説明

デジタル通信可能なレガシーアダプタを通じて電気的デバイスに電力供給

【課題】パワーアダプタにより電力を与えられるべきデバイスのためのレガシーアダプタを提供する。
【解決手段】電気的デバイスの外部でパワーアダプタに接続できるように構成されたマルチパーパスのパワーコネクタと、電気的デバイスに連結される形状のコネクタと、パワーアダプタとデジタル方式で通信するように構成されたマイクロプロセッサとを備える。マイクロプロセッサはマルチパーパスのパワーコネクタを通じて、電気的デバイスの電力必要量をパワーアダプタに伝達する。レガシーアダプタを通じて電気的デバイスの外部にあるパワーアダプタから電力を受け取る方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年1月3日に出願された米国特許出願11/969,166、発明の名称「デジタル通信可能なレガシーアダプタを通じて電気的デバイスに電力供給」の優先権を主張している。
【0002】
ここで開示される態様は、一般にレガシーアダプタ(legacy adapter: 伝統的・旧型の接続機器)に関し、特にパワーアダプタ(power adapter:電力接続機器)によって電力を付与されるべきデバイス(device: 機器)のためのレガシーアダプタに係るものである。
【0003】
消費者向けの電子デバイスは、今日の我々の世界においてユビキタス(身の回りに多数のコンピュータがある社会)となっている。ラップトップ型コンピュータや個人向けのデジタル機器からマルチメディアのプレーヤや携帯電話など、今日の人々は多くのバラエティに富んだ電子機器を保有している。これらの電子機器は多様なバラエティに富んだ電源供給器具を備えており、それらは、ウォールワーツ(wall warts)、パワーブリックス(power bricks)、パワーアダプターズ(power adapters)などと呼ばれている。
不運なことに、これらの電源供給器具は、しばしば特定の器具にだけ向けられており、このため機器製造者及び/又は機器生産ラインにおいて、相互に互換性が欠けるものとなっている。もしユーザーがある機器用の電源供給器具を失った場合には、他の電源供給器具は多くの場合、代替品とすることはできない。このことは多くの問題を引き起こす。旅行において不便なことに、各種の携帯機器に合わせた多種多様の電源機器を用意して持ち運ばなければならない。不適正な電源機器が用いられた場合は、機器が破損したり、あるいは寿命が短くなるおそれがある。さらに、機器が古くなってユーザーに捨てられた場合は、その機器用の電源供給器具も一緒に捨てられることが多い。なぜなら、ユーザーはそれらの電源供給器具と互換性のある器具を持っていないことが多いからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、多くのバラエティに富む機器に電源を供給することができて、デジタル式に通信可能なパワーアダプタが必要とされることになる。
【発明の効果】
【0005】
電源供給器具に関する上述した欠点及び他の問題点は、ここで開示されるパワーアダプタ及び相互にデジタル通信可能な電子機器によって減少させられるか除去されることになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、本発明は、電気的デバイスと共に用いられるレガシーアダプタであって、電気的デバイスの外部でパワーアダプタに接続できるように構成されたマルチパーパスのパワーコネクタと、前記電気的デバイスに連結される形状のコネクタと、前記パワーアダプタとデジタル方式で通信するように構成されたマイクロプロセッサとを備える。マイクロプロセッサは、前記マルチパーパスのパワーコネクタを通じて、前記電気的デバイスの電力必要量を前記パワーアダプタに伝達するようになっている。
【0007】
本発明のある態様では、レガシーアダプタを通じて電気的デバイスの外部にある外部のパワーアダプタから電力を受け取る方法であって、外部のパワーアダプタと前記レガシーアダプタとの間での通信を容易化するために、開始時点で所定の電圧を受け取る工程と、前記レガシーアダプタ内のパワープラグ容器を通じて、前記電気的デバイスの電力必要量を前記パワーアダプタへとデジタル式に伝達する工程と、前記電気的デバイスの電力必要量を基礎として、前記パワーアダプタにより供給される電力を受け取る工程と、前記受け取った電力を前記電気的デバイスへと供給する工程とを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例に基づき電源とデバイスに接続されたパワーアダプタのブロック図。
【0009】
【図2】本発明の実施例に基づくパワーアダプタの正面図。
【0010】
【図3】本発明の実施例に基づくデバイス,電源及びレガシー(legacy)アダプタに接続されたパワーアダプタのブロック図。
【0011】
【図4】本発明の実施例に基づくデバイスのブロック図。
【0012】
【図5】本発明の実施例に基づくレガシーアダプタの概略図。
【0013】
【図6A】本発明の実施例に基づきデバイス,レガシーアダプタ又はクライアントに接続されたパワーアダプタのブロック図。
【図6B】本発明の実施例に基づきデバイス,レガシーアダプタ又はクライアントに接続されたパワーアダプタのブロック図。
【図6C】本発明の実施例に基づきデバイス,レガシーアダプタ又はクライアントに接続されたパワーアダプタのブロック図。
【0014】
【図7】本発明の実施例に基づき電力を1つ又は複数のデバイスに適用する方法を表す流れ図。
【0015】
【図8】本発明の実施例に基づき電気的デバイスの外部にある外部のパワーアダプタから電力を受け取る方法を表す流れ図。
【0016】
【図9】本発明の実施例に基づきパワーアダプタとレガシーアダプタとの間でデジタル通信を行うパケット構造を表すブロック図。
【0017】
【図10】本発明の実施例に基づきパワーアダプタとレガシーアダプタとの間でデジタル通信を行うパケット構造を表すブロック図。
【0018】
【図11】本発明の実施例に基づきクライアントとのデジタル通信状態を表す概略図。
【0019】
【図12】本発明の実施例に基づきPFC制御器を表す回路図。
【0020】
【図13】本発明の実施例に基づく調整器を表す回路図。
【0021】
【図14】本発明の実施例に基づきAC/DC変換器と調整器とを含むパワーアダプタを表す回路図。
【0022】
これらの図において、対応する部品には類似の符号が付してある。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下において、添付図面に図示されている実施態様について説明する。以下の詳細な説明において、符号は本発明を理解させるためのものである。しかしながら、当業者であればこれらの特定な詳細に限定されることなく本発明を実施できることは明らかである。換言すれば、周知の方法,処理,要素,及び回路については、実施態様の特徴を不必要にあいまいなものとしないために、詳細には言及していない。
【0024】
図1は本発明のある実施例に基づき電源とデバイスに接続されたパワーアダプタのブロック図である。電源108は、電気的パワーをデバイス102に供給するために、電気的パワーをパワーアダプタ106に供給する。電源108は、交流(AC)又は直流(DC)を供給することができる。ある実施例において、電源108はウォールアウトレット(wall outlet )のような電力アウトレット(出力端末)である。電力アウトレットは米国では代表的な110VのAC電圧を供給することができ、米国以外では他の電圧を供給することができる。他の例では、電源108は飛行機のアームレストや自動車の中でのアウトレットであり、例えば代表的には12VのDC電圧を供給するシガレットライターのソケットであったりする。さらに他の例では、電源108は、AC入力を受け入れてDC出力をパワーアダプタ106に供給するAC/DC変換器であったりする。さらに他の例では、電源は、モーター,ジェネレータ,バッテリーなどの電気を供給する装置であったりする。特定の実施例に依存し、パワーアダプタ106は、DC電源だけに接続可能としたり、AC電源だけに接続可能としたり、DC又はACのいずれでも接続可能とすることができる。かくして、パワーアダプタ106は、実施例に依存して、AC/DC変換器あるいはDC/AC変換器、あるいはその両方として機能することもできる。パワーアダプタ106は、電源コード,ケーブル,電磁誘導,あるいは他の知られた電力伝達方法で、電源108に接続される。
【0025】
パワーアダプタ106は1つ又は複数のデバイス102に接続することもできる。デバイス102は多様な電子デバイスを包含することができ、例えば消費者用の電子デバイス,携帯電話,マルチメディアデバイス,コンピユータデバイス,周辺機器などを含む。パワーアダプタ106は多種多様なサイズに作ることができる。例えば、パワーアダプタ106は携帯性と旅行の便利さに合わせてかなり小型のサイズに作ることができる。
【0026】
ある実施例において、パワーアダプタ106はスタンドアロン(隔離型)のユニットとして作られ、パワーアダプタ106から電力を与えられるデバイス102の外部に位置しかつ区別されるように構成される。外部のパワーアダプタ106は、電力コード,ケーブル,電磁誘導その他の電力伝達手段を介して、1つ又は複数のデバイス102に電気的に接続されることができる。ある実施例において、パワーアダプタ106とデバイス102aは共通のコネクタあるいはインターフエース標準に合わせることができ、電力コードはパワーアダプタ106を与えられたデバイスに接続し、例えばデバイス102aはコードの一端又は両端に標準化されたコネクタを有し、ある実施例ではパワーアダプタ106の一端に取り外し不可能な状態で固定される。デバイス102aは標準化さたコネクタを有し、かつ標準化されたコネクタを有するコードを介してパワーアダプタ106に接続されるように設計することができる。標準化されたプラグと容器を用いることにより、パワーアダプタ106は、例えばマルチパーパスのパワーコネクタのような標準化されたプラグ又は容器を含むように設計されたいかなるデバイスに対しても、ユニバーサルなパワーアダプタとして機能することができる。
【0027】
ある実施例において、パワーアダプタ106とレガシー(legacy: 伝統的・旧型)デバイス102bとは異なるタイプの電力コネクタを使用する。例えば、マルチパーパスの電力コネクタを用いるように設計されていないデバイス(例えばもっと古いデバイス)は、レガシータイプの電力コネクタを有するかもしれない。この種のコネクタは特定のデバイスや製造者に向けられたものであり、パワーアダプタ106で用いられる標準とは合致しないかもしれない。かかる実施例では、レガシーアダプタ104を用いることで、パワーアダプタ106をレガシーデバイス102bに接続させるインターフエースとして用いることができる。
【0028】
ある実施例において、レガシーアダプタ104は、その一端にマルチパーパスの電源コネクタを有しかつ他端にレガシーアダプタ104を有するあるコードの一部で構成することができ、レガシーアダプタ104は特定のデバイスや製造者に向けられたものである。従って、パワーアダプタ106は、その一端にマルチパーパスの電源コネクタを有しかつ他端にレガシーアダプタ104を有するあるコードを介して、レガシーデバイス102bに直接接続することができる。換言すれば、コードはデバイス上のコネクタにカスタマイズされることができる。なぜなら、コード上の少なくとも1つのコネクタは特定のデバイスや製造者に向けられたものであるからである。
【0029】
ある実施例において、ドングル(dongle: コンピュータに接続する小さな装置)のようなアタッチメント(付加器具)をレガシーデバイス102bに連結することができる。ドングルは、レガシーデバイス102b上のコネクタをパワーアダプタ106で利用される標準化されたコネクタ(すなわちマルチパーパスコネクタ)に変換するためのレガシーアダプタ104を包含する。レガシーアダプタ104を含むドングルを用いるときは、両端にマルチパーパスコネクタを有するコードを用いることができる。コードの一端はパワーアダプタ106のマルチパーパス電力コネクタに接続され、コードの他端はレガシーアダプタ104を含むドングルに接続される。ドングルの他端には、レガシーデバイス102bに接続するための特定のデバイスや製造者に向けられたコネクタが含まれる。換言すれば、レガシーアダプタ104の付いたドングルは、その両方にマルチパーパス電力コネクタと特定のデバイスや製造者に向けられたコネクタが含まれ、これによりコードのデバイス端部上にマルチパーパス電力コネクタを有するコードを介して、パワーアダプタ106とレガシーデバイス102bとを接続させるようになっている。
