説明

デジタル放送受信装置

【課題】蓄積型放送による蓄積を継続しつつ、リアルタイム型放送の視聴をユーザが行うことが可能なデジタル放送受信装置を提供する。
【解決手段】本発明のデジタル放送受信装置は、放送受信部と、放送波の識別情報と放送波の周波数帯域とを関連付けた関連情報を記録する記録部とを備えている。また、選局された放送波の周波数帯域を関連情報により判別して放送受信部を制御する受信制御部を備える。また、分割送信されて受信側で記録媒体に記録された後に結合されて生成されるデータである蓄積型データを、放送波に含まれるデータを記録及び結合することにより生成して記録部に記録する蓄積処理部を備える。また、蓄積型データの生成が開始された場合に、蓄積型データの生成に用いられる放送波と同一の周波数帯域の放送波より、蓄積型データを除く画像/音声データを抽出して再生する再生制御部を備える

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送波を受信するデジタル放送受信装置に関するものであり、特に、放送波に含まれる分割データが所定条件を満たして蓄積された段階でデータ処理可能となる蓄積型放送の受信機能を備えた、移動体用のデジタル放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル放送の普及が進められている。例えば日本においては、一部の地域を除き、地上アナログ放送が2011年に放送終了され、地上デジタル放送への移行が行われた。これに伴い、カーナビや携帯電話等に搭載される移動体用のデジタル放送受信装置も、広く開発が行われている。
【0003】
デジタル放送の中には、受信して即座に視聴や字幕・データ放送の表示等のデータ処理可能なリアルタイム型放送(例えば地上デジタル放送)の他に、放送波で送られてくる分割データを受信機に一旦記録し(以下、「蓄積」という)、分割データが所定条件を満たして蓄積された段階で再生等のデータ処理が可能となる蓄積型放送がある。
【0004】
蓄積型放送を含むデジタル放送としては、例えば、日本の総務省が中心となって実現化が進められているV−Highマルチメディア放送やV−Lowマルチメディア放送が存在する。蓄積型放送では、分割データとしてTS(transport stream)ファイル等を伝送することが検討されている。
【0005】
デジタル放送では、一つの放送局につき複数のサービス(service_id)を定義することが可能であり、一つのサービスにつき同時に放送可能な番組(event_id)は一つのみである。言い換えると、サービスの数だけ同時に複数の番組放送を行える。
【0006】
例えば地上デジタル放送では、一つの放送局につき二〜五サービスを使用しているケースが多い。ただし、複数のサービスで同一番組を放送することが多いため、多くの場合は一つの放送局につき一番組、または二番組のみの放送を行う運用になっている。
【0007】
このため地上デジタル放送の予約録画では、録画日時になったら録画する番組(=コンテンツ)を受信機が選局して録画し、ユーザは録画番組と同一の番組を視聴するという一般的な形態である。もしユーザが録画番組と異なる番組を視聴したい場合、例えば二つ以上のチューナを受信機に搭載させ、録画用に動作するチューナと視聴用に動作するチューナとに役割を分担させる。
【0008】
上記に関連して特許文献1においては、録画番組と視聴番組とが一致するか否かを判定し、録画番組を録画中に同録画番組の視聴をユーザが開始した場合に、録画の停止を自動的に行う録画装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−228085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これに対してマルチメディア放送では、一つの周波数帯域に複数のソフト事業者が混在して放送が行われる。つまり、一周波数帯域で複数の番組を視聴可能という運用が一般的になると想定される。このため、リアルタイム型放送と蓄積型放送とを一周波数帯域内に混在させる運用形態が想定される。
【0011】
このように混在している場合、複数のチューナを備えていなくとも、一周波数帯域内の複数の番組について、ユーザは蓄積(録画を含むデータ記録)と視聴とを同時に行うことが可能である。ただし混在する場合、蓄積データの伝送に使用できる帯域は、混在しない場合と比較して限られたものとなる。
【0012】
