説明

デッキ材支持構造

【課題】施工が容易且つ正確に行え、意匠性に優れると共に、デッキ材の上を歩行する歩行者に安全なデッキ床を構成できるデッキ材支持構造を提供する。
【解決手段】複数のデッキ材d1,d2を基礎C,Bの上方で支持するデッキ材支持構造Kであって、基礎であるコンクリートスラブCと複数のコンクリートブロックBとの上に固定される土台1と、係る土台1の上面の凹溝8内で下フランジ12が固定される支持部材10とを含み、複数のデッキ材d1,d2は、それらの側面に開口するスリットsに上記支持部材10の上フランジ14が嵌装することにより、係止され且つ支持される、デッキ材支持構造K。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、屋内や屋外に配置されるベランダや渡り廊下などのデッキ床を構成するために好適で、木製などの長尺なデッキ材をコンクリートスラブなどの基礎上に複数配置して、所要広さの床面を形成することができるデッキ材支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
デッキ床を構成する床構造として、コンクリートスラブの上に立設した支持具のボルトに円盤状の支持板を支持し、係る支持板の上に載置した複数の床パネル体を、当該床パネル体を貫通するボルトとこれに締結する締付部材とからなる固定部材により、固定する床構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2001−241171号公報(第1〜8頁、図1〜13)
【0004】
しかしながら、前記床構造では、コンクリートスラブの上に支持具のボルトを立設する際に、その立設すべき位置に誤差やズレを生じ易いため、施工が困難になることがある。また、コンクリートスラブと支持具のボルトとの間には、硬質ゴムの支持台部が介在しているが、床パネル体に加わる荷重は、支持具のボルトに集中するため、人が歩行する際の衝撃を分散したり、吸収することができない。
更に、床パネル体の上方から締付部材を固定部材のボルトに締結するため、各床パネル体の表面には、上記締付部材およびこれを受け入れる拡径部が露出する。このため、デッキ床の外観および意匠性を損なうと共に、床パネル体の上を例えば裸足で歩行する歩行者にとって、怪我の危険を回避すべく、足元への注意が常に必要となる、という問題もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前述した背景技術における問題点を解決し、施工が容易且つ正確に行えると共に、意匠性に優れ且つデッキ材の上を歩行する歩行者にとって安全なデッキ床を構成できるデッキ材支持構造を提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、デッキ床を構成する複数のデッキ材を、それらの側面で係止する、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明のデッキ材支持構造(請求項1)は、複数のデッキ材を基礎の上方で支持するデッキ材支持構造であって、基礎の上に固定される土台と、係る土台の上面に固定される支持部材とを含み、複数のデッキ材は、その側面で上記支持部材に係止されて支持される、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、複数のデッキ材は、それらの側面で支持部材に係止され且つ土台の上方に支持されるため、各デッキ材を貫通するネジやボルトをなくすか、あるいは低減することができる。このため、得られるデッキ床の意匠性が向上すると共に、デッキ材の上を歩行する歩行者の安全性も図ることが可能となる。
尚、前記基礎は、例えば、コンクリートスラブ、または係るスラブとその上に配置した複数のコンクリートブロックとからなる。また、前記土台は、後述するようにアルミニウム合金からなる長尺な押出形材を用いるが、これに限るものではない。更に、前記支持部材は、上記押出形材を所要長さに切断したものを用いるが、これに限らず、H型鋼を所要長さに切断したものを用いても良い。
【0008】
また、本発明には、前記支持部材は、互いに平行な上フランジおよび下フランジと、これらの間を連結する垂直なウェブとを備え、下フランジは、土台の上面に固定される共に、上フランジは、隣接するデッキ材の各側面に設けたスリットに挿入される、デッキ材支持構造(請求項2)も含まれる。