【0030】
図2はある実施例に基づくパワーアダプタ106を表している。パワーアダプタ106は電源、例えば電源108からの電力を受け取るための入力ポート202を有する。パワーアダプタ106はマルチプル出力ポート204(例えば204a,204b,204c)を有する。入力ポート202と出力ポート204とは、プラグ,容器(receptacle),ソケット,電磁力コネクタ,取り外し不可能なコード,などの組み合わせで構成することができる。ある実施例において、出力ポート204は、マルチパーパスの電力コネクタを受け入れるための容器を包含する。さらに他の実施例において、1つ又は複数のコードが1つ又は複数の出力ポート204に取り外し不可能に固定される。パワーアダプタ106もユーザーと双方向にやりとりするためのユーザーインターフェースを含むことができる。ある実施例において、ユーザーインターフェースは、各出力ポート204と協働する現況(ステイタス)ライト(光)206(例えば206a,206b,206c)を包含し、これらのライトはデバイスが電力を供給されているかどうか、デバイスが節約された電力を供給されているかどうかを表示したり、パワーアダプタ106の他の現況やパワーアダプタ106に接続されたデバイス102の他の現況を表示することができる。現況ライト206は、点滅したり、色が変化したりすることにより、1つ又は複数の現況を表示することができる。パワーアダプタ106のユーザーインターフェースもまたディスプレイ108を包含することができ、このディスプレイはユーザーに情報を表示できるようなLCDスクリーン(液晶パネル)、LED(発光ダイオード)、OLED(有機発光ダイオード)などのディスプレイとすることができる。ある実施例において、現況情報は、現況ライト206に加えてあるいは代えてディスプレイ208上に表示される。例えば、ディスプレイ208の背景色を、デバイス102の状態やパワーアダプタ106の状態に応じて、色を変化させたり点滅させたりすることができる。他の実施例において、デバイス102が図4に示すようにディスプレイ406を含んでいるときに、パワーアダプタ106はデバイス102に対し、デバイス102のディスプレイ406上にある種の情報を表示することを指示することができる。ディスプレイ406はLCDスクリーン、LED、OLEDなどのディスプレイとすることができる。
【0031】
さらに、パワーアダプタ106についての追加の情報をディスプレイ208上に表示することができる。パワーアダプタ106のユーザーインターフェースも、ユーザーがパワーアダプタ106と双方向でやりとりできるような入力装置を含むことができる。そのような入力装置の例はボタン210である。ボタン210は、ディスプレイ208と関連して、ユーザーがパワーアダプタ106についての情報や、付加されたデバイスの情報、及び/又はパワーアダプタ106と双方向で関連するプログラムやその他に関する情報にアクセスできるようにする働きを持つことができる。例えば、ディスプレイ208は、パワーアダプタ106の動作モードや充電モードについての情報,各出力ポート204及び/又はパワーアダプタ106の現在の負荷や容量についての情報,現在時刻などについての情報を提供することができる。ディスプレイ208はまた、パワーアダプタ106に現在接続されているか最近まで接続されていたデバイスについての情報、例えばデバイス認識情報,デバイスの電力必要量,デバイスのバッテリー認識情報,デバイスのバッテリー状態情報などを表示することができる。デバイス102内のバッテリーが充電される時は、ディスプレイ208はバッテリーが完全充電されるまでの時間を表示することができる。
【0032】
ボタン210は、パワーアダプタ106の動作モード又は充電モードを設定するのに使うことができる(動作モード及び充電モードについては図1〜5を参照しながら後述する)。ボタン210は1個だけしか示されていないが、多数のボタンや多数のインターフェースを用いて、例えばユーザーがパワーアダプタ106とより容易に双方向でやりとりできたり、あるいはより多くの特徴や情報にアクセスできるようにすることができる。例えば、パワーアダプタ106のユーザーインターフェースは、多重制御式のメニューを備えて、各メニューが1つ又は複数の制御機能を有するようにすることもできる。ある実施例において、ボタン210の代わりに、あるいはボタン210と協働して、他の入力デバイスを用いることができる。例えば、ディスプレイ208は、タッチスクリーンにしてユーザーの入力を可能にすることができる。入力デバイスの他の形態として、スクロールホイール,ダイヤル,ノブ,ジョイスティック,トラックボール,5回路式スイッチなどを用いることができる。
【0033】
図3は、ある実施例に基づき、パワーアダプタ106が、デバイス102,電源108,電力コード322,及びレガシーアダプタ104を包含する場合の回路図である。パワーアダプタ106は、電力コード322a,322b,322cを介して、それぞれデバイス102a及びレガシーアダプタ104に接続されている。ある実施例において、電力コード322は、各端部上にマルチパーパスの電力コネクタを有する。パワーアダプタ106は、電源108からサージプロテクタ(過電圧保護装置)302(オプション)内へと電力を受け入れる。オプションの過電圧保護装置302は当業者には周知のものであり、電力の過大な波高や電気的尖端から保護するためにパワーアダプタ106内に含まれる。
【0034】
ある実施例において、電源108はAC電力を供給し、パワーファクターコレクションコントローラ(Power Factor Correction Controller: 電力要素訂正制御装置)(PFC制御器とも呼ばれる)304へと供給され、制御器304が電力をACからDCへと変換する。PFC制御器304の例が図12A〜12Cに示されている。PFC制御器は、DC電力を、スイッチ320を経由し、PFC電力線305a,305b,305cを介して、それぞれ調整器(regulator )318a,318b,318cへと出力する。ある実施例において、スイッチ320は調整器318に内蔵され、調整器318の出力を切断するための利用可能/利用不可切り換え線として動作する。この実施例についての詳細は、図13を参照しながら後述する。ある実施例において、調整器318はプログラム可能なスイッチ式調整器である。ある実施例において、調整器318はプログラム可能なリニア式(linear)調整器である。スイッチ320は、PFC電力線305を切断し、デバイス102へと通じる各調整器318が使用されないようにする働きをする。ある実施例において、デバイス、例えばデバイス102a1のバッテリーが完全に充電されたときは、デバイス102a1はパワーアダプタ106に対しバッテリーが完全に充電されたことを通知し、マイクロプロセッサ306がスイッチ320を開いて調整器318aを切断する。調整器318が切断されると、PFC制御器304から電力を引き出すことができなくなり、スイッチ320は消費される電力を減少させることになる。ある実施例において、DC電源、例えば電源108と共に用いられるPFC制御器304の代わりに、あるいは加えて、DC−DC変換器を用いることができる。ある実施例において、1つ又は複数の調整器318は固定電圧型の調整器であり、例えば5ボルトの固定出力で動作する。
【0035】
マイクロ制御器、例えばマイクロプロセッサ306は、メモリー307,電力制御モジュール308,通信モジュール310,ユーザーインターフェースモジュール311,及び温度モジュール312を有する。しかしながら、当業者には理解できるように、メモリー307,電力制御モジュール308,通信モジュール310,ユーザーインターフェースモジュール311,及び温度モジュール312は単一のマイクロ制御器に内蔵される必要はなく、その代わりに、各々に関連する機能を多重のマイクロ制御器としたり、集積回路としたり、及び/又はマイクロプロセッサへと拡張して展開させることができる。例えば、メモリー307は、分離したメモリーデバイスとして装備することができる。さらに、上述した特定のモジュールの各々と協働する機能は、後述することになるが、ハードウェア,ファームウェア,あるいはソフトウェアの内部に装備することもでき、それらの機能を達成するためのインストラクション(指示・指図)のセットとして対応させることもできる。上述した特定のモジュールは、分離したモジュール,処理方法あるいはソフトウェアプログラムとして装備される必要はなく、その代わりに、2つ又はそれ以上のモジュールを単一のモジュール,処理方法あるいはソフトウェアプログラムとして装備することもできる。これらのモジュールの各種のサブセット(部分的な組み合わせ)は、各種の実施例において連結されるか再配置されるかすることができる。マイクロプロセッサ306の一例として、PIC24FJ64GA004−I/PT(マイクロチップ・テクノロジー・インコーポレーテッド社のPIC24、16ビットマイクロ制御器)をあげることができる。
【0036】
通信モジュール310は、通信線317を介して、デバイス102a(例えば102a1,102a2)あるいはレガシーアダプタ104とデジタル式に通信する。通信モジュール310は、従来から知られているI2C又は他の物理的レイヤバスを用いるように設計することができる。ここで用いられる特定の物理的レイヤバスは本発明にとって重要ではない。もしもパワーアダプタ106が、デバイスのユニバーサルシリアルバス(USB)ポートを通じてデバイス102aに接続されるならば、デバイス102aのデジタル通信はUSB通信インターフェースアダプタ314を通じて指向されることになる。USB通信インターフェースアダプタ314は、一例として、CY7C67200(Cypress Semiconductor 社のEZ−OTG(商品名)プログラム可能なUSB On-The-Go HOST/Peripheral Controller )とすることができる。スイッチ/MUX 316は、デバイス102a又はレガシーアダプタ104と通信するためにUSB通信が必要かどうかに依存して、通信モジュール310を直接通信線317に接続するか、あるいは通信線317に通じるUSB通信インターフェースアダプタ314へと接続する。この代わりに、USB通信モジュール310は、通信モジュール310に内蔵されるか、あるいはもしもUSB通信だけが必要であれば、通信モジュール310と置き換えることができる。かかる場合には、スイッチ/MUX 316は必要でなくなる。
【0037】
通信線317aと317bはデバイス102aとデジタル通信し、通信線317cはレガシーアダプタ104とデジタル通信する。デバイス102aとレガシーアダプタ104は、それぞれデバイス102aとレガシーデバイス102bの電力必要量をマイクロプロセッサ306に伝達する。電力必要量は、デバイス102の電圧,電流あるいはワット数の必要量の中の1つ又は複数を含むことができる。ある実施例において、電圧必要量は3つの値を含む、すなわち公称値(nominal value )とマイナス及びプラスの許容値(tolerance )であり、それらは電圧値のウィンドウ(窓)を形成する。同様に、電流及び/又はワット数の必要量は、公称値とマイナス及びプラスの許容値とを有する。各デバイス102の電力必要量に基づいて、電力制御モジュール308は、調整器318に、要求された電力出力を、電力線319を通じてデバイスに分配するように指示する。
【0038】
