説明

デジタル放送受信装置

【課題】デジタル放送受信装置の受信不良の原因を内部で解析して具体的な解決方法をユーザに提示できるようにする。
【解決手段】デジタル放送受信装置は、アンテナ1から受信したデジタル放送信号を選局するチューナ部2と、選局されたデジタル放送信号に対し復調処理を施す復調処理部3と、復調結果から選局対象チャンネルのデジタル放送信号の受信状態のレベルを判断するための所定の受信状態情報を取得して解析する受信状態解析部4と、その解析結果に基づくデジタル放送信号の受信不良の原因の推定結果を出力する出力手段とを備えている。受信状態解析部4は、受信対象となる所定のチャンネルを順次選局して受信状態情報を取得し、チャンネルごとの受信状態情報に基づいてデジタル放送信号の受信不良の原因を推定する。出力手段は、原因を推定した結果に応じて予め定められた対策情報を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送受信装置に関し、より詳細には、受信時の受信状態に基づいて受信不良の原因を推定するようにしたデジタル放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル放送受信装置を設置する際に、アンテナの受信周波数帯域が受信装置に対応していない場合や、特定の周波数への妨害波が発生している場合などには、受信環境の見直しをする必要が生じる。しかしながら、ユーザは、デジタル放送をうまく受信できない原因に気づかない場合もある。
【0003】
例えば、受信装置にBS(broadcasting satellite)デジタル専用アンテナが取り付けられている場合には、CS(communications satellite)放送を受信することができない。これに気づかないユーザは、受信装置の故障によりBSは受信できるのにCSが受信できないと考えてしまうケースがある。また、PHS(Personal Handy-phone System)や携帯電話などの電波による妨害によって特定の周波数のみ劣化することがあるが、ユーザはその原因に気づかないことが多い。このような問題をユーザに気づかせるためには、具体的な解決策が見つかるよう、受信機内部で原因を推定する必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、放送受信装置での受信信号強度の低下時に、その原因が特定の放送局側にあるのか、受信装置側にあるのかを自動的に診断することを目的とした放送受信装置が開示されている。この放送受信装置は、信号強度検出装置からの信号をもとに受信状態判定手段によって受信状態を判定する。その結果、良好でないと判断した場合、自動的に選局装置によって他の放送局を選局し受信状態を受信診断手段によって判定する。もし、すべての放送局の受信状態が良好でないならば、受信不良の原因は衛星放送、気象条件、アンテナにあるか、あるいは衛星食であるとし、そうでないならば放送局側であると診断する。
【特許文献1】特開平5−129971号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、受信不良の原因が、衛星放送、気象条件、アンテナに起因するものであるか、衛星食を原因とするものであるか、あるいは放送局側の問題にあるかを診断している。しかしながら、ユーザにとっては、受信不良の原因を診断することができても、実際にどのように受信不良を解決すればよいかがわからない。つまり、デジタル放送受信装置では、受信不良が発生したときに、ユーザに対して具体的な解決策を示せるようより詳細な原因解析を行う必要がある。
【0006】
本発明は、上述のごとき実状に鑑みてなされたものであり、デジタル放送受信装置でデジタル放送の受信不良が発生した場合にも、受信不良の原因を内部で解析して具体的な解決方法をユーザに提示できるようにしたデジタル放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、アンテナから受信したデジタル放送信号を選局するチューナ部と、チューナ部で選局されたデジタル放送信号に対し復調処理を施す復調処理部とを備えたデジタル放送受信装置であって、復調処理部での復調結果から、選局対象チャンネルのデジタル放送信号の受信状態のレベルを判断するための所定の受信状態情報を取得して解析する受信状態解析部と、受信状態解析部の解析結果に基づくデジタル放送信号の受信不良の原因の推定結果を出力する出力手段とを備え、受信状態解析部は、受信対象となる所定のチャンネルを順次選局し、選局したチャンネルの受信状態情報をそれぞれ取得し、チャンネルごとの受信状態情報に基づいてデジタル放送信号の受信不良の原因を推定し、出力手段は、原因を推定した結果に応じて予め定められた対策情報を出力することを特徴としたものである。
【0008】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、受信状態解析部が、BSデジタル放送のチャンネルと、CSデジタル放送のチャンネルとを受信対象となるチャンネルとして順次選局し、視聴可能なレベルを予め定めた閾値と受信状態情報とを比較することにより、各チャンネルのデジタル放送が視聴可能であるか否かを判断し、BSデジタル放送のチャンネルが全て視聴可能であり、かつCSデジタル放送のチャンネルの周波数が高くなるに従って、受信状態情報に示される受信状態のレベルが低下していく場合には、アンテナが対応しているデジタル放送の種別がBSデジタル放送のみであることが、受信不良の原因であることを推定することを特徴としたものである。
【0009】
第3の技術手段は、第1の技術手段において、受信状態解析部が、BSデジタル放送の所定の1チャンネルと、CSデジタル放送の所定の1チャンネルとを受信対象となるチャンネルとして順次選局し、視聴可能なレベルを予め定めた閾値と受信状態情報とを比較することにより、各チャンネルのデジタル放送が視聴可能であるか否かを判断し、BSデジタル放送のチャンネルが視聴可能であり、かつCSデジタル放送のチャンネルが視聴可能ではないと判断した場合には、アンテナが対応しているデジタル放送の種別はBSデジタル放送のみであることが、受信不良の原因であると推定することを特徴としたものである。