これによれば、複数のデッキ材は、それらの側面のスリットに支持部材の上フランジが嵌装することで所定の位置に係止される。このため、各デッキ材の位置決めが正確にでき、デッキ床の施工を容易且つ迅速に行うことが可能となる。
【0009】
更に、本発明には、前記土台は、アルミニウム合金の押出形材からなり、前記基礎の上に載置される中空部を内設する本体と、係る本体の側面における下端から水平に延びて上記基礎に固定される固定フランジと、上記本体の上面に位置し前記支持部材の下フランジを嵌装する凹溝と、を全長に沿って有する、デッキ材支持構造(請求項3)も含まれる。
これによれば、土台自体の寸法および形状精度が高くなるため、当該土台上の凹溝内における任意の位置に、支持部材を正確且つ容易に配置して固定できる。このため、各種サイズのデッキ材に対し、容易に対応して施工することができる。また、デッキ材の重量や歩行者の歩行に伴う荷重を支持部材を介して、土台全体により確実に支持することができる。しかも、土台自体が軽量で高強度且つ高耐食性であるため、施工し易く耐久性に優れたデッキ床を形成することが可能となる。
尚、前記土台の長手方向と支持部材の上・下フランジ間に位置するウェブの長手方向とは、直交する(土台とデッキ材との長手方向が直交する)形態の他、互いに平行となる(土台とデッキ材との長手方向が平行となる)形態も含まれる。
【0010】
また、本発明には、前記土台は、前記凹溝の底面に沿って少なくとも1つの樋が形成されている、デッキ材支持構造(請求項4)も含まれる。
これによれば、デッキ材同士間の隙間から土台の凹溝内に入った雨水を、上記樋を通じて当該土台の木口(両端の端面)から容易に排水することができると共に、土台を含めたデッキ床のメンテナンスも容易となる。
更に、本発明には、前記土台は、前記凹溝の両側に一対の凸条を突設しており、係る凸条により前記複数のデッキ材の底面を支持する、デッキ材支持構造(請求項5)も含まれる。
これによれば、土台における凹溝の両側から上方に突出する一対の凸条の何れかに、各デッキ材の底面を支持した状態で、各デッキ材のスリットに支持部材の上フランジが嵌装して各デッキ材を係止する。このため、各デッキ材の重量や歩行者の荷重を凸条を介して、土台全体により支持することができる。
尚、土台を前記押出形材で形成するに際しては、後述するように、一対の凸条の厚みをその他の部位よりも厚肉とすることが望ましい。
【0011】
また、本発明には、前記土台における一対の凸条は、断面ほぼT字であると共に、当該一対の凸条間の凹溝に嵌装される前記支持部材との間に樋部を形成する、デッキ材支持構造(請求項6)も含まれる。
これによれば、断面ほぼT字を呈する上記一対の凸条の各内側片と、これらの間の凹溝内に嵌装される前記支持部材との間に、当該凹溝の一部である樋部が一対形成される。この結果、デッキ材同士間の隙間から土台の凹溝内に入った雨水を、上記樋部を通じて当該土台の木口から容易に排水することができる。
加えて、本発明には、前記土台と前記基礎との間に、弾性を有するパッキンが介在している、デッキ材支持構造(請求項7)も含まれる。
これによれば、複数のデッキ材、支持部材、および土台などの荷重をパッキンを介して、コンクリートスラブなどの基礎に支持させるため、基礎への集中荷重や衝撃荷重を低減したり、減衰することができる。尚、上記パッキンは、例えば、硬質ゴムや硬質合成樹脂からなり、前記支持部材ごとの直下における土台の下側に配置する形態の他、土台の底面のほぼ全長に沿って配置する形態としても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下において、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明のデッキ材支持構造Kの要部を示す斜視図、図2は、図1中のX−X線の矢視に沿った垂直断面図、図3は、図2中のY−Y線の矢視に沿った垂直断面図である。
図1〜図3に示すように、本発明のデッキ材支持構造Kは、コンクリートスラブCの上に配置したコンクリートブロック(以下、ブロックと称する)B上に固定される土台1と、係る土台1の上に固定される支持部材10と、係る支持部材10に側面を係止されて支持される複数のデッキ材d1,d2と、を備えている。
