説明

デジタル撮像システム、プレノプティック光学装置、及び画像データ処理方法

【解決手段】プレノプティック光学装置における画像を合成するよう構成されたデジタル撮像システムが、所定の像平面に配置された複数のフォトセンサを有するフォトセンサアレイと、被写体からの光をフォトセンサアレイに対して指向させるよう配置された複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイとを備える。前記フォトセンサアレイ及び前記マイクロレンズアレイは、所定の距離に離して配置されており、マイクロレンズは、マイクロレンズアレイ上において変化する異なる合焦距離を有しており、フォトセンサアレイに関する前記像平面は、フォトセンサアレイ及びマイクロレンズアレイ間の距離がマイクロレンズの合焦距離と不等であるような態様で配置されている。さらにデジタル撮像システムを備えるプレノプティック光学装置が記載されており、デジタル撮像システムを用いて収集された画像データを処理するための方法も記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレノプティック(plenoptic)光学装置(例えばプレノプティックカメラ)における画像を合成するように構成されたデジタル撮像システムに関する。さらに本発明は、デジタル撮像システムを含む、例えばカメラ装置、走査装置、又は顕微鏡装置のような、光学装置に関する。さらにまた本発明は、デジタル撮像システムを用いて収集された画像データを処理するための方法に関する。特に本発明は、放射輝度写真撮影(Radiance Photography)用のカメラ(プレノプティックカメラ)を用いたシステムに関し、多様な鮮明度を有する写真を作製し表示するためにこのシステムを用いる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プレノプティックカメラ(ライトフィールドカメラ)は、明視野(light field)において光の分布及び光の方向をサンプリング可能なカメラである。このカメラでは、このような情報に基づいて、大きくした焦点深度で画像を収集できたり、デジタル的に焦点を変更できる。標準的なプレノプティックカメラにおいては、マイクロレンズのアレイが、例えば写真乾板又はフォトセンサアレイとして、像平面(image plane)の前方に配置されている。このような構造により、特定の平面に合焦された光が記録されるだけでなく、レンズから放射する光線照射野(ライトフィールド)も記録される。最終的な画像は、コンピュータのアルゴリズムを使って、記録済みのRAWデータから生成できる。このため、プレノプティックカメラはコンピュータによる写真撮影の分野に属するものとみなされている。また、異なる(仮想の)焦点面においてライトフィールドから画像を生成するためのアルゴリズムと、複数の位置におけるシーン奥行きを推定するためのアルゴリズムが存在する。
【0003】
これまでに公表されているプレノプティックカメラに関する設計は2つある。
1.1908年に初めてリップマン(Lippmann)により発表され、国際公開第WO2007/092581(A2)号(特許文献1)にも記載されており、また、『スタンフォードテックレポート』CTSR2005−02(非特許文献1)においてレン・ウン(Ren Ng)らにより発表された標準的なプレノプティックカメラ。このプレノプティックカメラの有効解像度は、使用されるマイクロレンズの数と同じである。
2.2008年に初めてラムズデインとゲオルギエフによりテクニカルレポート(A・ラムズデイン及びT・ゲオルギエフ共著「最大解像度でのライトフィールド・レンダリング」、テクニカルレポート、アドビ・システムズ社、2008年1月(非特許文献2)及び米国特許公開第2009/0041448(A1)号(特許文献2)において発表された「焦点調節型プレノプティックカメラ」。これらの刊行物に記載された設計では、より高い有効解像度が達成されている。しかしながら、プレノプティックカメラにおける達成可能な有効解像度の解析的計算を可能にするような理論は何も発表されていない。さらに従来の画像レンダリングアルゴリズムは、画像を周波数領域に変換することにより機能するものである。
【0004】
改良されたプレノプティックカメラ及びこれに関するアルゴリズムが、国際公開第WO2006/039486(A2)号(特許文献3)に記載されている。標準的な技術の場合と同様、このプレノプティックカメラは、主レンズと、マイクロレンズアレイと、マイクロレンズアレイよりも精細なピッチを有するフォトセンサアレイとを備えている。主レンズの焦点面に配置されているマイクロレンズアレイは、マイクロレンズの一を通過する光が他のマイクロレンズを通過する光と重なり合うことがないような態様で選択された、異なる大きさを有するマイクロレンズ群を備えることができる。また、異なるマイクロレンズを使って、局所的に変化する角度分解能を得ることができるが、全マイクロレンズの焦点は共通の平面(フォトセンサアレイの平面)を共有している。すなわち、従来型プレノプティックカメラの全マイクロレンズは、無限遠点において虚像を撮像するために同じ合焦距離を有している。したがって、国際公開第WO2006/039486号に記載されたプレノプティックカメラの撮像特性は、標準的なプレノプティックカメラの特性と本質的に同一のものである。
【0005】
従来型プレノプティックカメラは、全て次のような欠点を有している。焦点深度は標準的な設定で大きくできるものの、プレノプティックカメラの有効解像度に関する如何なる改善も、使用するマイクロレンズの数により限定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第WO2007/092581(A2)号
【特許文献2】米国特許公開第2009/0041448(A1)号
【特許文献3】国際公開第WO2006/039486(A2)号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】『スタンフォードテックレポート』CTSR2005−02(“Stanford Tech Report" CTSR 2005-02)
【非特許文献2】A・ラムズデイン及びT・ゲオルギエフ共著「最大解像度でのライトフィールド・レンダリング」、テクニカルレポート、アドビ・システムズ社、2008年1月(A.Lumsdaine and T.Georgiev, Full resolution light field rendering、Technical Report, Adobe Systems、January 2008))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、プレノプティック光学装置における画像を合成するための改良されたデジタル撮像システムを提供することにある。このデジタル撮像システムは、従来のプレノプティック撮像技術における欠点を回避できる。さらに、本発明の他の目的は、デジタル撮像システムを備える改良された光学装置を提供することにある。さらにまた、本発明の他の目的は、デジタル撮像システムを用いて収集された画像データを処理するための改良された方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
これらの目的は、独立請求項の特長を備えたデジタル撮像システム、光学装置、及び方法により解決される。本発明の好ましい実施形態及び用途は従属請求項に記載される。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、上記の目的は、プレノプティック光学装置における画像を合成するように構成されたデジタル撮像システムによって達成される。このデジタル撮像システムは、所定の像平面に配置された複数のフォトセンサを有するフォトセンサアレイと、被写体からの光をフォトセンサアレイに指向させるよう配置された複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイ(第1のマイクロレンズアレイ、すなわちメインのマイクロレンズアレイ)と、を備えており、このマイクロレンズアレイは、フォトセンサアレイに対して相対的に所定の直角方向の距離に配置されている。したがって、このデジタル撮像システムは、フォトセンサアレイとマイクロレンズアレイを組み合わせたものを有する。本発明によれば、マイクロレンズは、マイクロレンズアレイに亘って変化する少なくとも2つの異なる合焦距離を有しており、またフォトセンサアレイの像平面は、フォトセンサアレイの像平面とマイクロレンズアレイとの間の距離が如何なるマイクロレンズの合焦距離とも不等となる態様で配置されている。換言すれば、マイクロレンズアレイは複数のマイクロレンズで作製されており、各マイクロレンズは、複数の異なる合焦距離から選択された合焦距離を有する。マイクロレンズアレイは共通の合焦距離を有するマイクロレンズのグループを備えており、異なるグループのマイクロレンズは異なる合焦距離を有する。さらに本発明によれば、フォトセンサアレイの像平面は、像平面及びマイクロレンズアレイ間の距離が如何なるマイクロレンズの合焦距離とも不等となる態様で配置されている。
【0011】
上述した特長の組み合わせで、本発明のデジタル撮像システムでは以下の技術的効果が得られる。第一に、いずれのマイクロレンズにおいても合焦距離が像平面/マイクロレンズ間の距離から偏差していることにより、従来型プレノプティックカメラを用いて無限遠点における虚像を撮像するのとは異なり、マイクロレンズからの有限距離における虚像が像平面上に撮像される。マイクロレンズは、有限の焦点深度で撮像するために使用される。このような制限は、異なる合焦距離を有するマイクロレンズを提供することによって補償され、これらのマイクロレンズにより、より大きい焦点深度範囲をカバーできるようになる。さらに、また本発明者らが最初に示したように、有限距離における虚像の撮像は、従来のカメラに比して改良された解像度をもたらす。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、上記の目的は、主レンズ光学系と、本発明の上記第1の態様に係る本発明のデジタル撮像システムと、を備えるプレノプティック光学装置によって達成される。好ましくは、デジタル撮像システムのマイクロレンズアレイは、主レンズ光学系の焦線に配置され、被写体からの光を主レンズ光学系経由でフォトセンサアレイに指向させ、また、主レンズ光学系における焦線の特定部分を通過する一組の光線に関し、異なる入射角で焦線の特定部分に同時に到達する光線の組のうち異なるものを感知するよう複数のフォトセンサが配置される。本発明の特に好ましい用途によれば、プレノプティック光学装置として、カメラ装置(プレノプティックカメラ)、走査装置、又は顕微鏡装置が挙げられる。用途に応じて、本発明のデジタル撮像システムのマイクロレンズアレイは、マイクロレンズの一次元又は二次元アレイ(直線配列又はマトリックス配列)とできる。本発明のデジタル撮像システムを備えるプレノプティックカメラは、異なる合焦距離を有する複数のマイクロレンズを提供するので、多焦点プレノプティックカメラ(MFPC;multiple focus plenoptic camera)と呼ばれる。
【0013】
本発明の第3の態様によれば、上記の目的は、上記第1の態様に係るデジタル撮像システムを用いて収集された画像データを処理するための方法によって達成される。この方法は、フォトセンサアレイを用いて収集されたRAW画像データを提供する工程と、虚像点を有する所定の虚像表面を提供する工程と、を含んでおり、各虚像点につき、フォトセンサアレイ上で虚像点を撮像するために最大限の有効解像度比率を有するマイクロレンズのグループが選択され、虚像点がマイクロレンズアレイ平面上に投影され、虚像点の強度値に寄与する選択されたグループのマイクロレンズのマイクロ画像が検出され、RAW画像点が選択され、これらRAW画像点の画像データが虚像点の強度値に寄与し、RAW画像点におけるRAW画像データに関する平均化されたRAW画像強度が検出される。最後に、各虚像点に関する平均化されたRAW画像強度により、取得対象のデジタル画像が提供される。