【0010】
第4の技術手段は、第1〜3の技術手段において、受信状態情報として、受信状態情報は、復調処理時に復調処理時に行う自動ゲイン制御の制御値を含み、受信状態解析部は、BSデジタル放送のチャンネルと、CSデジタル放送のチャンネルとを受信対象となるチャンネルとして順次選局し、視聴可能なレベルを予め定めた閾値と受信状態情報とを比較することにより、各チャンネルのデジタル放送が視聴可能であるか否かを判断し、順次選局したチャンネルのうち、特定のチャンネルについてのみ、自動ゲイン制御の制御値が視聴可能なレベルであって、かつ、自動ゲイン制御の制御値以外の特定の受信状態情報が視聴可能なレベルではないと判断した場合には、特定のチャンネルが特定の通信機器による妨害を受けていることが、受信不良の原因であると推定することを特徴としたものである。
【0011】
第5の技術手段は、第1〜4のいずれかの技術手段において、受信状態情報が、復調処理時に行う自動ゲイン制御の制御値、ビット誤り率、及び、誤り訂正時に推定したアンテナで受信した電波に対するノイズの比、及び選局対象チャンネルのデジタル放送信号が同調できたか否かを示す同調状態を含むことを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、デジタル放送受信装置でデジタル放送の受信不良が発生した場合にも、受信不良の原因を内部で解析して具体的な解決方法をユーザに提示できるようにしたデジタル放送受信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るデジタル放送受信装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。本発明に係るデジタル放送受信装置は、テレビ装置、レコーダ、STB(Set Top Box)等の様々なAV機器に組み込むことができる。
【0014】
本実施形態に係るデジタル放送受信装置は、アンテナ1に接続されたチューナ部2、復調処理部3、及び受信状態解析部4を備える。チューナ部2、復調処理部3は、それぞれチューナIC(Integrated Circuit)、復調ICとして構成することもできる。また、受信状態解析部4は、図示しないCPU(Central Processing Unit)等からなるメインの制御部の一部として組み込むこともできる。
【0015】
チューナ部2は、アンテナ1から受信したデジタル放送信号を選局する。そのため、チューナ部2は、例えば、プリアンプ20、RF(Radio Frequency)用の帯域通過フィルタ(Band-Pass Filter:BPF)21、RF用の可変利得アンプ(Variable Gain Amplifier:VGA)22、混合器(ミキサ)23、局部発振器(Oscillator:OSC)24、BPF25、IF(Intermediate Frequency)用アンプ26、レベル検波回路27、及び電圧制御アンプ28で構成される。
【0016】
プリアンプ20は、アンテナ1で受信したデジタル放送信号を増幅し、BPF21へ出力する。BPF21は、このRF信号に対し所定の周波数帯域のみを通過させ、VGA22へ出力する。VGA22は、この帯域通過したRF信号の利得を可変増幅し、ミキサ23に出力する。ミキサ23は、VGA22から出力されたRF信号に対しOSC24から発振された周波数を混合し、RF信号をIF信号に変換する。OSC24は、ユーザ操作等のチャンネル選局に応じて図示しない制御部から出力される選局制御信号を受信し、その選局制御信号に応じた周波数(選局チャンネルの周波数)にロックし、ロックした周波数を発振する。これにより、ミキサ23は、VGA22から出力されたRF信号を、選局制御信号に応じた周波数のIF信号に変換できる。
【0017】
BPF25は、BPF21より狭帯域を通過させるフィルタであり、ミキサ23から出力されたIF信号を帯域通過させる。BPF25で通過させる帯域はOSC24の発振周波数を中心として予め定められた範囲とし、これによりBPF25から出力されるIF信号は選局制御信号に応じた周波数が含まれることにとなる。IF用アンプ26は、BPF25から出力されたIF信号を増幅し、復調処理部3へ出力すると共に、レベル検波回路27へ出力する。レベル検波回路27は、IF用アンプ26で増幅後のIF信号の信号レベルを検波し、電圧制御アンプ28に出力する。電圧制御アンプ28は、レベル検波回路27から出力された信号レベルに応じて電圧を制御し、その電圧をVGA22に供給する。VGA22はこの電圧によりRF信号の利得を増幅する。
【0018】
復調処理部3は、チューナ部2で選局され出力されたデジタル放送信号に対し、復調処理を施す。そのため、復調処理部3は、例えば、IF用の自動ゲイン制御(Automatic Gain Control:AGC)回路、アナログ/デジタル変換器(A/D)32、復調回路33、前方誤り訂正回路(Forward Error Correction:FEC)34で構成される。IF用のAGC回路は、IF用AGC35とIF用アンプ31とにより構成できる。
【0019】
IF用AGC35は、IF用アンプ31に対して復調回路33での復調結果の利得をフィードバックさせる制御回路であり、チューナ部2から受信するIF信号の増幅率を復調結果の利得が一定になるように決定し、決定した増幅率をIF用アンプ31に設定する。IF用アンプ31は、IF用AGC35により設定された増幅率でIF信号を増幅し、A/D32へ出力する。A/D32は、IF用アンプ31から出力されたIF信号をデジタル信号に変換し、復調回路33に出力する。
【0020】