ブロックBは、複数個がコンクリートスラブCの上に等間隔で図示しないモルタルを介して固着される。尚、係るブロックBと上記スラブCとは、本発明の基礎を構成する。また、上記スラブCは、建物の屋上または土間コンクリートなどであり、ブロックBを除いた当該スラブCのみでも本発明の基礎を構成し得る。
【0013】
ブロックBの上面には、硬質の合成ゴムまたは合成樹脂などからなり且つ弾性を有する複数のパッキン9を介して、長尺な土台1が配置される。係る土台1は、アルミニウム合金(例えば、JIS:A6063S−T5)の押出形材からなり、図2に示すように、複数の中空部3を内設する断面長方形の本体2と、係る本体2の両側面の下端から外側に水平に延びる一対の固定フランジ5と、本体2の両側面の上端から上向きに突出する左右一対の凸条6と、係る凸条6,6の間で且つ本体2の上面に位置する凹溝8と、を図示の前後方向の全長に沿って有する。
【0014】
土台1の本体2は、左右一対の仕切壁4により、大小三つの中空部3を内設している。また、左右一対の固定フランジ5には、コンクリートネジnが、パッキン9を貫通し且つブロックB中に達することで、当該土台1を固定している。
土台1における一対の凸条6は、本体2の厚みよりも厚肉であり、係る凸条6が支持すべきデッキ材d1,d2の底面に接触してこれらを支持する。因みに、土台1の本体2は、高さ:33mm×幅:56mm、固定フランジ5は、幅:約30mm×厚み:2mm、凸条6は、縦:7mm×横:8mmのサイズである。
【0015】
図1〜図3に示すように、ブロックBおよびパッキン9の真上で且つ土台1の凹溝8内には、支持部材10が固定される。係る支持部材10は、前記同様の押出形材を所定の長さに切断したもので、図3に示すように、土台1の凹溝8に嵌装される下フランジ12と、係る下フランジ12の中央から立設するウェブ13と、係るウェブ13の上端から下フランジ12と平行に延びる上フランジ14と、を図示の前後方向に沿って有する。下フランジ12の上面の左右には、一対の溝15が個別に形成され、当該支持部材10を土台1に固定するネジnの頭を受け入れる。また、下フランジ12の底面の中央には、幅広の溝16が位置する。
因みに、支持部材10の下フランジ12は、幅:70mm×厚み:7mm、ウェブは、高さ:約9mm×厚み:約3mm、上フランジ14は、幅:20mm×厚み:約3mmのサイズである。
尚、上記ネジnは、セルフタッピングスクリューネジであり、少なくとも支持部材10の下フランジ12における一方の溝15側で用いられる。
【0016】
図1〜図3に示すように、デッキ材d1,d2は、土台1の凸条6,6に載置され且つ支持部材10のウェブ13と平行に配置される。係るデッキ材d1,d2は、それらの側面に形成されたスリットsに支持部材10の上フランジ14の左右の約半分が挿入されることで、当該支持部材10に係止される。尚、デッキ材d1,d2の長手方向は、支持部材10のウェブ13と平行で且つ土台1の長手方向と直交する方向、即ち、図1,2の左右方向で且つ図3の前後方向である。
デッキ材d1,d2は、平面視が長方形を呈し、幅:約30cm×厚み:約3cmの断面で且つ長さ:数メートルの外形サイズである。これらは、例えば、木材粉粒と合成樹脂とを混合し且つ上記外形サイズに押出成形した後、各側面の長手方向で且つ平面方向に沿って、深さ:約10mm×幅:約3mmのスリットsを、例えば鋸引きで水平に形成したものである。
【0017】
尚、デッキ材d1,d2の内部には、図示しない中空部を形成しても良い。また、デッキ材d1,d2は、天然の木材から形成しても良い。
以上のようなデッキ材支持構造Kによれば、パッキン9を介して複数のブロックB上に跨り且つ押出形材からなる土台1が固定され、係る土台1上面の凹溝8に下フランジ12が嵌装され且つ固定された支持部材10の上フランジ14が、隣接するデッキ材d1,d2の側面のスリットsに挿入・係止される。このため、デッキ材d1,d2の荷重や歩行者による衝撃は、土台1の凸条6,6で支持され、且つパッキン9により緩衝される。しかも、デッキ材d1,d2は、スリットSに支持部材10の上フランジ14を挿入して係止されるため、孔明け加工や固定用のボルト締結またはネジ止め作業が不要で、容易且つ精度良く施工できると共に、歩行者の安全が図れ、デッキ床全体の意匠性も良好にすることができる。
【0018】
ここで、前述したデッキ材支持構造Kの施工方法について説明する。
