説明

デッキ材固定金具

【課題】従来のデッキ材固定金具の弾性挟持部の被挟持部がないデッキ材においても、デッキ材や構造材を破損することなく、デッキ材を構造材上に固定することができるデッキ材固定金具を提供する。
【解決手段】根太200の側面201にねじ固定される固定部1aと、この固定部1aから延設されるとともに、根太200の側面201に固定部1aが固定された状態でデッキ材300aの長手方向の壁面の下端部に沿うように配置される脚部2aと、この脚部2aから延設されるとともに、根太200の側面201に固定部1aが固定された状態で筒状中空部320内に入り込むとともに、筒状中空部320の底壁340を根太200上面との間で弾性挟持する弾性挟持部3aと、を備えている構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デッキ材固定金具に関する。
【背景技術】
【0002】
デッキ材の構造材への固定方法として、図10に示すような方法が、既に提案されている(特許文献1参照)。
この固定方法は、図10に示すように、長手方向に貫通する筒状中空部320を複数備えるとともに、長手方向に連続する凹溝310が側面に設けられているデッキ材300を、デッキ材300を下方から支持する構造材としての根太200上に所定の目地幅で並べた状態に配置するとともに、図11に示すデッキ材固定金具100の固定部110をデッキ材300とデッキ材300との間で根太200にビス210を用いて固定し、デッキ材固定金具100の弾性挟持部130と、根太200との間で凹溝310の下側(根太200側)壁である被挟持部311を挟み込んでデッキ材300をズレ動かないように固定するようにしている。
【0003】
この固定方法は、デッキ材300の上面から釘を根太200に打ち込むまたはビスをねじ込んで固定する方式に比べ、見栄えよく施工できる。
また、被挟持部311を弾性挟持しているだけであるので、大きな力を加えると、デッキ材300を根太200の上面に沿ってスライドさせることができる。したがって、デッキ材300を直接根太200に固定した場合のように、デッキ材300が気温の変化や吸水・乾燥などが原因でデッキ材300が伸縮しようとして、固定箇所に大きなひずみが生じてデッキ材300の一部に割れが生じたり、デッキ材300の一部が変形して盛り上がったりするといった問題がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−027724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、デッキ材300は、長手方向の両端を根太200に挟着固定した方が、デッキ材300のばたつきなどがないが、根太200がデッキ材300の長手方向の端縁に沿って配置されている場合、デッキ材固定金具100を根太200の幅方向の中央部にビス210で固定した場合、デッキ材固定金具100の一部がデッキ材300の長手方向の端縁からはみ出てしまい、見栄えがわるいとともに、デッキ材の端面に沿って壁などが設けられる場合には使用できない。
【0006】
そこで、デッキ材固定金具100がデッキ材300の長手方向からはみ出ないようにデッキ材300の他端方向に少しずらしてデッキ材固定金具100をビス210で固定すればよいのであるが、根太200の幅によってはデッキ材固定金具100のビス孔111が根太200からはみ出てまったく固定することができない場合がある。
また、ビス孔111が根太200の上面に臨む位置にあっても、根太200の幅方向の端縁近傍にビス210をねじ込むことになるので、根太200が木材である場合、根太200に割れが生じ、実質的に固定できないおそれがある。
【0007】
一方、複数のデッキ材300が敷設された床の周囲を幕板によって囲うようにしたデッキ床構造であれば、幕板に固定された幕板用金具によってばたつきを抑えることができるので問題はないが、幕板を必ず設置するとは限らない。
そこで、現在では床板端部の押え部の辺りに斜めにビスをデッキ材300の端部に打ち込むか、上記に示した金具を半分に切断して固定を行っている。しかし、デッキ材300の端部にビスを打ち込む方法ではビスを斜めに打ち込むので、デッキ材300を固定するための根太200まで届かない場合や、浅く打ち込まれるために固定する力が弱い、外観が悪くなる等の問題が起こっている。また、デッキ材固定金具100を半分に切断して使用する場合、デッキ材固定金具100が、高い弾性復元力を得るとともに、しっかりとした固定力を得るために強度の高い材料で形成されているので、上記のように半分に切断する作業は、危険が伴うなどの課題がある。