例えばV−Lowマルチメディア放送では、一セグメント内に蓄積型放送としてVGA(Video Graphics Array)の動画を伝送する運用が検討されている。しかし限られた帯域で、動画情報のような大容量コンテンツを送出した場合、蓄積が完了するまでに長い時間かかることが想定される。
【0013】
このため、蓄積型放送対応の受信機には、テレビのラテ欄のようなコンテンツ蓄積予約用の一覧画面等から蓄積を予約し、蓄積日時になったら蓄積を開始するといった機能が搭載されると推定される。蓄積予約からの蓄積実行を従来技術に当てはめると、蓄積日時になったら予約していた番組を選局し、蓄積を開始することになる。
【0014】
ただしこの場合でも、蓄積開始から蓄積完了までには数分から数時間がかかるため、蓄積と蓄積型データの再生とを並行して行うことは難しい。仮にできたとしても、蓄積済みのデータを繰り返し再生することしかできない。このため蓄積処理中において、ユーザの待ち時間が発生するという問題があった。
【0015】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、蓄積型放送を受信する機能を備えたデジタル放送受信装置であって、チューナを一つしか備えていない構成であっても、蓄積型放送による蓄積を継続しつつ、リアルタイム型放送の視聴をユーザが行うことが可能なデジタル放送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明のデジタル放送受信装置は、放送波の受信及び選局を行う放送受信部と、放送波の識別情報と該放送波を受信するための周波数帯域とを関連付けた関連情報を記録した記録部と、選局指示を受け付け、選局指示された放送波を受信するための周波数帯域を前記関連情報により判別し、判別した前記周波数帯域による選局及び受信を行うよう前記放送受信部を制御する受信制御部と、分割送信されて受信側で記録媒体に記録された後に結合されて生成されるデータである蓄積型データを、前記放送受信部により受信された放送波に含まれるデータを記録及び結合することにより生成して前記記録部に記録する蓄積処理部と、前記蓄積処理部により前記蓄積型データの生成が開始された場合に、該蓄積型データの生成に用いられる放送波と同一の周波数帯域の放送波より、該蓄積型データを除く画像/音声データを抽出して再生する再生制御部と、を備えることを特徴とする。
【0017】
この構成によると、本発明のデジタル放送受信装置は、放送波の受信及び選局を行う放送受信部と、放送波の識別情報と周波数帯域とを関連付けた関連情報を記録した記録部とを備える。また、選局指示を受け付け、選局指示された放送波を受信するための周波数帯域を関連情報により判別して選局及び受信を行うよう放送受信部を制御する受信制御部を備える。また、分割送信されて受信側で記録媒体に記録された後に結合されて生成されるデータである蓄積型データを、放送波に含まれるデータを記録及び結合することにより生成して記録部に記録する蓄積処理部を備える。また、蓄積型データの生成が開始された場合に、蓄積型データの生成に用いられる放送波と同一の周波数帯域の放送波より、蓄積型データを除く画像/音声データを抽出して再生する再生制御部を備える
また上記目的を達成するために、前記再生制御部は、前記蓄積型データの生成に用いられる放送波と同一の周波数帯域の放送波より抽出可能な前記画像/音声データのうち、予め受け付けた条件を満たす前記画像/音声データを抽出して再生することを特徴とする。
【0018】
この構成によると、再生制御部は、蓄積型データの再生に用いられている放送波と同一の周波数帯域の放送波より抽出可能な画像/音声データのうち、予め受け付けた条件を満たす画像/音声データのみを抽出して再生する。
【0019】
また上記目的を達成するために、前記再生制御部は、画像/音声データのジャンルを示すジャンル情報を取得し、前記ジャンル情報に基づいて、前記条件を満たす前記画像/音声データを抽出して再生することを特徴とする。
【0020】
この構成によると、再生制御部は、画像/音声データのジャンルを示すジャンル情報を取得し、ジャンル情報に基づいて、画像/音声データが所定条件を満たすか否かを判定する。
【0021】
また上記目的を達成するために、前記再生制御部は、画像/音声データの再生中において、前記デジタル放送受信装置に予め設定された予約設定に基づいて前記蓄積型データの生成が開始され、且つ前記生成の開始に伴う選局動作により前記再生が中断された場合に、該蓄積型データの生成に用いられる放送波と同一の周波数帯域の放送波より、該蓄積型データを除く画像/音声データを抽出して再生することを特徴とする。
【0022】
