説明

デジタル録音方法、及びデジタル録音装置

【課題】既に保存済みの管理情報が消失されないようにする。
【解決手段】第1の音データAを管理するための管理情報(第1管理情報)Bと、第2の音データAを管理するための管理情報(第2管理情報)Bとは、同じセクタではなく別々のセクタに保存されるので、第2管理情報Bを保存する際に該第2管理情報Bが何らかの理由で消失されたとしても、保存済みの第1管理情報Bは消失されることは無い。つまり、第1の音データAの録音が終了し、その後のデータ(つまり、第2の音データA)を録音している最中にトラブルがあった場合、保存しようとする管理情報(つまり、第2管理情報B)は消失されて第2の音データAの再生は出来なくなるものの、第1管理情報Bの消失は防止することができ、第1の音データAの再生を確保できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体にデジタル方式で録音するデジタル録音方法、及びデジタル録音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CD−ROMやメモリーカードやハードディスク等の記録媒体にデジタル方式で録音するデジタル録音方法及びデジタル録音装置が広く使用されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような記録媒体にはFAT(File Allocation Tables)ファイルシステムが広く利用されていて、
・ 音データを保存するデータ領域、及び
・ 管理情報(FAT情報)を保存するための管理領域
が形成されている。
【0004】
そして、録音は以下の手順により行われていた。すなわち、
(1) 図4(a) に示すように、第1の音データAをデータ領域(図5の符号120参照)の所定数のクラスタCA11,CA12,…に保存開始
(2) 同図(b) (c) に示すように、該第1の音データAを管理するための管理情報(第1管理情報)Bを、管理領域(図5の符号121参照)中の1つのセクタCに保存
(3) 第1の音データAの保存終了
(4) 図4(a) に示すように、第2の音データAをデータ領域の所定数のクラスタCA21,CA22,…に保存開始
(5) 前記管理領域のセクタCから前記第1管理情報Bを読み出し、第2の音データAを管理するための管理情報(第2管理情報)Bを追加
(6) 記録手段(図5の符号103参照)がそれらの管理情報B,Bを作業用メモリー(同図の符号104参照)に一時保存
(7) 前記セクタCに保存してある前記第1管理情報Bを消去
(8) 作業用メモリー104に一時保存してある管理情報B,Bを前記セクタCに保存
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−235170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来の録音方法及び録音装置100では、複数の管理情報B,Bが同じセクタC内に保存されることとなるが、そのため、上記(5) (6) に示すように、既に保存してある管理情報BをセクタCから読み出して作業用メモリー104に保存し、該セクタCの保存内容を消去するといった操作が行われていた。しかしながら、上記(7)
と(8) との間のタイミングで電源が落ちたりしてしまうと、作業用メモリー104に一時保存されてある管理情報B,Bが消失されてしまい、第1及び第2の音データA,Aの双方を再生できなくなるという問題があった。つまり、第1の音データAの記録媒体102への保存が終了し、その後のデータ(つまり、第2の音データA)を録音している最中にトラブルがあると、保存しようとする管理情報(つまり、第2管理情報B)のみならず保存済みの管理情報(つまり、第1管理情報B)までもが消失されてしまい、その結果、録音中の音データ(つまり、第2の音データA)のみならず録音済みの音データ(つまり、第1の音データA)の再生ができなくなるという問題があった。
【0007】
本発明は、上述の問題を解消することのできるデジタル録音方法及びデジタル録音装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、図1に例示するものであって、記録媒体のデータ領域のクラスタ(CA11,CA12,…)に第1の音データ(A)を保存するステップと、
該第1の音データ(A)を管理するための第1管理情報(B)を、前記記録媒体の管理領域における少なくとも1つのセクタ(CB11,CB12)に保存するステップと、
前記データ領域であって、前記第1の音データが保存されているクラスタ以外のクラスタ(CA21,CA22,…)に第2の音データ(A)を保存するステップと、
該第2の音データ(A)を管理するための第2管理情報(B)を、前記管理領域における少なくとも1つのセクタであって、前記第1管理情報が保存されているセクタ以外のセクタ(CB21,CB22)に保存するステップと、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、図2に例示するものであって、第1の音データ(A)及び第2の音データ(A)を記録媒体(2)のデータ領域(20)に順次保存すると共に、該第1の音データを管理するための第1管理情報(B)及び前記第2の音データを管理するための第2管理情報(B)を前記記録媒体(2)の管理領域(21)に順次保存するデジタル録音装置において、
前記第1管理情報(B)及び前記第2管理情報(B)を別々のセクタに保存することを特徴とする。
【0010】
なお、括弧内の番号などは、図面における対応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【発明の効果】
