説明

デジタルテレビ復調のための隣接チャンネル電力依存自動利得制御を利用した装置、システム及び方法

【課題】デジタルテレビ復調のための、隣接チャンネル電力に依存する自動利得制御(AGC)を利用する段階を備え、利得制御アンプの利得を制御するべく、全電力及び隣接するチャンネルの電力を考慮に入れるデジタルテレビ復調のための方法を提供する。
【解決手段】自動利得制御回路200は、2つの入力を有し、第1入力は、ADC215の出力における電力レベル235であり、第2入力240は、隣接チャンネルのみの電力レベルである。240において、隣接チャンネル妨害電力割当量が計算される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
デジタルテレビにおいて、所望のチャンネルに隣接するチャンネルの電力レベルは、30dBから40dBであり、所望のチャンネルよりも高い場合がある。この電力の一部は、チューナーによって削除され、電力の大部分は、デジタル復調器のアナログデジタル(A/D)変換器(ADC)の入力部分に存在する。自動ゲイン制御回路は、最適な受信機性能を得るべく、ADCの入力における合成信号(所望チャンネル+隣接チャンネル)の電力レベルを調整する必要がある。
【0002】
現在のDTV規格では、チャンネルは、異なるサービス間で時間的に多重化されている。例えば、DVB−T2では、その他のサービスを搬送することを意図するFuture Extension Frames(FEF:将来拡張フレーム)が存在する。この点に関して限定されないが、既に特定されているサービスの1つとして、送信機IDの信号通知が挙げられる。異なるサービスの電力レベルは、同じでない可能性がある。
【0003】
したがって、DVB−T2において、FEFの電力レベルは、その他のフレームの電力レベルと異なる可能性がある。現在のシステムではこれは問題にならないが、将来、複数のサービスを伴うDVB−T2型の送信が広く採用されるようになると、問題となる。
【0004】
そこで、このような問題を克服するDTV復調器を可能とする装置、システム及び方法が求められている。
【0005】
本発明として考えられる特徴について特に以下に説明し、添付の請求項において特許請求される。しかしながら、発明は、構成及び動作方法、目的、特徴及び利点に関して、添付の図面と共に以下に記載する説明を参照することにより良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】従来のAGC制御アーキテクチャを示した図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る新規のAGC制御アーキテクチャを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図示の単純化及び明瞭化のために、図示された要素は必ずしも実寸法で描かれていない。例えば、いくつかの要素の寸法は、明瞭化のために他の要素に比べて拡大して描かれていることがある。さらに、適切であると考えられる場合、対応する又は類似する要素を示すのに参照番号が図面間で繰り返し使用されている。
【0008】
以下の詳細な説明では、本発明を理解するために多くの詳細事項が記される。しかしながら、これら詳細事項がなくとも本発明を実施可能であることは、当業者にとって明らかである。また、本発明を不明瞭にしない目的から、周知の方法、手順、部品及び回路等の詳細な説明を省略している。
【0009】
本発明の実施形態は、以下の点について特に限定されるわけではないが、例えば、「処理する(processing)」、「演算する(computing)」、「計算する(calculating)」、「決定する(determining)」、「確立する(establishing)」、「分析する(analyzing)」、「照合する(checking)」等の言葉の使用は、コンピュータ、コンピュータプラットフォーム、コンピュータシステム、又は他の電子演算装置のオペレーション及び/又はプロセスを指し、そのコンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理的な量(例えば、電子的な量)で表されるデータを、そのコンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内、又はオペレーション及び/又はプロセスを実行する命令を記憶する情報記憶媒体内に存在する物理量で表される他の同様なデータへと、操作する及び/又は変換することを意味する。
【0010】