この構成によると、再生制御部は、画像/音声データの再生中において予約設定に基づいた蓄積型データの生成が開始され、且つこの生成により選局動作がなされて再生が中断された場合に、選局後の周波数帯域より蓄積型データを除く画像/音声データを抽出して再生する。
【0023】
また上記目的を達成するために、前記蓄積処理部は、V−Highマルチメディア放送またはV−Lowマルチメディア放送において実施される蓄積型放送の放送波を用いて前記蓄積型データを生成して前記記録部に記録することを特徴とする。
【0024】
この構成によると、蓄積処理部は、V−Highマルチメディア放送またはV−Lowマルチメディア放送において実施される蓄積型放送の放送波を用いて蓄積型データを生成して記録部に記録する。
【0025】
また上記目的を達成するために、前記受信制御部は、放送波に含まれるNIT(Network Information Table)等のセクション情報、または広域通信網を介して得られる通信情報から、前記関連情報を取得することを特徴とする。
【0026】
この構成によると、受信制御部は、放送波に含まれるNIT等のセクション情報、または広域通信網を介して得られる通信情報から、関連情報を取得する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、蓄積型データの記録処理が開始された場合、特に選局動作を伴う記録処理が開始された場合に、ユーザ操作を必要とすることなく、同一の周波数帯域から即時視聴可能な画像/音声データを抽出して再生する。これによりユーザは、即時視聴ができない蓄積型データの記録が開始されたとしても、記録を継続しつつ、即時視聴可能な画像/音声データ(番組)を視聴することができる。
【0028】
また本発明によれば、予め受け付けたジャンル指定等の条件に基づいて再生対象を決定し、蓄積型データの記録と再生とを並行して行う。これによりユーザは、より好みにあった画像/音声データを視聴することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のデジタル放送受信装置の内部構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のデジタル放送受信装置の機能部の構成を示すブロック図である。
【図3】蓄積予約情報管理テーブルを示すテーブル図である。
【図4】コンテンツ蓄積状況を示す模式図である。
【図5】視聴番組情報管理テーブルを示すテーブル図である。
【図6】蓄積処理を示すフロー図である。
【図7】再生制御処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
〈1.内部構成について〉
図1は、本発明の一実施形態に係る車載用受信装置100(=デジタル放送受信装置)の内部構成を示すブロック図である。図1のブロック図に示すように、本発明の車載用受信装置100は、外部装置としてダイバーシティアンテナ1を接続可能である。
【0031】
また車載用受信装置100は少なくとも、チューナ11(=放送受信部)、復調部12(=放送受信部)、HDD13(=記録部)、CPU14、RAM15、ROM16、オーディオフィルタ17、オーディオデコーダ18、ビデオフィルタ19、ビデオデコーダ20、データフィルタ21、データデコーダ22、出力部23、及び操作入力部24を備えている。
【0032】
ただし、本発明は蓄積したコンテンツの再生機能にまで言及していないため、再生機能を別の受信機に持たせるという実施形態でもよい。この場合、コンテンツを蓄積する受信機にはオーディオフィルタやオーディオデコード、ビデオフィルタ、ビデオデコーダ等が不要になる。
【0033】
チューナ11は、ダイバーシティアンテナ1から地上デジタル放送信号を受信し、所望の物理チャンネル(=周波数帯域)での選局を行う。またチューナ11は、選局中の物理チャンネルにおいて放送波が受信不可となったか否かを監視する。具体的には例えば、車載用受信装置100を搭載した車両が受信地域を跨ぐ等により、これまで受信していた放送波の電界強度が所定の閾値を下回った場合に、受信不可となったとみなす。
【0034】
復調部12は、チューナ11から入力される選局された信号を復調及びエラー訂正し、ワンセグと12セグとの、それぞれのTSを出力する。復調部12により復調されたTSは、後述するオーディオフィルタ17、ビデオフィルタ19、及びデータフィルタ21に与えられる。
【0035】
HDD(Hard Disk Drive)13は、放送波より抽出された画像/音声データや蓄積データ等を格納する大容量の磁気記録媒体である。
【0036】
