVF82に表示するためのファインダー画像GFを生成する。なお、画像処理部70の合成処理部は、下層の画像に対して上層に重ね合わせる画像の透明度を示す係数αを用いて下層の画像の画素値と上層の画像の画素値と混合して合成画像の画素値を生成する、いわゆるαブレンド処理が可能となっている。
【0020】
表示制御部80は、画像処理部70で生成されたファインダー画像GFをEVF82に表示したり、画像処理部70で生成されたメイン画像GMやメモリーカード60に保存された画像ファイル内の画像を液晶モニター84に表示したりする。なお、表示制御部80は、ファインダー画像GFの特定の部分を拡大してEVF82に表示する拡大表示処理が可能となっている。
【0021】
操作スイッチ群90は、シャッターボタン90aやダイヤルスイッチ(SW)90b,巻上レバー90c,モード選択ボタン90d,OKボタン90e,キャンセルボタン90f,JOGダイヤル90g,焦点選択レバー90hなどからなる。シャッターボタン90aは、撮影レンズ21を通じてイメージセンサー22上に結像された画像を取り込む指示をユーザーから受け付けるためのボタンである。ダイヤルスイッチ90bは、ユーザーによるシャッタースピードや露出値などの撮影に関する各種設定値を設定するためのスイッチである。巻上レバー90cは、巻上操作に伴って、フォーカルプレーンシャッター23の図示しないシャッター幕をシャッターの切られた状態から再度次回のシャッター動作が可能な状態に引き上げて機械的に固定するためのボタンである。モード選択ボタン90dは、各種モードを選択するためのボタンである。ここで、選択可能なモードとしては、液晶モニター84の明るさの設定などの各種設定を行なう設定用モードやファインダー画像GFの生成に用いられる後述する倍率規則Rbを補正するための補正用モードなどがある。OKボタン90eは、各種選択を決定するためのボタンであり、キャンセルボタン90fは、一旦行なった選択を解除するためのボタンである。JOGダイヤル90gは、回転操作に伴って、液晶モニター84に表示される各種項目を選択するためのカーソルを移動させたり、各種設定値の数値を変更したりする。また、このJOGダイヤル90gは、上方に引き上げられた状態と下方に押し下げられた状態のいずれかの状態にあり、例えば、上方に引き上げられた状態で回されると液晶モニター84に表示される画像を上下にスクロールさせるためのダイヤルとして機能し、下方に押し下げられた状態で回されると左右にスクロールさせるためのダイヤルとして機能する。焦点選択レバー90hは、取り付けられている撮影レンズ21の焦点距離fを選択するためのレバーである。図2に示すように、焦点選択レバー90hは、3つの焦点距離f1,f2,f3のうちいずれかを選択可能となっており、撮影レンズ21を交換したときにユーザーによって該当する焦点距離fの位置に操作される。
【0022】
メインコントローラー30は、CPU32を中心とするマイクロプロセッサーとして構成されており、処理プログラムや各種テーブルを記憶するROM34と、データを一時的に記憶するRAM36と、データを書き換え可能で電源を切ってもデータを保持するフラッシュメモリー38と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。フラッシュメモリー38には、ファインダー画像GFの生成に用いられる切出規則Rkや倍率規則Rbが登録されている。メインコントローラー30には、操作スイッチ群90からの各種の操作信号やコロ位置センサー29からの操作量So、メモリーカード60から読み出した画像ファイル、画像処理部70からの各種画像などが入力される。また、メインコントローラー30からは、フォーカルプレーンシャッター23へのシャッター駆動信号やドライバー回路24,44への制御信号、メモリーカード60へ書き込む画像ファイル、画像処理部70への画像処理指令、表示制御部80への表示制御指令などが出力される。
【0023】