また、施工現場によっては、ベランダ床等は、デッキ材300の幅(短手方向の寸法)の整数倍になっていないことがある。
【0008】
このような場合、端部に配置される複数種の端部デッキ材を別途成形しておくことが考えられるが、コスト的に問題があり、通常、同じ幅のデッキ材の短手方向の一端部を短手方向の端縁に平行に切断して端部デッキ材として用いるようにしている。
しかし、上記のように切断によって得られた端部デッキ材の場合、短手方向の一方には上記被挟持部311が存在しなくなる。
したがって、上記端部デッキ材は、上記のようにデッキ材固定金具100を半分に切断しての使用が全くできないため、従来、ビスによる固定方法が行われており、上記のビスによる固定方法の問題点を備えている。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みて、従来のデッキ材固定金具の弾性挟持部の被挟持部がないデッキ材においても、デッキ材や構造材を破損することなく、デッキ材を構造材上に固定することができるデッキ材固定金具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載のデッキ材固定金具(以下、「本発明1のデッキ材固定金具」と記す)は、長手方向に貫通する筒状中空部を備えるデッキ材を、このデッキ材が下方から支持される構造材に固定するデッキ材固定金具であって、
前記構造材の側面にねじ固定される固定部と、この固定部から延設されるとともに、前記構造材に固定部が固定された状態でデッキ材の長手方向の壁面の下端部に沿うように配置される脚部と、この脚部から延設されるとともに、前記構造材に固定部が固定された状態で前記筒状中空部内に入り込むとともに、前記筒状中空部の底壁を構造材上面との間で弾性挟持する弾性挟持部と、を備えていることを特徴としている。
【0011】
上記本発明1のデッキ材固定金具は、弾性挟持部が、底壁を弾性挟持する挟持部本体と、挟持部本体の幅方向両側から立ち上がり、筒状中空部の側壁に当接するデッキ材横ズレ防止部とを備えている構成としても構わない。
【0012】
本発明の請求項3に記載のデッキ材固定金具(以下、「本発明2のデッキ材固定金具」と記す)は、長手方向に貫通する筒状中空部を備えるデッキ材を、このデッキ材が下方から支持される構造材に固定するデッキ材固定金具であって、前記構造材の側面にねじ固定される固定部と、この固定部から延設されるとともに、前記構造材に固定部が固定された状態でデッキ材の短手方向の壁面に沿うように配置される脚部と、この脚部から延設されるとともに、デッキ材の短手方向の上端縁に弾性係止される弾性係止部と、を備えていることを特徴としている。
【0013】
本発明の請求項4に記載のデッキ材固定金具(以下、「本発明3のデッキ材固定金具」と記す)は、長手方向に貫通する筒状中空部を複数平行に備えるとともに、長手方向に連続する凹溝が側面に設けられたデッキ材を、このデッキ材が下方から支持される構造材に固定するデッキ材固定金具であって、前記構造材の側面にねじ固定される固定部と、前記構造材に固定部が固定された状態でデッキ材の長手方向の端面に対面するように固定部から立ち上がる立ち上がり部と、前記構造材に固定部が固定された状態でこの立ち上がり部から対面するようにデッキ材の長手方向に延出し、隣接する筒状中空部間の隔壁部を対向面間で弾性挟持する2つの弾性挟持部と、を備えていることを特徴としている。
【0014】
本発明において、デッキ材固定金具の材質としては、デッキ材を安定して固定できる材質であれば、特に限定されないが、ステンレス鋼、亜鉛めっき鋼等が挙げられる。
本発明において、固定部の構造材への固定は、固定部にビス孔を設け、このビス孔を介してビスを構造材にねじ込む方法が一般的であるが、釘で固定しても構わない。また、ビス孔は、1つでもよいが、固定部が回転しないように複数設けることが好ましい。
【0015】
本発明において、デッキ材としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ナイロンおよびポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂と木粉やフライアッシュなどの充填材との混合樹脂組成物を押出成形して得た合成木材状のものが好適である。