CPU14は、各種演算、処理、制御を行う演算処理装置である。CPU14は、車載用受信装置100の各部材の駆動を有機的に制御して、放送受信処理等を統括制御する。
【0037】
RAM15は、CPU14のワークメモリ等に用いられる、読み書き可能な記録媒体である。
【0038】
ROM16は、CPU14が実行する制御プログラム等を格納する、読み出し専用の記録媒体である。
【0039】
オーディオフィルタ17は、復調部12から出力されたTSからオーディオデータのみを抽出する。オーディオデコーダ18は、抽出されたオーディオデータを復号してデジタル音声信号を生成し、後述する出力部23へ与える。
【0040】
ビデオフィルタ19は、復調部12から出力されたTSからビデオデータのみを抽出する。ビデオデコーダ20は、抽出されたビデオデータを復号してデジタル画像信号を生成し、後述する出力部23へ与える。
【0041】
データフィルタ21は、復調部12から出力されたTSから伝送パラメータ、NIT(Network Information Table)、番組情報等のデータを抽出する。データデコーダ22は、抽出されたデータを復号する。復号されたデータは、HDD13やRAM15等に記録される。
【0042】
出力部23は液晶モニタ等の表示装置や、スピーカ等の音声装置を接続して画像信号及び音声信号を出力するための出力端子を含む。
【0043】
操作入力部24は、不図示のリモコン、及びリモコン受光部を含む。リモコンには、車載用受信装置100に対して選局指示等を行うための、プッシュボタンやタッチセンサ等が備えられている。
【0044】
また操作入力部24は、車載用受信装置100のハウジングに設けられたハードキーやタッチパネル等を含む。操作入力部24は、上記装置のいずれかにより受け付けたユーザ操作に基づく操作信号を生成し、出力する。なお操作入力部24は、必ずしも上記装置の全てを含む必要はなく、上記装置の一部のみを含む形態でもよい。
〈2.機能部の構成について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る蓄積処理及び再生制御処理を実施するための各機能部の関係を、図2の機能ブロック図を用いながら説明する。なお図2においてCPU14の内部に図示されている機能ブロックは、CPU14が所定のプログラムを実行することにより実現される機能部を表している。
【0045】
図2に示すように、本実施形態の蓄積処理及び再生制御処理は、サーチ部14a(=受信制御部)、蓄積処理部14b、及び再生制御部14cにより実施される。
【0046】
サーチ部14aは、所定の放送波の受信を試行するサーチ処理を行う。サーチ部14aは、受信可能な物理チャンネル解析すると共に、不図示の選局候補テーブル(=関連情報)を用いて、ユーザに指示されたソフト事業者(例えば放送局)が情報を配信している放送波帯域の受信を試行する。
【0047】
なお、選局候補テーブルとは、ソフト事業者毎にサーチする周波数帯域を対応付けたテーブルである。この周波数帯域は放送波のNIT等から取得する。なお、一ソフト事業者に対応する周波数帯域は複数存在する場合もある。
【0048】
受信に成功した場合、この放送波の受信を開始する。受信に失敗した場合、サーチ部14aは選局候補テーブルに含まれる未チェックの周波数帯域を用いて、放送波の受信を試行する。
【0049】
なお以下では、「選局」という文言について、一周波数帯域において複数の番組が放送されている放送形態において、周波数帯域を変更することなく視聴番組を変更する動作も「選局」と呼ぶものとする。
【0050】
蓄積処理部14bは、サーチ部14aによりサーチされて受信が開始され、且つデータフィルタ21により抽出された放送データのうち、蓄積型放送により伝送される蓄積型データを抽出して所定の記録媒体、例えばHDD13に記録する。また蓄積処理部14bは、分割送信された蓄積型データの結合を行い、データ処理可能なデータ形式とする機能を持つ。
【0051】
また蓄積処理部14bは、ユーザより蓄積予約を受け付け、蓄積予約情報管理テーブル(図3)に、番組(サービス)を特定する情報等を記録する。なお蓄積予約は、蓄積コンテンツ用のラテ欄のような画面を表示し、ユーザ操作を受け付けることにより行われるものとする。
【0052】
図3は、蓄積処理部14bが生成する蓄積予約情報管理テーブルの一例を示すテーブル図である。図3に示すように、service_id(ソフト事業者の識別ID)、event_id(番組の識別ID)によりソフト事業者、及び番組を一意に特定できるものとする。
【0053】
