説明

デジタルカメラ及びデジタルカメラの制御方法

【課題】 低コストで撮像系及び再生系の各々の垂直同期信号の同期をとることができるデジタルカメラ、及びデジタルカメラの制御方法を得る。
【解決手段】 ビデオエンコーダ66により、CCD22による撮像により得られた画像データの再生に関する垂直同期信号であり、予め定められた第1の周期とされた垂直同期信号VDを、セラミック発振器82によって発生されたクロック信号に基づいて生成すると共に、タイミングジェネレータ48により、上記第1の周期をP倍(Pは動作モードに応じて予め定められた自然数)した第2の周期以上の周期とされた垂直同期信号であり、CCD22による撮像に関する垂直同期信号VIを、水晶発振器80によって発生されたクロック信号に基づいて生成し、垂直同期信号VDを基準として上記第2の周期毎に垂直同期信号VIの生成動作をリセットする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、デジタルカメラ及びデジタルカメラの制御方法に係り、特に、撮影によって得られた画像を再生することができるデジタルカメラ及びデジタルカメラの制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、撮像素子による連続的な撮像によって得られたスルー画像(動画像)を電気的にファインダ(所謂エレクトロニック・ビュー・ファインダ)や当該ファインダより表示領域の広い液晶ディスプレイに表示(再生)することができるデジタルカメラが商品化されている。
【0003】この種のデジタルカメラでは、撮像素子による撮像に関する系(以下、「撮像系」という。)と、撮像素子による撮像により得られた画像データの再生に関する系(以下、「再生系」という。)と、の双方で水平同期信号及び垂直同期信号が必要とされている。
【0004】このとき、撮像系と再生系の各々の垂直同期信号は同期が取れていることが好ましい。以下、この理由について説明する。
【0005】例えば、撮像素子による連続的な撮像によって得られたスルー画像を再生する場合、一般に、上記スルー画像を示す1画面分の映像信号によって示される画像データを内蔵されたメモリの所定のメモリ空間に一旦記憶し、当該画像データを上記メモリから読み出して液晶ディスプレイ(以下、「LCD」という。)や、エレクトロニック・ビュー・ファインダ(以下、「EVF」という。)によって再生すると同時に、次の1画面分の画像データを上記メモリの他のメモリ空間に記憶する。そして、この動作を交互に繰り返すことにより、滑らかなスルー画像の再生を実現している。従って、上記メモリには、少なくとも2画面分のメモリ空間が必要とされている。
【0006】ここで、撮像系及び再生系の各々の垂直同期信号が同期している場合と、非同期の場合と、の各々の動作について図4を参照して説明する。なお、同図における垂直同期信号VIが撮像系の垂直同期信号であり、垂直同期信号VDが再生系の垂直同期信号である。
【0007】図4(A)に示すように、垂直同期信号VI及び垂直同期信号VDが同期している場合は、1画面分の画像データを取り込んでメモリ内の所定のメモリ空間(以下、「A面」という。)に記憶した後、次の1画面分の画像データを取り込んで上記メモリ内の他のメモリ空間(以下、「B面」という。)に記憶すると同時に、A面に記憶されている画像データを読み出して再生する、ということをA面及びB面について交互に繰り返すことによってスルー画像を再生することができる。
【0008】すなわち、画像データを記憶している最中のメモリ空間から当該画像データを再生のために読み出すことは、正確な画像再生が行えない場合があるため避けなければならないが、各垂直同期信号VI、VDが同期している場合には、このような事態を発生させることなく、画像データの取り込み及び再生を連続して行なうことができる。従って、この場合には、メモリにA面及びB面の2画面分のメモリ空間のみが存在すればよく、画像データの記憶のためのメモリ容量を最小限に抑えることができる。
【0009】これに対し、垂直同期信号VI及び垂直同期信号VDが非同期である場合は、図4(B)に示すように、画像データの再生のタイミングが、A面に対する画像データの記憶のタイミングと、B面に対する画像データの記憶のタイミングとに跨る場合がある。このため、A面に画像データを記憶している最中にA面に記憶されている画像データを読み出したり、B面に画像データを記憶している最中にB面に記憶されている画像データを読み出す事態が発生することがある。
【0010】そこで、この事態を回避するため、上記メモリに更に1画面分のメモリ空間(図4(B)では、「C面」と表記。)を第3のメモリ空間として設けておき、ある面と次の面とに跨る再生のタイミングでは、残りの面に記憶されている画像データを再生するようにする。従って、撮像系と再生系の各垂直同期信号が非同期である場合には、少なくとも3画面分のメモリ空間が必要であり、同期している場合に比較して、画像データの記憶のためのメモリ容量を大きくする必要がある。
【0011】このように、撮像系と再生系の各垂直同期信号VI、VDは、画像データを一時的に記憶するメモリの記憶容量の面で、同期が取れているほうが有利であるといえる。
【0012】そこで、2つの異なる系で用いられる同期信号の間で同期をとる技術として、特開平6−276424号公報には、カメラヘッドに撮像素子と撮像素子の駆動回路を設け、当該駆動回路によりカメラ制御器において生成した基準クロック(本発明の「クロック信号」に相当。)に基づいて水平及び垂直の駆動パルス(前述の「水平同期信号及び垂直同期信号」に相当。)を生成する技術が記載されている。