【0016】
本発明において、固定部が固定される構造材は、デッキ材を下側から支持できるものであれば特に限定されないが、根太や大引きが挙げられる。
上記構造材の材質は、アルミニウムなどの軽量金属、木材、合成木材などが挙げられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明1のデッキ材固定金具は、長手方向に貫通する筒状中空部を備えるデッキ材を、このデッキ材が下方から支持される構造材に固定するデッキ材固定金具であって、
前記構造材の側面にねじ固定される固定部と、この固定部から延設されるとともに、前記構造材に固定部が固定された状態でデッキ材の長手方向の壁面の下端部に沿うように配置される脚部と、この脚部から延設されるとともに、前記構造材に固定部が固定された状態で前記筒状中空部内に入り込むとともに、前記筒状中空部の底壁を構造材上面との間で弾性挟持する弾性挟持部と、を備えているので、筒状中空部を備えていれば、デッキ材を切断して形成された端部デッキ材を、構造材を破損することなく、簡単に構造材に固定できる。
また、筒状中空部を利用して通常のデッキ材も同様にして構造材を破損することなく、簡単に構造材に固定できる。
【0018】
また、本発明1のデッキ材固定金具を、弾性挟持部が、底壁を弾性挟持する挟持部本体と、挟持部本体の幅方向両側から立ち上がり、筒状中空部の側壁に当接するデッキ材横ズレ防止部とを備えている構成とすれば、デッキ材の横方向(幅方向)の位置ズレを防止してよりしっかりとした固定を図ることができる。
【0019】
本発明2のデッキ材固定金具は、長手方向に貫通する筒状中空部を備えるデッキ材を、このデッキ材が下方から支持される構造材に固定するデッキ材固定金具であって、前記構造材の側面にねじ固定される固定部と、この固定部から延設されるとともに、前記構造材に固定部が固定された状態でデッキ材の短手方向の壁面に沿うように配置される脚部と、この脚部から延設されるとともに、デッキ材の短手方向の上端縁に弾性係止される弾性係止部と、を備えているので、通常の挟持部を備えたデッキ材を切断して形成された端部デッキ材のように挟持部を備えていないデッキ材であっても、構造材を破損することなく、デッキ材を簡単に構造材に固定できる。
【0020】
本発明3のデッキ材固定金具は、長手方向に貫通する筒状中空部を複数平行に備えるとともに、長手方向に連続する凹溝が側面に設けられたデッキ材を、このデッキ材が下方から支持される構造材に固定するデッキ材固定金具であって、前記構造材の側面にねじ固定される固定部と、前記構造材に固定部が固定された状態でデッキ材の長手方向の端面に対面するように固定部から立ち上がる立ち上がり部と、前記構造材に固定部が固定された状態でこの立ち上がり部から対面するようにデッキ材の長手方向に延出し、隣接する筒状中空部間の隔壁部を対向面間で弾性挟持する2つの弾性挟持部と、を備えているので、筒状中空部と筒状中空部との隔壁を利用して通常の挟持部を備えたデッキ材を切断して形成された端部デッキ材のように挟持部を備えていないデッキ材であっても、構造材を破損することなく、デッキ材を簡単に構造材に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明1のデッキ材固定金具の第1の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図2】図1のデッキ材固定金具を別の角度から見た斜視図である。
【図3】図1のデッキ材固定金具を用いたデッキ材の根太への固定状態をデッキ材の長手方向の一方から見た図である。
【図4】本発明1のデッキ材固定金具の第2の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図5】図4のデッキ材固定金具を用いたデッキ材の根太への固定状態をデッキ材の長手方向の一方から見た図である。
【図6】本発明2のデッキ材固定金具の第1の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図7】図6のデッキ材固定金具を用いたデッキ材の根太への固定状態をデッキ材の長手方向の一方から見た図である。
【図8】本発明2のデッキ材固定金具の第1の実施の形態をあらわす斜視図である。
【図9】図8のデッキ材固定金具を用いたデッキ材の根太への固定状態をデッキ材の長手方向の一方から見た図である。