【0014】
特に、イ・レン・ウン(Yi-Ren Ng)及びトドール・ゲオルギエフ(Todor Georgiev)によるプレノプティックカメラの設定に比べて、以下のような相違点が顕著である。すなわち、アレイに亘ってマイクロレンズの合焦距離を変化させることにより、共通の合焦距離を有するマイクロレンズアレイと比較した場合、視差の範囲を犠牲にして全体的な有効解像度を大きくできることを本発明者らは示してきた。記述した方法により、特定のタスク又は用途領域に向けてプレノプティックカメラを設計することが可能となる。本発明のレンダリング方法は、任意の仮想焦点面を再構築することを可能とし、高度な並列処理を実行するのに特に適する。
【0015】
特に本発明のデジタル撮像システムは、従来型のプレノプティックカメラとは対称的に、次のような利点を有する(従来型のプレノプティックカメラでは、像平面からのマイクロレンズの距離がマイクロレンズの合焦距離に等しく、また演算された画像の最大解像度がアレイにおけるマイクロレンズの数と等しくなっている)。
【0016】
本発明のデジタル撮像システム、すなわち多焦点プレノプティックカメラは、概ね、標準的なプレノプティックカメラよりも低い角度分解能を有しているが、MFPCは、標準的なプレノプティックカメラの演算性能を維持しつつ、遙かに高い空間分解能を有する画像を得ることができる。例えば、MFPCによって生成されたRAWデータから、異なる焦点の画像が生成でき、シーン奥行きを複数の像点に関して推定できる。例えば、MFPCに関する一実施例において、標準的なプレノプティックカメラに比べて70倍もの高い分解能を得られると共に、マイクロレンズアレイ無しの通常のカメラに比べて約6倍大きい被写界深度を実現する。
【0017】
標準的なプレノプティックカメラに比べて、本発明の遙かに大きな有効解像度により、MFPCは、例えば写真撮影、産業用の自動化検査、3D写真撮影、3Dビデオ、及び顔認識等、多くの分野で応用可能となる。
【0018】
デジタル撮像システムの好ましい実施形態によれば、マイクロレンズそれぞれの合焦距離は、2つ又は3つの異なる合焦距離から選択される。本発明者らは、2つ又は3つの異なる合焦距離で焦点深度に関する本質的な改良が得られ、それでも角度分解能は、通常のカメラ、スキャナ、又は顕微鏡法の用途に良好に適合しているという知見を得た。あるいは、マイクロレンズそれぞれの合焦距離は、4つ以上の異なる合焦距離から選択することもできる。好適なことにデジタル撮像システムは、特定の走査条件に依存して、例えば、焦点深度範囲に関して一定量拡大するために最適化できる。
【0019】
デジタル撮像システムに関する他の好ましい実施形態によれば、マイクロレンズそれぞれの合焦距離は、デジタル撮像システムにおける最接近したマイクロレンズそれぞれの合焦距離と異なる。好適なことに、この実施形態は画像上における角度分解能の均質な分布が得られる。
【0020】
デジタル撮像システムに関する特に好ましい実施形態によれば、マイクロレンズは、連続した焦点深度範囲が得られるような態様で調整できる。まず、マイクロレンズそれぞれが各マイクロレンズの合焦距離とマイクロレンズアレイからの深度距離とに応じて有効解像度比率をもたらすような態様でマイクロレンズが選択され、次に、有効解像度比率が深度距離の隣接範囲において相補性のある最大値を有するような態様でマイクロレンズの合焦距離が選択される。マイクロレンズに関するこのような調整(計画化)は、概略的に後述するプレノプティックカメラの光学的特性に関する説明に基づいたものであり、これは本発明者らが初めて見出したものである。
【0021】
変化する合焦距離を有するマイクロレンズアレイ内において等しい合焦距離を有するマイクロレンズのグループが規則的なグリッドをもたらすような態様でマイクロレンズが配置されれば、デジタル撮像システムに関して他の改良を得ることもできる。好ましくは、マイクロレンズは、等しい合焦距離を有するマイクロレンズが幾何学的に稠密なレンズ配置という点で利点を有する直交型又は六角形のグリッドをもたらすような態様で配置される。
【0022】
デジタル撮像システムに関する他の好ましい実施形態によれば、共通の合焦距離を有する全てのマイクロレンズは、同一のレンズ直径を有する。特に好ましいのは、マイクロレンズアレイにおける全てのマイクロレンズが同じ直径を有するような実施形態である。これらの実施形態の場合、画像パラメータ、例えば解像度又はコントラスト、を2D画像上で均質にした状態で画像を形成することが改善される。
【0023】
一般にマイクロレンズアレイは、フォトセンサアレイに対するマイクロレンズアレイの上記所定の直角方向の距離をセットして、フォトセンサアレイに固定するよう装着される。あるいは、デジタル撮像システムに関する他の実施形態によれば、フォトセンサアレイ及びマイクロレンズアレイ間の距離は、デジタル撮像システムの制御構体によって調整可能である。例えばカメラ、スキャナ、又は顕微鏡の部品として設けることのできるこの制御構体は、フォトセンサアレイ及びマイクロレンズアレイの可変式又は固定式連結体を備える。
【0024】
本発明のデジタル撮像システムに関する他の変形例は、少なくとも一の補助的マイクロレンズアレイ、例えば第2のマイクロレンズアレイを備えることを特徴とし、この補助的マイクロレンズアレイは、被写体からの光を第1のマイクロレンズアレイに指向させるよう配置された複数のマイクロレンズを備える。このような実施形態を用いて、プレノプティックカメラの機能を拡大できる。
【0025】
本発明の他の好ましい実施形態によれば、デジタル撮像システムは、フォトセンサアレイにおける異なるフォトセンサにおいて感知された光の関数として、すなわちマイクロレンズアレイに対するフォトセンサの相対的位置と感知された光の入射角として、合成画像を特徴づける画像データを提供するようコンピュータでプログラム可能なプロセッサを備えている。
【0026】
本発明に関するさらなる特長及び利点について、添付図面を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】従来の、マイクロレンズアレイがない通常のカメラを示す概略図である。
【図2】従来の、マイクロレンズアレイがない通常のカメラを示す概略図である。
【図3】本発明の多焦点プレノプティックカメラを示す概略図である。
【図4】本発明の多焦点プレノプティックカメラを示す概略図である。
【図5】本発明の根拠となる理論的方法を示す概略図である。
【図6】本発明の根拠となる理論的方法を示す概略図である。
【図7】本発明の根拠となる理論的方法を示す概略図である。
【図8】本発明の根拠となる理論的方法を示す概略図である。
【図9】本発明の根拠となる理論的方法を示す概略図である。
【図10】本発明の根拠となる理論的方法を示す概略図である。
【図11】本発明に係るカメラ及び従来のカメラに関する有効解像度比率を示すグラフである。
【図12】本発明に係るカメラ及び従来のカメラに関する有効解像度比率を示すグラフである。
【図13】本発明に係るカメラ及び従来のカメラに関する有効解像度比率を示すグラフである。
【図14】本発明に係るカメラ及び従来のカメラに関する有効解像度比率を示すグラフである。
【図15】本発明に係るカメラ及び従来のカメラに関する有効解像度比率を示すグラフである。
【図16】本発明に係る多焦点プレノプティックカメラに関する他の特長を示す概略的な斜視図である。
【図17】本発明に係る多焦点プレノプティックカメラに関する他の特長を示す概略的な斜視図である。
【図18】本発明に係る多焦点プレノプティックカメラに関する他の特長を示す概略的な斜視図である。
【図19】本発明に係る多焦点プレノプティックカメラに関する他の特長を示す概略的な斜視図である。
【図20】マイクロレンズの構成を示す概略図である。
【図21】マイクロレンズの構成を示す概略図である。
【図22】マイクロレンズの構成を示す概略図である。
【図23】マイクロレンズの構成を示す概略図である。
【図24】マイクロレンズの構成を示す概略図である。
【図25】マイクロレンズの構成を示す概略図である。
【図26】マイクロレンズの構成を示す概略図である。
【図27】マイクロレンズの構成を示す概略図である。
【図28】光軸に沿って2つのマイクロレンズアレイを用いたプレノプティックカメラを例示する概略図である。
【図29】画像データを処理するための本発明に係る方法を示す概略図である。
【図30】画像データを処理するための本発明に係る方法を示す概略図である。
【図31】画像データを処理するための本発明に係る方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
デジタル撮像システムと、このデジタル撮像システムが備わったプレノプティックカメラとを参照しながら、本発明の好ましい実施形態について以下に説明する。なお本発明の実施は、図示した実施例に限定されるものではなく、寧ろ、光走査装置又は顕微鏡のような他のプレノプティック光学機器でも利用可能であることを強調しておきたい。光走査装置の場合、通常は直線配列であるフォトセンサアレイは、本発明のデジタル撮像装置、特にフォトセンサアレイとマイクロレンズアレイを組み合わせたもので置換できる。この場合、プレノプティックカメラを参照して以下に言及される主レンズがスキャナ光学系(円筒状のスキャナ用レンズ)によって提供される。顕微鏡の用途は、顕微鏡のフォトセンサアレイを本発明のデジタル撮像装置に置換することを含む。この場合、プレノプティックカメラにおける主レンズによって生成される虚像は、顕微鏡光学系によって生成される。
【0029】
本発明の特長に関係する限りにおいて、光学機器の構造について以下に説明する。なお、例えばカメラ、走査装置、又は顕微鏡のような光学機器に関する他の光学的又は構造的な特長については、従来技術から周知のことであるので、説明しない。
【0030】
本発明の好ましい実施形態について、二次元のフォトセンサアレイ(マトリックス配列)を例示的に参照しながら以下に説明する。本発明の実施は、このような形態に限定されるものではなく、寧ろ、一次元のフォトセンサアレイ(直線配列)に対応する態様でも可能であることを強調しておきたい。画像における異なる色強度を収集するための単一ラインのフォトセンサ又は複数ラインのフォトセンサを備える直線センサは、本明細書においてマトリックス配列又は直線配列とみなすことができる。
1.通常のカメラを用いた撮像
【0031】
MFPCの概念について説明する前に、通常のカメラにおける画像生成のプロセスについて説明する。図1は、通常のカメラにおける基本的な構成要素を示している。主レンズ110は、右方の被写体130から照射又は反射される光を、左方の表面上に合焦させるが、これは虚像131とみなせる。被写体130が光軸111に沿って変化するので、虚像131は、光軸に直角方向の平面上には存在しない。得られた画像は、所定の時間に亘って平面120上でフォトセンサにより測定された光強度を空間的に組み合わせることによって生成されるが、ここで、フォトセンサ平面120は光軸に対して直角方向に指向されている。得られた画像において、虚像131がフォトセンサ平面120上又は近傍に存在する、被写体130の部分のみが合焦した状態にあるように見える。すなわち、虚像131がフォトセンサ平面120と交差するところは、最適な焦点になっている画像である。被写体130の別な部分をフォトセンサ平面120上に対して最適に合焦させるためには、矢線112で示すように光軸に沿って主レンズ110を移動させなければならない。
【0032】
図2は、上記した通常のカメラの光学的な幾何形態を示す。マイクロレンズを有するカメラの構成について考察する前に、図2におけるこのように簡易化された通常のカメラの構成を見ておくと参考になる。主レンズ110は、被写体130の右方にある一点から発する多様な光線を左方の一点に合焦させることにより、この一点の画像を生成する。実際には、光線は、正確に一点に合焦されているのではなく、撮像システム全体に依存する強度分布を有しているのである。このような強度分布は、通常、点広がり関数(PSF)と呼ばれている。PSFの空間広がりに関するかなり良好な近似値は、次式の数1から求められる。
【0033】
【数1】