【0013】これに対し、特開平5−75915号公報には、第1の同期信号発生回路において手ぶれを補正した映像信号をフレームメモリから出力させるための水平同期信号、垂直同期信号、及びフレーム信号を発生し、第2の同期信号発生回路において撮像素子を駆動するための同期信号として垂直同期信号及びフレーム信号は上記第1の同期信号発生回路で発生した垂直同期信号及びフレーム信号をそのまま用い、水平同期信号は上記第1の同期信号発生回路で発生した垂直同期信号又はフレーム信号でクロック信号を定期的にリセットすることで作成する技術が記載されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記特開平6−276424号公報に記載の技術では、異なる系において用いられる垂直同期信号及び水平同期信号を共通のクロック信号を用いて生成しているので、コストが高くなる、という問題点があった。
【0015】これは、異なる系において用いられる同期信号を共通のクロック信号を用いて生成する場合、各系毎に系に応じた好適な周期の同期信号を生成するために、上記クロック信号を互いに異なる分周率で分周する必要があり、この分周のためにクロックジェネレータ等の高価な回路を複数用いる必要があるためである。
【0016】一方、上記特開平5−75915号公報に記載の技術では、異なる系で用いられる垂直同期信号を共通のものとしているので、このままでは垂直同期信号の周期が各系毎に異なる装置には適用することができず、このような装置に適用するためには、上記と同様に分周するための回路が必要となり、この場合にもコストが高くなる、という問題点があった。
【0017】本発明は上記問題点を解消するためになされたものであり、低コストで撮像系及び再生系の各々の垂直同期信号の同期をとることができるデジタルカメラ、及びデジタルカメラの制御方法を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1記載のデジタルカメラは、被写体を撮像する撮像手段と、所定周期の第1のクロック信号を発生する第1の発振手段と、前記撮像手段による撮像により得られた画像データの再生に関する予め定められた第1の周期の再生用垂直同期信号を前記第1のクロック信号に基づいて生成する第1の信号生成手段と、前記第1のクロック信号とは異なる周期の第2のクロック信号を発生する第2の発振手段と、前記第1の周期をP倍(Pは動作モードに応じて予め定められた自然数)した第2の周期以上の周期の前記撮像手段による撮像に関する撮像用垂直同期信号を前記第2のクロック信号に基づいて生成する第2の信号生成手段と、前記再生用垂直同期信号を基準として前記第2の周期毎に前記第2の信号生成手段による前記撮像用垂直同期信号の生成動作をリセットするリセット手段と、を備えている。
【0019】請求項1に記載のデジタルカメラによれば、所定周期の第1のクロック信号が第1の発振手段によって発生され、被写体を撮像する撮像手段による撮像により得られた画像データの再生に関する予め定められた第1の周期の再生用垂直同期信号が第1の信号生成手段により第1のクロック信号に基づいて生成される。ここで、上記再生用垂直同期信号は、前述の再生系の垂直同期信号VDに相当するものである。
【0020】なお、上記撮像手段には、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージ・センサ等の撮像素子が含まれる。また、上記第1の発振手段には、水晶発振器、セラミック発振器等が含まれる。
【0021】また、請求項1に記載のデジタルカメラでは、第1のクロック信号とは異なる周期の第2のクロック信号が第2の発振手段によって発生され、上記第1の周期をP倍(Pは動作モードに応じて予め定められた自然数)した第2の周期以上の周期の上記撮像手段による撮像に関する撮像用垂直同期信号が第2の信号生成手段により第2のクロック信号に基づいて生成され、更に、再生用垂直同期信号を基準として上記第2の周期毎に第2の信号生成手段による撮像用垂直同期信号の生成動作がリセット手段によってリセットされる。なお、上記撮像用垂直同期信号は、前述の撮像系の垂直同期信号VIに相当するものである。
【0022】ここで、撮像用垂直同期信号の周期を再生用垂直同期信号の周期のP倍以上とした理由について説明する。なお、ここでは、再生用垂直同期信号を垂直同期信号VDとし、撮像用垂直同期信号を垂直同期信号VIとして説明する。
【0023】例えば、Pの値が‘2’である場合には、垂直同期信号VIはリセット手段により垂直同期信号VDを基準として垂直同期信号VDの周期の2倍の周期毎にリセットされることになるが、このとき、垂直同期信号VIの周期が垂直同期信号VDの周期の2倍未満である場合、一例として図5に示したように、垂直同期信号VIが一旦ローレベルとなった後にハイレベルとなり、その後にリセットによって再度ローレベルとなる場合がある。
【0024】このように、立て続けに2回ローレベルとなってしまう場合、この垂直同期信号VIに従って制御を行なう場合の当該制御に破綻をきたすおそれがある。このような不具合の発生を未然に防止するために、本発明では、撮像用垂直同期信号の周期を再生用垂直同期信号の周期のP倍以上としているのである。
【0025】なお、上記第2の発振手段には、水晶発振器、セラミック発振器等が含まれる。
【0026】このように、請求項1に記載のデジタルカメラによれば、再生系と撮像系とで各々個別の発振手段によってクロック信号を発生しているので、各系で共通のクロック信号を用いる場合のように分周するための回路を用いる必要がなく、この結果として低コストとすることができると共に、撮像用垂直同期信号の周期を再生用垂直同期信号の周期のP倍以上としているので、撮像系及び再生系の各々の垂直同期信号の同期を安定してとることができる。