ここで、切出規則Rkと倍率規則Rbについて説明する。まず、切出規則Rkについて説明する。この切出規則Rkは、ファインダー画像GFを生成するためにピント合わせ操作に応じてサブ画像GSから部分画像を切り出す切出位置Kを設定するための規則である。図4は、切出規則Rkを生成する方法の考え方を示す説明図であり、図5は、サブ画像GSにおける切出位置Kの一例を示す説明図である。図4では、メイン電子撮像ユニット20とサブ電子撮像ユニット40とを上面から見た位置関係を示しており両撮像ユニットの間隔は上述したように所定間隔Aである。また、図4に点線で示す領域は、サブ電子撮像ユニット40の撮像領域のイメージを示す。図4に示すように、メイン電子撮像ユニット20の光軸上の距離L1の位置にある被写体(図4中に黒丸で図示、以下同様)は、サブ電子撮像ユニット40の光軸から角度θ1をなす撮像領域上の位置(白丸)に撮像される。同様に、距離L2の被写体(黒三角)は角度θ2をなす位置(白三角)に、距離L3の被写体(黒四角)は角度θ3をなす位置(白四角)にそれぞれ撮像される。このような角度θと距離Lと所定間隔Aとは、三角測量の原理により式(1)のような関係にあり、所定間隔Aは既知の定数であるため距離Lが決まれば角度θを求めることができる。なお、側面から見た位置関係の図示は省略したが、両撮像ユニットの上下方向の間隔は上述したように所定間隔Bであるから、角度θの代わりに角度φを用いると、式(1)と同様に式(2)のような関係にある。また、図5に示すように、サブ画像GS(撮像領域)の中心を原点として図5中左右方向をX軸,上下方向をY軸とするXY座標系を設定すると、サブ画像GSの中の被写体画像の位置は、デジタルカメラ10から被写体までの距離が短くなるほど原点から遠ざかり、距離が遠くなるほど原点に近くなり無限遠の距離では原点に一致する。なお、図5では、図4に示した撮像領域の左右方向と方向を合わせるために、便宜上、本来の画像から左右を反転させたサブ画像GSを図示するものとした。これらのことから、メイン画像GMの中央部に映し出された距離L1の位置にある被写体画像は、サブ画像GSにおいては、距離L1に対応する位置K1(X1,Y1)を中心として映し出されることになる。ここで、被写体までの距離に応じて変化する距離リング21cの操作量をコロ位置センサー29aによって操作量Soとして検出しているため、操作量Soに基づいて距離Lを導くことができる。このため、操作量Soから距離Lを導いて、導いた距離Lと式(1)(2)とから角度θ,角度φを求めることができる。そして、角度θとX座標との関係および角度φとY座標との関係を予め設定しておけば、角度θに対応するX座標の値と角度φに対応するY座標の値即ち切出位置Kを導出することができる。本実施形態では、このような操作量Soと切出位置Kとの対応関係を切出規則Rkとして記憶しているものとした。この切出規則Rkは、操作量Soと切出位置Kとの関係式として記憶し、切出位置Kを求める場合に、その関係式を用いて操作量Soから演算を行なって切出位置Kを求めるものとした。なお、角度θ,φの最大値はサブレンズ41の画角により定まり、それに対応するX,Y座標の値から、角度θとX座標との関係および角度φとY座標との関係を設定することができる。
【0024】
tanθ=A/L ・・・(1)
tanφ=B/L ・・・(2)
【0025】
次に、倍率規則Rbについて説明する。この倍率規則Rbは、サブ画像GSとメイン画像GMとに映し出される被写体を同じ大きさとするための、サブ画像GSに対する倍率を設定するための規則である。図6は、倍率規則Rbを生成する方法の考え方を示す説明図である。図6(a)〜(c)はメイン画像GMを示し、図6(d)はサブ画像GSを示す。なお、図6(d)においても、図5と同様にサブ画像GSの左右を反転させて図示するものとした。ここで、メイン電子撮像ユニット20とサブ電子撮像ユニット40とは、上述したように画素数の異なるイメージセンサー22とイメージセンサー42とが用いられているため、図示するように、メイン画像GMとサブ画像GSのサイズが異なるものとなる。また、メイン電子撮像ユニット20は、焦点距離fの異なるレンズ21を交換可能なものであり、焦点距離fが異なるとその画角も変わるため、図6(a)〜(c)に示すように、各焦点距離f1,f2,f3に応じてメイン画像GMに映し出される被写体の大きさも変化することになる。このような、メイン画像GMとサブ画像GSとのサイズの違いや撮影レンズ21の各焦点距離f1,f2,f3とサブレンズ41の焦点距離との関係に基づいて、サブ画像GSに被写体像とメイン画像GMの被写体像との大きさを揃えるための調整倍率Bを倍率B1,B2,B3としてそれぞれ設定し、各焦点距離f1,f2,f3と関連付けた倍率規則Rbを生成するものとした。