【0011】
請求項1及び2に係る発明によれば、前記第1管理情報と前記第2管理情報とは別々のセクタに保存されるので、第2管理情報を保存する際に該第2管理情報が何らかの理由で消失されたとしても、保存済みの第1管理情報は消失されることは無い。つまり、第1の音データの記録媒体への保存が終了し、その後のデータ(つまり、第2の音データ)を録音している最中にトラブルがあった場合、保存しようとする管理情報(つまり、第2管理情報)は消失されて第2の音データの再生は出来なくなるものの、第1管理情報の消失は防止することができ、第1の音データの再生を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明に係るデジタル録音方法の一例を示す模式図である。
【図2】図2は、本発明に係るデジタル録音装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図3は、本発明に係るデジタル録音方法の他の例を示す模式図である。
【図4】図4は、従来のデジタル録音方法の一例を示す模式図である。
【図5】図5は、従来のデジタル録音装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1乃至図3に沿って、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
本発明に係るデジタル録音方法は、
・ 図1(a) に示すように、記録媒体のデータ領域(具体的には、データ領域中の所定数のクラスタCA11,CA12,…)に第1の音データAを保存するステップと、
・ 同図(b) (c)
に示すように、前記記録媒体の管理領域における少なくとも1つのセクタCB11,CB12に、前記第1の音データAを管理するための管理情報(以下、“第1管理情報”とする)Bを保存するステップと、
・ 前記データ領域(正確には、前記第1の音データAが保存されているクラスタ以外のクラスタCA21,CA22,…)に第2の音データAを保存するステップと、
・ 前記管理領域における少なくとも1つのセクタであって、前記第1管理情報Bが保存されているセクタCB11,CB12以外のセクタCB21,CB22に、前記第2の音データAを管理するための管理情報(以下、“第2管理情報”とする)Bを保存するステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るデジタル録音装置は、図2に符号1で例示するものであって、
・ データ領域20及び管理領域21を有する記録媒体2と、
・ 第1の音データA及び第2の音データAを前記データ領域20に順次保存すると共に、前記第1管理情報B及び前記第2管理情報Bを前記管理領域21に順次保存する記録手段3と、
を備え、該記録手段3は、前記第1管理情報B及び前記第2管理情報Bを別々のセクタに記録することを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、前記第1管理情報Bと前記第2管理情報Bとは、従来のように同じセクタにではなくて別々のセクタに保存されるので、第2管理情報Bを保存する際に該第2管理情報Bが何らかの理由で消失されたとしても、保存済みの第1管理情報Bは消失されることは無い。つまり、第1の音データAの記録媒体2への保存が終了し、その後のデータ(つまり、第2の音データA)を録音している最中にトラブルがあった場合、保存しようとする管理情報(つまり、第2管理情報B)は消失されて第2の音データAの再生は出来なくなるものの、第1管理情報Bの消失は防止することができ、第1の音データAの再生を確保できる。
【0017】
なお、図1に示す例では、1つの管理情報は2つのセクタで保存するように構成されているが、もちろんこれに限られるものではなく、1単位(1回の書き込み単位の意。以下同じ)の管理情報を1つのセクタで保存するようにしても、或いは、1単位の管理情報を3つ以上のセクタで保存するようにしても良い(図4参照)。
【符号の説明】
【0018】
1 デジタル録音装置
2 記録媒体
20 データ領域
21 管理領域
第1の音データ
第2の音データ
第1管理情報
第2管理情報
A11,CA12,… クラスタ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体のデータ領域のクラスタに第1の音データを保存するステップと、
該第1の音データを管理するための第1管理情報を、前記記録媒体の管理領域における少なくとも1つのセクタに保存するステップと、
前記データ領域であって、前記第1の音データが保存されているクラスタ以外のクラスタに第2の音データを保存するステップと、
該第2の音データを管理するための第2管理情報を、前記管理領域における少なくとも1つのセクタであって、前記第1管理情報が保存されているセクタ以外のセクタに保存するステップと、
を備えたことを特徴とするデジタル録音方法。
【請求項2】
第1の音データ及び第2の音データを記録媒体のデータ領域に順次保存すると共に、該第1の音データを管理するための第1管理情報及び前記第2の音データを管理するための第2管理情報を前記記録媒体の管理領域に順次保存するデジタル録音装置において、
前記第1管理情報及び前記第2管理情報を別々のセクタに保存する、
ことを特徴とするデジタル録音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−205356(P2010−205356A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51493(P2009−51493)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】