【図10】公知のデッキ材固定金具を用いたデッキ材の根太への固定状態をデッキ材の長手方向の一方から見た図である。
【図11】図10のデッキ材固定金具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明を、その実施の形態をあらわす図面を参照しつつ詳しく説明する。
図1及び図2は、本発明1のデッキ材固定金具の第1の実施の形態をあらわしている。
【0023】
図1及び図2に示すように、このデッキ材固定金具Aは、例えば、ステンレス鋼板を打ち抜いて折り曲げ加工した複数のパーツを溶接する方法あるいはプレス成形することによって形成されていて、固定部1aと、脚部2aと、弾性挟持部3aとを備えている。
固定部1aは、固定状態で水平方向に長い長方形をしていて、2つのビス孔11が穿設されている。
【0024】
脚部2aは、固定部1aの長手方向の端部から固定部1aの長手方向寸法の略半分の幅で固定部1a上に立ち上がるように設けられている。
脚部2aの高さは、固定部1aが構造材としての根太200に固定された状態で、後述する弾性挟持部3aが筒状中空部320の底壁340を根太200との間で弾性挟持できる高さに設定されている。
【0025】
弾性挟持部3aは、挟持部本体31と、補強リブ32とを備えている。
挟持部本体31は、脚部2aの上縁から脚部2aと同じ幅で脚部2aに直交して設けられている。
【0026】
補強リブ32は、挟持部本体31の一方の長手縁から上方に鋭角的に折れ曲がるように設けられていて、挟持部本体31の挟持力を補強している。
【0027】
つぎに、図3を用いて、このデッキ材固定金具Aを用いた端部デッキ材300aの固定方法の1例を説明する。
【0028】
(1)図3に示すように、まず、施工現場の端部デッキ材施工幅に合わせて、熱可塑性樹脂と木粉やフライアッシュなどの充填材との混合樹脂組成物を押出成形して得た通常のデッキ材300を短手方向の端縁に平行に短手方向の一端部を切除して得る。
なお、デッキ材300は、複数(この実施形態では3つ以上)の筒状中空部320を平行に長手方向の連続して有し、短手方向両側(図3では片側しかあらわれていない)に図11に示すデッキ材固定金具Aの弾性挟持部3aによって根太200との間で挟持される被挟持部311を備えている。
したがって、端部デッキ材300aは、片側にしか被挟持部311を備えていない。
(2)端部デッキ材300aの敷設側と反対側から配置される通常のデッキ材300を根太200上に、端部デッキ材300aの敷設位置に隣接する位置まで敷き並べるとともに、各デッキ材300とデッキ材300のデッキ材固定金具100を用いてデッキ材300を根太200に固定していく。
(3)通常のデッキ材300を敷設が完了すると、端部デッキ材300aに残った被挟持部311側を、隣接するデッキ材300側に向けて根太200(なお、根太200は、デッキ材300及び端部デッキ材300aの長手方向に直交するように複数本平行に設けられていて、図示していないが、この根太200に直交するように設けられた大引きによって下方から支持されている)上に敷くとともに、端部デッキ材300aに残った被挟持部311側をデッキ材固定金具100によって固定する。
(4)デッキ材弾性挟持部3aを最も切断端側の筒状中空部320内に臨ませるとともに、挟持部本体31が根太200との間で筒状中空部320の底壁340を挟持するようにデッキ材固定金具Aを配置し、固定部1aを、ビス220を介してデッキ材300の長手方向に直交し、デッキ材300の長手方向の端部に配置される根太200の側面201に固定する。
また、このとき、脚部2aと端部デッキ材300aとの間には、夏場などにデッキ材300が環境温度や直射日光によって伸長した場合でも、端部デッキ材300aの端面が脚部2aに突き当たらないように隙間を設けるようにすることが好ましい。隙間は、例えば、固定部1aと根太200の側面201との間にスペーサを挟み込むなどして形成することができる。
【0029】
このデッキ材固定金具Aは、上記のように、弾性挟持部3aと根太200との間で筒状中空部320の底壁340を弾性挟持できるようにしたので、通常のデッキ材300を切断することによって被挟持部311がなくなった端部デッキ材300aを用いた場合にも端部デッキ材300aをばたつかないように固定することができる。
したがって、ビスや釘を斜めに打ち込んで固定する場合のように、端部デッキ材300aや根太200に破損が生じるといった事故を防止できる。
