説明

デンプン生合成酵素の熱安定変異体

【課題】熱ストレス条件下で増殖する植物の収量が増加する熱安定性が増加したデンプン生合成酵素酵素の提供。
【解決手段】トウモロコシ内胚葉ADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGP)および可溶性のデンプンシンターゼ(SSS)酵素活性をコードする変異体ポリヌクレオチド分子。該変異体ポリヌクレオチドを含むように交配された、またはそれによって形質転換され、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを発現する植物および植物組織。該ポリヌクレオチドおよび該ポリペプチドを単離する方法。熱ストレス条件下で増殖する植物の収量を増加させる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国国立科学財団助成金番号第9316887号によって政府の支援を受けて行われた。米国政府は本発明に一定の権利を有する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、1997年11月18日に提出された同時係属中の米国特許出願第08/972,545号、現在は米国特許第6,069,300号の一部継続出願である1999年5月14日に提出された同時係属中の米国特許出願第09/312,433号の一部継続出願である。本出願はまた、1998年5月14日に提出された米国特許出願第60,085,460号および1996年11月18日に提出された米国特許出願第60/031,045号からの優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
植物生命体は固着であるという性質のために、植物の生長および発育に対して正および負の影響を及ぼす環境要因に絶えず曝露されている。近代農業が直面する主要な障害の一つは、有害な環境条件である。有意な作物の損失を引き起こす一つの重要な要因は、熱ストレスである。温度ストレスはトウモロコシ、小麦、およびオオムギのような多くの穀物の穀粒収量を大きく減少させる。熱ストレスによる収量の減少は世界的に重要な穀類の7〜35%に及ぶ。
【0004】
多くの研究によって、熱ストレスについて可能性がある生理的結末が同定されている。生育チャンバー条件を用いたHunterらによる初期の研究(Hunter, R.B., Tollenaar, M.,およびBreuer, C.M.[1997]Can. J. Plant Sci. 57:1127〜1133(非特許文献1))は、温度がトウモロコシにおける穀粒の充実期間を短縮することを示した。TollenaarおよびBruulsema(Tollenaar, M.およびBruulsema, T.W.[1998]Can. J. Plant Sci. 68:935〜940(非特許文献2))によって、穀粒充実期間が温度上昇によって有害に変化したという類似の結果が明らかにされた。Badu-Aprakuら(Badu-Apraku, B., Hunter, R.B.,およびTollenaar, M.[1983]Can. J. Plant Sci. 63:357〜363(非特許文献3))は、昼/夜温度レジメが25/15℃の場合と比較して35/15℃で生育させたトウモロコシ植物では収量が顕著に減少することを測定した。温度増加による収量の減少はまた、気候学研究と共に歴史学研究によっても支持される(Thompson, L.M.[1986]Agron.J. 78:649〜653(非特許文献4);Thompson, L.M.[1975]Science 188:535〜541(非特許文献5);Chang, J.[1981]Agricul. Metero. 24:253〜262(非特許文献6);ならびにConroy, J.P., Seneweera, S., Basra, A.S., Rogers, G.およびNissen-Woller, B.[1994]Aust. J. Plant. Physiol. 21:741〜758(非特許文献7))。
【0005】
種子を発達させる生理的プロセスが熱ストレスによって負の影響を受けることは、インビトロの穀粒培養系を用いる研究からも明らかである(Jones, R.J., Gengenbach, B.G.,およびCardwell, V.B.[1981]Crop Science 21:761〜766(非特許文献8);Jones, R.J., Ouattar, S.,およびCrookston, R.K.[1984]Crop Science 24:133〜137(非特許文献9);ならびにCheikh, N.およびJones, R.J.[1995]Physiol. Plant 95:59〜66(非特許文献10))。35℃という最適な温度より高い温度で培養したトウモロコシ穀粒は、重量が劇的に減少した。
【0006】
コムギによる研究によって、熱ストレスに対するコムギ内胚葉反応の指標である可溶性デンプンシンターゼ(SSS)活性が失われることが明らかになった(Hawker, J.S.およびJenner, C.F.[1993]Aust. J. Plant. Physiol. 20:197〜209(非特許文献11);Denyer, K., Hylton, C.M.,およびSmith, A.M.[1994]Aust. J. Plant. Physiol. 21:783〜789(非特許文献12);Jenner, C.F.[1994]Aust. J. Plant. Physiol. 21:791〜806(非特許文献13))。コムギ内胚葉のSSSに関するさらなる研究は、これが熱不安定であることを示している(Rijven, A.H.G.C.[1986]Plant Physiol. 81:448〜453(非特許文献14);Keeling, P.L., Bacon, P.J., Holt, D.C.[1993]Planta 191:342〜348(非特許文献15);Jenner, C.F., Denyer, K.,およびGuerin, J.[1995]Aust. J. Plant. Physiol. 22:703〜709(非特許文献16))。
【0007】
トウモロコシの熱ストレス条件下でのSSSおよびADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGP)の役割は、あまり明確でない。(AGP)は、ATPとα-グルコース-1-ホスフェートのADPグルコースとピロホスフェートへの変換を触媒する。ADPグルコースは、植物によるデンプン生合成および細菌におけるグリコーゲン生合成におけるグリコシル供与体として用いられる。デンプン生合成の調節における重要な酵素としてADPグルコースピロホスホリラーゼが重要であることは、トウモロコシ(Zea mays)のデンプン欠損変異体の研究において認められた(Tsai, C.Y.,およびNelson, Jr., O.E.[1996]Science 151:341〜343(非特許文献17);Dickinson, D.B., J. Preiss[1969]Plant Physiol. 44:1058〜1062(非特許文献18))。
【0008】
Ou-LeeおよびSetter(Ou-Lee, T.およびSetter, T.L.[1985]Plant Physiol. 79:852〜855(非特許文献19))は、トウモロコシの雌穂の先端または先端領域に及ぼす温度の影響を調べた。温度を上昇させると、強いデンプン沈着期間において、AGP活性は基底部穀粒と比較して先端部穀粒では低かった。対照的に、通常の温度で生育させた穀粒では、この期間におけるAGP活性は先端および基底部穀粒において類似であった。しかし、この期間におけるデンプンシンターゼ活性は、先端部穀粒および基底部穀粒において差次的な影響を受けなかった。さらに、熱処理した先端部穀粒は、対照と比較してデンプンシンターゼ活性の増加を示した。これは、AGP活性については認められなかった。Singletaryら(Singletary, G.W., Banisadr, R.,およびKeeling, P.L.[1993]Plant Physiol. 102:6(補則)(非特許文献20);Singletary, G.W., Banisadra, R., Keeling, P.L.[1994]Aust. J. Plant. Physiol. 21:829〜841(非特許文献21))は、インビトロ培養系を用いて、穀粒充実期間における様々な温度の影響を定量した。種子重量は温度が22から36℃に上昇すると徐々に減少した。収量喪失におけるAGPの役割はまた、DukeおよびDoehlert(Duke, E.R.,およびDoehlert, D.C.[1996]Environ. Exp. Botany 36:199〜208(非特許文献22))の研究によっても支持される。
【0009】
Keelingら(1994、上記(非特許文献15))の研究は、Q10分析を用いてトウモロコシおよびコムギにおけるSSS活性を定量し、SSSがデンプンへの炭素の流入における重要な制御点であることを示した。
【0010】
AGPおよびSSSに関するインビトロ生化学研究は、双方の酵素が熱不安定性であることを明らかに示している。トウモロコシの内胚葉AGPは、57℃で5分間加熱するとその活性の96%を喪失する(Hannah, L.C., Tuschall, D.M.,およびMans, R.J.[1980]Genetics 95:961〜970(非特許文献23))。これは、ジャガイモのAGPが70℃でも十分に安定であることとは対照的である(Sowokinos, J.R.およびPreiss, J.[1982]Plant Physiol. 69:1459〜1466(非特許文献24);Okita, T.W., Nakata, P.A., Anderson, J.M., Sowokinos, J., Morell, J.,およびPreiss, J.[1990]Plant Physiol. 93:785〜90(非特許文献25))。SSSによる熱不活化研究から、これもまたより高温で不安定であることが示され、動力学研究から、温度が25から45℃に上昇するとアミロペクチンのKm値が指数的に上昇することが示された(Jennerら、1995、上記(非特許文献16))。
【0011】