【0026】
次に、こうして構成された本実施形態のデジタルカメラ10の動作について説明する。図7は、メインコントローラー30により実行されるファインダー画像表示処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、図示しない電源ボタンがオンにされ、撮影モードを開始してからオフされるまで実行される。なお、画像処理や表示制御などは、実際には画像処理部70や表示制御部80が主体となって行なわれるものであるが、以下の説明では特に主体を区別することなく説明する。このルーチンが実行されると、メインコントローラー30は、まず、メイン電子撮像ユニット20のイメージセンサー22を駆動してデジタル信号の読み出しを行なうと共に(ステップS100)、サブ電子撮像ユニット40のイメージセンサー42を駆動してデジタル信号の読み出しを行なう(ステップS110)。次に、読み出しを行なったデジタル信号に対して各種の画像処理を実行してメイン画像GMとサブ画像GSとを生成する(ステップS120)。メイン画像GMとサブ画像GSとを生成すると、現在取り付けられている撮影レンズ21の焦点距離fを入力する(ステップS130)。ここでは、焦点選択レバー90hにより焦点距離f1〜f3のうちのいずれかに選択されているものを入力する。そして、入力した焦点距離fを用いて倍率規則Rbを参照して調整倍率Bを設定する(ステップS140)。次に、コロ位置センサー29aからの距離リング21cの操作量Soを入力し(ステップS150)、入力した操作量Soを用いて切出規則Rkを参照して切出位置Kを設定する(ステップS160)。
【0027】
こうして、調整倍率Bと切出位置Kとを設定すると、サブ画像GSの切出位置Kに基づいた位置で調整倍率Bに基づいた大きさの切出領域から部分画像GSpを切り出し(ステップS170)、切り出した部分画像GSpに対し調整倍率Bに従ったサイズ調整を行なう(ステップS180)。調整倍率Bは、焦点距離fを用いて倍率規則Rbを参照して設定されたものであるため、サイズ調整された部分画像GSpは、そこに映し出されている被写体の大きさがメイン画像GMの被写体と同じ大きさとなる。こうしてサイズ調整が行なわれた部分画像GSpをメイン画像GMの中央に重ね合わせてファインダー画像GFを生成する(ステップS190)。ファインダー画像GFの生成は、下層のメイン画像GMに対する上層のサブ画像GSの透明度を示す係数αに基づいて、部分画像GSpの画素値sとメイン画像GMの画素値mとを混合するアルファブレンド処理により、重ね合わせ部分の画素値を生成することにより行なう。なお、重ね合わせ部分を除く部分は、メイン画像GMの画素値mを用いる。図8は、ファインダー画像GFが生成される様子を示す説明図である。図示するように、ファインダー画像GFの重ね合わせ部分はアルファブレンド処理により二重像として生成される。なお、重ね合わせ部分では、サブ画像GSから切り出された部分画像GSpを実線で示し、メイン画像GMを点線で示す。
【0028】
こうしてファインダー画像GFを生成すると、生成したファインダー画像GFをEVF82に表示して(ステップS200)、ステップS100に戻り処理を繰り返す。このように、撮影レンズ21の焦点距離fを用いて倍率規則Rbを参照して調整倍率Bを設定すると共にメイン電子撮像ユニット20のピント位置を反映するコロ位置センサー29aからの操作量Soを用いて切出規則Rkを参照して切出位置Kを設定し、設定した切出位置Kから切り出された部分画像GSpを調整倍率Bに従ってサイズ調整してからメイン画像GMに重ね合わせたファインダー画像GFを表示することができる。このため、メイン電子撮像ユニット20のピント合わせ操作に応じて重ね合わせ部分の二重像が変化するファインダー画像GFを生成することができる。