また、発明の実施形態は、以下の点について特に限定されるわけではないが、「多数の(plurality)」及び「複数の(a plurality)」という言葉は、ここでは、例えば「複数の(multiple)」又は「2以上の(two or more)」という意味を含む。「複数の」及び「多数の」という言葉は、本明細書中で、二つ以上のデバイス、素子、ユニット、パラメータ等を述べるのに使用されている場合がある。例えば、「複数の局」とは、二つ以上の局を含んでもよいことを指している。
【0011】
現在のデジタルテレビ(DTV)システムでは、ACI電力レベルが頻繁に変化しないことから、DTV受信機における周知の自動利得制御(AGC)回路は、図1に示されるような方法が採用されている。電力レベルは、長い時間周期にわたってゆっくりと変化し、AGC回路は、この変化に適応する。複数のサービスが存在するDVB−T2のような規格を採用する将来のシステムでは、その他のサービスにFuture Extension Frames(FEF)が割り当てられることから、ACI電力レベルが頻繁に変化することが想定される。このようなシステムにおいて、図1に示すような従来の方法を採用する場合、AGCは、所望のチャンネルを振幅変調するため、性能が低下してしまう。
【0012】
本発明の実施形態は、これに限定するわけではないが、利得制御アンプの利得を制御するべく、隣接するチャンネルの電力(ACT電力)及び全電力を考慮するAGC回路を含むAGC技術を提供する。これにより、将来のDVB−T2規格のあらゆるシステムにおいて最適な態様で、本発明の実施形態のDTV受信機が動作可能となる。本発明の実施形態が、DVB−T2を使用して例示されるが、本発明は、その他のデジタルTVシステムにも適用可能であり、本発明は、DVB−T2に限定されない。
【0013】
所望のチャンネルが、DVB−T(又は、DVB−T2)チャンネルであると仮定する。複数のサービスを提供するDVB−T2チャンネル(FEFを使用して実装される)が、所望のチャンネルに隣接しているシナリオを考える。隣接するチャンネルにおける電力レベルは、時間軸上で頻繁に変化し、ADCへの入力における全電力も、時間軸上で予測できないほど変化する。AGCは、アンプの利得を調整することによって、全電力レベルを特定の目標値に保つことを試みる。その結果、何かの事情により、所望のチャネルの振幅が変調されてしまい、性能のロスにつながる場合がある。
【0014】
図1には、従来の受信機の自動利得制御回路100が示されている。参照番号115で示されるチューナーは、利得制御アンプ110へ出力を供給し、利得制御アンプ110は、アナログデジタル変換器(ADC)への入力を供給する。ADC115の出力である130において電力レベルが測定されて、最適なADC性能を提供するべくADCに先行するアンプ110の利得135の調整が行われる。そして、チャンネルフィルタ120への入力が供給されて、フィルタの出力が復調器125に送信される。
【0015】
図2には、本発明の実施形態で提供される新規の自動利得制御回路200が示されている。自動利得制御回路は、2つの入力を有してもよい。第1入力は、ADCの出力における電力レベル235であり、ADCは、従来のAGC回路と同様な構成を有する。第2入力240は、従来技術と異なる本発明の実施形態に固有の構成であり、隣接チャンネルのみの電力レベルである。240において、ACI電力割当量が計算される。
【0016】
従来のAGC回路の動作は、当業者に周知であり、本明細書ではその説明の詳細を省略するが、要点は以下の通りである。回路は、受信電力と目標の電力レベルとの差分(又は誤差)を算出し、この誤差に調整可能な利得を適用して、ループ帯域幅又は応答時間、対数非線形性及び累積器(積算器)を備えるループフィルタを制御する。
【0017】
多くの適用例では、振幅確率密度関数は、(中心極限定理を使用した)ガウシアンであると仮定してもよい。そこで、標準偏差(すなわち、目標値の平方根)を、ピークADC値の約25%に設定して、大部分のデジタルTV(DTV)用途に許容されると考えられる約1e−5のクリッピング確率にする。
【0018】