蓄積予約情報管理テーブルには蓄積番組の放送日時の他に、その放送が行われる周波数帯域も記録する。図3の例では、2011/06/06の14:15〜16:00に周波数帯域92.00MHzで放送される番組の蓄積予約が行われていることが示されている。
【0054】
図4は、蓄積処理部14bにより生成されるコンテンツ(=蓄積型データ)の、蓄積状況のイメージを示した模式図である。図4のevent_idは、番組を識別するIDである。なおevent_idは、受信した放送波に含まれるEIT(Event Information Table)等から取得する。また図4の四角は蓄積処理の処理単位を表している。図4の例では、蓄積完了したデータを灰色で塗り潰している。
【0055】
例えばevent_id=0x2000のコンテンツ1に注目すると、7つの四角が全て灰色になったときにコンテンツが完成となる。なお図4では1つの番組(event_id)に対してコンテンツ1〜3を定義しているが、いくつのコンテンツが存在するかは放送波の情報から定まるものとする。
【0056】
例えばV−Lowマルチメディア放送ではevent_id、ex_event_id等からコンテンツ1〜3を検出可能となる。また、コンテンツ1〜3はそれぞれ独立して蓄積が行われる。従って例えば、コンテンツ1の蓄積が完了していない状態でも、コンテンツ2の蓄積が完了すればコンテンツ2を再生可能である。
【0057】
再生制御部14cは、蓄積処理部14bによる蓄積が開始された場合に、選局中のチャンネルよりリアルタイム型放送を検索する。そしてリアルタイム型放送が検出された場合に、該当する放送の音声/画像データを出力部23より出力するよう、各部を制御する。
【0058】
再生制御部14cは、例えば図5に示す視聴番組情報管理テーブルを生成することにより、リアルタイム型放送の検索、管理を行う。なお、視聴番組情報管理テーブルの生成/更新タイミングとしては、常時更新を行う形態でもよいし、蓄積が開始された段階で更新を行う形態でもよい。
【0059】
図5に示すように、視聴番組情報管理テーブルは、リアルタイム型放送のservice_id、周波数帯域、現在番組、及び次番組を含むように構成されている。現在番組及び次番組の欄に含まれるevent_idは番組を識別するIDである。なお、リアルタイム型放送か否かの判定は、例えばサービスIDの値や、或いはEIT等から得られる情報に基づいて行う。
【0060】
つまり図5に示されている番組は全て、蓄積型放送において配信される蓄積型データを用いた番組ではなく、テレビ放送やラジオ放送のように、蓄積処理を必要とすることなくリアルタイムでの視聴が可能な番組であることを示している。
【0061】
なお、図5に示す周波数が、番組毎に定まるものではなく、ソフト事業者毎に定まる放送形態である場合は、視聴番組情報管理テーブルに周波数帯域を含めない形態でもよい。この場合、選局候補テーブル(不図示)を用いて、蓄積予約がなされた番組のソフト事業者の周波数帯域を判別し、受信を試行する。
〈3.蓄積処理について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る車載用受信装置100が実施する蓄積処理の処理フローについて、図6のフロー図を用いながら説明する。
【0062】
本実施形態の処理フローは、図3に示すテーブルが既に受信機で作成されており、且つ車載用受信装置100が通電状態にある場合において、任意のタイミングで開始することが可能である。
【0063】
本処理の開始後、蓄積処理部14bはステップS110において、蓄積予約情報管理テーブルを参照し、最も直近で蓄積の実行が必要な蓄積予約を判別する。例えば現在日時が2011年06月06日の13:00である場合、図3のevent_id=0x2000が、該当する蓄積予約となる。
【0064】
次に蓄積処理部14bはステップS120において、ステップS110で判別した蓄積予約が示す蓄積実行日時になった時点で、ステップS130へ移行する。蓄積実行日時になっていない場合は監視を継続する。
【0065】
なお、蓄積実行日時は、蓄積対象とする再放送の放送開始時刻と異なっても構わない。具体的には例えば、放送開始時刻前にサーチ処理を行い、放送開始時刻と同時に蓄積を開始する場合、このサーチ処理の開始時刻を蓄積実行日時とする。
【0066】
なお、本処理フローでは、蓄積実行日時になっていなければ再度蓄積実行日時になったかを監視し続けているが、蓄積実行日時に合わせたタイマーを用いて、ステップS120に代わる処理を実施する形態でもよい。
【0067】
次に蓄積処理部14bはステップS130において、放送局情報テーブルを参照し、未サーチのサーチ周波数を検索する。なお初回サーチ時には、選局候補テーブルに記述された最初のサーチ周波数を用いて、サーチを実行する形態でもよい。