生化学および遺伝子学による証拠から、AGPは、高等植物におけるデンプン生合成および大腸菌におけるグリコーゲン生合成における重要な酵素であると同定された(Preiss, J.およびRomeo, T.[1994]Progress in Nuc. Acid Res.およびMol. Biol. 47:299〜329(非特許文献26);Preiss, J.およびSivak, M.[1996]、「Photoassimilate distribution in plants and crops:source-sink relationships」における「Starch synthesis in sinks and sources」、Zamski, E.編、マーシルデッカーインク(Marcil Dekker Inc.)、139〜168頁(非特許文献27))。AGPは、デンプン生合成経路における第一段階であると考えられるるものを触媒し、反応産物は活性化グルコシル供与体、すなわちADPグルコースである。これは、多糖類ポリマーを伸長するためにデンプンシンターゼによって利用される(Hannah, L., Curtis[1996]、「Advances in Cellular and Molecular Biology of Plants」における「Starch synthesis in the maize endosperm」、第4巻、B.A. LarkinsおよびI.K. Vasil(編)、「Cellular and Molecular Biology of Planr Seed Development」、クルワーアカデミック出版(Kluwer Academic Publishers)、ドルトレヒト、オランダ(非特許文献28)において論評されている)。
【0012】
ジャガイモAGPによる最初の研究では、大腸菌において発現させると、天然の塊茎の酵素と非常に類似のアロステリックおよび速度論特性を有する酵素を生じることが示された(Iglesias, A., Barry, G.F., Meyer, C., Bloksberg, L., Nakata, P., Greene, T., Laughlin, M.J., Okita, T.W., Kishore, G.M.,およびPreiss, J.[1993]J. Biol. Chem. 268:1081〜86(非特許文献29);Ballicora, M.A., Laughlin, M.J., Fu, Y., Okita, T.W., Barry, G.F.,およびPreiss, J.[1995]Plant Physiol. 109:245〜251(非特許文献30))。Greeneら(Greene, T.W., Chantler, S.E., Kahn, M.L., Barry, G.F., Preiss, J.,およびOkita, T.W.[1996]Proc. Natl. Acad. Sci. 93:1509〜1513(非特許文献31);Greene, T.W., Woodbury, R.L.,およびOkita, T.W.[1996]Plant Physiol. 112:1315〜1320(非特許文献32))は、ジャガイモAGPに関する構造-機能研究において細菌発現系が有用であることを示した。アロステリックおよび基質結合部位をマッピングする上で重要な多数の変異が同定された(Okita, T.W., Greene, T.W., Laughlin, M.J., Salamone, P., Woodbury, R., Choi, S., Ito, H., Kavakli, H.,およびStephenes, K.[1996]、「Engineering Crops for Industrial End Uses」における「Engineering Plant Starches by the Generation of Modified Plant Biosynthetic Enzymes」、Shewry, P.R., Napier, J.A.,およびDavis, P.編、ポートランド出版(Portland Press Ltd.)、ロンドン(非特許文献33))。
【0013】
AGP酵素は、細菌と植物の双方から単離されている。細菌AGPはホモ四量体からなるが、光合成および非光合成組織からの植物AGPは、異なる二つのサブユニットからなるヘテロ四量体である。植物の酵素は、異なる二つの遺伝子によってコードされ、一つのサブユニットはもう一つより大きい。この特徴は多くの植物において認められている。ほうれん草の葉におけるAGPサブユニットは、SDS-PAGEによって推定すると、分子量54 kDaおよび51 kDaである。いずれのサブユニットも、ほうれん草の葉からの精製AGPに対する抗体と免疫反応性である(Copeland, L., J. Preiss[1981]Plant Physiol.68:996〜1001(非特許文献34);Morell, M., M. Bloon, V. Knowles, J. Preiss[1988]J. Bio. Chem. 263:633(非特許文献35))。ほうれん草の葉の小サブユニットおよび大サブユニットに対して調製した抗血清を用いる免疫学的分析から、ジャガイモ塊茎のAGPも同様に二つの遺伝子によってコードされることが示された(Okitaら、1990、上記(非特許文献25))。ジャガイモ塊茎の二つのサブユニット(50および51 kDa)のcDNAクローンも同様に単離およびシークエンシングされている(Muller-Rober, B.T., J. Kossmann, L.C. Hannah, L. Willmitzer, U. Sounewald[1990]Mol. Gen. Genet. 224:136〜146(非特許文献36);Nakata, P.A., T.W. Greene, J.M. Anderson, B.J. Smith-White, T.W. Okita, J. Preiss[1991]Plant Mol. Biol. 17:1089〜1093(非特許文献37))。ジャガイモ塊茎AGPの大サブユニットは熱安定性である(Nakataら[1991]、上記(非特許文献37))。
【0014】
HannahおよびNelson(Hannah, L.C., O.E. Nelson[1975]Plant Physiol. 55:297〜302(非特許文献38);Hannah, L.C.,およびNelson, Jr., O.E.[1976]Biochem. Genet. 14:547〜560(非特許文献39))が仮定したように、Shrunken-2(Sh2)(Bhave, M.R., S. Lawrence, C. Barton, L.C.Hannah[1990]Plant Cell 2:581〜588(非特許文献40))およびBrittle-2(Bt2)(Bae, J.M., M. Giroux, L.C. Hannah[1990]Maydica 35:317〜322(非特許文献41))はいずれもトウモロコシ内胚葉ADPグルコースピロホスホリラーゼの構造遺伝子である。Sh2およびBt2はそれぞれ、酵素の大サブユニットおよび小サブユニットをコードする。cDNAシークエンシングから、Sh2およびBt2タンパク質はそれぞれ、予想分子量57,179 Da(Shaw, J.R., L.C. Hannah[1992]Plant Physiol. 98:1214〜1216(非特許文献42))および52,224 Daを有する。内胚葉は、トウモロコシにおける穀粒発達の際にデンプンが最も沈着する部位である。Sh2およびbt2トウモロコシ内胚葉変異体は、AGP活性の欠損レベルに対応して大きく減少したデンプンレベルを有する。いずれかの遺伝子を変異させると、AGP活性が約95%減少することが示されている(TsaiおよびNelson, 1996、上記(非特許文献17);DickinsonおよびPreiss、上記(非特許文献18))。さらに、酵素活性は、機能的野生型Sh2およびBt2対立遺伝子の用量と共に増加することが認められているが、変異体酵素は速度論特性が変化している。AGPは、植物のデンプン生合成における律速段階である。Starkらは、大腸菌AGPの変異体をジャガイモ塊茎に入れて、デンプン含有量の35%増加を得た(Starkら[1992]Science 258:287(非特許文献43))。
【0015】
AGP酵素サブユニットをコードする遺伝子のクローニングおよび特徴付けは、様々な植物について報告されている。これらには、トウモロコシのSh2 cDNA(Bhaveら、1990、上記(非特許文献40))、Sh2ゲノムDNA(ShawおよびHannah、1992、上記(非特許文献42))およびBt2 cDNA(Baeら、1990、上記(非特許文献41));イネの小サブユニットcDNA(Anderson, J.M., J. Hnolo, R. Larson, T.W. Okita, M. Morell, J. Preiss[1989]J. Biol. Chem. 264:12238〜12242(非特許文献44))およびゲノムDNA(Anderson, J.M., R. Larson, D. Landencia, W.T. Kim, D. Morrow, T.W. Okita, J. Preiss[1991]Gene 97:199〜205(非特許文献45));ならびにほうれん草の葉(Morellら、1988、上記(非特許文献35))およびジャガイモ塊茎(Muller-Roberら、1990、上記(非特許文献36);Nakata, P.A., Greene, T.W., Anderson, J.W., Smith-White, B.J., Okita, T.W.,およびPreiss, J.[1991]Plant Mol. Biol. 17:1089〜1093(非特許文献37))の小および大サブユニットcDNAが含まれる。さらに、コムギ内胚葉および葉組織(Olive, M.R., R.J. Ellis, W.W. Schuch[1989]Plant Physiol. Mol. Biol. 12:525〜538(非特許文献46))ならびにシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の葉(Lin, T., Caspar, T., Sommerville, C.R.,およびPreiss, J.[1988]Plant Physiol. 88:1175〜1181(非特許文献47))からcDNAクローンが単離されている。
【0016】
AGPは、今日まで調べられた全ての組織および生物においてアロステリック酵素として機能する。AGPのアロステリック特性は、大腸菌において重要であることが最初に示された。グリコーゲンを過剰産生する大腸菌変異体が単離され、変異は、glyCと命名されるAGPの構造遺伝子にマッピングされた。glyC-16としても知られる変異体大腸菌は、活性化物質であるフルクトース1,6,-ビスホスフェートに対してより感受性であり、阻害剤であるcAMPに対してより感受性が低いことが示された(Preiss, J.[1984]Ann. Rev. Microbiol. 419〜458(非特許文献48))。植物AGPも同様にアロステリックであるが、それらは細菌AGPとは異なるエフェクター分子に反応する。植物において、3-ホスホグリセリン酸(3-PGA)は活性化剤として機能するのに対し、ホスフェート(PO4)は阻害剤として作用する(DickinsonおよびPreiss、1969、上記(非特許文献18))。
【0017】