【0034】
式中、λは光の波長、Fは撮像システムに進入できる光量の測定値である。FはF値と呼ばれ、数2で定義される。
【0035】
【数2】

【0036】
レンズ平面からの距離aLにおける被写体が投影される、光軸に沿った位置bLは、薄肉レンズ方程式である数3で計算できる。
【0037】
【数3】

【0038】
図2に示すように、最良の焦点I1が像平面I0と一致しない場合、発散する投影光線が像平面において2ピクセル以上離れた途端に、被写体はぼけてしまう。これは、通常のカメラだけが被写体空間における単一平面を像平面上に対して最適に合焦させることを意味している。合焦された画像を生成する、被写体空間の範囲を増やすための一の方法は、開口の大きさを絞ることである。これは、このあとで投影光線が最適な焦点面からさらにゆっくりと発散していくからである。限度は、開口を一点になるまで絞ることであり、この場合、被写体空間全体は合焦するが、カメラ内に進入する光量も無限小となる。通常の写真撮影において、被写界深度及びカメラ速度間の適切な妥協点、すなわち開口の大きさを見つけ出す必要がある。
2.本発明の多焦点プレノプティックカメラを用いた撮像
【0039】
図3は、本発明のデジタル撮像装置200を含む多焦点プレノプティックカメラ100の基本的な構成を示す。複数のマイクロレンズ222からなるマイクロレンズアレイ221がフォトセンサアレイ平面220の前に配置されている。マイクロレンズの直径は、各マイクロレンズが複数のフォトセンサ上に画像を生成できるような態様で、単一のフォトセンサの直径よりも大であるように選定される。フォトセンサアレイは、例えば1200万個のフォトセンサを備える、例えばCCDのマトリックス配列又は直線配列である。マイクロレンズアレイ221は、例えば4万7604個のマイクロレンズを備えており、各マイクロレンズは153μmの直径と、例えば3つの合焦距離526μm、567μm、616μmから選択された合焦距離とを有する。全てのマイクロレンズは、例えば153μmの同一直径を有する。マイクロレンズアレイ221及びフォトセンサアレイ間の距離は、例えば765μmである。マイクロレンズによってフォトセンサ平面上に生成された画像をマイクロ画像と呼ぶことにする。各マイクロイメージは、例えば17個のフォトセンサで作製される。隣接したマイクロレンズのマイクロイメージは互いに重なり合ってはならない。透明なガラス又はプラスチックで作製されたマイクロレンズアレイは、従来型プレノプティックカメラにおいて知られているように、例えば機械的な枠を使ってフォトセンサアレイに対して固定的に装着されており、このフレームの厚さがマイクロレンズ及びフォトセンサアレイ間の距離を設定している。
【0040】
主レンズ210は、被写体230の虚像231を生成する。ここでマイクロレンズアレイ221内のマイクロレンズは、虚像のさまざまな視野を記録する小さなカメラとして作用する。ここで多様なマイクロイメージを用いて、仮想の像平面232と交差する虚像の部分に関して得られた画像が合焦するような態様で、コンピュータで仮想の像平面をシミュレートすることができる。被写体230の様々な部分を合焦させるため、211で示すように、仮想の像平面のみを光軸に沿って移動させる必要がある。これはコンピュータで行われるので、画像は、RAW画像が記録された後で再フォーカスできる。さらに、仮想の像平面232の形状に関する限定はなく、すなわち、仮想の像平面の代わりに任意に形成された虚像表面もシミュレートできる。これは、例えば、得られた画像内で被写体の全部分を合焦させるのに利用できる。
【0041】
マイクロレンズが有限の被写界深度を有しているので、虚像空間の有限範囲だけをフォトセンサ平面上に合焦できる。撮像システム全体の被写界深度を拡張するために、異なる合焦距離を有するマイクロレンズが使用される。特定の合焦距離を有するマイクロレンズの各グループは、仮想のイメージ空間に関する異なる範囲の深度をフォトセンサ平面上に合焦させる。一実施例では、均質なマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイを使うのに比べて、異なる合焦距離を有する3つの異なるタイプのマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイを使うことにより、6倍も大きな被写界深度を達成できる。
【0042】
図3における虚像はマイクロレンズアレイ及び主レンズ間に描かれているが、この虚像は、マイクロレンズアレイ上又は左方に置くこともできる。虚像空間のどの部分がマイクロレンズにより合焦されるかは、これらの合焦距離と、光軸沿いにおけるマイクロレンズアレイの位置による。これは、目の前にある用途に依存する設計上の選択事項である。
【0043】
図4は、本発明のプレノプティックカメラに関する光学的な幾何形態を概略的に示す。主レンズ311は、被写体340の虚像341を生成する。虚像は、主レンズ311の左方のどこかに存在する。画像は、フォトセンサ平面上に形成されていないという意味で仮想のものである。次に虚像は、マイクロレンズアレイ322内のマイクロレンズによってフォトセンサ平面330(像平面)上に投影される。なお、フォトセンサ平面330からのマイクロレンズアレイ322の距離はマイクロレンズの合焦距離とは不等である。さらに、レンズの中心を通過する中央の投影光線だけが描画されることにも留意されたい。実際には、複数の光線がレンズに影響されているのである。なお、一般に、図4内に示した3つのマイクロレンズよりも多くのマイクロレンズが存在しており、これらは異なる合焦距離を有している。このような説明は、明確化のためだけに選定したものである。下方に、この構成により各特定の被写体距離における有効解像度が下がるが、有効解像度はより大きな範囲に亘って拡大し、これにより、通常のカメラで可能である以上に大きい開口にて拡大された被写界深度がもたらされることを下に示した。
【0044】
被写体340から発する光は虚像341において合焦される。マイクロレンズは、この虚像をフォトセンサ平面330上に対して最適に合焦させないことがある。その代わりに、マイクロレンズにおける最適焦点の像平面342は、フォトセンサ平面からいくらかの距離において存在し得る。これは、マイクロレンズの合焦距離f及びマイクロレンズアレイからの虚像の距離aに依存する。マイクロレンズアレイ内において異なる合焦距離を有するマイクロレンズを用いることにより、異なる距離における虚像は、同時にフォトセンサ平面上において合焦できる。
【0045】
プレノプティックカメラで記録されたデータを使って画像を合成するための本発明によるデジタル撮像システムは、したがって、複数のフォトセンサを有するフォトセンサのライン又はマトリックスと、主レンズ311、この主レンズ311の少なくとも焦線内に配置されたマイクロレンズの構造322を含んでおり、被写体340からの光を主レンズ311とマイクロレンズのライン構造322とを介してフォトセンサのライン又はマトリックスに対して指向させ、これにより各マイクロレンズに関してマイクロイメージ343を生成するための光学系構体と、フォトセンサのラインとマイクロレンズの構造との間の相対的距離を設定するための制御構体(図4に図示せず)であって、主レンズ311の焦線の特定部分を通過する一組の光線に関し、複数のフォトセンサが像平面330内に配置され、異なる入射角で焦線の特定部分に同時に到達する光線の組のうち異なるものを感知し、この感知された光線を特徴づける光のデータを出力する制御構体と、異なるフォトセンサにおいて感知された光の関数として、すなわちマイクロレンズの構造322に対するフォトセンサの相対的位置と、感知された光による主レンズ311の焦線上に対する入射角として、合成画像を特徴づける画像データを提供するためにプログラム可能なコンピュータ構造におけるプロセッサであって、少なくとも一次元構造上のマイクロレンズそれぞれの合焦距離が互いに異なることを特徴とするプロセッサとを備える。
F値
【0046】
MFPCの設計における重要な制約は、マイクロイメージがフォトセンサ平面上で重なり合ってはならないということである。2つ以上のマイクロレンズにおける画像が重なり合っているようなフォトセンサは、得られた画像をコンピュータで構築するためには使えない。重なり合わずにマイクロイメージが最大限の大きさを有することを確実なものとするために、マイクロレンズ及び主レンズのF値を等しくすると良好な近似値となる。
【0047】
稠密構造のマイクロレンズのアレイにおいて、これは、マイクロレンズにおける画像の大きさがマイクロレンズの直径Dよりも小さいか等しくなければならないことを意味している。これは、数4を意味している。
【0048】
【数4】