各調整器318と協働する分離した電力線319a,319bあるいは319cがあり、この結果、各デバイス102とも協働する。各調整器318a,318b,318cは相互に独立しており、各調整器318と協働しながらデバイス102の特定の電力必要量を供給することができる。電力制御モジュール308は、調整器(例えば309a,309b,309c)と協働し、制御線309を介して、各調整器318に指示を出すようになっている。かくして、例えば電力制御モジュール308が、調整器309aを介して、調整器318に、電力線319aを通じてデバイス102a1の特定の電力必要量を供給するように指示を出す。同様に、レガシーデバイス102bは、通信モジュール310とレガシーアダプタ104との間のデジタル通信に基づいて、レガシーアダプタ104を通じて、レガシーデバイス102bの電力必要量を受け取る。レガシーアダプタ104については、図5を参照しながら詳細に後述する。
【0039】
ある実施例において、通信線317と電力線319は共に同一の電力コード322内に含まれてパワーアダプタ106をデバイス102aに接続し、パワーアダプタ106をレガシーデバイス102b(コードは図示せず)に接続し、あるいはパワーアダプタ106をレガシーアダプタ104に接続し、レガシーアダプタ104はレガシーデバイス102bに接続している。
【0040】
ある実施例において、マイクロプロセッサ306は温度モジュール312を含む。温度モジュール312は、パワーアダプタ106の温度をモニターするために用いることができる。温度モジュール312は、パワーアダプタ106に包含される温度センサ(図示せず)と通信することができる。パワーアダプタ106内の温度センサは、パワーアダプタ106の温度を測定する。温度モジュール312は、温度センサから温度情報を受け取る。その後、この温度情報は、例えばディスプレイ208を通じてユーザーに表示することができる。ある実施例において、温度モジュール312によって得られる温度情報は、後述するラウンドロビン(round-robin:1回に1個ずつ順番に処理する方式)充電モードに関連して用いることができる。
【0041】
ユーザーインターフェースモジュール311は、現況ライト206,ボタン210及びディスプレイ208に接続されている。ユーザーインターフェースモジュール311は、例えばボタン210を通じてユーザーから与えられた入力を処理する。上述したように、ユーザーはパワーアダプタ106の異なるモードを選択することができ、パワーアダプタ106やデバイス102についての各種情報を表示するように選択することができる。この情報はディスプレイ208上に表示されるか、及び/又は現況ライト206を付勢するかして、メモリー307内に蓄積することができる。
【0042】
図3は、2つのデバイス102a1,102a2とレガシーデバイス102bとがパワーアダプタ106に接続されている状態を表している。パワーアダプタ106はこのような構成に限定されるものではなく、パワーアダプタ106は1つ又は複数の出力ポート204(図2)、例えば3より多い数の出力ポートを有し、そこで各々がデバイス102a又はレガシーデバイス102bに連結されることができる。
【0043】
図4は、ある実施例に基づくデバイス102a1の構成を表している。図4に示すように、電力線319aと通信線317aは、パワーアダプタ106をデバイス102a1に接続している。ある実施例において、電力線319aと通信線317aは電力コード322a(図3)で供給される。デバイス102a1は1つ又は複数のマイクロプロセッサ402とバッテリー404を有する。ある実施例において、バッテリー404は充電可能なバッテリーである。通信線317aはデバイス102a1のマイクロプロセッサ402に接続されている。マイクロプロセッサ402はデバイス102a1の初期電力必要量を伝達する。
【0044】
ある実施例において、マイクロプロセッサ402は、リアルタイムベースに近い状態で、デバイス102a1の電力必要量を送受信する。デバイス102a1はその電力必要量を、通信線317aを介して、マイクロプロセッサ402から通信モジュール310へと、正規の通信間隔、例えば30秒ごとに伝達する。これらの通信の各々を基礎として、調整器318aは要求された量の電力をデバイス102a1に供給する。ある実施例において、リアルタイムベースに近い状態で動作させられる時は、パワーアダプタ106は、1つの通信間隔、例えば30秒ごとに電力をデバイス102a1に供給するだけであり、マイクロプロセッサ402が、その通信間隔の終了よりも前に、デバイス102a1の現在の電力必要量を通信モジュール310に伝達することがなければ、電力を連続して供給することはない。
【0045】
ある実施例において、マイクロプロセッサ402はバッテリー404上の電圧を読み取ってその情報を、他のバッテリー状態情報と共に、パワーアダプタ106へと伝達することができる。例えば、マイクロプロセッサ402は、バッテリー404の充電レベルをバッテリー404の容量パーセントとして計算することができ、あるいはバッテリー404が完全充電されるまでの時間の総量を計算することができる。マイクロプロセッサ402はこの計算を、バッテリー404から受け取った現在の電圧と電流、及びバッテリー404の充電プロフィールに基づいて実行し、これらはマイクロプロセッサ402内にプログラムしておくことができる。加えて、マイクロプロセッサ402とメモリー408は、バッテリーの寿命にわたってバッテリー404の充電プロフィールに適合させるために、バッテリー404が完全に充電された回数の記録を保存するのに用いられる。バッテリー404が完全に充電された回数は、またバッテリーの残存寿命を推定するのに用いることができる。マイクロプロセッサ402は、これらのバッテリー状態情報の全てを、パワーアダプタ106に伝達することができる。他の実施例において、分離した集積回路、例えば「ガスゲージ(gas gauge )IC」(図示せず)のような集積回路を用いて、マイクロプロセッサ402と通信させ、上述したような機能を実行し、すなわちバッテリー404の電圧を読み取り、バッテリー404の充電レベルを計算し、バッテリー404が完全充電されるまでの時間の総量を計算し、バッテリー404の充電プロフィールを保存するような機能を実行させることができる。
【0046】
ある実施例において、バッテリー状態情報にはデバイス102a1内の温度センサ410による温度測定値が含まれる。温度センサ410は独立した要素あるいは他の要素内に集積されている状態、例えばマイクロプロセッサ402あるいは他のICなどのように構成される。ある実施例において、パワーアダプタ106は、測定された温度に従い、デバイス102a1に供給するための電力レベルを決定する。例えば、測定された温度が第1の特定の温度よりも低ければ、デバイス102a1に供給される電力の正規レベルよりも高いレベルでの「迅速充電」が有効となる。他の実施例において、測定された温度が第2の特定の温度よりも高ければ、デバイス102a1に供給される電力のレベルは低下させられるか充電終了とされる。
【0047】
上述したように、パワーアダプタ106に電気的に接続されるデバイス102は多種多様な電気的デバイスに拡張され、消費者用の電子デバイス,携帯電話,マルチメディアデバイス,コンピュータデバイス,周辺機器などが例示される。これらのデバイス102のいくつかは1つ又は複数のバッテリー404を有し、他のデバイスはバッテリを有さない。バッテリー404は充電可能なものとそうでないものとがある。充電可能なバッテリー技術の例は、リチウムイオンバッテリー,ニッケルカドミウムバッテリー,ニッケルメタル水素化物(nickel metal hydride)バッテリーなどである。非充電式バッテリー技術の例は、アルカリ及びリチウム電池である。バッテリー404を保有しないか、あるいは非充電式のバッテリーしか保有しないデバイス102にとって、パワーアダプタ106によって供給される電力は、単に動作のためにデバイス102に電力を供給するだけである。充電可能なバッテリー404を有するデバイス102にとっては、パワーアダプタ106によって供給される電力は、デバイス102の動作だけでなくバッテリー404を充電するためにも使われる。従来技術で知られているように、異なるデバイスとバッテリーは、動作及び/又はバッテリー充電のために異なる電力必要量を有する。かくして、パワーアダプタ106は、電力の適正な量を供給するために、デバイス102の電力必要量を知る必要がある。
【0048】
図5は本発明のある実施例に基づくレガシーアダプタ104の回路図である。レガシーアダプタ104は、マルチパーパスの電力コネクタ502,マイクロプロセッサ506,及びレガシーコネクタ504を有する。マルチパーパスの電力コネクタ502は、他のマルチパーパスの電力コネクタ(図示せず)に接続できるようになっており、その電力コネクタは電気的及び/又は物理的にレガシーデバイス102b上のコネクタと係合(mate)しないようになっている。レガシーデバイス102bはレガシー電力コネクタを有するが、このコネクタは特定のデバイスあるいは製造者に向けたものであり、パワーアダプタ106が用いる標準型、例えばマルチパーパスの電力コネクタには合致していない。レガシーコネクタ504は、レガシーデバイス102bの特定のデバイス又は製造者に依存するコネクタに連結されるようになっている。マイクロプロセッサ506は、パワーアダプタ106にレガシーデバイス102bの電力必要量を供給するために、通信線317cを介してパワーアダプタ106の通信モジュール310とデジタル方式で通信する。ある実施例において、レガシーアダプタ104はメモリー508を有し、このメモリーはレガシーデバイス102bの電力必要量とレガシーデバイス102bに関連してあり得る他の情報とを蓄積する。メモリー508は、フラッシュメモリー,EEPROM,あるいはマイクロプロセッサ506内に埋め込まれるメモリーとすることができる。レガシーアダプタ104は、特定のデバイス又は製造者に依存するので、レガシーデバイス102bの電力必要量と共にあらかじめプログラムしておくことができる。ある実施例において、レガシーアダプタ104は、協働するレガシーデバイス102bの電力必要量を更新しあるいは変更するために、パワーアダプタ106でプログラムすることができる。ある実施例において、メモリー508がレガシーデバイス102bの電力必要量を蓄積し、パワーアダプタ106のマイクロプロセッサ306が、レガシーアダプタ104のメモリー508から直接レガシーデバイス102bの電力必要量を読み取る。
【0049】
上述したように、電力必要量がパワーアダプタ106に伝達された後は、電力制御モジュール308が調整器318cの電力出力を調整して、要求される量の電力を供給するようになる。かくして、調整器318cは、レガシーデバイス102bの電力必要量に従い、電力線319Cを介し、レガシーアダプタ104を通じて、レガシーデバイス102bに要求された量の電力を供給する。ある実施例において、上述したように、調整器318cの電力出力は、リアルタイムベースで調整される。
【0050】
図4及び図5を参照すると、ある実施例において、図3の調整器318aもまた、あらかじめ設定されたウェイクアップ(wake-up:始動)電圧をデバイス102a及び/又はレガシーアダプタ104へと供給する。ある実施例において、所定の電圧は+5ボルトである。このウェイクアップ電圧は、デバイス102aとパワーアダプタ106との間での、デバイス102aの起動(powering-on )及び/又はデジタル通信を容易にすることができる。同様に、このウェイクアップ電圧はレガシーアダプタ104とパワーアダプタ106との間のデジタル通信を容易にすることができ、すなわちデジタル通信が開始されるよりも前に供給されることになる。ウェイクアップ電圧は、マイクロプロセッサ402又はレガシーアダプタ104のマイクロプロセッサ506に直接供給されることができる。ウェイクアップ電圧はマイクロプロセッサ402又は506に電力を与え、マイクロプロセッサ402又は506が通信モジュール310とデジタル通信を開始するのを容易にし、デバイス102の電力必要量を通信線317を介してパワーアダプタ106へと伝達することになる。
【0051】
