説明

デジタル放送を利用したコンテンツ配信方法

【課題】
イベント対応のワンセグ放送のようなテンポラリーなデジタル放送において、放送波を利用して限定的に配信もしくは限定された利用者に利用させたいコンテンツを配信する場合、それを如何に制御するかが問題であった。
【解決手段】
受信機である携帯電話2〜4からコンテンツの復号鍵、すなわち、コンテンツの利用に必要なデータが要求された場合、当該携帯電話2〜4に権限があるかを顧客DB5への登録されたか否かで判断する場合、携帯電話2〜4にこの放送局1のコンテンツを利用可能であることを示す情報が登録されているかを確認し、登録されていない場合、当該セッションで正当な権限の携帯電話2〜4について顧客DB5内の一次登録データベースを確認し、当該一次登録データベースに未登録の場合、顧客DB5内の本データベースを確認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送利用してコンテンツを配信する技術に関する。その中でも特に、いわゆるワンセグ放送を利用して、特定領域(エリア)に向けたコンテンツ配信に関する。なお、ここでのコンテンツとは、データ放送のデータやファイル形式などその形式は問わず、利用者に対する特典などを示すなど、所定の利用者が利用可能なものである。
【背景技術】
【0002】
現在、地上デジタル放送などデジタル放送が普及している。デジタル放送においては、その名のとおりデジタルで情報を扱っているため、放送以外のコンテンツも併せて配信することが可能になる。特に、携帯端末(電話)向けのいわゆるワンセグ放送においては、受信機(携帯端末)が携帯性に優れているため、イベントなどでそのイベントに応じたコンテンツを配信することに向いている。
【0003】
このようなコンテンツ配信の場合、権限のない利用者へ配信されることを抑止することが問題になる。この問題を解決するために、特許文献1が提案されている。特許文献1においては、配信データに識別子を付与しておき、受信機側では付与されている識別子に基づき再生するフィルターを有し、これに基づいて権限のある配信データのみを再生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−152693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、各配信データ(コンテンツ)に対して識別データを受信、再生等の可否に利用しているが、識別データは偽造などが簡単であり、権限が無い悪意の第三者が不正に利用できる可能性が高まってしまう。
【0006】
そこで、本発明では、コンテンツの利用可能性の判断を、暗号鍵を用いることとした。このような暗号鍵を利用することを本発明の課題とする。この課題には、暗号鍵を用いた場合、受信機側の正当性(権限があるか)の確認が必要になることや、暗号鍵で暗号化されたコンテンツを復号する復号鍵を如何に受信機側に送信するかも含まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明では、受信機からコンテンツの復号鍵、すなわち、コンテンツの利用に必要なデータが要求された場合、当該受信機(もしくはその利用者)に権限があるかをデータベースへの登録されたか否かで判断する場合、受信機にこの放送局のコンテンツを利用可能であることを示す情報が登録されているかを確認し、登録していない場合、当該セッションで正当な権限の受信機(利用者)について登録された一次登録データベースを確認し、当該一次登録データベースに未登録の場合、本データベースを確認する。配信するコンテンツがイベントなどで特有のものであることも多く、その都度権限を入手(登録)することを鑑みてなされたものである。
【0008】
また、本発明には、権限があると判断された場合、コンテンツを復号するための復号鍵が上記のセッション鍵で暗号化されて受信機に送信され、受信機側でセッション鍵でコンテンツを復号化することも含まれる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、暗号鍵を用いてのコンテンツ配信をより安全に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施携帯におけるシステム構成図である。
【図2】放送波の空き領域を利用したデータ送信を説明する表である。
【図3】本発明の一実施形態における処理を説明するフローチャート(その1)である。