既知の活性化因子結合部位の近位に偶然に存在するDs転位可能要素のAc媒介切除によって作製されるインビボ変異誘発システムを用いて、Girouxら(Giroux, M.J., Shaw, J., Barry, G., Cobb, G.B., Greene, T., Okita, T.W.,およびHannah, L.C.[1996]Proc. Natl. Acad. Sci. 93:5824〜5829(非特許文献49))は、トウモロコシ内胚葉AGPの機能的に重要な領域における部位特異的変異体を作製することができた。一つの変異体Rev 6は、AGPの大サブユニットにおいてチロシン-セリンインサートを含み、種子重量の11〜18%増加を条件とした。さらに、公表された国際出願である国際公開公報第01/64928号(特許文献1)は、Rev6変異を含むトウモロコシAGPの大サブユニットをコードするポリヌクレオチドによって形質転換した植物において、種子数、植物のバイオマス、収穫指数等のような様々な特徴が増加しうることを教示している。
【特許文献1】国際公開公報第01/64928号
【非特許文献1】Hunter, R.B., Tollenaar, M.,およびBreuer, C.M.[1997]Can. J. Plant Sci. 57:1127〜1133
【非特許文献2】Tollenaar, M.およびBruulsema, T.W.[1998]Can. J. Plant Sci. 68:935〜940
【非特許文献3】Badu-Apraku, B., Hunter, R.B.,およびTollenaar, M.[1983]Can. J. Plant Sci. 63:357〜363
【非特許文献4】Thompson, L.M.[1986]Agron.J. 78:649〜653
【非特許文献5】Thompson, L.M.[1975]Science 188:535〜541
【非特許文献6】Chang, J.[1981]Agricul. Metero. 24:253〜262
【非特許文献7】Conroy, J.P., Seneweera, S., Basra, A.S., Rogers, G.およびNissen-Woller, B.[1994]Aust. J. Plant. Physiol. 21:741〜758
【非特許文献8】Jones, R.J., Gengenbach, B.G.,およびCardwell, V.B.[1981]Crop Science 21:761〜766
【非特許文献9】Jones, R.J., Ouattar, S.,およびCrookston, R.K.[1984]Crop Science 24:133〜137
【非特許文献10】Cheikh, N.およびJones, R.J.[1995]Physiol. Plant 95:59〜66
【非特許文献11】Hawker, J.S.およびJenner, C.F.[1993]Aust. J. Plant. Physiol. 20:197〜209
【非特許文献12】Denyer, K., Hylton, C.M.,およびSmith, A.M.[1994]Aust. J. Plant. Physiol. 21:783〜789
【非特許文献13】Jenner, C.F.[1994]Aust. J. Plant. Physiol. 21:791〜806
【非特許文献14】Rijven, A.H.G.C.[1986]Plant Physiol. 81:448〜453
【非特許文献15】Keeling, P.L., Bacon, P.J., Holt, D.C.[1993]Planta 191:342〜348
【非特許文献16】Jenner, C.F., Denyer, K.,およびGuerin, J.[1995]Aust. J. Plant. Physiol. 22:703〜709
【非特許文献17】Tsai, C.Y.,およびNelson, Jr., O.E.[1996]Science 151:341〜343
【非特許文献18】Dickinson, D.B., J. Preiss[1969]Plant Physiol. 44:1058〜1062
【非特許文献19】Ou-Lee, T.およびSetter, T.L.[1985]Plant Physiol. 79:852〜855
【非特許文献20】Singletary, G.W., Banisadr, R.,およびKeeling, P.L.[1993]Plant Physiol. 102:6(補則)
【非特許文献21】Singletary, G.W., Banisadra, R., Keeling, P.L.[1994]Aust. J. Plant. Physiol. 21:829〜841
【非特許文献22】Duke, E.R.,およびDoehlert, D.C.[1996]Environ. Exp. Botany 36:199〜208
【非特許文献23】Hannah, L.C., Tuschall, D.M.,およびMans, R.J.[1980]Genetics 95:961〜970
【非特許文献24】Sowokinos, J.R.およびPreiss, J.[1982]Plant Physiol. 69:1459〜1466
【非特許文献25】Okita, T.W., Nakata, P.A., Anderson, J.M., Sowokinos, J., Morell, J.,およびPreiss, J.[1990]Plant Physiol. 93:785〜90
【非特許文献26】Preiss, J.およびRomeo, T.[1994]Progress in Nuc. Acid Res.およびMol. Biol. 47:299〜329
【非特許文献27】Preiss, J.およびSivak, M.[1996]、「Photoassimilate distribution in plants and crops:source-sink relationships」における「Starch synthesis in sinks and sources」、Zamski, E.編、マーシルデッカーインク(Marcil Dekker Inc.)、139〜168頁
【非特許文献28】Hannah, L., Curtis[1996]、「Advances in Cellular and Molecular Biology of Plants」における「Starch synthesis in the maize endosperm」、第4巻、B.A. LarkinsおよびI.K. Vasil(編)、「Cellular and Molecular Biology of Planr Seed Development」、クルワーアカデミック出版(Kluwer Academic Publishers)、ドルトレヒト、オランダ
【非特許文献29】Iglesias, A., Barry, G.F., Meyer, C., Bloksberg, L., Nakata, P., Greene, T., Laughlin, M.J., Okita, T.W., Kishore, G.M.,およびPreiss, J.[1993]J. Biol. Chem. 268:1081〜86
【非特許文献30】Ballicora, M.A., Laughlin, M.J., Fu, Y., Okita, T.W., Barry, G.F.,およびPreiss, J.[1995]Plant Physiol. 109:245〜251
【非特許文献31】Greene, T.W., Chantler, S.E., Kahn, M.L., Barry, G.F., Preiss, J.,およびOkita, T.W.[1996]Proc. Natl. Acad. Sci. 93:1509〜1513
【非特許文献32】Greene, T.W., Woodbury, R.L.,およびOkita, T.W.[1996]Plant Physiol. 112:1315〜1320
【非特許文献33】Okita, T.W., Greene, T.W., Laughlin, M.J., Salamone, P., Woodbury, R., Choi, S., Ito, H., Kavakli, H.,およびStephenes, K.[1996]、「Engineering Crops for Industrial End Uses」における「Engineering Plant Starches by the Generation of Modified Plant Biosynthetic Enzymes」、Shewry, P.R., Napier, J.A.,およびDavis, P.編、ポートランド出版(Portland Press Ltd.)、ロンドン
【非特許文献34】Copeland, L., J. Preiss[1981]Plant Physiol.68:996〜1001
【非特許文献35】Morell, M., M. Bloon, V. Knowles, J. Preiss[1988]J. Bio. Chem. 263:633
【非特許文献36】Muller-Rober, B.T., J. Kossmann, L.C. Hannah, L. Willmitzer, U. Sounewald[1990]Mol. Gen. Genet. 224:136〜146
【非特許文献37】Nakata, P.A., T.W. Greene, J.M. Anderson, B.J. Smith-White, T.W. Okita, J. Preiss[1991]Plant Mol. Biol. 17:1089〜1093
【非特許文献38】Hannah, L.C., O.E. Nelson[1975]Plant Physiol. 55:297〜302
【非特許文献39】Hannah, L.C.,およびNelson, Jr., O.E.[1976]Biochem. Genet. 14:547〜560
【非特許文献40】Bhave, M.R., S. Lawrence, C. Barton, L.C.Hannah[1990]Plant Cell 2:581〜588
【非特許文献41】Bae, J.M., M. Giroux, L.C. Hannah[1990]Maydica 35:317〜322
【非特許文献42】Shaw, J.R., L.C. Hannah[1992]Plant Physiol. 98:1214〜1216
【非特許文献43】Starkら[1992]Science 258:287
【非特許文献44】Anderson, J.M., J. Hnolo, R. Larson, T.W. Okita, M. Morell, J. Preiss[1989]J. Biol. Chem. 264:12238〜12242
【非特許文献45】Anderson, J.M., R. Larson, D. Landencia, W.T. Kim, D. Morrow, T.W. Okita, J. Preiss[1991]Gene 97:199〜205
【非特許文献46】Olive, M.R., R.J. Ellis, W.W. Schuch[1989]Plant Physiol. Mol. Biol. 12:525〜538