【0049】
式中、FはマイクロレンズのF値、FLは主レンズのF値である。通常、B<<DLであるから、F≒FLということになる。すなわち、主の撮像システムとマイクロレンズの撮像システムのF値は一致するはずである。B、BL、及びDLが与えられるとすれば、マイクロレンズの最大直径は、数5で求められる。
【0050】
【数5】

【0051】
同様に、数6が成立する。
【0052】
【数6】

【0053】
図5に関して、主レンズのF値はFL=BL/DLより求められ、マイクロレンズのF値はF=B/Dより求められる。通常、BL>>B及びDL>>Dであるから、F=FLであればマイクロイメージ422は最大となり、重なり合うことはない。
多重度、全体カバー平面
【0054】
他の重要な概念は、図5及び図6に示す全体カバー平面430に関する概念である。図5においてマイクロレンズの中心を通るように引かれた中央の投影光線は、対応するマイクロイメージの境界光線である。例えば、マイクロレンズ421は、極値的な投影光線423及び424間に存在するマイクロイメージ上に虚像の点を投影するだけである。したがって、全体カバー平面430は、平面上の各点が少なくとも一のマイクロレンズによって投影されているマイクロレンズ平面420における左限の平面から右方の平面までである。同様に、マイクロレンズ平面420における右限の平面から左方の平面も全体カバー平面である。図5において、左方の全体カバー平面はフォトセンサ平面と同一のものである。同様に、二重カバー平面431は、平面上の各点が少なくとも2つのマイクロレンズによって投影されているマイクロレンズ平面における左限の平面から右方の平面である。
【0055】
図6を参照しながら、全体カバー平面に関する概念についてさらに説明する。テスト点が見えるレンズの数は、図6に示すように光軸に沿ったマイクロレンズ平面からのテスト点の距離に依存する。平面M1は右方の全体カバー限界であり、これは、平面M1上又は右方の全点が少なくとも一のマイクロイメージ内に画像を有することを意味している。像平面でもある平面M-1は左方の全体カバー限界であり、すなわち、平面M-1上又は左方の全点は、少なくとも一のマイクロイメージ内に画像を有する。平面M2(M-2)は二重カバー限界であり、これは、平面M2(M-2)上又は右方(左方)の全点が少なくとも2つのマイクロイメージ内に画像を有することを意味している。
【0056】
中央のレンズが除去されると、今度は全体カバー限界がM2及びM-2となることが図6から明確になる。中央のレンズを除去しても全体カバー限界平面の外側の点に関して画像をレンダリングする能力に全く影響しないことに留意することが重要である。減じられるのは、後方で示すように、可能な視差の量である。
【0057】
1Dのマイクロレンズアレイに関して、マイクロレンズ平面からの距離aにある点の多重度Mは、M:=|a|/Bとして定義できる。2Dのマイクロレンズアレイに関して、Mの式に新たな因数が導入される。これは、円を有する平面の埋めつくし(tessellation:タイル張り)に現れるギャップを示す。2Dにおいて存在する2つだけの規則的な埋めつくしは、図7に示す直交型のパターンと、図8に示す六角形のパターンである。両方の図面において、Rは、最接近して取り囲んでいるマイクロレンズの中心から平面上の一点が有し得る最大距離を示している。直交型の場合は、数7として表せる。
【0058】
【数7】

【0059】
また六角形の場合には、数8として表せる。
【0060】
【数8】

【0061】
1Dの場合に関して、最近接したマイクロレンズの中心からの最大離間点は、マイクロレンズの中心からD/2の距離を有する。この値に対する比率Rは間隔係数と呼ばれており、κで表される。すなわち、数9で表現できる。
【0062】
【数9】

【0063】
したがって、数10が成立する。
【0064】
【数10】

【0065】
したがって、マイクロレンズ平面からの距離aにおける多重度は、数11から求められる。
【0066】
【数11】

【0067】
|a|=κBMであるから、κは小さい方が好ましい。よって、六角形のマイクロレンズアレイが直交型のマイクロレンズアレイよりも好ましい。
【0068】
マイクロレンズが1Dのアレイにおいて稠密構造になっていないが、それらの中心間で距離cを有する場合、マイクロレンズ平面からの全体カバー限界平面M1の距離υ1は、次式数12の関係を有している。
【0069】
【数12】

【0070】
ここで、γ:=C/Dは、マイクロレンズの間隔と大きさ間の比率である。2Dのマイクロレンズに関しては、多重度Mのカバー平面の距離は、数13から求められる。
【0071】
【数13】

【0072】
したがって、マイクロレンズ平面からの距離aにおける多重度は、数14から求められる。
【0073】
【数14】

【0074】
図6における中央のレンズが除去される場合、隣接し合うレンズ間の距離は2倍となり、すなわち、γ=2である。よって、この場合の多重度は、同じ距離aにおいて稠密構造のレンズに関する多重度の半分だけとなる。
視差
【0075】
多重度Mを有する平面において、ギャップのない全平面上の画像をレンダリングするのに各マイクロイメージの1/Mのみが必要とされる。例えば、M=2において、完全な画像をレンダリングするのに各マイクロイメージの半分だけが必要とされ、これは、2つの全く別個の完全なイメージがレンダリングされ得ることを含意している。その効果は、明白な視点における変化である。このような効果により、シーンに関する3Dの情報は、通常のステレオカメラシステムに関するのと同様に回復できる。
【0076】
像平面上で両端の視野間における視差の量は、数15から求められる。
【0077】
【数15】

【0078】
ここで、N=D/pは大きさDのマイクロイメージにおける大きさの画素数pである。したがって、視誤差角(parallax angle)Δαは、数16から求められる。
【0079】
【数16】

【0080】
ここで、Bは再び像平面までのマイクロレンズアレイの距離を示す。さらに、相対視差(relative parallax)Δrは、数17として定義される。
【0081】
【数17】

【0082】
図6について、中央のレンズが除外される場合、ある位置aは減少し、これが視差を減少させる。
【0083】
Δは、数14を数15に置換することによりaの関数として表すことができ、この結果数18となる。
【0084】
【数18】

【0085】
同様に、相対視差は、数19となる。
【0086】
【数19】

【0087】
なお、Δ、Δr及びΔaに関する式は、|a|≧ν1に対してのみ有効である。視差が最大である、マイクロレンズ平面からの距離lmaxは、数20から求められる。
【0088】
【数20】

【0089】
有効解像度
【0090】
多焦点プレノプティックカメラの有効解像度は、純粋に幾何学的な観点からMFPCにより生成されたRAW画像データからコンピュータで生成できる画像の最大解像度と関係する。得られた画像の解像度は、適切な画像向上用アルゴリズムによりさらに高められ得る。
【0091】
図4に関して、MFPCの有効解像度は、マイクロレンズ平面322からの虚像341の距離、マイクロレンズにおける被写界深度、及びフォトセンサ平面330の解像度に依存する。一般に、MFPCの有効解像度は、虚像空間に亘って変化する。
【0092】
マイクロレンズにおける被写界深度は以下のように規定される。まず、図9における単一のマイクロレンズ510による虚像点Xoの投影を考える。特に図9は、像平面I上における、点Xoのぼけを示し、このとき、Xoの最適に合焦された画像Yoは像平面I上には存在しない。このような観察は、特定の被写体の離間aにおけるカメラの有効解像度の概念に言い換えることができる。
【0093】
点Xoから発して光線521及び522内に存在する光線のみが、全ての光線が点Yoにおいて集光するよう、マイクロレンズ510によって屈折される。すなわち、YoはXoの画像である。マイクロレンズ平面511からの点Yoの距離bは、マイクロレンズ平面511までの点Xoの距離aとマイクロレンズの合焦距離fを基にして、理想的なレンズ方程式である数21から求められる。
【0094】
【数21】