【0068】
未サーチのサーチ周波数があればステップS140へ移行する。未サーチのサーチ周波数がなければ、本処理を終了する。或いは、ステップS130へ再び移行する形態でもよい。これは、移動体受信等では一時的に受信状態が悪化することがあるため、サーチのループを繰り返すことによってサーチが成功する可能性があるためである。
【0069】
次に蓄積処理部14bはステップS140において、サーチ周波数を決定し、サーチを実行する。
【0070】
次に蓄積処理部14bはステップS150において、サーチに成功して蓄積対象の番組を受信できたか否かを判定する。受信できた場合、蓄積処理を開始するとともに、次に説明する図7の処理フローに移行する。電波状態が悪い等により蓄積対象の番組を受信できなかった場合、ステップS130へ再び移行する。
〈4.再生制御処理について〉
ここで、本発明の一実施形態に係る車載用受信装置100が実施する再生制御処理の処理フローについて、図7のフロー図を用いながら説明する。
【0071】
本実施形態の処理フローは、図6のステップS150において、蓄積対象の番組を受信できた場合に開始される。
【0072】
なお本処理は、図6のステップS150により開始された蓄積処理と並行して行う。つまり、蓄積の実行と並行して、視聴条件に一致するリアルタイム型放送を検索し、一致する番組が見つかった場合に、ユーザが視聴できる状態とする。なお蓄積処理は、蓄積コンテンツが完成した時点、もしくは番組終了日時になった時点で終了される。
【0073】
本処理の開始後、再生制御部14cはステップS210において、図5に示す視聴番組情報管理テーブルに含まれる番組の中に、未判定の番組、つまり所定条件に一致するか否かの判定を未実施である番組が、存在するか否かを判定する。
【0074】
未判定の番組が存在しない場合、本処理を終了する。未判定の番組が存在する場合、再生制御部14cはステップS220において、蓄積処理に用いられている選局中の周波数帯域と、ステップS210で判別された未判定の番組の周波数帯域とを比較し、一致するか否かを判定する。
【0075】
一致していない場合、再びステップS210へ移行する。一致する場合、再生制御部14cはステップS230において、予め設定された視聴条件(番組のジャンル等)を、ステップS210で判別された番組が満たすか否かを判定する。例えば視聴条件としてスポーツというジャンルが予めユーザ設定されており、且つステップS210で判別された番組が野球である場合、条件を満たすとみなす。
【0076】
或いは、受信機で自動的に視聴条件を判断する形態でも構わない。例えば、地上デジタル放送のように代表的なサービス(プライマリーサービス)が放送局毎に存在する放送形態では、プライマリーサービスを受信機で検出し、プライマリーサービスを優先的に選局するよう、条件設定を行う形態でもよい。
【0077】
条件を満たさない場合、再びステップS210へ移行する。条件を満たす場合、再生制御部14cはステップS240において、判別されたリアルタイム型放送の番組をユーザが視聴できよう、復調を行って出力部23より出力するように各部(復調部12等)を制御する。
【0078】
以上に説明した本実施形態によれば、蓄積の実行と並行して蓄積型放送とは別のリアルタイム型放送の番組を再生し、ユーザが視聴できるようにする。ただし、一チューナで異なる周波数帯域を選局すると蓄積が中断してしまうため、同一の周波数帯域の番組に限定する。これによりユーザは、即時視聴ができない蓄積型放送の蓄積が実行されている状態において、蓄積を継続しつつ、即時視聴な番組を視聴することができる。
【0079】
また本実施形態によれば、即時視聴な番組を判別する際に、予め設定された条件に基づいて、優先する番組を決定している。このため、ユーザの関心が高いと推定される番組を優先的に再生することが可能である。これは特に、V−Lowマルチメディア放送のように、蓄積予約時において同一の周波数帯域で放送される番組の内容が分からない可能性が高い放送形態において効果を奏する。
[その他の実施の形態]
以上、好ましい実施の形態及び実施例をあげて本発明を説明したが、本発明は必ずしも上記実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に変形して実施することができる。
【0080】
従って本発明は、以下の形態にも適用可能である。
【0081】