図4に示すように、予め、複数のブロックBをコンクリートスラブCの上に、図示しないモルタルを介して、図示で左右および前後方向に沿って等間隔に固着する。次に、各ブロックBの上にパッキン9を配置し、これらの上に跨って、土台1を図4の前後方向に沿って載置し、コンクリートネジnを土台1の固定フランジ5からパッキン9を経て直下のブロックBごとに打ち込んで、固定する。
次いで、図5に示すように、ブロックBおよびパッキン9の真上に位置する土台1の凹溝8内に支持部材10の下フランジ12を嵌装し、当該下フランジ12の何れか一方の辺を、上記ネジnにより土台1の本体2に固定する。係る支持部材10は、図5において、各土台1ごとの前後方向に沿って、30cmピッチの間隔で且つブロックBとパッキン9との真上の位置ごとに複数個が固定される。
【0019】
更に、図6に示すように、左右の支持部材10の上フランジ14における上方の半分(上半部)を、デッキ材d1,d1の各スリットsに挿入することで、これらのデッキ材d1を各支持部材10に係止する。
図6中で左側の支持部材10では、図示で左右に隣接するデッキ材d1,d1,の各スリットsに、同じ上フランジ14の上半部が挿入される。また、図6中で右側の支持部材10では、右側のデッキ材d1,d2におけるスリットsの中間に、上フランジ14の上半部が挿入される。尚、各デッキ材d1の長手方向は、図6において左右方向に沿っている。
次に、図6に示すように、左右の支持部材10の上フランジ14における下方の半分(下半部)に、デッキ材d2,d2の各スリットsを前記同様に挿入して、これらのデッキ材d2を各支持部材10に係止する。この結果、図6中で左側の支持部材10では、4枚のデッキ材d1,d1,d2,d2の各スリットsの出端部が係止され、右側の支持部材10では、図示で上下2枚のデッキ材d1,d2の各スリットsの中間が係止される。
尚、図6の中程に示すように、上下に隣接するデッキ材d1,d2の間には、支持部材10のウェブ13の厚みにほぼ相当する隙間Sが形成される。
【0020】
前記図5,図6で示した施工作業は、実用的には、図7のようにして行われる。
図7の上段に示すように、複数のブロックBに跨り且つ複数のパッキン9を介して固定された土台1の凹溝8内で且つ図示で右側のブロックBの真上に、下フランジ12をネジn止めして支持部材10を固定する。尚、複数のブロックBの間隔は、約30cmで且つデッキ材d1,d2の幅寸法とほぼ同じである。また、図示の前後にも、図示しない土台1が平行に配置されている。
次に、係る支持部材10の上フランジ14における左側の半分(左半部)をスリットsに挿入するようにして、デッキ材d1を土台1の凸条6の上に載置する。
【0021】
次いで、図7の中段に示すように、上記デッキ材d1のスリットsに、新たな支持部材10の上フランジ14における右側の半分(右半部)を挿入した後、同図の中央に示すように、当該支持部材10をその下フランジ12の左片側でネジn止めする。
更に、図7の下段に示すように、中央で土台1に固定された上記支持部材10の上フランジ14の左半部をスリットsに挿入するようにして、新たなデッキ材d2を中央の土台1の凸条6の上に載置する。
そして、上記デッキ材d2のスリットsに、更に新たな支持部材10の上フランジ14の右半部を挿入した後、図7の下段の左側に示すように、当該支持部材10をその下フランジ12の左片側でネジn止めする。
以上の作業を繰り返すことにより、デッキ材d1〜dnと複数の支持部材10とを、土台10の上に順次固定することができる。
【0022】
図8は、デッキ材支持構造Kを用い、幅方向に沿って8枚のデッキ材d1〜d8を、それらの長手方向に2段にして構築したデッキ床Dを示す平面図である。
図8に示すように、左右方向に沿って8枚で上下方向に2枚ずつ敷設された合計16枚のデッキ材d1〜d8は、図8中の上端・下端・左端・右端の位置のものを除き、直下にブロックBが位置する土台1上に固定された支持部材10の上フランジ14を、長手方向の両側面におけるスリットsに挿入して係止される。
図8で左右方向の両端に位置する土台1の上には、図8中のZ−Z線の矢視に沿った断面図である図9に示すように、前記上フランジ14とウェブ13との断面T字形の部分を切除し、下フランジ12からなる支持部材10′が前記同様に固定される。係る支持部材10′の上方に配置されるデッキ材d1,d8は、これらと支持部材10′とを貫通し且つ土台1の本体2に達する長尺なネジNによって固定される。