【非特許文献47】Lin, T., Caspar, T., Sommerville, C.R.,およびPreiss, J.[1988]Plant Physiol. 88:1175〜1181
【非特許文献48】Preiss, J.[1984]Ann. Rev. Microbiol. 419〜458
【非特許文献49】Giroux, M.J., Shaw, J., Barry, G., Cobb, G.B., Greene, T., Okita, T.W.,およびHannah, L.C.[1996]Proc. Natl. Acad. Sci. 93:5824〜5829
【発明の開示】
【0018】
発明の簡単な概要
本発明は、穀類を生じる植物のような植物における作物の収量を改善するために有用な材料および方法に関する。一つの態様において、本発明は、熱に安定なAGP酵素とこれらの酵素をコードするヌクレオチド配列とを提供する。好ましい態様において、本発明の熱に安定な酵素を用いて、より高温に対してより抵抗性を有し、このようにこれらの植物からの作物の収量が増加した植物を提供することができる。特定の好ましい態様において、改善された植物は穀類である。本発明が適用される穀類には、例えば、トウモロコシ、コムギ、イネ、およびオオムギが含まれる。
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、野生型遺伝子型を有する植物と比較して、熱ストレスの条件下で生育した植物において収量の増加を付与する新規変異体ポリヌクレオチド分子、およびそれによってコードされるポリペプチドに関する。特定の態様において、本発明のポリヌクレオチド分子は、トウモロコシの内胚葉ADPグルコースピロホスホリラーゼ(AGP)と可溶性デンプンシンターゼ(SSS)酵素活性をコードする。変異体酵素は、野生型酵素活性と比較して、酵素を発現する種子および植物組織において種子および植物の生育の際の熱ストレス条件に対する安定性の増加を付与する。
【0020】
一つの態様において、本発明のポリヌクレオチドは、ポリペプチドの配列においてヒスチジンからチロシンへのアミノ酸置換を含む、トウモロコシAGPの変異体大サブユニットをコードする。この置換は、このタンパク質におけるアミノ酸の容認された番号に従えば、アミノ酸残基333位で起こる(ShawおよびHannah、1992、上記)。この置換の位置は、当業者によって容易に同定することができる。本発明において例示される第二の変異は、トウモロコシのAGPタンパク質の大サブユニットの460位でのトレオニンからイソロイシンへの置換である。
【0021】
トウモロコシAGP大サブユニットの333位のヒスチジンがフェニルアラニン、メチオニン、またはグリシンに置換されている変異体も例示される。同様に、下記の表1に示す熱安定性の増加を付与するトウモロコシAGP大サブユニット変異体も例示される。
【0022】
【表1】

【0023】
植物の様々な種においてAGPポリペプチドが相同であることから(Smith-WhiteおよびPreiss[1992]J. Mol. Evol. 34:449〜464)、当業者は、トウモロコシ以外の植物からのAGPにおいて、本明細書に例示したトウモロコシAGP変異の対応する位置を容易に決定することができる。例えば、図2および図3は、コムギ、オオムギ、およびジャガイモにおけるトウモロコシHS 33およびHS 40変異周辺の領域に関する一次配列のアラインメントを示す。このように、本発明は、植物において発現されると熱安定性の増加を付与するコムギ、オオムギ、およびイネを含むがこれらに限定されない、トウモロコシ以外の植物の変異体AGPをコードするポリヌクレオチドを含む。
【0024】
トウモロコシ内胚葉AGPのサブユニット(SH2およびBT2)のcDNAクローンおよび内因性大腸菌AGPが欠損している大腸菌株(glg C-)(AC70R1-504)によって、トウモロコシ内胚葉AGPを調べるための細菌発現系の確立が容易となった。単一のサブユニットの発現では、glg C-変異体を相補することができず、グリコーゲンを産生しない(Iglesias, A., Barry, G.F., Meyer, C., Blocksberg, L., Nakata, P., Greene, T., Laughlin, M.J., Okita, T.W., Kishore, G.M.,およびPreiss, J.[1993]J. Biol. Chem. 268:1081〜86)。しかし、適合性の発現ベクター上で大および小サブユニットの双方が発現されれば、glgC-変異を完全に補足して、ヨウ素に曝露したコロニーの暗赤色-茶色の染色によって示されるようにグリコーゲン産生を回復する。このように、補足性は、コロニーをヨウ素に単に曝露することによって容易に同定される。
【0025】
一つの態様において、ジャガイモまたはトウモロコシ内胚葉AGPのいずれかの構造遺伝子を発現する大腸菌glgC-細胞を用いた。ジャガイモのAGP遺伝子を含む細胞は、37℃または42℃で増殖させた場合に大量のグリコーゲンを合成することができる。しかし、トウモロコシの内胚葉AGPを発現する細胞は37℃でグリコーゲンを合成するに過ぎない。この結果は、野生型トウモロコシ内胚葉AGPの熱感受性を証明している。ジャガイモとトウモロコシAGPにはこの点において差があるということは、トウモロコシ内胚葉AGPの熱に安定な変種を有する変異体細胞の効率的なスクリーニングシステムを提供する。
【0026】
本発明の一つの局面は、熱に安定であるAGPを効率的に同定することに関する。したがって、トウモロコシAGPのSH2サブユニットをコードするポリヌクレオチドを含むプラスミドを下記のように化学合成して、BT2サブユニットを発現する変異体大腸菌細胞に入れて、細胞を42℃で増殖させて、その温度でグリコーゲンを産生することができる変異体を選択した。当技術分野において既知の他の変異誘発物質も同様に用いることができる。熱安定(HS)変異体と呼ばれる遺伝性のヨウ素染色変異体11個を単離した。これらの変異体の粗抽出物を調製して、得られたAGPの熱安定性をモニターした。変異体は、60℃で5分間インキュベートした後その活性の8〜59%を保持した(図1)。これは、この温度で野生型AGPについて一般的に認められる1〜4%とは対比をなす。
【0027】
この結果は、本発明に従って変異によって、酵素の熱安定型を作製できることを示している。このように、本発明の一つの局面は、野生型酵素と比較して熱安定性が増加した変異体デンプン生合成酵素をコードするポリヌクレオチドを産生および同定するためのプロセスに関する。意外にも、熱処理前のトウモロコシ内胚葉AGPの全活性は、これらの変異体の大多数において約2〜3倍上昇していた。この驚くべき結果から、これらの変異体は農業において用いるために特に有利となる。本明細書に記載の変異誘発技術を本発明に従って用いて、熱に安定なデンプン生合成酵素をコードする他の遺伝子を同定することができる。
【0028】
熱に最も安定なHS変異体の二つであるHS 33およびHS 40を含む、本明細書に例示される熱に安定な変異体のいくつかをコードする遺伝子を完全にシークエンシングした。熱処理後にその活性の59%を保持するHS 33は、ポリペプチドのアミノ酸配列の333位のヒスチジン残基をチロシンに変化させる一塩基対変異を含む(図2)。コムギおよびオオムギAGPsからの大サブユニットとの一次配列アラインメントは、ヒスチジンがまた類似の残基で存在することを示している(図3)(Ainsworth, C., Hosein, F., Tarvis, M., Weir, F., Burrell, M., Devos, K.M., Gale, M.D.[1995]Planta 197:1〜10)。熱処理後にその活性の41%を保持するHS 40の配列分析もまた、333位でヒスチジンからチロシンへの変異を含んだ。トレオニンからイソロイシンへの置換を生じるさらなる点突然変異が同定された。トレオニン残基は、AGP大サブユニットにおいて高度に保存されているが、AGP小サブユニットでは類似の残基はシステインまたはセリンのいずれかである(Ainsworthら、1995、上記)。トレオニンからイソロイシンへの置換は、大サブユニットのカルボキシ末端の近位に、そして活性化剤3-PGAの既知の結合部位の近位に存在する(図3)。
【0029】
本発明のもう一つの局面は、これらの変異体酵素が、温度感受性(TS)変異体を選択して、次にこれらを変異誘発して安定性の増強を示す復帰変異体に関してスクリーニングすることによって単離される、AGPのような変異体デンプン生合成酵素、およびそれらをコードするポリヌクレオチドに関する。本発明のさらなる局面は、ポリヌクレオチドおよびそれによってコードされる変異体酵素を産生および同定する方法に関する。
【0030】
本発明はまた、酵素の小サブユニットにおいて変異を有するAGPの熱安定変異体に関する。同様に、AGPの変異体小サブユニットをコードするポリヌクレオチドも本発明の範囲に含まれる。酵素に熱安定性を付与するAGPの小サブユニットにおける変異もまた、本発明の方法を用いて、容易に調製して同定することができる。
【0031】
本発明の変異体ポリヌクレオチドを含むように交配させて、またはそれによって形質転換して、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを発現する植物および植物組織もまた、本発明によって企図される。変異体ポリヌクレオチドを発現する植物および植物組織は、例えば、生育の際に熱ストレスを受けても、熱による重量または収量の損失がより少ない組織を産生する。本発明の範囲に含まれる植物には、イネ、コムギ、オオムギ、オート麦、モロコシ、トウモロコシ、ユリ、およびキビのような単子葉植物、ならびにエンドウ、アルファルファ、ヒヨコマメ、チコリ、クローバー、ケール、レンズマメ、プレーリーのイネ科植物、大豆、タバコ、ジャガイモ、サツマイモ、ラディッシュ、キャベツ、菜種、リンゴの木、およびレタスのような双子葉植物が含まれる。特に好ましい態様において、植物は穀類である。本発明が適用される穀類には、例えばトウモロコシ、コムギ、イネ、オオムギ、オート麦、ライ麦、およびキビが含まれる。
【0032】
本発明の変異体ポリヌクレオチドを有する植物は、変異体遺伝子をそのゲノムに含む種子から生育させることができる。さらに、植物を遺伝子によって形質転換する技術は当技術分野で既知である。
【0033】
遺伝子コードの縮重のために、多様な異なるポリヌクレオチド配列が、本明細書に開示の変種AGPポリペプチドのそれぞれをコードしうる。さらに、本発明の同じ、または本質的に同じポリペプチドをコードするもう一つのポリヌクレオチド配列を作製することは当業者の能力範囲内である。これらの変種またはもう一つのポリヌクレオチド配列は、本発明の範囲内である。本明細書において用いられるように、「本質的に同じ」配列という場合、本明細書に記述のAGP変異体ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの機能的活性を実質的に変化させないアミノ酸置換、欠失、付加、または挿入をコードする配列を意味する。