図9は、ファインダー画像GFのずれとピント合わせとの関係を示す説明図である。図9(b)では、重ね合わせ部分にずれが生じていないが、これはサブ画像GS中の被写体画像から正しい位置の部分画像GSpを切り出していることを意味し、被写体にピントが合致している。一方、図9(a),(c)では重ね合わせ部分にずれが生じており、これはサブ画像GS中の被写体画像からずれた位置の部分画像GSpを切り出していることを意味し、被写体とピントがずれている。なお、図9(a)では、被写体よりも奥側にピントがずれており、図9(c)では被写体よりも手前側にピントがずれている。このように、ユーザーは、ファインダー画像GFの重ね合わせ部分のずれを確認しながら、ピント合わせをすることができる。ここで、ファインダー画像GFは、主にメイン画像GMを用いて部分画像GSpを重ね合わせたものであるから、メイン画像GMと視差のない画像とすることができる。また、現在取り付けられている撮影レンズ21の焦点距離fを用いて部分画像GSpのサイズを調整した上でメイン画像GMに重ね合わせるから、重ね合わせ部分の画像に大きさのずれが生じることはない。
【0029】
次に、ユーザーにより倍率規則Rbが補正される際のデジタルカメラ10の動作について説明する。図10は、メインコントローラー30により実行される補正処理ルーチンの一例を示す説明図である。この処理は、ユーザーのモード選択ボタン90dの操作により補正用モードとされたときに実行される。なお、ここでは、切出位置Kが正常であることを前提に調整倍率Bに対する補正について説明する。この補正処理ルーチンが実行されると、メインコントローラー30は、まず、基準距離Lの位置に目標物Mを置いて、距離リング21cの距離目盛りが距離Lを示す回転位置となるよう操作する作業を行ない、作業が完了すればOKボタン90eを操作することを促す旨の指示画面を液晶モニター84に表示して(ステップS300)、ユーザーによりOKボタン90eが操作されるのを待つ(ステップS310)。OKボタン90eが操作されると、現在取り付けられている撮影レンズ21の焦点距離fを入力する(ステップS320)。上述したように、焦点選択レバー90hにより選択されているものを入力する。こうして焦点距離fを入力すると、現在の調整倍率Bと切出位置Kとに従ってファインダー画像GFを生成する(ステップS340)。この処理は、上述したファインダー画像表示処理ルーチンの処理と同様に行なわれる。なお、このときの調整倍率Bは、入力した焦点距離fを用いて倍率規則Rbを参照して設定された倍率となっている。そして、生成されたファインダー画像GFの重ね合わせ部分を拡大したファインダー画像GF’をEVF82に表示する(ステップS350)。図11は、補正用モードでのファインダー画像GF’の一例を示す説明図である。図示するように、重ね合わせ部分が拡大して表示されると共に調整中であることを示すメッセージが表示される。ここで、本来であれば、図11(b)に示すように、重ね合わせ部分に大きさのずれのないファインダー画像GF’が表示される。しかし、何らかの異常によりメイン電子撮像ユニット20やサブ電子撮像ユニット40の位置が前後にずれてしまった場合などには、図11(a)に示すように、重ね合わせ部分に大きさのずれが生じることがある。
【0030】
こうしてファインダー画像GF’を表示すると、JOGダイヤル90gによる調整操作(ステップS360)やOKボタン90eの操作(ステップS370)がなされるのを待つ。調整操作がなされたときには、拡大操作か縮小操作かを判定する(ステップS380)。例えば、JOGダイヤル90gが右に回されたときには拡大と判定し、左にまわされたときには縮小と判定する。拡大操作と判定したときにはJOGダイヤル90gの操作量に応じた正の値の倍率変更量Δbを設定し(ステップS390)、縮小操作と判定したときにはJOGダイヤル90gの操作量に応じた負の値の倍率変更量Δbを設定して(ステップS400)、現在の調整倍率Bに倍率変更量Δbを加えて調整倍率Bを変更する(ステップS410)。
【0031】