【0023】
また、図8で上端に位置する土台1の端部上方には、図8中のV−V線の矢視に沿った断面図の図10に示すように、係止金具20が固定される。
係る係止金具20は、前記同様の押出形材を所定の長さに切断したもので、土台1の凹溝8に嵌装される角形板部21と、その外側端から土台1の凸条6の上方に延びるL形部22と、係るL形部22の先端から立設する垂直部23と、その上端から内側に水平に延びる係止片24と一体にを有する。係る支持金具20の上方に配置されるデッキ材d1〜d8の一端の下隅には、図10で例示するように、上記L形部22を受け入れる切り欠きkを予め形成しておく。
そして、図10に示すように、支持金具20の上方に配置されるデッキ材d1〜d8の一端部は、係る端面である側面に開口するスリットsに、支持部材20の係止片24を挿入することによって係止される。
【0024】
更に、図8で下端に位置する土台1の上には、図8中のW−W線の矢視に沿った断面図である図11に示すように、予め、先に土台1の凸条6,6に載置され且つ長手方向の側面および一端側の出隅部のスリットsを介して、前記支持部材10ごとに係止されたデッキ材d1〜d8の他端が位置している。
係るデッキ材d1〜d8の他端側を係止するため、図11で例示するような係止金具25を用いる。係る係止金具25は、前記同様の押出形材を所定の長さに切断したもので、土台1の本体2の外側面に添接して固定されるベース部26と、その上端から外側の凸条6に沿って上向きに延びるL形部27と、その上端から内側に水平に延びる係止片28と、を一体に有する。
そして、図10に示すように、支持部材25の係止片28をデッキ材d1〜d8の他端側の側面に開口するスリットsに挿入した後、ベース部26を土台1の本体2にネジnで固定することにより、デッキ材d1〜d8の他端側を係止することができる。
【0025】
図8に示すデッキ床Dを構成するには、予め、図8中で最上端の土台1上に複数の支持金具20を等間隔に固定し、係る最上端の土台1の左右両端部とその他の土台1の左右両端部とに前記支持部材10′をそれぞれ固定する。
次に、図8で上段側のデッキ材d1〜d8と、それらの間に配置して係止する支持部材10とを、前記図7で示したように、交互に配置し且つ各支持部材10をネジnで土台1に固定する。この際、デッキ材d1〜d8の上端(一端)の側面のスリットsには、支持金具20の係止片24が挿入される。また、左右両端のデッキ材d1,d8の外側面側では、前記長尺なネジNを、当該デッキ材d1,d8と支持部材10′とに貫通させて、直下の土台1に固定する。
【0026】
更に、図8で下段側のデッキ材d1〜d8と、それらの間に配置して係止する支持部材10とを、前記図7で示したように、交互に配置し且つ各支持部材10をネジnで土台1に固定すると共に、左右両端のデッキ材d1,d8の外側面側を上記と同様にして固定する。
最後に、図8の下段側で支持金具10に係止されているデッキ材d1〜d8の下端(他端)の側面に開口するスリットsに、前記支持金具25の係止片28を挿入した後、当該支持金具25のベース部26を、図8で最下段の土台1の本体2の側面にネジnによって固定する。
【0027】
以上のようなデッキ床Dは、合計16枚のデッキ材d1〜d8からなり、これらの左右両端の外側面側のみに前記ネジNの頭が露出するのみであるため、歩行者の安全が確保し易くなり、外観の意匠性にも優れると共に、デッキ材d1〜d8を精度良く容易且つ迅速に施工することができる。
尚、デッキ床Dは、前記図8で、全ての土台1の左右両端部と最下段の中間とに支持部材10′をそれぞれ固定し、前記長尺なネジNでデッキ材d1〜d8の外周部を固定するような形態としても良い。また、支持部材10′に替えて、前記支持部材10の下フランジ12と同じ板厚で同様なサイズの平らな金属板を用いても良い。
【0028】
本発明は、以上において説明した各形態に限定されるものではない。
例えば、図12,図13に示すように、土台1の長手(押出)方向に沿って、等間隔に複数の支持部材10をそれらの押出方向と平行に配置して固定し、係る支持部材10の上フランジ14をデッキ材d1,d2のスリットsに挿入して、隣接するデッキ材d1,d2を係止するデッキ材支持構造K′としても良い。