【0027】ところで、本発明の第1の発振手段及び第2の発振手段によって発生される第1のクロック信号及び第2のクロック信号の各々の周期は、各種誤差要因に起因して、設計値とは異なるものとなってしまう場合がある。従って、本発明のように、撮像用垂直同期信号の周期を再生用垂直同期信号の周期のP倍以上となるように設計したとしても、実際には、撮像用垂直同期信号の周期が再生用垂直同期信号のP倍未満となってしまう場合がある。
【0028】この場合に鑑みて、請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第2の信号生成手段は、前記撮像用垂直同期信号を、前記第2の周期に所定のオフセット値を加算した周期以上の周期となるように生成するものである。
【0029】請求項2に記載のデジタルカメラによれば、第2の信号生成手段により、撮像用垂直同期信号が、上記第2の周期に所定のオフセット値を加算した周期以上の周期となるように生成される。なお、このときのオフセット値としては、各種誤差要因を考慮して、第2の周期に加算することにより、撮像用垂直同期信号の周期を、確実に第1の周期のP倍以上とすることができる値として、実験又はコンピュータ・シミュレーション等によって得られた値等を適用することができる。
【0030】このように、請求項2に記載のデジタルカメラによれば、請求項1記載の発明と同様の効果を奏することができると共に、撮像用垂直同期信号を、第2の周期に所定のオフセット値を加算した周期以上の周期となるように生成しているので、撮像系及び再生系の各々の垂直同期信号の同期を、より安定してとることができる。
【0031】ところで、本発明における第1のクロック信号及び第2のクロック信号の各々の周期の誤差要因のほとんどを占めるものとして、周辺温度や湿度等の環境変化、及び第1の発振手段及び第2の発振手段の機差が挙げられる。
【0032】そこで、請求項3記載のデジタルカメラは、請求項2記載の発明において、前記オフセット値を、前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号における各々の周期の環境変化に応じた誤差、及び前記第1の発振手段及び前記第2の発振手段における各々の機差に応じた誤差の少なくとも一方に基づいて、前記撮像用垂直同期信号の周期が前記第1の周期のP倍以上となるように決定したものである。
【0033】請求項3に記載のデジタルカメラによれば、本発明のオフセット値が、上記第1のクロック信号及び上記第2のクロック信号における各々の周期の環境変化に応じた誤差、及び上記第1の発振手段及び上記第2の発振手段における各々の機差に応じた誤差の少なくとも一方に基づいて、撮像用垂直同期信号の周期が上記第1の周期のP倍以上となるように決定される。
【0034】このように、請求項3に記載のデジタルカメラによれば、請求項2記載の発明と同様の効果を奏することができると共に、請求項2記載の発明におけるオフセット値を、第1のクロック信号及び第2のクロック信号における各々の周期の環境変化に応じた誤差、及び第1の発振手段及び第2の発振手段における各々の機差に応じた誤差の少なくとも一方に基づいて、撮像用垂直同期信号の周期が第1の周期のP倍以上となるように決定しているので、これらの誤差要因に起因する不具合の発生を未然に防止することができる。
【0035】ところで、本発明の撮像用垂直同期信号は、周期に応じて、撮像手段による撮像によって得られる画像データの垂直方向の間引き数を切り替えるように用いることができる。より具体的には、撮像用垂直同期信号の周期を大きくするほど、上記間引き数を大きくすることができる。
【0036】一方、デジタルカメラにおいて、読み取られた画像のコントラストが最大となるようにレンズの位置を設定する、所謂TTL(Through The Lens)方式で合焦制御(所謂、オートフォーカス制御)を行なう際には、それほど高精細な画像データは必要とせず、かつ高速な処理が求められるので、この際の撮像用垂直同期信号の周期は比較的小さくすることが好ましい。
【0037】また、デジタルカメラにおいて、撮像手段による連続的な撮像によって得られたスルー画像を再生する場合や、撮像によって得られた画像データに基づいて露出補正を行う場合には、高品質なスルー画像の再生や、高精度な露出補正のために、高精細な画像データが求められるので、この際の撮像用垂直同期信号の周期は比較的大きくすることが好ましい。
【0038】そこで、請求項4記載のデジタルカメラは、請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の発明において、前記動作モードとして、合焦制御を行なうモードである合焦制御モード、前記撮像手段による連続的な撮像によって得られたスルー画像を再生するモードであるスルー画像モード、及び露出補正を行なうモードである露出補正モードの各モードを備えると共に、前記合焦制御モードに対応する前記Pの値を、前記スルー画像モード及び前記露出補正モードに対応するPの値より小さな値としたものである。これによって、動作モードに応じて好適な周期とされた撮像用垂直同期信号を生成することができる。
【0039】一方、請求項5記載のデジタルカメラの制御方法は、被写体を撮像する撮像手段、所定周期の第1のクロック信号を発生する第1の発振手段、及び前記第1のクロック信号とは異なる周期の第2のクロック信号を発生する第2の発振手段を備えたデジタルカメラの制御方法であって、前記撮像手段による撮像により得られた画像データの再生に関する予め定められた第1の周期の再生用垂直同期信号を前記第1のクロック信号に基づいて生成すると共に、前記第1の周期をP倍(Pは動作モードに応じて予め定められた自然数)した第2の周期以上の周期の前記撮像手段による撮像に関する撮像用垂直同期信号を前記第2のクロック信号に基づいて生成し、前記再生用垂直同期信号を基準として前記第2の周期毎に前記撮像用垂直同期信号の生成動作をリセットするものである。