こうして調整倍率Bを変更すると、ステップS340に戻り処理を繰り返し、ファインダー画像GF’において大きさのずれが確認されなくなるまでユーザーからの調整操作を繰り返し受け付ける。そして、ステップS370でOKボタン90eが操作されたと判定したときには、現在の調整倍率Bで倍率規則Rbを補正するか否かを問い合わせる確認メッセージをEVF82に表示して(ステップS430)、ボタン操作がなされるのを待つ(ステップS440)。ステップS440でキャンセルボタン90fが操作されると、再びステップS340に戻り処理を繰り返す。一方、ステップS440でOKボタン90eが操作されると、倍率変更量ΔB(倍率変更量Δbの累積値)を入力された焦点距離fにおける補正量として用いて倍率規則Rkを補正して(ステップS450)、本ルーチンを終了する。倍率規則Rkの補正として、例えば、入力された焦点距離fが焦点距離f2の場合を考える。この場合、まず、焦点距離f2の調整倍率B2に対して倍率変更量ΔBが補正量として加算される。また、焦点距離f1の調整倍率B1に対しては、倍率変更量ΔBを調整倍率B2と調整倍率B1との比に応じた量を補正量として加算する。なお、焦点距離f3の調整倍率B3に対しても同様である。これにより、簡易な方法でユーザーによる倍率規則Rbの補正を可能とすることができる。なお、複数の焦点距離のそれぞれについて倍率変更量ΔBを取得して、それらに基づいて倍率規則Rkを補正してもよい。
【0032】
ここで、デジタルカメラ10の出荷時の倍率規則Rbは、デジタルカメラ10の製造工程において、デジタルカメラ10の個体差を反映した上で登録されている。以下、デジタルカメラ10の製造方法と合わせて説明する。図12は、デジタルカメラ10の製造工程の一例を示す説明図である。デジタルカメラ10の製造工程としては、まず、各構成部品を本体12に組み付ける(工程S500)。この組付工程では、メイン電子撮像ユニット20やサブ電子撮像ユニット40、画像処理部70、表示制御部80、EVF82、液晶モニター84、操作スイッチ群90、メインコントローラー30などが本体12に組み付けられる。このときフラッシュメモリー38には、倍率規則Rbとして各焦点距離におけるデフォルトの調整倍率が登録され、また、切出規則Rkとしては既に生成されたものが登録されている。こうしてデジタルカメラ10を組み付けると、倍率規則Rbを生成するための準備を行なう(工程S510)。この準備工程では、デジタルカメラ10の図示しない電源ボタンをオンとして三脚などに固定し、固定されたデジタルカメラ10から所定距離Lだけ離れた位置に目標物Mを置き、焦点選択レバー90hを操作して現在取り付けられている撮影レンズ21の焦点距離f(ここでは、焦点距離f1とする)に合わせておき、距離リング21cに記された距離目盛りが距離Lを示す回転位置となるよう回転操作する。また、このとき、デジタルカメラ10では、電源ボタンがオンされたことにより、上述したファインダー画像表示処理ルーチンが実行される。このため、切出位置kと焦点距離f1に対応するデフォルトの調整倍率とに従って生成されたファインダー画像GFがEVF82に表示される。
【0033】
こうしてファインダー画像GFが表示されると、表示されたファインダー画像GFの重ね合わせ部分の大きさのずれを確認する(工程S520)。このとき、デジタルカメラ10の個体差に伴って、重ね合わせ部分に若干のずれが生じることがある。なお、デジタルカメラ10の個体差は、メイン電子撮像ユニット20やサブ電子撮像ユニット40などの各部品の製造誤差や組付誤差、イメージセンサー22,42の特性などに起因して生じるものである。そして、確認工程において大きさのずれを確認したときには、そのずれが確認できなくなるまで倍率調整を行なう(工程S530)。この倍率調整は、図10の補正処理ルーチンの調整処理と同様に行なわれる。大きさのずれが確認できなくなったときには、焦点距離f1における調整量として用いて倍率規則Rbを生成してフラッシュメモリー38に登録する(工程S540)。倍率規則Rbの生成は、図10の補正処理ルーチンにおける倍率規則Rbの補正と同様に、焦点距離f1における調整量を各焦点距離における調整倍率との比に応じて加算することなどにより行なわれる。これにより、デジタルカメラ10の組付誤差などに起因して生じる個体差に伴う大きさのずれを排除して、精度の高い倍率規則Rbを生成して登録することができる。