【0095】
マイクロレンズ平面511とフォトセンサ平面530間の距離Bがbと異なる場合、点Xoから発する光線は、フォトセンサ平面上の一点において集光しない。その代わり、光線は図9に示す直径sのスポットまで広がる。フォトセンサ平面が辺長pの複数の正方形フォトセンサで構成されていると仮定すれば、マイクロレンズの解像度比率は、数22として定義される。
【0096】
【数22】

【0097】
例えば、sがピクセルの辺長pの2倍の大きさである場合、εL=1/2となる。s、B、b、D間の関係は、b/D=(B−b)/sから求められる。数21を活用すれば、数23となる。
【0098】
【数23】

【0099】
図9に示すように、2つの隣接する虚像点Xo及びX1の光点は、光点の中心間の距離がsである場合に、フォトセンサ平面530上で区別され得るだけである。したがって、Xoに最も近接していて、なおもXoから区別され得る虚像点は虚像点X1である。したがって、Xo及びX1間の距離saは、マイクロレンズ510によってフォトセンサ平面530上に投影されるときに、なおも区別できるマイクロレンズ平面からの距離aでの虚像空間内における存在物の最小限の大きさである。
【0100】
プレノプティックカメラ及び多焦点プレノプティックカメラの有効解像度比率(effective resolution ratio:ERR)は、マイクロレンズ平面からの距離aにおいて解像できる虚像構造の最小の大きさと、フォトセンサ平面上の正方形フォトセンサ要素の辺長pとの比率として定義される。したがって、ε(a)で表されるERRは、数24から求められる。
【0101】
【数24】

【0102】
フォトセンサ平面上の一次元方向におけるフォトセンサ要素の全数をNtで表せば、その次元方向に沿って得られた画像における画素の最大数は、数25から求められる。
【0103】
【数25】

【0104】
したがって、マイクロレンズ平面からの距離aにおける光軸に直角な仮想の像平面において得られた画像は、最大でNe(a)2画素で構成される。すなわち、Ne(a)2は、プレノプティックカメラの有効解像度である。
【0105】
相似三角形の方法を使用すれば、s及びa間の関係は、図9から数26となる。
【0106】
【数26】



【0107】
したがって、単一のレンズεLに関するERRは、被写体の距離aの関数として、数27として表せる。
【0108】
【数27】

【0109】
これは、数28としても表せる。
【0110】
【数28】

【0111】
ここで、N=D/pは、1マイクロレンズ当たりの画素数である。
【0112】
なお、数27は、回折によるぼけの効果を勘案しておらず、これは、数1で求められる光の波長及び開口に依存する。
【0113】
またこのようにプレノプティックカメラにおいて有効解像度を導出することは、図4に関して、主レンズの虚像がマイクロレンズ平面の左方に存在する場合に有効である。図10は、単一のマイクロレンズ610に関するこのような場合を示す。光の方向は(符号)620で示されている。主レンズ(この図では示さず)がXoにおいて虚像を生成する場合、マイクロレンズは、Yoにおいて最適に合焦されたXoの画像を生成する。数21〜数25は、aを−aで置換した場合を説明したものである。
【0114】
例えば特許文献3に係る従来型プレノプティックカメラに関する決定的な一特長は、フォトセンサ平面からのマイクロレンズ平面の距離Bがマイクロレンズの合焦距離fと等しいことにある旨を既に述べた。f=Bの場合、数22から得られる解像度比率は、数29となる。
【0115】
【数29】

【0116】
次に有効解像度比率は、数30から求められる。
【0117】
【数30】

【0118】
すなわち、|a|≦B(D/p)の場合、ε=p/Dということになる。ここで、N:=D/pは、一次元方向における1マイクロイメージ当たりのフォトセンサ数であり、NL:=Nt/Nはこの次元方向に沿ったマイクロレンズの数である。したがって、一次元方向に沿って得られた画像における最大画素数は、数31となる。
【0119】
【数31】

【0120】
ゆえに、従来型プレノプティックカメラに関して得られた画像における最大画素数は、マイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズの数と等しい。
【0121】
図11は、ERRに関して例示的な構想を示しており、B、D、及びfは固定されている。画素の大きさはD/20であると想定されている。点Xoは最適な焦点位置を示し、DoFは被写界深度を表している。ぼけは画素の大きさよりも小さいか又は等しい。
【0122】
また上述の方法は、図12及び図13に示すように、従来型プレノプティックカメラにも有効である。本発明の方法は、特に、マイクロレンズアレイ上の変化する合焦距離を用いてプレノプティックカメラの全有効解像度が改善できる、という知見へ繋がる。従来型プレノプティックカメラの設計(例えば特許文献1)において、マイクロレンズの合焦距離は、像平面までのマイクロレンズ平面の距離に等しく、すなわちB=fに設定する。B=fである場合、数28は、数32となる。
【0123】
【数32】

【0124】
したがって、プレノプティックカメラに関する有効解像度比率は、数33となる。
【0125】
【数33】

【0126】
すなわち、|a|≦NBであるマイクロレンズ平面からの全距離aに関して、ERRは一定であり、値1/Nを取る。数25から、有効解像度NBは、この場合には数34となる。
【0127】
【数34】

【0128】
ここで、NLは、マイクロレンズアレイの一次元方向に沿ったマイクロレンズの数である。これは、文献で報告されてきた内容そのものである。すなわち、標準的なプレノプティックカメラの解像度は、マイクロレンズアレイにおけるレンズの数そのものである。図12は、このような構成における有効解像度比率及び視差を示す。A・ラムズデイン及びT・ゲオルギエフの合焦されたプレノプティックカメラ(例えば特許文献2を参照)では、図13に示すERRが得られる。
【0129】
図14は、F値をF=5、フォトセンサの辺長をp=0.009mm、マイクロレンズの直径をD=0.153mmとして、これで1マイクロイメージ当たりN=17のフォトセンサと、フォトセンサ平面710及びマイクロレンズアレイ平面711間の離間B=0.765mmが得られる、一特定の実施例を実行するための、MFPC及び従来型プレノプティックカメラのERRの比較を示す。この構成における従来型プレノプティックカメラの場合、全てのマイクロレンズの合焦距離はBに等しく設定される。aに対して対応する有効解像度比率の分布はグラフ730に示されている。
【0130】
これに反して、本発明の多焦点プレノプティックカメラの場合、3つの有効解像度比率のグラフをマイクロレンズタイプの合焦距離ごとに一ずつ得た。この実施例において用いた3つの合焦距離は、f1=0.526mm、f2=0.567mm、f3=0.616mmであり、対応するグラフは、それぞれ731、732、733である。これは、MFPCが大きな深度範囲に亘って従来型プレノプティックカメラよりも遙かに高い解像度を呈することを示している。
【0131】
図14における有効解像度比率のグラフは、全体カバー限界平面の外側で引いてあるだけであって、これは左方の全体カバー平面722と右方の全体カバー平面720との間では、得られた完全な画像を構築できないからである。図14において引かれた全体カバー平面は、対応する多焦点プレノプティックカメラの全体カバー平面である。
【0132】
一般に、異なるタイプのマイクロレンズにおける合焦距離は、所定の用途に対して最適な解像度分布を呈するように調整できる。
【0133】
他の実施例として、異なる3タイプのマイクロレンズを有する2倍深度の多焦点プレノプティックカメラにおける有効解像度比率の分布を、図15に示す。Iは像平面を表し、Lはマイクロレンズ平面を表す。ε1、ε2、ε3は、3タイプのマイクロレンズそれぞれの有効解像度比率であり、Δrは相対的な視差である。図15は、像平面の前方及び後方に、拡大された高い有効解像度の領域を有する多焦点プレノプティックカメラの有効解像度比率及び視差を示す。これは、ν1における平面上の要素と−ν1における平面上の要素を高い有効解像度で再構築できるという効果を有する。これは、例えば、同時に合焦させる必要がある異なる深度における2つの平行な平面を被写体が有する場合に利用できる。
【0134】
なお原理的には、異なるマイクロレンズに関して、増加した数の異なる合焦距離も利用できる。またマイクロレンズアレイ上で合焦距離が略連続的に分布しておれば、プレノプティックカメラの全般的な性能を改善できる。
全体カバー限界
【0135】
左右の全体カバー平面は、得られた完全な画像上のどこからコンピュータで生成できるかの限度を与える。図14に示す実施例に関して、得られた画像が、虚像空間内の全位置に関してコンピュータで生成でき、マイクロレンズアレイ平面からの虚像空間の距離aは、|a|≧c1を満足させる。数7で得られる最大の有効解像度比率ε(a)が1/|a|と共に変化するので、マイクロレンズアレイ平面及び全体カバー平面間の距離が大きくなるほど、最大限に達成可能(獲得可能)な有効解像度が低くなる。このためえMFPCの設計において、マイクロレンズアレイ平面及び全体カバー平面間の距離c1を最低限に抑えることが必須となる。
【0136】
図5に示すように、等しい合焦距離のマイクロレンズと、稠密構造の(接触していても重なり合ってはいない)マイクロイメージとを有する一次元のマイクロレンズアレイ(直線配列)の場合、c1の値は、マイクロレンズアレイ平面420及びフォトセンサ平面440間の距離Bと等しい。ゆえに2倍のカバー平面の距離c2は、c2=2c1となる。
【0137】
得られた画像の最大限に達成可能な有効解像度は、全体カバー限界を基にして求めることができる。全体カバー平面において|s|≦pとなるような態様で、すなわち|a|=c1の場合、あるマイクロレンズタイプの合焦距離fが選択されれば、有効解像度は最大である。そうであれば、数22から、εL=1となり、よってε(c1)=B/c1となる。c1=γB(ただしγは全体カバー係数)と書き表せば、ε(c1)=1/γということになる。よって、全数Nt2のフォトセンサを有する正方形のフォトセンサアレイの場合、最大限に達成可能な有効解像度は、数35となる。
【0138】
【数35】