【0040】従って、請求項5に記載のデジタルカメラの制御方法によれば、請求項1記載の発明と同様に作用するので、請求項1記載の発明と同様に、低コストで撮像系及び再生系の各々の垂直同期信号の同期を安定してとることができる。
【0041】また、請求項6記載のデジタルカメラの制御方法は、請求項5記載の発明において、前記撮像用垂直同期信号を、前記第2の周期に所定のオフセット値を加算した周期以上の周期となるように生成するものである。
【0042】従って、請求項6に記載のデジタルカメラの制御方法によれば、請求項5記載の発明と同様の効果を奏することができると共に、請求項2記載の発明と同様に作用するので、請求項2記載の発明と同様に、撮像系及び再生系の各々の垂直同期信号の同期を、より安定してとることができる。
【0043】また、請求項7記載のデジタルカメラの制御方法は、請求項6記載の発明において、前記オフセット値を、前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号における各々の周期の環境変化に応じた誤差、及び前記第1の発振手段及び前記第2の発振手段における各々の機差に応じた誤差の少なくとも一方に基づいて、前記撮像用垂直同期信号の周期が前記第1の周期のP倍以上となるように決定したものである。
【0044】従って、請求項7に記載のデジタルカメラの制御方法によれば、請求項6記載の発明と同様の効果を奏することができると共に、請求項3記載の発明と同様に作用するので、請求項3記載の発明と同様に、第1のクロック信号及び第2のクロック信号における各々の周期の環境変化に応じた誤差、及び第1の発振手段及び第2の発振手段における各々の機差に応じた誤差の少なくとも一方の誤差要因に起因する不具合の発生を未然に防止することができる。
【0045】更に、請求項8記載のデジタルカメラの制御方法は、請求項5乃至請求項7の何れか1項記載の発明において、前記デジタルカメラに、前記動作モードとして、合焦制御を行なうモードである合焦制御モード、前記撮像手段による連続的な撮像によって得られたスルー画像を再生するモードであるスルー画像モード、及び露出補正を行なうモードである露出補正モードの各モードを備えると共に、前記合焦制御モードに対応する前記Pの値を、前記スルー画像モード及び前記露出補正モードに対応するPの値より小さな値としたものである。
【0046】従って、請求項8に記載のデジタルカメラの制御方法によれば、請求項5乃至請求項7の何れか1項記載の発明と同様の効果を奏することができると共に、請求項4記載の発明と同様に作用するので、請求項4記載の発明と同様に、動作モードに応じて好適な周期とされた撮像用垂直同期信号を生成することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、図1を参照して、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の構成を説明する。
【0048】同図に示すように、本実施の形態に係るデジタルカメラ10は、被写体像を結像させるためのレンズを含んで構成された光学ユニット20と、上記レンズの光軸後方に配設されたCCD22と、CCD22からの出力信号に基づき被写体像を示すデジタル画像データを生成すると共に光学ユニット20の各部、CCD22等を駆動するためのタイミング信号を生成する信号処理部40と、デジタルカメラ10の全体的な動作を司る主制御部60と、CCD22を駆動する垂直・水平ドライバ24と、光学ユニット20に含まれるシャッタ及び絞りを駆動するシャッタ・アイリスモータドライバ26と、光学ユニット20に含まれる焦点調整モータを駆動するフォーカスモータドライバ28と、光学ユニット20に含まれるズームモータを駆動するズームモータドライバ30と、を含んで構成されている。
【0049】なお、信号処理部40及び主制御部60は1チップLSI(Large Scale Integrated circuit)として構成されており、これによってデジタルカメラ10の小型化、高信頼性化、及び低コスト化が図られている。
【0050】また、デジタルカメラ10は、CCD22による撮像によって得られた被写体像や各種情報を表示するLCD72と、主としてCCD22による撮像によって得られたデジタル画像データを記憶するSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)74と、各種パラメータやプログラム等を記憶したフラッシュROM(Read Only Memory)76と、主制御部60における再生系の動作の基準となる所定周波数(本実施の形態では、24MHz)のクロック信号を発生するセラミック発振器82と、主制御部60に対して電源電力を供給する電源部84と、を含んで構成されている。
【0051】一方、信号処理部40は、相関2重サンプリング回路42と、ゲインコントローラ44と、A/Dコンバータ46と、タイミングジェネレータ48と、を含んで構成されている。
【0052】なお、デジタルカメラ10には、撮像系の動作の基準となる所定周波数(本実施の形態では、33MHz)のクロック信号を発生すると共に、主制御部60を介して電源部84からの電源電力が供給される水晶発振器80が備えられている。
【0053】また、主制御部60は、主制御部60全体の動作を司るCPU(中央演算処理装置)61と、所定容量のラインバッファを内蔵した撮像制御部62と、所定の圧縮形式(本実施の形態ではJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式)でデジタル画像データに対して圧縮処理を施すと共に、圧縮処理されたデジタル画像データに対し必要に応じて伸張処理を施す圧縮・伸張部63と、メディア制御部64と、LCD制御部65と、ビデオエンコーダ66と、がバスBUSを介して相互に接続されて構成されている。