本発明の実施形態において提供される新規のAGCの重要な新規の特徴は、AGCが、合成電力と共に、隣接するチャンネルの剰余電力にも応答することである。DTV用途では、隣接するチャンネルの電力は、例えば、+40dBであり、チューナーにおけるフィルタ220は多くの場合、40dBより大きなストップバンド減衰を提供することはない。したがって、復調器ADC215が観測する隣接するチャネルの干渉(ACI)の剰余電力は、所望のチャンネルの電力以上となる場合がある。また、固定帯域幅(8MHz)チューナー205が、6MHz、7MHz及び8MHzの帯域幅のDTVをサポートしなければならない状況も存在する。6MHz及び7MHzDTVの場合、復調器225によって観察されるACI電力は、所望のチャンネルの電力よりも非常に高い。ACIを雑音除去し、所望のチャンネルを分離するべく、復調器225のデジタルフロントエンドには、デジタルチャンネルフィルタ220が存在する。
【0019】
隣接するチャンネルが、DVB−T2チャンネルであると仮定する。DVB−T2規格では、DVB−T2フレーム構造内に、非DVB−T2フレームが散在することを可能にしている。これらは、Future Extension Frame(FEF)と呼ばれ、将来その他のサービスによって使用されることを意図している。既に企画されているこのようなサービスの1つは、送信機の特定である。将来のDVB−T2チャンネルにおいて、FEFの利用を通じて、その他のサービスと時間を共有することが予想される。
【0020】
FEFの電力が、同じ送信におけるその他のDVB−T2フレームの電力と同じであるという保証はない。FEFが、所望のチャンネルの一部である場合、受信機は、信号パラメータからこの位置を正確に把握することができ、容易に、対策をとることができる。しかしながら、FEFを有するDVB−T2伝送が、隣接するチャネルである場合は、あてはまらない。この場合、全電力に大きなそして相対的に頻度の高い変動が存在する(所望のチャンネル+隣接するチャネルの電力)。図1に示した従来のAGC回路は、この全電力に応答して、全電力を、目標のレベルに保つことを試みる。これには、図1に示されているアンプ110の利得を調整すればよい。利得を調整することによる正味の影響は、所望のチャンネルが、隣接するチャンネルの電力レベルの変動による望ましくない振幅の変化に晒されるということである。
【0021】
本発明の実施形態は、図2に示すアルゴリズムを提供し、本発明では、上述したデジタルチャネルフィルタ220の入力217及び出力223を検出して、これらを、隣接チャンネルの剰余電力を測定するのに使用される。チャネルフィルタ220の入力217における電力は全電力であり、所望の電力とACI電力との合計値である。チャネルフィルタ220の出力における電力は、所望の電力レベルのみである。したがって、ACI_Power_Ratio(ACI電力比)は、次の式で表される。
【数1】

【0022】
ACI_Power_Ratioの2つの値が計算される。
(1)ACI_Power_Ratio_Long_Term(長期ACI電力比):これは、相対的に長い期間にわたって平均化されたチャンネルフィルタ入力電力(Channel_Filter_Input_Power)217及びチャンネルフィルタ出力電力(Channel_Filter_Output_Power)223を使用して、上式を計算した値である。また、以下に説明するように、短期間の電力変動の平均化をディセーブルすることによって、通常のACIの場合、すなわち、FEFが存在しない場合の信号を表すようにすることができる。
(2)ACI_Power_Ratio_Short_Term(短期ACI電力):これは、相対的に短い期間にわたって平均化されたチャンネルフィルタ入力電力(Channel_Filter_Input_Power)217及びチャンネルフィルタ出力電力(Channel_Filter_Output_Power)223を使用して、上式を計算した値である。通常動作では、短期ACI電力比は、長期ACI電力比とほぼ等しい。しかしながら、高電力レベルを有するDVB−T2 FEFが存在する場合には、これらFEFの間に、短期ACI電力比は、長期ACI電力比よりも大きくなる。反対に、低電力FEFは、短期ACI電力比を長期ACI電力比よりも小さくする。
【0023】
高電力FEF ACIが存在する場合でも、クリッピング確率が所定の値(これに限定されないが、例えば、1e−5)未満に維持されるように、AGC目標値を設定する必要がある。初期状態では、高電力FEF ACIのこの値は未知であるため、AGC目標値は、最悪の場合の想定に基づいて低い値に設定されるため、高電力ACI FEFが存在してもADCは、クリッピングされない。その結果、ADCの量子化雑音が増大するため、本発明の実施形態では、ADCの最良の性能を取得するべく復調器をトラッキングする状態の間に、目標値を観察された高電力FEF ACIレベルに徐々に適応させるメカニズムを提供する。そこで、本発明は、次の式を使用して、ACI電力レベルの急激な減少又は増加を検出してもよい。