【0139】
これは、全体カバー係数γが小さくなるほど、最大限に達成可能な有効解像度が大きくなることを示している。
【0140】
円形のマイクロレンズを有する二次元のマイクロレンズアレイの場合、c1の値を計算するとき、マイクロレンズ同士のギャップを勘案しなくてはならない。図16は、c1の値を最小限にする3つの異なる合焦距離を有するMFPCのマイクロレンズアレイにおける円形のマイクロレンズの形態を示す。タイプ1(821)、タイプ2(822)、タイプ3(823)のマイクロレンズは、同じタイプである2つのマイクロレンズが直接隣接しないような態様で、六角形のグリッドで配列されている。
【0141】
図14に示すように、各タイプのマイクロレンズは、虚像空間において特定の深度をカバーする。したがって、同じタイプのマイクロレンズの各サブアレイは、他のマイクロレンズのタイプとは独立に、得られた画像の生成を可能にする。図17は、図16に示す全マイクロレンズアレイにおけるタイプ1のマイクロレンズのサブアレイを示す。各マイクロレンズ921は、対応するマイクロイメージ922を有する。このようなマイクロイメージの組は、もはや稠密構造ではない。
【0142】
図18におけるマイクロレンズ1021のマイクロイメージ1022に寄与する虚像空間のサブスペースは、マイクロ投影コーン1023内に存在する。全体カバー平面は、マイクロ投影コーンがギャップなしの全体カバー平面全体をカバーするような態様で、光学的軸1030に対して直角であって、またマイクロレンズアレイ平面1020に対して最も接近した平面である。図18に示すマイクロ投影コーン1023は、全体カバー平面ちょうどまで延在する。ここでもBがフォトセンサ平面1010及びマイクロレンズアレイ1020間の距離を示すとすれば、マイクロレンズアレイ及び全体カバー平面間の距離c1は、このマイクロレンズ形態に関してc1=2Bであり、すなわちγ=2である。これは、3つの異なるタイプのマイクロレンズに関する最小値c1である。
【0143】
図19は、異なる合焦距離を有する円筒状マイクロレンズのラインで構成される他のマイクロレンズ形態を示す。同じタイプのマイクロレンズのラインに沿って、全体カバー係数はγ=1であり、マイクロレンズのラインに対して直角方向の場合に全体カバー係数はγ=3である。
【0144】
一般的に、MFPCのマイクロレンズアレイにおける多様なマイクロレンズのマイクロイメージが重なり合わない限り、マイクロレンズは任意の形状とできる。例えば、平凸、両凸、平凹、両凹、凹凸、又はこれらを組み合わせたものであってもよい。さらに、マイクロレンズ平面におけるマイクロレンズの形状は、円形、楕円形、正方形、又はいくつかの任意の不規則な形状であってもよい。マイクロレンズの表面形状は、球面又は非球面であってもよい。各マイクロレンズの代わりに、撮像システムの光学的特性を改善するためにマイクロレンズシステムが配置されてもよい。例えば、マイクロイメージを稠密構造にしておきながら、主レンズの可変なF値にできるようにするために、このようなマイクロレンズシステムにおける別個の要素間の距離も可変にしておいてもよい。
マイクロレンズアレイの形態
【0145】
アレイから1個おきにマイクロレンズを取り除くと全体カバー平面を突出させるだけであって、マイクロレンズ平面からの特定距離における視差を減ずることは以前から注目されていた。しかしながら、特定の位置において有効解像度を減ずることはない。これは、本明細書において紹介された基本的に新たな概念であり、これにより、拡張された被写界深度のような、改良された特性を有するプレノプティックカメラの設計が可能になる。
【0146】
図20及び図21は、直交型及び六角形のマイクロレンズアレイそれぞれにおけるタイプ1及びタイプ2のマイクロレンズの分布を示す。タイプ1及びタイプ2のマイクロレンズは、合焦距離が異なるのみであって、その他全てのパラメータは一定である。2つの異なるタイプのレンズを有する多焦点プレノプティックカメラに関する間隔係数と間隔比率の積は、直交型の場合でも六角型の場合でも同じである。図22及び図23で判るように、両方の場合においてκγ=2である。
【0147】
3つの異なるタイプのマイクロレンズを使う場合、六角形及び直交型のアレイにおいてレンズのタイプを混合させることは、図24(図26の1110も参照)及び図25(図27の1210も参照)それぞれに示されている。3つの異なるタイプのレンズを有する多焦点プレノプティックカメラに関する間隔係数κと間隔比率γの積は、直交型及び六角形の場合で異なる。直交型の場合は、次式となる。
【0148】
【数36】