【0054】メディア制御部64にはスマートメディア、ICカード、CD−R(CompactDisc-Recordable)、CD−RW(Compact Disc-ReWritable)等の可搬型の記憶メディア70が接続されており、メディア制御部64によって記憶メディア70に対する各種情報の書き込みや当該記憶メディア70に書き込まれている各種情報の読み出しが制御される。また、LCD制御部65にはLCD72が接続されており、LCD72にはLCD制御部65の制御下で各種情報の表示がなされる。
【0055】また、ビデオエンコーダ66には、EVF(図示省略)が接続可能に構成されたD/Aコンバータ67が接続されており、ビデオエンコーダ66及びD/Aコンバータ67により、D/Aコンバータ67にEVFが接続された際の当該EVFに表示すべき映像を示す画像データをNTSC方式のカラー複合映像信号に変換してEVFに出力する。
【0056】また、ビデオエンコーダ66では、EVF又はLCD72に対して映像を表示する際の垂直方向の同期信号である垂直同期信号VDと水平方向の同期信号である水平同期信号HDとを、セラミック発振器82により発生されたクロック信号に基づいて生成し、当該ビデオエンコーダ66自身でEVFへの映像の表示の際に用いると共に、LCD制御部65にバスBUSを介して送信する。LCD制御部65では、受信した垂直同期信号VD及び水平同期信号HDを用いてLCD72に対する映像の表示を制御する。
【0057】なお、LCD72及び上記EVFは、CCD22による連続的な撮像によって得られた動画像(スルー画像)を表示してファインダとして使用することができる。
【0058】また、SDRAM74及びフラッシュROM76は主制御部60のバスBUSに接続されている。従って、CPU61は、SDRAM74及びフラッシュROM76を任意にアクセスすることができる。
【0059】一方、CCD22の出力端は相関2重サンプリング回路42、ゲインコントローラ44、及びA/Dコンバータ46を順に介して撮像制御部62に接続されている。
【0060】また、タイミングジェネレータ48には、垂直・水平ドライバ24、シャッタ・アイリスモータドライバ26、及び撮像制御部62が接続されている。なお、タイミングジェネレータ48には、ビデオエンコーダ66によって生成された垂直同期信号VD及び水平同期信号HDがバスBUS、撮像制御部62を順に介して入力されるように構成されている。
【0061】タイミングジェネレータ48は、CCD22による撮像に関する系(撮像系)の垂直方向の同期信号である垂直同期信号VIと水平方向の同期信号である水平同期信号HIとを水晶発振器80により発生されたクロック信号に基づいて生成し、垂直・水平ドライバ24及び撮像制御部62に出力する。
【0062】また、フォーカスモータドライバ28及びズームモータドライバ30の入力端は各々主制御部60(より詳しくはCPU61)に接続され、フォーカスモータドライバ28の出力端は光学ユニット20に備えられた焦点調整モータに、ズームモータドライバ30の出力端は光学ユニット20に備えられたズームモータに、各々接続されている。
【0063】本実施の形態に係る光学ユニット20に含まれるレンズは複数枚のレンズを有し、焦点距離の変更(変倍)が可能なズームレンズとして構成されており、図示しないレンズ駆動機構を備えている。このレンズ駆動機構にズームモータ及び焦点調整モータは含まれるものであり、ズームモータ及び焦点調整モータは各々CPU61の制御下でズームモータドライバ30及びフォーカスモータドライバ28から供給された駆動信号によって駆動される。
【0064】CPU61は、光学ズーム倍率を変更する際には上記ズームモータを駆動制御して光学ユニット20に含まれるレンズの焦点距離を変化させる。
【0065】また、CPU61は、CCD22による撮像によって得られた画像のコントラストが最大となるように上記焦点調整モータを駆動制御することによって合焦制御を行う。すなわち、本実施の形態に係るデジタルカメラ10では、合焦制御として、読み取られた画像のコントラストが最大となるようにレンズの位置を設定する、所謂TTL方式を採用しており、オートフォーカス・フレームによって示される撮影位置に被写体が位置した状態で不図示のシャッターボタンを半押しすることによって、自動的に合焦制御が為されるように構成されている。
【0066】ところで、デジタルカメラ10には、撮影シーケンスに応じた動作モードとして、合焦制御を行なうモードである合焦制御モード、CCD22による連続的な撮像によって得られた被写体のスルー画像をLCD72に表示するモードであるスルー画像モード、及び露出補正を行なうモードである露出補正モードが予め設けられている。
【0067】表1には、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の合焦制御モード、スルー画像モード、及び露出補正モードの各モードにおける撮像系の垂直同期信号VIと再生系の垂直同期信号VDとの関係、及びCCD22による撮像によって得られるデジタル画像データの垂直方向の間引き数が示されている。
【0068】
【表1】


【0069】同表に示すように、タイミングジェネレータ48は、合焦制御モード時には、垂直同期信号VIの周期が、垂直同期信号VDの周期VDSの1倍にオフセット値N1を加算した値以上となるように垂直同期信号VIを生成し、スルー画像モード及び露出補正モード時には、垂直同期信号VIの周期が、垂直同期信号VDの周期VDSの2倍にオフセット値N2を加算した値以上となるように垂直同期信号VIを生成する。ここで、垂直同期信号VDの周期VDSに乗じた定数(合焦制御モード時の‘1’、スルー画像モード時及び露出補正モード時の‘2’)が本発明のPに相当するものであり、動作モードに応じて予め定められた自然数である。