図1〜5を参照すると、パワーアダプタ106は電力をマルチプルデバイス102に供給し、同時にデバイス102及び/又はデバイス102の充電バッテリー404を動作させる。全ての取り付けられたデバイス102の合計電力必要量が、パワーアダプタ106が供給できる電力の総量を超えることも可能であり、そのときはオーバーロード状態が引き起こされる。パワーアダプタ106は、ユーザーからのリクエストやオーバーロード状態、例えば優先的充電,節約電力充電,及び/又はラウンドロビン(1回に1個ずつ順番に処理)充電モードなどの多数の異なる充電モードで動作することになる。ある実施例において、パワーアダプタ106は、これらのモードの複数で同時に動作する。
【0052】
優先的充電モードにおいて、パワーアダプタ106は、取り付けられたデバイス102の中で他の取り付けられたデバイス102よりも優先順位の高い1つ又は複数のデバイス102に対して電力を供給する。ある実施例において、各デバイス102には異なる優先レベルが設定されており、それらの優先レベルはパワーアダプタ106内にあらかじめプログラムされている。他の実施例において、優先レベルのセット番号、例えば2又は5が設定され、あるいは各出力ポート204に対し別の優先レベルが設定されている。ある実施例において、ユーザーは、例えばボタン210のような入力デバイスを使って、各個別の出力ポート204に対して優先レベルを指定する。パワーアダプタ106は、優先レベルに従いながら、各デバイスへの電力必要量を基礎として、できるだけ多くのデバイスへと電力を供給する。さらなる実施例において、各デバイス102は高優先と低優先のいずれかを有し、パワーアダプタ106は高優先の各デバイスへと電力を供給する。高優先のデバイス102の電力必要量が、例えばバッテリー404によるデバイス102への充電が完了して優先度が低下すると、パワーアダプタ106は、取り付けられたデバイス102の低優先のものへと電力供給を開始する。
【0053】
節約電力充電モードで、パワーアダプタ106は、取り付けられたデバイス102の各々へと、節約した量の電力を供給する。例えば、取り付けられたデバイス102が完全充電でなくスタンバイモードであったり、デバイスの電力必要量を取り付けられたデバイス102のバッテリー404の充電と協働させる場合には、取り付けられたデバイス102は、デバイス102が要求する電力と比較して節約された量の電力を受け取ることができる。節約した電力はデバイス102のバッテリー404の充電時間を長くするが、それでも取り付けられたデバイス102は、節約された電力でも機能することができる。時として、取り付けられたデバイス102は動作をリクエストした電力の全てを必要とすることがある。ある実施例において、パワーアダプタ106は取り付けられたデバイス102が節約された電力でも動作するかどうかを決定し、その取り付けられたデバイス102に、節約された電力で動作するだけの節約した電力だけを供給する。例えば、取り付けられたデバイス102がパワーアダプタ106に2つの電力必要量を供給する場合、好ましい電力必要量と、最低電力必要量、例えばデバイス102を動作させかつバッテリー404を充電できるだけの電力必要量と、デバイス102だけを動作させるだけの電力必要量など)を供給する。この代わりに、取り付けられたデバイス102は、電力と電流の必要量であって、公称値,マイナス側の許容量,プラス側の許容量を含む必要量を供給し、電力必要量に窓(window)を形成することになる。他の実施例において、パワーアダプタ106は取り付けられたデバイス102に対し、そのデバイス102がその電力必要量を削減できないかどうかを決定するために問い合わせを行う。取り付けられたデバイス102のいくつかに供給される電力を削減することにより、パワーアダプタ106は、同時に多くの取り付けられているデバイスへと電力を供給できるようになる。
【0054】
ラウンドロビン(1回に1個ずつ順番に処理する方式)充電モードにおいて、パワーアダプタ106は、取り付けられたデバイス102の全てではなく、同時に1つ又は複数の取り付けられたデバイス102へと電力を供給できる。例えば取り付けられたデバイス102のバッテリー404が充電を完了するなどして、取り付けられたデバイス102の1つ又は複数がいったんその電力必要量を削減すると、パワーアダプタ106は現在電力が供給されていない他のデバイス102へと電力の供給を開始するか、現在電力が削減されて供給されている他のデバイス102へと電力の供給を増加させる。ある実施例において、パワーアダプタ106は、取り付けられたデバイス102の電力必要量が減少すると、そのデバイス102への電力供給を停止し、これにより一時に1つのデバイスだけが電力を供給されるようになる。他の実施例において、1つの取り付けられたデバイス102が一時に所定の時間の間だけ電力を供給される。所定の時間が終了すると、次の取り付けられたデバイス102が電力を供給され、先のデバイス102への電力供給は止められる。さらなる実施例において、パワーアダプタ106に内蔵される温度センサがパワーアダプタ106の温度を測定し、この情報を温度モジュール312へと伝達する。温度モジュール312はパワーアダプタ106の温度をモニター(監視)する。もしもパワーアダプタの温度が所定の温度、例えば70℃を超えると、パワーアダプタ106は充電を絞ることになる。すなわち温度の勾配と表面温度が同時充電を可能とするのに充分なだけ低下するまで、各出力ポート204に接続されたデバイス102を部分充電とし、次の出力ポート204への移動を停止することになる。
【0055】
パワーアダプタ106もまた1つ又は複数の動作モードで動作することができる。パワーアダプタ106の動作モードは、例えばアクティブ使用モード,スタンバイモード,及びオフピーク充電モードである。アクティブ使用モードはパワーアダプタ106の標準(normal)動作モードである。アクティブ使用モードでは、パワーアダプタ106はその出力電流が所定のレベル、例えば100mA以下であることを感知したときは、取り付けられているデバイス102にそれらのステイタス(状態)を問い合わせる。デバイス102が応答しない場合、あるいはそれらのバッテリー404が完全充電状態であると応答した場合は、パワーアダプタ106はスタンバイモードへと移行する。スタンバイモードは通常2つのタイプのスタンバイモード,メンテナンスモードと無負荷モードを有し、これらは電力ポートで選択可能である。無負荷モードは、デバイス102がパワーアダプタ106に接続されていない時に用いられる。マイクロプロセッサ306がスイッチ320を開くと、調整器308が動作不可となり、調整器をPFC電力線305から切り離す。他の実施例では、マイクロプロセッサ306が、調整器318の動作可能(ENABLE)/動作不可(DISABLE )切り換えピン(図示せず)を介して、調整器318の出力を動作不可とし、これにより調整器自身の機能の大部分が動作不可となり、調整器318により消費される電力が減少し、パワーアダプタ106はほとんどゼロに近い、例えば約0.5Wになる。ユーザーがデバイス102をパワーアダプタ106に接続すると、デバイス102は中断信号をパワーアダプタ106に送信し、マイクロプロセッサを始動させてパワーアダプタ106をアクティブモードへと移行させる。この代わりに、ユーザーはマニュアル操作でユーザーインターフェースを通じてパワーアダプタ106を始動させることができる。
【0056】
メンテナンスモードは、デバイス102がパワーアダプタ106に接続されているがパワーアダプタ106が節減された量の電力を供給している場合、例えば取り付けられたデバイス102がそれ自身でスタンバイモードに入っている場合などにおいて用いられるスタンバイモードである。ある実施例において、パワーアダプタ106がメンテナンスモードに移行すると、パワーアダプタ106は取り付けられたデバイスにそれら自身のスタンバイモードに入るように指示を出すか、あるいはそれらの電力必要量を削減するように指示を出す。例えば、パワーアダプタ106は取り付けられたデバイス102が動作するのに必要なだけの電力を供給し、デバイス102のバッテリー404を充電するのに充分な電力は供給しないようにする。
【0057】
パワーアダプタ106はまたオフピーク動作モードで動作することもできる。このモードでは、パワーアダプタ106は、デバイス102のいずれかが、例えばデバイス102に接続されたバッテリー404を充電するための電力だけを必要としデバイス自身の電力を迅速には必要としていないかどうかを決定する。これら取り付けられたデバイス102に対して、パワーアダプタ106はリクエストされた電力の供給をオフピーク時間、例えば午後10時以降になるまで遅らせる。ある実施例において、ユーザーはパワーアダプタ106のユーザーインターフェースを通じてマニュアル操作することにより、充電する時間をセットすることができる。パワーアダプタ106の内部クロック(図示せず)はそれからユーザーが入力した値と比較して、充電の開始時間を制御する。ある実施例において、パワーアダプタ106は、取り付けられた各デバイス102が迅速に電力を必要としているかどうかにかかわらず、各デバイス102への電力供給を遅らせる。さらなる実施例において、ユーザーはどの時間にデバイス102のバッテリー404が充電されるべきかを入力することができる。マイクロプロセッサ306はデバイス102を充電するのに必要な時間を計算し、ユーザーが入力した時間に完全充電を完了させるための開始時間を決定する。この際、充電をできるだけオフピーク時間に多く実行させるように決定する。他の実施例において、スタンバイモードをオフピークモードと関連させて用いることができる。これらの実施例では、パワーアダプタ106はオフピーク時間になるまでスタンバイモードで待機し、オフピーク時間になるとパワーアダプタ106は完全電力状態となり、上述したオフピーク動作モードで動作する。
【0058】
ある実施例において、上述した全ての動作モード、すなわち、アクティブモード,スタンバイモード,及びオフピーク動作モードは、出力ポート204をベースとして動作する。換言すれば、出力ポート204の各々は同時に異なるモードにあって、他の出力ポート204の動作モードには何の影響も与えない状態になることができる。例えば、出力ポート204aは、取り付けられたデバイス102が出力ポート204aに接続されかつそれ自身がスタンバイモードにあるとき、スタンバイモードのメンテナンスモードにいることができる。出力ポート204bは、出力ポート204bに何も接続されていないので、スタンバイモードの無負荷モードにいることができる。一方、出力ポート204cはアクティブモードにあって、取り付けられたデバイス102がそのバッテリー404を充電中である。
【0059】
再び図2を参照すると、上述したように、ディスプレイ208は、パワーアダプタ106に現在接続されているか、あるいは接続されていたデバイスについての情報、例えばデバイスのバッテリー認識情報,デバイスのバッテリー状態情報などの情報を表示することができる。ある実施例において、ディスプレイ208の背景色を、パワーアダプタ106の動作モードに依存して変化させることができる。ディスプレイ208の背景色は、また、パワーアダプタ106の動作が環境に適合しているかどうかを表示することもできる。例えば、デバイス102がオフピーク時間中の充電中であれば、ディスプレイ208の背景色を緑にすることができる。デバイス102がピーク時間中の充電中であれば、ディスプレイ208の背景色を黄褐色(アンバー)にすることができる。さらなる実施例において、取り付けられたデバイス102内の各バッテリー404は、メモリー307内に蓄積可能な独自の認識手段を有することができ、これによりパワーアダプタ106はバッテリー404についての情報、例えば、デバイス102がそのパワーアダプタ106に最後に取り付けられてから、異なるバッテリー404を使うようになっていないかどうかなどの情報を決定することができる。このデバイスごとのバッテリー認識情報を使用し蓄積することにより、パワーアダプタ106はデバイスごとのバッテリー状態情報、例えば、バッテリー404が充電された回数,バッテリー404が充電された時間の総量,バッテリー404が最後に充電された時からの時間の長さ,及びバッテリー404が交換を必要とするかどうかなどについての情報を決定することができる。他の実施例において、デバイス102はそのバッテリー状態情報のいくつか又は全てを決定し、この情報をパワーアダプタ106に伝達し、そこで情報がディスプレイ208上に表示されるか及び/又はメモリー307内に蓄積される。一方向デバイス102は、バッテリー状態情報のいくらかあるいは全てが、上述したバッテリー状態情報の少なくともいくつかと共に、デバイス102内のメモリー408内にバッテリー認識情報として蓄積されるかどうかを決定することができる。ある実施例において、メモリー408はマイクロプロセッサ402内に着座又は埋め込まれている。