【数2】

【数3】

ここで、Threshold_1(閾値1)< 1 及び Threshold_2(閾値2)> 1である。
【0024】
ACI電力の減少又は増加は、上記の式(2)及び(3)に従って閾値交差を起こし、AGC更新がディセーブルされる、すなわち、AGCがフリーズされる。また、長期電力平均もフリーズするので、長期電力平均は、ACI電力レベルの短期的な変化による影響を受けない状態で維持される。本発明では、ACI電力レベルの急激な変化があった時にAGCをディセーブル又はフリーズさせることにより、これらACI FEF期間に所望の信号が増幅又は減衰される程度を低減させる。これにより、受信機は、FEF期間又は隣接するチャンネルの電力変動期間に、最小限の中断(disruption)で済ませることができる。
【0025】
このACI電力レベルの変化は、FEFではなく他の要因によって引き起こされている可能性も考慮する必要がある。すなわち、短期的な変化は短期的なものに留まらず、変化が長く続く場合もある。そこで、AGCが、所定の時間制限よりも長くフリーズしている場合には、タイムアウトが発生したと見なして、AGCをフリーズ状態から解放する。同時に、長期的平均が、この短期的平均に初期化されて、再び通常の状態に適応することを可能にする。FEFは、250msという最大継続時間を有するため、上記のタイムアウト期間を算定することができる。本発明は、FEFの特定の期間に限定されない。
【0026】
最後に、本発明の実施形態は、自動AGC目標値適応を考える。初期AGC目標値は、最悪の場合のACI FEFレベルを仮定して設定されることを上記で述べた。これは、このACI FEF電力レベルが発生した場合に、ADCがクリッピングされないようにするためである。この最悪のシナリオに合わせた相対的に低いAGC目標値では、ADCの全範囲が利用されないことから、ADCの性能が相対的に低くなってしまう(すなわち、量子化雑音が増加する)可能性がある。しかしながら、システムをトラッキング状態にするには、このような設定が必要である。
【0027】
システムがトラッキング状態になると、相対的に長期にわたって、実際の短期ACI電力比の最大値がモニタされる。最適なAGC目標値の設定は、次の関数で表される。
【数4】

【0028】
上記の関数は、入力電流振幅に対して、ガウス確率密度関数を仮定することにより導くことができる。そして、AGC目標値設定が、最適値に更新される。一段階でのステップ更新は、DTV受信機システムにとって障害となる可能性があるため、非常に小さいステップで一定期間に徐々に更新を行い、期間の最後には、目標値が最適値に設定される。受信機は、短期ACI電力レベルの最大値を監視し、変化が起きた場合に、更なる適用が行われる。本発明の実施形態を利用するシステムが、完全な送受信機モデルでシミュレーションされ、良好に機能することが確かめられた。また、本発明を使用しなかった場合には、DVB−T2チャンネルに隣接するFEFによるACI電力レベルの変化は、修正不可能なMPEGパケットのバーストが発生した。
【0029】
本発明の実施形態は更に、コンピュータ実行可能命令でエンコードされた不揮発性コンピュータ可読媒体を提供してもよく、コンピュータ実行可能命令は、アクセスされると、機械に、デジタルテレビ復調のための隣接チャンネルの電力に依存した自動利得制御(AGC)を使用して、デジタルテレビ復調を制御させ、AGC技術は、利得制御アンプの利得を制御するべく、全電力及び隣接するチャンネルの電力を考慮に入れる。
【0030】
また、本発明の実施形態は、デジタルテレビ送信機及びデジタルテレビ送信機と通信するデジタルテレビ受信機を備え、デジタルテレビ受信機は、デジタルテレビ復調のための隣接するチャンネルの電力に依存した自動利得制御(AGC)を利用する復調器を有し、AGC技術は、利得制御アンプの利得を制御するべく、全電力及び隣接するチャンネルの電力を考慮に入れるシステムを提供してもよい。
【0031】
本発明の特定の特徴が例示及び説明されたが、数多くの改良、代替、変更及び均等物が、当業者には明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲は、このような変形及び改良についても、本発明の精神に含まれると意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルテレビ復調のための方法であって、
前記デジタルテレビ復調のための、隣接チャンネル電力に依存する自動利得制御(AGC)を利用する段階を備え、