上記デッキ材支持構造K′の場合、土台1の長手方向とデッキ材d1,d2の長手方向とを平行とすることで、デッキ材d1,d2の自重と歩行者の歩行による振動や荷重を長い一対の凸条6,6によって支持することができる。尚、デッキ材支持構造K′に用いる土台1と支持部材10とを、単一の押出形材で形成するようにしても良い。
【0029】
また、土台1の凹溝8内に溜まる雨水を排水するため、支持部材10,10間ごとの凸条6に切り欠きをそれぞれ設けたり、本体2の上壁と下壁とにドリルによる貫通孔を明けるようにしても良い。
更に、凹溝8内に溜まる雨水を容易に排水するため、図14に示すような土台1aを用いても良い。係る土台1aも、前記同様の押出形材からなり、図14の断面図で示すように、本体2の中央部に高さの低い中空部3を設け、その真上の凹溝8の中央付近に断面凹形の樋7aを図示の前後方向に沿って形成している。また、凹溝8の両側には、断面がほぼ逆L字形の凸条6aが左右対称に立設されている。
係る土台1aの場合、支持部材10は、図14に示すように、下フランジ12を凹溝8の左右の底面上に載置され、前記ネジnを下フランジ12から本体2にネジ込むことで固定される。また、凹溝8に入った雨水は、中央の樋7aを通じて当該土台1aの木口(両端面)側から排水される。このため、前記土台1のように、支持部材10,10間ごとにドリルで孔明け加工する必要がないか、係る孔明け加工を低減できると共に、メンテナンスも容易となる。
【0030】
また、図15に示す土台1bを用いても良い。係る土台1bも、前記同様の押出形材からなり、図15の断面図で示すように、本体2の中央付近に高い中空部3を設け、その両側の低い中空部3,3の真上である凹溝8の左右に断面凹形の樋7b,7bを図示の前後方向に沿って形成すると共に、凹溝8の両側には、断面がほぼ逆L字形の凸条6aを対称に立設している。
係る土台1bの場合、支持部材10は、図15に示すように、下フランジ12を凹溝8の中央に位置する底面上に載置され、ネジnを下フランジ12から本体2にネジ込むことで固定される。また、凹溝8に入った雨水は、左右の樋7bを通じて当該土台1bの木口側から排水される。従って、前記同様に排水孔の孔明け加工が不要となるか、低減できると共に、メンテナンスも容易となる。
【0031】
更に、図16,図17に示す土台1cを用いても良い。係る土台1cも、前記同様の押出形材からなり、図16の断面図と図17の斜視図とで示すように、前記土台1と同様な本体2と固定フランジ5とを有すると共に、凹溝8の両側には、断面ほぼT字形の凸条6bを左右対称に立設している。各凸条6bの凹溝8側に延びた内側片6cは、凹溝8の開口部を若干狭めている。
係る土台1cの場合、支持部材10は、図16,図17に示すように、下フランジ12を凹溝8の底面上に載置され、且つ前記ネジnを本体2にネジ込むことで固定される。この際、支持部材10と各凸条6bとの間には、凹溝8の一部である樋部8a,8aが形成される。このため、凹溝8に入った雨水は、左右の樋部8aを通じて当該土台1cの木口側から排水されので、前記同様に排水孔の孔明け加工が不要となるか、低減できると共に、メンテナンスも容易となる。
以上のような土台1a,1b,1cを用いることでも、前記デッキ材支持構造Kを形成でき且つ前記デッキ床Dを構成することができる。
【0032】
また、前記支持部材10の上フランジ14は、平坦な板形状に限らず、先端からウェブ13に向かって徐々に厚肉になる形態や、上下の表面に鋸歯形状の細かな凹凸群を設けた形態としても良い。あるいは、一つの支持部材10に上下二つの上フランジ14を併設しても良い。
更に、前記コンクリートスラブCが水勾配を有する場合には、低位置側のブロックBの下方にレベル出し用のモルタルを充填したり、ジャッキを介在させても良い。また、土台が設置された基礎は、上記コンクリートスラブCに限らず、複数の布基礎や複数の独立基礎としたり、整地され且つ砂利が均一な高さで敷設された地面であっても良い。
加えて、基礎の上で且つ土台との間に介在されるパッキンは、支持部材10などの直下のみに限らず、土台の全長に沿って配置するようにしても良い。
尚、本発明のデッキ材支持構造は、建物の屋上や建物の周囲に限らず、舞台のような独立したデッキ面を形成する場合にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のデッキ材支持構造の要部を示す斜視図。