【0060】
デバイスのバッテリー状態情報は、ディスプレイ208上でユーザーに表示することができる。加えて、現況ライト206は、ユーザーに対し、デバイスのバッテリー状態情報を警告表示することができる。ある実施例において、デバイス102のバッテリー404が所定のレベルを超えて充電されたときは、パワーアダプタ106はユーザーにさらなる充電を希望するかどうかを問い合わせる。この所定の充電レベルはユーザーが選択することができる。例えば、ユーザーは、バッテリー404がその総量の80%まで充電されたときに警告を発するようにリクエストすることができる。ある実施例において、パワーアダプタ106のユーザーインターフェースはスピーカ(図示せず)のような音声発出装置を含むことができ、この装置はまたユーザーに、バッテリー404の交換が必要かどうか、あるいはバッテリー404が所定の充電レベルに到達したかどうかなどのバッテリー状態情報を警告するのに用いることができる。
【0061】
デバイス102の他の特性は、パワーアダプタ106によりモニターされるか及び/又はデバイス102からパワーアダプタ106に伝達される。例えば、パワーアダプタ106は、パワーアダプタ106とデバイス102との間の通常の通信の一部として、あるいは専用情報の通信を基礎として、デバイス102が故障していたり,オーバーヒートしていたり、例えば新規のファームウェアに更新することが可能であるなどの情報を決定することができる。パワーアダプタ106はまた、デバイス102が、スタンバイモード,充電モード,完全動作モードなどのどれであるかを決定することもできる。加えて、デバイス102の異なる特性についての情報は、例えばディスプレイ208及び/又は現況ライト206を通じて、ユーザーに対して表示することができる。ある実施例において、パワーアダプタ106は、デバイスのバッテリー状態情報,デバイス102の動作モード,及び/又はデバイス102の他の特性を基礎として、デバイス102に供給すべき電力の総量を決定することができる。ある実施例において、パワーアダプタ106が取り付けられたデバイス102のために決定できる事項を超えて、デバイス102は専用情報をパワーアダプタ106に伝達する。専用(proprietary )情報とは、パワーアダプタ106とデバイス102との間で伝達される標準的な情報以外の情報や、デバイス102についての特定の装置及び/又は製造者についての情報のことである。例えば、上述した情報のいくつか又は全ては、パワーアダプタ106とデバイス102との間で伝達される標準的な情報を基礎としたものではなく、その代わりの専用情報に基礎をおいている。パワーアダプタ106は、専用情報に基づき、デバイス102が故障していたり,オーバーヒートしていたり、例えば新規のファームウェアに更新することが必要であるなどの情報を決定することができる。専用情報はまた、デバイスの電力必要量を決定したり、そのデバイスが純正品であるかどうかを決定したりするのに用いることもできる。
【0062】
図6Aは、パワーアダプタ602とデバイス604との例示的な実施例を表している。ある実施例において、パワーアダプタ602は、調整器(レギュレータ)606,デジタルロジック(論理回路)608及びマルチパーパス電力コネクタ610を含んでいる。ここでは、コネクタはプラグ,容器(receptacle),ソケット,あるいは磁気式電力コネクタとすることができる。調整器606は、調整器318と同様に、例えばPFC制御器304から、DC電力を受け取り、調整されたDC電力を電力線612及び/又はVバス線(VBus line)614上に出力する。デジタルロジック608は、信号線616a,616bを介して、デバイス604とデジタル式に通信する。しかしながら、図6cを参照しながら後述するように、ある実施例において、この通信は1つ又は複数の信号線の代わりに、電力線上で行われることができる。
【0063】
電力線612,Vバス線614及び信号線616は、電気的に、マルチパーパス電力コネクタ610と接地620に接続されている。マルチパーパス電力コネクタ610はマルチパーパス電力コネクタ622に接続されており、これによりパワーアダプタ602とデバイス604とを接続している。デバイス604は、マルチパーパス電力コネクタ622,マイクロプロセッサ626,及びデバイス604の負荷624を含んでいる。デバイス604もまた、電力線612,Vバス線614及び信号線616a,616b及び接地620を含んでいる。
【0064】
デジタルロジック608は、信号線616を介して、マイクロプロセッサ626とデジタル式に通信する。信号線616は、I2C物理的レイヤーバス(physical-layer bus)に従って動作するか及び/又はUSBプロトコルと互換性のある方式に従って動作をする。図6において、信号線616上の”D+”と”D−”はUSB通信プロトコルにおける差動信号D+/D−を表す。”SDA”及び”SCL”はI2Cバスの中で使用され、それぞれ「シリアルデータ線」と「シリアルクロック線」とを意味する。I2Cバスの仕様は、フィリップス・セミコンダクター社が2000年1月に発行した「I2Cバス仕様書」バージョン2.1に記載されている。また、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)仕様書(USBインプリメンターズ・フォーラム・インクが2000年に発行したUSB仕様書改訂2版)をここでは参考として記載する。ある実施例において、単一の信号線が信号線616に置き換えられ、デジタル通信のために用いられる。これらの装置全ては当業者には周知の技術であり、どの方法が利用されるかは本発明では重要なことではない。マイクロプロセッサ626は、デバイス604の電力必要量を伝達する。電力必要量は、デバイス604について、1つ又は複数の電圧,電流及びワット数を含むことができる。デバイス604の電力必要量を基礎として、デジタルロジック608は、調整器606に、電力線612を通じてデバイス604にリクエストされた電力を供給するように指示を出す。
【0065】
調整器606は、また所定のウェイクアップ(wake-up )電圧を、Vバス線614を介して、デバイス604へと供給する。ウェイクアップ電圧は、デバイス604の電源ONを容易にし、及び/又はデバイス604とパワーアダプタ602との間のデジタル通信を容易にすることができる。ある実施例において、ウェイクアップ電圧がVバス線614を介してマイクロプロセッサ626に直接電力を与え、マイクロプロセッサ626がデジタルロジック608とのデジタル通信を開始するのを容易にし、デバイス604の電力必要量を信号線616上のパワーアダプタ602へと伝達するのを容易にする。ウェイクアップ電圧は、もともと最初にデバイス604の電力必要量を伝達しその後遮断(例えば電圧を0ボルトに)するのを容易にするものであるが、最初の電力必要量が伝達された後でも連続して供給されることもできる。
【0066】
電力線612を介して供給される調整された電圧は、デバイス604の負荷624に電力を与えるために用いられる。負荷624は、デバイス604のアクティブ要素を包含し、かかる要素としてバッテリーや別のマイクロプロセッサ(図示せず)を含むことができる。ある実施例において、マイクロプロセッサ626はデバイス604との通信に利用される。さらに他の実施例では、マイクロプロセッサ626は、デバイス604の必要電力を伝達するのに加えて、デバイス604を動作させることに利用される。従って、デバイス604は、マイクロプロセッサ626を負荷624に接続させてデバイス604の他の特性を制御するような伝達線628(図6A)を含むことができる。
【0067】
図6Bはパワーアダプタ602とレガシー(伝統的・旧型)アダプタ630を表している。図6Bのパワーアダプタ602は、図6Aを参照して上述したものと同じである。レガシーアダプタ630は、マルチパーパス電力コネクタ622,マイクロプロセッサ632,及びレガシーコネクタ634を含んでいる。レガシーコネクタ634は、特定のデバイス又は製造者に依存するレガシーパワーコネクタであり、パワーアダプタ602に用いられている標準品、すなわちマルチパーパス電力コネクタとは合致していない。従って、レガシーデバイスはマルチパーパス電力コネクタ610とは物理的及び/又は電気的に直接接続することはできない。レガシーコネクタ634は、レガシーデバイス(図示せず)用の特定のデバイス又は製造者に依存するコネクタに接続できるようになっている。マイクロプロセッサ632は、パワーアダプタ602にレガシーアダプタ630と協働するレガシーデバイスの電力必要量を供給するために、信号線616a,616bを介して、パワーアダプタ602のデジタルロジック608とデジタル式に通信する。レガシーアダプタ630は、協働するレガシーデバイスの電力必要量を蓄積するためのメモリー633を含む。ある実施例において、メモリー633はマイクロプロセッサ632内に着座又は内蔵されている。上述したように、いったん電力必要量がパワーアダプタ602に伝達されると、調整器606が電力線612を通じてレガシーデバイスへと必要電力を供給する。電力線612はレガシーコネクタ634に接続されている。
【0068】
レガシーアダプタ630は、特定のデバイス又は製造者に依存するので、協働するレガシーデバイスの電力必要量をあらかじめプログラムしておくことができる。ある実施例において、レガシーアダプタ630は、パワーアダプタ602によりプログラムされることができ、例えば信号線616を通じて、メモリー633内に蓄積されている協働するレガシーデバイスの電力必要量を更新したり、変更したりするようにプログラムしておくことができる。Vバス線614は、図6Aを参照して上述したマイクロプロセッサ632及びマイクロプロセッサ626に対し、ウェイクアップ電圧を供給するのに用いることができる。ある実施例において、レガシーアダプタ630はマイクロプロセッサ632を包含しない。これらの実施例では、メモリー633が協働するレガシーデバイスの電力必要量を蓄積し、調整器602のデジタルロジック608が、レガシーアダプタ630のメモリー633から直接、協働するレガシーデバイスの電力必要量を読み取る。
【0069】
図6Cはパワーアダプタ636とクライアント(client: サービスの提供を受ける側)650を示している。クライアント650は、デバイス(例えばデバイス604)あるいはレガシーアダプタ(例えばレガシーアダプタ630)などのモデム(modulator /demodulator:変復調器)638を用いる機器を表している。ある実施例において、パワーアダプタ602とデバイス604との間のワイヤの数,あるいはパワーアダプタ602とレガシーアダプタ630との間のワイヤの数は、電力線を越えて走行するデジタル通信によって削減することができる。パワーアダプタ636はパワーアダプタ602に類似しているが、パワーアダプタ636は、調整器606(及びデジタルロジック608)及びマルチパーパス電力コネクタ646との間に、モデム638を含んで、データを電力線上へと送出し、電力線からデータを受け取るようになっている点で異なっている。
【0070】