【図4】本発明の一実施形態における処理を説明するフローチャート(その2)である。
【図5】本発明の一実施形態におけるユーザ登録処理を説明するフローチャートである。
【図6】放送波での送信内容の項目例を説明する表である。
【図7】配信者登録リストの項目例を説明する表である。
【図8】一次登録DBの項目例を説明する表である。
【図9】本登録DBの項目例を説明する表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の一実施形態を、図面を用いて説明する。図1は本発明のシステム構成図である。本実施形態では、放送局1と放送の受信機の一例である携帯電話2〜4、顧客DB5から構成される。ここで、放送局は、エリア限定のワンセグ放送波を送信する機能と、放送波の空き領域を利用したデータ送信を行う機能と、ネットワーク通信を行う機能と、鍵を用いて情報を暗号化及び復号化する機能と、携帯電話の情報を顧客DBに登録する機能を持つ。携帯電話2〜4は、放送波を受信する機能と、放送波の空き領域を利用し送信されたデータを受信する機能と、ネットワーク通信を行う機能と、鍵を用いて情報を暗号化する機能と、セッション鍵を生成する機能と、セッション鍵を用いて情報を復号化する機能と、復号鍵を使って保護コンテンツの復号化する機能を持つ。顧客DB5は、一次登録DBと本登録DBを持ち、一次登録DBの情報を24時間ごとに本登録DBに移動する機能を持つ。この放送局1は、いわゆるコンピュータで実現され、各機能はプログラムに従ってCPUの如き演算装置で実行される。また、顧客DB5は、放送局1の構成に含まれてもよいし、ネットワークなどで放送局1と接続されるよう構成されてもよい。
【0012】
図2は、放送波の空き領域を利用したデータ送信の概略図である。地上デジタル放送用の周波数帯の中で、実際の地上波放送に使っていない帯域中の13のセグメントのうち、1つのセグメントを用いて、エリア限定のワンセグ放送と、データ送信を行う。
【0013】
図3及び図4に、本実施形態におけるエリア限定のワンセグ放送の空き領域を利用したコンテンツの配信処理を記述したフロー図を示す。放送局1は、宣伝番組(宣伝1)をエリア限定のワンセグ放送波で送信すると共に、その放送波の空き領域を利用し、配信者ID(AA01)と保護コンテンツ(SP1)と放送局1の公開鍵(123456)とユーザ登録サイトのアドレス(www.aa.co.jp)と保護コンテンツの復号鍵の要求先アドレス(www.xx.co.jp)を送信する(S11)。
【0014】
上記のS11における放送波での送信内容の項目例は、図6に示すように、宣伝番組、配信者ID、保護コンテンツ、公開鍵、ユーザ登録サイトのアドレス、復号鍵の要求先アドレスである。なお、宣伝番組とは、放送を受信する機能をもつ携帯電話であれば制限なく見る(再生などの利用)ことが可能な番組である。配信者IDとは、配信者(もしくは配信装置や放送局)を一意に決定するIDである。保護コンテンツとは、保護コンテンツの復号鍵を使って復号しなければ見ることのできないコンテンツであり、ユーザ登録をするなど一定の条件を満た場合に、保護コンテンツの復号鍵を取得することが可能になる。放送局1の公開鍵は、携帯電話と放送局1の間の通信を暗号化するためのものであり、対応する秘密鍵を持つのは放送局1であるため、放送局1の公開鍵で暗号化したものは、放送局1が復号することができる。ユーザ登録サイトのアドレスとは、携帯電話からユーザ登録を行う際にアクセスするサイトのアドレスである。保護コンテンツの復号鍵の要求先アドレスとは、保護コンテンツを見るための復号鍵を要求する際にアクセスするサイトのアドレスである。
【0015】
携帯電話2〜4は、放送波を受信し、宣伝番組(宣伝1)を画面に表示し、また、画面に「保護コンテンツ(SP1)の視聴」ボタンを表示する(S12)。視聴者が受信した保護コンテンツ(SP1)の視聴を希望する場合、視聴者が画面に表示されている「保護コンテンツ(SP1)の視聴」ボタンが押下されることで、保護コンテンツ(SP1)の視聴希望の入力を受け付ける(S13)。そして入力を受け付けると、携帯端末2〜4は配信者登録リストから、視聴を希望する保護コンテンツ(SP1)の配信者ID(AA01)を検索する(S14)。すなわち、既に自身(携帯電話もしくは利用者)が(放送局1の)コンテンツを利用する権限を得ている場合(放送局のデータベースに登録済み)、その記録を携帯電話(配信者登録リスト)に保持しておき、これを用いて本S14の判断を行う。