復調回路33は、入力されたデジタル信号を、放送局での変調方式に応じた復調方式で復調する。例えば地上デジタル放送の場合には、基本的にQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)、及び64QAMの3種類の変調方式で搬送波(キャリア)が変調され、逆フーリエ変換を含むOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)方式で変調され伝送されている。従って、復調回路33ではこれに対応したOFDM復調処理が施される。また、復調回路33に入力されるデジタル信号は、受信電波の強弱があってもIF用AGC35及びIF用アンプ31より一定に制御されている。FEC34は、復調後のデジタル信号に対して前方誤り訂正を施し、訂正しきれないデジタル信号を除き、図示しない後段の回路へ出力する。
【0021】
このようにして出力された復調後のデジタル信号は、図示しない構成により、映像信号、音声信号、及び制御信号に分離後、復号される。復号された映像信号は、各種映像信号処理が施され、OSD(On Screen Display)画像が重畳された後、表示部で出力される。OSD画像は、ユーザ操作があったときなど必要に応じて生成され、重畳される。また、復号された音声信号は、各種音声信号処理が施された後、スピーカに出力される。
【0022】
受信状態解析部4は、復調処理部3から選局対象チャンネルの受信状態情報を取得する受信状態情報取得手段41と、受信状態情報取得手段41が取得した受信状態情報を用いて、チャンネルごとの周波数特性に応じた受信状態を解析する周波数特性解析手段42と、チャンネルごとの周波数に応じた受信状態を記憶させておく記憶手段43とを有している。
【0023】
受信状態情報取得手段41は、復調処理部3からAGCの増幅率、C/N(Carrier to Noise ratio)、ビット誤り率(Bit Error Rate:BER)を取得する。
AGCの増幅率は、AGC35から取得できる情報で、AGC35がアンプ31の自動ゲイン制御を行う際の制御値であり、具体的にはAGC35がアンプ31に対して設定する増幅率を指す。AGC35は、その増幅率を要求に応じて受信状態情報取得手段41に出力する。AGCの増幅率を以下単にAGCとして説明する。
【0024】
C/Nは、復調回路33から取得される。また、FEC34からC/Nを取得する構成であってもよい。ここではFEC34がC/Nを推定し、その推定結果を必要に応じて内部メモリに記憶しておき、自発的に又は要求に応じて受信状態情報取得手段41へ出力する。C/Nは、例えば、復調回路33での復調処理時にフーリエ変換結果を複素平面の座標軸に逆マッピングしたとき、逆マッピングされた位置のずれから推定できる。
また、BERは、FEC34により生成され、受信状態情報取得手段41で取得される。
【0025】
この他、受信状態情報取得手段41では、復調処理時の同調状態情報を取得する。例えば、復調回路33において、フレーム同期やビット同期等の各種同期をとったときに、その同期がとれているか否かを示す情報を同調状態として、要求に応じて受信状態情報取得手段41に出力する。同調状態が同期無し(Unlock)である場合にはC/Nは算出不可能となる。記憶手段43は、不揮発性メモリ等でなり、受信状態情報取得手段41で取得したチャンネル毎の受信状態情報を記憶する。
【0026】
デジタル放送受信装置は、受信状態情報取得手段41によって取得した受信状態情報に基づいて周波数特性解析手段42が受信不良の原因を推定し、その推定結果に応じて予め定められた対策情報を出力する出力手段を有している。対策情報は、ユーザに対して受信不良の推定結果とその対策を提示するものであり、デジタル放送受信機に内蔵された、もしくはデジタル放送受信機に外部接続された表示部に表示させる情報である。受信状態の推定結果に応じた対策情報は、予め記憶手段43に記憶させておき、周波数特性解析手段42が受信不良の原因を推定したときに、それに応じてユーザに提示すべき対策情報を記憶手段43から抽出し、表示部に対して出力する。この対策情報を出力する構成が本発明の出力手段に相当する。
【0027】
(実施例1)
本発明に係る実施例では、上記のごとくの受信装置において、デジタル放送の受信状態を解析して受信不良の原因を推定し、ユーザに対して受信不良の対策情報を提示するために、BS、CSの各チャンネルを順に選局してこのときの受信状態を取得し、解析を行うようにする。本例ではデジタル放送受信装置は、BS、CSの各チャンネル(BS1ch、BS3ch、BS13ch、BS15ch、CS2ch、CS4ch、・・・・・CS24ch)を順に選局していき、それぞれのチャンネルにおける受信状態を受信状態情報取得手段41により取得する。そして、周波数特性解析手段42は、受信状態情報取得手段41が取得した受信状態情報を解析して、受信設備がBSとCSの両方に対応したものか、もしくはBSのみに対応し、CSには対応していないものかを推定し、その対策情報を表示部に出力して提示させるようにする。
【0028】
図2は、本実施例で選局するBS,CSのチャンネルを示すものである。このように、本実施例のデジタル放送受信装置は、現在サービスが提供されているBSチャンネルとCSチャンネルの全てを順に選局し、その受信状態を解析してアンテナを含む受信設備の推定を行う。図2は、BSとCSでサービス提供されているチャンネルを示しているが、サービスが提供されるチャンネルが増えれば、それに応じて選局チャンネルを増やすようにすればよい。また、本実施例の目的は、BSに対応し、CSに対応していない受信設備を推定することにあるため、全てのチャンネルを順に選局することなく、予め所定の数のチャンネルを順に選局して受信状態情報を取得するようにしてもよい。
【0029】
図3は、本発明の第1の実施例による受信装置の処理例を説明するためのフローチャートである。受信装置では、Nを1に設定(初期化)する(ステップS1)。N=1の場合は、図2のチャンネル表からBS1チャンネルが選択される。そして、チューナ部2に周波数(Fn)を設定する(ステップS2)。ここではN=1であるため、BS1チャンネルの中間周波数である1.04948GHzがチューナ部2に設定される。
【0030】