【0070】すなわち、合焦制御モードでは、高品質なデジタル画像データを得るよりも高速な制御が重視されるため、CCD22による撮像によって得られるデジタル画像データの垂直方向の間引き数を1/8間引きとするように、垂直同期信号VIの周期を垂直同期信号VDの周期VDSの1倍にオフセット値N1を加算したものとしている。これに対して、スルー画像モード及び露出補正モードでは、高速な制御よりも高品質なデジタル画像データを得ることが重視されるため、CCD22による撮像によって得られるデジタル画像データの垂直方向の間引き数を1/4間引きとするように、上記Pの値を合焦制御モードの場合の値より大きな‘2’として、垂直同期信号VIの周期を垂直同期信号VDの周期VDSの2倍にオフセット値N2を加算したものとしている。
【0071】ここで、上記オフセット値N1及びオフセット値N2は、周辺温度や湿度等の環境変化、水晶発振器80及びセラミック発振器82の機差等の各種誤差要因を考慮して、垂直同期信号VDの周期VDSにPの値を乗算して得られた値に加算することにより、垂直同期信号VIの周期を、確実に周期VDSのP倍以上とすることができる値を適用する。
【0072】すなわち、各種誤差要因がない場合は、垂直同期信号VIの周期VISは、次の(1)式によって決定することができる。従って、このときの周期VISとしては、図2に示される領域A(同図の網点領域)の何れの値でも適用することができる。
【0073】
VIS≧P×VDS ・・・(1)
しかしながら、実際には上記のような各種誤差要因があるため、本実施の形態では、周期VISを、上記(1)式に対して各種誤差要因に基づいて決定したオフセット値Nを加算した、次の(2)式によって決定するようにしている。すなわち、本実施の形態では、図2に示される領域B(同図の斜線領域)の何れかの値を周期VISとして適用するようにしている。
【0074】
VIS≧P×VDS+N ・・・(2)
なお、デジタルカメラ10には、これら以外の種々の動作モードが用意されているが、ここでの説明は省略する。
【0075】タイミングジェネレータ48は、撮像制御部62から動作モードを示す情報をシリアル通信によって受信することができ、かつ受信した動作モードに応じた周期の垂直同期信号VIを生成できるように構成されている。
【0076】CCD22が本発明の撮像手段に、セラミック発振器82が本発明の第1の発振手段に、ビデオエンコーダ66が本発明の第1の信号生成手段に、水晶発振器80が本発明の第2の発振手段に、タイミングジェネレータ48が本発明の第2の信号生成手段及びリセット手段に、各々相当する。
【0077】次に、本実施の形態に係るデジタルカメラ10の作用を説明する。なお、ここでは、LCD72をファインダとして使用すると共に、CCD22による連続的な撮像によって得られたスルー画像をLCD22に表示する場合について説明する。
【0078】デジタルカメラ10の不図示の電源スイッチがオンされると、電源部84より水晶発振器80及びセラミック発振器82に電源電力が供給されて水晶発振器80及びセラミック発振器82が各々作動を開始し、水晶発振器80によって発生されたクロック信号のタイミングジェネレータ48への供給が開始されると共に、セラミック発振器82によって発生されたクロック信号のビデオエンコーダ66への供給が開始される。なお、この各クロック信号のタイミングジェネレータ48及びビデオエンコーダ66への供給は、不図示の電源スイッチがオフされるまで継続して行なわれる。
【0079】ビデオエンコーダ66では、セラミック発振器82から入力されているクロック信号に基づいて垂直同期信号VD及び水平同期信号HDを生成してLCD制御部65に供給すると共に、撮像制御部62を介してタイミングジェネレータ48に供給する。なお、この垂直同期信号VD及び水平同期信号HDのLCD制御部65及びタイミングジェネレータ48への供給も、不図示の電源スイッチがオフされるまで継続して行なわれる。
【0080】一方、タイミングジェネレータ48では、水晶発振器80から供給されているクロック信号に基づいて、垂直同期信号VI及び水平同期信号HIの生成を開始する。なお、このとき、垂直同期信号VIは、撮像制御部62から受信されている動作モードを示す情報に基づき、表1に示したように、垂直同期信号VDの周期VDSをP倍(Pは動作モードに応じて予め定められた自然数)した周期以上の周期となるように生成される。ここでは、上記動作モードを示す情報としてスルー画像モードを示す情報が撮像制御部62から受信されているので、上記Pの値としては‘2’が適用される。
【0081】また、タイミングジェネレータ48は、垂直同期信号VIの生成動作に対し、撮像制御部62から入力されている垂直同期信号VDを基準として周期VDSをP倍した周期毎にリセットをかける。
【0082】図3には、上記Pの値が‘2’である場合の、すなわち動作モードがスルー画像モード又は露出補正モードである場合の垂直同期信号VI及び垂直同期信号VDのタイムチャートが示されている。同図に示すように、この場合の垂直同期信号VIの生成動作は、垂直同期信号VDをトリガーとしてリセットがかけられるので、垂直同期信号VIは、垂直同期信号VDに確実に同期すると共に、正確に垂直同期信号VDの周期の2倍の周期となるように生成される。
【0083】このとき、リセット前の垂直同期信号VIは、垂直同期信号VDの周期をP倍した周期以上の周期となるように生成されているので、図5を参照して説明したような、立て続けに2回ローレベルとなってしまう不具合の発生を未然に防止することができる。