AGC技術は、利得制御アンプの利得を制御するべく、全電力及び隣接するチャンネルの電力を考慮に入れる方法。
【請求項2】
デジタルチャンネルフィルタの入力及び出力を検出する段階と、
検出した前記入力及び前記出力を使用して、隣接するチャンネルの剰余電力を測定する段階を更に備える請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デジタルチャンネルフィルタの前記入力における電力は、所望のチャンネルの電力及び隣接するチャンネルの干渉(ACI)電力の合計で定義される全電力である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記デジタルチャンネルフィルタの前記出力における前記電力は、所望の電力レベルのみであり、ACI電力比は、
ACI_Power_Ratio(ACI電力比)= (Channel_Filter_Input_Power ÷ Channel_Filter_Output_Power) - 1 により求められる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ACI_Power_Ratio(ACI電力比)の2つの値が計算され、
前記2つの値は、
長期間にわたって平均化されたチャネルフィルタ入力電力及びチャネルフィルタ出力電力を使用して前記ACI_Power_Ratioを計算したACI_Power_Ratio_Long_Term(長期ACI電力比)、及び、
短期間にわたって平均化されたチャネルフィルタ入力電力及びチャネルフィルタ出力電力を使用して前記ACI_Power_Ratioを計算したACI_Power_Ratio_Short_Term(短期ACI電力比)である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記AGCは、複合電力、及び、前記隣接するチャンネルの剰余電力に応答する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
通常動作では、前記短期ACI電力比は、前記長期ACI電力比とほぼ等しく、
高電力レベルを有するDigital Video Broadcasting(DVB−T2)Future Extension Frames(FEF)が存在する場合には、前記FEFの間に、前記短期ACI電力比は、前記長期ACI電力比よりも大きくなり、
FEFが低電力である場合には、前記短期ACI電力比を、前記長期ACI電力比よりも小さくする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
高電力FEF ACIが存在しても、クリッピング確率が所定の値未満に維持されるように、AGC目標値を設定する段階を更に備え、
高電力FEF ACIの前記所定の値は、初期状態では未知であり、前記AGC目標値は、最悪の場合に基づいて低い値に設定され、ADCは、高電力ACI FEFが存在してもクリッピングを行わない請求項7に記載の方法。
【請求項9】
Threshold_1<1及びThreshold_2>1であるThreshold_1及びThreshold_2の2つの所定の閾値を使用して、ACI電力レベルの急激な減少又は増加を検出する段階を更に備え、
前記ACI電力の減少又は増加によって閾値交差が発生した場合には、前記AGCの更新がディセーブルされ、長期電力平均がフリーズされることにより、前記長期電力平均が、前記ACI電力レベルの短期的変動による影響を受けず、
前記ACI電力レベルの急激な変化が発生した場合に前記AGCをディセーブルする又はフリーズさせることにより、前記ACI FEF期間に所望の信号が増幅又は減衰される程度を低減させ、FEF期間又は隣接するチャンネルの電力変動期間に、受信機を最小の中断で動作可能とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ACI電力レベルの変化がFEFによるものではない可能性を考慮するべく、前記AGCが所定の制限時間を超えてフリーズしている場合には、タイムアウトが発生したと見なして、前記AGCをフリーズ状態から解放すると同時に、前記長期電力平均を、短期電力平均に初期化して、通常状態に適応させる請求項9に記載の方法。
【請求項11】
自動AGC目標値適用を使用する段階を更に備え、
最悪の場合のACI FEF電力レベルが発生した場合に前記AGCがクリッピングされないように、前記最悪の場合のACI FEF電力レベルを仮定して初期AGC目標値が設定されており、