そして、受信状態情報取得手段41は、選局されたBS1チャンネルの受信状態情報(Sn)を取得する(ステップS3)。受信状態情報取得手段41は、受信状態情報(Sn)として、上記のようにAGC、C/N、BERを取得し、また、同期状態情報も取得する。
周波数特性解析手段42は、受信状態情報取得手段41により取得された受信状態情報を使用して、現在のBS1チャンネルが視聴可能かどうかを判断する(ステップS4)。視聴可能かどうかの判断は、受信状態情報であるAGC、C/N、BERのいずれかを使用して、所定の閾値と比較することにより判断する。また、このときにこれら受信状態情報の複数をそれぞれ所定の閾値と比較して判断してもよい。また、同期状態情報により同期がとれない場合には、視聴不可能と判断する。
【0031】
ここで視聴不可能であれば、BSに対応してなく、すなわちCSにも対応していないため、判定処理を終了する。また、視聴可能であると判断された場合、N<4であれば(ステップS5−YES)、N=N+1とし(ステップS6)、ステップS2に戻ってN=N+1nの周波数(Fn)をチューナ部2に設定する。この場合、N=2になるため、図2のチャンネル表より、BS3チャンネルが選択され、その中間周波数1.08784GHzがチューナ部2に設定される。
【0032】
このようにして、BSのチャンネルについて順次選局して受信状態情報を取得していく。ここで1つでもBSチャンネルの視聴が不可能であれば(ステップS4−NO)、BSの受信には対応していない受信設備であると推定される。
図2の表に記載されたBSの4つのチャンネルについて受信情報報を解析し、視聴が可能であることが判断された場合には、ステップS5でN=4になり、ステップS7に進む。ステップS5の判定は、図2のように予め設定したBSのチャンネル数4に対応するものであり、受信状態を判定するBSチャンネルの数が増減した場合には、それに応じてステップS5の判定も変化する。
【0033】
ステップS7では、Sa=Snとおく(ステップS7)。これは本例の説明を分かりやすくするための処理である。そして、N=N+1とし(ステップS8)、そのN=N+1の周波数(Fn)をチューナ部2に設定する(ステップS9)。ここではN=5であるため、CS2チャンネルの中間周波数である1.613GHzがチューナ部2に設定される。
【0034】
そして、受信状態情報取得手段41により、選局されたCS2チャンネルの受信状態情報(Sn)を取得する。受信状態情報(Sn)は、上記のようにAGC、C/N、BER、及び同期状態情報である。
ここでSb=Snとおく(ステップS11)。これも本例の説明を分かりやすくするための処理である。ここで周波数特性解析手段42は、Sa≧Sbであるかどうかを判断する(ステップS12)。ここでの受信状態情報は、AGC、C/N、BERのいずれかとすることができ、この場合SaとSbの比較は、それぞれの受信状態情報について、Saの受信状態の方がSbに比して良好もしくは同等である場合に、Sa≧Sbであると判断する。また上記の受信状態情報の複数を用いて判定する場合にも、それぞれの受信状態情報についてSbに比してSaの方が良好もしくは同等である場合に、Sa≧Sbであると判断する。また同期状態情報により、Sbで同期がとれない場合には、当然にSa≧Sbとなる。
【0035】
上記の判断で、Sa≧Sbではない場合(ステップS12−No)、つまり、前回の選局チャンネルの受信状態情報Saよりも、今回の選局チャンネルの受信状態情報Sbの受信状態の方が良好である場合には、受信設備はCSに対応していると判断され、この処理を終了する。
一方、Sa≧Sbの場合(ステップS12−Yes)、つまり、前回の選局チャンネルの受信状態情報Saの方が、今回の選局チャンネルの受信状態情報Sbよりも、その受信状態が同等または良好であると判断された場合で、N<16の場合には(ステップS13−Yes)、Sa=Sbとし(ステップS14)、ステップS8に戻ってN=N+1として次のCSチャンネルの受信状態を解析する。ステップS13の判定は、図2のように予め設定した全てのチャンネル数16に対応するものであり、受信状態を判定するBSやCSのチャンネルの数が増減した場合には、それに応じてステップS13の判定も変化する。
【0036】
こうしてすべてのCSチャンネルについて、受信状態情報の解析を行い、1つでもSa≧Sbではない場合、つまり前回の選局チャンネルの受信状態情報Saよりも、今回の選局チャンネルの受信状態情報Sbの方が、その受信状態が良好である場合には、受信設備はCSに対応していると判断され、この処理を終了する。
また、すべてのCSチャンネルについて、Sa≧Sbとなった場合、つまり前回の選局チャンネルの受信状態情報Saの方が、今回の選局チャンネルの受信状態情報Sbよりも、その受信状態が同等または良好である場合には、受信設備はCSに対応していないものと判断される。
【0037】
この場合にはステップS13でNoと判定され、受信状態が状態Aと判定される(ステップS15)。状態Aとは、受信設備がBSに対応しているが、CSには対応していない状態を指す。状態Aと判定した場合には、受信不良の対策情報を表示部に出力して提示させる。
【0038】
なお、上記の例では、CSの判定において、全てのCSチャンネルにおいてSa≧Sbとなる場合に受信設備に対応していないものと判断するが、所定の範囲でSbの方がSaより大きいとき(つまり前回の受信状態よりも今回の受信状態の方が良好であるとき)があったとしても、CSに対応していなものと判断できるようにしてもよい。例えば、ステップS12の判定で、Sa+a≧Sb(aは所定の定数)とし、Sbの方がSaよりも所定範囲で大きくなったときにも、CSの受信状態解析処理を続行できるようにする。この場合、Sa<Sbとなったときの許容回数(例えば1回)を予め定めておき、許容回数を越えてSa+a≧Sb(Sa<Sb)と判定されたときには、CSの状態判定処理を終了し、受信設備がCSに対応している受信設備であるものと判定できるようにする。
【0039】