【0084】タイミングジェネレータ48によって生成された垂直同期信号VI及び水平同期信号HIは垂直・水平ドライバ24に継続的に出力され、垂直・水平ドライバ24では、入力された垂直同期信号VI及び水平同期信号HIに基づいてCCD22を駆動するための駆動信号を生成してCCD22に出力する。これによって、CCD22は、被写体像の撮像を開始し、当該撮像によって得られた信号の出力が開始される。
【0085】CCD22から出力された信号は、相関2重サンプリング回路42によって相関2重サンプリング処理が施され、ゲインコントローラ44によってCCD22におけるR(赤)、G(緑)、B(青)毎の感度調整が施された後、各画素毎のR、G、B信号としてA/Dコンバータ46に加えられる。A/Dコンバータ46は、ゲインコントローラ44から順次加えられるR、G、B信号を各々12ビットのR、G、B信号(デジタル画像データ)に変換して撮像制御部62に出力する。
【0086】一方、タイミングジェネレータ48によって生成された垂直同期信号VI及び水平同期信号HIは撮像制御部62にも出力される。
【0087】撮像制御部62は、タイミングジェネレータ48から入力された垂直同期信号VI及び水平同期信号HIに基づいて、A/Dコンバータ46から順次入力されるデジタル画像データを、内蔵しているラインバッファに逐次蓄積すると共に、所定量のデジタル画像データがラインバッファに蓄積される度に、蓄積されたデジタル画像データをSDRAM74に格納(転送)する。
【0088】SDRAM74に格納されたデジタル画像データは、CPU61によって読み出され、これらに光源種に応じたデジタルゲインをかけることでホワイトバランス調整を行なうと共に、ガンマ処理及びシャープネス処理を行なって8ビットのデジタル画像データを生成し、更にYC信号処理して輝度信号Yとクロマ信号Cr、Cb(以下、「YC信号」という。)を生成し、YC信号を再びSDRAM74に格納する。
【0089】LCD制御部65では、SDRAM74に格納されたYC信号を順次読み出し、読み出したYC信号によって示される画像を、ビデオエンコーダ66から入力されている垂直同期信号VD及び水平同期信号HDに基づいてLCD72に表示するように制御する。
【0090】以上の動作によって、LCD72には被写体のスルー画像が逐次表示されることになる。
【0091】なお、以上の動作が行なわれている間に、撮像制御部62は、合焦制御を行う所定のタイミングで合焦制御モードを示す情報をタイミングジェネレータ48にシルアル通信により送信する。これによって、垂直同期信号VIの周期は、合焦制御を行う際には、合焦制御に適した周期に切り替えられることになる。
【0092】一方、タイミングジェネレータ48は、光学ユニット20に備えられたシャッター及び絞りを駆動させるためのタイミング信号を生成してシャッタ・アイリスモータドライバ26に出力する。シャッタ・アイリスモータドライバ26では、入力されたタイミング信号に基づいて上記シャッター及び絞りが駆動されるように制御される。
【0093】なお、不図示のシャッターボタンが撮影者によって押圧操作された場合には、SDRAM74に格納されたYC信号を、圧縮・伸張部63によって所定の圧縮形式で圧縮した後にメディア制御部64を介して記憶メディア70に記憶する。
【0094】以上詳細に説明したように、本実施の形態に係るデジタルカメラ10及びデジタルカメラの制御方法では、再生系と撮像系とで各々個別の発振器によってクロック信号を発生しているので、各系で共通のクロック信号を用いる場合のように分周するための回路を用いる必要がなく、この結果として低コストとすることができると共に、垂直同期信号VIの周期を垂直同期信号VDの周期のP倍以上としているので、撮像系及び再生系の各々の垂直同期信号の同期を安定してとることができる。
【0095】また、本実施の形態に係るデジタルカメラ10及びデジタルカメラの制御方法では、垂直同期信号VIを、垂直同期信号VDの周期VDSをP倍した周期に所定のオフセット値Nを加算した周期以上の周期となるように生成しているので、オフセット値Nを加算しない場合に比較して、撮像系及び再生系の各々の垂直同期信号の同期を、より安定してとることができる。
【0096】また、本実施の形態に係るデジタルカメラ10及びデジタルカメラの制御方法では、オフセット値Nを、セラミック発振器82によって発生したクロック信号及び水晶発振器80によって発生したクロック信号における各々の周期の環境変化に応じた誤差、及びセラミック発振器82及び水晶発振器80における各々の機差に応じた誤差の双方に基づいて、垂直同期信号VIの周期が垂直同期信号VDの周期のP倍以上となるように決定しているので、これらの誤差要因に起因する不具合の発生を未然に防止することができる。
【0097】更に、本実施の形態に係るデジタルカメラ10及びデジタルカメラの制御方法では、合焦制御モードに対応するPの値を、スルー画像モード及び露出補正モードに対応するPの値より小さな値としているので、動作モードに応じて好適な周期とされた垂直同期信号VIを生成することができる。
【0098】なお、本実施の形態では、図2に示したように、垂直同期信号VIの周期VISの下限値を垂直同期信号VDの周期VDSに対して線形に求める場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、垂直同期信号VDの周期VDSをP倍した周期以上となるように求めることができる形態であれば、非線形に求める形態とすることもできる。この場合も、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0099】