モデム638は、パワーアダプタ636及びクライアント650におけるのと同様に動作する。モデム638は、電力線612,Vバス線614,信号線616a,616bを受け取り、接地(ground)620を提供する。モデム638は信号線616からのデジタルデータを変調し、データ及び電力信号を、各電力/信号コンビネーションのための単一のワイヤへと変調する。従って、第1の変調された線640は、電力線612からの電力と信号線616aからの信号とを包含し、第2の変調された線642は、Vバス線614からの電力と信号線616bからの信号とを包含する。モデム638はまた、第1の変調された線640から電力線612と信号線616までの電力及び信号の情報、及び第2の変調された線642からVバス線614と単一線616bまでの電力及び信号の情報を分割することにより反転させる。パワーアダプタ636とクライアント650の各モデム638は、双方向に動作する。すなわち、電力と信号の情報を変調しかつ復調させる。ある実施例において、電力線上での通信のために、ホームプラグ(HomePlug: 商品名)の仕様が、デジタル通信のために用いられる。ホームプラグ1.0版の仕様書、すなわちホームプラグ・パワーライン・アライアンス・インク(HomePlug Powerline Alliance, Inc. )のテクニカルホワイトペーパー、及びホームプラグのAV仕様書、すなわちホームプラグ・パワーライン・アライアンス・インクのAVホワイトペーパー,2005を、ここでは参考技術資料として記載しておく。
【0071】
図6A,6B,6Cは、単一のマルチパーパス電力コネクタ610,646を備えたパワーアダプタ602,636を表している。しかしながら、当業者であれば、パワーアダプタ602,636がそのように限定されないことは理解できよう。パワーアダプタ602,636は、1つ又は複数のデバイス604,レガシーアダプタ630,あるいはそれらのコンビネーションと共に用いられるように、1つ又は複数のマルチパーパス電力コネクタ610,646を有することができる。
【0072】
さらに、図6A,6B,6Cでは、ある実施例において、マルチパーパス電力コネクタ610又は646がプラグで構成され、このプラグがマルチパーパス電力コネクタ622又は648と連結可能で、コネクタ622又は648は容器(receptacle)で形成される。他の実施例において、マルチパーパス電力コネクタ610又は646と、622又は648とは、両方とも容器であり、両端にマルチパーパス電力プラグを有する電力コードで連結される。
【0073】
図7は、本発明のある実施例(700)に従い、電力を1つ又は複数のデバイスに適用する方法を流れ図で表している。電力をデバイス、例えばデバイス102又は604に供給するために、電力が電源、例えば電源108の入力ポート(701)から受け入れられる。デバイスが最初にパワーアダプタ、例えばパワーアダプタ106又は602に接続されると、パワーアダプタはデバイス(704)とデジタル方式で通信する。パワーアダプタと通信モジュールとの間のデジタル通信に基づき、デバイスの電力必要量が決定される(706)。ある実施例において、デジタル通信は、デバイスの電力,電流,及び/又はワット数の必要量を含む。他の実施例において、デジタル通信は、入手可能な電力必要量のセットから電力必要量を選択するための選択コードを含む。入手可能な電力必要量は、例えば、デバイス内のルックアップテーブル(look-up table:配列などのデータ構造)の領域に蓄積される。電源から受け入れられた電力は、デバイス(708)の電力必要量に基づいて変換される。変換された電力は、デバイスに動作のための電力を与えるために、出力ポート(710)を通じてデバイスへと配達される。ある実施例において、デバイスはバッテリーを包含し、デバイスに供給される電力は、デバイスの動作のための電力に加えて、あるいはデバイスの動作のための電力に代えて、デバイスのバッテリーを充電するために用いられる。方法700は広範囲なデバイスに対して電力を供給する可能性を表している。
【0074】
図8は、本発明のある実施例(800)に従い、電気的デバイスの外部にあるパワーアダプタから電力を受け取る方法を流れ図で表している。デバイス又はレガシーアダプタ(例えば、デバイス102又は604,レガシーアダプタ104又は630)が最初に外部のパワーアダプタに電気的に接続されると、デバイス又はレガシーアダプタは外部のパワーアダプタ、例えばパワーアダプタ106又は602(802)から初期のあらかじめ設定された(所定の)電圧を受け取る。初期のあらかじめ設定された電圧は、外部のパワーアダプタとレガシーアダプタとの間の通信を容易にし、あるいはレガシーアダプタのために充分な電力を供給することでデバイスとの通信を容易にし、あるいは外部のパワーアダプタとデジタル通信して少なくとも電力必要量又及び電流必要量(804)を通信するのを容易にする。電力は、レガシーアダプタにより受け取られるか、あるいは外部のパワーアダプタ(806)とのデジタル通信を基礎とするデバイスにより受け取られる。レガシーアダプタは、受け取った電力を電気的デバイス(808)に供給する。方法800は、特にデバイスの必要性に合致した電力をデバイスが受け取る可能性を表している。
【0075】
図9は、パワーアダプタとレガシーアダプタとの間のデジタル通信、及び本発明のある実施例のデバイスとの間のデジタル通信のパケット(packet)構造を表している。パワーアダプタ106又は602とデバイス102又は604との間でのデジタル通信、あるいはレガシーアダプタ104又は630との間でのデジタル通信は、あらかじめ設定されたパケットベースのプロトコルに合致するようにして行うことができる。通信はパワーアダプタ106又は602,デバイス102又は604,あるいはレガシーアダプタ104又は630によって開始される。例示的に示したデジタルメッセージパケット900は、メッセージの開始を示す1バイトの伝送開始セグメント902,4バイトの販売者(vendor)/製造者の認識標識904,これはアドレスとしても利用可能で、さらにメッセージのタイプを示す1バイトのメッセージタイプセグメント906,可変長のペイロード(payload:データ本体部)908,2バイトのチェックサム(checksum)910,パケットの最後を示す1バイトの伝送終了端部セグメント912を包含している。上述したパケットセグメントのサイズは単なる例示に過ぎず、代わりのセグメントサイズも可能であることを理解されたい。例えば、伝送開始セグメント902と伝送終了端部セグメント912の各々は1バイト長より短くてもよい。他の実施例として、販売者(vendor)/製造者の認識標識904は4バイトでなく2バイトであってもよい。
【0076】
チェックサム910はエラー検出のために用いられる。ここで用いられるチェックサム910は、エラー検出のために付加される余分なチェックであれば、いかなる種類であってもよい。チェックサム910は、現在知られているエラー検出技術だけでなく、今後開発される技術,サイクル式の余分なチェック,チェックサムアルゴリズム,ハッシュ(hash: 細分化)機能などを含むバラエティに富んだ検出技術を用いたものを装備することができる。
【0077】
例示的な実施例として、プロトコルは少なくとも4つのメッセージタイプを有する。メッセージタイプは3つの流れ制御(flow control)メッセージタイプと1つの電力陳述(power statement )メッセージタイプとを含むことができる。流れ制御メッセージタイプは、メッセージを受領した際に、正しいかエラーかを合図する働きをする。ある実施例において、流れ制御メッセージタイプは、確認メーセージ(ACK),非確認メッセージ(NACK),及びキャンセルメッセージ(CAN)を含む。さらに、これらのメッセージは、図10,図11を参照しながら後述する。電力陳述メッセージタイプは、デバイスの電力必要量を特定する。ある実施例において、電力陳述は、例えば電圧,電流,及び/又はバッテリータイプのパラメータを含む。他の実施例において、電力陳述は上述したものよりパラメータが多かったり少なかったりする。もしも製造者が、デジタルメッセージを介して専用情報を交換したいと望むならば、専用のメッセージタイプあるいは製造者に特有のメッセージタイプをも含むようにすることができる。専用のメッセージあるいは製造者に特有のメッセージの内容については、専用情報を通信することに関して上述した。ある実施例において、専用のメッセージあるいは製造者に特有のメッセージは暗号化(encrypted )することができる。ここで用いられる暗号化アルゴリズムとしては、RSA,DSA,その他の暗号化アルゴリズムであって、現在知られているものと将来開発されるものとを含む。さらなる実施例において、パワーアダプタ106は、デバイス102を認証するために、デバイス認識情報に基づき、デバイス102へと暗号化された問い合わせメッセージを送ることができる。
【0078】
例えばACK,NACK,CANなどの流れ制御メッセージのために、ペイロード908は省略(0バイト)することもできる。電力陳述メッセージのために、ペイロード908は電力必要量情報や、そこから電力必要量を認識することができる情報などを含むことができる。パワーアダプタ106が、デバイスからの専用情報を含むメッセージを受領できる実施例では、ペイロード908は、製造者に特有のフォーマットやサイズで構築される専用情報を含むことができる。
【0079】
ある実施例において、ペイロード908は、デバイス102の電圧及び電流の必要量を含むバイナリーで符号化されたセグメントである。例えば、ペイロード908は、出力電圧の公称値と対応するウィンドウとを特定し、パワーアダプタ106により供給されるべき電流の公称値と対応するウィンドウとを特定するバイナリーで符号化されたセグメントである。他の実施例において、ペイロード908は、1つ又は複数の電圧,電流,及びワット数のパラメータを含むことができる。例示的な実施例において、ペイロード908は、第1の電力セグメントと第2の電力セグメントとを有する。第1の電力セグメントは、ワット数のパラメータ又は値に対応するバイナリーで符号化された整数を含む。第2の電力セグメントは、ワットの断片(fraction)に対応するバイナリーで符号化された小数を含む。例えば、ある実施例において、デバイス102が1.3ワットの電力必要量で通信するとき、ペイロード908は、第1の電力セグメントに”1”が入り、第2の電力セグメントに”3”が入るようにしてする。この代わりに、電圧と電流の必要量は、16ビットのバイナリーの量で、例えば電圧必要量については1mV/ビットで表示し、電流必要量については1mA/ビットで表示されるようにすることができる。他の実施例において、ペイロード908は、デバイス102の電圧及び電流の必要量を、UTF−8(Unicode Transformation Format)やASCII(American Standard for Information Interchange )の値を使って、それぞれボルトの最も近い値の10分の1と電流の最も近い値のミリアンペアとして含む。
【0080】
加えて、ペイロード908は、デバイス102についての他の情報、例えばバッテリー認識情報,バッテリー状態情報,デバイス認識情報,デバイス102がバッテリー404を含むかどうかの情報,デバイス102内のバッテリーのタイプ(例えばリチウムイオン,ニッケルメタル水素化物など),デバイスの所定の電圧がプラスかマイナスか,デバイス102の動作モードなどの情報を含むことができる。
【0081】
上述したように、ある実施例において、パワーアダプタ106又は602とデバイス102又は604,あるいはレガシーアダプタ104又は630との間のデジタル通信は、USBプロトコルを用いて行うことができる。例えば、USBスタック(stack )は、パワーアダプタ106に特定の配置(configuration )を含むことができる。かくして、この配置がアクティブにセットされると、命令制御移送パーサー(parser)が、パワーアダプタ106に特定される命令を解釈することができる。パワーアダプタ106に特定される命令の処理は、USBプロトコル(例えばUSBインプリメンターズ・フォーラム・インクのチャプター9,USB仕様書・改訂2版,2000年,参考情報)のチャプター9の表に従って行われる。標準のデバイスリクエスト(SET DESCRIPTOR)は、パワーアダプタ106に特定される配置をアクティブにセットする。この配置は、パワーアダプタ106の配置に特定される1列の記述子、例えば「パワーアダプタ」を用いて識別される。さらに、bmRequestType=0x00のときに、標準的USB命令、例えばSET DESCRIPTORあるいはGET DESCRIPTORが標準として活動する。bmRequestType フィールドを0x40に等しくセットすることにより、この値は標準的USBスタックにより、bRequestにおけるバイトがユーザーにより定義される1つのモードとして解釈される。従って、256の可能な符号化は、パワーアダプタ106に特定される命令として利用可能である。