【0034】
本明細書において用いられるように、「核酸」および「ポリヌクレオチド配列」という用語は、一本鎖または二本鎖のいずれかのデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーを意味し、特に明記していなければ天然に存在するヌクレオチドと類似のように機能することができる天然のヌクレオチドの既知の類似体を含むであろう。ポリヌクレオチド配列には、RNAに転写されるDNA鎖配列と、タンパク質に翻訳されるRNA配列の双方が含まれる。ポリヌクレオチド配列には、完全長の配列のみならず、完全長の配列に由来するより短い配列の双方が含まれる。特定のポリヌクレオチド配列には、特定の宿主細胞におけるコドン選択性を提供するために導入してもよい、天然の配列または複数の配列の縮重コドンが含まれる。例となる配列の対立遺伝子変種も同様に本発明の範囲に含まれる。本発明の範囲に入るポリヌクレオチド配列にはさらに、例となる配列と特異的にハイブリダイズする配列が含まれる。ポリヌクレオチドには、個々の鎖または二本鎖としてのセンスおよびアンチセンス鎖の双方が含まれる。
【0035】
本明細書に開示の変異体において特に例示されるアミノ酸以外のアミノ酸の置換もまた、本発明の範囲内であると企図される。アミノ酸は以下のクラスに分類することができる:非極性、非荷電極性、塩基性、および酸性。それによって一つのクラスのアミノ酸を有する変異体AGPポリペプチドが同じクラスのもう一つのアミノ酸に置換される保存的置換は、置換を有する変異体AGPポリペプチドが野生型ポリペプチドと比較して熱安定性の増加をなおも保持する限り、本発明の範囲内である。下記の表2は、それぞれのクラスに属するアミノ酸の例の一覧を提供する。
【0036】
【表2】

【0037】
例えば、HS 33、HS39、HS40およびHS 47変異体トウモロコシ内胚葉AGPにおける333位のチロシンを、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、およびグルタミンのような他のアミノ酸に置換することは、本発明の範囲内であると企図される。熱安定変異部位以外の位置でのアミノ酸置換も同様に、ポリペプチドが野生型ポリペプチドと比較して熱安定性の増加を保持する限り、本発明の範囲内であると企図される。
【0038】
本発明はまた、それらの断片が完全長のポリペプチドと実質的に同じ機能的活性を保持する限り、完全長の変異体ポリペプチドの断片をコードするポリヌクレオチドにも関する。これらのポリヌクレオチドによってコードされる変異体AGPポリペプチドの断片も同様に、本発明の範囲内である。
【0039】
本発明はまた、標準的な高ストリンジェンシー条件でその配列とのハイブリダイゼーションを可能にするために、野生型配列と十分に相同である配列を有するデンプン生合成酵素をコードするポリヌクレオチド分子を企図する。そのようなハイブリダイゼーション条件は当技術分野で通常である(例えば、Maniatis, T., E.F. Fritsch, J. Sambrook[1989]、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、第2版、コールドスプリングハーバー研究所(Cold Spring Harbor Laboratory)、コールドスプリングハーバー、ニューヨークを参照されたい)。
【0040】
本発明のポリヌクレオチド分子を用いて、それらの植物において変異体の熱安定酵素を発現するように植物を形質転換することができる。さらに、本発明のポリヌクレオチドは、組み換え型変種酵素を発現させるために用いることができる。それらはまた、関連する酵素を検出するためのプローブとして用いることができる。ポリヌクレオチドはまた、DNAの大きさを調べる標準物質として用いることができる。
【0041】
本発明のポリヌクレオチドにはまた、これらの変異体を発現する植物に、熱安定性の増加の他に種子重量の増加を付与することができる変異を含む、AGP酵素のようなデンプン生合成酵素をコードするポリヌクレオチドが含まれる。トウモロコシAGPの大サブユニットをコードするポリヌクレオチドにおける、例えばHS33またはHS40のような熱安定化変異と、種子重量の増加を付与する変異、例えばRev 6との組み合わせは、本発明において特に企図される。米国特許第5,589,618号および第5,650,557号は、変異体ポリペプチドを発現する植物において種子重量の増加を付与するAGPの大サブユニットにおける変異をコードするポリヌクレオチド(例えば、Rev6)を開示する。
【0042】
熱安定性を付与するAGPサブユニットにおける変異を、本発明に従ってRev6変異のようなトウモロコシのリン酸塩不応性変異体と組み合わせて、Rev6をコードする大サブユニットの安定性を増強することができる。
【0043】
SSSの酵素活性は、AGPについて認められたようにより高温では障害されると予想される。このように、SSSの変異誘発型は、本明細書に記述の方法に従って熱に安定な変種を単離するために温度上昇条件(42℃)で発現させることができる。これらの熱に安定なSSSの変異誘発型およびそれらをコードするポリヌクレオチドは、本発明のさらなる局面である。
【0044】
本発明はまた、熱ストレス条件に対する安定性の増加または抵抗性を付与するデンプン生合成酵素における変異と、収量の増加特徴を植物に付与する変異とを含む本発明のポリヌクレオチドを組み入れることによって、熱ストレス条件で植物の収量特徴を増加させる方法にも関する。収量特徴の増加には、例えば種子数の増加、種子重量の増加、植物バイオマスの増加、および収穫指数の増加が含まれる。
【0045】
本発明はまた、本発明の範囲内であると企図されるポリヌクレオチドおよびポリペプチドを産生および同定する方法に関する。一つの態様において、遺伝子変異の後に細菌発現系を用いる選択を用いて、植物のデンプン合成における熱による損失を軽減することができる酵素をコードするポリヌクレオチド分子を単離することができる。
【0046】
本明細書において参照または引用した全ての特許、特許出願、仮出願、および出版物は、本明細書の明確な教示と矛盾しない程度にその全文が参照として本明細書に組み入れられる。
【0047】
以下は本発明を実施するための技法を説明する実施例である。これらの実施例は制限的に解釈すべきではない。特に明記していなければ、割合は全て重量であり、溶媒混合物の比率は全て容量である。
【0048】
実施例1−トウモロコシ内胚葉AGP熱安定変種を得るための変異誘発の利用
大サブユニット発現プラスミドのランダム変異誘発のために、最初に、化学変異誘発物質である塩酸ヒドロキシルアミンを用いた。ヒドロキシルアミンは、シトシンのC-4位のアミノ窒素を選択的にヒドロキシル化して、GCからATへの転移(transition)に至る(Suzuki, D.T., Griffith, A.J.F., Miller, J.H.,およびLewontin, R.C.[1989]、「Introduction to genetic analysis」、フリーマン(Freeman)、ニューヨーク、第4版、475〜499)。化学変異誘発物質は、その高い変異頻度のために選択した。化学変異誘発物質の限界は認識されており、非常に多様な遺伝子変種が単離されなければ、PCRに基づくランダム変異誘発を行うことができる。PCR変異誘発は、類似の転移および転換(transversion)頻度を含む、より広い範囲の変異を生成し、化学法の優れた代用法となる。CadwellおよびJoyce(Cadwell, R.C.,およびJoyce, G.F.[1992]、PCR Methods and Applications 2:28〜33)が概説した方法は、PCRに基づく方法において従うことができる。
【0049】
ランダム変異誘発において完全な発現プラスミドが用いられているため、変異がコード領域外で起こる可能性がある。そのような変異は、トウモロコシ内胚葉AGPの熱安定性に如何なる影響も及ぼさないと予想されるが、それぞれの変種を非変異発現プラスミドにサブクローニングしてから、酵素レベルでのさらなる特徴付けを行う。大および小サブユニット発現プラスミドはいずれも、NcoI/SacI消化が完全なコード領域を生じるように構築することができる。これを、非変異NcoI/SacI消化発現プラスミドに容易に戻しクローニングすることができる。
【0050】
実施例2−熱安定AGP変種の分子特徴付けと分析
最初に、トウモロコシ内胚葉大サブユニットの熱安定変種11個を得た。デュポン(DuPont)およびABIの機器を用いてシークエンシングを行った。配列データは、前駆体野生型対立遺伝子と日常的に比較することができる。この分析は、熱安定性の条件を調べる変化の多様性の程度を明らかにする。
【0051】
シークエンシングしたHS変異体のいくつかは、大サブユニットにおけるアミノ酸333位での同一のヒスチジンからチロシンへの変化を含んだ。PCRに由来するHS変異体は、チロシンをヒスチジンに戻すように変化させるプライマーを用いる部位特異的変異誘発を用いて、ヒスチジンからチロシンへの変化に関して迅速にスクリーニングすることができる。
【0052】
実施例3−遺伝子変種の発現、精製、および動力学分析
大腸菌における野生型トウモロコシ内胚葉AGPの発現に関する条件は、十分に特徴が調べられている。最適な増殖および誘導条件は、大腸菌において発現されたジャガイモAGPに関して既に公表された条件とは幾分異なる(Iglesiasら、1993、上記;Ballicoraら、1995、上記)。0.3 mM IPTGおよび25 μg/mlナリジクス酸の存在下で室温で12〜14時間誘導すると、高レベルの発現および活性を一貫して生じる。30%硫酸アンモニウムおよび10 mM KH2PO4-/K2HPO4-を抽出緩衝液に加えると、粗抽出物におけるトウモロコシAGPが安定化する。
【0053】
硫酸アンモニウム濃縮AGPを、ファルマシア(Pharmacia)HR 10/10カラムに充填したTentacle C3アミノプロピル培地(EMセパレーションズ(EM Separations))を用いる疎水性相互作用クロマトグラフィーによってさらに精製する。タンパク質は、1 M硫酸アンモニウムを含む緩衝液においてカラムに結合する。AGPは、0.75 M、0.5 M、0.25 M、および0 M硫酸アンモニウムを含む緩衝液の連続的な段階的勾配洗浄によってカラムから溶出する。野生型トウモロコシ内胚葉AGPは、0.25 M洗浄液において典型的に溶出する。C3精製トウモロコシ内胚葉AGPは、ファルマシアHR 10/10カラムに充填したMacro-Prep DEAE(バイオラド(BioRad))陰イオン交換培地を用いる陰イオン交換クロマトグラフィーによってさらに精製する。AGPは、100〜500 mM KClの直線勾配によって溶出し、典型的に約300 mM付近の塩濃度で溶出する。ファルマシアFPLCシステムを全てのクロマトグラフィー段階に関して用いる。個々の精製段階の条件は、十分に特徴が調べられている。精製の際のAGP活性は、ピロリン酸分解アッセイ法によってモニターして、精製段階は、トウモロコシ内胚葉AGP大および小サブユニットに対して特異的なポリクローナル抗体を用いて、SDS-PAGE、クーマシー染色、およびウェスタン分析によってモニターする。