【発明の効果】本発明に係るデジタルカメラ及びデジタルカメラの制御方法によれば、再生系と撮像系とで各々個別の発振手段によってクロック信号を発生しているので、各系で共通のクロック信号を用いる場合のように分周するための回路を用いる必要がなく、この結果として低コストとすることができると共に、撮像用垂直同期信号の周期を再生用垂直同期信号の周期のP倍以上としているので、撮像系及び再生系の各々の垂直同期信号の同期を安定してとることができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係るデジタルカメラ10の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る垂直同期信号VIの周期の設定に関する説明に供するグラフである。
【図3】実施の形態に係るデジタルカメラ10の作用の説明に供する図であり、撮像系の垂直同期信号VI及び再生系の垂直同期信号VDのタイムチャートの一例である。
【図4】撮像系及び再生系の各々の垂直同期信号が同期している場合と、非同期の場合と、の各々のスルー画像再生時の動作の説明に供する概略図である。
【図5】請求項1記載の発明の説明に供する撮像系の垂直同期信号VI及び再生系の垂直同期信号VDのタイムチャートの一例である。
【符号の説明】
10 デジタルカメラ
20 光学ユニット
22 CCD(撮像手段)
48 タイミングジェネレータ(第2の信号生成手段及びリセット手段)
66 ビデオエンコーダ(第1の信号生成手段)
80 水晶発振器(第2の発振手段)
82 セラミック発振器(第1の発振手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 被写体を撮像する撮像手段と、所定周期の第1のクロック信号を発生する第1の発振手段と、前記撮像手段による撮像により得られた画像データの再生に関する予め定められた第1の周期の再生用垂直同期信号を前記第1のクロック信号に基づいて生成する第1の信号生成手段と、前記第1のクロック信号とは異なる周期の第2のクロック信号を発生する第2の発振手段と、前記第1の周期をP倍(Pは動作モードに応じて予め定められた自然数)した第2の周期以上の周期の前記撮像手段による撮像に関する撮像用垂直同期信号を前記第2のクロック信号に基づいて生成する第2の信号生成手段と、前記再生用垂直同期信号を基準として前記第2の周期毎に前記第2の信号生成手段による前記撮像用垂直同期信号の生成動作をリセットするリセット手段と、を備えたデジタルカメラ。
【請求項2】 前記第2の信号生成手段は、前記撮像用垂直同期信号を、前記第2の周期に所定のオフセット値を加算した周期以上の周期となるように生成する請求項1記載のデジタルカメラ。
【請求項3】 前記オフセット値を、前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号における各々の周期の環境変化に応じた誤差、及び前記第1の発振手段及び前記第2の発振手段における各々の機差に応じた誤差の少なくとも一方に基づいて、前記撮像用垂直同期信号の周期が前記第1の周期のP倍以上となるように決定した請求項2記載のデジタルカメラ。
【請求項4】 前記動作モードとして、合焦制御を行なうモードである合焦制御モード、前記撮像手段による連続的な撮像によって得られたスルー画像を再生するモードであるスルー画像モード、及び露出補正を行なうモードである露出補正モードの各モードを備えると共に、前記合焦制御モードに対応する前記Pの値を、前記スルー画像モード及び前記露出補正モードに対応するPの値より小さな値とした請求項1乃至請求項3の何れか1項記載のデジタルカメラ。
【請求項5】 被写体を撮像する撮像手段、所定周期の第1のクロック信号を発生する第1の発振手段、及び前記第1のクロック信号とは異なる周期の第2のクロック信号を発生する第2の発振手段を備えたデジタルカメラの制御方法であって、前記撮像手段による撮像により得られた画像データの再生に関する予め定められた第1の周期の再生用垂直同期信号を前記第1のクロック信号に基づいて生成すると共に、前記第1の周期をP倍(Pは動作モードに応じて予め定められた自然数)した第2の周期以上の周期の前記撮像手段による撮像に関する撮像用垂直同期信号を前記第2のクロック信号に基づいて生成し、前記再生用垂直同期信号を基準として前記第2の周期毎に前記撮像用垂直同期信号の生成動作をリセットするデジタルカメラの制御方法。
【請求項6】 前記撮像用垂直同期信号を、前記第2の周期に所定のオフセット値を加算した周期以上の周期となるように生成する請求項5記載のデジタルカメラの制御方法。
【請求項7】 前記オフセット値を、前記第1のクロック信号及び前記第2のクロック信号における各々の周期の環境変化に応じた誤差、及び前記第1の発振手段及び前記第2の発振手段における各々の機差に応じた誤差の少なくとも一方に基づいて、前記撮像用垂直同期信号の周期が前記第1の周期のP倍以上となるように決定した請求項6記載のデジタルカメラの制御方法。
【請求項8】 前記デジタルカメラに、前記動作モードとして、合焦制御を行なうモードである合焦制御モード、前記撮像手段による連続的な撮像によって得られたスルー画像を再生するモードであるスルー画像モード、及び露出補正を行なうモードである露出補正モードの各モードを備えると共に、前記合焦制御モードに対応する前記Pの値を、前記スルー画像モード及び前記露出補正モードに対応するPの値より小さな値とした請求項5乃至請求項7の何れか1項記載のデジタルカメラの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2003−60965(P2003−60965A)
【公開日】平成15年2月28日(2003.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−247266(P2001−247266)
【出願日】平成13年8月16日(2001.8.16)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】