【0082】
他の実施例において、メモリー307はあらかじめ定義された電力プロフィールのデータベースを蓄積する。電力プロフィールはあらかじめ定義されたデータの組であり、これらのデータは電力必要量、さらに詳細には、電力必要量のパラメータのあらかじめ定義されたコンビネーションである。ある実施例において、電力プロフィールは1つ又は複数の以下のデータを含む、すなわちコンスタントなボルト値,コンスタントな電流値,ワット数値,電流上限値,及びバッテリータイプである。電力プロフィールはメモリー307内のルックアップテーブル(配列などのデータ構造)として組織することができ、各電力プロフィールを認識標識によって参照付けることができる。デバイス102は、デジタルメッセージ内で、所定のプロフィールの認識標識をマイクロプロセッサ306に伝達することができる。マイクロプロセッサ306は、メモリー307から、デバイス102によって供給される認識標識に対応する電力プロフィールを回収することができる。回収した電力プロフィール内のパラメータは、調整器318を構成するのに用いられる。
【0083】
しかしながら、上述したパケットプロトコルと符号化は単なる例示に過ぎないことを理解する必要がある。プロトコルは代替的なフォーマットを利用することができ、上述した情報についてそれ以上又はそれ以下の情報を含むこともある。さらに、パラメータは上述した以外の代替的なフォーマントや符号化によって特定されることもできる。
【0084】
図10,図11は、ある実施例に基づき、パワーアダプタのデジタル通信状態及びクライアントのデジタル通信状態を線図として表している。クライアントは、例えば、デバイス102又は604,あるいはレガシーアダプタ104又は630である。パワーアダプタの状態線図1000とクライアントの状態線図1100は、パワーアダプタとクライアントとの間のデジタル通信に関して、それぞれパワーアダプタとクライアントの状態を表示している。
【0085】
パワーアダプタはクライアントに関して当初はアイドル(idle: 遊休)状態にある。例えば、クライアントがパワーアダプタに電気的に接続されていないときは、パワーアダプタはクライアントに関してアイドル状態1002にある。パワーアダプタがアイドル状態1002にある間は、パワーアダプタはクライアントからのメッセージを積極的に待機している。ただし、パワーアダプタは、クライアントが電気的にパワーアダプタに接続されているときでも、アイドル状態1002にいることは可能であることを理解されたい。さらに、パワーアダプタが1つのクライアントに関してアイドル状態1002である間でも、パワーアダプタに電気的に接続されている別のクライアントに関しては、他の状態でいることも可能であることを理解されたい。クライアントからのメッセージがパワーアダプタにより受領された後で、パワーアダプタはチェックサム910(1006)をベリファイすることで、クライアントからのメッセージについてエラー検出を行う。もしもエラーがあれば、NACK(非確認)メッセージがクライアントに送られ(1004)、パワーアダプタはアイドル状態1002に復帰して、クライアントからの次のメッセージを待つ。もしもメッセージにエラーが無ければ、販売者コード904及びペイロード908を含むメッセージの内容が検査される(1008)。もしもメッセージが確認不能であれば、例えばそれが専用メッセージであったり、販売者や製造者コード904が認識できない販売者や製造者であったり(例えばパワーアダプタが専用メッセージを認識できるようにプログラムされていない場合)には、CAN(キャンセル)メッセージが送られ(1010)、パワーアダプタはアイドル状態1002に復帰する。もしもメッセージが確認されれば、ACK(確認)メッセージが送られ(1012)、パワーアダプタはアイドル状態(1002)に復帰してクライアントからのさらなるメッセージを待つ。いったんパワーアダプタがメッセージを確認してACKメッセージを送出すると、パワーアダプタは自身を再構築してクライアントに電力を供給するようになる場合がこれに該当する。
【0086】
クライアントは、パワーアダプタに接続されたとき、通信モードに入ってメッセージを送る(1102)ことができる。例えば、クライアントが最初にパワーアダプタに接続されたとき、クライアントはウェイクアップ電圧から電力を引っ張ってそのマイクロプロセッサ(例えばマイクロプロセッサ402,506,626,632)に電力を送り、電力陳述メッセージなどを送ることによりデジタル通信を開始させることができる。メッセージが送信された後で、デバイス又はレガシーデバイスがパワーアダプタからの応答メッセージを待つ。所定のタイムアウト(時間切れ)時間が経過してもメッセージが届かないときは、メッセージが再度送信される(1102)。もしも所定の回数、例えば8回だけ同じメッセージの送信を試みても応答が無い場合は、クライアントはサスペンド(一時延期)状態1110に入る。ある実施例において、サスペンド状態中に、クライアントが専用メッセージを送るのを試みない場合は、非専用メッセージがさらに送信される。他の実施例では、例えば受領のタイムアウトの後では、クライアントは、新しいパワーアダプタとの接続が確立されるまでは、メッセージを送信する試みをしない。
【0087】
もしも応答メッセージが届いた場合は、クライアントはチェックサム910(1006)をベリファイすることで、パワーアダプタからのメッセージについてエラー検出を行う。もしもエラーがあったときは、クライアントはバックオフ(backoff:通信失敗による再送プロトコル)タイマーに従い(1104)、バックオフ状態に入る。バックオフタイマーがタイムアウトした後で、メッセージが再度送信される(1102)。
【0088】
メッセージにエラーが無ければ、メッセージの内容、特にメッセージタイプが検査される(1108)。メッセージがACKメッセージであれば、クライアントは通信モードを出る。メッセージがNACKメッセージであれば、クライアントはバックオフタイマーに従い(1104)、その後メッセージが再度送信される(1102)。もちろん、クライアントは、必要ならば、別のメッセージを送信するために、後で通信モードに入ることもできる。もしもメッセージがCANならば、クライアントはサスペンド状態1110に入る。クライアントが専用情報を含むメッセージを送信できる実施例では、CANメッセージは、パワーアダプタが、販売者/製造者認識標識904で指示されているような販売者/製造者を認識できないことを意味する。このことは、専用情報を含むいかなるメッセージもパワーアダプタによって適正に処理されないことを意味し、その理由はパワーアダプタが専用情報のペイロードの適正なフォーマットを知らないからである。従って、クライアントがサスペンド状態1110に入ると、そこでクライアントは、CAN応答を送出した情報を伝達することを一時中断する。すなわち、クライアントは専用情報を含むメッセージをパワーアダプタに送出せず、他の通信が発生する可能性が生じる。
【0089】
図12は、ある実施例に基づくPFC制御器304の回路を表している。図12に示すように、入力回路群は複数のフィルタ回路要素を包含し、これらフィルタ回路要素は、コネクタJ1Aを介して電力供給側から電気的ノイズが入るのを防ぐ働きをする。このフィルタリングは、一般モードのチョーク(choke:チョークコイル)LI,キャパシタ(capacitor:コンデンサ)CX1,及び他の段階でのフィルタリングC1,L2,C2,C18を含む。AC主電源は要素BR1で整流され、変圧器T1の主要部を横断して付勢される。電源回路群は、MOSFETスイッチQ2を含み、これはONの状態中は整流されて湾曲した(sinusoid)電圧から電流を直接取り出し、エネルギを、T1の第1の巻いた(winding )磁化インダクタンスへと供給する。第2のダイオードD12及びD14は、このON状態で逆方向にバイアスがかけられ、出力電流はコンデンサ127で供給される。Q2がOFFになると、ダイオードD12及びD14が伝導し、第1のインダクタンスT1からの蓄積されたエネルギが、出力へと配達される。
【0090】
Q2の制御は、U1,制御IC(例えばIW2202,アイワット・デジタル・シングル・ステージPFC制御器)によって達成される。制御ICは周波数を変調する機能を有し、さらにゲートドライブパルス(gate drive pulse)のデューティサイクル(dutycycle )をQ2に伝達して、初期の電流湾曲を平均化するのを確実にし、入力された湾曲電圧がハイパワー要素を達成するのを確実にし、低い総量ハーモニック歪み(total harmonic distortion )THDを達成するのを確実にする。サイクル電流制限法によるサイクルは、検出(sense:センス)抵抗器R8,R41,R42,R43により供給され、これらの抵抗器は電圧をU1のピンISENSEへと供給する。AC線の電圧変化に対する調節は、ブリッジ整流器回路BR2と協働する抵抗器−コンデンサによる電圧−減衰とによって達成され、フィルタリングにより、入力されたAC電圧のDC値がU1のVin−DCピンへと供給される。加えて、BR2とそれと協働する回路群もまたAC線電圧を表示する検出信号を供給し、検出信号は入力電流の湾曲形状を調整するのに用いられる。
【0091】
出力電圧の調節と制御は、変圧器T1の第3の巻き(winding:ワインディング)(ピン4&6)を介して、出力電圧を感知することにより達成される。この電圧は、フィルタリングとU1のV検出ピンに対する減衰の後で適用される。このフィードバック方法を用いることで、視覚によるフィードバックが除去され、要素の数とコストが削減される。
【0092】
変圧器T1の第3の巻き(ピン4&6)により供給される不連続に装備されたリニア調整器Q5,Z2,C5は、安定した状態での動作が達成されたときに、コンスタントなDCバイアスを、ピン1(VCC)を介して制御ICのU1に供給する。U1のスタートアップ動作時の間、トランジスタスイッチQ6とそれと協働する回路群R21,R20,C10,R22,C5が、必要なエネルギをU1の動作を開始させるのに好適なように供給する。
【0093】
サーミスタRT1,R35,R37,C46,D15により、温度の過熱防止が図られており、サーミスタは、U1のSDピンの切り替え(turn-off)しきい値を超過するときの電圧を供給する。他の保護回路として過電圧保護が、R14,R34により供給され、ショート(短絡)回路保護が、V検出ピンと、変圧器T1の第3の巻き(ピン4&6)により供給される。
【0094】
このフロントエンドの段階は、例えばPFC制御器により供給され、AC電圧を変圧器で分離されたDC電圧に変換する変換機能を達成する電力変換の単一段階として機能するが、一方では、湾曲形状をとるために、同時に入力AC電流を調整する。この機能を達成するために、高いパワー要素と低い電流ハーモニック(高調波)という課題が達成される。パワー要素訂正の単一段階と、分離されたAC−DC変換もまた、高い変換効率と低い構成要素の数という効果を生じさせる。
【0095】
図13は、ある実施例に基づき、調整器(regulator )の回路を表している。図13に示すように、DC電力が、電力線1302a,1302b,1302cを介して、それぞれ調整器1304a,1304b,1304cへと供給される。DC電力は、PFC制御器304のようなAC/DC変換器から供給されるか、あるいは外部のDC電源から供給される。DC電力は、2つの固定した調整器1304a,1304bへと供給され、それらの出力はそれぞれ電流検出増幅器1306a,1306bに出される。固定した調整器1304a,1304bは、単一の二重出力5V固定DC−DC変換器とすることができ、例えばLTC3826(リニア・テクノロジー30μAIQ,デュアル,2相シンクロナス・ステップ・ダウン制御器)を用いることができる。電流検出増幅器1306は、例えばLTC6102(リニア・テクノロジー・ゼロ・ドリフト・ハイ・サイド・カレント・検出増幅器)を用いることができる。固定した調整器1304a,1304bは、固定した5ボルトを供給する。電流検出増幅器1306a,1306bの出力は、それぞれ出力ポート204a,204b向けとすることができる。