このために、本実施形態では、後述するS19で本登録DBに登録されていると確認され、かつS24で復号鍵を受信した場合に、当該リストへの登録を行う。このような処理を行う理由は、放送がイベント向けなどテンポラリーなものである場合、そのイベントもしくはセッションの間に複数のコンテンツを順次配信(入手)することが多く、最初など先のコンテンツ配信の際に一次登録DBへの登録しておくと、確認の効率化が図れる。このため、S24において、配信者リストに配信者IDでなく(もしくはこれに加え)S24で受信する復号鍵そのもの、もしくはその受信の有無を登録しておき、これを用いてS14の判断を行ってもよい。これらの効率化の意義は、後述するS19での確認処理でも同様である。また、S19で本登録DBにも登録されていないと判断した場合、個別の認証処理を実行して、登録作業を行ってもよい。
【0016】
但し、この登録は、別セッションによる認証処理が行われた際に登録してもよいし、セッションを利用せず手作業などで登録しても構わない。
【0017】
配信者登録リストにない場合は登録サイトへのアクセスを行い(S26)、ある場合は、セッション鍵の生成を行う(S15)。
【0018】
上記のS14における配信者登録リストの項目例は、図7に示すように、配信者IDで構成される。配信者IDとは、配信者を一意に決定するIDである。
【0019】
図5に、本実施形態におけるユーザ登録処理のフロー図を示す。視聴を希望する保護コンテンツ(SP1)の配信者ID(AA01)が登録リストにない場合、携帯電話2〜4は、受信したユーザ登録サイトのアドレス(www.aa.co.jp)により、放送局1のユーザ登録サイトにアクセスし(S26)、放送局1の公開鍵(123456)で暗号化した(S27)顧客名(たたたた)と携帯電話2〜4の端末ID(01002300424)を送信する(S28)。放送局1は、受信した顧客名(たたたた)と携帯電話2〜4の端末ID(01002300424)を復号化し(S29)、一意に決めた顧客ID(10000121)と復号化した顧客名(たたたた)と携帯電話2〜4の端末ID(01002300424)と現在の年月日(20090707)を一次登録DBに登録する(S30)。携帯電話2〜4は、配信者ID(AA01)を配信者登録リストに追加する(S31)。
【0020】
上記のS30における一次登録DBの項目例は、図8に示すように、顧客ID、端末ID、顧客名、登録日である。顧客IDとは、ユーザ登録した顧客を放送局が一意に決定するIDである。端末IDとは、携帯電話を一意に決定するIDであり、携帯電話ごとに決められているIDであり、携帯電話自身が記憶しているものある。顧客名とは、ユーザ登録時に携帯電話2〜4が送信する情報である。登録日とは、一次登録DBにユーザ登録をした年月日である。なお、端末IDの代わりにユーザを識別する利用者IDを用いてもよい。この場合、ユーザから入力を受け付けたり、携帯電話自身が予め格納しているものを用いる。
【0021】
携帯電話2〜4は、保護コンテンツの復号鍵のやり取りに使うセッション鍵(987654)を生成する(S15)。生成したセッション鍵(987654)と携帯電話2〜4の端末ID(01002300424)と復号鍵を要求する保護コンテンツのID(SP0001)を、放送局1の公開鍵で暗号化し(S16)、保護コンテンツの復号鍵の要求先アドレス(www.xx.co.jp)を指定して放送局1に送信する(S17)。
【0022】
放送局1は、受信したセッション鍵(987654)と携帯電話2〜4の端末ID(01002300424)と復号鍵を要求する保護コンテンツのID(SP0001)を放送局1の秘密鍵で復号化する(S18)。携帯電話2〜4から受信した端末ID(01002300424)が、一次登録DBにあるかどうかを検索し、なければ本登録DBを検索する(S19)。上述のように、一次登録DBは、本実施形態においては、S24の際に登録する。これは、最初など先のコンテンツ配信要求の際に登録しておく。また、一次登録DBに登録された内容は、イベントの終了後や夜間などにバッチ処理で、本登録DBに登録する。この場合、一次登録DBの内容を移動させることが好適である。
【0023】
また、S19で本登録DBに登録されていると判断した場合、一次登録DBに、本登録DBの内容をコピーしてもよい。このようにすることで、次回の要求があった場合、早急な判断が可能になる。
【0024】