【0149】
また六角形の場合は、次式となる。
【0150】
【数37】

【0151】
これは、図24及び図25それぞれに示されている。したがって、六角形のマイクロレンズアレイにおいて、全体カバー平面は、2つ又は3つの異なるタイプのマイクロレンズが使われているかどうかとは無関係に、全体カバー平面は、マイクロレンズ平面からの距離が同じである。このように、3つの異なるタイプのマイクロレンズを用いることは好適である。
【0152】
一般的に、任意数の異なるタイプのマイクロレンズを用いてMFPCを設計できる。図26は、対応する数のマイクロレンズタイプに対して最小値c1を有するマイクロレンズの形態に関して、いくつかの実施例を示している。これらの形態における特定のマイクロレンズの各サブアレイは規則的であり、同じ値γを有する。
形態1110:γ=2である3タイプのマイクロレンズ
形態1120:γ=1+1/cos(π/6)≒2.15である4タイプのマイクロレンズ
形態1130:γ=1+3/[2cos(π/6)]≒2.73である9タイプのマイクロレンズ
形態1140:γ=3である12タイプのマイクロレンズ
【0153】
好ましくは、異なるタイプのマイクロレンズに関する規則的なグリッド形態は、同じタイプのマイクロレンズの各サブアレイが規則的な六角形のグリッドを形成しているグリッド形態である。マイクロレンズアレイにおける異なるタイプの多数のマイクロレンズは、各タイプのマイクロレンズが虚像空間において小さな深度範囲をカバーでき、例えば比較的小さなフォトセンサの場合に有用となる。
【0154】
用途次第では、同じタイプのマイクロレンズの不規則な分布を有することも望ましいと言える。図27は、異なるタイプのマイクロレンズの不規則な形態に関していくつかの実施例を示している。
形態1210:直交型のグリッドである3タイプのマイクロレンズ
形態1220:六角形のグリッドである2タイプのマイクロレンズ
形態1230:六角形のグリッドである3タイプのマイクロレンズ
形態1240:六角形のグリッドである2タイプのマイクロレンズ
【0155】
形態1230の場合、タイプ1のマイクロレンズは中心部に集中しており、タイプ2のマイクロレンズは中心部周りでリングを形成している。タイプ3のマイクロレンズは、さらにタイプ2のマイクロレンズ周りでリングを形成している。このようにして同じタイプのマイクロレンズの各グループが、虚像空間の特定部分に関する高い空間的解像度で以て、得られた画像の生成を可能にする。
【0156】
形態1240の場合、タイプ1のマイクロレンズの密度は、タイプ2のマイクロレンズの密度よりも低い。この場合に限って、タイプ1のマイクロレンズに関する全体カバー係数はγ=1+tan(π/3)≒2.73であって、タイプ2のマイクロレンズに関してはγ=2である。
複数のマイクロレンズアレイを有するプレノプティックカメラ
【0157】
多焦点プレノプティックカメラ以外にも、一だけのマイクロレンズアレイではなく、多数のマイクロレンズアレイを光軸に沿って用いることによって、プレノプティックカメラの機能性をさらに拡張できる。2つのマイクロレンズアレイを有するそのような構造の実施例が図28に概略的に示されている。この実施例において、2つのマイクロレンズアレイは両凸のマイクロレンズで構成されているが、マイクロレンズアレイ1におけるマイクロレンズは、マイクロレンズアレイ2におけるマイクロレンズよりも小さな直径を有しており、不透明な開口で包囲されている。一般に、レンズタイプを適切なマイクロ開口アレイと任意に組み合わせたものが可能であり、プレノプティックカメラの機能性を拡張できる。
【0158】
図28に示す構造によれば、マイクロレンズアレイ2及び像平面間の離間Bと、2つのマイクロレンズアレイ間の離間dは適切な機械的構造により可変に保たれる。適切な方法でB及びdを変化させることにより、主レンズシステムのF値を変化させるために、一定した直径D2のマイクロイメージが生成できることを確実にできる。このようにして、複数のマイクロレンズアレイを有するプレノプティックカメラは、変化するF値を有するズームレンズか、通常は異なるF値を有する異なる固定された合焦距離のレンズで使用した場合にも、一定した有効解像度を達成できる。
【0159】
当業者にとって、図28に示す基本的な実施例を、異なるタイプのマイクロレンズを有するより多くのマイクロレンズアレイを組み合わせることに拡大して、同様の効果を得るのは単純なことである。別の実施例として、複数のマイクロレンズアレイを有するプレノプティックカメラにおけるマイクロレンズのそれぞれを異なる合焦距離のマイクロレンズで構成する例が挙げられる。
3.画像レンダリング
【0160】
光軸に沿ったマイクロレンズ平面からの距離zに像平面が位置決めされていたならば、光軸に対して直角である像平面上の位置(x,y)において現れたであろう強度値(色値)をレンダリングするために、以下の手順が適用される。
1.(x,y)における点を実際に見ているマイクロレンズの組を見つけ出す。これらのマイクロレンズは、それらの中心部が(x,y)の正射投影を中心にした半径rの円内でマイクロレンズの平面上に位置するようなマイクロレンズ全てである。半径rはr=(zD)/(2B)から求められる。
2.これらのマイクロレンズそれぞれに関して、点(x,y)が各マイクロレンズによって投影される像平面上の画素位置を算出する。
3.最終的な強度値は、前工程において算出された画素位置における像平面上の強度値を加重平均したものである。重み付けは、点(x,y,z)の投影のための画素位置それぞれにおける強度減衰量を示す較正データから取り出せる。
【0161】
この方法は、単に平面ではなく、任意の表面上で画像を再構築することを可能にする。これは、湾曲した表面をどこでも合焦させなくてはならない用途には必須である。得られた望ましい解像度は、レンダリング点の増分量を変化させることで簡単に設定でき、これはスーパーサンプリングも含む。
【0162】
多焦点プレノプティックカメラ用の本発明による画像レンダリング方法は、上述した方法に基づいている。点の強度値を評価するのに使用するマイクロレンズの選択において、マイクロレンズ平面からの点の距離を考慮する。各距離に関して、色値を最適に評価するのに使用できる一組のマイクロレンズが存在する。一組の光線から画像を合成するためのマイクロレンズ構成及びフォトセンサアレイに関する一次元又は二次元アレイで用いるための、本発明による画像レンダリング方法は、以下の工程、
主レンズ及びフォトセンサアレイにおいて一組の光線を収集して、この一組の光線を特徴づける光のデータを出力する工程と、
主レンズ及びフォトセンサアレイ間に位置決めされたマイクロレンズアレイによって、前記一組の光線を主レンズからフォトセンサアレイに指向させる工程と、
マイクロレンズアレイに対する相対的な位置決め機構においてフォトセンサアレイを設定して、フォトセンサアレイにより収集された光の方向的な特徴を選択的に検出しやすくする工程と、
主レンズ、マイクロレンズアレイ、及びフォトセンサアレイの構成及び相対的位置の関数として光のデータを使って、合成され再フォーカスされた画像を、画像データプロセッサを用いて演算する工程と、
を含み、
合成され再フォーカスされた画像は、フォトセンサアレイによって収集されたままの光線の一組に関する仮想のリダイレクトを表しており、(x,y)における点を実際に見ているマイクロレンズの組は、どのマイクロレンズが(x,y)の正射投影を中心にした半径rの円内でマイクロレンズの平面上に位置する中心部を有しているかを見つけ出すことにより選択される。ここで、半径rはr=(zD)/(2B)である。これらのマイクロレンズそれぞれに関して、点(x,y)が各マイクロレンズによって投影される像平面上の画素位置が計算され、画素が画像として表示される。
【0163】
さらに、一組の光線から画像を合成するデジタル撮像方法は、前工程で計算された画素位置における像平面上の色値の加重平均として最終的な色値を見つけ出すために重み付けを行ってもよい。
【0164】
設定された一組の光線から画像を合成するための如何なるデジタル撮像方法も、次に、点(x,y,z)を投影するための画素位置それぞれにおける強度減衰量を示す較正データから重みを取り出せる。
好ましい実施例の特長
【0165】
図29は、図26の1110で示したマイクロレンズアレイの形態を用いる場合、MFPCのフォトセンサ平面上に作製されたRAW画像の実施例を示す。撮像された被写体は、3タイプのマイクロレンズの一において最適に合焦しているだけである。得られた画像をこのタイプのRAW画像から生成するために、以下の画像レンダリングアルゴリズムが用いられ、フォトセンサアレイから読み取られたRAW画像データを処理する。画像レンダリング処理に関する詳細を、図30と、図31のフローチャートに基づいて以下に説明する。
【0166】
S1.虚像表面(1530)を選択する。虚像空間の座標系内のz成分は、撮像システムの光軸と平行であり、焦点深度を規定する。この虚像表面(1530)は、図示した通りに湾曲した表面又は任意形状の表面若しくは平坦な表面である。虚像表面は、特定タイプの既知の被写体と同じ形状を有する態様で選定でき、そのため、得られた画像は、撮像された被写体が既知の形状から偏向していない場合、どこでも合焦している。一実施例として、ある被写体を撮像するために本発明のプレノプティックカメラが使用される。例えば製造工程において、円筒状の製品を監視する目的で、選定された虚像表面が被写体の表面と一致し、そして、例えば円筒状の虚像表面が選択される。
【0167】
虚像表面(1530)を、必ずしも規則的に分布しているとは言えない虚像点の組に分割する。これらの虚像点の組は、得られた画像を形成する。
【0168】
S2.第1/他の虚像点を選択する。
虚像点それぞれに関して、以下のことを行う。
【0169】
S3.選択された虚像点(1531)に関して、虚像点のz値において最大の有効解像度比率を有するマイクロレンズサブアレイ中の特定タイプのマイクロレンズ群(共通の合焦距離を有するマイクロレンズのグループ)を選択する。
【0170】
例えば、図30のz軸は、図14の水平軸である。したがって、図7の例示的なマイクロレンズ形態において、z=3mmにおける最良のマイクロレンズタイプはタイプ2である。
【0171】
S4.z=0に存在するものとしてみなされる、マイクロレンズアレイ平面(1520)上に虚像点(1531)を投影する。
【0172】
S5.虚像点の強度値に寄与できるマイクロイメージは、対応する微細な投影錐状体が虚像点(1531)を含んでいるマイクロイメージである。これは、全てのマイクロレンズの微細な投影錐状体の場合であって、これらマイクロレンズの中心は、投影された虚像点1532)周りの半径Rmaxの円内に存在する。値RmaxはRmax=(zD)/(2B)から求められ、ただし、Dはマイクロレンズの直径、Bはフォトセンサ平面(1510)及びマイクロレンズアレイ平面(1520)間の距離である。
【0173】
S6.マイクロレンズのマイクロイメージが虚像点の強度値に寄与できるマイクロレンズに関して、虚像点及びマイクロレンズ中心を通過するラインとフォトセンサ平面との交差点を見つけ出す。これらの交差点をRAW画像点と呼ぶ。図30の実施例において、RAW画像点は、点P1(1533)、点P2(1534)、及び点P3(1535)である。
【0174】
S7.各RAW画像点に関して、対応するRAW画像強度として、フォトセンサの中心がRAW画像点に最接近しているフォトセンサの強度値(RAW画像データ)を選択する。実際の虚像点の最終的な強度値は、対応するRAW画像強度の平均値である。すなわち、RAW画像データの強度が加算され、それぞれのRAW画像点の数で除算される。
【0175】
S8.全ての虚像点が処理されたかどうかをチェックする。未処理の場合、工程S2に戻る。処理済みの場合、平均化されたRAW画像の強度を用いて得られるデジタル画像を作製する。その後に、このデジタル画像を出力、例えばディスプレイでの表示、印刷、記録、又はデータストレージに記憶できる。
【0176】
得られた画像の画質を改良するために、この分野の専門家に周知の既知の画像処理方法を用いて、この基本的なアルゴリズムを幾通りにも変更可能である。このような変形例の幾つかは、例えば以下の通りである。
【0177】
RAW画像データは以下の処理で改良できる。
−フォトセンサを飽和させずに、対応するRAW画像の強度が極力高くなる態様で、MFPCを用いて均質的に白い表面の較正画像を取り出す。
−MFPCを用いて望まれるシーンの画像を取り出す。
−望まれるシーンに関するRAW画像データを較正済みのRAW画像データで除算する。このようにして、光学システム及びフォトセンサ感度による強度の変化をRAW画像から除去する。
【0178】
得られた画像におけるエイリアシング効果は、画像レンダリングアルゴリズムの工程S7を以下の処理に置換することにより、減少できる。
−各RAW画像点に関して、RAW画像点を取り囲んだフォトセンサの組から対応するRAW画像強度を算出する。これは、組になったフォトセンサの平均強度値、又はRAW画像点からのフォトセンサ中心の距離を勘案した補間強度値ともなる。このように多数の補間アルゴリズムが現在の技術水準として周知である。
