説明

デジタルカメラ

【課題】 シャッターボタンを一回半押しするだけで自動的に焦点合わせと自動撮影を行い、手ぶれを防止できるデジタルカメラを提供する。
【解決手段】 シャッターボタンを半押しし、自動焦点機能により自動的に焦点が合ったことを確認してから、さらにシャッターボタンの残り半分を全押して撮影する第一の機能と、シャッターボタンを半押しし、自動焦点機能により自動的に焦点が合った後、一定時間経過後に自動的に撮影する第二の機能とを備え、切換スイッチ21により前記第一の機能と第二の機能のどちらか一方を選択可能にしたデジタルカメラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手ぶれの少ない撮影画像を得ることが可能なデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
手ぶれの少ない撮影画像を得るため、被写体の光学像を電気的な撮像データとして出力する撮像部11と;前記撮像データを不揮発的に保存する記憶部12と;半押しと全押しの2段階に押し込むことが可能なシャッタボタン131などを備えて、ユーザ操作を受け付ける操作部13と;シャッタボタン131が半押しされたときに、撮像部11の間欠撮影処理を開始させて、以後、最新の撮像データを所定枚数分だけ一時的に格納しておき、シャッタボタン131が全押しされたときに、一時的に格納しておいた撮像データのいずれか一を記憶部12に保存する制御部15と;を有して成るものとして特開2010−114611号公報が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 2010−114611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1においては、シャッターボタンを半押しし、自動焦点機能により自動的に焦点が合ったことを確認してから、さらにシャッターボタンの残り半分を全押して撮影する際、手ぶれを生じる。この時の手ぶれは周波数的にはかなり高く数十ヘルツにもなり、手ぶれ防止機能を搭載していても、ぶれた写真撮影になる恐れが大であった。
【0005】
本発明のデジタルカメラは、シャッターボタンを一回半押しするだけで自動的に焦点合わせと自動撮影を行い、手ぶれを防止することを目的とする。
さらに、シャッターボタンを半押しし、自動焦点機能により自動的に焦点が合ったことを確認してから、さらにシャッターボタンの残り半分を全押して撮影する第一の機能と、シャッターボタンを半押しし、自動焦点機能により自動的にフォーカス調整終了後、0秒〜2秒など所定時間経過後に自動的に撮影する第二の機能とを備え、前記第一の機能と前記第二の機能を切換スイッチにより選択できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかるデジタルカメラは、シャッターボタンを半押しし、自動焦点機能により自動的に焦点が合った後、時間制御手段により一定時間経過後に自動的に撮影するようにし、かつ前記時間制御手段は経過時間を可変できるようにしたことを特徴としたもので手ぶれを防止できる。
【0007】
さらに、本発明にかかるデジタルカメラは、シャッターボタンを半押しし、自動焦点機能により自動的に焦点が合ったことを確認してから、さらにシャッターボタンの残り半分を全押して撮影する第一の機能と、シャッターボタンを半押しし、自動焦点機能により自動的に焦点が合った後、時間制御手段により一定時間経過後に自動的に撮影し、かつ前記時間制御手段は経過時間を可変できるようにした第二の機能とを備え、切換スイッチにより前記第一の機能と第二の機能のどちらか一方を選択可能にしたことを特徴としたもので、デジタルカメラの使い方に幅ができ、第二の機能を選択した場合に手ぶれを防止できる。
【発明の効果】
【0008】
上記構成により本発明のデジタルカメラは手ぶれを確実に防止できる。シャッターボタンを半押しし、自動的に焦点が合ったことを確認してから、さらにシャッターボタン全押し撮影する第一の機能と、シャッターボタンを半押しし、フォーカス調整終了後、0秒〜2秒経過後に自動的に撮影する第二の機能とを備えた場合、デジタルカメラの使い方に幅ができ、第二の機能を選択した場合に手ぶれを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】 本発明の自動焦点装置及び自動焦点カメラの要部構成例を示すブロック図
【図2】 図1の動作を示すフローチャート
【図3】 図1を構成するオートフォーカス・モジュールのブロック図
【図4】 図3の測定原理を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明にかかるデジタルカメラは上述の通りである。図1に示す自動焦点装置及び自動焦点カメラは、自動焦点装置の動作を開始する為のスイッチを兼ねた二段式のシャッターボタン11と、シャッターボタン11の操作信号が与えられるマイクロコンピュータ12と、マイクロコンピュータ12を介したシャッターボタン11の操作信号により動作を開始し、その動作により検出した結果をマイクロコンピュータ12に与えるオートフォーカス・モジュール13と、マイクロコンピュータ12が、与えられた結果に基づき駆動するモータMと、モータMにより前後に移動し、オートフォーカス・モジュール13が検出した結果に対応する位置に位置調節されるレンズ10とを備えている。尚、シャッターボタン11及びレンズ10は、自動焦点装置に含まれない。
【0011】
オートフォーカス・モジュール13のブロック構成図を図3に示す。対称関係になる位置に配置された2つの測距レンズL1,L2と、測距レンズL1,L2の各焦点に、測距レンズL1,L2とそれぞれ平行に配置された2つのフォトセンサ・アレイFS1,FS2と、フォトセンサ・アレイFS1,FS2の出力信号をそれぞれ量子化(ディジタル化)する2つの量子化回路Q1,Q2と、量子化回路Q1,Q2によりディジタル化された信号に基づき、被写体迄の距離を演算し、その演算した距離を検出した結果としてマイクロコンピュータ12に与える演算回路15とを備えている。