図4は、周波数特性解析手段により解析された受信状態情報の一例を示す図である。周波数特定解析手段42では、受信状態情報取得手段41から取得した受信状態情報を用いて図4に示すような受信状態テーブルを生成し、記憶手段43に保持させる。この受信状態テーブルでは、N値、BS/CSのチャンネル、中間周波数、AGCの増幅率(単にAGCとする)、C/N、BERとの関係がテーブルとして記憶される。
【0040】
図4の例は、受信設備がBSに対応しているがCSに対応していないときの受信状態情報の一例を示している。AGCは、増幅率が大きくなるほど受信電力が弱いことを示すため、CSが対応していない受信設備の場合には、CSの周波数が高くなるほどAGCの値が大きくなっていく。この場合、BSのAGCは一定の値が得られている。
【0041】
また、C/N(db)は、BSでは12.5db以上のレベルが得られているが、CSでは周波数が高くなるに従って7.5dbから1.8dbに徐々に低下している。
さらに、BERについては、BSでは0であり、CSでは、周波数が高くなるに従って1.2×10−4から徐々に大きくなっていき、CS20ch以降では計測不可となっている。BERは2×10−4程度を境にして、それより大きくなると画面のブロックノイズが目立つようになってくる。
【0042】
周波数特性解析手段42では、BS及びCSの各チャンネルの受信状態を順次取得し、図4に示すような受信状態テーブルを作成して記憶手段43に記憶させ、受信設備がBS及びCSに対応しているか、あるいはBSのみ対応しているか、BS・CSには全く対応していないかを判断する。このときに、上記のフローチャートに示す処理を行うことにより、チャンネルを順次選局している途中の段階で、BS,CSへの対応が判断できれば、その時点で解析処理を終了して、受信不良の対策情報を表示部に出力して提示させる処理を行うようにすることができる。
【0043】
図5は、チャンネルの周波数と受信信号品質の関係の一例を説明するための図で、受信設備がBSに対応しているが、CSに対応していないときの受信信号品質の特性を示している。
チャンネルの周波数は、BS1cnからCS24chに向かって高くなっていく。このとき、BSに対応しているが、CSに対応していない受信設備では、受信信号品質がBSのチャンネル周波数からCSのチャンネル周波数に以降した後から、右肩下がりに徐々に低くなっていく。
【0044】
受信信号品質とは、上記のAGC,C/N,BERのいずれかの受信状態情報による受信状態の程度を示すものである。例えばAGCの場合には、受信状態が悪くなるとその値が徐々に増大していくが、このときの受信信号品質は徐々に低下していく。またC/Nでは受信状態が悪くなると、C/N(db)の値が徐々に小さくなっていく。このときに受信信号品質は徐々に低下していく。同様に、BERの場合には、受信状態が悪くなると、その値が増大していき、最終的には計測不可になる。このときに受信信号品質は徐々に低下していく。
このように、受信状態の程度を表す受信信号品質がCSの周波数領域で徐々に低下していく場合には、受信設備がCSに対応していないものと判断することができる。
【0045】
(実施例2)
本発明に係る第2の実施例では、上記のごとくの受信装置において、デジタル放送の受信状態を解析して受信不良の原因を推定し、その対策情報をユーザに対して提示するために、BS、CSのそれぞれ特定の1つのチャンネルを選局してこのときの受信状態を取得し、解析を行うようにする。
【0046】
本例では、受信装置では、BSの所定のチャンネル(例えば15チャンネル)と、CSの所定のチャンネル(例えば24チャンネル)とを順番に選局し、それぞれのチャンネルにおける受信状態を受信状態情報取得手段41により取得する。そして、周波数特性解析手段42は、受信状態情報取得手段41が取得した受信状態情報を解析して、受信設備がBSとCSの両方に対応したものか、もしくはBSのみに対応し、CSには対応していないものかを推定し、受信不良の対策情報を表示部に出力して提示させるようにする。
【0047】
BS,CSの所定のチャンネルは、適宜予め定めることができる。この例では、現在サービス提供されている最も高い周波数のBSチャンネルであるBS15チャンネルと、現在サービス提供されている最も周波数の高いCSチャンネルであるCS24チャンネルを設定している。受信設備がBSに対応し、CSに対応していない場合には、CSの周波数領域において、周波数が高くなるに従って受信品質が低下する。従ってCSの最も高い周波数のCS24チャンネルを用いることで、BSの受信品質とのより顕著な差を容易に確認することができる。
【0048】
図6は、本発明の第2の実施例による受信装置の処理例を説明するためのフローチャートである。受信装置では、予め定めたBS15チャンネルとCS24チャンネルとから、まずBS15チャンネルをチューナ部2に設定する(ステップS21)。ここでは、BS15チャンネルの中間周波数である1.31800GHzがチューナ部2に設定される。
【0049】
そして、受信状態情報取得手段41は、選局されたBS1チャンネルの受信状態情報(Sa)を取得する(ステップS22)。受信状態情報取得手段41は、受信状態情報(Sa)として上記のようにAGC、C/N、BERを取得し、また、同期状態情報も取得する。
周波数特性解析手段42は、受信状態情報取得手段41により取得された受信状態情報を使用して、現在のBS15チャンネルの受信状態情報Saが視聴可能な状態であるかどうかを判断する(ステップS23)。視聴可能かどうかの判断は、受信状態情報であるAGC、C/N、BERのいずれかを使用して、所定の閾値と比較することにより判断する。また、このときにこれら受信状態情報の複数をそれぞれ所定の閾値と比較して判断してもよい。また、同期状態情報により同期がとれない場合には、視聴不可能と判断する。
【0050】
ここで視聴不可能であれば、受信設備はBSに対応してなく、すなわちCSにも対応していないため、判定処理を終了する。また、視聴可能であると判断された場合、次に予め定めたCS24チャンネルをチューナ部2に設定する(ステップS24)。ここでは、CS24チャンネルの中間周波数である2.053GHzがチューナ部2に設定される。