【図2】図1中のX−X線の矢視に沿った垂直断面図。
【図3】図2中のY−Y線の矢視に沿った垂直断面図。
【図4】上記デッキ材支持構造の施工方法を示す概略図。
【図5】図4に続くデッキ材支持構造の施工方法を示す概略図。
【図6】上記施工方法により得られたデッキ材支持構造を示す部分平面図。
【図7】上記デッキ材支持構造の施工方法における手順を示す概略図。
【図8】上記デッキ材支持構造により得られたデッキ床の概略を示す平面図。
【図9】図8中のZ−Z線の矢視に沿った断面図。
【図10】図8中のV−V線の矢視に沿った断面図。
【図11】図8中のW−W線の矢視に沿った断面図。
【図12】異なる形態のデッキ材支持構造を示す図2と同様な断面図。
【図13】図12中のU−U線の矢視に沿った垂直断面図。
【図14】異なる形態の土台とこれに固定した支持部材とを示す部分概略図。
【図15】更に異なる形態の土台と支持部材とを示す部分概略図。
【図16】別異な形態の土台とこれに固定した支持部材とを示す部分概略図。
【図17】上記土台とこれに固定した支持部材とを示す斜視図。
【符号の説明】
【0034】
1,1a〜1c…土台
2…………………本体
3…………………中空部
5…………………固定フランジ
6,6a,6b……凸条
7a,7b………樋
8…………………凹溝
8a………………樋部
9…………………パッキン
10………………支持部材
12………………下フランジ
13………………ウェブ
14………………上フランジ
K,K′…………デッキ材支持構造
d1〜d8………デッキ材
s…………………スリット
C…………………コンクリートスラブ(基礎)
B…………………コンクリートブロック(基礎)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデッキ材を基礎の上方で支持するデッキ材支持構造であって、
基礎の上に固定される土台と、
上記土台の上面に固定される支持部材とを含み、
複数のデッキ材は、その側面で上記支持部材に係止されて支持される、
ことを特徴とするデッキ材支持構造。
【請求項2】
前記支持部材は、互いに平行な上フランジおよび下フランジと、これらの間を連結する垂直なウェブとを備え、
下フランジは、土台の上面に固定される共に、
上フランジは、隣接するデッキ材の各側面に設けたスリットに挿入される、
ことを特徴とする請求項1に記載のデッキ材支持構造。
【請求項3】
前記土台は、アルミニウム合金の押出形材からなり、
前記基礎の上に載置される中空部を内設する本体と、係る本体の側面における下端から水平に延びて上記基礎に固定される固定フランジと、上記本体の上面に位置し前記支持部材の下フランジを嵌装する凹溝と、を全長に沿って有する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のデッキ材支持構造。
【請求項4】
前記土台は、前記凹溝の底面に沿って少なくとも1つの樋が形成されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のデッキ材支持構造。
【請求項5】
前記土台は、前記凹溝の両側に一対の凸条を突設しており、係る凸条により前記複数のデッキ材の底面を支持する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載のデッキ材支持構造。
【請求項6】
前記土台における一対の凸条は、断面ほぼT字であると共に、当該一対の凸条間の凹溝に嵌装される前記支持部材との間に樋部を形成する、
ことを特徴とする請求項5に記載のデッキ材支持構造。
【請求項7】
前記土台と前記基礎との間に、弾性を有するパッキンが介在している、
ことを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のデッキ材支持構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2006−77446(P2006−77446A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261885(P2004−261885)
【出願日】平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】