−画像レンダリングアルゴリズムの工程S3は、次のものに置き換え得る。各選択された虚像点(1531)に関して全てのマイクロレンズタイプを常用する。
−対応する解像度比率εLが所与の値に関してεL≦1を満足させるような全てのマイクロレンズタイプを使用し、斯かるマイクロレンズタイプが存在しない場合、最小のεL(解像度比率)を有するマイクロレンズタイプを使用する。
4.他の用途
【0179】
多焦点プレノプティックカメラ及び複数のマイクロレンズアレイを有するプレノプティックカメラ又はこれらを組み合わせたものに関する上述の方法は、単列式カメラ、多列式カメラ、ハンドヘルドスキャナ、フラットベッドスキャナ、又は写真式複写機のような、一次元の感光性装置にも応用できる。
【0180】
単列式カメラ、ハンドヘルドスキャナ、フラットベッドスキャナ、又は写真式複写機の場合、光受容器の光路に配置された円筒状レンズの一次元アレイが単一又は多数でも十分であろうが、他タイプのレンズも可能である。通常の装置に比べて、斯かる構造の利点は、走査される表面が平坦であったり、走査平面と心合している必要がないことである。すなわち、非平坦な表面をどこでも合焦でき、また記録された表面の3D形状も再現できる。対応するレンダリングアルゴリズム及び深度推定アルゴリズムは、一次元のマイクロレンズだけが画像に寄与するというように簡素化しており、以前と同じものである。
【0181】
多列式のプレノプティックカメラは、光路に配置された単列又は多列のマイクロレンズを有する平行な多列の光受容器を有する。特定の時間間隔で画像を記録している間に、このようなカメラの下で被写体を移動させるとき、又は被写体の上でカメラを移動させるとき、二次元のプレノプティックカメラのデータセットに相当するデータセットが構築できる。ここでまた、一次元のマイクロレンズラインにおけるマイクロレンズは、異なる合焦距離を有し得るか、多数の斯かるマイクロレンズラインが光路に沿って配置され得るか、又はその両方とできる。斯かる構造の利点は、非常に高い解像度の画像が生成できることである。
【0182】
上述の詳細説明、図面、及び特許請求の範囲において開示した本発明の特長は、単独のままであっても組み合わせた状態であっても、多様な実施形態において本発明を実現するために重要なものであり得る。
【符号の説明】
【0183】
100…多焦点プレノプティックカメラ
110…主レンズ
111…光軸
112…矢線
120…フォトセンサ平面
130…被写体
131…虚像
200…デジタル撮像装置
210…主レンズ
211…矢線
220…フォトセンサアレイ平面
221…マイクロレンズアレイ
222…マイクロレンズ
230…被写体
231…虚像
232…仮想の像平面
311…主レンズ
322…マイクロレンズアレイ
330…フォトセンサ平面(像平面)
340…被写体
341…虚像
342…最適焦点の像平面
343…マイクロイメージ
420…マイクロレンズ平面
421…マイクロレンズ
422…マイクロイメージ
423…極値的な投影光線
424…極値的な投影光線
430…全体カバー平面
431…二重カバー平面
440…フォトセンサ平面
510…単一のマイクロレンズ
511…マイクロレンズ平面
521…光線
522…光線
530…フォトセンサ平面
610…単一のマイクロレンズ
620…光の方向
710…フォトセンサ平面
711…マイクロレンズアレイ平面
720…右方の全体カバー平面
722…左方の全体カバー平面
730…グラフ
731…グラフ
732…グラフ
733…グラフ
821…タイプ1のマイクロレンズ
822…タイプ2のマイクロレンズ
823…タイプ3のマイクロレンズ
921…マイクロレンズ
922…マイクロイメージ
1010…フォトセンサ平面
1020…マイクロレンズアレイ平面
1021…マイクロレンズ
1022…マイクロイメージ
1023…マイクロ投影コーン
1030…光学的軸
1110…形態1110
1120…形態1120
1130…形態1130
1140…形態1140
1210…形態1210
1220…形態1220
1230…形態1230
1240…形態1240
1510…フォトセンサ平面
1520…マイクロレンズアレイ平面
1530…虚像表面
1531…虚像点
1532…投影された虚像点
1533…点P1
1534…点P2
1535…点P3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の像平面に配置された複数のフォトセンサを有するフォトセンサアレイと、
被写体からの光をフォトセンサアレイに対して指向させるよう配置された複数のマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイと、
を備えており、前記フォトセンサアレイ及び前記マイクロレンズアレイは所定の距離を置いて配置されてなる、プレノプティック光学装置における画像を合成するよう構成されたデジタル撮像システムであって、
マイクロレンズは、マイクロレンズアレイ上において変化する異なる合焦距離を有しており、また
フォトセンサアレイに関する前記像平面は、フォトセンサアレイ及びマイクロレンズアレイ間の距離がマイクロレンズの合焦距離と不等であるような態様で配置されることを特徴とするデジタル撮像システム。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタル撮像システムであって、
前記マイクロレンズアレイは、共通の合焦距離を有する数組のマイクロレンズを有しており、異なる組のマイクロレンズは異なる合焦距離を有することを特徴とするデジタル撮像システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のデジタル撮像システムであって、
マイクロレンズそれぞれの合焦距離は、2つ又は3つの異なる合焦距離から選択されることを特徴とするデジタル撮像システム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のデジタル撮像システムであって、
マイクロレンズそれぞれの合焦距離は、4つ以上の異なる合焦距離から選択されることを特徴とするデジタル撮像システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一に記載のデジタル撮像システムであって、
マイクロレンズそれぞれの合焦距離は、このマイクロレンズに最も接近したマイクロレンズそれぞれの合焦距離とは異なることを特徴とするデジタル撮像システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一に記載のデジタル撮像システムであって、
マイクロレンズそれぞれは、各マイクロレンズの合焦距離に依存する有効解像度比率と、マイクロレンズアレイからの深度距離とを呈し、また
マイクロレンズの合焦距離は、有効解像度比率が深度距離の隣接範囲において相補性の最大値を有することを特徴とするデジタル撮像システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一に記載のデジタル撮像システムであって、
マイクロレンズは、等しい合焦距離を有するマイクロレンズが規則的なグリッドを呈する態様で配置されることを特徴とするデジタル撮像システム。
【請求項8】
請求項7に記載のデジタル撮像システムであって、
マイクロレンズは、等しい合焦距離を有するマイクロレンズが直交型又は六角形のグリッドを呈することを特徴とするデジタル撮像システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一に記載のデジタル撮像システムであって、
フォトセンサアレイ及びマイクロレンズアレイ間の距離は、フォトセンサアレイ及びマイクロレンズアレイの可変式又は固定式連結体を備えた制御構体により設定されることを特徴とするデジタル撮像システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一に記載のデジタル撮像システムであって、
マイクロレンズアレイは、マイクロレンズの一次元又は二次元アレイであることを特徴とするデジタル撮像システム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一に記載のデジタル撮像システムであって、
共通の合焦距離を有する全てのマイクロレンズが同一の直径を有することを特徴とするデジタル撮像システム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一に記載のデジタル撮像システムであって、
マイクロレンズアレイにおける全てのマイクロレンズが同一の直径を有することを特徴とするデジタル撮像システム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一に記載のデジタル撮像システムであって、さらに、
被写体からの光をマイクロレンズアレイに対して指向させるよう配置された複数のマイクロレンズを有する少なくとも一の補助的マイクロレンズアレイを備えることを特徴とするデジタル撮像システム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一に記載のデジタル撮像システムであって、さらに、
異なるフォトセンサにおいて感知された光の関数として、すなわちマイクロレンズアレイに対するフォトセンサの相対的位置と感知された光の入射角として、合成画像を特徴づける画像データを提供するためにコンピュータでプログラム可能なプロセッサを備えることを特徴とするデジタル撮像システム。
【請求項15】
主レンズ光学系と、
請求項1〜14のいずれか一に記載のデジタル撮像システムと、
を備えることを特徴とするプレノプティック光学装置。
【請求項16】
請求項15に記載のプレノプティック光学装置であって、
デジタル撮像システムのマイクロレンズアレイは、主レンズ光学系の焦線に配置され、被写体からの光を主レンズ光学系経由でフォトセンサアレイに対して指向させ、また、
主レンズ光学系における焦線の特定部分を通過する一組の光線に関し、複数のフォトセンサが配置され、異なる入射角で焦線の特定部分に同時に到達する光線の組のうち異なるものを感知することを特徴とするプレノプティック光学装置。
【請求項17】
請求項15又は16に記載のプレノプティック光学装置であって、
カメラ装置、走査装置、又は顕微鏡装置であることを特徴とするプレノプティック光学装置。
【請求項18】
請求項1〜14に記載のデジタル撮像システム又は請求項15〜17に記載のプレノプティック光学装置を用いて収集された画像データを処理するための方法であって、
フォトセンサアレイを用いて収集されたRAW画像データを提供する工程と、
虚像点を含む所定の虚像表面を提供する工程と、
各虚像点に関して、
マイクロレンズの合焦距離に応じて、フォトセンサアレイ上の虚像点を撮像するために最大の有効解像度比率を有する一組のマイクロレンズを選択する工程と、
マイクロレンズアレイ平面上に虚像点を投影する工程と、
虚像点の強度値に寄与するマイクロレンズの選択された組のマイクロイメージを検出する工程と、
RAW画像点に関するRAW画像データが虚像点の強度値に寄与するようなRAW画像点を選択する工程と、
RAW画像点におけるRAW画像データに関する平均化されたRAW画像強度を検出する工程と、
前記平均化されたRAW画像強度を備えたデジタル画像を生成する工程と、
を含むことを特徴とする画像データを処理するための方法。
【請求項19】
請求項18に記載の画像データ処理方法であって、
虚像表面は仮想の像平面であるか、又は撮像対象の被写体に適応した表面であることを特徴とする画像データ処理方法。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の画像データ処理方法であって、
デジタル画像を生成する前記工程は、多様な虚像表面を求めて繰り返されることを特徴とする画像データ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図31】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図29】
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【図30】
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【公表番号】特表2012−525028(P2012−525028A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506345(P2012−506345)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008682
【国際公開番号】WO2010/121637
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(511256299)ライトリックス・ゲー・エム・ベー・ハー (1)
【氏名又は名称原語表記】Raytrix GmbH
【Fターム(参考)】