(A)上記実施形態では、本発明の蓄積処理及び再生制御処理を実施するデジタル放送受信装置として、車載用受信装置100を例に説明しているが、これ以外のデジタル放送受信装置において実施する形態でもよい。例えば、ポータブルテレビやテレビ付き携帯電話等で実施する形態でもよい。
【0082】
(B)上記実施形態では、本発明の各種処理に関わる各機能部が、マイクロプロセッサ等の演算処理装置上で所定のプログラムを実行することにより実現されているが、各種機能部が複数の回路により実現される形態でもよい。
【0083】
(C)上記実施形態では、蓄積終了時の処理については特に明記していないが、例えば蓄積開始時に選局動作が発生していた場合、蓄積終了と共にリアルタイム型放送の出力(ステップS240)を停止し、選局動作前のチャンネルに復帰し、当該チャンネルのリアルタイム型放送を出力する形態でもよい。
【符号の説明】
【0084】
100 車載用受信装置(デジタル放送受信装置)
11 チューナ(放送受信部)
12 復調部(放送受信部)
13 HDD(記録部)
14 CPU
14a サーチ部(受信制御部)
14b 蓄積処理部
14c 再生制御部
15 RAM
16 ROM
17 オーディオフィルタ
18 オーディオデコーダ
19 ビデオフィルタ
20 ビデオデコーダ
21 データフィルタ
22 データデコーダ
23 出力部
24 操作入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送波の受信及び選局を行う放送受信部と、
放送波の識別情報と該放送波を受信するための周波数帯域とを関連付けた関連情報を記録した記録部と、
選局指示を受け付け、選局指示された放送波を受信するための周波数帯域を前記関連情報により判別し、判別した前記周波数帯域による選局及び受信を行うよう前記放送受信部を制御する受信制御部と、
分割送信されて受信側で記録媒体に記録された後に結合されて生成されるデータである蓄積型データを、前記放送受信部により受信された放送波に含まれるデータを記録及び結合することにより生成して前記記録部に記録する蓄積処理部と、
前記蓄積処理部により前記蓄積型データの生成が開始された場合に、該蓄積型データの生成に用いられる放送波と同一の周波数帯域の放送波より、該蓄積型データを除く画像/音声データを抽出して再生する再生制御部と、
を備えることを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
前記再生制御部は、前記蓄積型データの生成に用いられる放送波と同一の周波数帯域の放送波より抽出可能な前記画像/音声データのうち、予め受け付けた条件を満たす前記画像/音声データを抽出して再生すること
を特徴とする請求項1に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項3】
前記再生制御部は、画像/音声データのジャンルを示すジャンル情報を取得し、前記ジャンル情報に基づいて、前記条件を満たす前記画像/音声データを抽出して再生すること
を特徴とする請求項2に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項4】
前記再生制御部は、画像/音声データの再生中において、前記デジタル放送受信装置に予め設定された予約設定に基づいて前記蓄積型データの生成が開始され、且つ前記生成の開始に伴う選局動作により前記再生が中断された場合に、該蓄積型データの生成に用いられる放送波と同一の周波数帯域の放送波より、該蓄積型データを除く画像/音声データを抽出して再生すること
を特徴とする請求項3に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項5】
前記蓄積処理部は、V−Highマルチメディア放送またはV−Lowマルチメディア放送において実施される蓄積型放送の放送波を用いて前記蓄積型データを生成して前記記録部に記録すること
を特徴とする請求項4に記載のデジタル放送受信装置。
【請求項6】
前記受信制御部は、放送波に含まれるNIT(Network Information Table)、または広域通信網を介して得られる通信情報から、前記関連情報を取得すること
を特徴とする請求項5に記載のデジタル放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−31077(P2013−31077A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166812(P2011−166812)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】