【0051】
そして、受信状態情報取得手段41により、選局されたCS2チャンネルの受信状態情報(Sb)を取得する。受信状態情報(Sb)は、AGC、C/N、BER、及び同期状態情報である。
周波数特性解析手段42は、受信状態情報SaとSbとを比較し、Sa>Sbかどうかを判断する(ステップS26)。つまりCS24チャンネルの受信状態情報Sbよりも、BS15チャンネルの受信状態情報Saの方が、その受信状態が良好であるかどうかを判断する。受信状態情報は、AGC、C/N、BERのいずれかとすることができ、この場合SaとSbの比較は、それぞれの受信状態情報について、Saの受信状態の方がSbよりも良好である場合に、Sa>Sbであると判断する。また上記の受信状態情報の複数を用いて判定する場合にも、それぞれの受信状態情報についてSbよりもSaの方が良好である場合に、Sa>Sbであると判断する。また同期状態情報により、Sbで同期がとれない場合には、当然にSa>Sbとなる。
【0052】
上記の判断で、Sa>Sbではない場合(ステップS12−No)、つまり、CS23チャンネルの受信状態情報Sbの方が、BS15チャンネルの受信状態情報Saよりも良好もしくは同等である場合には、受信設備はCSに対応していると判断され、この処理を終了する。
Sa>Sbの場合(ステップS12−Yes)には、周波数特性解析手段42は、受信状態情報取得手段41により取得された受信状態情報を使用して、現在のCS24チャンネルの受信状態情報Sbが視聴可能な状態であるかどうかを判断する(ステップS27)。視聴可能かどうかの判断は、上記Saの場合と同様である。
【0053】
sbが視聴可能な状態であれば(ステップS27−Yes)、受信設備はBSとCSの両方に対応しているため、処理を終了する。
一方、Sbが受信可能な状態でなければ(ステップS27−No)、受信状態が状態Aと判定される。状態Aとは、受信設備がBSに対応しているが、CSには対応していない状態を指す。状態Aと判定した場合には、受信不良の対策情報を表示部に出力して提示させる。
【0054】
(実施例3)
本発明に係る第3の実施例では、上記のごとくの受信装置において、BS、CSの特定のチャンネルを選局してこのときの受信状態を取得し、PHS(Personal Handy-phone System)や携帯電話の使用周波数に相当するチャンネルの受信状態を解析してPHSや携帯電話による妨害の状況を推定する。
本例では、受信装置では、BS、CSの各チャンネルを順に選局してこのときの受信状態を取得し、解析を行うようにする。周波数特性解析手段42は、受信状態情報取得手段41が取得した受信状態情報を解析して、PHSや携帯電話による妨害状態を推定し、受信不良の対策情報を表示部に出力して提示させるようにする。
【0055】
図7は、周波数特性解析手段により解析された受信状態情報の一例を示す図である。周波数特定解析手段43では、受信状態情報取得手段41から取得した受信状態情報を用いて図7に示すような受信状態テーブルを生成し、記憶手段43に保持させる。
この受信状態テーブルでは、N値、BS/CSのチャンネル、中間周波数、AGCの増幅率(単にAGCとする)、BERとの関係がテーブルとして記憶される。
【0056】
受信装置がPHSないし携帯電話による妨害を受ける場合、それらの使用周波数帯域に相当する周波数のチャンネルが主に妨害を受ける。例えばPHSを使用する場合には、使用周波数帯域は、1893〜1915MHzであり、CS16チャンネル(中間周波数1893MHz)が妨害を受ける。またFOMA(NTTドコモ社によるサービス名)方式の携帯電話では、使用周波数帯域は1942〜1977MHzであり、CS18チャンネル(中間周波数1933MHz)およびCS20チャンネル(中間周波数1973MHz)が妨害を受ける。さらにDS−CDMA(Direct Spread Code Division Multiple Access)方式の携帯電話では、使用周波数帯域は1967〜1977MHzであり、CS20チャンネル(中間周波数1943MHz)が妨害を受ける。
【0057】
図7の例は、PHSによる妨害を受けているときの受信状態情報を示している。ここでは、BERの値がCS16チャンネルについてのみ劣化し、ブロックノイズが発生するレベルになっている。また、このときにCS16チャンネルのAGCは、他チャンネルに比して特別の劣化はなく、受信電力は他のチャンネルと同等レベルにあることがわかる。つまり受信電力に問題がないにもかかわらず、BERが劣化してブロックノイズが発生している状態であり、そのCS16チャンネルの中間周波数に相当するPHSによる妨害があるものと推定できる。携帯電話(FOMA,DS−CDMA)においても同様の現象が発生することが考えられる。
【0058】
図8は、本発明の第3の実施例による受信装置の処理例を説明するためのフローチャートである。受信装置では、Nを1に設定(初期化)する(ステップS31)。そして、用意された妨害検出フラグをOFFにする(初期化する)(ステップS32)。次にN=1の場合は、図7のチャンネル表からBS1チャンネルを選択し、チューナ部2に周波数(Fn)を設定する(ステップS33)。ここでは、BS1チャンネルの中間周波数である1.04948GHzをチューナ部2に設定する。
【0059】
そして、受信状態情報取得手段41は、選局されたBS1チャンネルの受信状態情報(Sn)を取得する(ステップS34)。受信状態情報取得手段41が取得する受信状態情報(Sn)としては、上記のようにAGC、C/N、BERを取得し、また、同期状態情報も取得する。周波数特性解析手段42は、受信状態情報取得手段41により取得された受信状態情報を使用して、現在のBS1チャンネルが視聴可能かどうかを判断する(ステップS35)。視聴可能かどうかの判断は、受信状態情報であるAGC、C/N、BERのいずれかを使用して、所定の閾値と比較することにより判断する。また、このときにこれら受信状態情報の複数をそれぞれ所定の閾値と比較して判断してもよい。また、同期状態情報により同期がとれない場合には、受信不可能と判断する。