【0054】
実施例4−増強されたサブユニット相互作用
トウモロコシ内胚葉AGP変異体の完全に予想外の多面発現作用は、熱処理前の活性の2〜3倍上昇である。この結果について考えられる一つの説明は、変異による変化によって、大腸菌細胞内に存在するSH2およびBT2のモノマーとポリマーの割合がシフトしたということである。おそらく、野生型において、活性なヘテロ四量体型で存在するのは総タンパク質の10%またはそれ未満に過ぎないが、変異体では、この割合ははるかに高い。ポリマーがモノマーより熱に抵抗性であれば、変異体の表現型は、観察された表現型と同一であろう。速度論分析を用いて基質および/またはアロステリックエフェクターに対する親和性の変化を決定することができる。
【0055】
モノマー/ポリマー比がこれらの変異体において変化する可能性があるという考え方を調べるために、野生型および選択された変異体におけるモノマーとポリマーの量を、熱処理の前後でモニターすることができる。双方のサブユニットに関して抗体が利用できること(Giroux, M.J.およびHannah, L.C.[1994]Mol. Gen. Genetics 243:400〜408)によって、このアプローチは実現可能である。これは、ショ糖勾配超遠心およびゲルクロマトグラフィーの双方によって調べることができ、どの方法が最も効率的かつ明確であるかを容易に決定するであろう。
【0056】
高等植物のAGPは、オリゴマー化して天然のヘテロ四量体構造を形成する、二つの類似であるが異なるサブユニットからなるため、この相互作用を増強する変異は酵素にさらなる安定性を提供することができる。酵母の2-ハイブリッドシステム(クロンテックラボラトリーズ(CLONTECH Laboratories)、パロアルト、カリフォルニア州)を用いて、サブユニット相互作用を評価することができる。コード領域を増幅するための特異的プライマーを構築することができる。これらのプライマーは、クローニングによって、GAL4 DNA結合ドメイン(pGBT9)またはGAL4活性化ドメイン(pGAD424)に対して個々のサブユニットの翻訳的融合が容易となるように、5'および3'末端に独自の制限部位を付加する。ベクターにクローニングされたタンパク質が相互作用すれば、DNA結合ドメインと活性化ドメインは、機能的な転写活性化因子を形成するであろう。次に、これはGAL4プロモーターの後にクローニングされたレポーター遺伝子であるlacZの発現を活性化する。
【0057】
最初に、野生型サブユニットについて条件の特徴を調べることができる。野生型の大および小サブユニットのコード領域は、pGBT9およびpGAD424酵母発現ベクターにクローニングすることができる。考えられる組み合わせを全て作製して調べることができる。Sh2およびBt2を含むpGBT9およびpGAD424ベクターを、同じ酵母株に同時に形質転換して、トリプトファン(pGBT9)およびロイシン(pGAD424)を欠損する培地での増殖に関して選択することができる。lacZ発現の関数としてのサブユニット相互作用は二つの方法で検出することができる。陽性コロニーを、β-ガラクトシダーゼフィルターアッセイ法によって肉眼的に同定する。このアッセイ法では、コロニーをフィルターに結合させ、溶解して、X-gal溶液と共にインキュベートする。青色を示すコロニーを分析することができる。サブユニット相互作用は、β-ガラクトシダーゼに対する特異的な酵素アッセイ法によってさらに分析することができる。これによって、相互作用を定量することができる。サブユニット相互作用を増強する変異は、アッセイした場合に、より高いレベルのβ-ガラクトシダーゼ活性を生じるであろう。
【0058】
実施例5−安定性のさらなる増強
単離された大サブユニット変異体はその熱安定性特徴が多様であり、多数の変異の可能性を示唆している。変異体HS 33およびHS 40の配列分析から、変異体配列が同一ではないことが判明したが、双方の変異体は、同一のヒスチジンからチロシンへの変化を含んだ。SH2タンパク質内で異なるHS変化が同定されれば、これらの変化を一つのタンパク質へと効率よく積み重ねてゆくことが可能であろう。さらに、小サブユニット内の如何なるHS変異もHS SH2変異体において同時発現されて、トウモロコシ内胚葉酵素の安定性をさらに増強することができる。
【0059】
一つのサブユニット内での多数のHS変異体を、容易に組み合わせることができる。例えば、Sh2のコード領域を異なる三つの断片に分割する異なる独自の制限部位を用いることができる。適当であれば、変異の組み合わせは、付加された変異を含む対応する断片をサブクローニングすることによって作製することができる。二つの変異が非常に近位に存在すれば、部位特異的変異誘発を用いてそのような組み合わせを操作することができる。部位特異的変異の一つの方法は、PCR、変異誘発プライマー、およびDpnI制限エンドヌクレアーゼを用いることを含む。プライマーは、5'末端で変異を含むように構築することができ、これを用いて校正機能のあるポリメラーゼVentを用いてPCR増幅することができる。次に、増幅されたDNAをDpnIによって消化することができる。大腸菌から単離された親DNAをメチル化して、DpnIに対して感受性にする。消化したDNAをゲル電気泳動によってサイズ分画して、ライゲーションし、発現ベクターにクローニングする。変異は配列分析によって確認して、野生型小サブユニットを有するAC70R1-504に形質転換する。次に、組み合わせ変異体を分析することができる。
【0060】
実施例6−トウモロコシAGPの大サブユニットの333位でのさらなる変異体の同定
塩酸ヒドロキシルアミン変異誘発は、シトシンからチミンへの変化のみを生じ、それによって起こりうる置換のタイプを制限する。DNAの双方の鎖が変異誘発を受けることから、チミンからシトシンへの変化も同様に起こる;しかし、併せても、起こりうる一塩基変化12個中2個が起こるに過ぎない。したがって、必ずしも全ての起こりうるアミノ酸置換が塩酸ヒドロキシルアミン変異誘発によって産生されないであろう。
【0061】
したがって、異なるアミノ酸20個のそれぞれがトウモロコシ内胚葉AGPの大サブユニットの333位に挿入された変異体を調製するために、二段階プロセスを用いた。方法論は、基本的にストラタジーン(Stratagene)社の方法に由来した。最初に、333位のアミノ酸をコードするコドンプラスアミノ酸334位のコドンの最初の塩基を、PCRに基づく部位特異的変異誘発によって除去した(Suzukiら、1989、上記)。ヨウ素染色による不活性のスクリーニングおよび欠失を確認するためのその後のシークエンシングの後、得られたプラスミドを、コドン333位の無作為化塩基プラスアミノ酸334位のコドンの第一の塩基で置換塩基を含むプライマーを用いてPCR変異誘発した。得られたプラスミドを、Bt2含有大腸菌変異体細胞に形質転換して、37℃および42℃で活性に関するヨウ素染色によってスクリーニングし、その後シークエンシングした。より縮重度の低いプライマーを後者の段階で用いると、最初のラウンドで得られなかったコドンがより効率的に産生された。
【0062】
アミノ酸置換20個全てを変異誘発後に単離して、全てが37℃で染色を生じた。変異体はまた、上昇した温度42℃でのヨウ素染色に関しても調べた。試験者の側での起こりうる如何なる偏見も排除するために、スクリーニングに関して暗号化した株を用いた。42℃で増殖させた場合に、野生型に等しいまたはそれより大きい染色を生じる変異体を下記の表3に示す。
【0063】
予想されるように、スクリーニングによって、タンパク質の333位で、野生型アミノ酸、すなわちヒスチジンを有する、またはHS 33変異体のアミノ酸、すなわちチロシンを有する活性な酵素が同定された。極性のヒドロキシル基が存在しないという点に限ってチロシンと異なるフェニルアラニンも同様に同定した。同様に、例えばグリシンのような、チロシンおよびフェニルアラニンとは実質的に異なるアミノ酸を有する活性な酵素もスクリーニングによって同定された。
【0064】
新しく抽出された酵素調製物の65℃で5分間の処理前後のAGP活性も同様に測定して、結果を表3に示す。42℃で増殖させた染色陽性大腸菌プレートによって選択したアミノ酸8個中、変異体3個(333位でそれぞれチロシン、フェニルアラニン、またはメチオニンを有するHS 33、HS 33F、およびHS 33M)が、65℃での熱処理後に酵素アッセイ法において優れた活性を証明した。フェニルアラニンおよびメチオニン含有AGPsからのAGP活性は、チロシン置換の場合より幾分高いが、これらの三つの調製物の活性の差は小さい。
【0065】
【表3】

粗調製物におけるAGP活性は、熱処理前のHS 33活性の百分率として表記する。
【0066】
実施例7−熱安定性変異とRev6との組み合わせ
本発明に従って、熱安定変異を、例えばRev6変異のような種子重量の増加に関連した変異と組み合わせることができる。目標は、その安定性を増強しながらRev6の所望のリン酸塩不応性特徴を維持することである。Rev6/HS二重変異体を構築して、本明細書に記述のように確認することができる。野生型小サブユニットを有するAC70R1-504に、二重変異体を形質転換することができる。熱安定性の増加は、低グルコース培地上でのグリコーゲン染色陽性によって容易に同定することができる。Rev6をこの培地上で増殖させても染色されない。当初、全ての変異体の組み合わせをリン酸塩不応性の維持に関して酵素的にスクリーニングして、リン酸塩不応性を維持する組み合わせのみをさらに分析する。
【0067】
実施例8−SSS I変異体のクローニング
内因性の細菌グリコーゲンシンターゼを欠損するglg A-大腸菌株は、大腸菌ストックセンターから得ることができる。AGPの発現のために現在用いられる細菌発現ベクターを、SSSの発現のために用いることができる。
【0068】
例えばSh2およびBt2(Girouxら、1996、上記)に関して用いられる一つのクローニング戦略は以下の通りである:一つのプライマーは、独自の制限部位プラス転写物の5'末端を含み、他のプライマーは、もう一つの独自の制限部位と、試験中の遺伝子の翻訳終了コドンの3'の配列とを含む。これらのその後のクローニングによって、プラスミド内での翻訳融合体を生じる。これらの遺伝子特異的プライマーをまず、生育途中の内胚葉からポリA+ RNAを用いてRT-PCR反応において用いた。
【0069】