また、デッキ材固定金具Aは、筒状中空部320を利用するようになっているので、通常のデッキ材300の根太200への固定にも使用できる。
なお、上記(1)〜(4)の工程は、1例であって、必要に応じて順序を入れ替えてもよい。
【0030】
図4は、本発明1のデッキ材固定金具の第2の実施の形態をあらわしている。
図4に示すように、このデッキ材固定金具Bは、固定部1b、脚部2b及び弾性挟持部3bの挟持部本体33が、筒状中空部320の隔壁330間の長さと略同じか少し狭い幅になっている。
【0031】
また、弾性挟持部3bは、挟持部本体4の幅方向の両側から脚部2bと反対側に挟持部本体4に直交する横ズレ防止部34を備えている。
そして、このデッキ材固定金具Bは、上記以外の構成は、上記デッキ材固定金具Aと同様になっている。
【0032】
このデッキ材固定金具Bは、上記のようになっているので、図5に示すように、弾性挟持部3bを最も切断端側の筒状中空部320内に臨ませ、上記デッキ材固定金具Aと同様の作用効果を備えている。
しかも、横ズレ防止部34を備えているので、端部デッキ材300aが短手方向のずれ動こうとしても横ズレ防止部34が隔壁330に受けられて横ズレが防止でき、よりしっかりと端部デッキ材300aを固定できる。
また、このデッキ材固定金具Bは、デッキ材300の固定にも使用できる。
【0033】
図6は、本発明2のデッキ材固定金具の第1の実施の形態をあらわしている。
図6に示すように、このデッキ材固定金具Cは、固定部1cと、脚部2cと、弾性係止部3cとを備えている。
【0034】
固定部1cは、上記デッキ材固定金具Aの固定部1aと同様になっている。
脚部2cは、固定部1cに直交するとともに、その下端の一端部が固定部1cの長手方向一端の上端に一体化されている。
脚部2cは、その高さ(固定部1cの上端から後述する弾性係止部3cのデッキ材当接面までの長さ)がデッキ材300及び端部デッキ材300aの厚みと略同じになっている。
弾性係止部3cは、脚部2cに直交するように、脚部2cの上端から固定部1cの長手方向他端側に延出している。
【0035】
つぎに、図7を用いて、このデッキ材固定金具Cを用いた端部デッキ材300aの固定方法の1例を説明する。
(1)図7に示すように、上記デッキ材固定金具Aを用いた場合と同様にして通常のデッキ材300を敷設する。
(2)端部デッキ材300aに残った被挟持部311側を、隣接するデッキ材300側に向けて根太200上に敷くとともに、端部デッキ材300aに残った被挟持部311側をデッキ材固定金具100によって固定する。
(3)脚部2cを端部デッキ材300aの切断端面に略当接させるとともに、弾性係止部3cを端部デッキ材300aの上面に当接させた状態で固定部1cを根太200の側面201にビス220を用いて固定する。
すなわち、この状態で端部デッキ材300aの切断端側の端部が弾性係止部3cと根太200との間で挟持され、端部デッキ材300aがばたつかないように固定される。
【0036】
このデッキ材固定金具Cは、上記のようになっているので、通常のデッキ材300を切断することによって被挟持部311がなくなった端部デッキ材300aを用いた場合にも端部デッキ材300aをばたつかないように固定することができる。
しかも、端部デッキ材300aの長手方向の端部だけではなく、中央部も固定できる。
また、このデッキ材固定金具Cは、デッキ材300の固定にも使用できる。
【0037】
図8は、本発明3の第1の実施の形態をあらわしている。
図8に示すように、このデッキ材固定金具Dは、固定部1dと、立ち上がり部2dと、2つの弾性挟持部3dとを備えている。
【0038】
固定部1dは、上記デッキ材固定金具Aの固定部1aと同様にビスなっている。
立ち上がり部2dは、固定部1dが後述するように根太200に固定された状態で、固定部1dの上方に延出している。
【0039】
2つの弾性挟持部8は、固定部6が後述するように根太200に固定された状態で、立ち上がり部7の水平方向の両側縁から固定部1dに直交する方向に延出している。
また、2つの弾性挟持部3dは、その対向面35と対向面35との間隔がデッキ材300及び端部デッキ材300aの筒状中空部320と筒状中空部320との隔壁330の厚みと略同じか少し狭くなっている。
【0040】
つぎに、図9を用いて、このデッキ材固定金具Dを用いた端部デッキ材300aの固定方法の1例を説明する。