【0012】
図4は、オートフォーカス・モジュール13の測定原理を説明する為の説明図である。被写体Tから測距レンズL1,L2迄のそれぞれの距離を等しいとして、被写体Tから測距レンズL1,L2の中心を通ってフォトセンサ・アレイFS1,FS2へそれぞれ到る光線を表す2つの線分と、測距レンズL1,L2の各中心を結ぶ線分と、この線分へ被写体Tから降ろした垂線と、測距レンズL1,L2の各中心からフォトセンサ・アレイFS1,FS2へそれぞれ降ろした垂線とをそれぞれ仮定する。
【0013】
被写体Tから測距レンズL1の中心を通ってフォトセンサ・アレイFS1へ到る線分と、測距レンズL1の中心からフォトセンサ・アレイFS1へ降ろした垂線と、フォトセンサ・アレイFS1上の線分とが三角形1aを構成し、三角形1aのフォトセンサ・アレイFS1上の線分の長さをx1とし、被写体Tから測距レンズL2の中心を通ってフォトセンサ・アレイFS2へ到る線分と、測距レンズL2の中心からフォトセンサ・アレイFS2へ降ろした垂線と、フォトセンサ・アレイFS2上の線分とが三角形2aを構成し、三角形2aのフォトセンサ・アレイFS2上の線分の長さをx2とする。
【0014】
被写体T及び測距レンズL1の中心を結ぶ線分と、測距レンズL1,L2の各中心を結ぶ線分と、この線分へ被写体Tから降ろした垂線とが三角形1bを構成し、被写体T及び測距レンズL2の中心を結ぶ線分と、測距レンズL1,L2の各中心を結ぶ線分と、この線分へ被写体Tから降ろした垂線とが三角形2bを構成し、測距レンズL1,L2の各中心を結ぶ線分の長さをB、測距レンズL1,L2の各中心を結ぶ線分へ被写体Tから降ろした垂線の長さ(測定すべき距離)をdとし、測距レンズL1,L2及びフォトセンサ・アレイFS1,FS2間の距離をf(測距レンズL1,L2の焦点距離)とする。
【0015】
三角形1a,2aは、互いに線対称であり、三角形1b,2bも、同様に線対称である。三角形1a,1bは相似の関係にあり、三角形2a,2bも同様に相似の関係にある。従って、(x1+x2)/B=f/dの関係からd=Bf/(x1+x2)となる。
【0016】
ここで、B及びfは定数であるので、x1+x2を検出出来れば、被写体T迄の距離dを求めることが出来る。x1+x2は、被写体Tが無限遠にあるとき、即ち2つの被写体像I1,I2が測距レンズL1,L2の各光軸とフォトセンサ・アレイFS1,FS2との交点にある場合を基準とした、2つの被写体像I1,I2の相対変位である。
【0017】
図2は、本発明の自動焦点装置及び自動焦点カメラの動作を示すフローチャートである。まず、第一の機能(フロー)について説明する。自動焦点カメラは、シャッターボタン11が半押し(一段目)されると(S2)、オートフォーカス・モジュール13(AFIC)の動作を開始させ、測距を行わせる(S4)。オートフォーカス・モジュール13が測距(検出)したデータは、マイクロコンピュータ12へ転送させ(S6)、マイクロコンピュータ12は、モータMを駆動して、転送されたデータが示す距離に応じた位置に、レンズ10を移動させて、レンズ10による被写体の像を結像部に結像する焦点合わせを行う(S8)。
【0018】
自動焦点カメラは、マイクロコンピュータ12が焦点合わせをした(S8)後、焦点合わせ終了の合図を、図示しないランプを点灯させて表示する(S10)。自動焦点カメラは、ユーザが焦点合わせ終了の合図を見て、シャッターボタン11を押し込むと(二段目)(S12)、レンズ10を含む図示しない撮影機構により、撮影を行う(S14)。
【0019】
次に図2の第二の機能(フロー)について説明する。まず予め切替スイッチ21をオンさせておく。その後、スタートからステップS10までは同じフローである。スイッチ21がオンされているのでステップS10以後のフローは右側の流れになりタイマ22が動作する。タイマは0秒から2秒の範囲に設定可能に構成している。例えば、0.2秒程度に設定しておけば自動的に焦点が合ったのち、タイムアップして直ちに自動撮影(S24)される。即ち、残りのシャッタ半押しの操作が不要となり、手ぶれを防止できる。
【0020】
上記構成において、ステップ2(S2)のシャツターボタン11の半押し状態で手ぶれ防止機能を併用するようにしてよいことは自明である。例えば、シャツターボタン11が半押しされたときに、図示しない制御部によって撮像部の間欠撮影処理、並びに、図示しない記憶部への転送・保存処理、画像選択処理等を実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0021】
12 マイクロコンピュータ
13 オートフォーカス・モジュール
21 切替スイッチ
M モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッターボタンを半押しし、自動焦点機能により自動的に焦点が合った後、時間制御手段により一定時間経過後に自動的に撮影するようにし、かつ前記時間制御手段は経過時間を可変できるようにしたことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
シャッターボタンを半押しし、自動焦点機能により自動的に焦点が合ったことを確認してから、さらにシャッターボタンの残り半分を全押して撮影する第一の機能と、シャッターボタンを半押しし、自動焦点機能により自動的に焦点が合った後、時間制御手段により一定時間経過後に自動的に撮影し、かつ前記時間制御手段は経過時間を可変できるようにした第二の機能とを備え、切換スイッチにより前記第一の機能と第二の機能のどちらか一方を選択可能にしたことを特徴とするデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−93684(P2012−93684A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252284(P2010−252284)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(595082412)株式会社アスク (31)
【Fターム(参考)】