トラッキング状態では、実際の短期ACI電力比の最大値が相対的に長い期間にわたって監視されて、前記AGC目標値の設定が最適値に更新され、
一定期間にわたって、非常に小さいステップで漸次的な更新が前記目標値に対して行われて、前記一定期間の終了時には、DTV受信機システムに混乱が発生することなく、前記目標値が最適となる請求項10に記載の方法。
【請求項12】
隣接チャンネル電力に依存する自動利得制御(AGC)を利用するデジタルテレビ復調のための復調器を備え、
AGC技術は、利得制御アンプの利得を制御するべく、全電力及び隣接するチャンネルの電力を考慮に入れるデジタルテレビ受信機。
【請求項13】
前記復調器は、デジタルチャンネルフィルタの入力及び出力を検出し、検出した前記入力及び前記出力を使用して、隣接するチャンネルの剰余電力を測定する請求項12に記載のデジタルテレビ受信機。
【請求項14】
前記デジタルチャンネルフィルタの前記入力における電力は、所望の電力及び隣接するチャンネルの干渉(ACI)電力の合計で定義される全電力である請求項13に記載のデジタルテレビ受信機。
【請求項15】
前記デジタルチャンネルフィルタの前記出力における前記電力は、所望の電力レベルのみであり、ACI電力比は、
ACI_Power_Ratio(ACI電力比)= (Channel_Filter_Input_Power ÷ Channel_Filter_Output_Power) - 1 により求められる請求項14に記載のデジタルテレビ受信機。
【請求項16】
前記ACI_Power_Ratioの2つの値が計算され、
長期間にわたって平均化されたチャネルフィルタ入力電力及びチャネルフィルタ出力電力を使用して前記ACI_Power_Ratioを計算したACI_Power_Ratio_Long_Term(長期ACI電力比)、及び、
短期間にわたって平均化されたチャネルフィルタ入力電力及びチャネルフィルタ出力電力を使用して前記ACI_Power_Ratioを計算したACI_Power_Ratio_Short_Term(短期ACI電力比)である請求項15に記載のデジタルテレビ受信機。
【請求項17】
前記AGCは、複合電力、及び、前記隣接するチャンネルの剰余電力に応答する請求項12に記載のデジタルテレビ受信機。
【請求項18】
通常動作では、前記短期ACI電力比は、前記長期ACI電力比とほぼ等しく、
高電力レベルを有するDigital Video Broadcasting(DVB−T2)Future Extension Frames(FEF)が存在する場合には、前記FEFの間に、前記短期ACI電力比は、前記長期ACI電力比よりも大きくなり、
FEFが低電力である場合には、前記短期ACI電力比を、前記長期ACI電力比よりも小さくする請求項16に記載のデジタルテレビ受信機。
【請求項19】
前記復調器は、高電力FEF ACIが存在しても、クリッピング確率が所定の値未満に維持されるように、AGC目標値を設定し、
高電力FEF ACIの前記所定の値は、初期状態では未知であり、前記AGC目標値は、最悪の場合に基づいて低い値に設定され、ADCは、高電力ACI FEFが存在してもクリッピングを行わない請求項18に記載のデジタルテレビ受信機。
【請求項20】
前記復調器は、Threshold_1<1及びThreshold_2>1であるThreshold_1及びThreshold_2の2つの所定の閾値を使用して、ACI電力レベルの急激な減少又は増加を検出し、
前記ACI電力の減少又は増加によって閾値交差が発生した場合には、前記AGCの更新がディセーブルされ、長期電力平均がフリーズされることにより、前記長期電力平均が、前記ACI電力レベルの短期的変動による影響を受けず、
前記ACI電力レベルの急激な変化が発生した場合に前記AGCをディセーブルする又はフリーズさせることにより、前記ACI FEF期間に所望の信号が増幅又は減衰される程度を低減させ、FEF期間又は隣接するチャンネルの電力変動期間に、受信機を最小の中断で動作可能とする請求項12に記載のデジタルテレビ受信機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−175701(P2012−175701A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−2111(P2012−2111)
【出願日】平成24年1月10日(2012.1.10)
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】