【0060】
ここで視聴不可能であれば、受信設備がBSに対応してなく、すなわちCSにも対応していないため、判定処理を終了する。また、視聴可能であると判断された場合、N<11であれば(ステップS36−YES)、N=N+1とし(ステップS37)、ステップS33に戻ってN=N+1nの周波数(Fn)をチューナ部2に設定する。この場合、N=2になるため、図2のチャンネル表より、BS3チャンネルが選択され、その中間周波数1.08784GHzがチューナ部2に設定される。
【0061】
このようにして、チャンネルを順次選局して受信状態情報を取得していく。この場合、Nは1〜11まで受信状態情報の取得を行う。上述のように、PHSと携帯電話の使用周波数に相当するチャンネルは、CS16チャンネル、CS18チャンネル、CS20チャンネルで、これらのN=12,13,14である。従って、N=1〜11のチャンネル(BS1チャンネルからCS12チャンネル)については、それぞれ受信状態情報(Sn)を取得して受信可能かどうかを判断し、N=11まで受信可能であれば(ステップS36−NO)、ステップS38に進む。
【0062】
ステップS38では、N=N+1とし、そのN=N+1の周波数(Fn)をチューナ部2に設定する(ステップS39)。ここではN=12であるため、CS16チャンネルの中間周波数である1.893GHzがチューナ部2に設定される。
【0063】
そして、受信状態情報取得手段41は、選局されたCS16チャンネルの受信状態情報(Sn)を取得する。受信状態情報取得手段41により取得する受信状態情報(Sn)は、上記のようにAGC、C/N、BER、及び同期状態情報である。そして、CS16チャンネルの受信状態情報により受信劣化(受信状態が劣化)しているかどうかを判別する(ステップS41)。この例では、受信劣化しているか否かは、BERが所定の閾値より大きいかどうかにより判断する。
【0064】
CS16チャンネルで受信劣化しているものと判断した場合、AGC<閾値であるかどうかを判別する(ステップS42)。つまり、AGCが所定の閾値より低い、すなわち受信電力が十分にあるかどうかを判別する。AGC<閾値の場合には、受信電力が十分であるにもかかわらず、そのチャンネルに受信劣化が生じていることになり、その周波数帯域に対する妨害であると推定される。ここで妨害検出フラグをONにする(ステップS43)。
【0065】
ステップS41で受信劣化が判断されなかった場合、及びステップS42でAGC<閾値ではなかった場合には、特定チャンネルにのみ妨害が生じていないものとして妨害チャンネルフラグをONにすることなく、ステップS44に進む。
【0066】
ステップS44では、N<14であるかどうかを判別する。N<14であれば、ステップS38に戻り、N=N+1として受信劣化とAGCレベルを判断する。N=11,12,13は、PHS及び携帯電話の使用周波数に相当するチャンネルであるため、これら3つのチャンネルについて受信劣化とAGCとを判断し、妨害が生じているかどうかを判断する。
【0067】
ステップS14で、N<14ではない場合、つまりN=14のCS20チャンネルの受信状態が判定された場合には、ステップS45に進みN=N+1とし、そのN=N+1の周波数(Fn)をチューナ部2に設定する(ステップS46)。ここではN=15であるため、CS22チャンネルの中間周波数である2.013GHzがチューナ部2に設定される。
【0068】
そして、受信状態情報取得手段41により、選局されたCS22チャンネルの受信状態情報(Sn)を取得する。受信状態情報(Sn)は、上記のようにAGC、C/N、BER、及び同期状態情報である。そして、周波数特性解析手段42は、受信状態情報取得手段41により取得された受信状態情報を使用して、現在のCS22チャンネルが視聴可能かどうかを判断する(ステップS35)。視聴可能かどうかの判断は、受信状態情報であるAGC、C/N、BERのいずれかを使用して、所定の閾値と比較することにより判断する。また、このときにこれら受信状態情報の複数をそれぞれ所定の閾値と比較して判断してもよい。また、同期状態情報により同期がとれない場合には、視聴不可能と判断する。
【0069】
ここで視聴可能であれば、N<16かどうかを判別し(ステップS49)、N<16であれば、ステップS45に戻ってN=N+1とし、次のチャンネル(現在がCS22であれば、次のCS24チャンネル)の受信状態を解析する。
ステップS48で視聴可能ではないと判断した場合には、処理を終了する。また、ステップS49でN<16でなければ、つまりN=16のCS24チャンネルまで受信状態の解析が終了していれば、ここで妨害検出フラグがONになっているかどうかを判別する(ステップS50)。妨害検出フラグがONなっている場合には、状態Bであると判断する。状態Bとは、PHS、携帯電話による妨害の可能性がある状態である。状態Bであると判断した場合には、受信不良の対策情報を表示部に出力して提示させる。また、妨害検出フラグがONになっていなければ、処理を終了する。
【0070】
図9は、受信状態の解析結果に基づく対策情報の提示例を説明する図である。
例えば、上記実施例1または実施例2の処理によって、デジタル放送受信装置に適用されているアンテナ等の受信設備がCSに対応していないものと判断した場合、デジタル放送受信装置では、内蔵もしくは外部接続された表示部に対して図9のような対策情報を出する。この例では、表示部には、「視聴環境がCS放送の受信に対応していない可能性があります。アンテナの受信帯域をご確認下さい。」との表示を行い、ユーザに対してCS放送の受信不良の対策情報を提示するようにしている。
【0071】
また、デジタル放送受信装置は、実施例3でPHSや携帯電話により妨害されて受信不良が発生していると判断した場合には、PHSまたは携帯電話により受信が妨害されている可能性があることを表示部に表示させ、PHSや携帯電話の通信を停止するか、影響のない場所に退避させることを指示するような対策情報を表示させる。このような対策情報の表示により、ユーザは、受信不良の推定原因を知ることができ、また受信不良を改善する対策を実行することができるようになる。