【0034】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のEVF82が本発明の「画像表示手段」に相当し、メイン電子撮像ユニット20が「メイン撮像手段」に相当し、サブ電子撮像ユニット40が「サブ撮像手段」に相当し、焦点選択レバー90hが「焦点距離取得手段」に相当し、メインコントローラー30が「倍率設定手段」に相当し、メインコントローラー30と画像処理部70とが「合成画像生成手段」に相当し、表示制御部80が「表示制御手段」に相当する。また、JOGダイヤル90gが「指示受付手段」に相当し、メインコントローラー30が「補正手段」に相当する。
【0035】
以上詳述した本実施形態のデジタルカメラ10によれば、現在取り付けられている撮影レンズ21の焦点距離fを取得し、取得された焦点距離fを用いて倍率規則Rbを参照して調整倍率Bを設定し、サブ画像GSの所定位置から切り出された部分画像GSpを設定された調整倍率Bに従ってサイズ調整してメイン画像GMと同じ大きさとしてから、メイン画像GMに重ね合わせてファインダー画像GFを生成し、生成したファインダー画像GFをEVF82に表示するから、複雑な機構を採用することなく、簡易な仕組みで2つの画像を重ね合わせたファインダー画像を生成することができる。
【0036】
また、補正用モードにおいてユーザーによる操作によって設定された倍率変更量に応じて倍率規則Rbを補正するものとしたから、ユーザーによる倍率規則Rbの補正を可能とすることができる。また、補正用モードでのファインダー画像GF’は、重ね合わせ部分を拡大表示するものとしたから、大きさのずれの確認を容易なものとしてスムーズに倍率規則Rbの補正をすることができる。さらに、マニュアルフォーカスの操作量Soを取得し切出規則Rkを参照して部分画像GSpの切出位置Kを設定するから、重ね合わせ部分の位置ずれを確認することにより、ピントが合っているか否かを確認することができる。
【0037】
なお、本発明は上述した実施態様に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0038】
上述した実施形態では、ファインダー画像GFをEVF82に表示するものとしたが、これに限られず、画像表示モニター84に表示するものとしてもよい。
【0039】
上述した実施形態では、1つの焦点距離に対する補正量を各焦点距離に反映させるものとしたが、これに限られず、各焦点距離毎に調整倍率Bの調整を行なった結果をそれぞれに反映させるものとしてもよい。
【0040】
上述した実施形態では、サブ画像GSから部分画像GSpを切り出して部分画像Gspに対してサイズ調整を行なうものとしたが、これに限られず、先にサブ画像GSにサイズ調整を行なってから部分画像GSpを切り出すものとしてもよい。また、サイズ調整をサブ画像GSに行なうものに限られず、メイン画像GMに対して行なうものとしてもよい。
【0041】
上述した実施形態では、サブ画像GSがメイン画像GMよりもサイズが小さい場合を示したが、これに限られず、サブ画像GSとメイン画像GMとが同じサイズであってもよいし、サブ画像GSがメイン画像GMよりもサイズが大きくてもよい。なお、サブ画像GSから切り出した部分画像GSpをメイン画像GMに合成するものとしたが、サブ画像GSをそのまま合成するものとしてもよい。
【0042】
上述した実施形態では、焦点選択レバー90hにより撮影レンズ21の焦点距離fが3つの焦点距離f1〜f3から選択されるものとしたが、これに限られず、4つ以上の焦点距離から選択されるものとしてもよい。あるいは、ユーザーが焦点距離の数値を入力するものとしてもよいし、撮影レンズ21から電気的な通信手段などを用いてユーザーを介さずに焦点距離を取得してもよい。また、撮影レンズ21がズームレンズであってもよく、ズームレンズを取り付けた場合には、その時点の焦点距離を電気的な通信手段などにより取り込んで、調整倍率Bを設定することが望ましい。ズームレンズを取り付けた場合には、倍率規則Rbを連続で変化させるべきであり、倍率規則Rbを関係式として記憶し、倍率を求める場合には、その関係式を用いて演算を行なって調整倍率Bを求めることが望ましい。