【0096】
DC電力もまた調整可能な調整器1304cに供給され、この調整器は0.5Wから100Wまでの広範囲の負荷にわたる高効率のDC−DC変換器とすることができ、例えばLTC3845(リニア・テクノロジー・ハイ・ボルテージ・シンクロナス・カレント・モード・ステップ・ダウン制御器で動作周波数が調整可能な増幅器)とすることができる。調整可能な調整器1304cの出力電圧は、制御線1312を用いて調整可能(例えば5Vから19V)である。演算増幅器(op−amp)1310は、パルス幅変調(PWM)信号により駆動され、この信号は例えばパワーアダプタ106のマイクロプロセッサ306により制御される。演算増幅器1310でのPWM入力のデユーティサイクルは、制御線1312を介して、調整可能な調整器1304cの出力を制御する。調整可能な調整器1304cの出力は、電流検出増幅器1306c向けであり、この増幅器の出力は例えば出力ポート204cへと出される。従って、各出力ポート204での出力電流は、電流検出増幅器1306を用いて測定される。加えて、各ポートでの出力電圧は、電圧割り算回路(図示せず)を用いて測定される。
【0097】
ある実施例において、エネルギを保存するために、調整器1304a,1304bの出力は、使用可/使用不可(ENABLE/DISABLE)線1308a,1308bのそれぞれにより使用不可とされる。例えば、マイクロプロセッサ306は、使用可/使用不可線1308を介して、調整器1304に使用可の信号又は使用不可の信号を送ることができるように構成される。
【0098】
図14は、AC/DC変換器を含むパワーアダプタ(power adapter )と、ある実施例に基づく調整器(regulator )とを表している。図14に示すように、AC電力がAC/DC変換器1402,1404に供給される。AC電力は、パワーアダプタ1420の外部にある電源から受け取ることもできる。AC/DC変換器は低電力変換器であり、デジタル制御器1406に電力を与えるのに用いられる。デジタル制御器1406は、入力スイッチ1409とスイッチ1418を制御するのに用いられ、さらに信号線1412を介して付属のデバイス(図示せず)と通信するのに用いられる。デジタル制御器1406は、上述したデジタルロジック608あるいはマイクロプロセッサ306に類似したものとすることができる。第1のAC/DC変換器1402は、DC電力を、電力線1414a,1414b,1414cを介して、それぞれ調整器1416a,1416b,1416cへと供給するのに用いられる。調整器1416の出力は、例えば出力ポート204へと出される。スイッチ1418は、図3を参照して上述したスイッチ320と同様に動作する。パワーアダプタ106について上述したように、パワーアダプタ1420は無負荷モードを含むスタンバイモードで動作することができる。パワーアダプタ1420にデバイスが接続されていない無負荷モードでは、入力スイッチ1409は、第1のAC/DC変換器1402がAC電力を受け取るのを切断するように開くことができる。この場合、AC/DC変換器1404だけがAC電力を受け取る。AC/DC変換器1404は、AC/DC変換器1402よりも極めて低い電力消散となる。従って、無負荷モードでは、パワーアダプタ1420は、エネルギの重要な量を保存することができる。
【0099】
ある実施例において、パワーアダプタ106,602,636,1420(ここでは「パワーアダプタ106」はパワーアダプタ602,636,1420を含むものとして説明する)はさらに、インターネットのようなコンピュータネットワークと通信できるように構成されている。コンピュータネットワークに接続されると、パワーアダプタ106は、パワーアダプタ106やそれに接続されている全てのデバイス102、あるいはレガシーデバイス104,630などのためのデータ,ソフトウェア,ファームウェアの更新などを回収することができる。パワーアダプタ106のためのユーザーインターフェースもまた、インターネットに接続されているウェブサーバを介してアクセス可能となり、これにより、ユーザーは例えばディスプレイ208上に通常に表示される視覚情報を見ることができるようになる。換言すれば、ユーザーは、パワーアダプタ106についての情報を見ることにより、インターネットに接続されたコンピュータ上でパワーアダプタ106及びそれに接続されたデバイス102と双方向で通信することになる。加えて、ユーザーは、インターネットに接続されたコンピュータを用いるウェブサーバを通じて、パワーアダプタ106とその付属デバイスに、情報を入れたり、及び/又はプログラムしたりすることができる。ある実施例において、パワーアダプタ106はユーザーに電子メールを送信し、その情報は例えばディスプレイ208上に通常に表示されることになる。さらに、パワーアダプタ106は、デバイス102やレガシーアダプタ104,630のために、コンピュータネットワークやインターネットにアクセスするための導管(conduit )となることができる。コンピュータネットワークやインターネットに対するこのアクセスは、通信線317,信号線616,あるいは1つ又は複数の分離したネットワーク通信線を用いて供給されることができる。
【0100】
ある実施例において、中央電力管理ユニット(図示せず)が、コンピュータネットワーク上で、中央電力管理ユニットに接続されたマルチプルなパワーアダプタ106を制御することもできる。接続されたパワーアダプタ106の1つ又は複数の電源をONにするために、例えばウェイクオンラン(Wake-On-LAN,WOL )などを用いることができる。例えば、かかるアダプタが用いられる会社では、IT部門が電力を節約するために、全てのパワーアダプタ106をスタンバイモードに仕向けることもできる。アダプタを利用するラップトップコンピュータ(図示せず)のグループでは、ソフトウェアの更新作業をオフピーク時間に行う必要があり、IT部門は容易にWOLを利用するパワーアダプタ106を覚醒させ、ラップトップコンピュータのソフトウェアを更新することができる。
【0101】
ある実施例において、パワーアダプタ106は、コンピュータに接続されたフラッシュドライブ(flash drive )やUSB接続を介してプログラムすることができる。このプログラミングは、パワーアダプタ106,602,636を操作し,あるいはパワーアダプタ106とそれに接続されているデバイス102やレガシーデバイス104,630のためのファームウェアを更新することを含む。例えば、ユーザーは、USB接続を介して接続されたコンピュータを通じて、パワーアダプタ106及びそれに取り付けられたデバイス102に、情報を入れたり、及び/又はプログラムしたりすることができる。
【0102】
上に述べた記述は説明のためであり、特定の実施例を参照して記述したものである。しかしながら、図示に基づく記述は、ここで開示したそのままの形態で言い尽くされたり限定されたりするものではない。多くの修正及び変形が、上述した記載に基づいて可能である。実施例は、本発明を説明し実用的とするためにベストな態様として選択したものであり、当業者がベストな態様で本発明を実施できるように記載したものであり、各種の修正による各種の実施例が特定の目的のために好適なものとなるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的デバイスと共に用いられるレガシーアダプタであって、
電気的デバイスの外部でパワーアダプタに接続できるように構成されたマルチパーパスのパワーコネクタと、
前記電気的デバイスに連結される形状のコネクタと、
前記パワーアダプタとデジタル方式で通信するように構成されたマイクロプロセッサとを備え、
前記マイクロプロセッサは、前記マルチパーパスのパワーコネクタを通じて、前記電気的デバイスの電力必要量を前記パワーアダプタに伝達するようになっているレガシーアダプタ。
【請求項2】
前記電力必要量は、電圧,電流,及びワット数のパラメータの1つ又は複数を含んでいる請求項1記載のレガシーアダプタ。
【請求項3】
前記電力必要量は、少なくとも電圧必要量と電流必要量を含んでいる請求項1記載のレガシーアダプタ。
【請求項4】
前記電気的デバイスは充電可能なバッテリーを有し、前記マイクロプロセッサは、デバイス認識情報,電力必要量,専用情報,バッテリー認識情報及びバッテリー状態情報の中の1つ又は複数を伝達することができる請求項1記載のレガシーアダプタ。
【請求項5】
前記電気的デバイスは充電可能なバッテリーを有し、前記マイクロプロセッサはバッテリー認識情報とバッテリー状態情報を伝達することができる請求項1記載のレガシーアダプタ。
【請求項6】
前記バッテリー状態情報は、バッテリーが充電された回数,バッテリーが充電された時間の総量,最後の充電からの時間の長さ,及びバッテリー温度の中の1つ又は複数を含んでいる請求項5記載のレガシーアダプタ。
【請求項7】
前記電気的デバイスは携帯可能なデバイスである請求項1記載のレガシーアダプタ。
【請求項8】
前記マイクロプロセッサはマイクロ制御器である請求項1記載のレガシーアダプタ。
【請求項9】
さらに、前記デバイスの電力必要量を蓄積するためにマイクロプロセッサと通信可能なメモリーを有し、前記マイクロプロセッサは前記パワーアダプタとデジタル式に通信して前記メモリーに蓄積された電力必要量を伝達するようになっている請求項1記載のレガシーアダプタ。
【請求項10】
前記マイクロプロセッサは、デジタル式に通信して前記電気的デバイスの専用情報を前記パワーアダプタに伝達するようになっている請求項1記載のレガシーアダプタ。
【請求項11】
前記デジタル式の通信は、パケットレイヤプロトコルに従うようになっている請求項1記載のレガシーアダプタ。
【請求項12】
前記パケットレイヤプロトコルは少なくとも4つのメッセージタイプを有する請求項11記載のレガシーアダプタ。
【請求項13】
前記メッセージタイプは3つのフローコントロールメッセージタイプと、電力陳述メッセージタイプとを包含する請求項12記載のレガシーアダプタ。
【請求項14】
前記パケットレイヤプロトコルはエラー検出のためのチェックサムを包含している請求項11記載のレガシーアダプタ。
【請求項15】
前記パケットレイヤプロトコルはペイロードセグメントを含んでいる請求項11記載のレガシーアダプタ。
【請求項16】
前記ペイロードセグメントは暗号化されている請求項15記載のレガシーアダプタ。
【請求項17】
前記ペイロードセグメントは専用の情報を包含している請求項15記載のレガシーアダプタ。
【請求項18】
前記パケットレイヤプロトコルはユニバーサルシリアルバス(USB)プロトコルに内包されている請求項11記載のレガシーアダプタ。
【請求項19】
当該レガシーアダプタは前記電気的デバイスの外部に位置している請求項1記載のレガシーアダプタ。
【請求項20】
レガシーアダプタを通じて電気的デバイスの外部にあるパワーアダプタから電力を受け取る方法であって、
外部のパワーアダプタと前記レガシーアダプタとの間での通信を容易化するために、開始時点で所定の電圧を受け取る工程と、
前記レガシーアダプタ内のパワープラグ容器を通じて、前記電気的デバイスの電力必要量を前記パワーアダプタへとデジタル式に伝達する工程と、
前記電気的デバイスの電力必要量を基礎として、前記パワーアダプタにより供給される電力を受け取る工程と、
前記受け取った電力を前記電気的デバイスへと供給する工程とを包含するパワーアダプタから電力を受け取る方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−509066(P2011−509066A)
【公表日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541586(P2010−541586)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/030160
【国際公開番号】WO2009/086567
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(510185701)
【Fターム(参考)】