本登録DBにもない場合、携帯電話2〜4に対し、未登録であることを警告するアラーム(を出力するための情報)の送信を行う(S20)。携帯電話2〜4はアラームを受信し、画面に表示する(S21)。これを受けて、認証などを行い、一時登録DBやリストへの登録を行うようにしてもよい。
【0025】
上記のS19における本登録DBの項目例は、図9に示すように、一次登録DBと同様の項目となる。
【0026】
携帯電話2〜4の端末ID(01002300424)が一次登録DBまたは本登録DBにある場合、放送局1は、要求された保護コンテンツ(SP1)に対応する復号鍵(abcdef)を、S18で復号化したセッション鍵(987654)を使って暗号化(S22)し、携帯電話2〜4に送信する(S23)。
【0027】
携帯電話2〜4は、セッション鍵(987654)を使って保護コンテンツの復号鍵(abcdef)を復号化する(S24)。復号化した復号鍵(abcdef)を使って保護コンテンツ(SP1)の復号化を行い、画面に出力する(S25)。
【0028】
なお、本実施の形態では、放送波の放送と暗号化された各情報のやり取りを1つの放送局で実行しているが、別の装置で実現してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1…放送局、2〜4…携帯電話、5…顧客DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル放送波を利用して放送局装置から受信機に対して暗号化された保護コンテンツを配信するデジタル放送を利用したコンテンツ配信方法において、
前記放送局装置から前記受信機に対して、前記保護コンテンツ、前記放送局装置の公開鍵を含む放送波を放送し、
前記受信機が、
当該受信機の利用者から前記保護コンテンツの利用を希望する旨の入力を受け付けた場合、当該受信機に前記放送局装置のコンテンツの利用が可能かを示す情報が配信者登録リストに登録されているか判断し、
登録されていない場合、前記放送局装置とのセッションで用いられるセッション鍵を生成し、
前記セッション鍵、当該受信機を識別する受信機IDおよび前記保護コンテンツを識別する保護コンテンツIDを、前記公開鍵で暗号化して、前記放送局に送信し、
前記放送局装置が、
前記受信機から送信された暗号化された情報を復号化し、
復号化された受信機IDが、前記保護コンテンツの利用が可能かを示し、当該放送局装置と受信機間のセッションにおいて登録が行われる一次登録DBに格納されているかを判断し、
格納されていない場合、本登録DBに格納されているかを判断し、
前記一次登録DBもしくは本登録DBのいずれかに、前記受信機IDが格納されている場合、前記保護コンテンツの復号鍵を、前記セッション鍵で暗号化して、前記受信機に送信し、
前記受信機が、
前記保護コンテンツの復号鍵を、当該受信機で生成したセッション鍵で復号化し、
復号化された前記保護コンテンツの復号鍵で、前記保護コンテンツを復号化することを特徴とするデジタル放送を利用したコンテンツ配信方法。
【請求項2】
請求項1に記載したデジタル放送を利用したコンテンツ配信方法において、
前記放送局装置は、前記本登録DBに前記受信IDが格納されていると判断した場合、前記一次登録DBへ、当該本登録DBに登録された内容を記録することを特徴とするデジタル放送を利用したコンテンツ配信方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載したデジタル放送を利用したコンテンツ配信方法において、
前記受信機は、前記保護コンテンツを前記放送局装置から受信した場合、前記配信者登録リストに、前記放送局装置のコンテンツの利用が可能かを示す情報を登録することを特徴とするデジタル放送を利用したコンテンツ配信方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のデジタル放送を利用したコンテンツ配信方法において、
前記デジタル放送はワンセグ放送であって、前記受信機は携帯電話であることを特徴とするデジタル放送を利用したデジタル放送を利用したコンテンツ配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−109192(P2011−109192A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259422(P2009−259422)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】