【0043】
上述した実施形態では、距離リング21cの回転量を連動コロ29を介して検出するものとしたが、距離リング21cの回転角を直接検出することにより回転量を検出するものとしてもよい。
【0044】
上述した実施形態では、倍率規則Rbを焦点距離fと倍率とを対応付けた規則としたが、焦点距離fとコロ位置センサー29aから取得する被写体までの距離と倍率とを対応付けた規則としてもよい。これにより、メイン画像GMに写し出される被写体の大きさが被写体までの距離に依存している場合でも、部分画像GSpに写る被写体画像とメイン画像GMに写る被写体画像との大きさを揃えることができる。
【0045】
上述した実施形態では、部分画像GSpをメイン画像GMにαブレンド処理を用いてそのまま重ね合わせることでファインダー画像GFを生成するものとしたが、部分画像GSp,メイン画像GMの少なくとも一方の色を変化させた上でαブレンド処理を用いて重ね合わせることでファインダー画像GFを生成するものとしてもよい。この場合、メイン画像GMの重ね合わせ部分の画像や部分画像GSpをモノクロ化したりアンバー色を着色したりするものなどとすればよい。これにより、メイン画像GMの重ね合わせ部分の画像と部分画像GSpとの区別を容易にすることができる。
【0046】
上述した実施形態では、メイン電子撮像ユニット20やサブ電子撮像ユニット40における光軸回りの回転を考慮することなく切出位置Kや切出領域を定めるものとしたが、メイン電子撮像ユニット20やサブ電子撮像ユニット40における光軸回りの回転を反映した切出位置Kや切出領域として、被写体にピントが合致している場合に、重ね合わせ部分の回転方向のずれが生じないようにしてもよい。この場合、切出規則Rkには回転に対応した情報を含めることが望ましい。
【0047】
上述した実施形態では、倍率規則Rbの生成時や補正時における調整を作業者やユーザーによるJOGダイヤル90gの手動操作に基づいて行なうものとしたが、これに限られず、自動で行なうものとしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 デジタルカメラ、12 本体、20 メイン電子撮像ユニット、21 撮影レンズ、21a レンズ群、21b 絞り機構、21c 距離リング、21d 繰り出し部、22 イメージセンサー、23 フォーカルプレーンシャッター、24 ドライバー回路、26 アナログフロントエンド(AFE)、29 連動コロ、29a コロ位置センサー、30 メインコントローラー、32 CPU、34 ROM、36 RAM、38 フラッシュメモリー、40 サブ電子撮像ユニット、41 サブレンズ、41a,41c レンズ群、41b 絞り機構、42 イメージセンサー、44 ドライバー回路、46 アナログフロントエンド(AFE)、60 メモリーカード、70 画像処理部、80 表示制御部、82 EVF、84 液晶モニター、90 操作スイッチ群、90a シャッターボタン、90b ダイヤルスイッチ(ダイヤルSW)、90c 巻上レバー、90d モード選択ボタン、90e OKボタン、90f キャンセルボタン、90g JOGダイヤル、90h 焦点選択レバー、GF,GF’ ファインダー画像、GM メイン画像、GS サブ画像、GSp 部分画像、M 目標物、A,B 所定間隔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マニュアルフォーカスが可能でメインレンズの焦点距離を変更可能なデジタルカメラであって、
画像を表示する画像表示手段と、
前記メインレンズを介して得られる被写体の像を光電変換してメイン画像を生成するメイン撮像手段と、
サブレンズを介して得られる被写体の像を光電変換してサブ画像を生成するサブ撮像手段と、
前記メインレンズの焦点距離を取得する焦点距離取得手段と、
前記取得されたメインレンズの焦点距離に基づいて、画像の倍率を設定する倍率設定手段と、
前記設定された倍率で前記メイン画像と前記サブ画像の少なくとも一方の画像の変倍処理を伴って、該メイン画像と該サブ画像とを重ね合わせた合成画像を生成する合成画像生成手段と、