トウモロコシ内胚葉SSS Iの発現は、glg A-株におけるグリコーゲンシンターゼ活性の欠損を補足するであろう。補足性は、glg C-株におけるAGPの発現の場合と同様に、ヨウ素染色によって容易に可視化されるはずである。粗抽出物を様々な温度および期間インキュベートして、SSS Iの熱安定性を決定することができる。トウモロコシ内胚葉SSS Iを発現するglg A-株を様々な温度で増殖させて、AGP細菌発現系の場合と同様に、機能が温度感受性であるか否かを決定することができる。制限的な温度が確立されれば、SSS Iクローンについてランダム変異誘発を行うことができる。SSS Iの変異体型をglg A-株に形質転換させて、制限的な温度で増殖させ、制限的な温度でのヨウ素染色グリコーゲンの産生能によって熱安定変種を同定することができる。
【0070】
実施例9−トウモロコシ内胚葉ADPグルコースピロホスホリラーゼの温度感受性変異体
安定性の増加したさらなる変種を同定するもう一つのアプローチとして、リバース遺伝学アプローチを用いた。温度感受性(TS)変異体は単離されている。これらの変異体は30℃でヨウ素染色表現型陰性を示し、トウモロコシ内胚葉AGPの機能が欠損することを示している。対照的に、変異体を37℃で増殖させると、それらは、細菌AGPにおける変異を完全に補足することができる。これは明らかに、変異体AGPsが機能的であること、そして機能喪失が温度依存的であることを示している。野生型AGPは、30℃および37℃でグリコーゲン染色陽性表現型陽性を示す。次に、温度感受性変異体を用いて、安定性の増強を有する変異体AGPをコードする第二の部位の復帰変異体を作製した。
【0071】
変異誘発
pSh2 DNAにヒドロキシルアミン変異誘発を行い(Greene, T.W., Chantler, S.E., Kahn, M.L., Barry, G.F., Preiss, J.,およびOkita, T.W.[1996]Proc. Natl. Acad. Sci. 93:1509〜1513)、野生型pBt2小サブユニットプラスミドを有するAC70R1-504大腸菌細胞に形質転換した。細胞を播種して30℃で増殖させた。AGPの温度感受性変種は、30℃でのヨウ素染色陰性表現型によって同定した。推定の変異体を対照としての野生型AGPと共に30℃および37℃で再度線条培養した。30℃で一貫してヨウ素陰性表現型を示し、37℃でヨウ素染色陽性表現型を示す変異体6個を単離した。野生型Sh2およびBt2の発現は、双方の温度でヨウ素染色陽性表現型を示した。
【0072】
TS 48およびTS 60の特徴付け
二つの温度感受性変異体TS 48およびTS 60からのプラスミドDNAを単離およびシークエンシングして、遺伝子病変を同定した。アミノ酸426位のロイシンのフェニルアラニンへの置換を生じる点突然変異1個が同定された(図4A)。この残基および周辺の領域は穀類の内胚葉大サブユニット(LS)において高度に保存されている(Smith-WhiteおよびPreiss、1992、上記)。TS 60において、アミノ酸324位でグルタミン酸からリジンへの変化、および359位でアラニンからバリンへの変異を生じる二つの点突然変異が同定された(図4B)。324位のグリシンは、AGPのLSおよび小(SS)サブユニットにおいて高度に保存されている(Smith-WhiteおよびPreiss、1992、上記)。359位のアラニンおよび周辺のアミノ酸も同様にAGP LSにおいて高度に保存されている。重要なことは、TS 60において同定された二つの変異は、本明細書において記述したHS 33変異に隣接している点である。333位でヒスチジンからチロシンへの置換を有するHS 33変異は、トウモロコシ内胚葉AGPの熱安定性を大きく増強することが示された。TS 60の変異がHS 33変異に極めて近位であるということは、タンパク質のこの領域が安定性にとって重要であることのさらなる証拠である。
【0073】
第二の部位の復帰変異体の単離
温度感受性変異体の単離は、AGPの安定性を増強するさらなる変種を単離するための選択的な表現型を提供する。TS 48およびTS 60 DNAに関してさらなるヒドロキシルアミン変異誘発を行って、30℃でグリコーゲン染色陽性表現型を回復する第二の部位の復帰変異体を単離した。ヒドロキシルアミンは、変異誘発の化学によって、TS 48およびTS 60変異体において同定された一次変異の直接復帰変異の可能性がないことから用いた。これによって、これらの温度感受性変異体における安定性を回復することができる第二の部位の変異を選択することができる。
【0074】
三つの復帰変異体をTS 48に関して単離して、一つの変異体、すなわちRTS 48-2の分子的特徴を示す(図5A)。RTS 48-2は、TS 48において同定された親変異の他にアミノ酸177位でアラニンからバリンへの変異を含む。この残基および周辺の領域は高度に保存されている。RTS 48-2変異は、熱安定変異体HS 13において同定された変異の同一の部位に対応する。アラニン残基は、HS 13では177位においてプロリンに変異した。これらの二つの変異が同じ部位にマッピングされることは重要である。RTS 48-2およびHS 13変異体は、完全に異なるアプローチを用いて安定性の増加に基づいて選択し、このようにこれらの二つの変異は、この部位がAGPの安定性において重要であることを同定する。
【0075】
TS 60に関して第二部位復帰変異体5個を単離して、その一つRTS 60-1の配列分析を示す(図5B)。アミノ酸396位でのアラニンからバリンへの変異を同定した。この残基はAGP LSにおいて高度に保存され、同様にHS 14において同定された熱安定変異に近位にマッピングされる。
【0076】
本明細書に記述の実施例および態様は、説明する目的に限られ、それに照らして様々な態様または変更が当業者に示唆されるが、それらも本出願および添付の請求の範囲の趣旨および範囲に含まれると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】熱に安定なトウモロコシ内胚葉のAGP大サブユニット変異体を示す。60℃で5分間の熱処理後に残っているAGP活性の割合を示す。
【図2】トウモロコシ、コムギ、オオムギ、およびジャガイモのAGP大サブユニットにおけるHS 33変異周辺の領域の一次配列アラインメントを示す。保存領域を四角で囲む。
【図3】トウモロコシ、コムギ、オオムギ、およびジャガイモのAGP大サブユニットにおけるHS 40変異周辺の領域の一次配列アラインメントを示す。保存領域を四角で囲む。太字のアスパラギン酸残基は、ジャガイモLSのD413Aアロステリック変異体に対応する(Greene, T.W., Woodbury, R.L.,およびOkita, T.W.[1996]Plant Physiol. 112:1315〜1320)。ほうれん草の葉のAGP配列は、3-PGA類似体研究において同定された活性化部位2ペプチドである(Ball, K.,およびPreiss, J.[1994]J. Biol. Chem. 269:24706〜24711)。標識したリジン残基を太字で示す。
【図4】AおよびBは、TS48およびTS60の分子の特徴をそれぞれ示す。TS48および対応する残基の遺伝子病変を太字で示す。アミノ酸番号を、TS48のLeuからPheへの変異の上に示す。最後の列は、コンセンサス配列である。Leu残基は高度に保存されている。TS60および対応する残基の遺伝子病変を太字で示す。アミノ酸番号をTS60のGluからLysおよびAlaからValへの変異の上に示す。四角で囲んだ残基は、既に同定され、トウモロコシの内胚葉AGPの熱安定性において重要であることが示されているHS33変異に対応する。最後の列は、コンセンサス配列である。
【図5】AおよびBは、RTS 48-2およびRTS 60-1の分子の特徴付けをそれぞれ示す。RTS 48-2および対応する残基の遺伝子病変を太字で示す。アミノ酸番号をRTS 48-2のAlaからValへの変異の上に示す。最後の列はコンセンサス配列である。RTS 48-2において同定された変異が、熱に安定な変種HS13において認められた同一の残基にマッピングされることは、重要である。HS13は177位でAlaからProへの変異を含んだ。RTS 60-1および対応する残基の遺伝子病変を太字で示す。アミノ酸番号をRTS 60-1のAlaからValへの変異の上に示す。最後の列はコンセンサス配列である。
【配列表フリーテキスト】
【0078】
配列の簡単な説明
(配列番号:1)図2に示されるHS33変異を含むトウモロコシにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:2)図2に示されるトウモロコシにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:3)図2に示されるコムギにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:4)図2に示されるオオムギにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:5)図2に示されるジャガイモにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:6)図3に示されるHS40変異を含むトウモロコシにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:7)図3に示されるトウモロコシにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:8)図3に示されるコムギにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:9)図3に示されるオオムギにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:10)図3に示されるジャガイモにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:11)図3に示されるほうれん草におけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:12)図4Aに示されるTS48変異を含むトウモロコシにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:13)図4Aに示されるトウモロコシにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:14)図4Aに示されるコムギにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:15)図4Aに示されるオオムギにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:16)図4Aに示されるイネにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:17)図4Bに示されるTS60変異を含むトウモロコシにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:18)図4Bに示されるトウモロコシにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:19)図4Bに示されるコムギにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:20)図4Bに示されるオオムギにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:21)図4Bに示されるイネにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:22)図4Bに示されるTS60変異を含むトウモロコシにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:23)図4Bに示されるトウモロコシにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:24)図4Bに示されるコムギにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:25)図4Bに示されるオオムギにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:26)図4Bに示されるイネにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:27)図5Aに示されるRTS 