上記のような対策情報は、受信不良の推定結果に応じて適宜任意に定めておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタル放送受信装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施例で選局するBS,CSのチャンネルを示す図である。
【図3】本発明の第1の実施例による受信装置の処理例を説明するためのフローチャートである。
【図4】周波数特性解析手段により解析された受信状態情報の一例を示す図である。
【図5】チャンネルの周波数と受信信号品質の関係の一例を説明するための図である。
【図6】本発明の第2の実施例による受信装置の処理例を説明するためのフローチャートである。
【図7】周波数特性解析手段により解析された受信状態情報の一例を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施例による受信装置の処理例を説明するためのフローチャートである。
【図9】受信状態の解析結果に基づく対策情報の提示例を説明する図である。
【符号の説明】
【0073】
1…アンテナ、2…チューナ部、3…復調処理部、4…受信状態解析部、20…プリアンプ、21…BPF、22…VGA、23…ミキサ、24…OSC、25…BPF、26…IF用アンプ、27…レベル検波回路、28…電圧制御アンプ、31…IF用アンプ、32…A/D、33…復調回路、34…FEC、35…AGC、41…受信状態情報取得手段、42…周波数特性解析手段、43…記憶手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナから受信したデジタル放送信号を選局するチューナ部と、該チューナ部で選局されたデジタル放送信号に対し復調処理を施す復調処理部とを備えたデジタル放送受信装置であって、
前記復調処理部での復調結果から、選局対象チャンネルのデジタル放送信号の受信状態のレベルを判断するための所定の受信状態情報を取得して解析する受信状態解析部と、
該受信状態解析部の解析結果に基づくデジタル放送信号の受信不良の原因の推定結果を出力する出力手段とを備え、
該受信状態解析部は、受信対象となる所定のチャンネルを順次選局し、該選局したチャンネルの前記受信状態情報をそれぞれ取得し、前記チャンネルごとの受信状態情報に基づいてデジタル放送信号の受信不良の原因を推定し、前記出力手段は、該原因を推定した結果に応じて予め定められた対策情報を出力することを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタル放送受信装置において、前記受信状態解析部は、BSデジタル放送のチャンネルと、CSデジタル放送のチャンネルとを前記受信対象となるチャンネルとして順次選局し、視聴可能なレベルを予め定めた閾値と前記受信状態情報とを比較することにより、各チャンネルのデジタル放送が視聴可能であるか否かを判断し、前記BSデジタル放送のチャンネルが全て視聴可能であり、かつ前記CSデジタル放送のチャンネルの周波数が高くなるに従って、前記受信状態情報に示される受信状態のレベルが低下していく場合には、前記アンテナが対応しているデジタル放送の種別がBSデジタル放送のみであることが、前記受信不良の原因であることを推定することを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項3】
請求項1に記載のデジタル放送受信装置において、前記受信状態解析部は、BSデジタル放送の所定の1チャンネルと、CSデジタル放送の所定の1チャンネルとを前記受信対象となるチャンネルとして順次選局し、視聴可能なレベルを予め定めた閾値と前記受信状態情報とを比較することにより、各チャンネルのデジタル放送が視聴可能であるか否かを判断し、前記BSデジタル放送のチャンネルが視聴可能であり、かつ前記CSデジタル放送のチャンネルが視聴可能ではないと判断した場合には、前記アンテナが対応しているデジタル放送の種別はBSデジタル放送のみであることが、前記受信不良の原因であると推定することを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項4】
請求項1〜3に記載のデジタル放送受信装置において、前記受信状態情報として、前記受信状態情報は、前記復調処理時に前記復調処理時に行う自動ゲイン制御の制御値を含み、前記受信状態解析部は、BSデジタル放送のチャンネルと、CSデジタル放送のチャンネルとを前記受信対象となるチャンネルとして順次選局し、視聴可能なレベルを予め定めた閾値と前記受信状態情報とを比較することにより、各チャンネルのデジタル放送が視聴可能であるか否かを判断し、前記順次選局したチャンネルのうち、特定のチャンネルについてのみ、前記自動ゲイン制御の制御値が視聴可能なレベルであって、かつ、前記自動ゲイン制御の制御値以外の特定の受信状態情報が視聴可能なレベルではないと判断した場合には、前記特定のチャンネルが特定の通信機器による妨害を受けていることが、前記受信不良の原因であると推定することを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1に記載のデジタル放送受信装置において、前記受信状態情報は、前記復調処理時に行う自動ゲイン制御の制御値、ビット誤り率、及び、誤り訂正時に推定した前記アンテナで受信した電波に対するノイズの比、及び前記選局対象チャンネルのデジタル放送信号が同調できたか否かを示す同調状態を含むことを特徴とするデジタル放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−130179(P2010−130179A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300994(P2008−300994)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】