該生成された合成画像を表示するよう前記表示手段を制御する表示制御手段と
を備えるデジタルカメラ。
【請求項2】
前記倍率設定手段は、前記メイン画像の被写体の像と前記サブ画像の被写体の像とが略同じ大きさとなるよう倍率を設定する手段である請求項1記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
前記サブレンズとしてパンフォーカスレンズが取り付けられてなる請求項2記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
前記メインレンズの焦点距離を所定の焦点距離とした際の前記合成画像における大きさのずれの確認を伴って画像の倍率を設定するための所定の倍率規則の補正が可能な補正用モードを有する請求項3記載のデジタルカメラであって、
前記補正用モードにおいて、前記合成画像における大きさのずれが所定の程度以下となるよう前記設定された倍率に対する変更の指示を受け付ける指示受付手段と、
前記補正用モードにおいて、前記受け付けられた倍率の変更量を前記所定の焦点距離における補正量として用いて前記倍率規則を補正する補正手段と
を備えるデジタルカメラ。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか1項に記載のデジタルカメラであって、
マニュアルフォーカスの操作量を取得する操作量取得手段を備え、
前記合成画像生成手段は、前記合成画像として、前記取得された操作量と所定の切出規則とに基づいてマニュアルフォーカスによる焦点が被写体に合うほど該合成画像における重ね合わせ部分の位置のずれが小さくなるよう、前記サブ画像から部分的に画像を切り出す切出位置を設定すると共に該設定した切出位置に従って部分画像を切り出して前記メイン画像の所定位置に重ね合わせた画像を生成する手段である
デジタルカメラ。
【請求項6】
前記合成画像生成手段は、前記所定の切出規則として、前記メインレンズと前記サブレンズとの間隔と、前記取得された操作量から導かれる被写体までの距離とに基づく三角測量の原理により定められた規則を用いる手段である請求項5記載のデジタルカメラ。
【請求項7】
マニュアルフォーカスが可能でメインレンズの焦点距離を変更可能なデジタルカメラの製造方法であって、
(a)画像を表示する画像表示手段と、前記メインレンズを介して得られる被写体の像を光電変換してメイン画像を生成するメイン撮像手段と、サブレンズを介して得られる被写体の像を光電変換してサブ画像を生成するサブ撮像手段と、前記メインレンズの焦点距離を取得する焦点距離取得手段と、前記取得されたメインレンズの焦点距離に基づいて前記メイン画像の被写体の像と前記サブ画像の被写体の像とが略同じ大きさとなるよう画像の倍率を設定する倍率設定手段と、前記設定された倍率で前記メイン画像と前記サブ画像の少なくとも一方の画像の変倍処理を伴って該メイン画像と該サブ画像とを重ね合わせた合成画像を生成する合成画像生成手段と、該生成された合成画像を表示するよう前記表示手段を制御する表示制御手段と、各種データを記憶する記憶手段とを組み付ける組付工程と、
(b)前記メインレンズの焦点距離を所定の焦点距離に変更する準備工程と、
(c)前記合成画像生成手段に前記合成画像を生成させ、該生成させた合成画像の大きさのずれを確認したときには、該ずれが所定の程度以下となるように前記設定された倍率に対する調整を行なう調整工程と、
(d)前記ずれが所定の程度以下となったときに設定されている倍率に基づいて、前記所定の焦点距離と前記倍率とを関連付けた倍率規則を生成させ、該生成させた倍率規則を前記記憶手段に登録させる登録工程と
を備えるデジタルカメラの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−135490(P2011−135490A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−295202(P2009−295202)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】