48-2変異を含むトウモロコシにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:28)図5Aに示されるトウモロコシにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:29)図5Aに示されるコムギにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:30)図5Aに示されるオオムギにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:31)図5Aに示されるイネにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:32)図5Bに示されるRTS 60-1変異を含むトウモロコシにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:33)図5Bに示されるトウモロコシにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:34)図5Bに示されるコムギにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:35)図5Bに示されるオオムギにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。
(配列番号:36)図5Bに示されるイネにおけるAGP大サブユニットの領域のアミノ酸配列である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変異体タンパク質が、野生型タンパク質と比較して熱安定性の増加を示す、変異体植物デンプン生合成タンパク質、または該変異体タンパク質の生物活性断片もしくは変種をコードするポリヌクレオチド。
【請求項2】
ポリヌクレオチドによってコードされる変異体タンパク質が、植物のADPグルコースピロホスホリラーゼ酵素のサブユニットである、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
ポリヌクレオチドによってコードされる変異体タンパク質が、植物のADPグルコースピロホスホリラーゼ酵素の大サブユニットであって、該大サブユニットにアミノ酸変異を含む、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
ポリヌクレオチドによってコードされる変異体タンパク質が、植物のADPグルコースピロホスホリラーゼ酵素の小サブユニットであって、該小サブユニットにアミノ酸変異を含む、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
ポリヌクレオチドによってコードされる変異体タンパク質がアミノ酸変異を含み、トウモロコシのADPグルコースピロホスホリラーゼの野生型大サブユニットのアミノ酸配列における333位に対応するヒスチジンアミノ酸が、該変異体タンパク質に熱安定性の増加を付与するアミノ酸に置換されている、請求項3記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
333位でヒスチジンを置換するアミノ酸がグリシンである、請求項5記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
333位でヒスチジンの代わりに用いられるアミノ酸がフェニルアラニンである、請求項5記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
333位でヒスチジンの代わりに用いられるアミノ酸がメチオニンである、請求項5記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
ポリヌクレオチドによってコードされる変異体タンパク質が、該ポリヌクレオチドを発現する植物に種子重量の増加を付与するアミノ酸変異をさらに含む、請求項1記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
ポリヌクレオチドがRev6変異を含む、請求項9記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
ポリヌクレオチドが植物のADPグルコースピロホスホリラーゼ酵素の大サブユニットをコードし、トウモロコシの野生型大サブユニットADPグルコースピロホスホリラーゼのアミノ酸配列における494位〜495位に対応するアミノ酸のあいだに少なくとも一つのセリン残基が挿入される、請求項9記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
ポリヌクレオチドが植物のADPグルコースピロホスホリラーゼ酵素の大サブユニットをコードし、トウモロコシの野生型大サブユニットADPグルコースピロホスホリラーゼのアミノ酸配列における494位〜495位に対応するアミノ酸のあいだにアミノ酸対のチロシン:セリンが挿入される、請求項9記載のポリヌクレオチド。
【請求項13】
ポリヌクレオチドが植物のADPグルコースピロホスホリラーゼ酵素の大サブユニットをコードし、トウモロコシの野生型大サブユニットADPグルコースピロホスホリラーゼのアミノ酸配列における495位〜496位に対応するアミノ酸のあいだにアミノ酸対のセリン:チロシンが挿入される、請求項9記載のポリヌクレオチド。
【請求項14】
請求項1記載のポリヌクレオチドを植物のゲノムに組み入れる段階、および該ポリヌクレオチド分子によってコードされるタンパク質を発現させる段階を含む、熱ストレス条件に対する植物の抵抗性を増加する方法。
【請求項15】
植物が単子葉植物である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
単子葉植物が、イネ、コムギ、オオムギ、オート麦、モロコシ、トウモロコシ、ユリ、およびキビからなる群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
植物がトウモロコシである、または植物組織がトウモロコシに由来する、請求項14記載の方法。
【請求項18】
植物が双子葉植物である、請求項14記載の方法。
【請求項19】
双子葉植物が、エンドウ、アルファルファ、ヒヨコマメ、チコリ、クローバー、ケール、レンズマメ、プレーリーのイネ科植物、大豆、タバコ、ジャガイモ、サツマイモ、ラディッシュ、キャベツ、菜種、リンゴの木、およびレタスからなる群より選択される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
請求項1記載のポリヌクレオチド分子を含む植物または植物組織。
【請求項21】
植物または植物組織が単子葉植物である、請求項20記載の植物または植物組織。
【請求項22】
単子葉植物または植物組織が、イネ、コムギ、オオムギ、オート麦、モロコシ、トウモロコシ、ユリ、およびキビからなる群より選択される、請求項21記載の植物または植物組織。
【請求項23】
植物がトウモロコシである、または植物組織がトウモロコシに由来する、請求項20記載の植物または植物組織。
【請求項24】
植物または植物組織が双子葉植物である、請求項20記載の植物または植物組織。
【請求項25】
双子葉植物が、エンドウ、アルファルファ、ヒヨコマメ、チコリ、クローバー、ケール、レンズマメ、プレーリーのイネ科植物、大豆、タバコ、ジャガイモ、サツマイモ、ラディッシュ、キャベツ、菜種、リンゴの木、およびレタスからなる群より選択される、請求項24記載の植物または植物組織。
【請求項26】
植物組織が種子である、請求項20記載の植物組織。
【請求項27】
請求項1記載のポリヌクレオチドによってコードされる変異体デンプン生合成タンパク質。
【請求項28】
デンプン生合成タンパク質をコードするポリヌクレオチドを変異させる段階、変異したポリヌクレオチドを細胞において発現させて、変異体デンプン生合成タンパク質を産生する段階、および変異体デンプン生合成タンパク質が野生型デンプン生合成タンパク質と比較して熱安定性の増加を示すか否かを決定する段階を含む、変異体デンプン生合成タンパク質が野生型タンパク質と比較して熱安定性の増加を示す、変異体デンプン生合成タンパク質をコードするポリヌクレオチドを同定する方法。
【請求項29】
請求項10記載のポリヌクレオチドを植物のゲノムに組み入れる段階、および該ポリヌクレオチド分子によってコードされるタンパク質を発現させる段階を含む、種子数、植物のバイオマス、収穫指数、枯葉重量、種子頭、および総種子重量からなる群より選択される、植物の特徴を増加させる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−106293(P2009−106293A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301075(P2008−301075)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【分割の表示】特願2003−569794(P2003−569794)の分割
【原出願日】平成15年2月18日(2003.2.18)
【出願人】(508055353)ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション、インク. (10)
【Fターム(参考)】