(1)図9に示すように、上記デッキ材固定金具Aを用いた場合と同様にして通常のデッキ材300を敷設する。
(2)端部デッキ材300aに残った被挟持部311側を、隣接するデッキ材300側に向けて根太200上に敷くとともに、端部デッキ材300aに残った被挟持部311側をデッキ材固定金具100によって固定する。
(3)最も端部デッキ材300aの切断端側の隔壁330を2つの弾性挟持部3dの間に嵌り込むとともに、立ち上がり部2dが端部デッキ材300aの端面にほぼ接するようにデッキ材固定金具Dを装着した状態で固定部1dを根太200の側面201にビス220を用いて固定する。
すなわち、この状態で端部デッキ材300aの切断端側の端部がばたつかないように固定される。
【0041】
このデッキ材固定金具Dは、上記のようになっているので、通常のデッキ材300を切断することによって被挟持部311がなくなった端部デッキ材300aを用いた場合にも端部デッキ材300aをばたつかないように固定することができる。
また、このデッキ材固定金具Bは、隔壁330を利用してデッキ材300の固定にも使用できる。
なお、このデッキ材固定金具Dは、隔壁330が2つの弾性挟持部3dの間に嵌り込みやすくするために、対向面35の先端側の上下方向のコーナー部をR状に面取りすることが好ましい。
【0042】
なお、本発明のデッキ材固定金具は、上記の実施の形態に限定されない。
【符号の説明】
【0043】
A,B,C,D デッキ材固定金具
1a,1b,1c,1d 固定部
2a,2b,2c 脚部
2d 立ち上がり部
3a,3b,3d 弾性挟持部
3c 弾性係止部
31 挟持部本体
32 補強リブ
33 挟持部本体
34 横ズレ防止部
35 対向面
200 根太(構造材)
220 ビス
300 デッキ材(通常のデッキ材)
300a 端部デッキ材
320 筒状中空部
330 隔壁
340 底壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に貫通する筒状中空部を備えるデッキ材を、このデッキ材が下方から支持される構造材に固定するデッキ材固定金具であって、
前記構造材の側面にねじ固定される固定部と、
この固定部から延設されるとともに、前記構造材に固定部が固定された状態でデッキ材の長手方向の壁面の下端部に沿うように配置される脚部と、
この脚部から延設されるとともに、前記構造材に固定部が固定された状態で前記筒状中空部内に入り込むとともに、前記筒状中空部の底壁を構造材上面との間で弾性挟持する弾性挟持部と、
を備えていることを特徴とするデッキ材固定金具。
【請求項2】
弾性挟持部が、底壁を弾性挟持する挟持部本体と、挟持部本体の幅方向両側から立ち上がり、筒状中空部の側壁に当接するデッキ材横ズレ防止部とを備えている請求項1に記載のデッキ材固定金具。
【請求項3】
長手方向に貫通する筒状中空部を備えるデッキ材を、このデッキ材が下方から支持される構造材に固定するデッキ材固定金具であって、
前記構造材の側面にねじ固定される固定部と、
この固定部から延設されるとともに、前記構造材に固定部が固定された状態でデッキ材の短手方向の壁面に沿うように配置される脚部と、
この脚部から延設されるとともに、デッキ材の短手方向の上端縁に弾性係止される弾性係止部と、
を備えていることを特徴とするデッキ材固定金具。
【請求項4】
長手方向に貫通する筒状中空部を複数平行に備えるとともに、長手方向に連続する凹溝が側面に設けられたデッキ材を、このデッキ材が下方から支持される構造材に固定するデッキ材固定金具であって、
前記構造材の側面にねじ固定される固定部と、
前記構造材に固定部が固定された状態でデッキ材の長手方向の端面に対面するように固定部から立ち上がる立ち上がり部と、
前記構造材に固定部が固定された状態でこの立ち上がり部から対面するようにデッキ材の長手方向に延出し、隣接する筒状中空部間の隔壁部を対向面間で弾性挟持する2つの弾性挟持部と、
を備えていることを特徴とするデッキ材固定金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−172300(P2012−172300A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31910(P2011−31910)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】